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18 SEPTEMBER 2014 キャッチコピーが躍る。肉眼を超えようとしてい る4Kの技術が,誰も見たことのない奥行きあ る映像をもたらすと解説されている。 既に市場には 4K 対応テレビが出回っている が,そこに 4K 映 像が伝送されて“本物”の 4K が見られるのはこれからである。今後どれだけ の人が家庭のテレビで4Kを視聴したいと思う のか。その先に予定されている8Kについては どうか。オールジャパンで取り組む「高画質化」 という新サービスはスタートラインに立ったばか りである。 この動きと時を同じくして,NHK BS プレミ アムで,あるドラマがスタートした。テレビ業 界を舞台にした連続ドラマで,タイトルは『お わこんTV 1) 』。“おわこん”とは“終わったコン テンツ”の略で,かつて一世を風靡したが今は はじめに 6月2 日,2014 FIFAワールドカップ開催に合 わせる形で,日本初の4K試験放送「Channel 4K」がスタートした。諸外国では,欧州を拠 点とする衛星運営事業者が 2013 年9月から試 験放送をスタートさせ,韓国では 2014 年 4 月に ケーブルテレビが専用チャンネルを開局してい る。しかし総務省を始め関係者は,一般家庭 のテレビで 4K 放送が見られる環境を整備した という意味では,日本が世界初であると力説し ている。 7月末現在,全国200か所近くの家電量販店 などに4Kテレビ視聴コーナーが設けられてい る。「Channel 4K」のパンフレットには,「あな たは,『本当はこうだったんだ』と思う。」という 「これからのテレビ」を巡る 動向を整理する Vol.4 ~ 2013 年 10 月- 2014 年 7 月~ メディア研究部 村上圭子 放送サービスの高度化の取り組みは,2014 年に入っていよいよ本格化している。6 月には 4K 試験放送がスター トし,秋からは,NHK がハイブリッドキャストサービスを総合テレビだけでなく,E テレや BS でもスタートさせる としている。一方で,4K・8K の新ロードマップの公表は予定より大きくずれ込み,民放でハイブリッドキャストサー ビスをスタートさせようという局は依然出ていない。オールジャパンでテレビを盛り上げようという取り組みは今後 どこに向かっていくのだろうか。 また 7月には,これまでリアルタイム視聴率を唯一の指標としてきた地上波民放事業者の無料広告モデルに風 穴を開ける動きが相次いだ。半世紀以上維持されてきた盤石なビジネスモデルが変化していくのだとすると,そ れは視聴者にとってどのような意味を持つのだろうか。 本稿は,通信放送融合時代のこれからのテレビのありようを継続的に研究するための作業の結果報告である。 今回は 2013 年10月から2014 年 7月までの最新動向を整理,論考した。

「これからのテレビ」を巡る 動向を整理する - NHK2014/09/02  · 20 SEPTEMBER 2014 1. 2013年10月~2014年7月のポイント 1-1 分類 本シリーズでは,テレビに関連する新たな取

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  • 18  SEPTEMBER 2014

    キャッチコピーが躍る。肉眼を超えようとしている4Kの技術が,誰も見たことのない奥行きある映像をもたらすと解説されている。

    既に市場には4K対応テレビが出回っているが,そこに4K映像が伝送されて“本物”の4Kが見られるのはこれからである。今後どれだけの人が家庭のテレビで4Kを視聴したいと思うのか。その先に予定されている8Kについてはどうか。オールジャパンで取り組む「高画質化」という新サービスはスタートラインに立ったばかりである。

    この動きと時を同じくして,NHK BSプレミアムで,あるドラマがスタートした。テレビ業界を舞台にした連続ドラマで,タイトルは『おわこんTV 1)』。“おわこん”とは“終わったコンテンツ”の略で,かつて一世を風靡したが今は

    はじめに

    6月2日,2014 FIFAワールドカップ開催に合わせる形で,日本初の4K試験放送「Channel 4K」がスタートした。諸外国では,欧州を拠点とする衛星運営事業者が2013年9月から試験放送をスタートさせ,韓国では2014年4月にケーブルテレビが専用チャンネルを開局している。しかし総務省を始め関係者は,一般家庭のテレビで4K放送が見られる環境を整備したという意味では,日本が世界初であると力説している。

    7月末現在,全国200か所近くの家電量販店などに4Kテレビ視聴コーナーが設けられている。「Channel 4K」のパンフレットには,「あなたは,『本当はこうだったんだ』と思う。」という

    「これからのテレビ」を巡る動向を整理する Vol.4~ 2013年 10 月- 2014年 7 月~

    メディア研究部 村上圭子

    放送サービスの高度化の取り組みは,2014 年に入っていよいよ本格化している。6月には4K試験放送がスタートし,秋からは,NHKがハイブリッドキャストサービスを総合テレビだけでなく,EテレやBSでもスタートさせるとしている。一方で,4K・8Kの新ロードマップの公表は予定より大きくずれ込み,民放でハイブリッドキャストサービスをスタートさせようという局は依然出ていない。オールジャパンでテレビを盛り上げようという取り組みは今後どこに向かっていくのだろうか。

    また7月には,これまでリアルタイム視聴率を唯一の指標としてきた地上波民放事業者の無料広告モデルに風穴を開ける動きが相次いだ。半世紀以上維持されてきた盤石なビジネスモデルが変化していくのだとすると,それは視聴者にとってどのような意味を持つのだろうか。

    本稿は,通信放送融合時代のこれからのテレビのありようを継続的に研究するための作業の結果報告である。今回は2013 年10月から2014 年7月までの最新動向を整理,論考した。

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    存在感や役割が完全に失われてしまった(=終わった)コンテンツのことを指す,ネット上の造語である。テレビや新聞など既存マスメディアを揶揄する際によく用いられている。NHKがこうした自虐的ともいえるタイトルを掲げてドラマを制作する意図や,どこまで内容面で踏み込む覚悟があるのかなど,放送前から話題が集まっていた。

    ドラマは,本稿執筆中の7月末現在も放送中のため論評は避けるが,“テレビ=おわこん”批判の底流にある,“上から目線”の傲慢な取材姿勢,ユーザー目線が乏しい業界体質,閉鎖的で旧態依然としたビジネスモデルなどへの違和感や抵抗感をくみ取り,それを,視聴率至上主義,下請け構造,パターン化した演出など,視聴者に分かりやすいテーマに落とし込んで描いている。

    さて,本稿「『これからのテレビ』を巡る動向を整理する」シリーズはこれまで,通信放送融合時代におけるテレビに関連する新たな取り組みに注目し,その可能性と課題を考えてきた。このうち,特に放送事業者が提案する新サービスに対しては,ネットユーザーを中心に人々の違和感や抵抗感が強く,その底流にはドラマ『おわこんTV』で描かれているものと同じ感覚が存在している。2014年2月にNHK放送文化研究所(以下,文研)で行った2つの調査 2)

    では,「テレビ局押しつけのセカンドスクリーンサービスはいらない」「テレビ局の生き残りのためのサービスというのが見え見え」「これ以上テレビを高機能化してほしくない」など,否定的な声が多く聞かれた。新サービスのスタート段階で既にこうした受け止めがあることを,放送事業者は肝に銘じておかなければならない。

    しかし2014年に入ってからは,放送事業者

    のビジネスモデルにも変化の兆しが見え始めている。もちろんこの動きは,経営的に苦境に立たされるテレビメーカーの様々な挑戦や,SIMロックフリー政策でますます競争が激化する通信事業者の差別化戦略,グローバルな視点でトライ&エラーを繰り返すネット事業者などの取り組みに比べると,ようやく重い腰を上げ始めたというレベルかもしれない。しかし,地上波民放事業者の新たなビジネスモデルへの取り組みは,これまでリアルタイム視聴率のみを指標にした無料広告モデルが盤石であったが故に,小さな動きでも見過ごさず観察しておく必要がある。

    また2014年前半は,放送サービスの高度化 3)

    を中心に,オールジャパンで進める様々なICT施策の具現化をスタートさせる時期でもあった。冒頭に述べた4K・8Kや,2016年の年明けまでに配布が予定されている個人番号カード(以下,マイナンバーカード)を意識した新サービスの開発など,国がけん引する業界横断の取り組みは,更に加速化していくだろう。しかし,事業者側は国の財政支援が途絶えた後も,これらの施策を自発的にサービスとして提供する心づもりがどの位あるのだろうか。また,人々から

    “上から目線”と揶揄されることなく施策が普及し,テレビの価値の再構築につながっていく見込みはどの位あるのだろうか。冷静に見極めなければならない。

    本稿は3部構成である。第1章は2013年10月から2014年7月まで(一覧表は編集作業の都合上2014年6月まで)の主な動きを事業者別に概観する。第2章はポスト“リアルタイム視聴率”時代について展望する。第3章はオールジャパンで進める放送サービスの高度化はどこに向かうのかについて考える。

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    1. 2013 年 10月~ 2014 年 7月のポイント

    1-1 分類本シリーズでは,テレビに関連する新たな取

    り組みを,業界各紙誌 4)の記事を手がかりに事実関係を確認して一覧表を作成してきた。取り組みをキーワードと事業者別に分類し,基本認識を得るためである。キーワードとその定義については,状況の変化に応じて変更を加えているため,最新のものを表1に示した。

    前回(本誌2013年12月号)からの変更は3点である。まず,2013年にはテレビの宅外視聴サービスが本格化したため「マルチデバイス化」の小項目として「宅外化」を設けたが,この1年で一般化してきたので「マルチスクリーン化」に統合した。次に,テレビをネットにつなぎ様々なサービスを展開する「スマートテレビ化」だが,セットトップボックス(以下,STB)経由でのパッケージサービスが増えているため,小項目を設けた。3点目は,これまで「タイムシフト化」と「VOD化」を同項目として扱ってきたが,視聴者自身が録画し視聴する環境が広がる「録画視聴化」と「VOD化」は切り分けた方が実態をより正しく捉えることができると考え,

    「タイムシフト化」を大項目にし,2つを小項目

    化した。事業者は,放送事業者,メーカー,ケーブ

    ルテレビ事業者,通信事業者,ネット事業者,国・関係機関の6項目で変化はない。台頭する動画配信サービス事業者については,ネット事業者とほぼ重なるため同じ括りとした。

    2013年10月から2014年6月までの動向を整理した一覧表は本稿の最後に示した(表2)5)。本文と合わせて参照されたい。

    1-2 概観2013 年10月から2014 年7月までの動向にお

    ける頻出キーワードは,「4K」「動画配信」「プラットフォーム」であった。では,事業者別に主な動きを整理していく。

    1-2-1 国・関係機関

    最も慌ただしかったのは,2014年6月の試験放送スタートに向けた4K関連の動きであった。次世代放送推進フォーラム(以下,NexTV-F)を窓口に,各事業者は伝送実験やコンテンツ制作に取り組み,サッカーワールドカップに間に合わせる形で試験放送をスタートさせた。現在,東経124/128度CSデジタル放送で,1日約6時間の放送が行われている。コンテンツは

    7月末現在,ワールドカップ関連を除くと15番組しかなく,それらが繰り返し放送されている状況にあるが, 順 次 増やしていく予定だという。また,視聴者が自宅で試験放送を見ようとする場合,4K

    表1

    キーワード 内容

    1マルチデバイス化 多様な端末の展開・マルチスクリーン化 ・様々な端末でどこでも同じコンテンツが見られる・セカンドスクリーン化 ・テレビ端末に紐づいたサービス展開

    2

    スマートテレビ化 テレビ端末をネットにつなげる展開・放送連動(ハイブリッドキャスト) ・テレビ端末をネットにつなぎ放送をより楽しむ・放送非連動・多機能 ・テレビ端末をネットにつなぎテレビをより幅広く活用・セットトップボックス(STB) ・テレビ端末を STB につなぎ多様なサービスを展開

    3タイムシフト化 リアルタイム以外のコンテンツ視聴の広がり・録画視聴化 ・デジタル録画機,HDDや全録による録画視聴の広がり・VOD 化 ・VOD サービスの利用の広がり

    4 ソーシャル化 テレビの周りにコミュニケーションの場ができる5 高画質化(4K・8K) 画面が高画質,高精細になる

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    対応テレビを持っているだけではだめで,対応チューナー,HDMI2.0ケーブル,CSアンテナとICカードを揃えなければならない。7月末現在,NexTV-Fへの視聴登録数は285件である。

    4K・8Kと共に放送サービスの高度化のもう1つの柱は,放送連動型スマートテレビサービスのハイブリッドキャストである。現在,サービスを行っているのはNHKのみである。民放については,2014年1月から3月にかけ,地上波キー 5局などが,総務省の実証実験の枠組みで,番組連動企画やCM連動クーポン配布などに取り組んだ。実証実験を請け負った三菱総合研究所は報告書 6)で,ユーザーがまず専用テレビを準備し,次にテレビに対応したメーカーのコンパニオンアプリをダウンロードし,更にアプリに対応した端末とテレビとを同一無線LAN環境でペアリングしないと十分に楽しめないという,サービスそもそもの利用障壁の高さについて指摘している。この指摘については,6月末に(一社)IPTVフォーラム7)が公開した「放送通信連携システム仕様 2.0版」で,アプリをメーカー共通で進める方向性が示唆されている。ただ,メーカーがこれから発売するテレビにこの2.0の仕様を採用するのか,また,現在出荷済みのテレビの1.0 仕様をバージョンアップするのかについては,それぞれコストがかかるため,メーカーごとの判断に委ねられる。

    今後のハイブリッドキャストのサービス展開については,NHKが今秋から4 波 8)で展開していくとしている。2014 年 6月末に放送法等の一部改正法が公布されたことで,放送済みの番組関連に限られていたNHKのネット活用業務は,放送前,放送中も可能となった 9)。今後,NHKは実施基準を作り,それをもとにサービスを行うことになるが,これまで総務

    大臣の特認を得て行ってきた時差再生やマルチビューサービスなどが柔軟に行えるようになると想定される。一方,民放においては,実証実験終了後にサービスをスタートさせると明言している局はまだない。

    もう1つ触れておきたいのが,チューナーが内蔵されていないモバイル端末でも,“いつでもどこでも”テレビ放送を楽しむ宅外視聴サービスの規格化が行われたことである。NexTV-Fが公開した規格を採用した受信機(テレビもしくは録画機)を購入し,モバイル端末とペアリングすれば利用が可能で,2014年3月以降,対応機器が販売されている。 

    実はこの種のサービスは,既に2013年初旬からNAS 10)などを通じ提供する事業者が相次いでいた。しかし,それらは著作権保護の観点などからARIB 11)の運用規定上認められないとして,サービス提供事業者と放送事業者の間で摩擦が生じていたのである12)。今回の規格化は,こうした摩擦を解消し,宅外視聴にいわば国の“お墨付き”を与えるものであった。ただ,自宅の受信機とのペアリングは3か月に1度行わなければならず,放送事業者の意向をくみ録画再生のCMスキップ機能搭載の実質禁止を謳うなど,これまで流通していたサービスより,ユーザー側からすると利便性に欠ける内容となっている。

    1-2-2 メーカー

    次にメーカーの動きであるが,やはり最初に4K関連について触れておこう。(一社)電子情報技術産業協会(以下,JEITA)

    の統計13)によると,4K対応テレビの2013年の年間出荷台数実績は26万6,000台であり,テレビ全体の中では約5%と,まだ普及に向かっ

    SEPTEMBER 2014

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    ているとは言い難い。ただJEITAは今後4Kが本放送へと向かっていく中,2017年には4Kと2Kの出荷台数が逆転し,2018年には4K対応テレビがテレビ出荷台数全体の約65%を占めると予測している。

    4Kに関して,現在最も積極的なのはソニーとシャープである。民間調査会社BCNのデータによると,2014年上半期の4K対応テレビの国内シェアの約65%はソニーが占めている。2014年秋には,試験放送に対応するチューナーの発売も予定している。シャープは,出荷台数のシェアでは11.6%とソニーに大きく出遅れているものの,既に6月末に日本で初めてとなる4K試験放送対応チューナー付き録画機を発売している。

    続いて4K以外の動きである。東芝ライフスタイル(以下,東芝)とパナソニックは,引き続き全録機の開発に熱心に取り組んでいる。2社とも,これまでの機能を大きく上回る時間とチャンネル数の録画が可能な機種を発売した。パナソニックの最新機種では,最大で10チャンネル,21日間の録画が可能となっている。

    東芝はスマートテレビ化についても熱心である。クラウドサービスを提供する画面上に動画広告を掲載したり,外部のポイントサービスと連携し,クラウドサービスを利用するとポイントが貯まるなどの取り組みを相次いでスタートさせている。テレビを“売り切る”のではなく,ネットに接続してもらうことで,販売した後も継続してビジネスができるような仕組み作りを模索している。

    スマートテレビ化についてはこの他,2014年6月末にGoogleのスマートテレビプラットフォーム「Android TV」の発表会の席で,ソニーとシャープが採用を検討する旨が発表された。

    対応機種がまだ発売されていないので言及は控えるが,オールジャパンでハイブリッドキャストを進める中,この動きが今後どのような意味を持ってくるのか,注視していきたい。いずれにせよ,この2 社は自社によるスマートテレビ機能の開発を推し進めるより,前述したように4Kの開発に集中して取り組んでいこうとしていると思われる。

    1-2-3 通信事業者

    通信事業者では,NTTぷららのIPTVサービス,「ひかりTV」の動きが目立った。ひかりTVとは,地上波,BS,多チャンネル,VODサービスや,アプリなどの各種スマートテレビ機能を,NTTのフレッツ光回線を使って提供するサービスである。2014年3月現在で契約数は約280万世帯,5年で契約数を約3倍に伸ばしている。

    現在,特に力を入れているのが4Kサービスである。2014年4月には4KのVOD配信実験を,6月末には試験放送をスタートさせた。試験放送では独自編成の「ひかりTV 4K」も放送中で,コンテンツ制作にも意欲を見せている。実サービスは,VODは2014年中,放送も2015年のスタートを見込んでおり,VODと放送を同一チューナーで視聴できるSTBの開発を進めている。

    1-2-4 ケーブルテレビ事業者

    ケーブルテレビはIPTVと共に,4Kサービスの早期実施に向け,国から強い期待がかけられている。帯域利用やチャンネル割り当てに調整が必要な放送事業者に比べ,既に敷設しているケーブル網を使って同時再放送を行うことが可能だからである。今後,全国50か所の店

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    頭や視聴スペースで試験放送を展開していく予定である。また,NexTV-Fへの番組提供や,将来的な展開を意識した地域映像のアーカイブ化にも取り組んでいくという。4K対応のSTBについては,2015年に導入できるよう開発が進められている。

    こうした4Kへの取り組みもさることながら,現在,ケーブルテレビ事業者は大きな変革の時を迎えている。事業者の横断的連携が急速に進められているからである。2013年11月には,日本ケーブルテレビ連盟内に「ケーブル・プラットフォーム推進ワーキンググループ」と「ID連携検討ワーキンググループ」を設置することが決まった。これらは総務省の「放送サービスの高度化に関する検討会(以下,高度化検討会)」の取りまとめを受けたものだが,こうした連携を急ぐ背景には,加入数は日本の全世帯の過半数の約2,800万余りに上っているものの,既存のサービスの提供にとどまっていては,新たに台頭しているOTT 14)に対抗していけないという危機感がある。2014年4月には業界1位と2位のJ:COMとJCNの合併が行われ,業界の寡占化が進んでいるが,一方で,地域資本で成り立つ独立系事業者も少なくない。そのため,業界横断の“公器”的なプラットフォームを形成することで,個々の事業者が過度な設備投資を行うことなく,業界全体のスケールメリットを生かし,より魅力的なサービスをユーザーに提供しようとしているのである。

    そのプラットフォームの要として考えられているのが,2016年の年明けまでに配布される予定のマイナンバーカードである。マイナンバーは社会保障と税の共通番号だが,カードの普及,利用促進に向け,公的個人認証の民間開放が行われる見込みである。現在,このカードの

    読み取り機能をケーブルテレビのSTB側に持たせ,マイナンバーとケーブルテレビのIDを紐づけることで,テレビをあらゆる情報関連サービスのウインドーにしていこうということが考えられている15)。これが実現すると,ユーザーはテレビ画面上で,例えば医療や薬情報の閲覧,自治体関連の様々な申請,公的施設の予約などができ,逆に自治体側からは,テレビ画面を通じてユーザー個人への災害情報伝達や見守りサービスなどを行うことが可能となる。

    こうした方向性は,業界自身の模索というより,どちらかというと国がけん引する形で打ち出されている。2014年6月末に政府が改定した

    「世界最先端IT国家創造宣言 16)」では,暮らしに関わる利便性の高い官民のオンラインサービスを本人確認の連携で実現させる手段として,スマホ,タブレットと共にケーブルテレビが明記された。しかし,スマホ,タブレットは端末そのものでありサービスではない。もしも並列ならば単にテレビと記載すべきであろう。しかし,テレビではなく,敢えてケーブルテレビと明記されていることに意味があるのである。

    つまり,4Kやマイナンバーカードの普及など,国は最先端のICT政策を推し進めていく場として,日本の過半数の世帯が加入しているケーブルテレビを効果的に活用しようとしているのである。現在開発中のSTBには,4K対応,マイナンバーカードリーダーの他,ハイブリッドキャスト機能も搭載される予定である。

    こうした一連の動きは,結果としてケーブルテレビ事業者の顧客囲い込みを国が後押ししているのではないかとの疑念を招きかねない。

    (一社)日本ケーブルテレビ連盟の岡村信吾審議役(7月末時点)は筆者の取材に対し,「確かにそう映るかもしれない。しかし,ケーブルテレ

    SEPTEMBER 2014

  • 24  SEPTEMBER 2014

    ビユーザーはもともと高齢者や,都会以外の住民など,ICTによるサービスを手にしにくい人達である。こうした人達に,若者や都会に住む人と同じようにストレスなく最先端のICTサービスを活用してもらえる環境を整えることこそが,ケーブルテレビの公共的使命である」と答えている。

    1-2-5 ネット事業者

    今回,ネット事業者の動きの大半は動画配信に関するものであった。Amazon,楽天,LINEがそれぞれ動画配信サービスをスタートさせ,KADOKAWAとの経営統合を発表したドワンゴは新たなコンテンツプラットフォームを形成すると発表した。しかし最も話題となったのは,2014年2月末,アメリカの動画配信サービス事業者のHuluが日本向け事業を分社化し,日本テレビ(以下,日テレ)に譲渡すると発表したことであった。日テレはこれにより,自局のコンテンツだけでなく,動画コンテンツのアグリゲーター 17)という立場で定額制動画配信サービスに参入することになったのである。この詳細については次項で改めて触れたい。

    1-2-6 放送事業者

    前回の原稿執筆の際(本誌2013年12月号),放送事業者の動きで最も大きなトレンドだったのはセカンドスクリーンアプリであったが,今回は動画配信とプラットフォーム化であった。

    動画配信にはいくつかのパターンがあるので,予め確認しておく。コンテンツの提供方法とサービス主体の2つの観点から整理する。

    まず提供方法である。大きく有料と無料に分かれ,有料モデルには都度課金(T-VOD)と定額制(S-VOD)がある。無料モデルには,動画

    広告付きモデル(AD-VOD)と,動画広告が挿入されない見逃し番組やミニ動画などがあり,後者にはサイトにバナー広告などがつくことが多い18)。次にサービス主体である。主な主体としては,①地上波放送事業者,②多チャンネル放送事業者(ケーブルテレビ,IPTV,有料衛星),③動画配信サービス事業者(ネット,ビデオレンタルなど),④通信事業者(携帯キャリア),⑤テレビメーカー(アクトビラ)がある19)。②以下は,コンテンツを集めて提供する事業をメインとするアグリゲーターであるが,コンテンツ制作を本業とする①の放送事業者は,自局単営のVODサイトを運営しながら,②以下のプラットフォームに対し効果的にコンテンツを出し分けていくというウインドー戦略をとっている。

    最近,放送事業者の取り組みで急速に増えているのが,無料の動画広告付きモデルである。このモデルでオリジナル動画の配信をスタートさせたのがフジテレビ(以下,フジ)とテレビ東京(以下,テレ東)である。また,TBSテレビ(以下,TBS)は1999年から無料配信してきたニュース動画「News i」に対し,2014年7月から動画広告を採用した。また,2014年1月から「日テレいつでもどこでもキャンペーン」と称し,番組の本編部分のみを配信していた日テレも,7月から,放送時にCMが流されていた箇所に動画広告を挿入するこのモデルに切り替えた。

    自局サイトでの定額制モデルも広がりを見せている。例えば2013年3月にテレ東が開始したビジネス番組に特化したパッケージサービスは,順調に契約者数を伸ばしているし,NHKオンデマンドも見逃しや特選の見放題パックの会員数を伸ばし,2013年度決算で黒字化にこぎつけた。これらの動きを見てみると,都度課

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    金から始まった放送事業者の自局単営のVODサイトは,次第に無料広告と定額制に比重を移してきているといえよう。

    また,同じ定額制でもプラットフォームとして動画配信に乗り出したのが,前述した日テレが運営するHulu Japan(以下,Hulu)である。Huluでは,ユーザーは月額933円(税抜)を払えば,海外ドラマや地上波の番組など1万3,000余りのコンテンツを多様なデバイスで視聴できる。日テレのインターネット事業局長の於保浩之氏は筆者の取材に対し,「“日本テレビの”ではなく“日本のテレビの”動画配信プラットフォームとしてHuluを育てたい。コンテンツを作る放送事業者自らがサービスを展開する環境を,早く作らなければならない。OTTに安くコンテンツを供出させられる環境ができてからでは遅い。そのために日テレが先導役を果たす」と語った。日本には現在,Netflixのような圧倒的なシェアを誇るOTTの動画配信サービスは存在しないが,例えば NTTドコモは「dビデオ」を,ソフトバンクは「UULA」を月額500円前後で提供しており,前者は約413万人,後者は約111万人の会員数を獲得している20)。Huluの会員数は未公表だが,100万人には到達していないという。新規会員獲得に向けて海外ドラマの充実や,「アンパンマンチャンネル」を始め子ども向けアニメなど特徴を徐々に打ち出しており,今後はオリジナルドラマも手がけたいという。

    果たしてHuluは今後,“日本のテレビの”動画配信プラットフォームに進化していけるだろうか。現在,Huluにはテレ東,TBS,NHKがコンテンツを提供しているが,日テレが運営することになると各局がコンテンツを引き揚げてしまうのでは,との懸念も当初は聞かれた。し

    かし於保氏によれば,「それぞれの局に日テレの方針を説明し理解していただいており,摩擦はない。民放 2局にはHuluのお盆キャンペーンスポットも放送していただく」という。ただ,フジとテレ朝からは今のところコンテンツの提供はない。

    ここでもう1つ,このHuluの動きの前から,“日本のテレビの”動画配信プラットフォームを標ぼうしてきた,「もっとTV」の取り組みの最新状況を紹介しておきたい。もっとTVは2012年4月,電通と地上波民放キー 5局(同年7月にNHKも参加)が,“地上波放送のリアルタイム視聴促進”を合言葉に業界横断でスタートさせたサービスである。対応テレビのリモコンの専用ボタンを押すと,放送中の番組に関連するVODが並ぶ画面に遷移し,そこで直接購入し,視聴ができるシームレスなサービスを最大の売りにしていた。しかし,一部のメーカーにしか対応機器の製造に応じてもらえず苦戦,その後モバイル端末への対応を経て,2014年1月に地上波民放キー5局横断の定額制サービスをスタートさせた。しかし,月額900円(税抜)で品揃えが300エピソード程度というのは,他の定額制サービスよりかなり割高であることは否めない。Huluの日テレへの譲渡が発表されたのは,その翌月のことであった。

    プラットフォームを形成する事業者側の大きなねらいは,ログデータ収集→ビッグデータ解析→サービス拡大→新サービス展開,というビジネスモデルにある。アメリカのNetflixの成功が語られる際も常に紹介されるのは,ビッグデータ解析による最適化されたレコメンデーションと番組制作への活用,という内容である。しかし,今回の地上波民放キー局のように競合関係にある事業者が集まって横断プラット

    SEPTEMBER 2014

  • 26  SEPTEMBER 2014

    フォームを形成する場合,ログデータをどこが管理しどう活用していくか,つまりビジネスをどこが握るかが常に問題となる。もっとTVの場合は電通が 21),Huluの場合は日テレが収集,活用することになる。参加する個別の事業者はプラットフォーム事業者とNDA22)を締結してデータ提供を受けることが可能だが,いずれにせよ全てのログデータを閲覧,活用できるのはプラットフォーム事業者であるという事実には変わりはない。このことが他の事業者の参加やコンテンツ提供を消極的にさせているのである。

    こうしたプラットフォーム事業者による,ビッグデータを活用したビジネスモデルは,サービスが一定の規模以上にならないと効果を生まない。今後,この2つのサービスは“競合関係の中の協調領域”をどこまで作ることができるのか。正念場はこれからであろう。

    放送事業者によるプラットフォーム化という動きは,動画配信の領域だけにとどまらない。最も早い取り組みとしては,2011年に発足した,ローカル民放事業者によるマルチスクリーン型放送研究会がある。これまではセカンドスクリーンアプリや入力システムの共通化を図ってきたが,そろそろアプリ経由で収集されるログデータをビジネスに活用する段階になってきている。50局を超える加盟局間でどんな枠組みを作っていくのだろうか。

    また,日テレは,ネットに接続したテレビ端末とIDを連携させ,収集したログデータを活用して災害情報伝達や見守りサービスを提供するプラットフォーム「JoinTown」を提案している。総務省の実証実験の枠組みで2回の避難訓練を行い,2014年はサービスの社会実装に歩みを進める段階にある。日テレは総務省に提出した書類 23)で,「テレビ放送とIDを融合

    して展開する事業は,災害対策を始め公共性が高い分野であり,特定の放送局が対応するだけでは効果が少ない」「マイナンバーカードに対応した管理体制の実現に向けて,プラットフォームの機能を果たす推進体制の構築を目指す」としている。

    気になるのは,このプラットフォームが社会的課題の解決という放送事業者の公共的役割を果たすことが最終目的なのか,それとも,それを足がかりにした新たなビジネスの開拓まで視野に入れているのか,ということである。先行してシステムを設計した日テレと,連携を呼びかけられた事業者側が同床異夢にならないよう,表層的でない議論が行われることを願いたい。またこの取り組みはマイナンバーカードの活用を謳うなど,前述したケーブルテレビ事業者の取り組みと重なる部分も大きい。何らかの調整もしくはID連携などがなければ,サービスを利用する自治体や地域住民側の混乱を招きかねない。社会実装にあたっては,サービスを受ける立場に立った丁寧な設計が求められるであろう。

    更にこれ以外にも,プラットフォーム化の動きはいくつもある。放送のメタデータを作成,販売している事業者に対し,地上波民放キー 5局と広告代理店が共同出資してサービスを統合していこうとする動きや,視聴誘導や番組レコメンドを行うアプリ「ハミテレ」24)を地上波民放キー 5局とNHKでリリースするなどの動きである。いずれも各事業者が協調することでテレビの価値最大化を図り,それが結果的に自局の価値向上に結びつくという期待から生まれているものである。6月末に公開されたハイブリッドキャストの2.0仕様も,放送事業者横断のサービス展開が想定されている。

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    しかし,単にサービスをプラットフォーム化すればうまくいくというほど事はたやすくはない。協調する意味の熟慮や,効果の測定なくしては,関わっても労多くして益少なしとなりかねない。また,業界横断の取り組みはインパクトが強いだけに,迷走すると却って視聴者の混乱とテレビ離れの助長にもつながりかねない。プラットフォーム化を打ち出すことが流行りのような放送事業者の昨今の風潮には,そうした危うさが潜んでいる。

    いずれにせよ,こうした動きが増えたことで,普段は競争関係にある各局の担当者同士が腹を割って議論する場が以前より増えていることだけは間違いない。こうした議論の中から,既存の枠組みを超える新たな発想が生まれる可能性もある。プラットフォームの構築ありき,ではなく,そのプロセスで生み出される化学反応に期待したい。

    2. ポスト“リアルタイム視聴率”時代

    2014年7月は,リアルタイム視聴率による無料広告モデルという,これまで半世紀以上続いてきた地上波民放事業者のビジネスモデルに風穴を開ける2つの動きがあった。1つは録画再生視聴データの公表,もう1つは動画広告付き見逃し無料モデルのスタートである。2つは別個の動きではあるが,新たなビジネスモデルの模索という意味では,底流でつながっている。以下,それぞれの意味を押さえておきたい。

    2-1 録画再生視聴データ公開の意味7月14日,視聴率調査会社のビデオリサー

    チは,録画再生視聴の調査データ25)を一部公開した。公開したのは,2014年4月から6月の

    地上波民放キー5局及び NHK総合の番組のうち,放送日も含め7日間以内の平均再生視聴率が高かった上位50番組である26)。最も高かったのはTBS系列のドラマ『ルーズヴェルト・ゲーム』で7.7%,上位10番組のうち8つがドラマであった。これまでも,ドラマはよく録画再生されるとか,リアルタイム視聴の半分位の割合で再生視聴される番組もあるということが指摘されていたが 27),今回,それが測定データで裏付けられた形となった 28)。

    また,録画再生時にどの位CMがスキップされているのかについても,今回の調査で明らかとなった。筆者の取材に対しビデオリサーチは,「CM再生視聴の割合は約半数という傾向が確認されている」との回答を寄せた。文研の最新の調査 29)では,「再生するときにCMを飛ばして見る」に「よくある」と答えた人が76.2%,

    「ときどきある」が11.9%,他社の調査 30)でも「いつも飛ばす」「ときどき飛ばす」を合わせて8割超という結果が出ており,今回の約半数という数字はいささか意外ではあった。ともあれ,日常化していると言われていた録画再生視聴におけるCMスキップの実態が,測定データとして初めて示された意義は大きい。

    海 外に目を転じると,アメリカでは既に2006年に調査会社のニールセンが録画再生視聴率の測定を開始し 31),翌年には公表 32)している。現在は,その数字を含めCM部分だけを切り出したCM視聴率が広告取り引きの指標として用いられている。日本では2011年からビデオリサーチが調査を開始し,3年後の今回,ようやく公開に至った。今後,2015年1月のデータ提供を目指すとしているが,取り引きの指標とするかどうかについては明言していない。単純に比較すると,アメリカと比べ取り組

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    みが5年以上遅れていることになるが,ビデオリサーチは「アメリカと日本ではメディア環境や広告取り引きスタイルも異なるので,遅い早いの問題とは捉えていない」と言う。

    日本の広告ビジネスが他国と比べて特徴的なのは,「タイム」と「スポット」という2つの異なった広告形態が存在することにある。スポットは「番組に関係なく局が定める時間に挿入されるCM枠内で放送する広告」で,どれだけの人がどれだけの回数見たのかを示す「延べ視聴率(GRP)」が取り引きする際の指標となる。一方,タイムは「個別の番組を提供し,その番組に含まれるCM枠内で放送する広告」であり,契約期間は2クール(6か月)が基本である。料金には番組の制作費が含まれている。広告主に個別の番組や放送枠を「提供」という形でサポートしてもらう代わりに,放送事業者は競合企業を排除し広告主の製品を番組内に登場させるなどブランドのイメージアップにも貢献する,いわば“持ちつ持たれつ”の日本特有の手法である 33)。世界的に見ればスポットが一般的であり,特にオールスポットのアメリカでは,録画再生視聴も含めたCM視聴率が,日本よりも早期に指標として確立してきたのである。ビデオリサーチの言う“広告取り引きスタイル”の違いとは,以上のことを示している。

    ビデオリサーチは当面の間,詳細データについては公表する予定はないとしている。リアルタイム視聴率のように1分刻みのデータを公表すると,個々のCMスキップの実態が明らかになってしまうことがその理由の1つと思われるが,そもそも今回のデータ提供は,これまでリアルタイム視聴率でしか示せなかった番組や枠の価値を,録画再生視聴の実態を示すことで少しでも補強していくことがねらいであると思わ

    れる。言い換えると,総世帯視聴率の低下傾向が続き,一方でネット広告費が拡大している中,番組制作費をサポートしてくれるタイム広告主のテレビ離れをいかに食い止められるか,そのための対策ということであろう。

    2-2 動画広告付き      見逃し無料モデルの意味

    では,先にも少し触れたが,同じく7月にスタートした日テレの動画広告付き見逃し無料モデルはどのような意味を持つのだろうか。このモデルの最大の特徴は,放送時にCMが流されていた箇所に,その時のCMとは異なる広告主の動画広告を挿入するというものである。広告主には,1か月間に動画広告を露出する権利が「枠」として販売される。テレビでいえばスポット枠的な位置付けである。番組本編は早送りできるが,動画広告はスキップできない。

    日テレで見逃し無料サービスの企画が初めて出されたのは5年前の2009年に遡る。提案者は,当時日テレに転職して2年目の太田正仁氏であった。太田氏は,テレビ離れが進む若年層に番組に接触してもらうにはこの方法以外にはないと考えた。しかし社内では,権利者への許諾や独自編成を行う系列局との調整をどうするのか,そもそもそれ以前に,無料で見逃し視聴できるようになるとリアルタイム視聴率への影響が出かねないのではないかと,慎重な受け止めが大勢を占めていたという。

    しかし,既にイギリスでは2006年頃から見逃し無料サービスが実施されていた。そこで太田氏はイギリスの複数の放送局を訪問し,このサービスがリアルタイム視聴率には影響がないこと,動画広告が新たな収入源になっていることなどの情報を収集し,プロジェクトチームで局

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    内,権利者,系列局,広告主などを回った。「丁寧な説明は必要だったが,思っていた以上に理解を得られた。広告主や権利者の中には,もっと早く対応してほしかった,という声も少なくなかった。最も説得するのが大変だったのが,リアルタイム視聴を第一に考える社内だった」。

    追い風もあった。2013年は“動画広告元年”と言われ,これまでバナー広告やリスティング広告 34)が主流だったネット広告の世界の空気が一変した。Twitter,Facebook,Yahoo!が 動画広告をスタートさせ,広告配信技術を持った海外のプラットフォーム事業者も日本市場に参入してきた。このため広告主の間でも,ネットに動画広告を出したいという気運が一気に高まっていたといえよう。

    テレビ視聴率の世界とネットでの動画再生では数字の大きさはまるで異なる。しかし広告主にとっては,録画再生視聴のようにCMスキップを気にする必要はないし,また,現在は動画広告はランダムに挿入されているが,ゆくゆくは個人の視聴傾向に合わせたターゲティングなどができる可能性も秘めている。日テレは8月現在,7社と契約しているが,動画広告を出したいと希望する広告主はまだ相当数いるという。太田氏は,「強いプラットフォームが必要な課金型VODに比べ,既にコンテンツに動画広告が挿入されているので,単体でどこにでもばらまくことができる。自局HPだけでなく,番組表や番組記事,SNS,キュレーションメディアにも展開し,どんどんシェアしてもらえる環境を作っていきたい」と抱負を語った。

     2-3 視聴者にとっての意味

    以上の2つの動きは,視聴者にとってどのような意味を持つのだろうか。まず,録画再生

    視聴についてだが,これが仮に広告取り引きの指標となり,テレビ番組の制作費が維持もしくは増加し,その結果,放送事業者の良質な番組制作につながっていくのであれば,視聴者にとっては朗報である。ただ,録画再生視聴は新たに生まれた価値ではなく,これまで可視化される手段がなかっただけという見方もできる。そこに広告主がどれだけの価値を認めていくのか,もう少し成り行きを観察していく必要がある。

    次に動画広告付き見逃し無料モデルについてである。2014年2月に文研で行った調査 35)でも,見逃し無料は,番組アクセスを促進させる様々な新サービスの中でも飛びぬけてニーズが高いという結果が出ていた。まさに視聴者に長らく待たれていたサービスが実現しつつあるといえよう。

    ただ,このモデルが普及していくとすれば,キー局制作の番組にローカルCMを流す系列局は内心穏やかではないだろう。ローカル民放のプラットフォームであるマルチスクリーン型放送研究会のサービス部会長で電通関西支社の今谷秀和氏は,2014年3月に文研が行ったシンポジウムで,放送事業者にとっては広告主を差し替える動画広告付き見逃し無料モデルではなく,リアルタイム放送と同じローカルCMがそのまま流れる同時再送信などの新サービスが広がることが望ましい,としている。これらのいわば“準リアルタイム放送”的なサービスにはどの位ニーズがあるのか。そして,その際のビジネスモデルをどう設計するのか。録画再生視聴の指標化ができれば,こうしたサービスに同じ指標を当てはめることができるのかもしれない。ユーザーのニーズと放送事業者のビジネスモデルの接点がどこにあるのか,引き続き見つ

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    めていきたい。

    3. オールジャパンはどこに向かうのか?

    「はじめに」で述べたように,2014年前半は,日本の成長戦略,国際戦略の一環としてオールジャパンで進める放送サービスの高度化の施策が本格的に動き始めた時期であった。4Kの試験放送が無事スタートし,ハイブリッドキャストの新たな技術仕様も公開された。しかし,日進月歩で進む技術とは裏腹に,新サービスの方向性を見定めるための議論は困難に直面している。これは新しい取り組みを始める時につきものの“産みの苦しみ”なのだろうか。以下,4K・8K,ハイブリッドキャストのそれぞれについて,国の検討会などの議論を軸に考察する。

    3-1 4Kなのか? 8Kなのか?4K・8Kの議論は,2012年11月の高度化検

    討会からスタートし,翌年6月にロードマップが示された。その1年後の2014年6月頃には,より具体的なロードマップが公表される予定となっていた 36)。しかし,本稿執筆時(7月末)になっても,新しいロードマップは示される気配がない。どこがボトルネックとなっているのか。以下,時系列に議論を振り返っていく。

    3-1-1 前倒しのロードマップ

    高度化検討会の第1回では,「4Kと8Kがほぼ時を同じくしてサービスとして出てくる可能性もある」「コンテンツの制作に関してはいっそ最初から8Kで」など,日本以外で開発が行われていない8Kに対し,いささか前のめりとも感じられるほど,期待が込められた発言が相次いだ。第2回では,ある構成員から,「4Kは8K

    までのリリーフであり,登板を急がなければ海外のプレーヤーがマーケットを先取りして手遅れになる。収益になるか見定めてからという段階ではない」と,4Kの実施が遅れることに対する強い危機感が示された。こうした議論を踏まえて提出されたのが,試験放送スタートの時期を,4Kは当初予定の16年から14年に,8Kは20年から16年にそれぞれ前倒ししたロードマップであった。これについて構成員からは,

    「非常にアグレッシブ」「かなりきつい」「奇跡を起こすイメージ」との発言も次 と々なされたが,やるしかない,やればできるはず,という空気が検討会を覆っていた。

    伝送路としては,IPTV,ケーブルテレビを除くと,2014年の試験放送でスタートさせるのは「東経124/128度CS」,続いて2016年スタートとして想定されるのが「東経110度CS左旋円偏波 37)(以下,東経110度CS左旋)等」とされた。ちなみに右旋と左旋は同一周波数で,右旋が偶数チャンネル,左旋が奇数チャンネルである。これまで日本は「東経110度CS」では右旋しか利用していなかったため,新たな帯域である左旋であれば十分なチャンネル数が確保できると考えられたのである。そして2020年には,これらに加えて現在,BS民放やNHKのBS2波,WOWOWなどが使っている「東経110度BS右旋 38)等」が候補とされた。

    3-1-2 フォローアップで課題顕在

    ロードマップが示された後,各事業者は補正予算を活用しながら,コンテンツの制作や受信機の開発,受信環境の検証などを行ってきた。そこから見えてきた課題の解決とロードマップ具体化に向け2014年2月から開催されているのが,「4K・8Kロードマップに関するフォローアッ

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    プ会合」である。会合では,まず地上波民放事業者から,4K

    コンテンツの制作がいかに困難か,課題が次々と報告された。「まだ一層の奇跡的な努力とブレークスルーが必要」というのがコンテンツ制作に対する事業者達の概ねの認識であった。また伝送路については,「チャンネルプランがどうなって,どう我々が関わっていいのかが見えない」「何が4Kで何が8Kなのか。4Kをどこまで進め,どの時点で8Kにするのか」と疑問の声が相次いだ。 

    技術面では,受信環境の課題が報告された。2016年からの伝送路の候補として考えられていた「東経110度CS左旋」だが,家庭で受信しようとすると,アンテナ,ブースター,同軸ケーブル,チューナーを新たに設置しなければならないなど視聴者の負担が大きく,それらを早期に解消するのは困難であることが,検討の結果,分かってきたのである。

    こうした中,コンテンツの充実と放送の早期開始を強く訴えたのが,4K対応テレビの新機種を次 と々市場に投入しているメーカーであった。2016年の「東経110度CS左旋」スタートが難しいならば,ロードマップで2020年の伝送路の候補として掲げていた「東経110度BS右旋」利用の議論を前倒ししてほしいという提案がなされた。メーカーからすると,伝送路が決まらなければチューナー内蔵テレビの製造ができず,その結果,普及がなかなか進まないからであろう。

    3-1-3 新ロードマップと今後

    「 東 経110度 BS 右 旋 」に は,BS民 放 やNHKのBS2波などと共に,地デジ難視聴対策のチャンネルが割り当てられていた。そのチャ

    ンネルが,2015年3月に放送を終了することが7月に発表され,現在,今後空き帯域となるこの帯域を伝送路として利用することが検討されている。ただし,ここで4K放送を行おうとしても,最大で3チャンネル分しかとることができない。そのため,「東経110度 BS 右旋」で現在放送中のチャンネルの圧縮方式 39)を効率化し,そこで新たに3チャンネル分の帯域を生み出して合計で6チャンネルとし,それを地上波民放キー 5局とNHKに割り当てるという案も検討されているという。ただ,上記は4K放送のみの話である。同じ帯域で同時に8Kの試験放送を行おうとすると,各局にそれぞれ24時間フルで4Kを放送するチャンネルを割り当てることは物理的に成立しなくなる。そのため,当面はNexTV-Fが地デジ難視聴対策チャンネル終了後の3チャンネルを所有して,各局が制作した4Kと8Kのコンテンツを編成していき,2018年に向けては,4Kのみ6チャンネルでの本放送になるのか,「東経110度CS左旋」

    「東経110度 BS左旋(要国際調整)」の利用の可能性も含めていくのか,現在,議論が行われているという。

    チャンネルさえ割り当てられれば,放送事業者は各自,そこで課金や広告モデルでコンテンツ制作費を回収するビジネスモデルを模索することができる。しかし,視聴者をどの程度確保できるかの目途が立たない中で個別に送信設備を抱えることにはリスクもある。また,4Kチャンネルが割り当てられた後,将来,技術革新が進んで8K放送が可能にならないとも限らず,一方で,現実性がないと言われてきた地上波の4K放送が,本当に実現できないのか,期待も捨てきれない。以上のような先読みがつかない中での複雑な葛藤の渦中にあるため,合意形

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    成がなかなかできない,というのが放送事業者の実情なのではないかと思われる。ただ,チャンネルの割り当てなしに4Kコンテンツを制作し続けるためには国の補助が不可欠であるというのは,放送事業者の一致した見解のようである。

    会合の議論では,受信環境が整備されないとビジネスモデルが構築できない,という意見に対し,両者は“ニワトリとタマゴの関係”だという意見が出ていた。チャンネルとコンテンツの関係もこれと同様であろう。現状においては,伝送路ありきの議論に陥らず,伝送路に紐づかなくとも成り立つコンテンツ主体のビジネスモデルを構築していくことが,日本のコンテンツ制作を長年けん引してきたプロバイダーとしての地上波民放事業者及び NHKが果たすべき役割なのではないだろうか。

    6月にスタートした「Channel 4K」のキャッチコピーが「あなたは,『本当はこうだったんだ』と思う。」であったことは前述した。ユーザーが“本当はこうだったんだ”と思うテレビの「高画質化」は4Kでとどまるのか,それとも8Kまでいくのか。徐々に対応テレビやチューナーなどが普及し,視聴環境が整い始める中,成長戦略や技術の進展,事業者のビジネスの論理だけによらない,ユーザーニーズを踏まえたリアリティーあるロードマップが提出されることを心待ちにしたい。

    3-2 安心・安全? ベストエフォート?「4K・8Kロードマップに関するフォローアップ

    会合」とほぼ同時期に,総務省ではもう1つ,放送サービスの高度化に関連する検討会が立ち上がった。「スマートテレビ時代における字幕等の在り方に関する検討会」である。この検討会では「多言語字幕」と「CM字幕」の2つ

    のテーマの検討が行われたが,多言語字幕については何度も議論が紛糾した。その議論には,ハイブリッドキャストを始め放送事業者が通信放送融合サービスを本格化させる上で避けては通れない重要な論点が存在した。以下,検討会の議論から振り返っていく。

    3-2-1 なぜ多言語字幕か? 

    まずそもそもなぜ,スマートテレビによる多言語字幕サービスが検討されることになったのか。その理由について総務省は,①東京オリンピック開催に向け多くの外国人観光客の訪日が期待され,安心・安全情報を始め必要な情報を円滑に提供する環境の構築が必要,②テレビの多言語字幕の付与が有効だが,放送波による字幕提供は運用規定上,日本語を含め2言語まで,③しかしスマートテレビ(総務省資料ではハイブリッドキャストと同義)では運用上の制約がなく,サードパーティーの参入も期待できるため,と整理している 40)。

    3-2-2 スマートテレビの“世界観”

    検討会ではまず事務局側から,想定される典型的なサービスとして2種類の案が示された。1つはベストエフォートを予め前提としたサービス,もう1つは高い正確性を確保したサービスである。ベストエフォートとは,最大限努力はするが品質や正確性は保証しないという意味で,今回の場合,多言語翻訳の精度がある程度の水準に達したら,不十分でも早めにサービスインを目指そう,という意味で使われていた。

    この提案に対し,いずれのサービスも難しいと真っ向から反発したのが NHKであった。

    「NHKが行うなら放送番組におけるベストエ

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    フォートは許容されないと認識」と述べ,日本語字幕でも正確性の確保に多大な労力を投入しているのに,(正確な)多言語字幕に取り組むのは難しいと主張した。更に,サードパーティーがベストエフォート型サービスを展開することに対する協力にも消極的な姿勢を示した。

    このNHKの姿勢に対し,「考え方は分かるがそれでは話が進まない」と切り返したのは,慶應義塾大学教授の村井純氏であった。「放送番組の内容は100%提供側の問題(責任)だが,字幕は番組を受け取る側の問題と捉えることもできるのでは」「字幕を受け取る側が多言語サービスの質の向上に参画できる仕組みを作ることが大事」と,受け手の当事者責任を強調し,そもそもスマートテレビの世界観とはそういうものではないかと持論を展開した。

    3-2-3 「ビジネスにならない」

    検討会では個別案件についても対立が続いた。総務省は2014年4月,(独)情報通信研究機構(以下,NICT)が開発する多言語音声翻訳システムを“おもてなし”のアプリなどに社会実装する「グローバルコミュニケーション計画 41)」を打ち出しており,翻訳システムの精度向上とサービス展開の受け皿という二重の意味で,テレビ字幕を作成する放送事業者(特にNHK)に大きな期待を寄せていた。そのため検討会ではNICT側が NHKに対し,翻訳の精度を上げるため字幕や音声データの提供を強く要望した。しかしNHKは,事前提供は原則として行わないし事後も提供のハードルは高いと首をなかなか縦に振らなかった。

    理由は2つあった。1つは権利上の問題である。これについては研究目的としてのデータ提供と,外部のメタデータ会社のデータを活用す

    ることで,何とか落とし所を見いだした。もう1つは,NICTのような自動翻訳サービ

    スが広がると,放送事業者による多言語字幕サービスがビジネスとして成立しないのでは,という疑念であった。例えば放送の音声をキャッチしたりAR 42)でテレビの日本語字幕部分をかざして自動翻訳ができるようになると,放送事業者が労力を割いて正確性の高いサービスを提供しても,それにお金を払う人などいないのではないか,というものである。放送事業者側から見れば,放送した音声や字幕をアプリで読み取る行為はただ乗りに見えるかもしれないが,だからといってわざわざハイブリッドキャスト技術で放送と通信を同期させなくとも,この手のサービスを開発するのは自由であるし可能なのである。NICTの自動翻訳とスマートテレビの字幕サービスをつなげようとしたこの検討会は,結果的にこうした根本矛盾を露呈する格好になってしまった。

    3-2-4 積み残された課題

    2014年7月に出された取りまとめでは,ベストエフォート型サービスの提供について,テレビ放送とは「利用者から見て外形的に,明確に区別できる工夫・形態が,少なくとも当面は必要」であるとされた。また内容面でも「利用者の安心・安全の観点から,分野によっては,一定の正確性が求められるとの考え方もある」との文言が盛り込まれた。つまり,ベストエフォート型は,安心・安全を担保する放送事業者サービスとは明確に切り分けること,そしてベストエフォートとはいえ,放送リソースを利用するからには一定程度のクオリティーは担保させることが必要ではないか,というものである。これは,村井純氏の“世界観”とは全く異な

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    る。字幕という言葉に引きずられがちだが,このサービスには,テレビ画面への表示とセカンドスクリーン展開という2 種類がある。後者のようにユーザーの能動的選択が明らかなサービスに対しては,柔軟に対応するようなルールの切り分けがあってもいいのではないか。これは本ケースだけでなく,今後展開されるであろうサードパーティーによるハイブリッドキャストアプリ全般に当てはまる論点であろう。

    また,今回の検討会を傍聴し,ハイブリッドキャストでなければできないサービスとは何か,一歩進めると,このままの方向性でビジネスになるサービスが本当に作れるのかを,そろそろ本気で考える時期にきているのではないかと感じた。今回の議論から見えてきたのは,放送と通信を無理やり同期させるサービスを設計しようとすると,却って混乱が生じてしまうという現実であった。“放送局が持つメタデータをサードパーティーに提供し,魅力的なサービスを開発してもらい,視聴者に楽しんでもらうことで,そのことが放送事業者の新たなビジネスモデルにつながる”。ハイブリッドキャストの意義として繰り返し語られてきたこのフレーズが単なるお題目でないかどうかを確かめるには,

    “放送イコール安心・安全”“放送イコール公共性”という既成概念を一旦脇に置く位の覚悟で,

    “何に”“どこまで”その概念を当てはめるのかを検討する必要があるのかもしれない。

    多言語字幕の取り組みは,これから実証実験が行われるという。多言語翻訳という,困難な,だが個別ニーズが極めて高い公共的なテーマにおいて,サードパーティーがビジネス化し,かつ放送事業者にもメリットがあるモデルを形成するには何が必要か,有用なケーススタディを行ってほしい。

    おわりに

    筆者は2012年からこれからのテレビを巡る最新動向を見ているが,このところ急速に事態が変化してきている印象を抱く。乗り越えられないと思われてきた壁に挑む取り組みや,これまで避けてきたテーマに真正面からぶつかり合う議論に遭遇する機会も増えた気がする。壁や対立を乗り越え,テレビや放送の新しいありように向かうその胎動を捉えるため,引き続き変革と挑戦の現場を追っていきたい。

    (むらかみ けいこ)

    注: 1) http://www.nhk.or.jp/drama/owakon/ 2) 新サービスの利用・認知をインターネット調査

    で,新サービスのユーザーに対してはグループインタビューを行った。詳細は「テレビの未来~変容するメディア空間で何が求められるのか?~」(『放送研究と調査』2014 年 7 月号)

    3) 総務省「放送サービスの高度化に関する検討会」で 4K/8K,ハイブリッドキャスト,ケーブル・プラットフォームを日本の成長戦略,国際戦略として進めるという取りまとめが出されてい る。http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu12_02000044.html

    4) 『放送研究と調査』の「国内の動き」「メディアフォーカス」,『映像新聞』,『日経ニューメディア』,『日刊合同通信』,『ITpro』(日経 BP 社),

    『AV WATCH』(インプレス)他 5) 一覧表の作成は,今回から東京大学大学院修士

    課程の長谷川裕氏と共同作業で行っている 6) http://www.mri.co.jp/news/press/uploadfiles/

    20140619HCResult.pdf 7) IP を使用した動画配信の仕様の標準化を行う

    標準化団体 8) 総合テレビの他,E テレ,BS1,BS プレミアムの

    計 4 波 9) 常時同時送信は認められていない。詳細は「メ

    ディアフォーカス 放送法等の一部改正法 公

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    布」(『放送研究と調査』2014 年 8 月号) 10) ネットワーク接続型のハードディスク 11) (一社)電波産業会。放送技術の標準規格や運用

    規定などを策定している 12) 詳細は,村上圭子「『これからのテレビ』を巡

    る動向を整理する~ 2013 年 1 月─ 5 月~」(『放送研究と調査』2013 年 7 月号)の 98P

    13) CE 部会発行「AV & IT 機器世界需要動向~2018 年までの展望~」(2014 年 2 月)

    14) オーバーザトップの略。通信事業者やインターネットサービスプロバイダーによらず,通信容量を大量に使いサービスを提供する事業者

    15) ICT 街づくり推進会議共通 ID 利活用サブワーキンググループの議論よりhttp://www.soumu.go.jp/main_content/000290704.pdf

    16) http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/pdf/20140624/siryou1.pdf

    17) 収集,整理する主体を指す。ネット上の動画を収集しプラットフォームビジネスを行う事業者は,コンテンツアグリゲーターと呼ばれる

    18) HJ ホールディングス合同会社のヴァイスチェアマン船越雅史氏の整理を参考にした

    19) 野村総合研究所 ICT・メディア産業コンサルティング部上級コンサルタント山口毅氏の整理を参考にした

    20) 「d ビデオ」は 2014 年 6 月末現在,「UULA」は 3 月末現在の数字

    21) もっと TV のサイトのよくある質問コーナー参照 http://www.mottotv.jp/info/faq.php

    22) 秘密保持契約。機密情報について,第三者に漏えいしない約束で取り交わす契約

    23) ICT 街づくり推進会議共通 ID 利活用サブワーキンググループ(第 6 回会合)よりh t t p : // w w w . s o u m u . g o . j p / m a i n _content/000293931.pdf

    24) http://hamitv.jp/pc/ 25) 関東地区視聴率調査と同一エリアで,自家用テ

    レビを所有する 300 世帯を無作為抽出(タイムシフト視聴可能世帯は 78%)

    26) http://www.videor.co.jp/press/2014/140714_data.htm

    27) 例えば,野村総合研究所「視聴実態調査」(2014年 4 月発表)http://www.is.nri.co.jp/actual/

    28) ちなみに『ルーズヴェルト・ゲーム』のリアルタイムの平均視聴率は 14.5%だった

    29) NHK 放送文化研究所「テレビ 60 年調査」(2012年 11 月実施)

    30) リサーチ・アンド・デべロップメントのネット調査(2011 年 2 月)では,「いつも飛ばす」が63%,「ときどき飛ばす」が 25%であった

    31) 「視聴率,録画も本格調査へ…」(朝日新聞 2013 年 8 月 6 日)の中のニールセン社担当者インタビュー

    32) 小島博「デジタル時代のメディア接触をどう測るか~ ESOMAR 国際視聴者調査会議 2007 から~」(『放送研究と調査』2007 年 10 月号)

    33) http://www.sales-ntv.com/jissen/index.html や広告会社の営業担当のヒアリングなどを参照

    34) 検索入力したキーワードに連動した広告 35) 調査結果は「テレビの未来~変容するメディア

    空間で何が求められるのか?~」(『放送研究と調査』2014 年 7 月号)

    36) http://www.soumu.go. jp/main_content/000276935.pdf

    37) 電磁波の方向性が反時計回りの電波のこと。時計回りは右旋となる。左旋と右旋は同一周波数

    38) 東経 110 度 BS は,右旋を日本,左旋を韓国が利用。仮に日本が左旋を利用したい場合には,国際調整が必要。会合ではこのことも検討中

    39) MPEG-2 のこと。改良されて,使用スロット数の圧縮を行っても現状と同程度の画質の確保が可能であろうとの報告がなされている

    40) 「 スマートテレビ時代における字幕等の在り方に関する検討会 」 取りまとめ 6 ~ 7Phttp: //www.soumu.go.jp/main_content/000301177.pdf

    41) http://www.soumu.go. jp/main_content/000285578.pdf

    42) 拡張現実の意味。例えばモバイルでかざした映像に位置情報を加えたり,特定の物体を認識して追加情報を加えるなど,視覚的に情報を加えていくこと。アプリの主力となってきている

    SEPTEMBER 2014

  • 36  SEPTEMBER 2014

    月 日※

    事業者

    内 容

    マルチデバイス化

    スマートテレビ化

    タイムシフト化

    ソーシャル化

    高画質化(4K・8K)

    マルチスクリーン化

    セカンドスクリーン化

    放送連動(ハイブリッドキャスト)

    放送非連動・多機能

    STB

    録画視聴化

    VOD化

    10月

    1日 メ CEATEC JAPAN 2013 幕張メッセで開幕。国内主要メーカー,4K対応テレビやテレビのスマート連携システムを展示 ○ ○

    7日 放 日本テレビ 「JoinTV」オープンプラットフォーム化を決定。第 1 弾として WOWOW が無料番組に採用しセカンドスクリーン企画実施 ○ ○

    8日 メ 東芝 ブルーレイディスクを省き小型化した 6ch 全録レコーダーなど発表。タイムシフトマシン利用者拡大と多様な視聴スタイルに対応 ○

    10日 通 NTTドコモ ビデオ配信「dビデオ」が iPhone 5s/c に対応。ドラマやアニメ,オリジナル番組など 8 万 2,000 コンテンツ以上視聴可能に ○

    21日 放 テレビ東京 経済報道番組を視聴できるVOD サービス「テレビ東京ビジネスオンデマンド」のスマホアプリ登場。2 番組無料視聴可能 ○ ○

    21日 通 NTT ぷらら ひかり TV で 2014 年 2 月に 4K/60p映像の試験配信と,「NHK ワールド TV」の放送開始を発表 ○

    22日 メ シャープ 2Kパネルで 4K相当表示ができる新液晶テレビを発表 ○

    24日 公 工学院大学と計測技術研究所 4Kを 8K表示に変換可能な超解像技術を共同開発 ○

    28日 ケ J:COM 各種ネットサービス利用できる KDDI「Smart TV Box(通称:白ボックス)」導入,関西などで 11 月開始と発表 ○ ○

    30日 放 WOWOW 視聴者参加型番組を 11 月 15 日開始と発表。視聴者はスマホで参加。若年層へのアプローチねらう ○ ○

    30日 ネ Google Google Play で『半沢直樹』など国内外テレビドラマ配信開始。バンダイチャンネルや NHK のアニメ追加。見逃し配信も開始 ○

    11月

    1日 放ネ Hulu TBS テレビと包括的コンテンツ・パートナーシップを締結。TBSドラマや映画など 3,000 エピソードを配信開始 ○

    6日 放 民放連主催の第 61 回「民間放送全国大会」シンポ プレイスシフト・タイムシフトが進行する中,隙間時間への対応焦点に ○ ○ ○

    7日 ケ イッツコム STB とタブレット端末を無線 LAN でつなぎ,番組を好きな場所で視聴できるサービス開始 ○ ○ ○

    13日 メ Inter BEE 2013 幕張メッセで開幕。メーカー各社から 4Kテレビ対応のカメラや業務用モニターなど多数展示 ○

    14日 ケ 日本ケーブルテレビ連盟特別委 プラットフォーム,ID 連携,4K・8K の WG 設置決定。総務省「高度化検討会」に対応 ○ ○

    15日 放 日本テレビ 「JoinTV」を活用した新広告・販促モデルの「O2O2O」推進プロジェクト始動。日本マイクロソフト等がパートナー企業に ○ ○

    19日 ケ J.COTTと米 TuneIn Inc. ケーブルテレビ向けスマートテレビ「COTT」にネットラジオ提供で合意 ○ ○ ○

    19日 ケ J:COM とJCN 2014 年 4 月に合併すると発表。スマートテレビサービス連携,サービス向上で競争力強化図る ○ ○

    20日 放公 総務省 NHK のソチ五輪のネット配信と,「NHK Hybridcast」の新サービスを大臣特別認可 ○ ○

    22日 ケ 日本ケーブルテレビ連盟とJ:COM,JE 全国ケーブルテレビコンテンツ配信システムと milplus の連携を発表。コミチャン VOD 充実へ ○

    26日 ネ Amazon 映像配信サービス「Amazon インスタント・ビデオ」を開始。洋画,邦画やテレビドラマなど 2 万 6,000 本超を提供 ○

    27日 ネ niconico とディズニー コンテンツ配信連携を本格化すると発表。ディズニーの映画本編が niconico で視聴可能に ○ ○

    28日 通ネ NTT 西日本とキテラス,ドワンゴ NTT 西日本の STB「光 BOX+」に対応した動画サービス niconicoアプリを提供すると発表 ○ ○ ○ ○

    12月

    1日 放 日本テレビと四国放送 ネットに接続したテレビ経由で個別災害情報伝達と見守りを行うサービス「JoinTown 徳島」サービスイン ○ ○

    6日 メ LG エレクトロニクス LG Smart TV を民放キー 5 局と電通が進める「もっと TV」に対応。パナソニック・東芝に次ぎ 3 社目 ○ ○

    6日 ケ 電通 フューチャーリンクネットワークと提携。ケーブルテレビ STB 対応アプリを共同開発へ。地域情報をテレビで配信 ○ ○

    10日 放 ビデオリサーチ Twitterと共同でテレビ番組への反応を測る新たな視聴指標「Twitter TV 指標」を 2014 年 6 月から提供と発表 ○

    11日 放 テレビ東京 有料動画配信サービス「テレビ東京ビジネスオンデマンド」会員が 2 万人突破。開始から約 8 か月で達成 ○

    11日 公放 民放キー 5 局他 ハイブリッドキャスト技術を活用した総務省のスマートテレビ実証実験の実施を発表。実験請け負いは三菱総研 ○

    16日 放 NHK 「NHK Hybridcast」のタブレット連携サービスを開始。タブレットやスマホから双方向番組などに参加可能に ○ ○

    16日 ケ イッツコムと Cueform 緊急時にテレビ電源を自動オンして,緊急地震速報や特別警報等を知らせる実証実験を開始 ○ ○

    18日 公 総務省 補正予算案にて,衛星・ケーブル・IP 網での 4K・8K 伝送のシステム実証の実施やコンテンツの海外展開のパッケージ支援など発表 ○

    19日 放 日本テレビ 新たな番組連動アプリ「フリフリ TV」を無料提供 ○ ○

    20日 放 フジテレビ テレビ CM 連動のキャンペーン「スマホで CM キャッチ!」の実施を発表。「G ガイドモバイル」の音声認識機能を利用 ○ ○

    25日 ネ Hulu NHK 及び NHK エンタープライズとのパートナーシップに基づき『プロジェクト X』や『タイムスクープハンター』等を配信開始 ○

    26日 公 NexTV-F 実証トライアルで HEVC で 4K/60p 映像をリアルタイム伝送するデモを実施 ○

    1月

    3日 放 テレビ東京 スマホなどでインベーダーゲームに参加する民放初のハイブリッドキャスト連動番組を放送 ○ ○ ○

    6日 メ LG エレクトロニクス 2014 年に自社スマートテレビの 7 割以上に webOS を搭載へ。他のデバイスとの連携強化を容易に ○ ○

    7日 メ 2014CES 中国,韓国含むメーカー各社 4K対応テレビを拡充。Netflix が 4Kストリーミングを年内開始と発表 ○

    7日 放 民放キー 5 局 VOD サービス「もっと TV」,放送局横断の月額見放題パックを開始。月額 900 円 ○

    9日 放 NHK ソチ五輪の放送計画発表。「NHK Hybridcast」で時差再生サービス,8K映像パブリックビューイング実施 ○ ○ ○

    11日 放 日本テレビ 「日テレいつでもどこでもキャンペーン」開始。ドラマ『戦力外捜査官』を放送後 1 週間,無料ネット配信。スマホ視聴対応 ○ ○

    13年

    14年

    表 2 これからのテレビを巡る最新動向〈2013 年 10月-2014 年 6月〉

  • 37

    月 日※

    事業者

    内 容

    マルチデバイス化

    スマートテレビ化

    タイムシフト化

    ソーシャル化

    高画質化(4K・8K)

    マルチスクリーン化

    セカンドスクリーン化

    放送連動(ハイブリッドキャスト)

    放送非連動・多機能

    STB

    録画視聴化

    VOD化

    1月

    16日 放 エム・データ 民放キー 5 局,広告代理店 2 社と資本提携。各社共通仕様のテレビメタデータプラットフォームを構築 ○ ○ ○

    20日 放 NHK 8K スーパーハイビジョン,地上波での放送を想定した長距離伝送実験に成功 ○

    20日 放 民放連 ソチ五輪の放送予定発表。未放送競技は「gorin.jp」でネット配信。生放送しない種目のライブストリーミング実施 ○

    23日 放通 NTT ぷらら 「NHK オンデマンド in ひかり TV」配信開始。スマホ・PC 視聴に対応 ○ ○

    24日 放 フジテレビ オリジナルコンテンツを配信する無料動画配信サービス「フジテレビ+」開局 PC,スマホ,タブレットで視聴可能 ○ ○

    2月

    1日 ケ J:COM 独自開発の STB 第 2 弾「Smart J:COM Box(通称:黒ボックス)」提供開始。HTML 5 対応(ハイブリッドキャストには未対応) ○ ○

    4日 通 ソフトバンク BB iPhone で地デジ視聴と録画ができる 1万2,720円の「ポケットフルセグ」開発。3 月中旬以降に販売と発表 ○ ○

    9日 放 MBS 『情熱大陸』で番組連動のスマホ企画,「G ガイドモバイル」の音声認識機能を活用 ○

    12日 ネ 楽天ショウタイム 新たな動画配信サービス「楽天 SHOWTIME」を開始。テレビ向け配信も予定 ○ ○

    13日 放 NOTTV 蓄積型放送コンテンツとして電子雑誌「NOTTVブックス」の提供開始を発表 ○

    13日 公 NexTV-F 宅外リモート視聴の技術要件を公開。ペアリングは 3 か月に 1 度で 6 台まで ○

    16日 放 マルチスクリーン型放送研究会 「SyncCast」のハイブリッドキャスト及びセカンドスクリーンの OAトライアル開始 ○ ○

    18日 公 JEITA 「AV&IT 機器世界需要動向」発表。2018 年の 4K テレビの国内需要は 2013 年の約 20 倍と予測 ○

    21日 メ 博報堂 DYメディアパートナーズと DAC 東芝 REGZA に動画広告配信開始。味の素,花王などが提供し,メーカーに広告収入 ○

    21日 放通 TBS テレビ CS 放送チャンネル「TBS チャンネル 2」を,ひかり TV へ提供すると発表 ○

    26日 ネ LINE 公式アカウントを API 公開し各企業に提供する「LINE ビジネスコネクト」発表。LINE の投稿内容をテレビ画面で表示可能に ○

    26日 公 総務省 「4K・8Kロードマップに関するフォローアップ会合」第 1 回開催。ロードマップの具体化や課題解決について検討 ○

    28日 ネ放 Hulu 日本向け事業を分社化し日本テレビに譲渡と発表。日本テレビは定額制動画配信(S-VOD)事業に参入へ ○

    3月

    3日 放 スカパー ! ソチ・パラリンピックの見逃し映像をスマホ,タブレットに配信。アプリ提供も ○ ○

    3日 通 NTT ぷらら ひかり TV においてスマホで VOD をダウンロードする機能提供を発表。宅外でも HD 画質でオフライン視聴可能に ○ ○

    4日 ケ J:COM 他 IP-VOD サービス「milplus」のシステム基本部分を日本デジタル配信に移管を合意。共通プラットフォーム化の推進へ ○

    6日 放 NHK ソチ五輪で「NHK Hybridcast」の時差再生サービスを 12 番組で実施,8K 映像は 5,000 人超が体感したと発表 ○ ○

    7日 放 フジテレビ 初のハイブリッドキャスト対応番組『人狼』放送。テレビとスマホでゲームに参加 ○ ○ ○

    7日 ネ シード・プランニング インターネット動画広告市場に関する調査結果発表。2017 年には 2013 年の約 5 倍の 640 億円になると予測 ○

    14日 放 フジテレビ CS番組を有料同時配信する「フジテレビ NEXTsmart」開始。月額 1,200 円 ○

    20日 放 民放連 ソチ五輪動画サイトの配信結果を発表。ユニークユーザーは前回大会の約 3 倍。大半がスマホからアクセス ○

    20日 ネ LINE 子ども(1~6歳対象)向けスマートフォン動画配信サービス「LINE KIDS 動画」を発表 ○

    24日 公 NexTV-F リモート視聴対応チャンネルを公開。地デジは全局対応。BS デジタルでは WOWOW 等が非対応 ○

    25日 放 日本テレビ デジテク 2014 を開催。4K 放送を見据えたライブ伝送デモ,ハイブリッドキャストコンテンツ,JoinTV の最新動向を紹介 ○ ○ ○ ○

    25日 公 総務省情通審 4K・8K 衛星放送の技術的条件で答申 ○

    28日 放 NHK と民放キー 5 局 全局のテレビ番組の情報を網羅した無料アプリ「ハミテレ」を共同開発し,提供開始 ○

    31日 ネ Twitter ソーシャルテレビ解析の欧州 2 社を買収。米国優先で展開していたソーシャルテレビ戦略を米以外にも拡大 ○

    4月

    1日 ケ J:COM 「J SPORTS」等の番組をリアルタイムでスマホ配信開始。アプリ利用して無料の視聴も可能に ○

    4日 メ パナソニック 8ch 全録レコーダー発売。 音声操作,リモート視聴も可能に ○

    9日 公 総務省電監審 V-High 帯の移動受信用地上基幹放送として新たに 5 局 6 番組を認定 ○

    22日 放 野村総研 視聴実態調査結果発表(ネット調査)。録画含めたテレビ視聴はリアルタイム視聴の約 1.21 倍 ○

    5月

    1日 メ放 アクトビラ 「フジテレビオンデマンド」の提供開始。アクトビラはフジテレビの配信開始で民放全キー局対応へ ○

    14日 放 マルチスクリーン型放送研究会 総会,シンポジウムを開催。ビジネストライアルを今年度後半に実施予定と発表 ○

    14日 ネ ドワンゴと KADOKAWA 経営統合に基本合意。世界に類のないコンテンツプラットフォーム目指す ○ ○

    15日 放ネ テレビ東京と日本テレビ 動画広告プラットフォームの Adap.tvと契約締結   ○

    15日 放ケ NHK とJ:COM 既存ケーブルテレビ施設で 8K 映像の伝送実験に成功したと発表 ○

    15日 放 NHK ワールドカップの 8K映像ライブパブリックビューイングの実施を発表。6 月 15 日から国内 4 会場で ○

    16日 公ケ IT 総合戦略本部「マイナンバー等分科会」 ケーブルテレビの次世代 STB でマイナンバーカード読み取り機能内蔵など対応を検討 ○ ○

    SEPTEMBER 2014

  • 38  SEPTEMBER 2014

    月 日※

    事業者

    内 容

    マルチデバイス化

    スマートテレビ化

    タイムシ�