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平成271119○南豪, 時任静士 有機トランジスタを用いた 化学センサ・バイオセンサ 12JST/CIC東京「新技術説明会」

有機トランジスタを用いた 化学センサ・バイオセンサ乳酸イオンセンサ 乳酸イオンセンサの報告例: 光ファイバー型センサ ⇒ウェアラブルには不向き

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Page 1: 有機トランジスタを用いた 化学センサ・バイオセンサ乳酸イオンセンサ 乳酸イオンセンサの報告例: 光ファイバー型センサ ⇒ウェアラブルには不向き

平成27年 11月19日

○南豪, 時任静士

有機トランジスタを用いた化学センサ・バイオセンサ

第12回JST/CIC東京「新技術説明会」

Page 2: 有機トランジスタを用いた 化学センサ・バイオセンサ乳酸イオンセンサ 乳酸イオンセンサの報告例: 光ファイバー型センサ ⇒ウェアラブルには不向き

プリンテッド・フレキシブル有機エレクトロニクス

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Gate Voltage (V)

Drain Current (A

)

(Drain Current)1/2   (A

1/2 )

ONOFFS: ソース電極D: ドレイン電極G: ゲート電極

S D

G

有機半導体

ゲート絶縁膜

有機半導体材料

低分子系 高分子系

ゲート電圧により電流を変調

軽量フレキシブル

耐衝撃性印刷可能

低温プロセス

有機電界効果トランジスタ (OFET)

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ビッグデータ解析

リアルタイム監視

センサ付RFIDタグ

(物流の監視)

バイオセンサ

(糖・ストレス等)

スマート有機システムチップ

衝撃センサ

(衝撃検出)

位置センサ(安否確認等)

鮮度センサ(安全な食料品)

環境センサ(花粉等)

ICT技術との融合

異分野融合によるイノベーションの実現

インターネット放送通信

OFETを用いたセンサーによるQOLの向上

有機バイオセンサ技術とICT技術の融合によって、健康で長寿の社会を実現

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アンテナ無線通信回路

信号処理回路

記憶回路多機能センサ

基板フィルム

封止フィルム

情報表示

超軽量、超薄型 フレキシブル、ストレッチャブル 印刷法による多品種・少量製造が可能

(生体情報)

(データ送信・受信)

(ICTとの融合)センサ機能とRFID機能の一体化

ウエアラブル

スマート有機システムチップの実現に向けて

生体物質(体液)を対象とした高感度バイオセンシング技術の構築

ウエアラブル有機FET型生体センサとICT技術との融合により,クラウドネットワークと連動した社会実装

特徴

違和感なく装着

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OFETバイオセンサデバイスの基本構造

(a)直接検出型OFET⇒集積化が容易

(b) 延長ゲート型OFET⇒動作が安定

総説:南,時任ら Chemical Sensors, 2014, 30, 319.

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有機トランジスタセンサの検出原理

• 有機トランジスタ型センサの検出原理はゲート電極/溶液の界面電位の変化に起因する。

• 有機トランジスタのコンダクタンスは捕捉された標的物質によって変化する。

電極界面の設計が極めて重要

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延長ゲート型有機トランジスタセンサ

S

BO O

Saccharide

X―

酵素反応 人工レセプタ免疫反応

☆分子の認識方法

I. Mcculloch et al. Nat. Mater., 2006, 5, 328.

H. Klauk, et al. Nature 2007, 445, 745.

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延長ゲート型OFETのデバイス特性

• 移動度: 0.07 cm2/Vs , On/off 比: 103

• ヒステリシスが観測されず,繰り返しに耐えうる安定性

• 駆動電圧が3 V (ボタン電池電圧) 以下

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本日の研究紹介

・運動負荷状態の可視化に向けて:有機FET型酵素センサによる乳酸検出

・環境汚染状況のモニタリングに向けて:有機FET型水銀(II)イオンセンサの開発

T. Minami, S. Tokito et al. Biosens. Bioelectron., 2015, 74, 45.

T. Minami, S. Tokito et al. Chem. Commun., accepted.

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乳酸イオンセンサ

☆乳酸イオンセンサの報告例:光ファイバー型センサ

⇒ウェアラブルには不向き

解糖系にもとづいてグルコースからピルビン酸が生じるが,過剰な運動により乳酸イオンが生成。

Z. Cui et al.,Biomed. Microdev. 2005, 7, 323.

乳酸イオンを検出可能な有機トランジスタ型バイオセンサの開発

⇒水溶液中に含まれる乳酸イオンの選択的検出を達成する。

乳酸汗や血液に含まれ,運動生理学において重要な指標。

OFETの適用:検出信号の増幅,回路によるデータ処理,またフィルム上での一体化が可能

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酵素とは

例 :L-乳酸オキシダーゼFuruichi et al., J. Mol. Biol., 378, 436 (2008).

E + S ES E + PE:酵素 S:基質 ES:酵素-基質複合体 P:生成物

酵素は特定の反応だけを触媒するタンパク質。また,特定の化合物または一群の化合物にしか作用しない。この性質を酵素の基質特異性という。

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デバイス構成と検出機構

ゲート: Al (30 nm) ゲート誘電体: テトラデシルホスホン酸

/AlOx (7 nm) ソース/ドレイン: Au (30 nm) 有機半導体: pBTTT-C16

封止膜: Cytop® CTL-809M

トランジスタ部位

乳酸 ピルビン酸

HRP

N

N

N

N

OsIICl

N

N N

N

オスミウムポリマー

Vreeke et al., Anal. Chem. 1992, 64, 3004.1992.

SS

SS

C16H33

C16H33

n

pBTTT-C16

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乳酸イオン検出

乳酸イオン濃度の増大に伴う伝達特性のシフトを確認検出限界濃度:66 nM

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乳酸イオン選択性

汗中に存在する夾雑物となる物質には応答を示さないことを見出した。

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環境問題を引き起こすHg(II)と従来の検出法

United Nations Environment Programme, 2013.

環境問題の原因となるHg(II)

原子吸光光度計(AAS)

従来法

高コスト・複雑な操作・専門家による測定

オンサイト・低コスト・手軽な測定法の開発が社会的課題

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ジピコリルアミンを修飾した延長ゲート型有機トランジスタによるHg(II)検出

ジピコリルアミンをレセプタとして採用

D. C. Bebout et al., Inorg.Chem., 1998, 37, 2952.

水銀イオン(II)との結合親和性を有する化合物

結合サイト

センサの構成

捕捉部位:ジピコリルアミン駆動部位:OFET

X線構造解析

Hg(II)レセプタとデバイス設計

Hg(II)

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OFETの電流値変化

検出限界:9.9 ppb既存の電気化学センサや蛍光センサに匹敵する感度

-1.0 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0.0

-2.5x10-7

-2.0x10-7

-1.5x10-7

-1.0x10-7

-5.0x10-8

0.0

0M Hg(II)

I DS

[A]

VDS [V]

20 M Hg(II)

VGS = -1 V 10 mM HEPES buffer with 100 mM NaCl at pH 7.4

0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5-0.4

-0.3

-0.2

-0.1

0.0

(I DS

- ID

S0) /

I DS0

Hg(II) [uM]

R2 = 0.97

0 5 10 15 20

-0.5

-0.4

-0.3

-0.2

-0.1

0.0

(I DS

- ID

S0) /

I DS0

Hg(II) M]

VGS = -1 V 10 mM HEPES buffer with 100 mM NaCl at pH 7.4

R. Zhang and W. Chen, Biosens. Bioelectron., 2014, 55, 83.A. Afkhami, S. Samiee , M. Pourshahbaz et al., Sens. Actuators B, 2012, 161, 542.

Hg(II)検出特性

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Zn(II), Ni(II), Cd(II), Cu(II)といった重金属イオンとの配位が報告されているキレート剤

0.0

-0.1

-0.2

-0.3

-0.4

-0.5

-0.6

(I DS-

I DS0

) / I D

S0

Co(II) Zn(II)

Ni(II)Cd(II)

Hg(II)

Cu(II)Ga(II)

Al(III) Mg(II)

E. Norkus, D. C. Crans et al.,Heteoatom Chemistry 2003, 14, 625.

PDCAと本デバイスを組み合わせることにより,高選択的Hg(II)検出を達成

PDCA

実験条件

高選択性の実現

・駆動電圧:-1 V

・10 mM HEPES bufferwith 100 mM NaClat pH 7.4

・[M]ⁿ⁺ = 3 μM

・1 mM PDCA

NOHHO

OO

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妨害金属イオン共存下での検出

0 5 10 15 20

0.00

-0.05

-0.10

-0.15

-0.20

(I D

S- I D

S0) /

I DS0

Hg(II) [M]

実験条件

・駆動電圧:-1 V

・10 mM HEPES bufferwith 100 mM NaClat pH 7.4

・each interferent [M]ⁿ= 3 μM

・[Hg(II)] = 0~20 μM

・1 mM PDCA

妨害金属イオン共存下においてもHg(II)検出を達成

・Target:Hg(II)・Interferent:

Mg(II), Al(III), Cu(II), Co(II), Cd(II), Zn(II),Ga(II), Ni(II), Na(I).

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Hg²⁺

EDTA:Hg(II)に対する配位能が知られているキレート剤

10 mM EDTA で洗浄

3 μM Hg(II)添加

リユース性

Au

Au

Hg(II)

繰り返し測定が可能であることが見出された。

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まとめ

・未踏襲領域となるOFETの化学センサ及びバイオセンサへの応用可能性が見いだされた。

・軽くて薄く,安価に製造され得るOFETセンサーは,これ

まで大学や企業の分析室・検査部でのみおこなっていたものを,普段の日常生活の中で簡易的に検出できるようになるかもしれない。

日常生活に溶け込み,専門知識がなくとも使えるセンサの開発を目指している。

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問い合わせ先

関連特許番号特願2015-022779 トランジスタ型バイオセンサ特願2014-169135 トランジスタ型アミンセンサ特願2014-169136 トランジスタ型重金属イオンセンサ

連絡先〒992-8510 山形県米沢市城南4-3-16山形大学 有機エレクトロニクス研究センター南 豪電話:0238-26-3725FAX:0238-26-3788