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1 ふじのくに「茶の都しずおか」 拠点づくり基本計画 (暫定版) 平成 27 年6⽉ 23 ⽇

ふじのくに「茶の都しずおか」 拠点づくり基本計画...1 ふじのくに「茶の都しずおか」 拠点づくり基本計画 (暫定版) 平成27年6 23 静

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ふじのくに「茶の都しずおか」

拠点づくり基本計画

(暫定版)

平成 27 年6⽉ 23 ⽇

静 岡 県

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本県の有する茶に関する多彩な資源を活かし、産業、文化、学術の視点から、

お茶の持つ魅力を磨き、静岡茶のブランドの強化・確立を図るため、「ふじのくに

茶の都しずおか構想」を平成 26 年 3 月に策定しました。

この構想では、構想の実現を図るために8つの推進方向を示しており、その推

進方向のひとつである“ふじのくに茶の都しずおかの拠点づくり”を進めるため、

「茶の都しずおか拠点づくり検討会議」の意見を伺いながら「ふじのくに茶の都

しずおか拠点づくり基本計画」をまとめました。

静岡県経済産業部茶業農産課長

はじめに

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第1章 基本的な考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・3

1 拠点づくりの趣旨

2 拠点の姿

第2章 事業活動について ・・・・・・・・・・・・・・・9

1 O-CHA を知る〈展示〉

2 O-CHA に触れる〈体験〉

3 O-CHA を学ぶ〈学習〉

4 O-CHA につどう〈にぎわい〉

第3章 施設について ・・・・・・・・・・・・・・ 16

1 基本方針

2 動線の改善

3 改修のポイント

第4章 展示について ・・・・・・・・・・・・・・・・20

1 常設展示

2 企画展示

第5章 管理運営について ・・・・・・・・・・・・・・・25

1 人員体制の検討

2 運営形態の検討

3 収入・支出の検討

4 広報・営業について

5 リニューアル中の体制や活動について

⽬次

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(1)拠点の必要性 本県は、県内広く茶が栽培され、生産量及び流通量は日本一であるとともに、消費

量も極めて高い。さらには、茶に関する歴史的、文化的施設も県内各地に多数あり、

茶に関する試験研究機関や企業なども多く、生活や産業面などにおいて、

「茶の都」としての資質を備えている。

① 茶産業の低迷 近年、生活様式の多様化などにより、国内の茶の消費は減少傾向で価格は低迷して

おり、茶産業の再生に向けた取り組みが必要である。

茶生産農家や茶商工業者にとっては、新規需要の創出が必要であり、次のよう

な場が求められている。

② お茶への関⼼が広まる機運 一般生活者にとっては、次のような背景からお茶への関心が広まる機運もみられ

る。

・和食のユネスコ無形文化遺産への登録

・農村景観、農作業体験などへの関心の高まり

・茶の健康への効用の研究の進展

お茶に関心のある方や、静岡県への来訪者には、次のような情報を提供する場を

つくることにより、お茶に対する関心を一層高めていただくことが重要である。

これらの機能を発揮するには、情報を集約発信する拠点を設置することが効果的で

ある。

第1章 基本的な考え⽅

・新商品などの発信の場やテストマーケットの場

・県内の茶産地や茶の種類

・世界のお茶の歴史・文化、茶に関する観光

・お茶の健康への機能等の情報

1. 拠点づくりの趣旨

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(2)拠点の⽬指す⽅向

本県が全国の茶の中心地である「茶の都」として、静岡茶の魅力を国内外に伝え、

茶業の振興を図るために、産業・観光・文化・学術の各分野の情報集積・発信機能を

持った「拠点」づくりを進める。

効果的

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(1)施設のコンセプト 茶の都しずおか構想における「拠点づくり」の推進方向を踏まえ、「拠点」の

コンセプトを次のとおりとする。

(2)拠点の機能 「茶の都しずおかの拠点」として、その情報発信力を高めるため、文化・学術・

産業・観光の4つの機能を、知る〈展示〉・触れる〈体験〉・学ぶ〈学習〉・つどう〈に

ぎわい〉の4つの事業活動で実現する。

拠点の事業活動 拠点の機能

知る 〈展⽰〉

触れる 〈体験〉

学ぶ 〈学習〉

つどう 〈にぎわい〉

世界の茶⽂化に関する情報、資料の収集展⽰ ● ● ● 伝統的な茶の湯⽂化等と新しい茶⽂化の発信 ● ● ● 茶と関連した和⾷⽂化の展開 ●

⽂化

茶⽂化に関わる⼈材育成と交流 ● 茶⽂化の調査研究や学術情報の集積と発信 ● ● 茶の歴史・⽂化資料や産業遺産等の収集と展⽰

● 学術

茶の科学的研究、情報の集積と発信 ● ● 国内外の茶や茶関連商品の販売および新商品の情報発信

● ● ● 産業

茶産業に関わる⼈材育成と交流 ● 茶産業の体験や学習、茶を活⽤したグリーンティーツーリズムの展開

● ● 観光 茶の機能性や効⽤、茶

と健康⻑寿について学ぶ場

2. 拠点の姿

茶の⽂化の拠点であり、本県茶業・観光の振興に寄与する施設とする

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(3)拠点に適する⽴地 前頁に記した拠点の機能を発揮するためには、拠点の場所は、産業や観光の振

興の視点から、本県の代表的な茶産地に位置することが望ましい。

日本一の大茶園である牧之原台地は、本県茶産地の中央に位置し、本県の代

表的な茶産地であるほか、次のような要件を備えている。

① 研究機関や茶関連企業が集積している。

② 国・県の研究機関や、製茶機械メーカーなどの茶関連企業が周辺に集積し

ている。

③ 富士山静岡空港があり、本県の“空の玄関口”である。

これらの点から、国内外から多くの来訪者が集い、交流や賑わいがより多く創出

されることが期待できる。

以上の条件を考慮し、拠点を牧之原台地に設置することとする。

県内茶産地と茶⽂化施設の位置

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(4)既存施設の活⽤ 拠点には、産業、観光、文化、学術の各分野の情報発信機能を備えた施設が適す

るが、牧之原台地には茶の研究機関や観光施設など複数の施設がある。

その中で、「島田市お茶の郷」は、博物館・茶室・庭園・商業館からなる茶の総合

施設であり、既存施設を活用することにより、新設に比べて費用負担が小さい。

①「島⽥市お茶の郷」の施設 博物館・茶室は次のような施設、所蔵品を備えており、茶文化の発信機能が高い。

また、商業館は店舗、レストランを備え、商品の情報発信、賑わいを創出する機

能を備えている。

② 費⽤負担について 既存の施設を活用することにより、新設に比べて建設費用負担が小さい。

このように、拠点は、施設の位置、施設や所蔵品の水準、設置費用などを考慮す

ると、「島田市お茶の郷」を、茶の都の拠点として活用することが も望ましい。

しかし、「島田市お茶の郷」は、島田市が所有する施設であり、静岡県が「茶の

都しずおかの拠点」として活用するためには、県の管理とする必要がある。

島⽥市お茶の郷(島⽥市)⽇本と世界の茶⽂化、産業、喫茶習慣等を

紹介し、茶に関する理解を深めてもらうとともに、茶産業、⽂化、観光の振興を図ることを⽬的として旧⾦⾕町(現島⽥市)が設置。●設置年 平成 10 年 ●主な施設機能

区 分 内容 特徴

博 物 館 ○世界のお茶が楽しめるコーナー、各国の喫茶シーンの再現 ○お茶の歴史と普及、⽇本茶の⽣産技術の発展に関する展⽰ ○地元のお茶を楽しむコーナー、⽯⾅による抹茶づくり体験 など

茶 室 ⼩堀遠州が寛永年間に新造した奉⾏屋敷と書院を復元。 ⽇本庭園 ⼩堀遠州が作庭した院御所(仙洞御所)の東庭を復元。 商 業 館 レストラン、売店、喫茶

・現在では入手困難な歴史的な茶器などを所蔵

・小堀遠州が手がけた建物と庭園が復元されている

・世界の喫茶風景の設えの再現など、充実した展示が現存

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(5)周辺施設との連携 拠点は、静岡県内の茶産業、茶文化の価値を高めるために、県内各地の関連

施設と連携して、産業、文化、学術、観光にかかわる諸事業を推進する。

島田市の施設であり、本県の茶の都の拠点として活用

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展示は、拠点施設の中心的な機能である。静岡に留まらず、世界と日本を視野にいれ

た「茶」の総合的な情報を展示発信することで、「茶の都しずおか」のブランド力の向上

をめざす。

(1) 資料収集・調査・研究について

・拠点施設として、茶に関する資料を収集し、調査・研究を行う。

(2) 常設展⽰の基本⽅針

① 展⽰の構成

・文化人類学的な視点からお茶を捉える意味で、「世界のお茶と喫茶習慣」を展示

の始まりとし、続いて「お茶の起源」、「世界への広がり」、「日本の茶文化」、そ

して「静岡県の茶産業の発展」へと展開させる。さらに、近年研究が進む「茶

の機能性」や、「茶の新商品」など、未来へのつながりを表現する。

② 展⽰の内容 ・「世界のお茶と喫茶習慣」については、既存の設えを活用し表現する。

・「日本の茶文化」では、生活文化の中のお茶と、茶の湯や煎茶道にまで昇華した

日本独自の総合芸術である茶文化を紹介する。

・「静岡の茶産業の発展」については、その要因として、「技術の先進性」「生産拡

大」「輸出への取組」があったことを表す内容とする。

技術の先進性…機械化への取組、品種開発など

生産拡大…牧之原開拓などによる生産力の拡大など

輸出への取組…商品作り、清水港の活用など

・「茶の機能性」については、研究成果をわかりやすく表現し、体験的に学べる内

容とし、「新商品」は、お茶の未来を予感させる商品、楽しみ方を展示する。

③ 展⽰の更新

・常設展示は、展示内容の更新や入替えを容易とするよう配慮する。

(3) 企画展⽰の基本⽅針 ① 企画展⽰の内容について ・茶産業関連、学習メニュー関連、周辺施設との連携関連など、常設展示ではカバ

ーしていないものを扱い、常設展示との役割分担を明確化する。

② 企画展⽰の回数について ・企画展示は、年複数回実施する。

第2章 事業活動について

1. O-CHAを知る〈展⽰〉

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より多くの県内外の人々の、「お茶」に対する興味を高めるために、茶生産や茶の文化や

学術等に関する「体験」プログラムを実施する。

(1)体験プログラムの⽅向性 ① 体験プログラムの実施場所 ・体験プログラムの場所は、プログラムの内容に応じて、施設内と施設外を設

定する。

② 他施設等との連携 ・拠点施設がプログラムの作成や人の募集、参加者受付等、仕組み作りと運営を行

うが、施設外で行う体験プログラムについては、必要に応じて茶工場や関連施設

等との連携と協力を得て実施する。

(2)施設内での体験(主に展⽰室) ① 世界の喫茶の復元環境を使った世界の茶の試飲体験 ・喫茶風景が設えされた中国、トルコ、チベット族(ネパール)や映像で紹介さ

れているモロッコなどにちなみ、中国茶器を使った中国茶の試飲、サモワールを

使ったトルコのチャイ、チベットのバター茶等を試飲体験する。

② 展望スペースを利⽤した静岡の茶の試飲体験 ・2F の展望スペースを整備して、庭園と茶室を展望しながら静岡のお茶を試飲で

きるコーナーとする。県内各地のお茶を週代わり、月代わりで試飲できるように

する。

・産地ごとのお茶の特徴や味の違いを説明したり、ここで試飲したお茶は商業

館のショップでも購入できるようにするなど、博物館と商業館を連携させる。

③ 茶の機能性の体験 ・カテキンやテアニン等、お茶の特有の成分が特に多いお茶を試飲する。どの

ような成分がどんな味覚に関連するのを体験することで、茶の機能性につい

ての興味や理解を高める。

・茶の機能性を楽しく学べる体験型の展示装置等を設置する。

2. O-CHAに触れる〈体験〉

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(3)施設外での体験 ① 茶の産業体験 ・茶摘みと手揉み製茶の模擬体験を用意する。拠点施設の学芸員が手揉み保存会や

手揉み茶師と連携して、体験プログラムと解説シナリオを開発する。体験の受付

や申し込み、見学先への手配も拠点施設で行う。

・周辺の茶生産者の協力を得て、茶工場(機械製茶)見学の手配を行う。

③ 茶業者と連携した「お茶によるおもてなし」のある町歩き ・お茶の歴史に関する史跡を歩いたり、 お茶屋さんを訪ねて、お店の方の説明を聞

きながら試飲体験する等、拠点施設が、茶の都ならではの「お茶によるおもてな

し」のある町歩きをコーディネートして、受付、申し込み等の手続き窓口となる。

④ その他の体験

・茶碗や茶壺作りなど、茶の道具作りを体験する。志戸呂焼きなど、古くから

県内で知られている焼き物を体験することで、道具という視点から茶に興味

をもってもらうとともに、焼き物の知名度を高める。

(3)その他 ① 団体⾒学への対応 ・団体客が体験できるように多人数への対応を可能とする。

・ツアー会社が使いやすいように、選択できるようなメニューを設ける。

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茶に関わるさまざまな人々が交流できる場として、学習プログラムや講座等を実施

することで、拠点施設を人材育成の場とするとともに、文化、学術、産業、観光に関

する茶の情報発信を行い、交流人口を増やすことで、「日本茶ファン」「静岡のお茶フ

ァン」の拡大を図る。

学習メニューは、学芸員が茶の都にふさわしい視点で企画して、大学、関連団体、

関連施設等と連携をとりながら実施する。

(1) 学習メニューの展開例 ① 茶業者の育成

・茶業者向けのマーケティングやブランディングのワークショップ

・ 新の茶の研究に関する学習会

・国内外の生産地や市場動向に関する報告会等

② 茶のストーリーを語れる⼈の育成

・世界の茶や茶の起源に関する講座

・日本の茶や静岡の茶に関する講座

・茶の機能に関する講座

・茶の湯や煎茶道等の茶の文化講座等

・お茶の入れ方や茶を取り入れたライフスタイル・ワークショップ

③ 茶の新しい価値創造のための集い

・茶業者、茶の愛好家、大学生等によるフューチャーセッション

・お茶の専門家と一般の人が小人数で気軽に語り合える茶話会やお茶カフェの

イベント開催等

(2)運営の考え⽅ ① 期間や回数について ・茶業者の育成メニューや、茶のストーリーを語れる人材の育成メニューなど

は、テーマごとに2ヶ月から3ヶ月程度に期間を区切り、3回〜5回程度に

わけて行う等、一定レベルの内容を伝えることができると同時に参加しやすい回

数を検討する。

② 講師について

・講師は大学の教員や、茶の専門家等、レベルの高い講師を人選する。

3.O-CHAを学ぶ〈学習〉

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③ 料⾦について ・学習メニューの費用は内容によってさまざまだが、若い人でも参加しやすく

連続して受講できるような金額を設定する。

(3)展⽰における学習対応 ① 館内ガイドツアーの実施 ・エデュケーター(教育担当職員)が解説をしながら施設内を案内する、館内ガ

イドツアーを実施する。

・一般向け、ファミリー向け(子供向け)など対象を変えたものや、重点的に

説明する場所を変えたものなど、複数のメニューを用意する。

② 教育旅⾏への対応 ・校外学習や修学旅行等、教育旅行を受け入れ、次世代のお茶ファン

の育成を推進する。

(4)研究成果の情報発信 ① 印刷物

・調査研究の成果、企画展の図録、学習プログラムの成果等を紀要等に取りまと

める。

② ホームページ ・調査研究の成果、企画展の図録、学習プログラムの成果等をホームページ上で公

開する。

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商業館は「茶の都」拠点施設の、集客の大きな要素として位置づけ、茶や茶関連商品の販売や飲食の場を整備し、より多くの人たちに利用いただく魅力ある施設とする。「茶の都」拠点施設のコンセプトにもとづき、商業館は博物館と連携して、一体感のある事業活動を展開する。

(1)ショップについて ① 位置づけ ・ミュージアムショップや「茶の都」のセレクトショップとしての性格をもつ。

・博物館の学芸員と連携して商品選定を行う。

② 商品の⽅向性

・品評会等の受賞歴のある茶業者のお茶等、付加価値の高いものを販売する。

・静岡県産のお茶やお茶関連商品を販売する。

・新しいお茶やお茶関連商品を販売する。

③ 茶産業の振興 ・短期間でイベント的に出店できるコーナーを設ける。県内茶業者や茶

に関わり企業、団体が交代で出店することで、PR やマーケティングなどに

つなげる。

④ 外国⼈旅⾏客への対応 ・外国人旅行客の増加をふまえ、免税店とする。

(2)カフェ&レストランについて ① 位置づけ

・女性を中心として利用者が増えるような、おしゃれで魅力的なものとする。

② メニューの⽅向性 ・食事メニューはお茶に関連したものや、県産食材を売りにするような美味しくて特徴的なものとする。

・世界各国のお茶を提供する。

4.O-CHAにつどう〈にぎわい〉

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(3)茶室について ①お茶の提供 ・抹茶だけでなく、煎茶も提供することを検討する。

②茶懐⽯の提供 ・茶室で茶懐石が提供可能な施設とする。

③茶室を使ったイベント

・季節ごとに茶会などを開催する。

・茶産業振興につながるイベント等に活用する。

(4)イベントについて

① 四季のイベント ・新茶の季節には、お茶まつりや、春のひな祭り、秋のお月見、冬の餅つき

等、季節感を感じるイベントを開催する。

②ファミリー向けのイベント

・ゴールデンウィークや夏休み、春休みなどに、子供も参加できるファミリ ー層向けのイベントを実施する。

(5)その他

・集客のために旅行会社と積極的に連携する。旅行会社が使いやすい参加型体験

プログラム等を作り、ツアーに組み込みやすくする。

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拠点施設は「島田市お茶の郷」(以下、お茶の郷)を活用し、第2章で記述した事業活動

を展開することができるように再整備を行う。

再整備にあたり、博物館等の文化施設を中心に位置づけ、人々が集う観光拠点として

ふさわしい魅力ある施設とする。

なお、お茶の郷の博物館、茶室、庭園、商業館の構成は基本的に変更しない。

現状の建物の配置構成上、商業館が目立ち、博物館は目立ちにくい。しかし、建物の

構造上、商業館1階の出入口の移設は大規模な作業が想定され、実質的には不可能に近

い。

そのため、博物館、茶室、庭園、商業館に、バランスよく人が流れるように動線を見

直す。

(1) 施設全体をつなぐ動線の強化

・商業館で人の流れが止まってしまうため、博物館入口まで人の流れを誘導し、サ

インやバナー等を設置することで、駐車場から博物館への動線を強化する。

・デジタルサイネージ等を使い、体験プログラムや学習メニュー、イベント等、

その日、どこで何をやっているのかをわかりやすく表示する。

・上記の表示と合わせて、施設全体の位置関係を明確に示す。

(2) 博物館内の動線 ・2階のチケッティングブースから入場し、3階から2階へと見学する順路は変更

しないものとする。

(3) 茶室・庭園への動線

① 展⽰動線として位置づける

・茶室と庭園を展示の一部とするため、展示室から途切れない動線を形成

する。

② 有料エリアへの変更 ・茶室と庭園への入場は、有料とする。

第 3 章 施設について

1.基本⽅針

2.動線の改善

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屋外動線計画

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「茶の都しずおか」の拠点施設としての外観や観光の機能性を向上させるために、下

記の視点で施設の改修を行う。

(1)施設全体について

① 駐⾞場からの通路について

・博物館への誘導を目的に、商業館の入り口から博物館外階段付近まで、ひさし

下に塀の設置を検討する。

② 県産材を使⽤した外壁について ・茶畑の緑が映える白壁と木の色を活かし、施設全体に統一感を持たせる。

③ 内装への県産材の活⽤ ・内装には県産材を使用する。

(2)博物館について ① エントランスの考え⽅

・現状の2階エントランスは変更しない。

② チケッティングブースについて ・2階のチケッティングブースには、施設外で行う体験プログラムや学びメニュ

ーの受付機能を併設する。

③ ホールおよび会議室について ・1階多目的ホールを2つに区分利用できるよう可動式の仕切りを設置する。

・3階南側展望ロビーを、講座や打合せができる会議室に改修する。

(3)茶室・庭園について ① 補修・修繕について ・茶室の外壁、茅葺き屋根は老朽化が見られるので、必要に応じて補修する。

・庭園の橋及び八ツ橋の老朽化が進んでいて通行に危険があるので補修する。

② 茶室の整備について

・茶懐石が提供できるように、必要な設備や備品を整備する。

③ 中庭について ・中庭に新しく庭園を造り、雰囲気を一新して施設の新しい顔とする。

3.改修のポイント

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(4)商業館について ① ファサードについて

・駐車場から見える商業館のファサードを、拠点施設に相応しい印象となるよう

に改装する。

② 内装について ・1階ショップ、2階カフェレストランともに、事業内容に適するように内装や

什器を改修する。

・博物館への誘導を目的に、1階ショップの入り口から階段付近まで、カウンタ

ーの設置を検討する。

(5)地球環境対応及びユニバーサルデザインについて

① 省エネ対策について

・照明の LED 化、空調設備の更新(省電力、代替フロン化)を行う。

② 障害をお持ちの⽅、⾼齢者等への対応について ・車イスや高齢者の歩行に配慮して、極力段差をなくす。

・ 新のトイレへの改修、多目的トイレ、子供用便器の設置を行う。

・視覚障害者、聴覚障害者に配慮した展示とする。

③ サインについて ・サインは、日本語、英語、中国語(簡体字、繁体字)、韓国語表記等多言語表記

するとともに、統一デザインやピクト等、ビジュアル面でも理解しやすいもの

とする。

・ユニバーサルデザインに即した配色、フォントを使用する。 ④ 駐輪場について ・自転車用バーを設置し、サイクリング愛好者の利便の向上を図る。

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お茶の郷の既存展示のうち活用できるものは維持し、「茶の都しずおか」の拠点として

不足しているものを追加していく。

(1)展⽰構成案 ① 現状

フロア 展⽰項⽬ 概要 2階

チケッティングブース チケットの販売 受付インフォメーション

展望スペース 茶室・庭園の⾵景 チケットもぎり ウェルカムティー(試飲)

ウェルカムゾーン

世界の茶葉(実物展⽰)

3階

世界の喫茶

環境復原(中国・湖⼼亭、トルコ・レストラン、 ネパール・チベット族の⺠家)

試飲(中国・湖⼼亭) 世界のお茶(映像) 茶器(実物)

お茶のふるさと

茶樹王(レプリカ) お茶の故郷を訪ねて(映像) 中国雲南省・ラフ族⺠族資料(実物)

世界を駆けるお茶 おいしいお茶の淹れ⽅(グラフィック、映像) お茶の効能(グラフィック、映像)

⽇本⼈のくらしとお茶 ⽇本の茶の歴史 (歴史年表グラフィック、模型、実物) 牧之原台地の開拓・機械製茶 (茶畑ジオラマ模型、映像、実物) 茶の⺠俗、⾵習(グラフィック、実物、レプリカ)

くつろぎのお茶 島⽥茶試飲カウンター 体験コーナー(抹茶づくり)

2 階

特別展⽰室 企画展4回/年 実施

第4章 展⽰について

1.常設展⽰

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② 移管後のイメージ

・既存展示を活用しながら展示の入れ替えや改修を行う。

・体験型プログラムの充実や人的な情報発信、 新の情報機器等を活用する。

フロア 展⽰項⽬ 概要 2 階

チケッティングブース

チケットの販売 体験プログラム、学習メニュー受付(新規)

展望スペース 茶室・庭園 ウェルカムゾーン 茶葉ギャラリー

試飲カウンター 茶の⾹りの体験 茶の都へようこそ(新規)

3階

世界の喫茶

環境復原(中国・湖⼼亭、トルコ・レストラン、ネパール・チベット族の⺠家) 世界のお茶(再編集映像、映像機器追加) 茶器コレクション(実物 ⼊れ替えもしくは追加) お茶の世界史(映像、グラフィック、模型)

お茶の源流

茶樹王(レプリカ 部分補修) お茶の故郷を訪ねて

お茶と暮らし ⽇本の茶の歴史(グラフィック、再編集映像) 静岡茶の歴史(新規 グラフィック、映像、実物 移設)緑茶づくり(新規) 緑茶の歴史(新規) 茶の世界農業遺産と茶草場農法(新規) 茶の⺠俗、⾵習(レプリカ 移設)

茶の⽂化 茶の湯等の説明(新規) 茶室と庭園の紹介(新規)

お茶と健康 茶の機能性(新規 映像、模型) 茶を使った製品(新規 パッケージ、実物) 静岡茶の魅⼒(お茶の淹れ⽅体験)

2 階

企画展⽰室 企画展 年複数回 実施

屋外 茶室 茶室⾒学(⼀部補修) 抹茶 or 煎茶(和菓⼦付き)

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(3)2階の展⽰の改修ポイント ① 活⽤する展⽰ ・茶樹王のレプリカは部分補修して残す。

・茶の民俗の展示は移設して活用する。

② 新しく構成する展⽰ ・日本の茶の紹介は、牧之原台地の開拓の展示を見直し、緑茶づくり、緑茶の歴史、

静岡茶の歴史、茶の世界農業遺産を新設する。

・茶の湯等の展示を設置する。

・茶の機能、茶を使った製品など新しい茶の利用を紹介するコーナーを設置する。

③ 展望ロビーについて ・2階の展望ロビーをリニューアルして、静岡の茶の試飲と庭園風景を楽しむ

コーナーとする。

(4)3階の展⽰の改修ポイント ① ウェルカムゾーンについて ・「茶の都しずおか」の紹介を追加する。

② 世界の喫茶について ・世界の喫茶風景の設え (中国・トルコ・ネパール)は残す。

・世界の喫茶には、情報機器や映像機器等、現在の技術を導入して賑わいが感じら

れるようにする。

・映像機器の更新やソフトの再編集を行う。

・展示されている茶器を追加・更新する。

③ 展望ロビーについて

・3階の北側展望ロビーは、茶室と庭園を紹介するコーナーとし、南側はワークシ

ョップなどが開催できる会議室に改修する。

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(5)茶室について

① 茶室の位置づけ ・茶室は、茶の文化の展示の一部とする。

・茶室の見学までは入館料に含め、抹茶等の体験は別料金とする。

(6)庭園について ① 庭園の解説について ・庭園の特徴や魅力を伝えるために、解説板を設置する。

② ハッ橋について ・土塀の外の八ツ橋は老朽化が進んでいるので補修する。

企画展示は、常設展示を補足したり、常設展示にないテーマを扱う。

(1)企画展⽰の考え⽅ ・企画展示は年複数回実施する。

(2)企画展⽰室の整備の考え⽅ ・照明機器を更新する。

・展示ケースを追加する。

・貴重な資料を展示できるケースを導入する。

2.企画展⽰

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展⽰ゾーニング・展⽰動線図

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事業を効果的に行い魅力ある施設運営を行うために、専門性を考慮した職員を 適切に配置する。専門職員の配置や具体的な組織体制については、事業活動の範

囲や内容が確定した時点で詳細な検討を行う。

(1)現在の状況

職種 ⼈数 事務職員 10 名(うち学芸員 2 名) 博物館・茶室スタッフ 11 名(出⾯ 8 名/⽇) 茶室呈茶従事者 出⾯ 2〜3 名/⽇ レストラン従業員 6 名 レストラン臨時職員 6 名 売店・喫茶店臨時職員 11 名

(2) 変更のポイント

① 館⻑

・館長は経営感覚とリーダーシップを発揮して4つの事業全体を統括する。

・各分野の連携を図りながら総合的にマネジメントできると同時に、積極的に

拠点施設をアピールし、外部に対して広報的な活動ができる人材を配置する。

② 学芸員

・茶に関わる調査研究を行い、外部の関連団体、大学、研究機関と連携する。

・企画展示の企画・実施の他、館内ガイドツアーや館内外の体験プログラムの

企画や、その実施にあたるエデュケーター(後述)の教育、学習メニューの企

画・運営等を行う。

③ エデュケーター(教育担当職員)

・学芸員の指導の下、館内ガイドツアーや館内外の体験メニューの実施を担当

する。

・学習メニューの運営補助などに携わる。

④ 企画・営業担当職員

・イベントの企画、校外学習、企業研修の提案や、学習メニューを活用した団体旅

行の組成、茶農家等との連携の窓口など、学芸員と連携して営業活動を行う。

⑤ 広報・Web 担当職員

・従来の広報に加えホームページや SNS(ツイッターやフェイスブックなど)を活

用して、拠点施設の情報を発信する。

第5章 管理運営について

1.⼈員体制の検討

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⑥ 商業館責任者

館長、学芸員と連携し博物館や茶室と統一感を持った運営を行う。

(3)移管後のイメージ

現在の状況 移管後のイメージ 職種 ⼈数 職種 ⼈数

館⻑ 1名 学芸員 複数名 エデュケーター 5名

事務職員 10 名 (うち学芸員 2 名)

企画・営業担当職員 広報・Web 担当職員 事務職員(総務・経理)

複数名 博物館・茶室スタッフ 11 名(出⾯ 8 名

/⽇) 博物館・茶室スタッフ 5名

茶室呈茶従事者 出⾯ 2〜3 名/⽇ 茶室呈茶従事者 出⾯ 2〜3 名 茶懐⽯料理⼈ (外部委託) 商業館責任者 1名

レストラン従業員 2 名 常勤6名 レストラン臨時職員 10 名

レストラン 臨時8名

売店・喫茶店臨時職員 11 名 ショップ 臨時9名

組織体制イメージ

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施設の運営形態は、博物館の直営+商業の指定管理、博物館・商業の一体的な

指定管理、直営+使用許可が代表的方法として考えられるため、それぞれの手法

のメリット、デメリットを整理する。

(1)現在の状況 島田市が指定した指定管理者が、展示棟・茶室・庭園・商業館を管理している。

(2)移管後のイメージ ① 直営+使⽤許可 博物館・茶室・庭園を直営とし、商業館を使⽤許可(県がテナントを募集する)。

直営 使⽤許可 区 分

博物館・茶室・庭園 商業館(カフェレストラン、ショップ)

館⻑ 1名 商業責任者 1名 学芸員 複数名 常勤6名 エデュケーター 5名

カフェレストラン 臨時8名

企画・営業担当職員 ショップ 臨時9名 広報・Web 担当職員 事務職員

複数名

博物館・茶室スタッフ 5名 茶室呈茶従事者 2〜3名

職員

茶懐⽯料理⼈ 外部委託 メリット デメリット

較 ①博物館の学芸員を県の職員とすることで、安定的に研究成果や専⾨知識の蓄積、ノウハウの継承を⾏うことができる。 ②館⻑や事務担当者を県の職員とすることで、県の意思が直接博物館運営に反映できる。 ③商業館の使⽤料を博物館の運営に当てることで、財政負担を減らすことができる。

①県に業務指⽰をする権利がないため、商業館運営に県の意思が反映しづらい。 ②博物館、レストラン、ショップの運営者がそれぞれいることで、施設の⼀体感を出すことが難しくなる。 ③使⽤料の多寡によっては県の希望に沿う企業や団体の誘致ができない可能性がある。

評価

県が満⾜できるテナントを誘致できるかが⼀番のポイントであるが、満⾜できるテナントが⾒つけられない場合は、使⽤料の減免を検討する必要がある。 県が希望する商業館の事業活動を具体的に描きながら、テナント誘致の可能性を⺠間企業や団体等にヒアリング調査等を⾏いながら検討する必要がある。

2.運営形態の検討

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② 直営+指定管理 A 案 博物館・茶室・庭園を直営とし、商業館を指定管理とする。

直営 指定管理 区分 博物館・茶室・庭園 商業館(カフェレストラン、ショップ)

館⻑ 1名 商業責任者 1名 学芸員 複数名 常勤6名 エデュケーター 5名

カフェレストラン 臨時8名

企画・営業担当職員 ショップ 臨時9名 広報・Web 担当職員 事務職員(総務・経理)

複数名

博物館・茶室スタッフ 5名 茶室呈茶従事者 出⾯2〜3名

職員

茶懐⽯料理⼈ 外部委託 メリット デメリット

⽐較

①学芸員を県の職員とすることで、安定的に研究成果や専⾨知識の蓄積、ノウハウの継承を⾏うことができる。 ②館⻑や事務担当者を県の職員とすることで、県の意思が直接博物館運営に反映できる。 ②商業館の収益から⼀定割合を県に納⼊する条件をつけることで博物館の運営費の⼀部にあてることができる。

①不採算部⾨である博物館・茶室・庭園を直営とすることで、県の財政負担が⼤きい。 ②指定管理の範囲が商業館に限定されることで、⼀体で指定管理する場合ほどコストの削減はみこめない。 ③商業館の取り扱い品⽬やサービスは指定管理者に対して細かく指定することが難しい。

評価

博物館部⾨を直営にすることで、研究・地域との連携活動を安定的に⾏うことができ、「茶の都」の拠点としての質や格式を保つことができる⼀⽅で、県の財政負担が⼤きい。

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③ 直営+指定管理 B 案 学芸員のみを直営とし、それ以外を指定管理とする。

直営 指定管理 区分

博物館(学芸員のみ) 博物館(学芸員以外) 茶室・庭園 商業館(カフェレストラン、ショップ)

学芸員 複数名 館⻑ 1名 エデュケーター 5名 企画・営業担当職員

広報・Web 担当職員 事務職員(総務・経理)

複数名

博物館・茶室スタッフ 5名 茶室呈茶従事者 出⾯2〜3名

茶懐⽯料理⼈ 外部委託 商業責任者 1名

常勤6名 カフェレストラン 臨時8名

職員

ショップ 臨時9名 メリット デメリット

①学芸員を県の職員とすることで、安定的に研究成果や専⾨知識の蓄積、ノウハウの継承を⾏うことができる。 ②施設の管理運営全体を指定管理にすることで、⺠間のノウハウを発揮したコスト削減や収益の⼯夫が⾒込まれる。

①商業館の取り扱い品⽬やサービスなどは指定管理者へ細かく指定することが難しい。 ②学芸員は県職員の⽴場を持ちながら、組織的には指定管理者の館⻑の指⽰に従う形になることで、県からの指⽰と指定管理からの指⽰という「ねじれ現象」が⽣じやすい。県と指定管理者の間で⼗分な話し合いと相互理解が必要。

評価

学芸員を県職員とすることで、専⾨知識の蓄積やノウハウの継承が安定化する⼀⽅で、県の指⽰を必然的に受けることになり、学芸員の⽴場や裁量範囲が、県と指定管理者の間で不明確なものとなり結果的に活動しにくくなる可能性もある。導⼊にあたっては事前の⼗分な検討が必要と思われる。 ※実際の例として、学芸員が活動しにくくなっている例や、学芸員 1 名と事務職 1名が⾏政職員の⽴場で指定管理者の組織に⼊ったことで、指定管理者が契約内容とは異なることを求められて困惑している例がある。

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④ ⼀体で指定管理

指定管理 区分

博物館 茶室・庭園 商業館(カフェレストラン、ショップ) 館⻑ 1名 学芸員 複数名 エデュケーター 5名 営業担当職員 広報・Web 担当職員 事務職員(総務・経理)

複数名

博物館・茶室スタッフ 5名 茶室呈茶従事者 出⾯2〜3名 茶懐⽯料理⼈ 外部委託 商業責任者 1名

常勤6名 カフェレストラン 臨時8名

職員

ショップ 臨時9名 メリット デメリット

⽐ 較

①⺠間のノウハウを発揮したコスト削減や収益の⼯夫が⾒込まれる。 ②⼀体的な運営管理によって施設全体の統⼀感を出しやすい。

①指定管理者が交代する可能性があるため、専⾨知識の蓄積やノウハウや外部と築いたネットワークの継承が難しい。 ②商業館の取り扱い品⽬やサービス等は指定管理者に対して細かく指定できない。そのため、指定管理者が採算重視の事業を⾏うことで、県が望む事業内容と異なってくる可能性が⾼い。 ③全体運営の⿊字化のため、商業館に注⼒し、博物館運営がおろそかになる可能性がある。

評価

⼀体で管理することで、全体的なバランスはよいと思われる。 博物館等のコストを商業館の収益で補うという現在の⽅式を導⼊できるので、コスト⾯の削減効果は⼤きいと思われる。 ⼀⽅で、「茶の都」の拠点としての質や格式を保ち続けるには、⾼額な指定管理費が必要である。また、指定管理者との⼗分な話し合いと共通理解が必要と思われる。

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施設の収入・支出について、現状の状況を参考に、現状の事業活動と移管後の

事業活動を比較して移管後の収支・支出の傾向を検討する。

現在は、指定管理料 6000 万円に対して、収支の不足分は商業館の収益 3700

万円で補う構造になっている。

※施設全体を指定管理にした場合 現状の状況

(千円)移管後のイメージ

ポイント

利⽤料⾦収⼊ 20,269増加

各メニューの充実と営業⼒の強化によって、博物館への来館者の増が⾒込まれる。

イベント収⼊ 12,845増加

体験プログラム・学習メニューの拡充により、増収が⾒込まれる。(ただし、単純損益は確保不可能なので、経費も増加)

商業館収⼊ 187,679

減少

レストラン、カフェ、ショップの内容により⼤きく変動する。 レストランとカフェは利⽤者増を想定。 ショップは、⾼品質で⾼価な商品を増やすことで、売上減になる可能性もある。

収⼊

指定管理料 60,000増加

事業活動の多様化、質の向上に伴い増加。指定管理をどの範囲にするのかによっても⼤きく異なる。

⼈件費・旅費 91,925増加

館⻑、学芸員等⼈員体制の強化によって増加が⾒込まれる。

保守関連委託費 14,300増加

新規の植栽や緑化の維持により経費の増加が⾒込まれる。

博物館・茶室運営費

32,454増加

調査研究、企画展⽰の充実、体験プログラム・学習メニュー、茶室での茶懐⽯提供等の拡充により経費増加。

⽀出

商業館運営費 150,016増加

レストラン、ショップ、カフェの質向上にともない、仕⼊れや材料費増加。

3.収⼊・⽀出の検討

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参考:管理体制による収⽀管理範囲の⽐較 管理体制の違いによる、収支の管理範囲がおよそ見て取れる。

管理体制が2つ以上に分かれると、管理者にとって大きな収入である指定管理

料と商業館が片側に集中すると、一方の管理者は、他の収入を見込まない限り、

収支が成り立たないことがよくわかる。

(1)インターネットを使った広報 ① ホームページを使った情報発信

・拠点施設のホームページを開設して、「茶の都しずおか」の基本情報、施設

紹介や事業紹介を掲載する。

・「茶の都しずおか」のポータルサイトとしての機能も持ち、関連施設や団体

のホームページにリンクする。

・ホームページは日本語だけでなく、英語、中国語(簡体字、繁体字)、韓国

語などの多言語表記を行う。

② SNS(ツイッター、フェイスブック等)を使った告知 ・SNS を活用して、学習プログラムやイベント等の告知をしたり、リアルタイ

ムな情報発信を行う。また、利用者との交流の場としても活用する。

移管後のイメージ

管理体制による⽐較

① 直営+ 指定管理 A 案

② 直営+ 指定管理 B 案

③ ⼀体で 指定管理

④ 直営 +

使⽤許可

現状の 状況

(千円)

直 営

指 定 管 理

直 営

指 定 管 理

指定管理

直営

使⽤許可

利⽤料⾦収⼊ 20,269 増加 ● ● ● ● イベント収⼊ 12,845 増加 ● ● ● ● 商業館収⼊ 187,679 減少 ● ● ● ●

収⼊

指定管理料 60,000 ― ● ● ● ⼈件費・旅費 91,925 増加 ● ● ● ● ● ● ●保守関連委託費※ 14,300 増加 ● ● ● ● 博物館・茶室運営費 32,454 増加 ● ● ● ●

⽀出

商業館運営費 150,016 増加 ● ● ● ●※運営形態の検討 施設の運営が直営+指定管理等により2つに分かれる場合でも、 施設の維持管理(保守点検、清掃等)は指定管理者が全館を⼀括して担当する。

4.広報・営業について

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(2)その他の広報 ① ポスターやチラシの作成 ・ポスターやチラシを作成し、関連施設、関連団体、学校、駅等や、旅行業者

への配布を行う。

② ラッピングバスや看板 ・ラッピングバスや看板の設置を検討する。 (3)団体旅⾏客の誘致 ① 集客のための旅⾏業との連携 ・旅行業者との送客契約等を結ぶことで、観光ツアーの誘致を行い、団体の入

場者を確保する。

② 教育旅⾏の誘致 ・県内校の校外学習や、修学旅行を誘致する。

・学校訪問やポスターやチラシの配布等の営業活動を行う。

リニューアル後の開館までの大きなスケジュールは、下記のように設定する。

・平成 27 年度:設計 閉館の事前告知 ・平成 28 年度:⼀時閉館 施⼯、リニューアルの事前告知、営業 指定管理者選定 開館準備 開館(年度内開館を⽬指す) ※次⾴スケジュール案 参照

5.リニューアル中の体制や活動について

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◎指定管理者制度を導⼊した場合 年度

H27 H28

月 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3

基本工程

指定管理者

◎直営+使⽤許可の場合 年度

H27 H28

月4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3

基本工程

使用許可

開館までの工程表 (暫定)

基本計画

実施計画

設計 施⼯

▼閉館

設置管理条例制定準備 指定管理者選定・指定

閉館の告知 開館の告知

●指定管理者決定

開館準備

●指定管理開始

基本計画

実施計画

設計 施⼯

▼閉館

設置管理条例制定準備

閉館の告知 開館の告知

開館準備

●使用開始

使用者公募・選定

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