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「インターネット技術第163委員会」活動状況報告 設置年月:平成8年7月 委員⻑名(所属職名):下條 真司(阪学サイバーメディアセンター・教授) 期間:平成187月〜現在に⾄る委 員 数:66名(学界委員43名・産業界委員23名) 1.委員会趣旨・目的 「インターネット技術の基礎研究およびその応 を試みる広い層の研究者・技術者に交の場を 供し、わが国のち後れた研究・開環境を一新 すること」を目指し、広い学際域をカバーし、産 業界と携して広な活を行っている。現社会 において可欠なインフラとなっているインターネ ット技術の研究には、社会から寄せられる強い望 に迅にえていき、成果を社会に開することが 求められている。このような状況ので、本委員会 では、インターネットの基礎と応のを越 えた研究とその成果の産業への開、本 野の若手研究者・技術者の育成、インター ネット技術・史の承、国際貢献と一社 会への信などを実施するため、産学の研究 者・技術者が結集した組織として活して行 く。 2.活動概要・実績 概要: インターネット技術に関する基研究か ら応技術までを含む広い研究野に取り 組む研究者および技術者間の交の場として 研究会・シンポジウムを開催したほか、専門野ご とに構成された科会において、色ある研究交 活を実施した。 実績: 平成27は5月と11月に研究会を開催した。5 月には37回研究会をインテック(山)で開催 した。11月は子情報信学会インターネットア ーキテクチャ研究会と合で研究会を成ビューホ テル(千)で開催した。また、11月研究会は、 本学術振興会国際シンポジウム開催経の補助を 受け、国際ワークショップ「Asia Internet Tech- nology Joint Symposium」を時に開催した。ま た、各科会が主となって全国各でワークショ ップ・シンポジウムを開催した。間をして、 のべ16事業を実施した。 3.活動の成果 本委員会は、2回の研究会及びシンポジウムに おいてインターネット技術全にわたる野横 な研究交を行うとともに、8つの科会において 専門な野を深く掘り下げる活を実施した。各 11月に開催した国際ワークショップ「Asia Internet Technology Joint Symposium」(成田ビューホテル (千葉))

「インターネット技術第163委員会」活動状況報告 · 委員会研究会にて渻科会を開催した。壠 37回研究会では、昨倴侢のuat渻科会の 活俗報告、工学教育における障害者向け

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Page 1: 「インターネット技術第163委員会」活動状況報告 · 委員会研究会にて渻科会を開催した。壠 37回研究会では、昨倴侢のuat渻科会の 活俗報告、工学教育における障害者向け

「インターネット技術第163委員会」活動状況報告

⑴ 設置年月:平成8年7月

⑵ 委員⻑名(所属職名):下條 真司(大阪大学サイバーメディアセンター・教授)

(期間:平成18年7月〜現在に⾄る)

⑶ 委 員 数:66名(学界委員43名・産業界委員23名)

1.委員会趣旨・目的 「インターネット技術の基礎的研究およびその応

用を試みる幅広い層の研究者・技術者に交流の場を

提供し、わが国の立ち後れた研究・開発環境を一新

すること」を目指し、広い学際領域をカバーし、産

業界と連携して広範な活動を行っている。現代社会

において不可欠なインフラとなっているインターネ

ット技術の研究には、社会から寄せられる強い要望

に迅速に答えていき、成果を社会に展開することが

求められている。このような状況の中で、本委員会

では、インターネットの基礎と応用の枠を越

えた研究とその成果の産業利用への展開、本

分野の若手研究者・技術者の育成、インター

ネット技術・歴史の伝承、国際貢献と一般社

会への発信などを実施するため、産学の研究

者・技術者が結集した組織として活動して行

く。

2.活動概要・実績 概要:

インターネット技術に関する基盤的研究か

ら応用技術までを含む幅広い研究分野に取り

組む研究者および技術者間の交流の場として

研究会・シンポジウムを開催したほか、専門分野ご

とに構成された分科会において、特色ある研究交流

活動を実施した。

実績:

平成27年度は5月と11月に研究会を開催した。5

月には第37回研究会をインテック(富山)で開催

した。11月は電子情報通信学会インターネットア

ーキテクチャ研究会と合同で研究会を成田ビューホ

テル(千葉)で開催した。また、11月研究会は、

⽇本学術振興会国際シンポジウム開催経費の補助を

受け、国際ワークショップ「Asia Internet Tech-

nology Joint Symposium」を同時に開催した。ま

た、各分科会が主体となって全国各地でワークショ

ップ・シンポジウム等を開催した。年間を通して、

のべ16事業を実施した。

3.活動の成果 本委員会は、年2回の研究会及びシンポジウムに

おいてインターネット技術全般にわたる分野横断的

な研究交流を行うとともに、8つの分科会において

専門的な分野を深く掘り下げる活動を実施した。各

11月に開催した国際ワークショップ「Asia InternetTechnology Joint Symposium」(成田ビューホテル

(千葉))

Page 2: 「インターネット技術第163委員会」活動状況報告 · 委員会研究会にて渻科会を開催した。壠 37回研究会では、昨倴侢のuat渻科会の 活俗報告、工学教育における障害者向け

分科会の活動は以下の通りである。

⑴ キャンパス情報システム分科会(CIS)

第37、38回インターネット技術第163委員

会研究会にて分科会を開催した。教育現場にお

けるICT活用や、欧米におけるICT教育への取

り組み紹介、ICT教育における若手人材育成、

IoT(Interent of Things)実証実験プラット

フォーム等に関する講演をはじめ、大学および

企業から計7件の講演および1件のパネルディ

スカッションがあった。

⑵ 情報流通基盤分科会(INI)

第38回インターネット技術第163委員会研究

会にて分科会を開催した。第38回研究会

では、災害時へのICT活用や、災害マネジ

メントへのICTの活用、途上国における防

災・減災のためのICT技術、ボランティア

による災害時の情報収集・整理等に関す

る講演など、大学および企業から計6件の

講演があった。

⑶ 医 療 情 報 ネ ッ ト ワ ー ク 連 携 分 科 会

(MINX)

第37、38回インターネット技術第163

委員会研究会にて分科会を開催した。医

療福祉クラウドの展望や、大学における

医療クラウド検討状況報告、医療クラウ

ド構築の実際や課題等に関する講演をは

じめ、大学および企業から計4件の講演が

あった。さらに5月に「MeWCAシンポジ

ウム2015」を文京シビックホール(東

京)で開催し、2月には「第22回NORTH

インターネット・シンポジウム2016」を

開催し、産学官から医療情報化やクラウ

ドコンピューティングの医療応用をはじ

めとした多数の講演があった。

⑷ 新世代ネットワーク構築のための基盤

技術研究分科会(NWGN)

第37、38回インターネット技術第163委員

会研究会にて分科会を開催した。端末の軌跡情

報を用いた避難誘導システムや、ソーシャルネ

ットワークにおける影響最大化アルゴリズム、

SDN(Software Defined Networking)にお

けるネットワーク設計手法等に関する講演な

ど、大学および企業から計7件の講演があっ

た。さらに、9月に「新世代ネットワーク構築

のための基盤技術研究会(NWGN)ワークシ

ョップ ITRC-NWGN2015」をみのたにグリー

ンスポーツホテル(兵庫県)で開催し、モバイル

9月に開催した「新世代ネットワーク構築のための基盤技術研究会(NWGN)

ワークショップ ITRC-NWGN2015」(みのたにグリーンスポーツホテル(兵庫県))

Page 3: 「インターネット技術第163委員会」活動状況報告 · 委員会研究会にて渻科会を開催した。壠 37回研究会では、昨倴侢のuat渻科会の 活俗報告、工学教育における障害者向け

ネットワークにおける自律分散型管理手法、モ

バイルネットワークにおけるパケット転送方

式、情報中心ネットワークの性能解析、DTN

(遅延耐性ネットワーク)における情報配信制

御等のネットワーク基盤技術に関する47件の

研究発表が行われ、82名の参加者を集めた。

⑸ UA技術の普及・実践分科会(UAT)

第37、38回インターネット技術第163

委員会研究会にて分科会を開催した。第

37回研究会では、昨年度のUAT分科会の

活動報告、工学教育における障害者向け

製品の開発について、視覚障害者向けス

マホの開発の進展と今後の活動方針に関

する3つの講演が行われ、38回研究会で

は、障害者差別解消法の2016年4月の施

行や、最新のICT技術で可能となる障害

者への「合理的な配慮」、スマートフォン

やタブレットの開発者が心得るべき障害

者への合理的な配慮等に関する3つの講演

が、大学および企業から行われた。また、7月

18⽇に第75回(7件の講演、参加者15名)、11

月7⽇に第76回(7件の講演、参加者17名)、1

月9⽇に第77回UAI研究会(7件の講演、参加

者20名)が東京女子大学(東京)で開催され

た。さらに、1月16⽇に東京工業大学(東京)

で「第2回UATアクセシビリティ・ワークショ

ップ 〜ICT技術で視覚障害者にどのような合

理的な配慮ができるか〜」を開催し、大学およ

び企業から8件の講演があり35名の参加者によ

る議論が行われた。

⑹ ネットワーク仮想化分科会(NVW)

第38回インターネット技術第163委員会研究

会にて分科会を開催した。パケットスケジュー

ラや、仮想化ネットワーク相互接続実験構想、

プログラム可能なネットワークノード等に関し

て、大学および企業から計3件の講演があっ

た。さらに、8月に「第5回ネットワーク仮想

化シンポジウム」を東京大学(東京)で開催

し、Social Impacts of Softwarization and 5G

Networkingをテーマとし、大学および企業か

ら計7件の講演およびパネルを実施し、多数の

参加者を集めた。

⑺ 地域間インタークラウド分科会(RICC)

第37、38回インターネット技術第163委員

会研究会にて分科会を開催した。アカデミック

インタークラウド構築事例や、ネットワーク状

態評価手法、SDNコントローラ開発プラット

フォームなどに関する講演をはじめ、大学およ

び企業から計5件の講演があった。9月に「第8

回地域間インタークラウドワークショップ」を

北海道大学(北海道)で開催(6件の発表、参

加者60名)、3月に「第9回地域間インタークラ

ウドワークショップ」を沖縄県市町村自治会

(沖縄県)で開催した(10件の発表、参加者50

名)。また東北大学電気通信研究所(RIEC)と

の共同研究のもと、10月に東北大学(宮城

県)で第1回RICC-RIECワークショップを開催

した(5件の発表、参加者20名)。

8月に開催した「第5回ネットワーク仮想化シンポジウム」(東京大学(東京))

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4.今後の活動方針 これまでの活動の成果を活用し、産学連携協力研

究をさらに加速させるため、学界におけるシーズと

産業界のニーズとを有機的に結びつける場の提供、

新しいビジネスやインターネットサービスの創出を

目指した活動、活動成果の社会への還元、といった

点を強力に推進していく。平成28年度も、年2回

(5月、11月)の研究会を開催する予定である。こ

れらに加えて、各分科会の活動をさらに発展させる

とともに、それぞれの専門分野に特化したシンポジ

ウム/ワークショップ/セミナー等を開催する。ま

た、「平成28年度特別事業(知識や技術の伝承等と

りまとめ経費)」の助成のもと、インターネットの

歴史および技術の伝承のための活動も実施する予定

である。