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鉄骨フレームとスギ板による Hybrid構法の提案~木材の需要拡大を目指して~
平成 24年 10月 27日建築構法研究室 09N1093 谷田洋輔
研究背景・目的
研究背景 日本の森林状況
昭和30
35 40 45 50 55 60 平成2
7 12 17 22 23
0
2,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100 (万㎥ ) (%)
(年)
外材
国産材
木材自給率
昭和41 51 61 平成7 14 190
5
10
15
20
25
30
35
40
45
50
天然林蓄積
人工林蓄積
(億㎥ )
(年 )
『日本の木材需要量と木材自給率の推移』
『日本の森林蓄積量の推移』
国産材、外材ともに需要が少ない
木材自給率は急上昇
国産材需要量の変化少なめ
木材全体の需要が少なくなっている
今後も減少が予想されている
But...
スギ人工林は人工林全体の 45%
森林蓄積量は年々増加
人工林は過去 40年間で 4.7倍
今の状況が継続されてしまうと森林崩壊の危機
木材を使うことが求められている
研究目的
非木造で建てられている箇所を木造で作る Hybrid構法
木材を使う
鉄骨造において、表面積の多い壁、床といった面部に、スギ板を使用した Hybrid構法のモデルプランを提案・設計し、木材利用の有効性
を示す。
スギの使用
国産材需要の拡大を狙う
鉄骨フレーム+スギ板 Hybrid構法の設計
鉄骨フレーム+スギ板 Hybrid構法の設計
・モデルプラン(平面図、断面図、フレーム図)
・各性能の考え方、計算方法
壁の設計
・構成の説明
・断熱性能の計算
・遮音性能の計算
・せん断耐力の計
算
・せん断剛性の計
算
・柱の断面比較
床の設計
・構成の説明
・断熱性能の計算
・たわみ量の計算
・自重の比較
屋根の設計
・構成の説明
・断熱性能の計算
Hybrid構法の設計 設計構成
Hybrid構法の設計 モデルプラン(準耐火構造:外壁耐火) ALCパネル
リビングダイニング
W. C.
バスルーム
1800
1800
1800
1800
1800
1800
1080
0
1800 1800 1800
5400
ドレッシングルーム
エントランス
room1 room2
CH=2800
CH=2924
3000
3000
400
550
1800 1800 1800
2700
5400
2700
7604
780
Model 1F_Plan 1/75 Model Section 1/60
室内に“木あらわし”ができる
Hybrid構法の設計 壁の設計
ハット形鋼 3.2mm厚
六角ボルトM-12
石膏ボード 12.5mm厚
間に挟むスギ板がヒートブリッジを軽減させる
準耐火構造(外壁耐火) _モデル: ALCパネル100mm厚
スギ板 50mm厚 _木ダボ接合
木ダボ(カシ) _d=24mm_L=240mm
今後の課題:縁キョリ
Hybrid構法の設計 間仕切り壁
間仕切り壁接合詳細 1 / 3
間仕切り壁平面 1 / 10
スギ板 30mm厚
角パイプ 75mm×75mm_4mm厚
断熱材 _ウッドファイバー _75mm
外壁材 _ALCパネル(外壁耐火) _100mm
ハット形鋼とフラットバー( 50mm×4.5mm)をすみ肉溶接
Hybrid構法の設計 コーナー
外壁コーナー(挟み込み) 1 / 8
外壁コーナー(落とし込み) 1 / 8
挟み込みだと部材数が多くなる
Hybrid構法の設計 壁の設計:せん断耐力
L1L2
P
PP
P
L2
L1
𝑃 𝑦=8.31 (𝐾𝑁 )
モデルプラン「木ダボ カシ φ24mm 、母材スギ、 L1=L2=120mm 」
降伏モード(7)の木ダボ繊維方向のクラックによるせん断降伏が起こる
7¿𝑃 𝑦=𝐴×𝐹 𝑠
𝜅=3.14×12
2×24.4943
÷1000=8.31
構造用合板に用いられる釘( CN50)の1面せん断降伏耐力
𝑃 𝑦=0 .61 (𝐾𝑁 )
木ダボの耐力は比較的大きい
Hybrid構法の設計 壁:せん断剛性
P
P
P
P
K1
K2
P
P
モデルプランの「木ダボ カシ φ24mm 、母材スギ、 L1=L2=120mm 」
木ダボ1本あたりのせん断剛性 Kは
【壁体のせん断剛性】
木ダボが6本の場合(剛性) : 2.86×6 = 17.16( KN / mm)
木ダボが7本の場合(剛性) : 2.86×7 = 20.02( KN / mm)木ダボが7本の場合(変位) : 0.500mm
木ダボが 6本の場合(変位) : 0.583mm
壁全体での変位 : 4.832mm
壁全体でのせん断剛性 : 2.07( KN / mm)
3600
1800 1800
3000
514. 2 514. 2
10KN
Hybrid構法の設計 壁:せん断剛性
3600
1800 1800
3000
514. 2 514. 2
( 0. 000 , 0. 000 )( 0. 500 , 0. 500 )
( 0. 583 , 1. 083 )( 0. 500 , 1. 583 )( 0. 583 , 2. 166 )( 0. 500 , 2. 666 )( 0. 583 , 3. 249 )
( 0. 500 , 3. 749 )( 0. 583 , 4. 332 )( 0. 500 , 4. 832 )
( 各層の変位[mm] , 累計値[mm] )
10KN
Hybrid構法の設計 壁:せん断剛性
ブレース置換
3000
θ
519.5
θ
636. 5δ =4. 832
3600
板壁のせん断剛性と等価な軸剛性をもつ、ブレースへと置換
𝑃𝑏=E× A×𝛥𝐿𝐿𝑏
=𝐸× 𝐴×𝛿×𝐶𝑂𝑆2𝜃𝐿
𝐾 𝑏=𝑄𝛿
=𝐸× 𝐴×𝛿×𝐶𝑂𝑆2𝜃𝐿
×𝑐𝑜𝑠𝜃𝛿
=𝐸𝐴 ∙𝐶𝑂𝑆3𝜃𝐿
せん断剛性 K=より
EA=𝐾 ∙𝐿
𝐶𝑂𝑆3𝜃=
2.07 ∙3600
(3600 /4686.1 )3=16436.2(KN)
つまりモデルプランの板壁は、40mm×80mmの杉ブレース( E= 5.0KN / )とほぼ等価である。
Hybrid構法の設計 柱の断面比較
向かい合っているハット形鋼はスギ板を介し、ボルトによって一体化させる(多少のズレは生じる)
断面二次モーメントが大きくなり、強度が上がる
断面二次モーメント I は、部材間のズレを考慮し、低減率を 0,7とすると、( ただし、 t = 3.2mm )
I =
なお、 H形鋼の断面二次モーメントは 、
100mm×100mm : 378 150mm×75mm : 666 125mm×125mm : 839
よって、この柱は上記の H鋼の中間程度の能力をもっている。
Hybrid構法の設計 床の設計
90
76.9
50
9030
200
300
100
ハイテンションボルト M16
スギ板 30mm× 3
ボルト M10
342. 5
75. 5
10
2階床断面図 1 / 15
Hybrid構法の設計 床の設計
1階床+基礎断面図 1 / 15
結論・今後の展望
Hybrid構法の設計 結論・今後の展望
・向かい合うハット形鋼柱の間にスギ板を挟むことで、板壁が形成される だけでなく、ヒートブリッジを軽減したり、総合的な柱の断面二次モーメン トを高めることができた。・木ダボによって板壁にはある程度のせん断耐力、せん断剛性を確保で きることが計算上分かった。
・安全性を確かめるためには計算だけでは不十分であり、実験が必要。
未解決な部分は多々あるが、本研究の目的である、鉄骨造に木材(スギ板)を使う有効性を少しは示せたと言える。
柱、梁を含めた、構造体全体としての挙動がどうなっていくのか検討が必要。
ご清聴ありがとうございました。