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「大好きな色」「大好きなモノ」をテーマに、エッセイを書く -エッセイを書こう&自分に向き合い、自分を知ろう- 国語表現Ⅱ 表現の基礎(言葉・表現を広げよう)⑤ エッセイを書こう&自分を知ろう 「“色”でエッセイを書こう」「“大好きなモノ”でエッセイを書こう」(オリジナル教材) 単元の内容 単元の目標 と評価規準 ・評価方法 ①単元の目標 主張や感動などが効果的に伝わるように、論理の構成や描写の仕方などを工夫して 書こうとしている。 (関心・意欲・態度) 主張や感動などが効果的に伝わるように、論理の構成や描写の仕方などを工夫して 書く。 (書く能力) 様々な表現についてその効果を吟味したり、書いた文章を互いに読み合って批評し たりして、自分の表現や推敲に役立てるとともに、ものの見方、感じ方、考え方を豊 かにする。 (話す・聞く能力) ②単元の目標設定の理由 ・3年生の5月で、進路決定に向けて動き出すときであり、その決定には自己と向き合うこと が大きな課題となる。また、進路実現において志望動機書を書くためには、自分の思いや考 えをより的確に、より豊かに「相手に伝える」ことも課題となる。しかし、自己を語る、書 くことへの抵抗感は強い。そこで、「好き」という好感情は自己開示がしやすく、また、「好 き」ゆえに語ることも多くあるだろうことから、「書く」ことの抵抗感を尐なくすると考え、 この活動と目標を設定した。 ③中心となる活動 ◎「“色”でエッセイを書こう」色をテーマにエッセイを書く ○大好きな色を一色挙げ、その色のイメージや、その色やイメージにまつわる自分の体験、 経験を挙げて、エッセイにまとめる(「話し言葉」可)。 ◎「“大好きなモノ”でエッセイを書こう」大好きなモノをテーマにエッセイを書く。 ○大好きなもの(物・人・こと・空間・時間など)を一つ挙げ、その説明、そのものにまつ わる自分の体験、経験を挙げて、エッセイにまとめる(「話し言葉」不可)。 ④言語活動の工夫 ◎「“色”でエッセイを書こう」 ・以前(科目の導入)に「色いろいろゲーム」を行っているため、色のイメージの発想が容 易になるとともに、一般(他者・伝える相手)のイメージを踏まえながら、自己の色のイ メージ、体験、経験、思いを語るという意識をもつことができる。 ・「伝える人」を設定することで、「伝える」ことを意識して書くことができる。 ・単純な「色」を通して、自分を見つめ、知ることができる。 ・書くことへの抵抗を尐なくするため、「伝える人」に語り掛けるように書くこととし、「話 し言葉」の使用を許容とした。 ◎「“大好きなモノ”でエッセイを書こう」 ・直前の「“色”でエッセイを書こう」を踏まえての活動となり、その活動で見いだした課 題や、仲間の発表から学んだ表現をすぐに生かすことができる。 ・ワークシートの仲間や教員の質問に答えることで、詳述する必要がある箇所を知り、また、 相手が知りたいことを意識して書くことができる。 ・「大好きなモノ」を通して、自分を見つめ、知ることができる。 ・より「書く力」を養うため、第1稿までは「話し言葉」の使用を許容し、推敲、清書にお いて「書き言葉」に改めるよう、展開した。 ⑤評価 項目 評価規準 評価方法 状況Cの生徒への対応 関心 意欲 ①積極的に活動している。 観察(机間指導) 点検(ワークシート) ・活動例を示し、活動の手立 てとする。

「大好きな色」「大好きなモノ」をテーマに、エッ …...6 言葉・表現への 関心を持ち、面 白さを認識す る。 エッセイに書く 情報を集め、整

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Page 1: 「大好きな色」「大好きなモノ」をテーマに、エッ …...6 言葉・表現への 関心を持ち、面 白さを認識す る。 エッセイに書く 情報を集め、整

「大好きな色」「大好きなモノ」をテーマに、エッセイを書く

-エッセイを書こう&自分に向き合い、自分を知ろう-

1 科 目 名 国語表現Ⅱ 2 単 元 名 表現の基礎(言葉・表現を広げよう)⑤ エッセイを書こう&自分を知ろう 3 教 材 名 「“色”でエッセイを書こう」「“大好きなモノ”でエッセイを書こう」(オリジナル教材) 4 単元の内容

単元の目標 と評価規準 ・評価方法

①単元の目標

ア 主張や感動などが効果的に伝わるように、論理の構成や描写の仕方などを工夫して書こうとしている。 (関心・意欲・態度)

イ 主張や感動などが効果的に伝わるように、論理の構成や描写の仕方などを工夫して書く。 (書く能力)

ウ 様々な表現についてその効果を吟味したり、書いた文章を互いに読み合って批評したりして、自分の表現や推敲に役立てるとともに、ものの見方、感じ方、考え方を豊かにする。 (話す・聞く能力)

②単元の目標設定の理由 ・3年生の5月で、進路決定に向けて動き出すときであり、その決定には自己と向き合うこと

が大きな課題となる。また、進路実現において志望動機書を書くためには、自分の思いや考えをより的確に、より豊かに「相手に伝える」ことも課題となる。しかし、自己を語る、書くことへの抵抗感は強い。そこで、「好き」という好感情は自己開示がしやすく、また、「好き」ゆえに語ることも多くあるだろうことから、「書く」ことの抵抗感を尐なくすると考え、この活動と目標を設定した。

③中心となる活動 ◎「“色”でエッセイを書こう」色をテーマにエッセイを書く ○大好きな色を一色挙げ、その色のイメージや、その色やイメージにまつわる自分の体験、

経験を挙げて、エッセイにまとめる(「話し言葉」可)。 ◎「“大好きなモノ”でエッセイを書こう」大好きなモノをテーマにエッセイを書く。 ○大好きなもの(物・人・こと・空間・時間など)を一つ挙げ、その説明、そのものにまつ

わる自分の体験、経験を挙げて、エッセイにまとめる(「話し言葉」不可)。 ④言語活動の工夫 ◎「“色”でエッセイを書こう」 ・以前(科目の導入)に「色いろいろゲーム」を行っているため、色のイメージの発想が容

易になるとともに、一般(他者・伝える相手)のイメージを踏まえながら、自己の色のイメージ、体験、経験、思いを語るという意識をもつことができる。

・「伝える人」を設定することで、「伝える」ことを意識して書くことができる。 ・単純な「色」を通して、自分を見つめ、知ることができる。 ・書くことへの抵抗を尐なくするため、「伝える人」に語り掛けるように書くこととし、「話

し言葉」の使用を許容とした。 ◎「“大好きなモノ”でエッセイを書こう」 ・直前の「“色”でエッセイを書こう」を踏まえての活動となり、その活動で見いだした課

題や、仲間の発表から学んだ表現をすぐに生かすことができる。 ・ワークシートの仲間や教員の質問に答えることで、詳述する必要がある箇所を知り、また、

相手が知りたいことを意識して書くことができる。 ・「大好きなモノ」を通して、自分を見つめ、知ることができる。 ・より「書く力」を養うため、第1稿までは「話し言葉」の使用を許容し、推敲、清書にお

いて「書き言葉」に改めるよう、展開した。 ⑤評価

項目 評価規準 評価方法 状況Cの生徒への対応

関心・

意欲

①積極的に活動している。

観察(机間指導) 点検(ワークシート)

・活動例を示し、活動の手立てとする。

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・ 態度

書 く 能 力

①真剣に推敲している。 ②的確で、豊かな表現でエッ

セイが書けた。

点検 (ワークシート・エッセイ)

・面談しながら、添削する。 ・詳細に記述するとよい箇所

に具体的な質問をする。

話す・

聞く能力

①仲間の発表を真剣に聞き、評価している。

観察(机間指導)点検(ワークシート)

・発表を聞く、評価をする授業環境(空間)を整える。

成果と課題 資料のページ[生徒作品例]・[生徒の自己評価と一言感想]・[指導者のまとめ]参照。

アドバイス 及び

留意点

・「伝える人」を設定し、伝える人に語り掛けるように書くこととし、「話し言葉」を許容したことで、多くの生徒がもつ「書く」ことへの抵抗感は、幾らか和らいだようである。書くことの導入として、良い設定であったと思う。

・エッセイ、作文は自己開示が必要となる。テーマは自己開示がしやすいものが良いだろう。また、今回は発表会を行ったが、新クラスになって間もない頃であり、まだ人間関係を構築しつつある段階であったため、僅かであるが、抵抗感を抱いた生徒もいた。発表会の持ち方は、クラスの状況を見極める必要がある。

・テーマ、条件を変えて、エッセイを2回繰り返し書かせたが、この効果は大きかった。1回目のエッセイで仲間の発表を聴いて、刺激や触発を受け、2回目のエッセイは、より良い表現で、充実した内容のものが多かった。

小・中学校との系統性

①(中学校・第2学年・書くこと) イ 自分の立場及び伝えたい事実や事柄を明確にして、文章の構成を工夫すること。 ウ 事実や事柄、意見や心情が相手に効果的に伝わるように、説明や具体例を加えたり、描写

を工夫したりして書くこと。 エ 書いた文章を読み返し、語句や文の使い方、段落相互の関係などに注意して、読みやすく

分かりやすい文章にすること。 ②(中学校・第3学年・書くこと) エ 書いた文章を互いに読み合い、論理の展開の仕方や表現の仕方などについて評価して自分

の表現に役立てるとともに、ものの見方や考え方を深めること。

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5 単元の学習概要

時 間

各時間の目標

主な学習活動の流れと指導上の留意点

評価規準 ↓

評価方法

状況Cの生徒への対応↓

次時に注意すること

○言葉・表現への関心をもち、面白さを認識する。

○エッセイに書

く情報を集め、整理する。

・単元の目標と活動を理解する。 ・「色でエッセイを書こう」のワークシー

トAの1~4の活動をする。 1.好きな色を一つ挙げる。 2.色からイメージするもの、イメージ

することを挙げる。 3.1・2にまつわる思い出(体験・経

験)を書き出す。 4.自分の色のイメージ、力(効果)を

考える。 【Bイ・言ウ】 [ワークシートA] [活動例・作品例]

①活動に積極的に取り組んでいる。

【関】 ↓ 観察(机間指導) 点検(ワークシート)

・活動例を示し、活動の手立てとする。

○「伝える」ことを意識して、自分と自分の思いを表現する。

・伝える人を設定する。 ・ワークシートAの1~4をまとめて、エ

ッセイを書く。 ・授業者の添削を受け、推敲する。 【Bイウ・言ウ】 [ワークシートA] [活動例・作品例]

①エッセイが書けた。 【書】

↓ 点検(ワークシート) ②エッセイが推敲で

きた。 【書】 ↓ 点検 (ワークシート・エッセイ)

・作品例を示し、活動の手立てとする。

・面談しながら、添削する。

・詳細に記述するとよい箇所に具体的な質問をする。

○仲間の発表を聞き、様々な表現の効果を吟味する。

・エッセイを清書する。 ・分割クラスごとで全員、発表する。 *3クラスに分割して授業を行っている。 ・発表を聞き、評価する。 【Aエ・言アエ】 [ワークシートC・D]

①仲間の発表を真剣に聞いている。

【話】 ↓ 観察(机間指導) 点検(ワークシート)

・発表を聞く、評価をする授業環境(空間)を整える。

○仲間の発表を聞き、様々な表現の効果を吟味する。

・全体で、分割クラスの代表者が発表する。 *クラス代表(生徒投票)2名+21世紀枠

(先生推薦枠)1名の3名×3クラス ・発表を聞き、評価する。 ・活動の評価と感想を書く。 【Aエ・言アエ】 [ワークシートE]

①仲間の発表を真剣に聞いている。

【話】 ↓ 観察(机間指導) 点検(ワークシート)

・発表を聞く、評価をする授業環境(空間)を整える。

○言葉・表現への関心をもち、面白さを認識する。

○エッセイに書く

情報を集め、整理する。

・「大好きなモノでエッセイを書こう」のワークシートBの1~4の活動をする。

1.好きなものを一つ挙げる。 *物・人・こと・空間・時間など 2.好きなものを説明する。 3.大好きな理由を1行で書く。 4.大好きな理由を3行で書く。 【Bイ・言ウ】

[ワークシートB]

①活動に積極的に取り組んでいる。

【関】 ↓ 観察(机間指導) 点検(ワークシート)

・活動例を示し、活動の手立てとする。

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○言葉・表現への関心を持ち、面白さを認識する。

○エッセイに書く

情報を集め、整理する。

・「大好きなモノでエッセイを書こう」のワークシートB5~7の活動をする。

5.仲間・先生からの質問・疑問を受ける。

6.5に答える。 7.1~6の活動で改めて発見したこ

と、気づいたこと、思ったことを1つ挙げる。

・エッセイを書き始める。 【Bイ・言ウ】 [ワークシートB]

①活動に積極的に取り組んでいる。

【関】 ↓ 観察(机間指導) 点検(ワークシート)

・活動例を示し、活動の手立てとする。

・質問を細分化し、答えやすくする。

○「伝える」ことを意識して、自分と自分の思いを表現する。

・ワークシートB1~7をまとめて、エッセイを書く。

・授業者の添削を受け、推敲する。 【Bイウ・言ウ】 [ワークシートB]

①エッセイが書けた。 【書】

↓ 点検(ワークシート) ②エッセイが推敲で

きた。 【書】 ↓ 点検 (ワークシート・エッセイ)

・面談しながら、添削する。

・詳細に記述するとよい箇所に具体的な質問をする。

○仲間の発表を聞き、様々な表現の効果を吟味する。

・エッセイを清書する。 ・分割クラスごとで全員、発表する。 *3クラスに分割して授業を行っている。 ・発表を聞き、評価する。 【Aエ・言アエ】 [ワークシートC・D]

①仲間の発表を真剣に聞いている。

【話】 ↓ 観察(机間指導) 点検(ワークシート)

・発表を聞く、評価をする授業環境(空間)を整える。

○仲間の発表を聞き、様々な表現の効果を吟味する。

・全体で、分割クラス代表者が発表する。 *クラス代表(生徒投票)2名+21世紀枠

(先生推薦枠)1名の3名×3クラス ・発表を聞き、評価する。 ・活動の評価と感想を書く。 【Aエ・言アエ】 [ワークシートE]

①仲間の発表を真剣に聞いている。

【話】 ↓ 観察(机間指導) 点検(ワークシート)

・発表を聞く、評価をする授業環境(空間)を整える。

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6 第2時の学習指導案

本時の位置 2時間目(全9時間)

本時の学習目標

ア 言葉・表現への関心をもち、面白さを認識しようとする。 (関心・意欲・態度) イ 「伝える」ことを意識して、自分と自分の思いを表現する。 (書く能力)

事前の準備 ワークシートAを作成する(1時間目に配布)。

学習内容 学習活動 指導上の留意点及び評価

導入 5分

□本時の目標と活動内容を理解する。

①本時の目標と活動内容が「『伝える』ことを意識して、エッセイを書く」であることを理解する。

②「伝える人」を設定する。

展 開 43

□エッセイを書く。 □エッセイを推敲す

る。

③ワークシートAの1~4をまとめて、エッセイを書く。

④添削指導を受け、エッセイ

を推敲する。

目標アに対する評価規準と評価方法 〔規準〕活動に積極的に取り組んでいる。 〔方法〕観察(机間指導) 点検(エッセイ) 〔状況Cの生徒への手立て〕 ・作品例を示し、活動の手立てとする。 ・伝える人に語り掛けるように書くよう、また

は、書く前に仲間に語ってみるよう指導する。

目標イに対する評価規準と評価方法 〔規準〕エッセイが書けた。 エッセイが推敲できた。 〔方法〕観察(机間指導) 点検(エッセイ) 〔状況Cの生徒への手立て〕 ・作品例を示し、活動の手立てとする。 ・面談しながら添削する。 ・詳細に記述するとよい箇所に、具体的な質問

をする。

まと め2分

□次時の学習活動を確認する。

⑤次時は清書をし、分割クラスで発表会をすることを理解する。

*推敲が終わっていない生徒は、次時までに行っておくよう、指示する。

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6 第6時の学習指導案

本時の位置 6時間目(全9時間)

本時の学習目標

ア 言葉・表現への関心をもち、面白さを認識しようとする。(関心・意欲・態度) イ エッセイに書く情報を集め、整理する。(書く能力)

事前の準備

①ワークシートBを作成する(5時間目に配布)。

②グループ分けをしておく(4人1グループ)。

学習内容 学習活動 指導上の留意点及び評価

導入 5分

□本時の目標と活動内容を理解する。

①本時の目標と活動内容が「仲間・先生の質問・疑問に答えることで、エッセイに書く内容を深め、より『伝わる』エッセイを書く」ことであることを理解する。

展 開 43

□仲間・先生の質問・疑問に答える。 □エッセイを書く。

②グループの仲間のワークシートBに1人一つずつ質問、疑問を書く。

*4人1グループなので、3人

から(三つの)質問・疑問を

受けることになる。 ③先生からの質問、疑問を受

ける。 ④仲間、先生の書いた質問、

疑問に答える。 ⑤ワークシートB1~6の活

動で、改めて発見したこと、気付いたこと、思ったことを1つ挙げる。

⑥エッセイを書く。

*グループ活動の態勢をつくる。

目標アに対する評価規準と評価方法 〔規準〕活動に積極的に取り組んでいる。 〔方法〕観察(机間指導) 点検(ワークシート) 〔状況Cの生徒への手立て〕 ・質問、疑問の例を出す。 ・質問、疑問をかみ砕き、細分化し、答えやす

くする。

目標イに対する評価規準と評価方法 〔規準〕仲間、先生の質問、疑問に、詳しく答

えている。 〔方法〕観察(机間指導) 点検(ワークシート) 〔状況Cの生徒への手立て〕 ・質問、疑問をかみ砕き、細分化し、答えやす

くする。

まと め2分

□次時の学習活動を確認する。

⑦次時は、エッセイを完成することを理解する。

*できるだけ、エッセイを書き進めておくよう、指示する。

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“色”でエッセイを書こう ワークシートA

-“色”の海に潜り、自分発見の冒険をしよう、 “色”で自分を知ろう、自分を伝えよう- 年 組 番 氏名

1.あなたの1番好きな色は何ですか?

2.1の色で、イメージするもの、イメージすることをいろいろ挙げてみよう。

3.1で選んだ色、又は2で挙げたイメージするもの・イメージすることにまつわる思い出を書いてみよう。

4.2・3から、1で選んだ色のもつイメージ、力(効果)を考えてみよう。

5.1~4をまとめて、エッセイを書いてみよう。

タイトル ピンクの幸せ (伝える人 親友の○○ちゃん )

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“色”でエッセイを書こう 活動例・作品例

-“色”の海に潜り、自分発見の冒険をしよう、 “色”で自分を知ろう、自分を伝えよう- 年 組 番 氏名

1.あなたの1番好きな色は何ですか?

ピンク

2.1の色で、イメージするもの、イメージすることをいろいろ挙げてみよう。 桜 ピーチ 恋心 上気したほほ ルンルン♪ 柔らかい ほんのりあったかい 花畑 薔薇の花束 珊瑚 赤ちゃん イチゴミルク

3.1で選んだ色、又は2で挙げたイメージするもの・イメージすることにまつわる思い出を書いてみよう。

18才の誕生日、サーモンピンクの薔薇、19本の花束をもらった。素敵な男性(彼氏じゃないけど)が、かっこいい車(なんだかわからないけど)の助手席にその花束をのせて持ってきてくれた。 12才年上の姉のような存在の友人のちょっとした演出だったんだけど、とっても嬉しくって、1日、いや、1ヶ月くらいルンルンだった。 サーモンピンクの薔薇の花言葉は「初恋」だって聞いた。

4.2・3から、1で選んだ色のもつイメージ、力(効果)を考えてみよう。 心を柔らかく、あったかくして、ルンルンさせる。 心がピンク色になると、ものごとを優しく受け止めたり、柔らかく接したり、自分が自分で“かわいいな”って、いつも以上に愛せる。それでいて、ほんのりとドキドキ、ワクワクの元気も出てくる。

5.1~4をまとめて、エッセイを書いてみよう。

タイトル ピンクの幸せ (伝える人 親友の○○ちゃん )

ピンク。桜、桃、赤ちゃんのほっぺ イチゴミルク......。

桜が咲き始めるとなぜか心がそわそわする。春なんだなってふわふわするのかもしれない。 桃、ふわふわの産毛、柔らかな肌。赤ちゃんのほっぺも同じ。食べると、甘くてジューシーで幸せを感 じる。赤ちゃんのほっぺは食べられないけど(笑)。 ピンクは、気持ちをまあるく柔らかくしてくれる。「優しく」とは、尐し違う、「柔らかく」なんだな。 ほんのりとしたぬくもりとふわふわな感じ、やっぱり「まあるく」なんだな。だから、ボールが弾むよう なルンルンの元気をくれる。それが私のピンク色なんだ。 私の18才の誕生日、19本のサーモンピンクの薔薇の花束を、素敵な男性が、かっこいい車で届けて てれた。残念だけど、素敵な男性は彼氏じゃない。私が姉と慕っている12才年上の友人の、私への誕生 日プレゼントの演出。でもでも、めっちゃ嬉しかった。 19本と年より1本多いのは、次の誕生日までのこの1年が幸せでありますようにという意味だって。 サーモンピンクの薔薇の花言葉は「初恋」だって。ますます感激。それから、1ヶ月くらいずっとルンル ンだったな。花が枯れても、その届いたシーンを思い出すと今でも幸せかも。 ピンクは私を「まあるく柔らかく」してくれる色。私に幸せと元気をくれる色。まあるく柔らかい心で ハッピーで元気な私は、自分が大好きな自分。自分を大好きにさせてくれるそんなピンク色が大好き。な かでも、サーモンピンクが1番好き。

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“大好きなモノ”でエッセイを書こう ワークシートB

-“大好きなモノ”を見つめて、自分発見の旅をしよう、“大好きなモノ”で自分を知ろう、自分を伝えよう- 年 組 番 氏名

1.あなたの大好きなモノ(物・人・こと・空間・時間など)は何ですか?

2.1で挙げたものを3行で説明(紹介)しよう。

3.大好きな理由を1行で書こう。

4.大好きな理由を3行で書こう。

5.仲間・先生からの?質問?疑問? ①

② ③

④先生から

6.仲間・先生からの質問・疑問に答えよう。 ①

② ③ ④

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7.1~6の活動で、改めて発見したこと、気付いたこと、思ったことを1つ挙げよう。

8.1~7をまとめて、エッセイを書いてみよう。

タイトル

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“大好きなモノ”でエッセイを書こう ワークシートC(清書)

-“大好きなモノ”を見つめて、自分発見の旅をしよう、“大好きなモノ”で自分を知ろう、自分を伝えよう-

年 組 番 氏名

タイトル

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みんなのエッセイを聴こう① -素敵な表現、豊かな表現を獲得しよう- ワークシートD 年 組 番 氏名

名前 色&モノ 伝わる度 キラッと度 一言感想

5 4 3 2 1 5 4 3 2 1

5 4 3 2 1 5 4 3 2 1

5 4 3 2 1 5 4 3 2 1

5 4 3 2 1 5 4 3 2 1

5 4 3 2 1 5 4 3 2 1

5 4 3 2 1 5 4 3 2 1

5 4 3 2 1 5 4 3 2 1

5 4 3 2 1 5 4 3 2 1

5 4 3 2 1 5 4 3 2 1

5 4 3 2 1 5 4 3 2 1

5 4 3 2 1 5 4 3 2 1

5 4 3 2 1 5 4 3 2 1

素敵なエッセイ投票

私の1番☆→

このエッセイのここがいい!

私の2番☆→

このエッセイのここがいい!

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みんなのエッセイを聴こう② -素敵な表現、豊かな表現を獲得しよう- ワークシートE 年 組 番 氏名

1. 仲間の発表を聞き、評価しよう。

名前 色&モノ 伝わる度 キラッと度 一言感想

5 4 3 2 1 5 4 3 2 1

5 4 3 2 1 5 4 3 2 1

5 4 3 2 1 5 4 3 2 1

5 4 3 2 1 5 4 3 2 1

5 4 3 2 1 5 4 3 2 1

5 4 3 2 1 5 4 3 2 1

5 4 3 2 1 5 4 3 2 1

5 4 3 2 1 5 4 3 2 1

5 4 3 2 1 5 4 3 2 1

5 4 3 2 1 5 4 3 2 1

5 4 3 2 1 5 4 3 2 1

5 4 3 2 1 5 4 3 2 1

見付けた素敵な表現・豊かな表現

2.自己評価&感想 これまでの活動を評価(授業評価を含む)し、一言感想を書こう。 活動に意欲的に取り組んだ。 5 4 3 2 1

一言感想

活動は楽しかった。 5 4 3 2 1

“伝える”ことを意識して 5 4 3 2 1 エッセイが書けた。

仲間の発表を真剣に聴いた。 5 4 3 2 1

活動は、言語感覚や表現力 5 4 3 2 1 の伸長に有効だった。

活動は有意義であった。 5 4 3 2 1

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資料 “色”でエッセイを書こう

【生徒作品例】 ◎藍色と黄色のコントラスト 藍色と黄色。月、星、夜空、プラネタリウム、流れ星...。夜空を見上げると、それまで騒がしかった心が、自

然と静かになる。その中にある一つの月と、無限の数の星と、ときたま見つける光る飛行機。私はそれらを見上げて、

自分の悩みなどちっぽけなことだと気づく。夜空は黙って、いろんな物をちりばめて、今夜も空を覆い包む。藍色と

黄色、この色は自分を落ち着かせて、そして励ましてくれる。私を静かに支えてくれて、元気をくれる色だ。 小学生の頃、私は毎年夏に、家族でキャンプに行っていた。楽しみで楽しみで、何日も前から荷造りをはじめて、

キャンプ用のお菓子をたくさん買って、気分はルンルンだった。当日は、午前5時の出発で、お母さんに「寝て行き

なさい。」と言われたけど、寝たふりをして起きていた。キャンプ場に着いて、テントを張って、川で泳いで、カレ

ーを作って、花火をやって、いろんなことをしているうちに、いつの間にか夜になる。夜になったら、家族で星がた

くさん見られる場所に行こうと決めていたので、車で移動する。車から出た瞬間、すごく寒くて身ぶるいしたけど、

目の前にも、真上にも、後にも、右にも、左にも、広がる星空を見て、何もかもブッ飛んだ。近すぎるたくさんの星

が今にも落ちてきそうで、フラフラした。小学生ながら、自然ってすごいと実感した。 そういえば、最近はすごく小さなことで悩んだりすることが多い。進路とか、部活とか...。受験とかも...

(星空に比べれば小さい)。そんな時は、夜空を見上げて励ましてもらう。元気づけてもらう。そして、また今日も

変わらず夜が来て、空はだんだん藍色になっていろんな色の星がキラキラ輝いて、空も私も覆い包む。 ◎情熱のあお あお色は一般的に「ネガティブ」や「気持ちが落ち着く」などのイメージがあると思う。だけど僕は、「情熱のあ

お」だと思う。僕は、中学校時代に「あお」にこだわっていた。なぜなら、中学校時代に所属していたクラブチーム

のホームでのユニフォームは「あお」。日本代表のユニホームは「あお」。「あお」色を使っているチームは強い。

そんなことを自分で信じていた。

だから、ボールもスパイクも「あお」にしていた。そのおかげか分からないが、東海大会まで勝ち進むことができ

た。とてもよい思い出となった。

そして、高校サッカー。高校のチームカラーは「あか」。全身、上から下まで「あか」だった。しかし、マネージ

ャーが用意してくれる水分補給のボトルだけは「あお」かった。どんなにしんどい練習でも、ひどくやられた試合で

も、「あお」色のボトルの水を飲むたび、僕の心に「あおい炎」をつけてくれた気がする。

しかし、高校最後の大会は、ユニフォームが「あお」のチームにやられて、僕の高校サッカーは終わった。やはり

「あお」は強かった。 ◎ずっと見ていたい色 好きな色っていったら、たいていみんな身につけたい色だと思う。だけど、私の好きな色は身につけたい色じゃな

くて、ずっと見ていたい色。 小さい頃に祖父の家に遊びに行った。私は外に出るのが嫌いで、嫌々行ったけど、車を出るとそんな気持ち、忘れ

ていた。夏のはずなのに冷たくて、気持ちいい空気を吸うと気分が良くなる。目の前に広がるのは緑ばかりで、なん

だか心が落ち着いた。音は、風でゆれる葉の音、どこかで流れている水の音だけ。私の小さな声が大きく聞こえるほ

どだ。椅子に座って木々の奥を見ると、何かが出てきそうで、引き込まれるようだった。 私の部屋は和室。畳と土壁で古臭いって思われるかもしれないけど、私はこの部屋が気に入っている。生まれてか

らずっとこの部屋で過ごしてきたこともあるけど、そこにいるととっても安心する。部屋のほとんどを埋めている色

は、土壁の緑色。濃い緑ではなくて、白を混ぜた優しい緑色。それと窓から見える深い緑色の山。それを眺めている

と、ついつい窓を開けたくなる。入ってくる風は、暑くてイライラした私を癒してくれる。きっと緑からの風だから。 緑は一色じゃない。たくさんの緑がある。でも、どんな緑も私の心を落ち着かせたり、安心させてくれる。緑は、

私の一番ずっと見ていたい、そんな好きな色。 ◎大切な色 今の私は「黒」にこだわる。でも一般的には、黒は、暗いとか、恐怖とか、マイナスイメージが強いみたいだ。だ

けど、私にとって、黒は、自分に強さと優しさをくれる「明るい色」だ。どのくらい私が黒にこだわっているかとい

うと、携帯電話、電子辞書、通学用のリュックなど、日常的に使うものから、私服や部活の道具に至るまで、黒、黒、

黒、黒。そんな私を見て、お母さんが「あんたカラス族やな。」と突っ込んだくらい。

私がここまで黒を好きになったキッカケはすごく単純だ。私が15歳のころ出会った「カラス」という曲。その曲

は、大好きなバンドの曲。思春期真っ只中で、「自分ってなんだ?」とか、答えのない問いかけを自分によくしてい

た私の気持ちを代弁してくれているような曲で、初めて聴いたその瞬間から「カラス」が大好きになった!それ以降、

街でカラスを見ると、尊敬の目で見ていたような気がするような、しないような...。

「カラス」が大好きな私。それは、高校に入学しても変わらなかった、だから、無意識のうちに黒を選んでいた。

「カラス」という曲が自分のなかで特別な曲になって、「カラス」を聴くと、気持ちが落ち着くとともに、自分が強

くなったような気がする。だから、大事な試合の前や、気持ちを引き締めたいときには、必ず「カラス」を聴く!そ

の「カラス」と同じように黒を身につけると、気持ちが落ち着いたり、自分が強くなった気がする。 これからもし、黒以外に好きな色やこだわる色がでてきても、私はずっと黒を大切にしたい。

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◎私の色 気がつくと赤が私の周りには増えていた。赤を見ると元気が出る。がんばろう!って気になってくる。その時の私

のオーラは「赤色」なんだって思いたい。真っ赤なまぁるいリンゴ。つるつるしていて、丸かじりしてみたくなる。 私は、小学5年生のとき、はじめて母の日にカーネーションをあげた。そこで選んだのが1本の赤いカーネーショ

ン。他にピンクとか、かわいい色があったけど、なんとなく赤色にしてみた。母にあげると、すごく喜んでくれた。

母は、すぐにその1本の赤いカーネーションを部屋にかざった。1本だけだったのに、部屋が明るくて華やかになっ

た。私の心も明るくなった。 赤は私を元気にしてくれる。小さいボタンの赤でも身につけていれば、それだけで自分が華やかになる気がする。

私のオーラが赤って周りに思われる、そんな自分になれるといいな...。 【生徒の自己評価(授業評価を含む)と感想】

一言感想

・人に伝えることは難しい。けど、エッセイを書くのは楽しかった。 ・色について考えることは今まであまりなかったけれど、こういう機会があって、考えられて楽しかった。 ・自分のことを表現するのは、簡単そうで難しいと思った。 ・自分を見つめ直すことができたと思う。なぜピンクが好きなのかを考えられた。 ・本当にやってよかったし、またやりたいと思った。 ・相手に伝えることを意識して書けたので良かったです。 ・私は、伝えることを意識して書こうと思ったけど、友だちの発表を聞いてまだまだ表現力が足りないと思った。今後

の国表の授業に活かしていきたい。 ・自分の好きな色を見つめ直して文章を書くことで、改めて何かいろいろなことが分かった気がした。 ・好きな色から自分のことを表現して伝えるのは、やったことのない活動だったから楽しかった。 ・みんないろいろな表現をたくさん使っていてすごいと思った。 ・エッセイとは不思議なものである。 ・好きな色は決まっていたけど、「なぜその色が好きなのか」と聞かれると悩んだ。自分について考えた。 ・話し言葉でいいというのが、言葉にしやすかった。 ・みんなの作品は、とにかくスゴイッ!と思いました。それぞれの世界が出ていたし、ひきこまれました。 ・文章を書くことは苦手で、文章を書くこと、聞くことが面白いと思うのは初めてで、新鮮でした。 ・もっとエッセイがうまくなれたらいいなと思いました。文を書く力をもっと身につけるようにこれから頑張ります。

[指導者のまとめ]

生徒の授業評価アンケートによると、ほとんどの生徒が、楽しく、真剣に活動に取り組んでいた。また、当授業の「“

伝える”ことを意識して、自分と自分の思いを表現する」という主目的も、約90%の生徒ができたと評価していた。な

によりも、仲間の発表を真剣に聴き、刺激を受ける(自分も素敵な表現がしたい、など)生徒が多くいたことがうれしい。

この刺激は、次時の「“大切なもの”でエッセイを書こう」に大きく生きてくるだろう。

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資料 “大切なモノ”でエッセイを書こう

【生徒作品例】 ◎頭上に広がる美術館 自然の芸術。どこまでも広がるキャンパス。真っ青だったり、赤く染まったり、一日に何色にも変化する。ときには、風が筆となって雲を運んできて、また違う絵を描く。空は一つの美術館だ。 いつごろから空を眺めるようになったのか、はっきりと覚えていない。しかし、小さい頃、雨上がりの夕暮れ時に、ふと見上げた空がすごくきれいで、感動したのを覚えている。雲の透き間からは光が差し込んで、ところどころ見える空は、優しいオレンジ色のような金色(こんじき)だった。雨と光を浴びた草木は輝いて、空も普段見慣れた景色も、目に映る世界すべてのものがキラキラして見えた。 最近はますます空を眺めることが多くなった。受験とか、悩むことが増えたからかもしれない。悩みがあるとき、私は空を見る。ただ、なにも考えず、ボーっと眺めたり、宇宙の果ては?とか、くだらないことを考えたりもする。どんなにネガティブな気持ちで空を見ていても、どこまでも広がる空を見ると、励まされて、元気をもらえて、最後には前向きな気持ちになれる。自分のことがあまり好きではない私だが、空を見てきれいだと思える自分は好きだ。 真っ青な絵。夕焼けの絵。星が輝く絵。毎日変わる絵。同じように見えるけれど、同じ絵は一つもなくて、いろいろな絵を見せてくれる。そんな空に、私は魅せられる。 ふと気が向いたら、上を見上げよう。きっと素敵な空に出会えるから。 ◎理想の時間 私の理想は、清々しい朝を迎えることだ。清々しい朝を迎えるには、夏の朝が最適で、そのためには大切な下準備が必要だ。それは、前の晩を早く終わらせることだ。これをしなければ、素敵な朝を寝過ごしてしまう。 目覚ましを使わずに自然と目が開く。清々しい朝を迎えるには、目覚まし時計の耳に痛い音ではなく、体内時計で自然と目が開くことが大切だ。夢か現実か、まだ区別できない頭でカーテンを開ければ、目に痛くない光の薄暗い景色が広がる。脳は、この薄明るさは朝だと認識し、現実と判断する。そうして名残り惜しそうにベッドから出て、家族の寝息を聞くと、妙な優越感が湧いてくる。この優越感がどこから来ているのかは、私にもよく分からない。 顔を洗って、掃除をするために外に出ると、夏なのに、尐し寒いくらいの気温だ。昼はあれほど暑いのに、今がこんなに涼しいと、この時間が特別なものだと一層強く感じる。これは夏の朝であるからこそ感じるものだ。秋や冬のように、朝も昼も涼しい、寒い気温では感じることはできない。 涼しい空気のなかで体を動かせば、しっかりと目が覚めてくる。冷たい水で顔を洗ってもなかなか覚めないのに。早い時間で車の通りが尐ないからか、周りは、騒がしい日中が嘘のように静まりかえっている。その静かさは私に、この場所には自分独りだと思わせ、私は心が落ち着く。 理想としては、掃除のあと、冷たい空気を部屋に入れ、あの静かな時間に薄暗い光をたよりにして本を読みたい。しかし、低血圧で寝起きの悪い私には、尐し遠い理想だ。 ◎変身! 小学校低学年のとき、僕は「仮面ライダー」に出会った。正直に言うと、そのころよりも前から仮面ライダーは知っていた。しかし、好きだという気持ちはほとんどなく、ましてや、面白い、格好いいという感情は全くなかった。なぜかというと、昔の仮面ライダーは、バッタをモチーフにしていて、顔がリアルで、とても怖い。スーツも違和感がありすぎてひどい。とにかく、平成以前の仮面ライダーは好きではなかった。 しかし、平成に入ったとたん、仮面ライダーへの気持ちが180度変わった。まず、モチーフがカブト虫やクワガタ、龍など格好いい生き物に変わった(龍が「生き物」かは難しいところだが)。尐なくともバッタよりは格好いいだろう、あくまでも個人的な見解だが。スーツも仮面ライダーごとに様々な形態があり、とても格好いい。特に、最強形態になるとその格好よさは何十倍にもなる。それは言葉では言い表せないくらいだ。仮面ライダー剣(つるぎ)の「キバ」の最強形態は、特に格好いい。もはや目の保養だ。見たい人、気になる人は、グーグルで検索してみてはどうだろうか。そしてなんと言っても、シナリオが面白い。平成以前の仮面ライダーは、大抵、「悪の組織につかまり、改造されて仮面ライダーになってしまった。だから、自分の身体を改造した悪の組織と戦うぜ!」というような、ありきたりのシナリオばかりだった。けれども、平成ライダーは違う。一緒に闘った友のために、自分を犠牲にして世界を、そして友を守った、という熱い感動的なシナリオもあれば、敵のボスと主人公のライダーが、実は父親違いの兄弟だった、というドロドロの昼ドラのようなシナリオもある。そのような幅の広い、たくさんの種類のシナリオがあるので、今見ているライダーシリーズが終わっても、次のを飽きずに見ることができる。ついでだが、ヒロインがかわいい。ほんとうについでだが、ヒロインがかわいい。気になったら、「芳賀優里亜」を、グーグルで検索してみてはどうだろうか。 このように、いつまで経っても楽しめる、たくさんの要素が仮面ライダーにはある。これから大人になっても、仮面ライダー好きは変わらないと思う。将来、子どもができたら、自分がどれだけ仮面ライダーが好きか、子どもが引いて泣くぐらい語ってやろうと思う。

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◎1枚のなかには 時間は止まらない。どんなことがあっても流れ続ける。そんな時間を止める唯一の方法、それは「写真」だ。流れる時間の一部を切り取り、ずっと先の未来に持って行ける。人間、景色、目に見えるものが、1枚の紙の中には映っている。けれども、映っているのは、見えるものだけではない。その写真を撮ったときの気持ち、音、においまでもが、見るだけで鮮明に思い出せる。自分の思い出深い1枚ならなおさらだ。 私の思い出の1枚、それは妹が生まれたときの写真だ。5歳だった私は、生まれる前からどんな名前がいいか、いつも考えていた。毎日、楽しみで、楽しみで仕方なかった。慣れないカメラでたくさんシャッターを切った。私がはじめて撮った写真は、たぶん、このときの妹の顔。幸せな気持ちになれる特別な1枚だ。 写真はときには希望も与えてくれる。3月11日に起こった東日本大震災。襲ってきた揺れや津波で、家がなくなり、生活のすべてを失った人たちがいる。そんな人たちの心の支えになったのもまた、写真だった。泤だらけでも、破れていても、かけがえのない家族の思い出だ。そういった被災地の方の気持ちを、みんなが理解していると感じたのは、がれきの中から懸命にアルバムを探している、自衛隊や消防団の方の姿をテレビで見たときだ。そんな苦労があって見つけ出された写真は、被災者の人たちがの新しい生活を始める、その大きな支えとなるだろう。 時間を切り取ったその1枚の写真。そこには1枚の紙には収まりきらない、たくさんの思い出が詰まっている。 【生徒の自己評価(授業評価を含む)と感想】

一言感想

・今回は考えがいっぱい浮かんだ。表現力がついてきたのだと思う。相手に伝えようと意識して書けたのが良かった。 ・みんなのエッセイを聴くと、書き方など勉強になることが多かった。 ・自分の本当に言いたかったことがみんなにちゃんと伝わったか分からないけど、今まで自分のなかでフラフラしてい

た感情をなんとなくまとめることができた気がして良かった。 ・どういうふうに書こうか、悩んだりもしたけど、書いてて楽しかった。 ・自分の好きなものなのでスラスラ書けた。 ・聞く人達に伝わるように、分かりやすい言葉に変えたり、ちょっとした説明を入れたりと、考えて書けました。 ・みんなの発表を聴いて、あの表現いいなとか、考えることができたので良かった。 ・話し言葉じゃなかったので難しかった。でも自分の思っていることを人に伝えるのはすばらしいことだと思う。 ・個人的に前(“色”でエッセイを書こう)よりいいのが書けたと思う。 ・エッセイを書くと、自分を見つめ直すことができます。 ・みんなも私と同じように私の好きなものを好きになって欲しい!という思いで、相手に伝わるように表現を選ぶこと

を意識してできた。 ・仲間の質問に答える活動を通して、自分が相手の立場になってみて、自分の文章はどうなのかを考えられるようにな

りたいと思いました。 ・自分の大好きなものをみんなに伝えることは楽しくて、大好きなプレゼンをしているみたいで誇らしく思えました。 ・エッセイを書きながら、自分から、こんな表現や言葉が出てくるんだとびっくりしました。