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Case Study PTC.com ページ 1 / 2 | Case Study 株式会社ゼットエムピー | http://www.zmp.co.jp/ PTC® Creo® を全面的に活用し、 RoboCar®の設計・開発を最適化 ロボット専業メーカーの株式会社ゼットエムピー(以下、ZMP)は、自動車とロボット技術を融合したロボットカーの開発・販売も手が けている。同社は、最新版ロボットカー「RoboCar MV2」の設計・開発にあたり、PTC Creo を採用。今後は、RoboCar のセンサー取り付 け位置を最適化するシミュレーションツールとしても利用するなど、PTC Creoの活用範囲を拡大したい考えだ。 自動車とロボット技術の融合で運転者を強力にアシスト ZMPは、2001年に創業したロボットベンチャーだ。自動車と ロボット技術を融合した次世代自動車の開発用プラット フォーム「RoboCar」シリーズをはじめ、センサー・画像認識 ソリューション、ロボット・自動制御技術のライセンス、大学 や企業のエンジニアに向けた研究・教育用ロボットなどの開 発・販売でビジネスを展開している。 自動車業界では、運転者がいなくても自動走行可能なロボット カーが大きなトレンドになっており、複数のロボット技術が試 されてきた。技術の一部はすでに市販車に導入されており、今 後さらに普及していく見通しだ。同社 代表取締役社長 谷口 恒 氏は、 「ロボットカーは、自動車の抱える3つの課題を解決して くれます。3 つの課題は、安全、渋滞、そして退屈。予防安全技術 で安全を確保し、走行速度の調節で渋滞を緩和できます。安全 な自動走行が可能になれば、退屈な道を走っているときに、映 画を観られるようになるかもしれません」と語る。 PTC Creo 初体験のインターン生が主要部分を設計 ZMPは、ロボットカーの研究開発分野で重要な役割を担っ ている。2010年、自律走行が可能な一人乗りの超小型電気 自動車「RoboCar MEV」を開発。2013年2月にその後継として 「RoboCar MV2」の販売を開始した。これは、トヨタ車体製の超 小型電気自動車「coms」に制御コントローラ、自動操舵システ ム、自動ブレーキシステムを搭載し、ステアリング、アクセ ル、ブレーキをコンピュータ制御できるようにしたものだ。 自動車メーカー、部品メーカー、および大学などの研究機関 での引き合いが増えている。 RoboCar MV2の設計・開発に活用されたのは、3次元CADソ フトウェアのPTC Creoだ。同社は創業以来、機械設計分野で PTC Creo の 前 ブ ラ ン ド で あ る Pro/ENGINEER(以 下、Pro/E)を 利用。これまでもバージョンアップのたびに最新版を導入し、 より優れた機能を利用できる環境を整えてきた。そのため、 今回のプロジェクトでは、各種の機能が大幅に強化された PTC Creo を利用することになった。 開発プロジェクトにおいて、インターン生のモジェ・シャルル 氏が主要部分の設計を行った。同氏はフランスで 5 年間、運動学 関連の研究に携わった後、東京工業大学(以下、東工大)大学院 に留学。そこでバイオメカニクスや運動学、応力解析、部品設計 を学び、同社のインターンシップに参加した。 シャルル氏はフランス時代、図面の作成、構想設計、モデル チェック、アセンブリ設計、ダイナミック計算、およびキネマ ティクス・シミュレーションで CATIA を経験。東工大では、部

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株式会社ゼットエムピー | http://www.zmp.co.jp/

PTC® Creo®を全面的に活用し、RoboCar®の設計・開発を最適化

ロボット専業メーカーの株式会社ゼットエムピー(以下、ZMP)は、自動車とロボット技術を融合したロボットカーの開発・販売も手がけている。同社は、最新版ロボットカー「RoboCar MV2」の設計・開発にあたり、PTC Creoを採用。今後は、RoboCarのセンサー取り付け位置を最適化するシミュレーションツールとしても利用するなど、PTC Creoの活用範囲を拡大したい考えだ。

自動車とロボット技術の融合で運転者を強力にアシスト

ZMPは、2001年に創業したロボットベンチャーだ。自動車とロボット技術を融合した次世代自動車の開発用プラットフォーム「RoboCar」シリーズをはじめ、センサー・画像認識ソリューション、ロボット・自動制御技術のライセンス、大学や企業のエンジニアに向けた研究・教育用ロボットなどの開発・販売でビジネスを展開している。

自動車業界では、運転者がいなくても自動走行可能なロボットカーが大きなトレンドになっており、複数のロボット技術が試されてきた。技術の一部はすでに市販車に導入されており、今後さらに普及していく見通しだ。同社 代表取締役社長 谷口 恒氏は、「ロボットカーは、自動車の抱える3つの課題を解決してくれます。3つの課題は、安全、渋滞、そして退屈。予防安全技術で安全を確保し、走行速度の調節で渋滞を緩和できます。安全な自動走行が可能になれば、退屈な道を走っているときに、映画を観られるようになるかもしれません」と語る。

PTC Creo初体験のインターン生が主要部分を設計

ZMPは、ロボットカーの研究開発分野で重要な役割を担っている。2010年、自律走行が可能な一人乗りの超小型電気自動車「RoboCar MEV」を開発。2013年2月にその後継として

「RoboCar MV2」の販売を開始した。これは、トヨタ車体製の超小型電気自動車「coms」に制御コントローラ、自動操舵システム、自動ブレーキシステムを搭載し、ステアリング、アクセル、ブレーキをコンピュータ制御できるようにしたものだ。自動車メーカー、部品メーカー、および大学などの研究機関での引き合いが増えている。

RoboCar MV2の設計・開発に活用されたのは、3次元CADソフトウェアのPTC Creoだ。同社は創業以来、機械設計分野でPTC Creoの前ブランドであるPro/ENGINEER(以下、Pro/E)を利用。これまでもバージョンアップのたびに最新版を導入し、より優れた機能を利用できる環境を整えてきた。そのため、今回のプロジェクトでは、各種の機能が大幅に強化されたPTC Creoを利用することになった。

開発プロジェクトにおいて、インターン生のモジェ・シャルル氏が主要部分の設計を行った。同氏はフランスで5年間、運動学関連の研究に携わった後、東京工業大学(以下、東工大)大学院に留学。そこでバイオメカニクスや運動学、応力解析、部品設計を学び、同社のインターンシップに参加した。

シャルル氏はフランス時代、図面の作成、構想設計、モデルチェック、アセンブリ設計、ダイナミック計算、およびキネマティクス・シミュレーションでCATIAを経験。東工大では、部

Page 2: PTC® Creo®を全面的に活用し、 RoboCar®の設計 …support.ptc.com › WCMS › files › 160735 › ja › Creo_CS_ZMP_final.pdfCase Study 品設計やキネマティクス解析、応力解析にSolidWorksを使っていた。PTC

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株式会社ゼットエムピーインターン生モジェ・シャルル氏

RoboCar MV

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品設計やキネマティクス解析、応力解析にSolidWorksを使っていた。PTC Creoを使うのは、今回のプロジェクトが初めてだった。

同氏は、PTC Creoを利用してRoboCar MV2のベースとなる車体のモデリングを実施。モーター、油圧シリンダー、ソレノイドバルブなどの装置を動かすアクチュエイターや、部品を取り付けるためのブラケットなど、約15の主要部品をPTC Creoで設計した。熱伝導解析や応力解析による数値シミュレーションも行っている。

PTC Creoが仕様を固めることの大切さを教えてくれた

PTC Creoは、柔軟なワークフローと、直感的なユーザーインタフェースを備えている。画面上で迅速かつ容易にオブジェクトを必要な位置に移動したり、制約条件を設定したりできる。また、パラメータ値についても規定値を設定したり、提示される複数の選択肢から編集したりすることが可能だ。

シャルル氏は、PTCが公開する無料のチュートリアル(Learning Exchange)を活用し、PTC Creoを学んでいった。動画や画像、テキストを組み合わせた教材はシーンや特定の作業別に作成されており、豊富な機能を理解する際に役に立った。約1カ月半がすぎたころ、自在にPTC Creoを使えるまでになったという。

「PTC Creoは人間工学的によく考えられた操作性を備えているため、制約の設定や図面の作成を容易に行えます。自分がやりたいことに加えて、さまざまな選択肢を提示してくれるので、より良い答えにたどりつけることも、PTC Creoの優れた点です。将来、使用するCADソフトを自由に決められる立場になれば、PTC Creoを選ぶことになりそうです」(シャルル氏)

PTC Creoを使用するにあたっては、何を作るか、何がしたいかといった目的を事前に明確にしておくことが重要になる。構想を固めて事前に適切な設定を施すことで、詳細設計時に手戻りが発生するリスクが低くなる。つまり、事前に仕様さえはっきり決めておけば、PTC Creoが流れるような設計作業を支援してくれるのだ。シャルル氏は、「PTC Creoは、仕様を固めることの大切さを教えてくれました」と話している。

ZMPは今後、センサーの取り付け位置を最適化することにもPTC Creoを活用したい考えだ。人間が自動車を運転する際、目から得た情報に頼るのと同様に、ロボットカーにとって目の役割を果たすセンサーは生命線になる。微妙な角度や位置をパラメータの値を変えるだけで調整するパラメトリック機能を備えたPTC Creoを利用すれば、センサーの届く範囲や角度を自在にシミュレートし、最適な取り付け位置を確定できる。谷口氏は、「ロボットカーは世界的に注目を集めている分野です。この分野に注力し、インターンシップの受け入れや産学連携をさらに推進することで、業界におけるZMPの存在感をより高めていきたいと考えています」と話している。

© 2013, PTC Inc. (PTC). All rights reserved. PTC 製品およびサービスに対する唯一のワランティは、該当する製品およびサービスに付随する明示の保証書において定められています。本書のいかなる内容も、追加の保証と解釈されてはなりません。本文中で言及されている顧客事例は、単一のユーザー エクスペリエンスおよびかかる顧客の証言に基づいています。PTC 製品およびサービス、または PTC が関係している市場に関するアナリストなどによる将来の見通しは、そのアナリスト自身の見通しであり、PTC はその根拠または正確性について何ら言明いたしません。PTC、Windchill、Integrity、およびすべての PTC の製品名およびロゴは、米国およびその他の国におけるPTC またはその子会社、あるいはその両方の商標または登録商標です。その他の製品名または企業名はすべて、各所有者の商標または登録商標です。新製品や新機能のリリース時期は予告なく変更されることがあります。

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詳細については、PTC.com/product/creoをご覧ください。

<お問い合わせ先>TEL: 03-3346-3659 Email:[email protected]

Corporate Profile株式会社ゼットエムピー所在地設立資本金事業内容

:東京都文京区:2001年: 3000万円:次世代自動車の開発用プラットフォーム「RoboCar」シリーズ、センサ・画像認識ソリューション、大学、企業のエンジニア向け研究用・教育用ロボット等の製造・販売を行うロボットベンチャー企業