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「M2M/IoT システム入門」
サンプルページ
この本の定価・判型などは,以下の URL からご覧いただけます.
http://www.morikita.co.jp/books/mid/085331
※このサンプルページの内容は,初版 1 刷発行時のものです.
まえがき i
センサ技術や通信技術の発展により,M2M(Machine-to-Machine)/IoT(Internet of Things)システムが最近注目を浴びている.各種センサと情報システムとを通信ネットワークで結びつけたM2M/IoT システムは,製造業や農業等の産業分野,交通やエネルギー等の社会分野,健康管理や安全管理の家庭分野等の,あらゆる分野への適用の可能性をもっている. 各種センサの開発によって,実社会のさまざまなデータがシステム空間に取り込めるようになり,M2M/IoT システムは急速に進展しているところである.リアルの世界とサイバーの世界を連携させて付加価値を創造する大きな動きが始まっている.たとえば,産業界におけるM2M/IoT への取り組みとして,ドイツを中心とした欧州のインダストリー4.0(第 4 次産業革命)という動きや米国のインダストリアル・インターネット・コンソーシアム(IIC)設立という動きが注目される.日本においても,付加価値の高いものづくりへと企業が変革していく時期が来ていると言える. 本書では,M2Mシステム要素技術を網羅的に習得できるように解説するとともに,M2Mシステムの個別応用分野における国内外の産業界での取り組み状況,M2Mシステム全体のシステムアーキテクチャやアプリケーション構築の方法論等について解説を行う.企業の技術者 ・研究者が個別基本技術の習得やシステム構築手法の参照のために読む専門書,また大学・高専での教育に使う参考書としての利用を想定して,執筆している. 本書は,まずM2Mシステムの社会応用とその貢献について実例を見ながら述べ,次にシステム構築技術と要素技術を解説する.全 6章からなり,各章の主な内容は以下のとおりである. ・第 1 章:本書で共通して参照するM2Mフレームワークについて説明し,M2M
システムの全体像について概要を述べる. ・第 2章:M2Mアプリケーションを,機能的な観点から監視型,フィードバック
型,データ活用型,混合型の四つの型に分けて事例紹介を行う. ・第 3 章:M2Mの応用分野ごとのユースケースからM2Mシステム構築に求めら
れる技術要件を整理し,M2Mシステムの構築アーキテクチャを整理し分類する. ・第 4章:アプリケーションとネットワークをつなぐM2Mプラットフォームにつ
いて,要素技術,標準化動向,システム構成事例を述べる.デバイス,ゲートウェイ,サービスの三つのプラットフォームについて詳述する.
・第 5章:M2Mネットワークの要件,構成(垂直型と水平型)について概観し,
まえがき
まえがきii
三つのドメインのネットワークの詳細をまとめる. ・第 6 章:M2Mセキュリティ脅威と対策についてまとめ,世界標準である ESTI
仕様書,実装要件について詳述する. M2M/IoT により,今まで予想できなかったいろいろなサービスが出現すると予想されており,このようなイノベーションを実現するためには,M2M/IoT を構成する多岐にわたるキーとなる技術の特性を理解し,それらの技術を融合してサービスを提案できる人材を育成することが重要である.最近では,M2M/IoT を対象にしたハッカソンやアイデアソンが頻繁に行われるようになっており,新しいアイデアの創出とともに人材育成の手段としても期待されている.本書が,将来のイノベーションを支える人材の育成に活用されることを切に願っている. なお,M2M/IoT 分野のアプリケーションシステム構築について,電気学会通信技術委員会の「M2M技術調査専門委員会」(2010/10 ~ 2012/9,引き続いて「第 2 次M2M技術調査専門委員会」(2012/10 ~ 2015/3))が,技術の普及や教育の活動を行ってきた.本書は,この専門委員会の成果を基に執筆したものである.
2016 年 1 月 編集委員を代表して 辻 秀一
目 次 iii
まえがき i
M2Mシステムとは 1第 1章
M2Mのアプリケーション事例 7第 2章 2.1 機能的な観点からの分類と効果 8 2.2 児童見守りシステム 10 2.2.1 児童見守りシステムの概要 11 2.2.2 児童見守りシステムの技術的観点 13 2.2.3 システム運用状況 14 2.3 農業分野(その 1) 14 2.3.1 複雑系の制御 15 2.3.2 センサネットワーク 15 2.3.3 フェノミクス 16 2.3.4 パーソナルファブリケーション 17 2.3.5 ビッグデータ 19 2.3.6 展 望 22 2.4 農業分野(その 2) 23 2.4.1 システム構成 23 2.4.2 機能の概要 27 2.4.3 制御系システムとの連係 29 2.4.4 課 題 30 2.5 高度交通システム(ITS) 31 2.5.1 路車間システム 31 2.5.2 テレマティクスサービス 32 2.5.3 車車間システム 33 2.5.4 ユーザ参加型センシング 34 2.6 エネルギー管理システム 34 2.6.1 HEMS におけるM2Mアプリケーションと事例 36 2.6.2 BEMS におけるM2Mアプリケーションと事例 38 2.7 ヘルスケア分野 39 2.7.1 遠隔医療におけるM2Mの概要 40 2.7.2 皮膚科学におけるM2Mと画像センシング 41
M2Mシステム構築技術 43第 3章 3.1 M2Mシステムの特徴と要件 44
目 次
目 次iv
3.1.1 M2Mシステムの特徴 44 3.1.2 M2Mシステムの要件 46 3.2 M2Mフレームワーク 46 3.2.1 M2Mフレームワークの定義 46 3.2.2 ドメイン構成 49 3.2.3 M2Mアプリケーション 49 3.2.4 M2Mプラットフォーム 50 3.2.5 M2Mネットワーク 51 3.2.6 M2Mセキュリティ 52 3.2.7 主な技術要素と重点項目 52 3.3 M2Mシステム構築 53 3.3.1 構築方法の分類 53 3.3.2 オープン化の流れとM2Mシステム 59 3.4 オープンテクノロジによるM2Mシステムの構築事例 63 3.4.1 教育向け事例 66
M2Mプラットフォーム 73第 4章 4.1 M2Mプラットフォーム総論 74 4.1.1 M2Mプラットフォームの位置づけ 74 4.1.2 M2Mプラットフォームアーキテクチャ 75 4.2 M2Mデバイスプラットフォーム 80 4.2.1 M2Mデバイスの位置づけと役割 80 4.2.2 ハードウェアプラットフォーム 82 4.2.3 センサ/アクチュエータとの通信機能 86 4.2.4 低消費電力化技術 89 4.2.5 エネルギーハーベスティング技術 90 4.3 M2Mゲートウェイプラットフォーム 93 4.3.1 M2Mゲートウェイの位置づけと役割 93 4.3.2 OSGi に基づくゲートウェイプラットフォームの概要 96 4.3.3 OSGi バンドルによるサービス提供とプロトコル変換 99 4.4 M2Mサービスプラットフォーム 101 4.4.1 M2Mサービスプラットフォームの位置づけと役割 101 4.4.2 データ処理 102 4.4.3 フィードバック制御 106 4.4.4 デバイス管理 108 4.5 M2Mプラットフォームの課題 110 4.5.1 M2Mプラットフォーム標準化 110 4.5.2 M2Mプラットフォームのアーキテクチャ 110 4.5.3 デバイス抽象化とセマンティクス 112
目 次 v
4.5.4 デバイス管理 113
M2Mネットワーク 115第 5章 5.1 M2Mネットワーク概要 116 5.1.1 M2Mネットワークとは 116 5.1.2 M2Mネットワークの要件 117 5.1.3 垂直型と水平型システムの構成の違い 118 5.2 M2Mエリアネットワーク 119 5.2.1 M2Mエリアネットワークとは 119 5.2.2 通信規格による分類 120 5.2.3 アプリケーションによる分類 127 5.3 M2Mアクセスネットワーク 136 5.3.1 M2Mアクセスネットワークとは 136 5.3.2 実現するための技術 137 5.3.3 M2Mサービスに向けた取り組み 140
M2Mセキュリティ 142第 6章 6.1 M2Mセキュリティの考え方 143 6.1.1 セキュリティの必要性 145 6.1.2 攻撃者の存在 146 6.1.3 保護対象 147 6.1.4 想定脅威 148 6.1.5 セキュリティ対策 150 6.2 ESTI 仕様書におけるセキュリティ要件ついて 151 6.2.1 ESTI システムの構成要素について 152 6.2.2 脅威解析と対抗手段の概要 154 6.2.3 サービス要求仕様書 155 6.2.4 機能アーキテクチャ 158 6.2.5 通信およびmIa/dIa/mId インタフェース 162 6.3 M2Mセキュリティの実装要件 164 6.3.1 軽量化 164 6.3.2 スケーラビリティ確保 167 6.3.3 セキュリティプラクティス 170
あとがき 172 参考文献 174 索 引 179
執筆者一覧vi
電気学会 第 2次M2M技術調査専門委員会(所属は 2016 年 1 月時点.*印は編集委員)
委員長辻 秀一* 前 東海大学 情報通信学部 組込みソフトウェア工学科 教授
委員秋本 眞喜雄 関東学院大学 工学総合研究所 研究員井家上 哲史 明治大学 理工学部 電気電子生命学科 教授井上 雅裕* 芝浦工業大学 システム理工学部 電子情報システム学科 教授緒方 祐次 株式会社日立製作所 中央研究所 ネットワークシステム研究部 主任研究員小川 理 一般財団法人電力中央研究所 システム技術研究所 通信システム領域 上席研究員楫 勇一 奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 准教授北上 眞二* 三菱電機ビルテクノサービス株式会社 エンジニアリング本部 開発部 部長代理清原 良三* 神奈川工科大学 情報学部 情報工学科 教授澤本 潤* 岩手県立大学 ソフトウェア情報学部 教授清尾 克彦* サイバー大学 IT 総合学部 教授鄭 立 株式会社チノー 技術顧問中西 美一 株式会社四国総合研究所 電子技術部 主席研究員中野 学 独立行政法人情報処理推進機構 技術本部 セキュリティセンター 情報セキュリティ技術ラボラトリー 主任野田 潤 NECソリューションイノベータ株式会社 イノベーションラボラトリ 主任服部 雅晴 株式会社KDDI 研究所 グリーン・M2M応用グループ 開発主査平藤 雅之 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター 芽室研究拠点 領域長藤田 隆史 日本電信電話株式会社 NTT未来ねっと研究所 主任研究員不破 泰 信州大学 総合情報センター 教授三井 浩康 前 東京電機大学 理工学部 理工学科 情報システムデザイン学系 教授吉田 利夫 東海大学 情報通信学部 情報メディア学科 非常勤講師渡辺 尚 大阪大学 大学院情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻 教授
執筆者一覧
1.1 あいうえお 1
M2Mシステムとは
第1章
センサ技術や通信技術の発展により,モノどうしをつなぐ M2M(Machine-to-Machine)システムや,モノのインターネットである IoT(Internet of Things)が最近注目を浴びている.社会の安全や安心,エネルギーの効率的利用や企業活動の効率化等のために,M2Mシステムは大きな展開が期待されている.まさに,来たるべきスマート社会を支える主要技術の一つと言える. 各種センサと情報システムとを通信ネットワークで結びつけたM2Mシステムは,製造業や農業等の産業分野,交通やエネルギー等の社会分野,健康管理や安全管理の家庭分野等の,あらゆる分野への適用の可能性をもっている. 2009 年 2 月には,欧州電気通信標準化機構(ETSI†1)が ETSI TC M2Mを設立し,標準化を目指して活動している.その後,ETSI を含めた日・米・欧・中・韓の 7者の標準開発機関(SDO†2)が合意して,2011 年 1 月にM2M分野における国際協調的な標準化活動を推進する oneM2Mが設立され,活動が始まった.本書においても,oneM2Mの活動について適宜紹介する. 現状では,アプリケーションごとにM2M技術/ソリューションが提供されている.個別のM2M技術/ソリューションの提供と多様な標準化は,M2Mマーケットの拡大を阻害すると考えられている.技術的な障壁を取り除き,M2Mサービスとネットワークの相互運用を実現するためには,「標準化」が重要である.今後のM2Mシステムの方向として,M2M技術の標準化の進展により,垂直型マーケットから水平型マーケットへの移行を示唆している. M2M システムは,センサを含むデバイスどうしまたはデバイスとクラウド上の
†1 European Telecommunications Standards Institute†2 Standards Development Organizations
第 1章 M2Mシステムとは2
サーバをネットワーク経由で接続し,さまざまなサービスを提供する.従来からユビキタスコンピューティング/ネットワークとして語られてきた世界であるが,最近のセンサやデバイスの小型化・低コスト化,ワイヤレスネットワークの実用化・低コスト化,および,クラウドコンピューティングの発展により,実用的な応用事例が出てくるようになってきた. M2Mシステムは,機械や電子機器の間で,人間が介在することなく収集されたデータを送受信することによってサービスを提供するものである.図 1.1 に示すように,デバイスにはマイコン等のコンピュータが内蔵され,接続されたセンサからのデータが,必要に応じてゲートウェイを経由し,ネットワークを介してサーバに送信される.センサのデータはサーバに蓄積され,クラウド上のアプリケーションにより,集積されたデータを可視化したり,分析をしてマネジメントの判断材料にしたり,分析結果から自動的にデバイスの制御をしたりするサービスが実現される.M2M の後ろの「M」は,Machine の代わりにMan やManagement に読み替えて使われる場合もある.
図 1.1 M2Mシステムの全体像
自販機
機器(デバイス) ネットワーク(ゲートウェイ経由)
アプリケーション(サービス)
可視化Man
分析Management
制御Machine
サーバ(クラウド)
機械
カーナビ
1234
スマートメータ
センサ&アクチュエータ Machine
各種センサ
フィールドサーバ
センシングデータ
機器ステータス
制御データOK
READY
M2Mシステムを構成する基本的な要素は,各種センサデバイス,M2Mネットワーク,M2Mプラットフォーム,M2Mアプリケーションからなる. M2M サービスシステムを構成する技術は,センサネットワークからサービスプラットフォームまで多岐にわたる.そこで,ここでは図 1.2 の M2Mフレームワークを使って,M2M技術について解説する†. M2Mフレームワークの横方向は,M2Mを構成するドメインとして,センサや設備機器等のデバイス,デバイスを集約するゲートウェイ,およびさまざまなアプリケーションを提供するサービスに分類した.また,縦方向は,各ドメインの機能を実現す
† このM2Mフレームワークは,各種のM2M標準化活動の成果を基に,電気学会第 2次M2M技術調査専門委員会が作成したものである.
1.1 あいうえお 3
る共通技術要素となる三つのレイヤであり,各ドメインを結ぶためのネットワーク,システム構築を行うための標準技術を提供するプラットフォーム,およびアプリケーションに分類した.なお,セキュリティについては,M2Mシステム全体として整備する必要があるため,フレームワークの中で共通技術となるM2Mセキュリティに分類した.また,本書ではさまざまなM2Mシステムを構築していく技術について一つの共通技術として取り上げ,第 3章において詳しく解説をした.すでに多くの分野ごとに垂直型(バーティカル)で独自の開発が行われているが,これからはオープンテクノロジによる比較的安価で優れた技術資産を活用した構築が進むと考えられる.
● M2Mアプリケーション(第 2章)
M2Mアプリケーションは,各ドメインのプラットフォーム機能を利用して,個々のアプリケーションを実装する.M2Mデバイスでは,デバイスやセンサが提供する機能がアプリケーションとなる.M2Mゲートウェイには,M2Mデバイスの連係等,サービス独自のアプリケーションを搭載する場合がある.M2M サービスのアプリケーションは,産業分野,社会分野,家庭分野にまたがる広がりがある.
● M2Mプラットフォーム(第 4章)
プラットフォームは,M2Mデバイス,M2MゲートウェイおよびM2Mサービスの共通機能を提供する.M2Mデバイスプラットフォームとしては,Android 等の組込みOS がある.M2Mゲートウェイプラットフォームとしては,Java ベースのソフトウェアコンポーネント技術の OSGi がある.M2Mサービスプラットフォームとしては,欧州の ETSI を中心に,機能アーキテクチャや共通API の標準化が検討されている.
図 1.2 M2Mフレームワーク
デバイスレイヤ ドメイン
M2Mアプリケーション
M2Mプラットフォーム
M2Mネットワーク
M2Mデバイスプラットフォーム
M2Mゲートウェイプラットフォーム
M2Mエリアネットワーク M2MコアネットワークM2Mアクセスネットワーク
M2Mセキュリティ
M2Mサービスプラットフォーム
ゲートウェイ サービス
第 1章 M2Mシステムとは4
M2Mデバイスの要件として,低消費電力(バッテリ駆動や再生可能エネルギーの利用など),低コスト,小型軽量などが挙げられる.また,アプリケーションによっては,処理時間保証などのリアルタイム性,高信頼性やメンテナンス性の良さといった点も要求される.
● M2Mネットワーク(第 5章)
ネットワークは,M2MエリアネットワークとM2Mアクセス/コアネットワークに分類される.M2Mエリアネットワークは,M2MデバイスとM2Mゲートウェイ間のネットワークであり,通信プロトコルとしては,ZigBee や 6LoWPAN/CoAP 等が使用される.M2Mアクセスネットワークは,M2MゲートウェイとM2Mサービス間のネットワークであり,3G やWiMAX,LTE 等が使用される.M2Mゲートウェイは,M2MエリアネットワークとM2Mアクセスネットワークとのプロトコル変換の役割をもつ.M2Mゲートウェイがないシステムでは,M2MエリアネットワークとM2Mアクセスネットワークは,同一のプロトコルを採用することになる. M2Mネットワークの要件として,膨大な端末数の通信に耐えられること,低データ転送レートで,上り方向に集中したトラフィック処理能力,リアルタイム通信性,さらには高信頼性やメンテナンス性の良さが要求されるといった点が挙げられる.
● M2Mセキュリティ(第 6章)
M2Mシステムの普及とともに,その性質上これまでとは異なる次元のサイバー攻撃発生も見込まれることから,これらの環境変化に対応した新たな情報セキュリティ対策をあわせて進めていくべきである. M2Mによるサービスは,社会の幅広い分野で普及していくと予想される.しかし,M2Mで用いられるデバイスは広域ネットワークに接続した利用を想定していないものも多く,M2Mを利用することで発生する新たな脅威への対応が必要となる.デバイスやM2Mネットワークに対する不正アクセス等による情報漏洩や不正コントロールのような事故を防ぐためにも,セキュリティを意識した開発・運用を実施する一方で,暗号化や認証機能等の適切なセキュリティ対策の実装を検討することが必要となる.
M2Mシステムの応用分野を考えるとき,従来から利用されてきたアプリケーションシステムにその特徴をみることができる.たとえば,テレメータリングや SCADA†,POS が挙げられる.テレメータリングでは,観測地に測定のためのセンサや測定器
† Supervisory Control And Data Acquisition,監視制御システム
1.1 あいうえお 5
を設置し,遠隔で測定データを受信して監視するシステムが,宇宙開発,原子力発電所,河川等での自然災害対策などの場面で利用されている.SCADAは,コンピュータによるシステム監視とプロセス制御を行うシステムで,製造,生産の現場や大規模設備の監視・制御に利用されている.全体的な系の中には人間を含むが,基本構成はM2Mシステムである.また,商品名・価格・数量・日時などの販売実績情報を収集してビッグデータとして活用する POS(Point Of Sale)システムは,スーパーマーケット,コンビニエンスストア,キオスクなどで導入されている.1970 年代から利用されていて,古くからあるM2Mシステムの一つと言える. 近年では,ユビキタス(Ubiquitous)という言葉が広く使われているが,センサや情報機器がネットワークに接続されて遍在する状況を指しており,M2M,IoTという言葉は,ユビキタスの延長線上にあると考えられる.ユビキタスネットワーク社会の実現に向けて,少なくとも技術・サービス・各種機器など環境面の整備は整ったと考えられており[4],新たな潮流としてのスマート化である「スマート革命」が期待されている.ユビキタスネットワーク環境の上で,クラウドサービス,ビッグデータ活用,ソーシャルサービスなどのネットワークサービスが進む中,M2Mシステムによる膨大なデジタルデータの収集,流通,蓄積,活用が,「スマート革命」を支える基盤として注目されている. M2Mシステムの対象となる応用分野として ETSI の取り組みを参考にし,応用分野を,安心/安全,運輸,健康,エネルギー管理,供給とプロビジョニング(サービス提供),シティオートメーション,製造業,および農林水産業の八つに分類した.これを図 1.3 に示す.
図 1.3 M2Mシステムの応用分野
フィールドサーバセンサネットワークアプリケーションモニタリング・管理
農林水産業監視アプリケーション物体・人の追跡アラーム
安心 /安全
公共照明管理ごみ管理
シティオートメーションe ヘルス個人セキュリティ
健康生産チェーンの監視と自動化
製造業
車群管理排出管理通行料支払い道路安全
運輸
貨物の需給監視自動販売機
供給とプロビジョニング
計測スマートメータユーティリティの提供と課金
エネルギー管理
第 1章 M2Mシステムとは6
これらの応用分野を,社会分野,産業分野,家庭分野の 3分野に大きく分けて見ていくこともよく行われる.社会分野では,シティオートメーション,エネルギー管理,運輸,交通事故や犯罪防止における安心・安全等の分野のアプリケーションの高度化が期待される.産業分野では,製造業,供給とプロビジョニング,農林水産業等の分野での応用への取り組みが進んでいる.家庭分野では,家庭でのエネルギー管理としてのスマートハウスへの応用やヘルスケア等の健康管理が急速に拡大してきている.
2.4 農業分野(その 2) 23
農業分野(その 2)2.4
さまざまなフィールドモニタリングシステムを開発する際のベースシステム(一種のM2Mプラットフォーム技術)化を目的として「openATOMS」の開発が行われ,すでにその応用製品もいくつか誕生している.以下では,openATOMS をベースに開発・製品化された,高性能かつ安価な温室環境モニタリングシステムHaPPiMinder(ハッピィ・マインダー:Horticulture, automated Production Process intelligent Minder)の概要を紹介する[30-32]. HaPPiMinder は,農業用温室内の気温,湿度,CO2 濃度,日射強度などの環境条件を手軽かつ高精度に計測・データ蓄積するとともに,計測データに異常を検出した場合には電子メールによる通報を行うシステムである.また,インターネットを経由して,いつでも,どこからでも,蓄積したデータをリアルタイムに分析し,栽培管理に有用な情報を引き出すことができる.2.1 節の分類のⅳ)混合型にあたる.
2.4.1 システム構成
本システムは,①データ収集ユニット,②センサユニット(1~ 16 台),③情報端末,④システム運用管理センターおよび⑤インターネットで構成される(図 2.9).データ通信無線ネットワークとして,アドホック無線ネットワーク(①-②間),Wi-Fi ネットワーク(①-③間)および 3Gネットワーク(①-⑤間)を使用している. システム運用管理センター(④)は,データ収集ユニット(①)と定期的に通信し,
図 2.9 HaPPiMinder のシステム構成
①データ収集ユニット②センサユニット
ZigBee
3G ルータNC~
ZigBee(100 kbps)
Wi-Fi 通信(150 Mbps)
3G通信(200 kbps)
500 m以内
太陽電池
LCD
50 m以内
⑤インターネット
3G 通信(10 Mbps)
④システム運用管理センター
③情報端末
③情報端末
microSDメモリ
1-Wire 温度センサ
温度・湿度センサ
照度センサ
CO2 センサ
基本センサ
I2C
オプションセンサ
土壌水分センサ
結露センサ
Wi-Fi カメラ
第 2章 M2Mのアプリケーション事例24
その運用状態を監視する.本システムでは,近年流行しているクラウド型データセンターを使用せず,データの蓄積と分析はすべてデータ収集ユニット(①)上で行われる.後述するコストと継続性の観点から,システム運用管理センターには計測データ等の蓄積は行わない.
(1)データ収集ユニット データ収集ユニットは,オープンソースのコンピュータ基板(BeagleBone),ZigBee 通信モジュール,Wi-Fi 通信アダプタおよび 3G - Wi-Fi ルータで構成されており,コンピュータ基板にはアプリケーションソフトウェア動作環境として Linux およびOpenJDKを搭載している(図 2.10(a)).コンピュータ基板のCPUコアはARM Cortex-A8 で,その消費電力は 1 W程度と低い.
(b) センサユニット回路基板(a) 内部
図 2.10 データ収集ユニット
組込みコンピュータではあるが,microSD メモリカードをファイルシステムとして使用しているため,停電対策は不可欠である.ユニット全体の消費電力が 2 W 程度と低いため,停電時は単三乾電池× 2本で動作させ,電源電圧が規定値より下がった場合には自動シャットダウンするようにしている. アプリケーションソフトウェアとして,独自開発の openATOMS エンジンおよびHaPPiMinder エンジンが搭載されており,前者は主にデータの収集と蓄積,後者はデータ解析とユーザインターフェースを担っている.ソフトウェアは,Java,JavaScript,PHP,XMLおよびHTMLで記述されている. 近年では,インターネット接続されたフィールドモニタリングシステム等の計測データは,システム本体内ではなく,インターネット上のクラウドサーバに保存する方式が主流となっているが,フィールドモニタリングアプリケーションの中にはクラウドサーバの利用が適切でないものも多い.その理由の一つは運用コストの問題であ
2.4 農業分野(その 2) 25
る.クラウドサーバは一見非常に低コストに利用できるように思われるが,データ管理のためのコストおよび高速かつ安定した通信回線のコストを含めると,数千円/月の運用コストが掛かってしまい,本システムを含めて多くのアプリケーションではこのコストを許容できない.もう一つの問題は,データ蓄積の継続性の問題である.HaPPiMinder では,システム導入後 10 年間以上にわたり計測データを継続的に蓄積しなければならない.少なくとも 10 年程度はシステムを提供したい製品供給側の都合も考慮すると,20 年以上の継続運用が保証されたクラウドサーバでなければ安心して利用できないことになる. 本来,openATOMS はクラウドサーバを使用することを前提として設計されたシステムであるが,HaPPiMinder ではあえてクラウドサーバを使用せず,計測データはデータ収集ユニットに装着したmicroSD メモリ内(16 GB 中 14 GB をデータ保存エリアとして使用)に openATOMS の標準データ形式である XML データファイルとして保存される. 蓄積されたXMLデータファイルから目的のデータを抽出・加工するためのソフトウェアは,システム運用を停止することなく,逐次,追加・更新可能なプラグインモジュール形式で搭載されており,その記述言語は,Java,PHP,XMLおよびHTMLである.XML データファイルからのデータ抽出負荷を軽減するため,時系列 XMLデータ処理に特化した高効率のXMLデータパーサ†を開発し使用している. データ収集ユニットは 3G ネットワークによりインターネットへ接続されるが,その通信速度は 200 kbps と低速で,回線コストは 900 円/月程度と安価である.本システムでは,蓄積した計測データの分析と目的データの抽出をデータ収集ユニット内で行うため,3G 回線を流れるデータ量が非常に少なく,200 kbps の低速回線でも必要十分なレスポンスが得られるようになっている. オープンソースのコンピュータ基板(BeagleBone)[33]の利用では,品質の不安定さに注意が必要である.とくに,BeagleBone の初期モデルは電源回路が不安定なものが 20 個に 1 個程度の割合で混入しており,ほとんどの不良品は出荷時のエージングテスト(経時変化試験)で排除できるが,中にはエージングテストをパスしてしまい,販売後に不具合が出る場合もある.最近のモデルでは随分改善され,不良品率はかなり下がっているようであるが,仕様書に動作保証はしないと明記されている場合は注意が必要である.
(2)センサユニット センサユニット(NICE)の電子回路基板は,openATOMSのコア技術であるNICE
† XML形式のテキスト文書を解析し,プログラムで扱えるようなデータ構造の集合体に変換するプログラム
第 2章 M2Mのアプリケーション事例26
(電子回路設計パターンおよび専用OS)を利用し,専用に開発されたものである(図2.10(b)).ハードウェアの複雑さはコストに直結するため,シンプルで部品点数の少ない回路設計としており,高度な機能の大部分はソフトウェアで実現されている.電子回路基板の消費電力は 1 mW未満と非常に小さく,接続するセンサの消費電力によっては内蔵電池で数ヶ月間動作させることも可能である.センサユニットのMCU(以降マイコンとよぶ)は常時は停止しており,定期的あるいはセンサ入力イベントにより起動し,一連の計測作業とデータ送信を完了すると休止するユニークな設計である.専用 OS はマイコンコアをいかに効率良く眠らせるかに重点を置いた設計となっている. 電子回路基板には以下の I/O ポートを装備しており,さまざまなセンサが接続可能となっている. ・シリアル通信ポート× 1(ZigBee 無線通信) ・SPI 通信ポート× 1(microSD メモリ) ・I2C 通信ポート× 1(気温・湿度センサ) ・1-Wire 通信ポート× 1(温度センサ) ・アナログ電圧入力ポート× 4(CO2,日射など) ・デジタル接点入力ポート× 2(機器故障検知など) M2MノードのハードウェアにArduino のようなオープンソースハードウェアを利用するかどうかは議論の分かれるところであるが,HaPPiMinder の開発においては,汎用設計のデバイスで必要な入出力デバイスを組み合わせるとハードウェア量が過大となり,コストと消費電力の点で要求仕様を満足できないとの判断から,専用設計のハードウェアが開発されている.専用設計のハードウェアでも,回路設計とOSをモジュール化しておくことにより,必要なハードウェアを短期間かつ低コストに製作できるため,M2Mノードのハードウェア開発に関しては,オープンソースハードウェアよりはオープンソース IP†と捉えるほうが良いという考え方もある.とくに,マイコン等のハードウェアデバイスの選定では,ADCのリニアリティ(出力信号の直線性)や温度特性等,メーカの仕様書から十分に読み取れない部分も多く,それらの性能評価情報も含めてオープンソース IP として情報提供されていれば,随分とハードウェア開発が楽になるだろう.
(3)情報端末 HaPPiMinder には,操作スイッチも表示ディスプレイも搭載されておらず,すべ
† IP は Intellectual Property の略で,付加価値の高い再利用可能な設計資産という意味で使われる.オープンソース IP は,回路図のほかに回路設計に関連する有用なノウハウ的な情報も含めた再利用可能な設計資産を意味する
2.4 農業分野(その 2) 27
ての操作はデータ収集ユニットとWi-Fi あるいはインターネット経由で接続された情報端末から行うようになっている.理由は簡単で,ヒューマンマシンインタフェース(HMI)には非常にコストが掛かるためである.ちょっと凝ったHMI を搭載すると,ハードウェアコストの 50%以上がHMI で占められる場合も少なくない. 情報端末としては,Web ブラウザを搭載した PC,タブレットコンピュータ,スマートフォンなどを利用でき,特別なソフトウェアのインストールは不要である.近年ではAjax 等の技術を利用することで,Web ブラウザベースのソフトウェアでも優れた操作性を実現することができるので,専用設計のHMI ハードウェアの代替として利用されることが多くなっている. 後述の異常通報電子メールの受信を含めて,スマートフォンに代表される携帯情報端末から必要なすべての操作を行えることのメリットは非常に大きい.スマートフォンはすでに PCよりも普及しており,スマートフォンでいかに優れた操作性を実現できるかが実用性を大きく左右すると言っても過言ではない.
2.4.2 機能の概要
HaPPiMinder は実用ツールであり,その操作方法は単純かつ明解でなければならない.HaPPiMinder の操作インターフェースは,使用頻度の高い機能ほど少ないステップで操作できるようにユニバーサルデザインが配慮されており,主要な操作は 1~ 3回程度のマウスクリック(または指先タッチ)で行うことができる(図 2.11).
(b)(a)
図 2.11 メイン操作画面および温室内での操作状況
3.3 M2Mシステム構築 53
また,クラウド側からセンサ端末までのシステム全体にかかわるセキュリティが課題として挙げられる.これらについては,関連する各章で説明する.
M2Mシステム構築3.3
M2Mシステムの構築方法について分類し,オープンテクノロジによるM2Mシステムの構築について紹介する[6-8].
3.3.1 構築方法の分類
いろいろな分類方法が考えられるが,以下ではM2Mシステムの構成による分類,センサからのデータの処理方法による分類,M2Mを取り巻くエコシステムによる分類の 3通りについて考える.
(1)M2Mシステムの構成による分類 図 3.4 に,M2Mシステムの構成を示す.図の左側は,M2Mフレームワークの主な構成要素を階層的に配置したものである.図の右側は,左側の配置に対応してM2Mシステムの構成をまとめたものである. M2Mシステムは,M2Mフレームワークで定義したように,センサやアクチュエータが接続されたM2Mデバイス,複数個のM2Mデバイスとの間でデータの集約・配
図 3.3 M2Mフレームワークを構成する主な技術要素と主な課題
M2M アプリケーション
M2Mデバイスプラットフォーム
Mote Arduinoなど など
M2Mプラットフォーム
M2Mネットワーク
主な課題 ワイヤレスセンサネットワークの簡略化,低消費電力化
M2Mサービスプラットフォーム M2Mセキュリティ
M2MエリアネットワークZigBee ECHONET
有線 無線
LAN PLC
6LoWPAN/CoAP TCP/IP
データ分析 遠隔制御データ収集 データベースデバイス管理
M2MゲートウェイプラットフォームArduino OSGi
など
など
など など
M2Mアクセスネットワーク
有線無線3G LTE WiMAX ADSL FTTH
IPv6 WebSocket TR-069(CWMP)
ZigBeeZ-Wave Wi-SUN
BluetoothIEEE1888
BLE
機器の低価格化,低コスト接続,双方向通信
マルチアプリケーション システム全体のセキュリティ
デバイス ゲートウェイ サービスレイヤ ドメイン
第 3章 M2Mシステム構築技術54
信するM2Mゲートウェイ,M2MゲートウェイやM2Mデバイスからのセンサデータを蓄積・分析しその結果に基づいてサービスを提供するM2Mサービスの三つのドメインで構成される.さらに,M2Mサービスは,クラウド上でセンサデータ等を保持しアプリケーションを実行するM2Mサーバ,および,PC やスマートフォンで実行されるM2Mクライアントから構成される. また,M2MデバイスやM2Mゲートウェア,M2Mクライアントは,固定式と移動式に分類される.移動式M2Mデバイスは,移動する機器に設置したもの,人・動物に装着したウェアラブル機器や人が持ち運ぶものが該当する.移動式M2Mゲートウェイや移動式M2Mクライアントは,モバイル機器(スマートフォン等)が該当する. M2Mネットワークは,エリアネットワークとアクセス/コアネットワークから構成されており,ワイヤレスネットワークについて図 3.5 のように分類できる. M2MデバイスとM2Mゲートウェイ間のエリアネットワークは,有線(Ethernet,PLC,USB 等)と無線が存在する.有線は,機密性/耐ノイズ性や電源との共用化の観点から使われるケースが多い.無線において限られた領域(狭域)の中にセンサが配置されている場合,低消費電力で近接の複数のセンサから直接データを収集するスター型の BLE(Bluetooth Low Energy)等と,消費電力は大きいが高速で大量データを送信できるローカルエリアネットワーク型のWi-Fi 等と,多数のセンサからメッシュ状に配置されたルータを多段で経由してデータを収集する低消費電力指向のメッ
図 3.4 M2Mシステムの構成
M2Mサービス
M2Mクライアントネットワーク
M2Mサーバ
アクセス /コアネットワーク
M2Mゲートウェイ
M2Mデバイス
インタフェース
センサアクチュエータ
エリアネットワーク
M2Mクライアント移 アプリケーション
M2Mゲートウェイアプリケーション
M2Mサーバ
通信モジュール
ZigBee Wi-Fi
アプリケーション
固
固
移
固
移動ノード
固定ノード
M2Mデバイス
センサアクチュエータ
アプリ
移 固
移
固 M2Mデバイスアプリ固
M2Mデバイスアプリ固
移 移動ノードNFC
RFID など
IP ネットワーク
Bluetooth
3.3 M2Mシステム構築 55
シュ(マルチホップ)型の ZigBee 等の三つに大きく分類できる. 広域に配置されたM2MデバイスとM2Mサーバを直結する場合は,IP プロトコルをベースとしたモバイル通信型のWiMAXや携帯電話通信モジュール(3G,LTE,PHS)が使用される.また,M2MゲートウェイとM2Mサーバ間のアクセス/コアネットワークは,IP プロトコルがベースとなっている.
(2)センサからのデータの処理方法による分類 図 3.6 に,センサからのデータの流れと処理方法を示す.センサで獲得されたデータの処理の流れは,図 3.6 の①~⑤に示すように 5 通りに分類できる.また,アプリケーションとしてデータ処理する場所は,M2Mデバイス,M2Mゲートウェイ,M2Mサーバの 3箇所に,データ処理の形態としてはストリーム処理(フロー型,図 3.6(a))とバッチ処理(ストック型,図 3.6(b))の 2種類に分類できる. データ処理をM2Mデバイスで行う場合(①)は,たとえば,温度が設定値を超えたらアクチュエータであるスイッチを切るなど,自律的にリアルタイムでストリーム処理を行う場合である.従来の組込みシステムがこれに該当する.M2Mデバイスで低消費電力化が求められる場合には,アプリケーションとしては簡潔で軽量なものに制限される. データ処理をM2Mゲートウェイで行う場合(②)には,M2Mデバイスからのセンサデータの集積点として,フィルタ処理など上位への通信トラフィックを削減するための処理が行われる.また,時々刻々集められたセンサデータの流れからリアルタ
図 3.5 M2Mネットワークの構成(ワイヤレスネットワークの場合)
狭域
スター型 データ量:中性能:中
ペリフェラル
WPAN
WLAN
ルータ
WPAN
50 m×マルチホップ数
エンドデバイス
GW
GW
GW
セントラル
アクセスポイント
コーディネータ
サーバ
IP ネットワーク
BLE(10 m)/Bluetooth(15 m)<ZigBee(50 m):小 >
アダプタWi-Fi(30 m)
ZigBeeWireless- HART
LAN 型 データ量:大性能:大
メッシュ(マルチホップ)型
データ量:小性能:低
広域 モバイル通信型
データ量:~大性能:~高
WiMAX WMANWWAN
:M2Mデバイス :距離 GW:M2Mゲートウェイ
携帯電話網
エリアネットワーク アクセス /コアネットワーク
第 3章 M2Mシステム構築技術56
イムでストリーム処理を行い,あらかじめ定められたルールに反する事象を検知して,上位に報告するとともに,下位のアクチュエータを制御する場合もある.閉じられた領域でのM2Mシステムの場合には,M2Mクラウドでのサービスは必ずしも必要でなく,M2Mゲートウェイでほとんどの処理を安価に実現するケースも多い. 広域にわたるM2Mシステムや今まで集積されてきた膨大なデータ(ビッグデータ)を踏まえて分析を行う場合には,センサデータをM2Mサーバに集めて処理が行われる.M2Mサーバでは,時々刻々集められてきたセンサデータをストリーム処理する場合(③)と,いったん蓄積し過去のデータや関連した他のデータを組み合わせてバッチ処理する場合(④⑤)に分類される.処理した結果をわかりやすく可視化したり,ストリーム処理の場合には必要なアクチュエータを駆動する制御データをM2Mデバイスに送信する.最近はスケーラビリティのある M2M 向けのクラウドサービス(M2Mプラットフォーム)が充実してきており,安価で短期間にM2Mシステムを構築できるようになってきている. M2MデバイスとM2Mサーバとの間のM2Mゲートウェイを介したデータの処理の流れについて説明したが,この間での通信形態を整理すると,図 3.7 の①~④のように分類できる. ①は,M2Mデバイスで周期的に,またはイベント発生(センサデータの値が変化)時にセンサデータをM2Mサーバに送信する場合である.②は,M2Mサーバ側から
図 3.6 センサからのデータの流れと処理方法
出力処理
プロトコル変換
入力処理
センサ データの獲得
プロトコル変換
出力処理
(a)ストリーム処理
(a)ストリーム処理
(a)ストリーム処理
アクチュエータ
一時蓄積
一時蓄積
入力処理
(b) バッチ処理蓄積
実行指示表示処理
⑤
③
④
②
①
処力理
処
ロ変
力理
処)ストリ ム
出処
ト変換
ト
プル
入処
入力処
示
力処理
(b) バ積
表示 指
ディスプレイ表示 指示表示
データの蓄積データの接続
制御
M2Mサービス
M2Mクライアントネットワーク
M2Mサーバ
アクセス /コアネットワーク
M2Mゲートウェイ
M2Mデバイス
インタフェース
センサアクチュエータ
エリアネットワーク
3.3 M2Mシステム構築 57
の要求でM2Mデバイスのセンサデータを収集する場合である.③は,M2Mサーバ側から制御命令とデータをM2Mデバイスに送信してアクチュエータを制御する場合である.④は,あらかじめM2Mサーバにイベント条件を設定しておき,イベントを検知したときに,あらかじめ設定されていたノードにイベントの発生を通知する場合である.M2Mデバイス側からM2Mサーバ側にリクエストを送るクライアント/サーバ方式の片方向通信方式(HTTP/HTTPS)の場合には,②③はM2Mサーバ側の状態を定期的に問い合わせるポーリング方式で実現する必要がある.M2MデバイスとM2Mサーバの両方からリクエストを行うことができる双方向通信方式(WebSocket)の場合には,①②③を容易に実現可能である.また,データをトピックスとして送出する(出版)側とそのトピックスを受信する(購読)側でデータの送受信を行うパブリッシュ/サブスクライブ通信方式(MQTT:Message Queue Telemetry Transportなど)の場合は,④を容易に実現することが可能である.具体的な実現方法については,第 4章で説明する.
(3)M2Mを取り巻くエコシステムによる分類
図 3.8 に,M2Mを取り巻くエコシステムを示す.M2Mシステムは,多くの異なる技術を組み合わせた複合領域のシステムであることから,それぞれの技術について得意な事業者が連携して実現することが求められる.このようなM2Mのエコシステムの役割分担として,M2MデバイスやM2Mゲートウェイを提供するM2Mデバイス
図 3.7 M2MデバイスとM2Mサーバ間の通信形態
M2Mデバイス (M2Mゲートウェイ) M2Mサーバ
データ収集
データ分析 /最適化
遠隔制御
イベント設定イベント通知
データ
データ要求
データ
通知
イベント設定
イベント受信
データ
制御命令
応答
センサデータ
センサ対応
アクチュエータ対応
イベント設定
イベント受信
駆動信号
設定④
③
②
①
第 3章 M2Mシステム構築技術58
事業者,アクセス/コアネットワークを提供する通信・ネットワーク事業者,M2Mサービスのプラットフォームを提供するM2M プラットフォーム事業者,および,M2Mプラットフォームの上でM2Mアプリケーションを提供するM2Mアプリケーション事業者に分類できる.この分類はあくまで役割分担であり,いくつかの役割を一つの事業者が担当する場合もある. ユーザは,一般にM2Mデバイス事業者からM2Mデバイスを購入(またはリース,無償貸与)し,必要な機器を必要な装置に組み込んだり,必要な環境に配置したりする.これらのM2Mデバイスから集められたセンサデータが,M2Mプラットフォーム上のM2Mアプリケーションによって処理されてサービスを提供することになる. サービスに利用するデータとして,自分のM2Mデバイスからの個別データを扱う場合(図 3.8(a))と,他のユーザのM2Mデバイスからのデータを含めた集合データとして扱う場合(図 3.8(b))に分類できる.たとえば,農場にセンサを設置して育成管理することにより収量増大を図る場合,自分の農地からのセンサデータに基づいてアクチュエータを制御して自動散水する場合などが個別データの利用によるサービスとなる.他の農場などからの膨大なデータを含めて分析を行い,収量アップの施策に反映するのが,集合データの利用によるサービスになる.ただし,集合データの収集では,プライバシーに関する情報の取り扱いについて検討が必要である.規制が厳し
図 3.8 M2Mを取り巻くエコシステム
役割分担
顧客対応 顧客対応 顧客対応
エネルギー管理
データ収集
セキュリティ
データ分析
デバイス管理
イベント検知
監視 /認証
見守り・介護
API
プラットフォーム
M2Mデバイス(組込みシステム+センサ /アクチュエータ)
提供
ユーザ対価
設備・環境に設置(または内蔵)
ネットワーク網・通信網(グローバル)
農業支援
M2Mアプリケーション事業者
M2Mプラットフォーム事業者
通信・ネットワーク事業者
M2Mデバイス事業者
(a) 個別データ (b) 集合データ
対価
対価
サービス提供
サービス提供
API
顧客対応
アプリケーション基盤
索 引 179
英数字ADSL 52, 139AD変換 80Ajax 27Android 端末 66ANT 123API 69Arduino 18, 65, 67, 85Arduino UNO 71ARIB 121ASP (Application Service Pro-vider) 136BaaS 60, 63BAN (Body Area Network) 127BeagleBone 24BeagleBone Black 65, 86BEMS (Building Energy Management System) 35, 129BLE (Bluetooth Low Energy) 54, 120Bluetooth 51, 117, 126C10k 問題 62CAN 33CATV 52CDMA2000 138CEMS 36CLOP 20CoAP 61CSMA/CA 124CWMP 109DELETEメソッド 70DLNA 100DSMS 105DSRC 32, 122ECHONET 129ECHONET Lite 36, 129Eclipse 61
索 引Edge Heavy Data 106EMS (Energy Management System) 35, 127
ERP (Enterprise Resource Planning) 132
ETC 32Ethernet 117ETSI 1, 46, 151ETSI TC M2M 76Factory Automation 120FOUNDATION Fieldbus 134FTTH 52, 139Geolocation 18GETメソッド 70GPS 12Hadoop 21HEMS (Home Energy Manage-ment System) 35, 119, 129
HTTP/HTTPS 57, 70I2C 29, 88IaaS 62IEEE1888 29, 62, 129IEEE802.11 124IEEE802.11a 124IEEE802.11ac 124IEEE802.11ad 124IEEE802.11af 124IEEE802.11ah 124IEEE802.11b 124IEEE802.11g 124IEEE802.11n 124IEEE802.15.4 123, 126, 135IEEE802.15.4g 123, 128IEEE802.15.6 127IEEE802.15.8 123IoT (Internet of Things) 1
IoT 参照モデル 111IP ネットワーク 66, 67ISA100.11a 123, 135ISO/IEC 29192 165ITS 31Java 24LAN (Local Area Network) 117LED 71LTE (Long Term Evolution) 117, 136, 138Lua 言語 61M2M (Machine-to-Machine) 1M2Mアクセスネットワーク 4, 52, 116, 136, 145M2Mアプリケーション 2, 3, 49, 62M2M アプリケーション事業者 58
M2Mエリアネットワーク 4, 49, 51, 116, 145M2Mクライアント 54M2Mゲートウェイ 3, 49, 54, 93
M2M ゲートウェイプラットフォーム 51, 74, 93
M2Mコア 152M2Mコアネットワーク 4, 52, 116, 152M2Mサーバ 54, 62M2M サービス 3, 49, 54, 62, 101
M2M サービスアプリケーションインタフェース
48M 2M サービスプラットフォーム 51, 75, 101
M2Mサービス要求条件
索 引180
46M2Mシステム 1, 44M2Mシステムの構成 53M2Mシステムの特徴 44M2Mシステムの要件 46M2M セキュリティ 3, 4, 52M2M デバイス 3, 49, 53, 80M2Mデバイス事業者 58M 2M デバイスプラットフォーム 50, 74, 80M2M ネットワーク 2, 4, 51, 116M2Mプラットフォーム 2, 3, 50, 73M2M プラットフォーム事業者 58M2M フレームワーク 2, 46M2X 63Machine Type Communica-tion 140mbed 86MES 131MetBroker 20MOTE 85MQTT 57, 61, 62MTC 140NAS Confi guration Parameter 140NICE 25Node.js 62OMA-DM 61, 109oneM2M 1, 78openATOMS 23Open-FS 18OpenJDK 24OSGi 61, 94, 96, 97OSGi Alliance 96OS レス 83PaaS 62PAN (Personal Area Network)
121Parse 63PDCA 63PHP 24PLC (制御,Programmable Logic Controller) 29, 132PLC(通信,Power Line Com-munication) →電力線通信
POS 5POSTメソッド 70Processing 67PROFIBUS PA 134PUTメソッド 70PWM 67, 81Raspberry Pi 65, 86SaaS (Software as a Service) 62, 136SCADA (Supervisory Control And Data Acquisition)
4, 61, 132, 170SDO 1SoC 51SPE 106SPI 88SRD (Short Range Device) 121SUN (Smart Utility Network) 123, 128TCU 33TDMA (Time Division Multiple Access) 135Telemedicine 40ThingSpeak 19TIA TR-50 78TR-069 99TSCH (Time Slotted Channel Hopping) 135TSP 33Twilog 19Twitter 18UART 88UECS 29
UPnP 100URI 70USART 88UWB 123VICS 32WebSocket 57, 62Web サーバ 61Wi-Fi 23, 51, 54WiMAX (Worldwide Inter-operability for Microwave Access) 52, 55, 117, 136, 138WirelessHART (Highway Addressable Remote Trans-ducer Protocol) 123, 135WSN OS 83XBee 69, 71xDSL (Digital Subscriber Line) 117Xively 63, 67XML 24ZigBee 24, 51, 55, 67, 117, 123ZigBee IP 128Z-Wave 117, 1271-Wire 883D プリンタ 59, 633G 117, 136, 1383GPP 1383GPP2 1383G ネットワーク 236LoWPAN 616LoWPAN/RPL 128あ 行アクセス制御 157アクチュエータ 67圧電効果方式 91アップロード型データ収集方式 102アドホックネットワーク 11アドホック無線ネットワーク
索 引 181
23アプリケーションサービス 49アプリケーション層 152アベイラビリティ 117安心/安全 5安全性 45, 47異種混合性 44一時蓄積データ収集方式 102移動型端末 51イベント駆動 62イベントモデル型 61イベントモデル型OS 84ウェアラブル機器 54ウェアラブルデバイス 51ウェイクアップ方式 108運輸 5エネルギー管理 5エネルギーハーベスティング技術 90遠隔医療 40遠隔制御 49演習プロセス 71欧州電気通信標準化機構 →ETSIオープンM2Mシステム 60オープンクラウドサービス 59, 62オープンソースハードウェア 26オープンソフトウェア 59, 61オープン通信プロトコル 59, 62オープンテクノロジ 43, 53, 60, 63オープンデザイン 59オープンデータ 59オープンハードウェア 59, 61, 85温室制御システム 29
温度センサ 71か 行改ざん 148課金機能 47, 51仮想マシン型 61仮想マシン型OS 84片方向通信方式 57価値創造 10可用性 117簡易型 83監視型 8完全性 156機能向上 10基本サービス機能 47脅威 145, 146, 148供給とプロビジョニング 5区間データ集約収集方式 102組込み型 84クライアント/サーバ方式 57クラウド型データセンター 24クラウドサービス 56グループ鍵管理技術 168携帯電話通信モジュール 55軽量化 164ゲートウェイ 117, 145, 152ゲートウェイドメイン 49健康 5公開鍵暗号 166攻撃者 145, 146, 148高信頼性 45, 47高度交通システム 31コスト削減 9混合型 9さ 行サービス起動機能 153サービス機能層 152サービス実現機能 76サービスドメイン 49
サービスプラットフォーム 50システム運用管理センター 24次世代送電網 119持続可能性 118実時間性 46, 117シティオートメーション 5自動運用 45児童見守りシステム 10車車間システム 33照度センサ 71情報ネットワーク 131シリアル通信 86シングルスレッド 62振動発電方式 90信頼性 117垂直型 43, 49, 118水平型 43, 75, 118水平型開発 50スケーラビリティ 44, 167スター型 54, 120ストック型 55ストリーム暗号 166ストリーム処理 55, 56スマート革命 5スマートグリッド(Smart Grid) 119, 127
スマートハウス 61スマートフォン 27, 51スループット 46, 118スレッドモデル型 61スレッドモデル型OS 84脆弱性 144静電誘導方式 91赤外線 122セキュリティ 45セキュリティ対策 144, 150
セキュリティプラクティス 170接続鍵 163
索 引182
接続管理機能 75セマンティクス 112センサ/アクチュエータとの通信機能 80センサネットワーク 15, 51, 125相互運用性 44双方向通信 52, 57, 108た 行タイムスタンプ 157タイムラプス画像 17タブレットコンピュータ 27短距離無線 120短波帯 PLC 129逐次データ収集方式 102中継機 11直接アクセス方式 106通信・ネットワーク事業者 58ツリー型 120低コスト 50, 52, 61低周波数帯 PLC 129低消費電力 46, 47, 50, 52, 61低消費電力化技術 89低消費電力ネットワーク 61デジタルファブリケーション 59データ活用型 8データ収集 51, 102データ処理 55データ蓄積 105データ転送能力 →スループットデータ分析・可視化 105データ容量 118デバイス 145, 152デバイス管理 51, 61, 108デバイス抽象化 112デバイスドメイン 49デバイス認証 76
テレメータリング 4電界強度 11電源管理機能 81電磁誘導方式 91電力管理機能 81電力線通信 36, 117, 129特定小電力無線 11, 36, 121ドメイン 2, 49トリガ条件 68な 行日本道路交通情報センター 32認証サーバ 153ネットワーク管理 51熱発電方式 92は 行パーソナルファブリケーション 17
バッチ処理 55, 56パブリッシュ/サブスクライブ型 62
パブリッシュ/サブスクライブ型データ収集方式
104パブリッシュ/サブスクライブ通信方式 57
パワーマネジメント回路 92バンドル 96バンドルのライフサイクル管理 98
汎用型OS 84ピアツーピア型 120光ファイバ 139微弱無線 122ビッグデータ 56標準開発機関 1ファクトリーオートメーション 120
ファクトリーオートメーションネットワーク 131
フィジカルコンピューティング 67
フィードバック型 8フィードバック制御 106フィールドサーバ 15フィールドネットワーク 132フィールドバス 133フィールドモニタリングシステム 23フェイルセーフ機構 144フェノミクス 16複雑系 15プッシュ通知 63ブートストラップ 160プライバシー 45, 58フリーCAD 63プログラマブルロジックコントローラ →PLC(制御)プロセスオートメーション 133ブロック暗号 165プロテオーム 16プロトコル変換 51プロトタイプ 60, 63ベンダロックイン 59ホームエネルギーマネジメントシステム →HEMSポーリング型データ収集方式 103ポーリング方式 57, 107ま 行マイコン 51, 61, 65マスタ/スレーブ通信 132マルチアプリケーション 52マルチサービス機能 47マルチスレッド 61マルチタスク 61無線 LAN 51, 124無線系ネットワーク 115無体物 59メタボローム 16メッシュ型 120メッシュネットワーク 67
索 引 183
メッシュ(マルチホップ)型 54モーションネットワーク 132, 133モバイル機器 54モバイル通信型 55や 行有線ネットワーク 115有体物 59ユースケース 48ユビキタスネットワーク社会
5ら 行リアルタイム 55, 117リアルタイムOS 84リスク 144リスク分析 147リライアビリティ 117ルート鍵 163レイヤ 3ローカルエリアネットワーク型 54
ロケーション機能 63路車間システム 31ロングポーリング方式 107わ 行ワイヤレスセンサネットワークOS 52, 60, 61, 83, 125
ワイヤレスネットワーク 54
編集担当 千先治樹(森北出版) 編集責任 藤原祐介・富井 晃(森北出版) 組 版 コーヤマ 印 刷 創栄図書印刷 製 本 同
M2M/IoTシステム入門 Ⓒ 電気学会 2016
2016年 3月 30日 第 1版第 1刷発行 【本書の無断転載を禁ず】
編 者 電気学会 第 2次M2M技術調査専門委員会発 行 者 森北博巳発 行 所 森北出版株式会社
東京都千代田区富士見 1-4-11 (〒 102-0071)電話 03-3265-8341/FAX 03-3264-8709http://www.morikita.co.jp/
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落丁・乱丁本はお取替えいたします.
Printed in Japan/ISBN978-4-627-85331-7