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2016年5月11日 株式会社三越伊勢丹ホールディングス 報道関係資料 「日本のスタンダード」を目指して、三越伊勢丹グループは 「『贈りもののあり方』の見直し」に着手いたします。 2015年から三越伊勢丹グループは“this is japan.”を企業メッセージとして掲げ、日本の文化を知り、現代の生活に取り 入れ次世代へと継承していく事を宣言しています。 現在では儀礼や儀式と思われがちなことも、由来をたどっていくと、日本人に脈々と受け継がれている「他者を気づかうこころ」 そのものであることがわかります。三越伊勢丹グループは、日本古来の伝統に立ち返り、「贈りもののこころ」を紐とき、今の時代 の「こころ」にあわせた、あたらしい「かたち」として贈りもののあり方の見直しに取組みます。 室町時代から続く小笠原流礼法宗家小笠原敬承斎氏(P.3参照)アドバイスのもと、日本の進物・包装文化の原点に立ち 返り、贈りものにこめた「こころ」を「かたち」で表すことで、お客さまの先さまを想う気持ちをお伝えする一助になることを目指して参 ります。 1.ことば以上につたわる贈りものの「かたち」 何を贈るかを決めた時、気持ちを品物に「足す」表現の一つが包装です。相手を慮る(おもんぱかる)がゆえ、 ことば少なになりがちな日本人のコミュニケーションにおいて、紙を選んで包み、熨斗をつけて水引をかける行為は、 所作や、表情を補って気持ちを伝える、日本人ならではの気持ちの表現です。「包む」という行為を足す事で、 贈りものには、相手を大切に想う「こころ」がこめられます。 2.平穏無事への祈りから始まった日本の贈答文化 贈りものの起源は、神様へのお供え物と言われております。五穀豊穣や、健康を願い、人々は季節の食べ物や お酒を供え、日々の平穏を祈りました。それがやがて、人から人への贈りものへ変化し、現在まで続いています。 農耕民族にとって貴重品であったするめや昆布などの海の幸は珍重され、なかでも「アワビ」はその希少性から、 「穢れなきもの」のシンボルとなりました。やがて「アワビ」は、「熨斗」にかたちを変えて、贈りものを飾り、贈る「こころ」を より深く伝える「かたち」となっていきます。 3.掛け紙を飾る熨斗アワビ 現在では、印刷したのし紙(掛け紙)にデザインされた「熨斗アワビ」を見る機会が多くなりましたが、 本来は、「アワビ」を薄く剥いで、それを干し、長く「かんぴょう」のようになったものを水で戻し、「火熨斗」や「竹筒」で 引き伸ばしたものです。そして、この「熨斗アワビ」こそ、「熨斗」のことです。お供え物や贈りものに熨斗を添える、 あるいは付ける最大の意味は、その品物が清浄であり、贈り主の「こころ」も清浄な事を表す事でした。 三越伊勢丹グループは、日本の贈答文化に敬意を表し、贈りものの「かたち」を見直す事で 「贈りもの」の世界を極め、多様化するお客さまの想いに応えられる百貨店であり続けるように取り組んで参ります。 三越伊勢丹グループが考える「贈りもののあり方」 企業メッセージ”this is japan.”を具現化するひとつとして、三越伊勢丹グループにおける 包装のあり方・考え方を刷新いたします。のれんにより異なっていた掛け紙(のし紙)のデザインと 運用ルールを統一。5月11日(水)より新しい運用をスタートいたします。 1

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2016年5月11日 株式会社三越伊勢丹ホールディングス

報道関係資料

「日本のスタンダード」を目指して、三越伊勢丹グループは 「『贈りもののあり方』の見直し」に着手いたします。

2015年から三越伊勢丹グループは“this is japan.”を企業メッセージとして掲げ、日本の文化を知り、現代の生活に取り入れ次世代へと継承していく事を宣言しています。

現在では儀礼や儀式と思われがちなことも、由来をたどっていくと、日本人に脈々と受け継がれている「他者を気づかうこころ」そのものであることがわかります。三越伊勢丹グループは、日本古来の伝統に立ち返り、「贈りもののこころ」を紐とき、今の時代の「こころ」にあわせた、あたらしい「かたち」として贈りもののあり方の見直しに取組みます。

室町時代から続く小笠原流礼法宗家小笠原敬承斎氏(P.3参照)アドバイスのもと、日本の進物・包装文化の原点に立ち返り、贈りものにこめた「こころ」を「かたち」で表すことで、お客さまの先さまを想う気持ちをお伝えする一助になることを目指して参ります。

1.ことば以上につたわる贈りものの「かたち」

何を贈るかを決めた時、気持ちを品物に「足す」表現の一つが包装です。相手を慮る(おもんぱかる)がゆえ、

ことば少なになりがちな日本人のコミュニケーションにおいて、紙を選んで包み、熨斗をつけて水引をかける行為は、

所作や、表情を補って気持ちを伝える、日本人ならではの気持ちの表現です。「包む」という行為を足す事で、

贈りものには、相手を大切に想う「こころ」がこめられます。

2.平穏無事への祈りから始まった日本の贈答文化

贈りものの起源は、神様へのお供え物と言われております。五穀豊穣や、健康を願い、人々は季節の食べ物や

お酒を供え、日々の平穏を祈りました。それがやがて、人から人への贈りものへ変化し、現在まで続いています。

農耕民族にとって貴重品であったするめや昆布などの海の幸は珍重され、なかでも「アワビ」はその希少性から、

「穢れなきもの」のシンボルとなりました。やがて「アワビ」は、「熨斗」にかたちを変えて、贈りものを飾り、贈る「こころ」を

より深く伝える「かたち」となっていきます。

3.掛け紙を飾る熨斗アワビ

現在では、印刷したのし紙(掛け紙)にデザインされた「熨斗アワビ」を見る機会が多くなりましたが、

本来は、「アワビ」を薄く剥いで、それを干し、長く「かんぴょう」のようになったものを水で戻し、「火熨斗」や「竹筒」で

引き伸ばしたものです。そして、この「熨斗アワビ」こそ、「熨斗」のことです。お供え物や贈りものに熨斗を添える、

あるいは付ける最大の意味は、その品物が清浄であり、贈り主の「こころ」も清浄な事を表す事でした。

三越伊勢丹グループは、日本の贈答文化に敬意を表し、贈りものの「かたち」を見直す事で

「贈りもの」の世界を極め、多様化するお客さまの想いに応えられる百貨店であり続けるように取り組んで参ります。

三越伊勢丹グループが考える「贈りもののあり方」

企業メッセージ”this is japan.”を具現化するひとつとして、三越伊勢丹グループにおける

包装のあり方・考え方を刷新いたします。のれんにより異なっていた掛け紙(のし紙)のデザインと

運用ルールを統一。5月11日(水)より新しい運用をスタートいたします。

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1.掛け紙のデザインの刷新(三越伊勢丹オリジナルデザイン)

②「想い」を表現する水引のデザイン 結び目には「心」が結びいれられているという意味を込め、実際に人の手で結んだような質感を出すように

描いています。

掛け紙(のし紙)の呼び名に関しても、日本古来の伝統に立ち返り、本来の名称に変更。

蝶結び(花結び)と読んでいた結び目を“もろわな結び”、結び切りを“ま結び”としました。

主な変更点について

①こだわりの「熨斗アワビ」のデザイン

掛け紙を飾る「熨斗」とは、本来「熨斗アワビ」のこと。神様へのお供え物であるアワビを干して伸ばしたものを白い紙で包んだ姿で、神聖な意味を持ちます。白い奉書紙の中に包まれている「熨斗アワビ」の本数には数字の中で最も慶事に相応しいとされている「9」を表現。また、「熨斗アワビ」の左下には、「永久」の「久」の隠し文字を入れて、贈る側の「こころ」を強調できるように工夫しています。(旧デザインについてはP.4参照)

もろわな結び

ま結び

実際に存在する

小笠原流の折型

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2.三越伊勢丹推奨表書き40語を設定

当グループ内で使用頻度が高く、時代性に合った表書きを40語選定。 矢萩春恵(しゅんけい)氏(P.3参照)に「書」を書き起こしていただき、データ化しました。三越伊勢丹すべての店舗で統一して心のこもった「書」で表書きを作成する事ができるようになります。(表書き40種はP.5参照)

【代表例】「粗品」の運用をやめ、「こころばかり」を推奨表書きとして今後活用して参ります。

<こころばかり> 「わずかなものですが、お受け取り下さい」という気持ちを込めて、ささやかな贈りものの時に使います。 お中元や御歳暮など季節のご挨拶の代わりとしてもお使いいただける表書きです。

① ② ③

⑤ ⑦

④ ⑥ ⑧

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3.「三越伊勢丹の儀式110番」が5月25日(水)に発刊

三越伊勢丹のギフトサロンにある「儀式110番」のカウンターには、1994年の

開設以来、約50万件にのぼるお問い合わせが寄せられています。

本書では、カウンターに寄せられた多くのご質問の中から、特にお問い合わせが

多い内容を中心にまとめさせていただきました。

また、そこに込められた「他者を気づかうこころ」もあわせてお伝えできればと考え

儀礼や儀式の由来などもコラムとして記載いたしました。

『三越伊勢丹の儀式110番』

三越伊勢丹グループのギフトサロンのほか、全国の書店で販売 1,600円(税抜) 誠文堂新光社

『伊勢丹の儀式110番』が、新たに『三越伊勢丹の儀式110番』として生まれ変わります。

贈りもののマナーをはじめ、包装の形式や用語など、日本の包装文化の原点に立ち返った内容で再編し、書籍として発刊します。

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参考資料①

■小笠原流礼法宗家:小笠原 敬承斎(おがさわら けいしょうさい)氏

1996年に小笠原流礼法として初の女性宗家に就任。

「時代によりかたちは変わっていくものだが、根底にある相手を想うこころは、いつの時代にもおなじである」 という先代の教えを守り、立ち居振る舞い、日常生活やビジネスシーンでの心得、贈答・冠婚葬祭に関する心得などについてその志を広める活動を行う。

室町時代から継承される礼法を現代に生かしながら、企業での講演活動や研修、執筆活動など様々な分野に活動の幅を広げ、日本の伝統文化の普及にも努めている。

1986年 聖心女子専門学校卒業後、英国留学

1994年 小笠原流礼法副宗家に就任

1996年 小笠原流礼法 宗家に就任

■表書きの書家:矢萩 春恵(やはぎ しゅんけい)氏

日本各地をはじめ、世界各国にて、個展を開催。その柔らかで表現性に富む書は見るものをひきつけ、世界の人を魅了しつづけている。

文化庁長官賞など数多くの受賞歴があり、1989年から3年間に渡りハーバード大学客員教授として、東洋美術史学科の「書」の講座も担当する。

三越日本橋本店のカルチャーサロンでも長年ご指導いただいています。

2003年 毎日書道顕彰 啓蒙部門受賞 2008年 文化庁長官賞受賞

2016年 旭日双光賞受賞

■「贈りもののこころとかたち」をご紹介するサイトができました。

URL www.imhds.co.jp/okurimono_kokoro

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■旧掛け紙(のし紙)

伊勢丹(旧)

※あわびのしの形や柄、水引の大きさが異なっていました。

参考資料②

三越(旧)

■新簡易包装紙デザイン

伊勢丹→花結び 三越→蝶結び

新簡易包装紙(三越) 新簡易包装紙(伊勢丹)

■新短冊デザイン

掛け紙の「あわびのし」とは異なる短冊用

オリジナルデザイン

①掛け紙の「あわびのし」よりもカジュアルな

デザインを採用

②水引の代わりに、「赤胴」を使用。

<赤胴>

水引では、仰々しいと感じる場合に「赤色の棒」

を水引の代わりに入れます。

※①「あわびのし」のデザイン、②水引デザイン、③表書きの書 が変更になっています。

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■推奨表書き 40語 参考資料③

報道関係の皆さまからのお問い合わせ (株)三越伊勢丹ホールディングス 業務本部総務部コーポレートコミュニケーション担当

広報TEL:03-6205-6003 FAX:03-6205-6009

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