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地域医療ビッグデータ入門 NDBデータ病院経営医学研究に活用する 2018年12月7日19:45-21:15 国際医療福祉大学大学院 乃木坂スクール @東京赤坂キャンパス304 吉村健佑 MD, MPH, PhD. [email protected] 千葉大学医学部附属病院 病院経営管理学研究センター 特任講師 国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 客員研究員

地域医療ビッグデータ入門 NDBデータ 病院経営と …地域医療ビッグデータ入門 NDBデータを病院経営と医学研究に活用する 2018年12月7日19:45-21:15

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地域医療ビッグデータ入門

NDBデータを病院経営と医学研究に活用する

2018年12月7日19:45-21:15

国際医療福祉大学大学院 乃木坂スクール

@東京赤坂キャンパス304

吉村健佑 MD, MPH, PhD.

[email protected]

千葉大学医学部附属病院 病院経営管理学研究センター 特任講師

国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 客員研究員

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本日のお話

1:NDBの概要と活用の実際

2:NDBオープンデータの活用法

1

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医療・介護分野におけるICTの活用と課題

○電子カルテの普及を推進

現在までの取組

今後の課題

○健診・医療・介護のレセプトを中心とした公的データベースを整備・拡充

出典:厚生労働省医療施設調査

◆電子カルテの普及状況

◆ネットワーク数の推移

0

100

200

300

H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H30

0

1000

2000

H15 H17 H20 H22 H24 H26 H28

◆対象病院数

(%)NDB

患者

中核病院診療所

薬局

健診機関

患者

中核病院

診療所

薬局

健診機関

1.デジタル化・標準化 2.ネットワーク化 3.ビッグデータ化

・あじさいネット(長崎県)・晴れやかネット(岡山県)

DPC

⑴電子カルテの互換性が不十分で、分析に足りるデータの標準化・ルール化がなされていない

⑵従来標準化してきた医療データは、治療実績(アウトカム)が比較検証できるデータが十分でない

⑶良くなるための介護のケア内容のデータがなく科学的分析がなされていない

0

50

100

150

H21 H23 H25 H27

◆レセプト件数(億件)出典:日医総研

DPCデータ(急性期病院の入院のレセプトデータ等を蓄積)

ナショナルデータベース(レセプト・特定健診等のデータを蓄積)

介護DB

○医療データの標準規格を策定

患者基本情報

検査データ

・情報の交換規約(交換するデータの項目、記載ルール)・用語/コード(医学用語、検査コード等)・フォーマット(放射線画像、心電図の波形等)

介護事業所

⑴ネットワークが、域内の医療機関の参加率が高くない上、全国統一のインフラとなっていないネットワークの相互利用や全国的共有のための全国共通の医療等IDの導入が必要(平成32年からの本格運用を目指す)

⑵個人の健康なときから疾病・介護段階までの基本的な健康づくり・健診・医療・介護データが統合されていない

⑴現在のデータベース間では、データの連結ができておらず、健康づくり・健診・医療・介護を通じた分析ができない

⑵レセプトに基づく情報が中心で、カルテの有用な情報の活用が限定的

⑶データベースについての産官学の利用環境が整っていない(匿名化やデータの提供ルール等)

⑷健康・医療データを活用した疾病予防などの保険者機能の発揮が不十分

ネットワークで共有される情報閲覧の画面例

県全域で治療や調剤に関する情報をネットワークに参加する病院、診療所、介護事業所等で連携

全国に普及・展開

介護保険総合データベース(介護保険レセプトデータと要介護認定データを蓄積)

年々ネットワーク数は増加(約250)

一定規模以上の医療機関では約8割

※予定含む

0

50

100

H17 H20 H23 H26

400

床以

出典:厚生労働省調べ

平成21年度~ 収集開始

出典:厚生労働省調べ

○地域の医療機関などが患者情報を共有するネットワークの構築を推進

処方データ

例平成28年度中 構築

◆レセプト件数(億件) 出典:厚生労働省調べ

0

5

H24 H25 H26 H27

2

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厚生労働省保険局公表資料より作成

データを溜めるだけでは意味がない!!公開・活用しよう!!

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4厚生労働省保険局公表資料より作成

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6

診療年月

医療機関コード(保険医療機関名→ 削除)

性別、生年月(生年月日の日、氏名→削除)

傷病名 → 傷病行為コード転帰、診療実日数

診療行為 →診療行為コード12再診13医学管理14在宅20投薬30注射40処置50手術60検査70画像 等

請求点数

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特定健診・特定保健指導データの内容

特定健診、特定保健指導は、データベース上に別々のファイルで保管。主な記録されている項目は以下のとおり。

○受診情報(実施日等)○保険者番号○特定健診機関情報(機関番号のみ)○受診者情報の一部(男女区分、郵便番号)○健診結果・問診結果○保健指導レベル○支援形態○特定保健指導のポイント数 など

以下の項目は、同一人を特定する方策を講じた上で(後述)、匿名化のため削除されて、データベースに収集される。

○特定健診・保健指導機関の郵便番号、所在地、名称、電話番号 ○医師の氏名 ○被保険者証の記号及び番号 ○受診者の氏名 ○受診券有効期限

7

2,000万人を超える受診者の身長、体重、血圧、HbA1c、中性脂肪等のデータを含む。

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入手可能なNDBデータ

①第三者提供 : 研究課題ごとに利用申請行う・集計表情報

・サンプリングデータセット

・特別抽出

②NDBオープンデータ : 厚生労働省HPにて公開中

・2016年10月に「第1回NDBオープンデータ」が公表された

・単純集計した基礎的な集計表

厚生労働省保険局公表資料より作成

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①国の行政機関②都道府県、市区町村③研究開発独立行政法人等④大学・大学院⑤医療保険者の中央団体⑥医療サービスの質の向上等をその設立目的の趣旨に含む国所管の公益法人⑦提供されるデータを用いた研究の実施に要する費用の全部又は一部を国の行政機関から補助されている者

提供依頼申出者の範囲

※①から⑥に所属する常勤の役職員が対象。

9

NDBの提供依頼の申出を行える者

「ガイドライン」「マニュアル」

(改訂作業中)

「診療報酬早見表」レセプトの項目や構造に慣れる

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10厚生労働省 第41回レセプト情報・有識者会議資料(2018年6月)

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研究利用の具体例「抗精神薬の処方パターン」

➢ 日本における統合失調症患者への処方状況は、諸外国と比して、単剤で投与される率が著低く、3剤以上併用される多剤大量投薬の割合が高いことが問題視され、その要因分析がなされてきた。

➢ 多剤大量投薬に関するこれまでの日本の大規模調査においては、一定数の患者を対象とした調査であるが、比較的意識の高い医療機関の処方パターンである事、地域や薬剤が限定されているため全国の入院

統合失調症患者の抗精神薬処方パターンを反映しているかは不明であり、また外来患者の情報は極めて限られていた。

➢ 日本全国の統合失調症患者への抗精神薬の処方パターンを検討すると共に、2010年に新設された、抗精神病薬のシンプルな処方に対する

経済的インセンティブの臨床への影響(効果)を明らかにする事が試みられた。

研究の背景

➢ 2011年10月診療分の「サンプリングデータセット」を用いた。

利用したデータ

伊藤 弘人氏(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所)奥村 泰之氏(医療経済研究機構研究部) 『統計』2014年10月号

論文執筆者 ・著作

➢ 精神科出来高病棟入院・精神科外来別に単剤処方の割合いは(27%・50%)、4剤以上の処方割合は(20%・6%)であった。

➢ 非定型向精神薬の処方が2種類以下である

割合はどの年齢階級別に見ても、出来高病棟は包括病棟より低かった。特に若年層でその傾向が強かった(図2)。

12新聞掲載 ( 8 月 2 0 日 朝 日 新 聞 朝 刊 よ り 抜 粋 )

提供による成果の具体例(サンプリングデータセット)

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精神科の多剤投与外来患者で減少傾向中医協検証部会最終報告 平成26年度調査結果

• 平成26年度 診療報酬改定

多剤投与の場合の処方せん料・処方料・薬剤料の減額措置を導入

薬剤種類 平成25年10月 平成26年10月

抗不安薬(3種以上) 1.5% 1.2%

睡眠薬(3種以上) 7.6% 3.9%

抗うつ薬(4種以上) 0.1% 0.1%

抗精神病薬(4種以上) 5.3% 3.8%

睡眠薬・抗精神病薬の多剤投与に関し「改定の減算措置に一定の効果があった」と評価

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3種類以上処方された処方箋:11.9%4種類以上:2.3%5種類以上:0.4%

精神科の多剤投与:全体で減少傾向中医協 診療報酬改定結果検証部会(第52回:H29年5月31日資料より)

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16厚生労働省保険局公表資料より作成

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2017年11月8日 財務省主計局資料

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(新) オンライン診療料 70点(1月につき)

[算定要件]

(1) オンライン診療料が算定可能な患者に対して、リアルタイムでのコミュニケーションが可能な情報通信機器を用いてオン

ラインによる診察を行った場合に算定。

(2) 初診から6月の間は毎月同一の医師により対面診療を行っている場合に限り、連続する3月は算定できない。

(3) 患者の同意を得た上で、対面による診療(対面診療の間隔は3月以内)とオンラインによる診察を組み合わせた療養計

画を作成し、当該計画に基づき診察を行う。

(4) 当該保険医療機関に設置された情報通信機器を用いて診察を行う。

[施設基準](1) 厚生労働省の定める情報通信機器を用いた診療に係る指針等に沿って診療を行う体制を有すること。(2) 緊急時に概ね30分以内に当該保険医療機関において診察可能な体制を有していること(3) 一月あたりの再診料等(電話等による再診は除く)及びオンライン診療料の算定回数に占めるオンライン診療料の割合が1割以下であること。

[オンライン診療料が算定可能な患者]以下に掲げる管理料等を算定している初診以外の患者で、かつ、当該管理に係る初診から6月以上を経過した患者。

平成30年度診療報酬改定 Ⅱ-2-1)遠隔診療の評価②

18

特定疾患療養管理料 地域包括診療料

小児科療養指導料 認知症地域包括診療料

てんかん指導料 生活習慣病管理料

難病外来指導管理料 在宅時医学総合管理料

糖尿病透析予防指導管理料 精神科在宅患者支援管理料

オンライン診療料の新設

情報通信機器を活用した診療について、対面診療の原則の上で、有効性や安全性等への配慮を含む一定の要件を満たすことを前提に、オンライン診療料を新設する。

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(新) 在宅酸素療法指導管理料 遠隔モニタリング加算 150点(1月につき)

(新) 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料 遠隔モニタリング加算 150点(1月につき)[算定要件]

(1) 前回受診月の翌月から今回受診月の前月までの期間、遠隔モニタリングを用いて療養上必要な指導を行った場合、遠隔モニタリング加算として、2月を限度として所定点数に加算。

(2) 患者の同意を得た上で、対面による診療と情報通信機器による診察を組み合わせた療養計画を作成し、当該計画に基づき診察を行った上で、その内容を診療録に添付している。

(3) 対面診療の間に、適切な指導・管理を行い、状況に応じて適宜患者に来院等を促す等の対応を行うこと。(4) 少なくとも月1回は、モニタリングにより得られた臨床所見等を診療録に記載しており、また、必要な指導を行った際には、当該指導内容を診療録に記載していること。

[施設基準](1) 厚生労働省の定める情報通信機器を用いた診療に係る指針等に沿って診療を行う体制を有する保険医療機関であること。(2) 緊急時に概ね30分以内に当該保険医療機関において診察可能な体制を有していること。

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1ヵ月目 2ヵ月目 3ヵ月目 4ヵ月目

遠隔モニタリングによる指導管理

指導管理料機器加算

対面受診 対面受診

機器加算

機器加算

指導管理料機器加算遠隔モニタ

リング加算遠隔モニタリング加算

※請求は対面受診月 ※請求は対面受診月

遠隔モニタリングによる指導管理

※それぞれの管理料ごとに、別途施設基準が定められていることに留意。

遠隔モニタリング加算の新設

平成30年度診療報酬改定 Ⅱ-2-1)遠隔診療の評価⑤

在宅酸素療法指導管理料及び在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料について、情報通信機器等を併用した指導管理を評価する観点から、遠隔モニタリング加算を新設する。

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第1回NDBオープンデータにみる 性・年齢階層別算定回数(平成26年度1年間実績)

高齢者・男性を中心に算定

20

0

50,000

100,000

150,000

200,000

250,000

0~

4歳

5~

9歳

10~

14歳

15~

19歳

20~

24歳

25~

29歳

30~

34歳

35~

39歳

40~

44歳

45~

49歳

50~

54歳

55~

59歳

60~

64歳

65~

69歳

70~

74歳

75~

79歳

80~

84歳

85~

89歳

90歳以上

0

50,000

100,000

150,000

200,000

250,000

300,000

350,000

400,000

450,000

500,000

0~

4歳

5~

9歳

10~

14歳

15~

19歳

20~

24歳

25~

29歳

30~

34歳

35~

39歳

40~

44歳

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49歳

50~

54歳

55~

59歳

60~

64歳

65~

69歳

70~

74歳

75~

79歳

80~

84歳

85~

89歳

90歳以上

C103 在宅酸素療法指導管理料(その他)(2500点)総計 1,483,799 男性:912399回女性:571400回

C107-2 在宅持続陽圧呼吸療法(250点)総計 3,895,496回男性:3382198回女性:513298回

幅広い年齢層・ほぼ男性に対し算定

HOT nCPAP

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0

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

180000

0~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59 60~64 65~69 70~74 75-79 80-84 85-89 90over

(外来+入院)K282水晶体再建術【眼内レンズを挿入する場合:その他】

male female

(実例)水晶体再建術(2015年度 性・年齢階級別)

分析対象総数:1,184,600.

(男:511,031 女:673,569)

高齢者・女性の算定回数が多い

90歳以上にも20,000回以上の実施あり

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0

5000

10000

15000

20000

25000

30000

(外来+入院)K276網膜光凝固術【通常+その他特殊】

male female

分析対象総数:249,258 .(男:142,777 女:106,481 )

(実例)網膜光凝固術(2015年度 性・年齢階級別)

中年から初老・男性の算定回数が多い

90歳以上にも2,000回以上の実施あり

未熟児網膜症

網膜剥離?

糖尿病性網膜症?

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抗不安薬・睡眠薬の性・年齢別処方総量(外来・院外処方)

0

5,000,000

10,000,000

15,000,000

20,000,000

25,000,000

5~

9歳

10~

14歳

15~

19歳

20~

24歳

25~

29歳

30~

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40~

44歳

45~

49歳

50~

54歳

55~

59歳

60~

64歳

65~

69歳

70~

74歳

75~

79歳

80~

84歳

85~

89歳

90歳以上

リーゼ5㎎錠

0

2,000,000

4,000,000

6,000,000

8,000,000

10,000,000

12,000,000

10~

14歳

15~

19歳

20~

24歳

25~

29歳

30~

34歳

35~

39歳

40~

44歳

45~

49歳

50~

54歳

55~

59歳

60~

64歳

65~

69歳

70~

74歳

75~

79歳

80~

84歳

85~

89歳

90歳以上

ハルシオン0.25㎎錠

0

2,000,000

4,000,000

6,000,000

8,000,000

10,000,000

12,000,000

14,000,000

5~

9歳

10~

14歳

15~

19歳

20~

24歳

25~

29歳

30~

34歳

35~

39歳

40~

44歳

45~

49歳

50~

54歳

55~

59歳

60~

64歳

65~

69歳

70~

74歳

75~

79歳

80~

84歳

85~

89歳

90歳以上

ソラナックス0.4㎎錠

0

5,000,000

10,000,000

15,000,000

20,000,000

25,000,000

5~

9歳

10~

14歳

15~

19歳

20~

24歳

25~

29歳

30~

34歳

35~

39歳

40~

44歳

45~

49歳

50~

54歳

55~

59歳

60~

64歳

65~

69歳

70~

74歳

75~

79歳

80~

84歳

85~

89歳

90歳以上

マイスリー5㎎錠

60~65歳以上の女性に対して、処方量が上昇

処方総量 177,721,113

男性合計 54,069,761

女性合計 123,651,136

処方総量 119,496,411

男性合計 47,698,101

女性合計 71,797,745

処方総量 165,083,364

男性合計 43,368,459

女性合計 121,714,901

処方総量 178,103,763

男性合計 59,800,161

女性合計 118,303,598

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2018年8月・英文誌に原著論文として Accepted.

公開データでも研究的な価値あり

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入院+外来

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入院+外来

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入院+外来

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外来

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外来

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入院

地域によってに受ける医療が異なる

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入院

2016年度

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特定健診データ

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○診療行為の地域差が生じる要因は様々あり

○どの要因によって地域間の差が生じているか、NDBオープンデータだけで判断することは困難

1)医療行為の適用となる疾患の潜在的な罹患率

2)疾患・症状についての本人の認知・受診・受療行動

3)疾患に対する医師の医療行為の選択

4)医療行為実施後の医療機関の保険請求

33

地域差が生じる背景について

生態学的研究(エコロジカルスタディ)などにより、要因を検討する必要がある

西内啓. 社会保険旬報.2016.(一部改変)

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1)診療行為(手術A)の「性年齢階級別算定回数」を「全国の性年齢別人口」で割る

→年齢階級別の「手術Aの出現率」を算出

2)「手術Aの出現率」×「S県の年齢階級別人口」=「S県の手術A算定回数の期待値」3)「S県の手術A算定回数の期待値」と「実際の都道府県別算定回数」を比較

4) 「S県の手術A算定回数」 >> 「S県の手術A算定回数の期待値」の場合

①患者発生率が高い ②周辺県からの患者流入 ③供給過剰

「S県の手術A算定回数」 << 「S県の手術A算定回数の期待値」 の場合

①患者発生率が低い ②周辺県への患者流出 ③医療提供機能の不足

などの仮説が成り立つ

5)自院のデータ(手術Aの回数)を活用して、県内のシェアを計算、

自院の位置づけや経営判断に生かすことも可能

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NDBオープンデータ:分析手順の例

都道府県別の診療の需要予測・自院の経営分析に利用可能分析には医学的知見・レセプトのデータに精通することが必要

石川B光一.MEDIFAX.2016.11.11.

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経時データの分析

第1回NDBオープンデータ

2014年(H26年度)

第2回NDBオープンデータ

2015年(H27年度)

第3回NDBオープンデータ

2016年(H28年度)

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時系列で並べて変化を見ることも可能

診療報酬改定!

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糖尿病(40歳以上)の人口一人当たり医療費

○各都道府県において、糖尿病患者(40歳以上に限る。)に係る入院外医療費を人口(40歳以上に限る。)一人当たりで見たものをグラフにしている。

※ NDBより都道府県別の糖尿病患者(40歳以上)に係る入院外医療費を集計し、それを都道府県別の(患者調査による糖尿病患者数/NDBによる糖尿病患者数)を調整係数として乗じたうえで、人口当たりで除すことにより算出。

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

北海道

青森県

岩手県

宮城県

秋田県

山形県

福島県

茨城県

栃木県

群馬県

埼玉県

千葉県

東京都

神奈川県

新潟県

富山県

石川県

福井県

山梨県

長野県

岐阜県

静岡県

愛知県

三重県

滋賀県

京都府

大阪府

兵庫県

奈良県

和歌山県

鳥取県

島根県

岡山県

広島県

山口県

徳島県

香川県

愛媛県

高知県

福岡県

佐賀県

長崎県

熊本県

大分県

宮崎県

鹿児島県

沖縄県

人口一人当たりの「糖尿病患者の医療費」(40歳以上) 全国平均

厚生労働省保険局『医療費適正化基本方針の改正・医療費適正化計画について』より引用、改変

上位5県

広島県三重県和歌山県福島県香川県

下位5府県

京都府長野県千葉県埼玉県愛知県

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糖尿病治療ガイドライン

一般社団法人 日本糖尿病学会『糖尿病治療ガイド2016-2017』より引用

カテゴリーⅠでSU薬やグリニド薬を使用する場合、65歳を過ぎたらHbA1cの目標値が変わるため、必要量が少なくなる可能性が高い。

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糖尿病標準診療マニュアル

国立国際医療研究センター 『糖尿病標準診療マニュアル』より引用

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「630調査」の活用:人口当たり精神科医師数(常勤)(平成27年6月時点)

0

0.00002

0.00004

0.00006

0.00008

0.0001

0.00012

0.00014

0.00016

0.00018

北海道

青森県

岩手県

宮城県

秋田県

山形県

福島県

茨城県

栃木県

群馬県

埼玉県

千葉県

東京都

神奈川県

新潟県

富山県

石川県

福井県

山梨県

長野県

岐阜県

静岡県

愛知県

三重県

滋賀県

京都府

大阪府

兵庫県

奈良県

和歌山県

鳥取県

島根県

岡山県

広島県

山口県

徳島県

香川県

愛媛県

高知県

福岡県

佐賀県

長崎県

熊本県

大分県

宮崎県

鹿児島県

沖縄県

人口あたり精神科医師数(常勤)

医師数多い:沖縄・宮崎・熊本・佐賀・高知医師数少ない:千葉・神奈川・岐阜・和歌山・埼玉

合計:10419人

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まとめ

公開情報を組み合わせることで医療提供の実態把握と医学研究の遂行が可能!

①各公開データの特徴を知れば一定の解析が可能

②地域で提供された医療の内容・総量

⇒「NDBオープンデータ」で可視化

診療行為・薬剤の提供状況を知る