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Pathophysiological Characteristics of Non-Alcoholic Steatohepatitis-LikeChanges in Cholesterol-Loaded Type 2 Diabetic Rats
Physiol. Res. 67: 601-612, 2018
【 概略 】
従来のNASHモデルとして用いられている実験動物は、ヒト病態の一部のみを反映しており、ヒトと類似した病態を示すモデル動物の開発が望まれている。肥満2型糖尿病モデルSDT fattyラットは、32週齢以降にNASH様の特徴を示す報告がある。今回、SDT fattyラットにおいて、コレステロール負荷によるNASH発症の促進を試みた。
【 方法 】
▸ SDT fatty/Jcl ♀、SD/Jcl ♀▸4週令より24週令までの16週間 標準(NC)および2%コレステロール添加飼料(Cho)を給餌▸体重および血漿生化学値:8週齢、12週齢、20週齢、24週齢▸血漿中コリン濃度:SDT fatty(10週齢、16週齢、24週齢)、SD(24週齢)▸肝臓分析(24週齢):重量、トリグリセリド(TG)、 遊離脂肪酸(FFA)、総コレステロール(TC)
遊離コレステロール(FC)、ジアシルグリセロール(DAG)、酸化ジアシルグリセロール(DAG-O)
▸肝臓病理組織:SDT fatty-Cho(16週齢、20週齢、24週齢) 他(24週齢)▸肝臓中の遺伝子発現: 脂質合成関連遺伝子(SREB1、FAS、ACC)
(24週齢) 線維化関連遺伝子(α-SMA、MTP)炎症性遺伝子(TNF-α、MCP-1)
【 結果 】
SDT fatty-Cho:【図1】• SDT fatty-NC群と比較し、血糖値が増加傾向を示した• ヒトNASH患者と同様に24週齢で著しい血漿コリン濃度の上昇を示した【図2】• 他群と比較し、肝臓中のFFA、TG、DAG、TCおよびFCの増加を示した【図3】• 病理組織検査において、24週齢時点で明らかな肝線維症を示した【図4】• 肝臓でMCP-1およびTNF-αのmRNAの高発現を示し、肝臓損傷および炎症の促進が示唆された• Collagen Type 1およびTGF-βを含む線維症に関連する肝臓mRNA発現の増加が観察された
【 結論 】
SDT fatty-Cho群では、16週齢でNASH様肝障害を呈した。肝線維症は16週齢より観察され、24週齢で顕著となった。コレステロール強化固形飼料を給餌したSDT fattyラットは、肥満と2型糖尿病に関連したNASHの貴重な動物モデルとなる可能性がある。
コレステロール負荷2型糖尿病ラットにおける非アルコール性脂肪肝炎(NASH)様変化の病態生理学的特徴
【 図1 】 各群の体重および生物学的パラメータ
【 図2 】 各群 24週齢における肝臓重量および肝臓脂質含量
【 図3 】 各群 24週齢における肝臓の病理組織 HE:(A~D) Sirius red:(E~H)
SD-NCSD-NC SD-NC
SD-Cho SD-Cho
SDT fatty-NC SDT fatty-NC
SDT fatty-ChoSDT fatty-Cho
【 図4 】 各群 24週齢における中性脂肪の合成および分泌
【 表1 】 各群の肝臓における病理組織学的所見