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Origins 2014(第 2 回「生命の起原とアストロバイロジー国際学会 -バイオアストロノミー C-51」合同大会)を開催して Origins 2014 運営委員会委員長 池原 健二 (Received: August 7, 2014, Accepted: October 10, 2014) 平成 26 7 6 日(日)から 11 日(金)までの 6 日間にわたって奈良県新公会堂で、国際会議 Origins 2014 を開催した。この国際会議には天文 学、惑星科学、地質学、化学、生物学などを専門 とする研究者 345 名(海外からの参加者: 234 名、 国内からの参加者:111 名)が世界の 24 ヶ国の 国と地域から奈良に集まり、生命の起源と生物宇 宙学の分野にわたる最新の研究成果を報告し、熱 心に議論された。 開会初日には、Origins 2014 運営委員会の名誉 会長でもある海部宣男国際天文学連合会長(元国 立天文台台長)および David Deamer ISSOL 長による 2 件の特別講演があり、開催期間中(7 7 日(月)から 11 日(金))の午前中には、ノ ーベル化学賞受賞者である 2 名の Jack Szostak よび Ada Yonath 教授を含む 20 件の招待講演が 行われた。また、月曜と火曜の 2 日間、Evening Session としてパネルディスカッションも行われ た。 また、最新の研究成果を発表し議論し合う Origins 2014 の中心的活動とも言うべき、一般研 究者による、口頭発表およびポスター発表は、 128 件および 155 件に達し、参加者との間で活発な議 論が行われた。中でも、今回の Origins 2014 では、 できるだけ若手研究者に口頭発表の機会を与え ようとの SOC 委員の考えの下に実施されたこと もあり、前回の Origins 2011 での口頭発表数と比 べて約 2.6 倍の口頭発表が行われたことが特色の 一つである。そんなこともあって、大会は、連日 午前 8 時半から開催され、Evening Session のあ った 7 7 日(月)と 8 日(火)はその終了時間 が午後 9 時を過ぎるというハードなスケジュー ルの中で実施された。その分、大会に参加された 研究者の方々は多くの研究者から直接、研究成果 を聞くことができたという意味で大いに満足い ただけたのではと考えている。 このようにかなりハードなスケジュールの中 で実施された Origins 2014 ではあったが、その運 営は「生命の起原および進化学会」の会員を中心 とする Origins 2014 運営委員会委員の先生方の 協力と努力のお陰で、大きな問題も無く順調に、 かつ上手く進行させることができた。中でも、大 会初日頃に発生した大型で強い台風 8 号は当初、 西日本を直撃することも予想され大変心配した が、九州西方で停滞し、勢力を弱めたこともあっ て、台風が西日本を通過中の際も会場付近は全く 台風の影響を受けることもなかった。 一方、この Origins 2014 の会場となった奈良県 新公会堂は奈良公園の中にあり、かつ世界文化遺 産に指定されている東大寺や春日大社、興福寺な ど奈良県を代表する神社・仏閣に近く、緑に溢れ た地の利もあり、海外からの参加者には特に好評 であった。殊に、Origins 2014 の主会場となった 能楽ホールは、外国からの参加者の方々には珍し い形式の国際会議場でもあったことも Origins 2014 を印象づける一因となったようである。こ のことは、 Origins 2014 の最終日の閉会の辞の後、 三々五々帰られる人たちの中から何人もの方々 が受け付け近くにいた運営委員会委員長の私の ところまで、わざわざお礼の挨拶に来られ、握手 を求められたことからも分かる。このように多く の方々のお陰で、Origins 2014 は多くの参加者に 満足していただくことのできた国際会議となっ た。 なお、Origins 2014 と連携する形で、Origins 2014 開催期間中の 7 9 日(水)の午後 6 時か ら、 Joseph Seckbach (イスラエル・ヘブライ大学) , 三田肇(福岡工業大学)、大石雅寿(国立天文台) 3 名の講師による「生命の起源と宇宙生物学」 という一般公開講演会を奈良女子大学記念館講 堂で開催した。この一般公開講演会にも 135 名の 参加者があり、かつ、講演会後には活発な質疑も 行われた。この点でも Origins 2014 を側面から充 実したものとすることができたと考えている。 奈良県新公会堂裏庭での集合写真。中央前列で立っている女性が、Sandra Pizzarello ISSOL 会長。その前で座っている青いシャツの男性が David Deamer ISSOL 前会長。 Viva Origino 42 (2014) 5 - 6 © 2014 by SSOEL Japan 5

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Origins 2014(第 2回「生命の起原とアストロバイロジー国際学会 -バイオアストロノミーC-51」合同大会)を開催して

Origins 2014 運営委員会委員長 池原 健二 (Received: August 7, 2014, Accepted: October 10, 2014)

平成 26年 7月 6日(日)から 11日(金)までの6 日間にわたって奈良県新公会堂で、国際会議Origins 2014を開催した。この国際会議には天文学、惑星科学、地質学、化学、生物学などを専門とする研究者 345名(海外からの参加者:234名、国内からの参加者:111 名)が世界の 24 ヶ国の国と地域から奈良に集まり、生命の起源と生物宇宙学の分野にわたる最新の研究成果を報告し、熱心に議論された。 開会初日には、Origins 2014運営委員会の名誉会長でもある海部宣男国際天文学連合会長(元国立天文台台長)および David Deamer 前 ISSOL 会長による 2 件の特別講演があり、開催期間中(7月 7日(月)から 11日(金))の午前中には、ノーベル化学賞受賞者である 2名の Jack Szostakおよび Ada Yonath 教授を含む 20件の招待講演が行われた。また、月曜と火曜の 2 日間、Evening Session としてパネルディスカッションも行われた。 また、最新の研究成果を発表し議論し合う

Origins 2014 の中心的活動とも言うべき、一般研究者による、口頭発表およびポスター発表は、128件および 155件に達し、参加者との間で活発な議論が行われた。中でも、今回の Origins 2014 では、できるだけ若手研究者に口頭発表の機会を与えようとの SOC 委員の考えの下に実施されたこともあり、前回の Origins 2011 での口頭発表数と比べて約 2.6倍の口頭発表が行われたことが特色の一つである。そんなこともあって、大会は、連日午前 8 時半から開催され、Evening Session のあった 7月 7日(月)と 8日(火)はその終了時間が午後 9 時を過ぎるというハードなスケジュールの中で実施された。その分、大会に参加された研究者の方々は多くの研究者から直接、研究成果を聞くことができたという意味で大いに満足いただけたのではと考えている。 このようにかなりハードなスケジュールの中

で実施された Origins 2014 ではあったが、その運営は「生命の起原および進化学会」の会員を中心とする Origins 2014 運営委員会委員の先生方の協力と努力のお陰で、大きな問題も無く順調に、かつ上手く進行させることができた。中でも、大会初日頃に発生した大型で強い台風 8 号は当初、西日本を直撃することも予想され大変心配したが、九州西方で停滞し、勢力を弱めたこともあって、台風が西日本を通過中の際も会場付近は全く台風の影響を受けることもなかった。 一方、この Origins 2014 の会場となった奈良県新公会堂は奈良公園の中にあり、かつ世界文化遺産に指定されている東大寺や春日大社、興福寺など奈良県を代表する神社・仏閣に近く、緑に溢れた地の利もあり、海外からの参加者には特に好評であった。殊に、Origins 2014 の主会場となった能楽ホールは、外国からの参加者の方々には珍しい形式の国際会議場でもあったことも Origins 2014 を印象づける一因となったようである。このことは、Origins 2014 の最終日の閉会の辞の後、三々五々帰られる人たちの中から何人もの方々が受け付け近くにいた運営委員会委員長の私のところまで、わざわざお礼の挨拶に来られ、握手を求められたことからも分かる。このように多くの方々のお陰で、Origins 2014は多くの参加者に満足していただくことのできた国際会議となった。 なお、Origins 2014 と連携する形で、Origins 2014 開催期間中の 7月 9日(水)の午後 6時から、Joseph Seckbach(イスラエル・ヘブライ大学), 三田肇(福岡工業大学)、大石雅寿(国立天文台)の 3 名の講師による「生命の起源と宇宙生物学」という一般公開講演会を奈良女子大学記念館講堂で開催した。この一般公開講演会にも 135名の参加者があり、かつ、講演会後には活発な質疑も行われた。この点でも Origins 2014 を側面から充実したものとすることができたと考えている。

奈良県新公会堂裏庭での集合写真。中央前列で立っている女性が、Sandra Pizzarello ISSOL 会長。その前で座っている青いシャツの男性が David Deamer ISSOL 前会長。

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海部宣男国際天文学連合会長による特別講演。 Origins 2014 の受け付け風景。

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