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1 「日本再興戦略」改訂 2015 -未来への投資・生産性革命- (新たに講ずべき具体的施策) 平成 27 年 6 月 30 日 閣議決定 <目次> 第一 総論 Ⅰ.日本再興戦略改訂の基本的な考え方 Ⅱ.改訂戦略における鍵となる施策 Ⅲ.更なる成長の実現に向けた今後の対応 Ⅳ.改訂戦略の主要施策例 第二 3つのアクションプラン 一. 日本産業再興プラン 1.産業の新陳代謝の促進 2.雇用制度改革・人材力の強化 3.大学改革/科学技術イノベーションの推進/世界最高の知財立国 4.世界最高水準の IT 社会の実現 5.立地競争力の更なる強化 6.地域活性化・地域構造改革の実現/中堅企業・中小企業・小規模事業 者の革新 二.戦略市場創造プラン テーマ1:国民の「健康寿命」の延伸 テーマ2:クリーン・経済的なエネルギー需給の実現 テーマ3:安全・便利で経済的な次世代インフラの構築 テーマ4:世界を惹きつける地域資源で稼ぐ地域社会の実現 三.国際展開戦略 第三.革命のモメンタム~「改革2020」の推進~ 関連部分抜粋 参考資料2 科学技術・学術審議会 総合政策特別委員会 (第 10 回) H27.8.31

「日本再興戦略」改訂 2015 関連部分抜粋2015/09/02  · 1 「日本再興戦略」改訂2015 -未来への投資・生産性革命- (新たに講ずべき具体的施策)

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「日本再興戦略」改訂 2015 -未来への投資・生産性革命-

(新たに講ずべき具体的施策)

平成 27年 6月 30日 閣議決定

<目次>

第一 総論

Ⅰ.日本再興戦略改訂の基本的な考え方

Ⅱ.改訂戦略における鍵となる施策

Ⅲ.更なる成長の実現に向けた今後の対応

Ⅳ.改訂戦略の主要施策例

第二 3つのアクションプラン

一. 日本産業再興プラン

1.産業の新陳代謝の促進

2.雇用制度改革・人材力の強化

3.大学改革/科学技術イノベーションの推進/世界最高の知財立国

4.世界最高水準の IT社会の実現

5.立地競争力の更なる強化

6.地域活性化・地域構造改革の実現/中堅企業・中小企業・小規模事業

者の革新

二.戦略市場創造プラン

テーマ1:国民の「健康寿命」の延伸

テーマ2:クリーン・経済的なエネルギー需給の実現

テーマ3:安全・便利で経済的な次世代インフラの構築

テーマ4:世界を惹きつける地域資源で稼ぐ地域社会の実現

三.国際展開戦略

第三.革命のモメンタム~「改革2020」の推進~

関連部分抜粋

参考資料2 科学技術・学術審議会 総合政策特別委員会 (第 10 回) H27.8.31

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第二 3つのアクションプラン

一.日本産業再興プラン

1.産業の新陳代謝の促進

ⅱ)サービス産業の活性化・生産性向上

我が国の GDPの約7割はサービス産業で占められており、我が国経済

の成長には、サービス産業の活性化・生産性の向上が不可欠である。こ

のため、「サービス産業チャレンジプログラム」(平成 27年4月 15日日

本経済再生本部決定)に基づき以下の施策を実行できるものから迅速に

着手し、サービス産業の労働生産性の伸び率を、2020年までに 2.0%と

することを目指す(2013年時点:0.8%)。

・ 業種横断施策

ベストプラクティスの徹底普及(日本サービス大賞、経営課題と解

決策の「見える化」等)、サービス品質の評価(日本版顧客満足度

指数の普及促進等)、人材育成(大学・専門学校等における経営・

職業人材の育成推進等)、独立行政法人日本貿易振興機構等を活用

した海外展開支援、都市のコンパクト化・ネットワーク化等

iii)ベンチャー支援

③次世代を担うグローバル・ベンチャー育成支援

イ)我が国の強みを活かした研究開発型ベンチャーの育成とエコシス

テム構築

・ 我が国は優れた技術力を有しており、それを活用したベンチャ

ー企業の創出・発展のポテンシャルは大きい。研究開発型ベン

チャーの育成とエコシステム構築を図るため、国立研究開発法

人新エネルギー・産業技術総合開発機構が国内外のベンチャー

ファンド等(アクセラレータ)を認定し、当該ファンド等が支

援するベンチャー企業に提携先や投資家等とのマッチング等の

支援を行う。

・ 大学等の革新的な技術を基にした研究開発型の大学等発ベンチ

ャーは、高い競争力を持ち、グローバル・ベンチャーへと成長

する可能性を持つ。このため、強い大学等発ベンチャー創出に

資するような技術の発掘・育成を行い、関係省庁が実施する海

外の投資家とのネットワーク構築、グローバルに展開する大手

企業とのマッチング等の関連施策と連携することで、我が国に

おける研究開発型ベンチャー創出とグローバル展開を加速する。

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④グローバル・ベンチャー企業創出の苗床となる大学改革

国内外の様々なリソースを呼び込みグローバル競争力の向上を目

指す経営力を有する大学である「特定研究大学(仮称)」に、ベンチ

ャー創出のプラットフォームの機能も併せ持たせる。このため、「特

定研究大学(仮称)」におけるグローバル・マーケットに関する目利

き力を有する海外のベンチャー支援人材の我が国への呼び込み、創業

支援、国内外の優れた創業人材の登用やこのような創業人材等による

実践的な創業人材育成や技術の目利き人材育成の実施等を、関係府省

等による各種のベンチャー関連施策を密接に関連させて支援・促進す

る。また、同様に、「卓越大学院(仮称)」については、文理融合領域

や IoT・ビッグデータ・人工知能等の新領域・新産業の創造の観点も

踏まえた分野の設定がなされ、複数の大学、研究機関、企業、海外機

関等が連携する仕組みとする。【後掲】(「3.大学改革/科学技術イノ

ベーションの推進/世界最高の知財立国」において記載。

さらに、バイオ・医療分野(特に医療機器開発)のイノベーション

を担う人材等を育成するため、大阪大学・東京大学・東北大学がスタ

ンフォード大学と連携し、医療現場での実践的教育プログラムを実施

することを支援する。

v)IoT・ビッグデータ・人工知能等による産業構造・就業構造の変革

① ITを活用した産業の競争力の強化

イ)足下で動きつつある新たなビジネスとその対応

2020 年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を見据え、以

下のリーディングプロジェクトを推進し、新産業・新サービスの創

出を促進する。

・2020 年に日本の最先端の科学技術を世界に発信するための9つの

実用化プロジェクト(次世代都市交通システム、水素エネルギーシ

ステム等)を推進する。自動走行技術については、国家戦略特区に

おける近未来技術実証に関する取組等と併せて、ロボット新戦略に

基づく規制改革の動きとも連動し必要な制度改革を進める。

④未来社会を見据えた共通基盤技術等の強化

・前述の推進方策等を踏まえ、人工知能や情報処理技術、高性能デバ

イス、ネットワーク技術、電波利用技術等については、世界最先端

の技術・知見を我が国に集積するためのコアテクノロジーの確立及

び社会実装を推進する。また、同様に、IoT・ビッグデータ・人工

知能に関し、分野を越えて融合・活用する次世代プラットフォーム

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の整備に必要となる研究開発や制度整備改革等を行うとともに、新

たなビッグデータ利活用と高精度・高速シミュレーションを実現す

る最先端スーパーコンピュータの利用に係る研究開発とその産業

利用の促進に取り組む。

2.雇用制度改革・人材力の強化

2-1.失業なき労働移動の実現/マッチング機能の強化/多様な働き方

の実現/若者・高齢者等の活躍推進/グローバル化等に対応する人

材力の強化

「『日本再興戦略』改訂 2014」では、「世界でトップレベルの雇用環境・

働き方」を実現するため、終身雇用や頻繁な配置転換等に代表される「メ

ンバーシップ型」の働き方に加え、職務等を限定した「多様な正社員」

の普及・拡大や時間ではなく成果で評価される創造的な働き方を可能と

する「高度プロフェッショナル制度」等の実現に向けた取組を掲げた。

一方、技術革新の加速化、グローバル競争の激化や少子高齢化等によ

り、企業と個人を取り巻く環境が劇的に変化している中で、国民がより

質の高い雇用と安定した所得に恵まれ、同時に企業の生産性向上を実現

させていくためには、働き過ぎ防止を含めた働き方改革の実行実現に引

き続き取り組むとともに、個人が「就社」意識から脱却し、一人ひとり

が、それぞれの能力や個性に応じた専門性を磨き、自らの価値を最大限

引き出せる職場を選んで、能力を発揮していく機会をより多く得られる

ようにすることが何よりも重要である。こうした取組により、イノベー

ションを実現できる人材の育成にもつなげていく。人的資本への投資が

確実かつ長期的なリターンを得るとの考えに基づき、経済社会の変革に

柔軟に対応するための、初等教育から生涯を通じたあらゆる段階におけ

る「一人ひとりの主体的な学び」を、省庁横断的に重点的に支援するこ

とを通じ、人的投資を格段に増大させる。こうした考え方の下、日本の

人材資源活用力を抜本的に強化する観点から、雇用政策と教育政策を一

体的に連動させた取組を進めるとともに、その基盤となる人材育成の充

実を図る。

(グローバル化等に対応する人材力の育成強化)

・ 小・中・高を通じた英語教育全体の抜本的充実を図るため、昨年9

月に英語教育の在り方に関する有識者会議において「今後の英語教

育の改善・充実方策について 報告」を取りまとめるとともに、小

学校英語の早期化・教科化等、グローバル化社会において不可欠な

英語の能力の強化等をはじめとする学習指導要領の在り方につい

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て、中央教育審議会に諮問した。また、在外教育施設への派遣教員

の拡充や、帰国・外国人児童生徒等の受入れ体制及び日本語指導体

制等の充実を図った。今後とも、在外教育施設における質の高い教

育の実現及び帰国・外国人児童生徒等の教育環境の充実を図る。

ⅱ)未来を支える人材力の強化

(職業意識・実践的職業能力を高めるための教育機関改革)

⑦小学校、中学校、高等学校における職場体験活動等の推進

児童・生徒が、将来、社会的・職業的に自立できるよう、初等中

等教育から高等教育まで、年齢に応じた段階的なキャリア教育を構

築する。このため、産業界の協力も得ながら、小・中・高等学校(特

に普通科)での起業体験・職場体験活動などの社会経験等が実施さ

れるようにするとともに、キャリアコンサルタント等の専門職人材

の活用促進を図る。また、各分野の優れた知識経験や技能をもって

いる社会人などの外部人材を積極的に教員として任用する観点から、

特別免許状に関するこれまでの運用の見直しや、授与に係る手続の

簡素化・効率化も進めながら、全ての都道府県における活用を推進

する。

さらに、高等学校における、主体的に社会に参画し自立して社会

生活を営むために必要な力を身に付けるための新科目の在り方、ま

た、専門学科における社会的要請を踏まえたカリキュラム等につい

て、中央教育審議会で検討し、次期学習指導要領の在り方等につい

て来年度中を目途に結論を得る。

⑧専修学校と産業界が連携した教育体制の構築

実践的な職業教育機関である専修学校について、産業界のニーズ

を踏まえた専門人材の育成機能を強化する。このため、専修学校と

企業等が連携しつつ学習と実践を組み合わせて行う教育システム

(産学協同教育プログラム)構築に向けたガイドラインの作成等を

行う。

⑨大学等におけるインターンシップの推進

大学等の学びと職業選択が切れ目なくつながるよう、学生のイン

ターンシップ参加比率を飛躍的に高める。このため、国立大学法人

運営費交付金や私立大学等経常費補助金による傾斜配分等を通じ、

インターンシップの単位化、数週間にとどまらない中長期のインタ

ーンシップ等を実施している大学等の取組を促進する。その際、学

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生にとって働く目的を考え自己成長する契機となる、有給インター

ンシップや中小企業へのインターンシップについても、産学の連携

により推進する。

⑩専門職大学院における高度専門職業人養成機能の充実

経営大学院などの専門職大学院における教育の充実により、成長

が見込まれる産業分野の高度専門職業人養成機能を強化するととも

に、グローバル化や教育の質を確保する観点から、国際的な評価機

関からの評価を積極的に受けることや世界基準の教育プログラムを

構築することなど、専門職大学院の検証とその結果に基づく見直し

を1年以内に行い、速やかに制度的措置を含む所要の方策を講ずる。

⑪大学等における「職業実践力育成プログラム」認定制度の創設

大学等での、社会人が職業に必要な能力の向上を図る機会の拡大

を目指し、大学等の社会人や企業のニーズ(経営、会計、IT、マー

ケティングなど)に応じた実践的・専門的教育プログラムを文部科

学大臣が認定し、奨励する仕組み(「職業実践力育成プログラム」認

定制度)を構築する。

⑫実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化

産業構造の急速な変化に対応し、職業的専門性をいつでも身に付

けられるようにするため、高等教育体系を多様化する観点から、新

たに「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関」を制度化する。

当該機関における教育プログラムは、職業実践の場において必要

なスキルや知識を身に付け、その実践をもとに、学校で授業を受け、

討議をすることを通じ、スキルや知識を体系化する「デュアル教育

プログラム」を導入する等、職業実践能力を獲得するにふさわしい

ものとする。また、社会人が特定の知識やスキルを短期間に集中し

て効果的に学ぶことができる多様な教育プログラムの提供が可能な

仕組みとするとともに、個々の教育プログラムが、産業構造の変革

等に適切に対応できるよう、産業界と密に連携をしつつ、不断の検

証・改善がなされるプロセスを組み込む。これらの教育プログラム

を教える教員として、職業実践の知識や経験と効果的な教授方法を

身に付けた実務家教員を積極的に登用するとともに、施設・設備に

ついては、実社会における変化に柔軟に対応可能であり、かつ、若

年層・社会人を問わず質の高い実践的な職業教育を行う上で合理的

なものとする。また、卒業時に与えられるサーティフィケートにつ

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いては、「学士」等の学位に相当するものとする。あわせて、公的助

成、奨学金制度等について、既存の大学等との整合性を確保するこ

とにより、専門学校からの転換はもとより、既存の大学からの転換

も可能となるようにする。

これらを踏まえ、制度化に当たっては、関係省庁が連携して、個

別業界のニーズに応じ、職業分野別団体、産業分野別団体等の産業

界による教育水準の確保のための支援・協力体制の構築を図るとと

もに、2019 年度の開学に向け、具体的な制度設計について中央教育

審議会で来年年央までに結論をまとめ、来年中に所要の制度上の措

置を講ずることを目指す。

⑬職業実践能力の獲得に資する教育プログラムへの教育訓練給付によ

る支援の拡充

「日本再興戦略」を踏まえ、社会人の中長期的なキャリア形成を支

援するため、雇用保険法を改正し、①業務独占資格・名称独占資格

の取得を訓練目標とする養成施設の課程(訓練期間は1年以上3年

以内)、②専門学校の職業実践専門課程(訓練期間は2年)、③専門

職大学院の課程(訓練期間は2年以内または3年以内)のうち、厚

生労働大臣が指定した講座を受講した場合に、教育訓練給付金の給

付割合の引上げや追加支給を可能とする「専門実践教育訓練給付」

を創設し、昨年 10月から実施している。

今後、「職業実践力育成プログラム」認定制度や「実践的な職業教

育を行う新たな高等教育機関」で行われる教育プログラム等の実態

も踏まえつつ、「専門実践教育訓練給付」の対象講座の在り方等につ

いて、仕事と両立しやすい多様で弾力的なプログラムも含め、社会

人の職業実践能力の形成に真に効果的なものであるか等の観点から

検討を行い、速やかに結論を得る。

2-2.女性の活躍推進/外国人材の活用

i)女性の活躍推進

女性活躍を更に加速し、我が国経済の持続的成長につなげていく

ため、本年6月に取りまとめた「女性活躍加速のための重点方針 2015」

に基づき、女性参画の拡大に向けた取組や、社会の課題解決を主導

する女性の育成、女性活躍のための環境整備等を推進する。

ⅱ)外国人材の活用

① 高度外国人材受入れ促進のための取組強化

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・「外国企業の日本への誘致に向けた5つの約束」(平成 27 年3月 17

日対日直接投資推進会議決定)に沿って外国人受入れ環境の改善を

進める。【後掲】(「三.国際展開戦略」において記載。)

②留学生の更なる受入れ加速化と留学後の活躍支援強化

・「留学生 30 万人計画」の実現に向け、海外からの留学生受入れを加

速化するため、各大学等のアドミッション・ポリシー等において留

学生受入れ方針の明確化を促進する。各大学がアドミッション・ポ

リシーを明確化することを促すためのガイドラインについては、本

年度中を目途に策定・公表する。また、学位取得を目的とする留学

を将来的に増やすため、短期留学やインターンシップ等を組み込ん

だ留学を促進する。

・外国人留学生等に対する一層の就職支援強化を図るため、関係府省・

団体が連携して、本年夏にも、外国人留学生等と採用に意欲のある企

業等を対象としたマッチングイベントを開催するとともに、外国人雇

用サービスセンターや新卒応援ハローワークの留学生コーナー等に

おいて外国人留学生等の求職情報と外国人材の活用に積極的な企業

の求人情報を集約させ、求職・求人のマッチング機能を充実させるな

どの取組を行う。さらに、外国人留学生等の就職支援に向けた関係府

省の取組の効果を検証し、更なる支援策の改善等につなげていく。

(中長期的な外国人材受入れの在り方検討)

経済・社会基盤の持続可能性を確保していくため、真に必要な分野

に着目しつつ、中長期的な外国人材受入れの在り方について、総合的

かつ具体的な検討を進める。

3.大学改革/科学技術イノベーションの推進/世界最高の知財立国

昨年4月の「我が国のイノベーション・ナショナルシステムの改革

戦略」で提唱した、革新的な技術シーズの不断の創出とその迅速な事

業化を実現するための「イノベーション・ナショナルシステム」の再

構築の取組は、本年6月の「国立大学経営力戦略」により仕組みとし

ては完成を見た。今後は、「科学技術イノベーション総合戦略 2015」(平

成 27 年6月 19 日閣議決定)に盛り込まれた内容を推進することに加

え、国立研究開発法人の機能強化を更に推進するとともに、「国立大学

経営力戦略」の下、革新的な技術シーズ創出を担う大学の自己改革の

取組を促進することにより、イノベーション・ナショナルシステムの

実装を重点的に推進し、世界一イノベーティブな国の実現を目指す。

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その際、地域発のイノベーションについては、地域の実情に応じ、

地域内外のシーズ・ニーズを取り込む取組等を推進・強化する。

また、「知的財産推進計画 2015」(平成 27年6月 19日知的財産戦略本

部決定)に基づき、地方における知財活用の推進、国際標準化・認証へ

の取組等を推進する。

なお、研究開発投資の目標(対 GDP比4%以上、うち政府研究開発投

資対 GDP比1%)については、第4期科学技術基本計画に基づき、その

実現を目指す。また、科学技術イノベーションは日本再生の重要な柱で

あることを踏まえ、将来への投資である科学技術イノベーション政策を

効果的に推進できるよう、厳しい財政状況や研究開発の特性も勘案しつ

つ、第5期科学技術基本計画においては、投資目標や成果目標について

も検討を進め、本年中に結論を得る。

i)イノベーション・ナショナルシステムの実装

① 国立大学経営力戦略

ア)自己改革に積極的に取り組む大学を重点支援することによる経営力

強化に向けた大学間競争の活性化

各大学は、ビジョン・目標を明確にし、新たに設けられる重点支援

のための3つの枠組み(「地域貢献及び強み・特色のある分野での世

界・全国的な教育研究の推進」、「強み・特色のある分野での、地域と

いうより世界・全国的な教育研究の推進」、「全学的に世界で卓越した

教育研究・社会実装の推進」)のいずれかを自ら選択し、取組構想に応

じた測定可能な評価指標(KPI)等を設定する。改革の取組状況について、

評価指標等に基づき、透明性のある客観的な評価を行い、その結果を

もとに国立大学法人運営費交付金のメリハリある配分を行う。

この仕組みを実効性のあるものとするため、評価指標(KPI)等の考え

方については本年概算要求時に、透明性のある客観的な評価手法及び

運営費交付金の配分方法については、本年中を目途に取りまとめ、公

表する。

その際、時代の変化に適応した学部等の教育研究組織の大胆な再編

や新陳代謝、相互の強み・特色を補完する大学間連携や連合、年俸制な

ど教育研究実績・能力に応じた給与体系への転換等の人事給与システム

改革、クロスアポイントメントの導入、創業人材の育成などの取組を積

極的に評価・支援する仕組みとする。

運営費交付金のメリハリある配分を担保するため、新たに設定する

「機能強化促進係数(仮称)」及び「学長の裁量による経費(仮称)」の係

数及び額について、各大学の財務構造や改革加速期間中の取組を踏まえ、

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本年中を目途に設定する。その際、「『日本再興戦略』改訂 2014」におけ

る記述(「運営費交付金の戦略的・重点的配分の拡大(2015年度末で各大

学の改革の取組への配分及びその影響を受ける額を3~4割に)」)の趣

旨を踏まえて設定する。

イ)国立大学の経営力強化のための財務運営の自由度の拡大

自己収入拡大に向けて財務運営の自由度を拡大するため、収益を伴う

事業の拡大(国立大学法人法に規定する大学の業務範囲の明確化等)等

について本年中に一定の結論を得た上で、また、寄付金獲得に向けた方

策等についても結論を得た上で、必要な措置を講ずる。

さらに、大学・企業間の共同研究拡大に向けた、大学による積極的な

企業との対話の努力及び協力の枠組み構築等を学長のマネジメント実

績等として評価し、運営費交付金の配分等に反映する。

なお、大学と企業間での共同研究契約について、共同研究の特許出願

の形態・活用状況や、不実施補償を含めた契約の実態を調査した上で、

共同研究における特許出願と契約の在り方について検討し、その検討結

果を踏まえて柔軟な契約締結を大学・企業に働きかける。

ウ)「特定研究大学」等の創設によるグローバルに競う大学の重点強化と

未来の産業・社会を支えるフロンティア形成の促進

・特定研究大学(仮称)

高い経営力と自由度を有し、国内外の様々なリソースを呼び込むこと

によりグローバル競争力を高める大学を形成するため、「特定研究大学」

(仮称)制度を創設する。このため、次期通常国会を目途に関連法案を

提出することを含め、必要な制度整備を行う。

その際、国内外の大学関係者の参画等による海外大学をベンチマーク

とした世界水準の厳格な評価の実施や徹底した情報公開等、厳格な学内

マネジメントを求める一方で、組織再編の柔軟化や定員管理の自由度拡

大、財務基盤強化につながる更なるインセンティブの付与(資産運用・

収益事業の自由度拡大等)等、経営力強化のための方策を盛り込む。

また、大学とベンチャー企業間の連携や好循環を実現する観点から、

海外事例をも踏まえ、イノベーションを担う創業人材の育成、大学発ベ

ンチャーの創出の促進等の方策についても盛り込む。

・卓越大学院(仮称)

IoT・ビッグデータ・人工知能等の発展にも対応するため、文理融合分

野など異分野の一体的教育や我が国が強い分野の最先端の教育を可能に

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し、また、複数の大学、研究機関、企業、海外機関等が連携して形成す

る「卓越大学院(仮称)」制度を創設する。このため、本年度中を目途に、

産学官からなる検討会において、卓越大学院を形成する分野の設定や複

数の機関が連携する仕組みについて、新領域・新産業の創造、新規創業

の観点も踏まえて示し、来年度から、大学における企業との連携による

構想作り等の具体化に向けた取組を開始する。

・卓越研究員(仮称)

特定研究大学や卓越大学院等において、優れた若手研究者が安定した

ポストにつきながら、独立した自由な研究環境の下で活躍できるように

するため、「卓越研究員」制度を創設する。大学の定年退職ポストの活用

の在り方や特定の大学への過度の集中排除等を検討した上で、来年度か

ら制度の運用を開始する。

② 競争的研究費の改革

近年、国立大学法人については、研究の多様性や基礎研究力の相対的

低下といった問題が生じており、大学改革と研究資金改革の一体的推進

が必要となっている。

このため、文部科学省及び内閣府の大学等に対する競争的研究費につ

いては来年度から新規採択案件について間接経費 30%を措置する。また、

総合科学技術・イノベーション会議の下で、関係府省の競争的研究費に

おける間接経費の適切な措置等について年内に検討を開始し、来年度か

ら順次実施する。

また、国立大学法人の人事給与システム改革等の状況を踏まえ、直接

経費からの人件費支出の柔軟化、設備・施設の共用化の促進及び研究資

金制度間のシームレス連携等の運用改善について、総合科学技術・イノ

ベーション会議の下で検討を開始し、来年度から順次実施する。

民間からの研究資金の間接経費についても、産学連携を加速する観点

も踏まえ柔軟に措置されるよう、内閣府が本年中を目途に民間への理解

の促進を図る。

なお、運営費交付金と競争的経費(研究費に限らず公募型の経費全て

を含む)による大学のデュアルサポートシステムの再構築を図るための

方策(持続的なシステム改革の継続のための方策等)についても本年度

中に結論を得て来年度から順次開始する。あわせて、科学研究費助成事

業について、審査分野等の基本的構造の見直しを進め、挑戦性・融合性

等を強化しながら、多様で独創的な学術研究に、裾野広く一定程度腰を

据えた研究資金の配分を行う。

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③研究開発法人の機能強化と「クロスアポイントメント」制度の積極

的な導入

研究開発法人を中核として、分野・セクターの枠を超えて産学官の積

極的な参画を促進するイノベーションハブの形成及びその機能の積極的

な参画を促進するイノベーションハブの形成及びその機能強化や、革新

的な技術シーズを事業化に結び付ける「橋渡し」機能の更なる強化を図

る。

このため、例えば、国際頭脳循環のハブとして、世界的な研究リーダ

ーの育成に取り組む国立研究開発法人理化学研究所、国立研究開発法人

宇宙航空研究開発機構等において、クロスアポイントメントや民間との

共同研究の推進、年俸制の導入の促進、民間アイデア・技術の結集・活

用等について目標設定を行う。

また、上記の各国立研究開発法人等とともに、特に、国立研究開発法

人物質・材料研究機構(物材機構)、国立研究開発法人国立環境研究所、

国立研究開発法人森林総合研究所など来年度に新たに中長期目標期間の

開始年度を迎える国立研究開発法人について、クロスアポイントメント

や共同研究の一層の推進等を中長期目標に明確に位置付ける。

さらに、昨年 12月の「クロスアポイントメント制度の基本的枠組みと

留意点」を踏まえ、大学、研究機関及び企業において広く同制度がより

一層積極的に活用されるよう、導入の促進を図る。

加えて、国立研究開発法人について、研究開発に係る物品・役務の調

達、自己収入の取扱い、経営努力認定、中長期目標期間を超える繰越し

等の柔軟化といった運用改善を図る。また、「独立行政法人改革等に関す

る基本的な方針」(平成 25 年 12 月 24 日閣議決定)に基づく調達に関す

る新たなルールや随意契約によることができる具体的なケースの提示に

よる調達合理化の取組を進め、あわせて、入札における競争性確保の重

要性を勘案しつつ、随意契約によることができる限度額を国立大学法人

の全体的な状況と均衡の取れたものとするなど基準の在り方も含め検討

し、研究開発の特性を踏まえた迅速かつ効果的な調達ができるよう取り

組むとともに、独立行政法人会計基準の運用状況を把握し、適切なマネ

ジメントについて検討する。

さらに、世界トップレベルの研究開発成果を生み出す創造的業務を担

う法人を「特定国立研究開発法人(仮称)」として位置付け、総合科学技

術・イノベーション会議及び主務大臣の強い関与や業務運用上の特別な

措置等を定めた新制度を可能な限り速やかに創設する。

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④オープンイノベーションの推進のための新たなイノベーション・サイク

ル・システムの構築

大学等と「橋渡し」機能を担うべき国立研究開発法人等の研究機関を

核としたオープンイノベーションの拠点(オープンイノベーションアリ

ーナ)を中心に、技術シーズの橋渡しを受けた地域企業が事業化を通じ

てグローバル企業に成長し、その収益が研究資金へ還元され、更なる技

術シーズの創出につながる好循環の仕組み(イノベーション・サイクル)

の構築を目指す。

このため、革新的な基礎研究力を有する大学と、産総研等の橋渡し研究

機関の研究センターが近接し、相互の連携により、技術シーズが中堅・中

小・ベンチャー企業を含めた幅広い分野の企業に橋渡しされ、迅速に事業

化されるための新たな拠点を形成する。

また、ナノテク分野の産学官集積を目指す先行事例であるつくばイノベ

ーションアリーナを含め、大学や産総研、物材機構等の複数の研究機関が

共同で研究を円滑に進めるために必要な諸制度の改革(調達をはじめとす

る制度改善等)に取り組む。

自社技術の深堀り、取引先の拡大等に課題を抱える潜在的な成長余力の

ある地域の中堅・中小企業等が、地域経済を牽引する企業へと脱却・挑戦

していくことを後押しするため、幅広い支援(研究開発支援、海外販路開

拓支援、標準策定支援等)を拡充するとともに、それをきめ細かく提供す

る地域の支援プラットフォームを構築する。また、国が整備し、自治体等

に提供を行っている、公的統計データや企業間取引データ等のビッグデー

タを可視化する「地域経済分析システム(RESAS)」の利用を促進するとと

もに、必要に応じて、地域資金循環や企業の保有特許等に関するデータの

追加も検討する。【後掲】(「6.地域活性化・地域構造改革の実現/中堅企

業・中小企業・小規模事業者の革新」において記載。)

ii)地域イノベーションの推進

① 目利き人材による全国規模での産学官マッチング機能の強化

大学、中堅・中小企業、大企業間のシーズ・ニーズのマッチングを行

う戦略分野コーディネータ及びマッチングプランナーの連携を促進す

るため、地域金融機関、公設試等と協力しながら、それぞれの有する情

報やマッチング実績等に関する情報交流を行う場を本年度中に創設す

る。

② 産学官連携による集積の形成

地域の将来ビジョンに基づき、地方自治体、大学、大学共同利用機

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関、国立研究開発法人、研究機関、企業が連携する異分野連携研究開

発拠点を 2019年度末までに2カ所以上形成する。

iii)「ロボット新戦略」の推進等

① 「ロボット新戦略」の推進

「ロボット新戦略」に基づき、次世代技術開発や規制制度改革をはじ

めとする分野横断的取組及び分野別取組を着実に推進し、ロボット革命

を実現する。

さらに、ロボット・AI 分野において、データ駆動型社会で日本が技術

的に世界をリードするために必要となる重要な要素技術等の革新的な次

世代技術の研究開発等については、総合科学技術・イノベーション会議

と連携を図り、効果的・効率的に実施する。

加えて、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会等に合わ

せ、ロボットの研究開発を加速し、実社会への導入・普及を図る一つの

方法として、様々なロボットを対象とした競技会や実証実験等を行う「ロ

ボットオリンピック(仮称)」を開催する。

② 長期的な国の成長の原動力となる基幹技術の推進

海洋資源調査・開発技術、次世代衛星・ロケット技術、次世代航空

機技術、自然災害観測・予測・対策技術、サイバーセキュリティ技術な

ど長期的な国の成長の原動力となる基幹技術の開発、社会実装を産業界

と連携し府省横断で推進する。

4.世界最高水準の IT社会の実現

i)国民・社会を守るサイバーセキュリティ

④サイバーセキュリティの確保に向けた基盤強化(技術力の強化・産業育

成、人材育成)

イ)人材育成

顕在化・深刻化しているセキュリティリスクや、急速な技術革新とと

もに高度化するサイバー攻撃への対策を確かなものとするためには、そ

れを支える人材の育成が急務である。

このため、初等中等教育段階からのプログラミングや情報モラルに関

する教育を充実させる。また、高等教育機関において、大学等における

実践教育ネットワークの構築に向けた取組、国立高等専門学校における

セキュリティ教育プログラムの開発を推進するとともに、産業界と連携

した実践的なセキュリティ教育の普及等を図る。

さらに、企業等の経営におけるセキュリティ対策の責任者を育成する

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ためのセキュリティマネジメント試験を来年春に導入する。

あわせて、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催

も見据え、高度な実践的人材の育成を強化する。このため、産学官の協

力体制構築に向け、緊密な連携や情報共有の促進に加え、実践的なサイ

バー演習環境をクラウド環境で整備する。また、実践的な教材の産学官

共同開発を支援する。さらに、官民連携によりサイバーセキュリティに

従事する者の実践的な能力を適時適切に評価できる試験制度の充実を図

る。

また、国民一人一人が自発的にセキュリティに係る知識を習得できる

よう、オンライン教材の開発及び活用を推進する。

これらを含め、人材育成に係る施策を総合的に推進するため、本年度

中に「サイバーセキュリティ人材育成総合強化方針(仮称)」を策定する。

ii)安全・安心を前提としたマイナンバー制度の活用

③個人番号カードによる公的資格確認

2017 年7月以降早期に医療保険のオンライン資格確認システムを整

備し、個人番号カードを健康保険証として利用することを可能とするほ

か、印鑑登録者識別カード等の行政が発行する各種カードとの一体化を

図る。

加えて、各種免許等における各種公的資格確認機能を個人番号カード

に持たせることについて、その可否も含めて検討を進め、可能なものか

ら順次実現する。

ⅳ)IT利活用の更なる促進

⑩若年層に対するプログラミング教育の推進

IoT 型未来社会においては情報活用能力の育成が求められており、

また、諸外国で初等中等教育段階からのプログラミング教育の導入

が進んでいることを踏まえ、これまでの学校教育や民間企業、NPO

法人等による取組成果を活用しながら、本年度中に小・中・高等学

校におけるプログラミングに関する指導手引書を策定したうえで、

来年度中に教育現場での活用を促進するとともに、プログラミング

も含めた情報活用能力の育成に関する体系的な指導モデルの策定や、

学校教育における円滑な ICT 利活用を図るための支援員の養成に着

手する。

あわせて、プログラミング教育の推進に関する取組及び裾野拡大

のため、地方公共団体や NPO 法人、民間企業及び大学等による普及

促進体制を構築し、来年度中に地方公共団体等によるプログラミン

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グ教育の取組支援やガイドラインを策定する。また、2017 年度には

高度な言語によるプログラミング教育の取組支援を開始し、系統的

なプログラミング教育の実現を図る。

⑪教科書のデジタル化

教育における情報化の進展や、アクティブ・ラーニング等の課題

の発見と解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習の必要性の高まり、

その他デジタル教科書・教材の位置付けの検討に関する各種提言等

を踏まえ、いわゆる「デジタル教科書」の位置付け及びこれに関連

する教科書制度の在り方について専門的な検討を行い、来年中に結

論を得る。

5-1.「国家戦略特区」の実現/公共施設等運営権等の民間開放

(PPP/PFIの活用拡大)、空港・港湾など産業インフラの整備/都市

の競争力の向上

ⅱ)残された集中取組期間における国家戦略特区の加速的推進

b)更なる規制改革事項等の実現

③IT活用による遠隔地間の学校等を結んだ教育手法の導入

・過疎化・少子化の進展に伴い小規模化している学校においても、子ど

もたちが切磋琢磨する環境で充実した教育を受けることができるよう、

IT活用により遠隔地間を結んだ合同授業等について、実証研究を通じ

て効果や課題を評価・検証し、導入に向けた新たなルール等を速やか

に構築する。

⑭獣医師養成系大学・学部の新設に関する検討

・現在の提案主体による既存の獣医師養成でない構想が具体化し、ライ

フサイエンスなどの獣医師が新たに対応すべき分野における具体的な

需要が明らかになり、かつ、既存の大学・学部では対応が困難な場合

には、近年の獣医師の需要の動向も考慮しつつ、全国的見地から本年

度内に検討を行う。

iii)PPP/PFIの活用

② 公共施設等運営権を含む PPP/PFI 全体の取組強化

・文教施設や公営住宅等の利用料金の存在する公共建築物については、

公共施設等運営権方式の実現可能性について半年を目途に検討を進

めるとともに、付帯事業の併設・活用および公的不動産の活用など

も含めた枠組みの中で、重点分野として位置付ける施設の決定と数

値目標の設定について本年度内を目途に結論を得る。

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5-2.金融・資本市場の活性化、公的・準公的資金の運用等

ii)公的・準公的資金の運用等の見直し

GPIF をはじめとする公的・準公的資金の運用等の在り方については、

有識者会議の提言を踏まえ、各資金の規模・性格に応じ、長期的な健全

性の確保に留意しつつ、必要な施策を迅速かつ着実に実施すべく所要の

対応を行う。

GPIFについては、ガバナンス体制について、年金制度、法人の組織論

などの観点から今後の法改正の必要性も含めた検討を行うなど必要な

施策の取組を加速すべく所要の対応を行う。

5-3.環境・エネルギー制約の克服

①徹底した省エネルギーの推進

・高効率火力発電(石炭・LNG)、コジェネレーションや蓄電池、更な

る省エネを可能とする窒化ガリウム(GaN)等を活用した次世代半導

体等の革新材料の開発・導入を進める。

④安全性が確認された原子力発電の活用

大学等が所有する試験研究炉や高速実験炉を活用するなど、放射性

廃棄物の減容化・有害度低減のための技術開発や、高温ガス炉など安

全性の高度化に資する技術開発の国際協力を進めるとともに、核不拡

散の取組を進める。あわせて、こうした分野の人材育成等に着実に取

り組む。

6.地域活性化・地域構造改革の実現/中堅企業・中小企業・小規模事

業者の革新

また、2020 年東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催

されること等も踏まえ、スポーツを産業の創出・育成につながるビジ

ネスシーズと捉え、地域経済の活性化や新たなビジネスモデルの展開

などにもつながるよう、様々な取組を促していく。

ⅱ)地域イノベーションの推進

大学、研究機関、企業といった地域に存する各主体のミッションを

明確化し、クロスアポイントメント制度の活用等を通じて人材・技術

の流動化を図るとともに、地域に閉じず全国のリソースを積極的に活

用する仕組みを構築するため、目利き人材による全国規模での産学官

マッチング機能の強化、産学官連携による集積の形成、地域中小企業

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の知財戦略強化、戦略的な標準化の推進等の施策を推進する。【再掲】

二.戦略市場創造プラン

テーマ1:国民の「健康寿命」の延伸

⑨信頼性の確保されたゲノム医療の実現等に向けた取組の推進

遺伝子・ゲノム解析技術の進歩により、遺伝学的検査が実施され

ていること等を踏まえ、医療における遺伝子情報の実利用(発症予

測、予防、診断、最適な薬剤投与量の決定、新たな薬剤の開発等)

に向けた諸課題について検討を進め、個々人の体質や病状に適した

「ゲノム医療」の実現に向けた取組を推進する。

⑪がん対策の取組の一層の推進

国民病であるがんの克服に向けて取組を加速し、健康寿命の更な

る延伸を図るため、予防、治療・研究、共生を柱とした「がん対策

加速化プラン」を年内を目途に策定する。これに基づき、がん対策

の取組を一層推進する。

テーマ2:クリーン・経済的なエネルギー需給の実現

① CO2排出の少ない水素社会の実現

水素社会の実現に向けたロードマップに基づき、家庭用燃料電池

や燃料電池自動車の普及促進に向けた導入補助や、セルフ充てんの

許容等の水素ステーションに関する規制見直し及び技術開発を着

実に進める。また、水素需要を更に拡大しつつ、未利用エネルギー

を活用する大規模な水素製造・供給システムの確立や、水素製造に

CCS(二酸化炭素回収・貯蔵)を組み合わせ、又は再生可能エネル

ギー由来水素を活用した CO2フリー水素製造・供給システムの確立

に向けて、技術開発・実証を進める。

② 環境・エネルギー制約から脱却した社会の実現

省エネルギー、再生可能エネルギー、水素・燃料電池技術など

の低炭素技術を組み合わせた、環境負荷の低減や地域経済の好循

環拡大に資する地域分散型エネルギーシステムの実現を関係府省

庁や地方自治体等の連携の下で推進し、2020 年東京オリンピッ

ク・パラリンピック競技大会に照準を合わせ、大会会場その他地

域でその成果を内外に発信する。具体的には、エネルギー需要面

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では、次世代半導体などの革新材料の開発及び家電製品やバス・

鉄道などの輸送手段への実装や、燃料電池技術のバス等への実装

を進めるとともに、エネルギー供給面では、再生可能エネルギー

に加え、熱の有効活用により高いエネルギー効率を達成する観点

から、廃棄物処理施設の廃熱利用やコジェネレーション等の導入

拡大を積極的に図る。さらに、高度なエネルギーマネジメント技

術を活用し、蓄電池群制御やディマンドリスポンス等を需給調整

力として有効活用することで、地域をあたかも一つの発電所のよ

うに機能させるバーチャルパワープラント(仮想発電所)のモデ

ルを示す。

⑤海洋資源開発の推進及び関連産業の育成

・ 砂層型メタンハイドレートについては、長期の海洋産出試験や

日米共同研究等を実施し、長期・安定的な生産技術の開発に取り

組む。また、表層型メタンハイドレートについては、資源量把握

のため集中的な掘削調査を実施し、その結果を踏まえて資源回収

技術の本格調査・研究開発等を行う。海底熱水鉱床については、

採鉱、揚鉱に係る調査、技術開発等を官民一体となって進め、2017

年度中に世界に先駆けて生産試験を開始する。

・民間事業者の海洋資源開発関連分野への参入促進のための環境整

備に向けて、海洋資源開発関連産業に係る技術の開発支援を行う

とともに、その基盤となる技術者の育成を進めるため、産官学が

協力して、本年度に大学と産業界のマッチング等の調整を行う専

門機関・組織の確立に向けた調整を行い、来年度から人材育成シ

ステムの運用を開始する。

テーマ4:世界を惹きつける地域資源で稼ぐ地域社会の実現

テーマ4-① 世界に冠たる高品質な農林水産物・食品を生み出す豊かな

農山漁村社会

ⅳ)林業・水産業の成長産業化

①林業の成長産業化

・木質バイオマスについて、本年4月から固定価格買取制度におい

て小規模(2,000kW未満)で未利用間伐材等を活用した木質バイオ

マス発電の調達価格区分を新設したことを踏まえ、地域密着型の

小規模発電や熱利用との組合わせ等によるエネルギー利用や、セ

ルロースナノファイバーの国際標準化に向けた研究開発を進めつ

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つマテリアル利用への取組を推進する。

テーマ4-② 観光資源等のポテンシャルを活かし、世界の多くの人々を

地域に呼び込む社会

① インバウンド新時代に向けた戦略的取組

・海外からの教育旅行について、2020年までに年間訪問者数を 2013年

度の約4万人から5割増にすることを目標に、日本政府観光局(JNTO)

を交流マッチングの一元的窓口として位置づけるとともに、海外の

学校関係者などの招請や、海外におけるセミナーの開催、学校の理

解増進や交流に参加する学校の発掘等の施策パッケージを検討し、

「学校交流・体験促進プログラム」(仮称)として取りまとめ、実行

する。

⑤外国人ビジネス客等の積極的な取り込み、質の高い観光交流

・我が国の歴史・文化を体現する文化財の価値・魅力を外国人旅行者

に対して十分に伝えるため、ICT の活用を含め、英語での分かり易

い解説表示の在り方・ポイント等を検討するとともに、文化財の英

語での情報発信に対する支援を行う。

・美術館・博物館の作品、各地域の文化財、自然・文化遺産、さらに

は、多彩な美しさを持つ日本各地の空撮による風景などを、高解像

度画像でデジタルアーカイブ化し、臨場感をもってインターネット

上で発信する取組を促進することにより、国内外の旅行者の地域へ

の誘客を図る。

・本年度から、「世界文化遺産活性化事業」により、多言語によるガイ

ドツアーや文化財保存修理の見学会、保存修理作業の模擬体験プロ

グラム等の企画・情報発信等の取組を支援し、世界文化遺産が所在

する地域の活性化、誘客を図る。

・地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統をストーリー

として現す「日本遺産(Japan Heritage)」の認定を、2020年度まで

に 100 件程度行う(本年度は 18 件を認定)。さらに、ストーリーを

語る上で不可欠な、魅力ある有形・無形の文化財群を、地域が主体

となって総合的に整備・活用し、国内外に戦略的に発信する。

・能や歌舞伎、茶道体験、社寺観光、また、地域の伝統工芸体験や伝

統芸能など各地の特色ある地域文化を観光資源化し、日本の歴史・

文化に関心の高い欧米等からの旅行者に訴求する質の高い日本文化

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体験プログラムとして充実させ、体験プログラムへの参加を促進す

るとともに、滞在期間の長期化を図る。

⑥「リオデジャネイロ大会後」、「2020 年東京オリンピック・パラリン

ピック競技大会」及び「その後」を見据えた観光振興の加速

・2016年リオデジャネイロ大会終了後から、全国各地で開催される文

化プログラムの機会を活用し、世界に誇るべき有形・無形の文化財

や、季節感一杯の祭り・花火、地域の伝統芸能、食を含む日本文化

等の魅力を発信し、地方への誘客につなげる。

・2020 年東京オリンピック・パラリンピック競技大会やその事前合宿

の他、ラグビーワールドカップ 2019日本開催をはじめとする他の国

際競技大会等の確実な開催により、各地域に国内外からの誘客を図

る。

三.国際展開戦略

①対内直接投資促進に向けた事業環境の改善及び誘致体制の進化

我が国経済の更なる活性化に向け、日本へ新たなビジネスモデルや

先端技術の研究開発活動等を持ち込む可能性のある外国企業に、積極

的に日本を立地先として選択してもらうことが重要である。

このため、「外国企業の日本への誘致に向けた5つの約束」に定め

られた各施策を、担当するそれぞれの省庁が速やかにかつ着実に実施

する。

また、各国が熾烈な投資誘致競争を展開する中、我が国の誘致体制

を競合国に遜色ない水準に絶えず進化させていく必要がある。このた

め、総理・閣僚のトップセールス(年 10件以上)や在外公館・JETRO・

地方自治体の連携等を通じた我が国投資環境の広報・情報発信を強化

する。さらに、JETRO において海外主要都市に設置された誘致担当チ

ームが中心となり、我が国市場の更なる成長・活性化が期待される分

野等における重点プロモーションを図る。これにより多言語による相

談対応や既進出企業への支援実施等の国内での取組と併せて「攻め」

の営業を展開する。

④ コンテンツを核としたクールジャパンの推進

また、在外公館等の積極的な活用や、メディア関係者や発信力の高

い若者などのクールジャパン戦略に資する人的交流の推進を通じ、日

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本の魅力の対外発信の強化を図ることで、外国人の手によるクールジ

ャパンの再発信へとつなげる。さらに、クールジャパンを担う人材の

育成を推進する。

第三 改革のモメンタム ~「改革2020」の推進~ 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会等が開催され、我が

国が世界中の注目を集め、多くの外国人が訪日する 2020 年をモメンタム

として、改革・イノベーションを加速していくことが重要である。

このため、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会等を梃子

(レバレッジ)に、成長戦略に盛り込まれた施策を加速させる、改革・イ

ノベーションの牽引役(アクセラレータ)として、2020年までに我が国と

して成し遂げるべき中核となるプロジェクトで、後世代に継承できる財産

(レガシー)となるものを、政府を挙げて推進する。具体的には、世界か

らの注目度の上昇に合わせた実行により高い政策効果を生み出すことが

でき、我が国の強みを社会実装・ショーケース化し、海外にアピールでき

るものであって、その後の経済成長につながるものとして、以下の3つの

重点政策分野における6つのプロジェクトの展開を図る。

③先端ロボット技術によるユニバーサル未来社会の実現

・現在、我が国は産業用ロボットの年間出荷額、国内稼働台数ともに世

界一の「ロボット大国」である。人口減少社会における労働力不足の

顕在化という社会的課題を抱える中、技術力を活かしてあらゆる生活

空間でロボットが活躍し、高齢者や障害者、外国人も含めた多様な者

が、ストレスフリーな生活の実現に必要な幅広いサービスを享受する

シーンを作り上げ、実体験の機会を提供する。

⑤ 観光立国のショーケース化

・世界最先端の観光立国を実現するため、2020年に 2,000万人、2030年

に 3,000 万人の訪日外国人旅行者数の目標達成を見据え、観光資源等

のポテンシャルを活かして世界に通用する魅力ある観光地域づくりを

行うこととし、観光産業を我が国の基幹産業の一つに押し上げること

を目指して、ア)観光地域、イ)東京、ウ)成田空港・羽田空港にお

いて、以下の取組を行う。

ア)観光地域

・日本の観光のトップランナーとしてふさわしい地域の中から、観光地

づくりとマーケティングを行う官民一体の観光地経営体(日本版 DMO)

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として選定し、各省庁の施策を集中投入することにより、観光資源を

磨き上げ、多言語音声翻訳対応をはじめとしたストレスフリーの環境

を整備し、海外に情報発信していき、2020年までに、より多くの訪日

外国人旅行者に選ばれる、観光立国を体現する観光地域を作り上げる。

イ)東京

・2020年までに、東京の主要ターミナル駅、オリパラ競技大会施設、人

気観光スポット等を結ぶ連続的なエリアにおいて、日本版 DMO に選定

された地域におけるストレスフリー等の取組に加え、バリアフリー化

と分かりやすい案内情報の提供を徹底的に推進し、超高齢化が進む日

本におけるベストプラクティスを実現する。

ウ)成田空港・羽田空港

・成田空港・羽田空港において、日本版 DMO に選定された地域における

ストレスフリー等の取組に加え、鉄道・バスによる空港アクセスの改

善に取り組み、空港をゲートウェイにした情報発信の拠点(世界最先

端のトイレ、ロボット活用、日本版 DMO の対象地域の観光資源の発信

等を含む。)を整備し、利便性・快適性を向上させる。また、同様の取

組を成田空港・羽田空港以外の地方の空港に波及させる。

⑥対日直接投資拡大に向けた誘致方策

・対日直接投資の拡大に向け、2020年をターゲットイヤーとして、2020

年東京オリンピック・パラリンピック競技大会などの国際的なイベン

トも最大限活用しながら、ビジネスカンファレンスの開催など、我が

国を挙げた取組について対外発信を行う。

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「改革2020」プロジェクト

(Ⅰ)技術等を活用した社会的課題の解決・システムソリューション輸出

1.次世代都市交通システム・自動走行技術の活用

(略)

2.分散型エネルギー資源の活用によるエネルギー・環境課題の解決

(略)

3.先端ロボット技術によるユニバーサル未来社会の実現

(1)2020年のショーケース化の内容

○ 現在、我が国は産業用ロボットの年間出荷額、国内稼働台数ともに世

界一の「ロボット大国」である。人口減少社会における労働力不足の顕

在化という社会的課題を抱える中、技術力をいかしてあらゆる生活空間

でロボットが活躍し、高齢者や障害者、外国人も含めた多様な者が、ス

トレスフリーな生活の実現に必要な幅広いサービスを享受するシーンを

作り上げ、実体験の機会を提供する。

(2)取組の具体的内容

○ ロボット分野は、IoT・ビッグデータ・人工知能の活用やネットワーク

化を背景にした新たなビジネスモデルを構築する時代を迎えており、欧

米や新興国が投資を加速している。従来我が国が得意としてきた、もの

づくり的要素が強いロボットや技術レベルの追及のみならず、データを

活用した実社会でのサービスの提供に注力し、より多くの場面でより多

くの者がロボットの利便性を享受するといった新たなビジネス分野が開

拓されつつある。

○ こうしたロボット分野における新たな競争領域を念頭に、我が国の産

業の挑戦の方向性を示すこととし、①台場及び青海地域、②市街地など

の日常環境をはじめとする公共空間、③海外から我が国を訪れる大多数

が利用する各地の空港の3地域を活用し、先端ロボット技術の社会実装

を行う。

○ ①台場及び青海地域については、パーソナルモビリティ、超臨場感映

像技術、デジタルサイネージ、多言語翻訳、案内ロボットなどの先端ロ

ボット技術を体験できるフィールドを構築する。また、未来社会実証プ

ロジェクト協議会(仮称)を立ち上げ、実際に実装するロボット技術を

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広く一般から公募し、選定していく。選定結果に応じて、実用化のため

の実証を進め、並行して、必要に応じ規制・制度改革を行う。

○ ②市街地などの日常環境をはじめとする公共空間については、コミュ

ニケーションロボット(翻訳・道案内サービス)、清掃ロボット、警備ロ

ボットなど多様な自律移動型ロボットが相互に連携しながら、サービス

を常時提供する姿を実装し、世界に発信する。2020 年に向けて、市街地

などの日常の環境における自律移動型ロボット活用に係るルールの世界

的なデファクトスタンダードを確立し、そのルール下で活用可能な最新

のロボットについて、どのようなロボットが、どのようなサービスを提

供するのか、というユースケースを国内外から公募等しつつ、技術開発

や社会実装、必要なルール整備を行う。

○ ③空港については、コミュニケーションロボット(翻訳・道案内サー

ビス)、手荷物運搬サポートロボットなど、多様なロボットが相互に連携

しながらサービスを常時提供する姿を世界に発信する。2020年に向けて、

空港におけるロボット活用に係るルールの世界的なデファクトスタンダ

ードを確立し、そのルール下で活用可能な最新のロボットについて、ど

のようなロボットが、どのようなサービスを提供するのか、というユー

スケースを国内外から公募等しつつ、技術開発や社会実装、必要なルー

ル整備を行う。

(3)役割分担・事業主体

① 台場及び青海地域 取組内容 役割分担・事業主体

全体調整

文部科学省及び関係府省・自治体(東京都、内閣

府、総務省、経済産業省、国土交通省、観光庁等)、

未来社会実証プロジェクト協議会(仮称)

技術調整・実証 民間企業(ロボットメーカー等)、研究機関(大学、

独法等)

フィールド構築 東京都、港区、品川区、江東区、臨海副都心

②市街地等の日常環境をはじめとする公共空間 取組内容 役割分担・事業主体

市街地等の日常環境におけるロボット活用に係るルールの整

理・検討

関係府省庁、事業主体(自律移動型ロボットを活

用する場の管理・運営事業者を想定)

上記ルールの下で活用可能な最新の自律移動型ロボットの開発 国内外のロボットメーカー・サービサー

実装 事業主体(自律移動型ロボットを活用する場の管

理・運営事業者を想定)

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③空港 取組内容 役割分担・事業主体

空港におけるロボット活用に係るルールの整理・検討 関係府省庁、空港関係者

上記ルールの下で活用可能な最新のロボットの開発 国内外のロボットメーカー・サービサー

実装 空港関係者

<本プロジェクトによって加速化が求められる日本再興戦略の施策>

本プロジェクトは、ロボットによる新たな産業革命の実現に向け、日本

経済再生本部にて決定された「ロボット新戦略」の推進や技術開発の加速

を図るとともに、ロボット市場の拡大や、様々な分野のロボット、ユニバ

ーサルデザインなどの日本の最先端技術の世界への発信につながるもの

である。

4.高品質な日本式医療サービス・技術の国際展開(医療のインバウンド)

(略)

(Ⅱ)訪日観光客の拡大に向けた環境整備等

5.観光立国のショーケース化

世界最先端の観光立国を実現するため、2020 年に 2,000 万人、2030 年に

3,000万人の訪日外国人旅行者数の目標達成を見据え、観光資源などのポテン

シャルをいかして世界に通用する魅力ある観光地域づくりを行うこととし、

観光産業を我が国の基幹産業の一つに押し上げることを目指して、①観光地

域、②東京、③成田空港・羽田空港において、以下の取組を行う。

①観光地域

(1)2020年のショーケース化の内容

○ 日本の観光のトップランナーとしてふさわしい地域の中から、観光地

づくりとマーケティングを行う官民一体の観光地経営体(日本版 DMO)と

して選定し、各省庁の施策を集中投入することにより、観光資源を磨き

上げ、多言語音声翻訳対応をはじめとしたストレスフリーの環境を整備

し、海外に情報発信していき、2020 年までに、より多くの訪日外国人旅

行者に選ばれる、観光立国を体現する観光地域を作り上げる。

(2)取組の具体的内容

○ 日本版 DMO については、訪日外国人旅行者の地方への誘客のモデルケ

ースとなる対象地域を、応募方式により、2015 年に1~2カ所程度選定

し、選定された地域において、観光地づくり等の舵取り役として、(ⅰ)

関係者の合意形成、(ⅱ)マーケティングに基づく戦略策定、(ⅲ)各種事

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業のマネジメント、等を行う日本版 DMOを確立する。

観光庁を中心に、行政における部局横断的なプロジェクトチームを設

置し、連携を行いつつ、選定された日本版 DMOに対する支援を行う。

なお、「まち・ひと・しごと創生基本方針検討チーム報告書」に示され

ているレベル3の日本版 DMO を5年以内に全国に5~10 カ所程度構築す

る。

○ 観光資源については、訪日外国人旅行者に売り込めるコンテンツとし

て徹底的に磨き上げ、満足度の高い滞在プログラムとして提供する仕組

みづくりを行う。

具体的には、(ⅰ)プロデューサー派遣を通じたクールジャパンを活用

した地域資源の発掘・磨き上げ、(ⅱ)「食と農」をいかした受入れプロ

グラムの策定、(ⅲ)日本の文化・伝統を語るストーリーを認定する「日

本遺産」をはじめとした文化財の活用、(ⅳ)エコツーリズムの普及・推

進のためのガイドの育成、などの取組例の中から、地域に合った取組を

行う。

○ ストレスフリーの環境整備については、訪日外国人旅行者が快適・円

滑に滞在・周遊を楽しむための環境整備を行う。

具体的には、2020年以前に日本全国でのサービスの提供が可能な、(ⅰ)

無料公衆無線 LAN(Wi-Fi)の整備、(ⅱ)スマホ・タブレット端末等によ

る多言語音声翻訳対応、等について、日本版 DMO として選定された地域

の観光・防災拠点において、訪日外国人旅行者が不自由なく確実に利用

できるようにする。

また、日本版 DMO として選定された地域における取組として、(ⅲ)訪

日外国人旅行者に発行した専用のカード・アプリから得られるビックデ

ータ(属性・決済情報等)を利活用し、宗教の属性に配慮した食事場所

の情報や多言語観光地ガイド等を提供する。

○ 海外への情報発信については、日本版 DMO として選定された地域の魅

力を積極的に発信することにより、地域の観光需要の増加、地域産品の

販路開拓等を図る。

具体的には、(ⅰ)ビジット・ジャパン事業による現地への出展、日本

への招致、(ⅱ)地域の魅力を紹介する放送コンテンツの海外展開の支援、

(ⅲ)海外でのクールジャパン関連事業者との連携による一層の情報発信、

(ⅳ)文化プログラムの活用、等を行う。

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(3)役割分担・事業主体 取組内容 役割分担・事業主体

日本版 DMO 日本版 DMO の確立 国土交通省、自治体等

部局横断プロジェクトチームの設置 関連各省庁

観光資源の磨き上げ

地域資源を活用した新商品・サービスの開

発・提供 経済産業省等

日本食・食文化、農山漁村等の魅力活用 農林水産省等

文化財の保存・整備・活用、地域の歴史的ま

ちなみ等の活用 文部科学省、国土交通省等

地域の自然を活かしたエコツーリズムの推進 環境省等

ストレスフリーの環

境整備

訪日外国人旅行者が滞在・周遊を楽しむため

の環境整備 国土交通省、各関連民間事業者等

ICT を活用した訪日外国人旅行者拡大に向け

た環境整備 総務省、各関連民間事業者等

カード・アプリによる「ストレスフリー」な

環境整備 経済産業省、各関連民間事業者等

海外への情報発信

ビジットジャパン事業による海外へ地域の魅

力を発信 国土交通省、農林水産省等

地域の魅力を伝える放送コンテンツ等の発信 総務省、経済産業省等

文化プログラムを活用した日本文化の発信 文部科学省等

<本プロジェクトによって加速化が求められる日本再興戦略の施策>

本プロジェクトは、「観光地域づくりを担う組織の運営体制」、「全国各

地で多言語対応」、「観光地等における無料公衆無線 LAN環境の整備」等を

着実に実施するものであり、「世界に通用する魅力ある観光地域づくり、

外国人旅行者の受入環境整備」に向けた動きを加速させ、2020年に 2,000

万人、2030年に 3,000万人の訪日外国人旅行者数の目標達成につなげるも

のである。

(Ⅲ)対日直接投資の拡大とビジネス環境等の改善・向上

6.対日直接投資の拡大に向けた誘致方策

(1)2020年のショーケース化の内容

○ 2020 年東京オリンピック・パラリンピック競技大会等の開催により、

我が国に対する国際的な注目度が高まる 2020年に向けて、対内直接投資

の拡大に重点的に取り組むことが、その実現に効果的である。その際、

外国企業のニーズを踏まえるのは言うまでもなく、国内企業にとっても

魅力あるビジネス環境等の整備を図ることが重要である。成長戦略に盛

り込まれた施策の推進を通じたビジネス環境等改善の成果を積極的に発

信し、地方自治体等との連携の下、投資案件の発掘・誘致活動等に戦略

的に取り組んでいくことが必要である。また、こうした発掘・誘致活動

の展開を梃子にして、国内における規制・制度改革を加速させることに

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もつなげていく。

○ 対日直接投資の拡大に向け、2020 年をターゲットイヤーとして、2020

年東京オリンピック・パラリンピック競技大会等の国際的なイベントも

最大限活用しながら、ビジネスカンファレンスの開催など、我が国を挙

げた取組について対外発信を行う。

(2)取組の具体的内容

○ 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される 2020

年に、投資環境のアピール、新たな投資案件の発掘、大型投資案件の公

表等を行う戦略的なイベントを実施する。あわせて、外国企業誘致に意

欲と強みを有する自治体と連携した個別具体的な誘致活動等を戦略的に

実施していく。また、国際的な大規模イベントと連携した企業誘致の取

組や、投資拡大を狙うターゲットによっては、ビジネス以外の要素も組

み込んだイベントの企画等も行っていくことが必要である。このため、

以下に取り組んでいく。

①Japan Business Conference: JBCの開催(2020年)

(略)

②Regional Business Conference: RBCの開催(2019年~20年)

(略)

③世界経済フォーラムと「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」の連

携開催機会の活用

・2016年秋に、経済界、地方公共団体の協力を得て、「スポーツ・文化・

ワールド・フォーラム」を開催する(※)。同フォーラムは、「世界経

済フォーラム」と連携して開催する予定であり、「世界経済フォーラム」

ヤング・グローバル・リーダーズの会議も同時期に開催される予定で

ある。両会議への参加者の強力なグローバル発信力を活用し、最先端

科学技術等をテーマとして「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」

と「世界経済フォーラム」とのジョイントセッションを設けるなど投

資誘致の取組を行う。

(※)2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、スポーツや文

化による国際貢献や有形・無形のレガシー等について議論、情報発信し、オリ

ンピック・パラリンピックムーブメントを国際的に高めるためのキックオフイ

ベントとすることを検討。

④グローバルなベンチャーエコシステムとの連動によるベンチャー対日直

接投資の拡大

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(略)

(3)役割分担・事業主体 取組内容 役割分担・事業主体

Japan Business Conference の開催 経済産業省その他関係省庁

Regional Business Conference の開催 地方自治体、地方経済産業局等

スポーツ・文化・ワールド・フォーラムの開催 文部科学省その他関係省庁

グローバルベンチャーサミットの開催 経済産業省その他関係省庁