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プレゼンテーション技法 (第2回)神戸大学大学院システム情報学研究科
中村 匡秀(なかむら まさひで)
プレゼンテーション技法:第2回 1
第4章:プレゼンテーションの実施
プレゼンテーション技法:第2回 2
プレゼンテーションの実施
作成した視覚資料を利用してメッセージを伝える
良いプレゼンテーションを行うために 発表全般のルール・マナー
スライドの説明・話し方
質疑応答
練習・リハーサル
良いプレゼンテーションとは(再掲) 自分の考えが相手に伝わること
説得力があり,聞き手の期待にあっていること
与えられた条件を守り,スマートであること
プレゼンテーション技法:第2回 3
発表全般のルール・マナー
服装・身だしなみ 小ざっぱりした格好で.一般的にはスーツが無難
聞き手に合わせてフォーマル度を考える
大きい声,笑顔,はきはきと 不安な顔,小さい声だと下手に聞こえる
自信を持って「プレゼント」を届ける
時間を守る 守らないと他の講演者の時間が削られる
「自分の話をする時間をもらっている」という意識
プレゼンテーション技法:第2回 4
立ち方
聞き手のほうを向いて,背筋を伸ばして立つ ○顔を上げて体は聞き手のほうを向いて話す
◎スライドを見ずに話せるときは,前を向いて話す
◎アイ・コンタクト
×ずっとスクリーンを向いて聞き手を見ない
×下を向いて手元の発表原稿を読んでいる
△不用意な動作をする(頭をかく,体がゆれている)
プレゼンテーション技法:第2回 5
出典:エンタ魂
話し方
自信と熱意を持って,わかりやすく伝える スライドにしたがって説明する
◦ 慣れないうちは,スライドに書いていないことは話さないこと
◦ どうしても話すならスライドに書くこと
あいまいな語尾は避ける◦ 「~です」 「~なのです」のような断定型で自信を持って言い切る
◦ 「~と思います」 「~だろう」 「~はずです」 は聞き手に不安を与える
台詞はすべて暗記する◦ はじめのうちは,スライドを読めば台詞になるようにスライドを作る
◦ 原稿(カンペ)は見ない.何度も練習して毎回同じ台詞になるのが理想
平均的に1枚1分になるように,スピードを調整する
相手の立場と場に合わせた表現をする◦ 敬語,尊敬語,謙譲語? コミカル or シリアス?
プレゼンテーション技法:第2回 6
発表のはじまり
座長(司会者)に出番を告げられたら前に出る スライドの表紙画面を映し,確認する.マイクのテストも
◦ スライドファイルは前もって会場のPCに移しておく(USBなどで)
◦ 自分のPCを使う場合には事前に接続テストを行っておく(重要!!)
表紙のスライドでプレゼンテーションの開始を告げる [所属・肩書き・出身など] の[氏名]です.これから [講演題目]というタイトルで発表いたします◦ 神戸大学の中村です.これから「私は沖縄病」という題目で発表いたします
◦ 神戸から来ました中村です.「神戸スイーツの選び方」というタイトルで発表します.
◦ 602号室の中村です.「自治会の上半期決算」について報告させていただきます
タイトルはよく聞こえるように,前後に間を挟む
簡単なあいさつ(こんにちは等)を冒頭につけてもよい
プレゼンテーション技法:第2回 7
スライドの説明
スライド上の箇条書きの項目をひとつずつ説明する 説明する項目をポインタで指してから説明すれば効果的
◦ 指した後,できれば聞き手の方に向き直る
適宜,接続詞や語尾を補う◦ 「はじめに~次に~ 」 「だから」「しかし」 「~です」「~ます」
◦ 図や表がある場合には説明する.イラスト・挿絵は説明不要
スライドの下まで説明したら,一呼吸おいて次のスライドへ
ポインタの使い方 説明する箇所を軽く指し示す(その後,放してよい)
スクリーンをたたかない
話しながらポインタで追いかけない
手に持ったままふらふらさせない
レーザーを聞き手に向けない
プレゼンテーション技法:第2回 8
聞き手の集中力を切らさない工夫
人間が1つの話題に集中できる時間は短い(2分~15分)
一本調子で淡々とした説明が続くと,すぐに飽きられてしまう
→ 集中力を持続させる話し方の工夫が必要
工夫の例 聞き手に問いかけて,考える行動を起こさせる
◦ 「このスライドに映っている人,ご存知の方いらっしゃいますか?」
◦ 「この中で○○をご存知の方,いらっしゃいますか?」
身近な「たとえ」を入れ,理解を促進させる◦ 「例えば自分のお母さんにプレゼントすることを考えましょう」
◦ 「年金制度は,いわゆる3階建てのビルだと思ってください」
つなぎに接続詞を入れ,流れを作る
◦ 「つまり,プレゼンテーションとはアイデアのプレゼントなのです!」
◦ 「しかしながら,これまでのやり方では△△という課題がありました」
◦ 「そこで,今回○○という方法を提案いたします!」
プレゼンテーション技法:第2回 9
発表の終わり
「まとめ」のスライドを説明し終えたら,終了を告げる 以上で発表を終わります.ご清聴ありがとうございました.
「まとめ」スライドを出したままにしておく
時間切れの場合は「まとめ」の説明を省く まとめはこのようになっております.以上です.
「まとめ」以前に時間切れの場合,要点だけ話して切り上げる
その後,座長が質疑・応答(Q&A)の司会を行う 只今のご発表について,ご質問・コメント等ありませんか?
プレゼンテーション技法:第2回 10
発表練習(重要!)
本番までに繰り返し練習をおこなう実際に声に出して,画面を映しながらしながら練習する
時間を計ってみる◦ PowerPointの「スライドショー」→「リハーサル」機能を使って計測できる
家族や友人に聞いてもらい,改善点を指摘してもらう
最低3回,多ければ10回以上行う
電車内等でも練習する◦ スライドを1ページ4枚で印刷し,ホッチキスどめして持ち歩く
発表練習はプレゼン成功に最も影響する要素練習しているかどうかは,聞き手にとってすぐにわかる
発表がよければ内容もすばらしく見える
プレゼンテーション技法:第2回 11
練習次の3枚のスライドを声に出して発表練習してみよう [ダウンロード]
確認項目◦ 発表のはじめ方
◦ スライドの説明の仕方
◦ 発表の終わり方
鉛筆をポインタ代わりに利用する
プレゼンテーション技法:第2回 12
1
2 3
質疑応答
会場からの質問があれば,それに答える まずは,相手の質問を最後まで聞く
◦ 質問途中で答え始めるのは,余裕の無さが見えて格好悪い
◦ 込入った質問の場合には,手元のメモをとる
◦ 聞き取れない場合にはもう一度聞く.「すみません.もう一度お願いします」
次に,落ち着いて話す内容を考え,自分なりの考えを答える◦ 質問に関連するスライドを表示して,説明するとやりやすい
わからない場合には,正直に答えればよい◦ ○○については,正直勉強不足で現在お答えできません.申し訳ありません.
◦ ××については現在考慮できていません.今後の課題にしたく思います.ご意見ありがとうございました.
考えすぎて無言のまま固まってしまわないように
完璧な質疑応答は難しい 学会発表等では,想定質問を用意して対策を練習する
プレゼンテーション技法:第2回 13
プレゼンテーションに対する質問
質問のタイプ感想 「楽しかったです,興味深かったです」
質問 「ここの部分をもっと詳しく知りたい,教えてほしい」
コメント・アドバイス「もっと良い方法があるよ,こうしたらよくなる」◦ コメントは,具体的な答えが必要ないことが多い.単にお礼を言う.
質問の意義 質問は「ダメ出し」ではなく,プレゼントのお返し
◦ 聞き手から話し手へのコミュニケーション (双方向コミュニケーション)
◦ プレゼンテーションが何らかの形で「聞き手に届いた」ということ
◦ 質問が多いほど面白いプレゼンだった(=受けた)と思ってよい
質問がまったく無いと寂しい◦ プレゼンが長すぎて,質疑の時間が取れなかった
◦ メッセージが伝わらなかった
◦ 興味を持ってもらえなかった
プレゼンテーション技法:第2回 14
聞き手としての態度
良い聴衆は良いプレゼンを引き出す 聞き手の態度がよければプレゼンテーションはより良くなる
プレゼンテーション会場全体が良い雰囲気になる
良い聞き手の態度 うなづく
メモをとる
積極的に質問する
発表者の目を見る(優しい表情で)
話し手の問いかけに反応する◦ 話し手:「最近話題の○○をご存知の方は?」
◦ 聞き手:「はい!知ってます」 と手を上げる
(悪い態度) 私語をする,話を聞かない,内職をする
プレゼンテーション技法:第2回 15
スマートな質問のし方
質問の際,次のことに気をつけるとスマート手を上げて,座長に指名されてから質問する
はじめに自分の名前と所属,立場などを名乗る◦ 「神戸大学の中村と申します」
発表が面白かったと思うなら,お礼を言う◦ 「大変,興味深い発表ありがとうございます.参考になりました」
質問は基本的に一問一答◦ 一度にひとつの質問をする.他に質問が出ない場合には次を聞いても良い
◦ 「発表中で出てきた○○について,もう少し詳しく教えていただけないでしょうか」
コメント・アドバイスは建設的なものを◦ 発表に対する文句やダメ出しをぶつけてもしようがない
◦ 改善のヒントや具体的な情報など,お互いにハッピーなるように心がける
プレゼンテーション技法:第2回 16
第5章:効果的なプレゼンテーションのためのテクニック
プレゼンテーション技法:第2回 17
箇条書きの書き方
1行に入るように余分な情報はカットする必要であれば,口頭で話す際に復元する
必要な情報が1行に入らないときは構造化する本質的な説明のみを1行におさめる
修飾や補足説明は下位レベルの箇条書きにする
[before]絨毯(じゅうたん、絨緞)とは、屋内の床に敷くための織物や敷物のことで,カーペットやラグとも呼ばれる。歴史的には、織物、草でできた敷物、テーブルや壁を覆うものにも用いられた語である (Wikipediaよりhttp://ja.wikipedia.org/wiki/絨毯)
[after]絨毯(じゅうたん)とは屋内の床に敷く織物や敷物を指す *
◦ カーペット,ラグとも呼ばれる
◦ 歴史的には,草でできた敷物やテーブル・壁を覆うものも表す* (出典) Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/絨毯
プレゼンテーション技法:第2回 18
「3つ」を使う
事柄を3つのポイントで説明する 3は人間にとって覚えやすく,安心感・安定感を覚える数字
それ以上だと覚えられないし,それ以下でも寂しい◦ ただし,なんでも無理やり3つにそろえる必要は無い
例: 沖縄にハマル3つの理由
1. いろんな非日常を満喫できる!
◦ 自然:サンゴ礁,海,山,滝・・・
◦ 言葉・文化:めんそーれ,はいさい,ゆんたく,沖縄時間・・・
◦ 食べ物:ちゃんぷるー,サーターアンダギー,クースー・・・
2. 人が優しい!
◦ ...
3. 気軽に行ける!
◦ ...
プレゼンテーション技法:第2回 19
強調色の使い方
文字や図に色をつけて重要な箇所を強調する 通常は1色で強調(赤が多い)
複数の色で対応を表現することもできる
あまりやりすぎると逆に見づらくなる
例三国時代(184-220)に興った3つの国
◦ 魏:華北一帯を支配した王朝.初代皇帝は曹丕
◦ 呉:長江流域を支配した.初代皇帝は孫権
◦ 蜀:巴蜀(中国西部)に建国.初代皇帝は劉備
プレゼンテーション技法:第2回 20
三国時代
魏
呉蜀
曹丕
劉備 孫権
アニメーションの活用
スライド内の情報を動的に表示・消去できる 情報を段階的に出したい, 図に動きをつけたい
アニメーションのつけ方 対象をマウスで選択し「アニメーション」リボンで効果を選ぶ
順番の変更や効果の消去は「アニメーションウィンドウ」で
スライドショーで効果を確認する
例:「2014年はココに行きたい!国内旅行人気ランキング」 トップ3*
◦ 3位: 京都 - すばらしい社寺仏閣や骨董との出会いがある!
◦ 2位: 沖縄 - レンタカーで美しい海を見ながらドライブしたい!
◦ 1位: 北海道 - 爽やかな時期に行って、美味しいものを食べまくる!
プレゼンテーション技法:第2回 21
*出典:地球の歩き方 http://arukikata.co.jp/en/winter_d/2014.html
「伝わるデザイン」*
研究発表のユニバーサルデザイン情報を洗練・整理して聞き手に優しいスライドをデザインする
◦ 文字と文章,フォント,レイアウト,色彩と配色,図,グラフ,・・・
*出典:http://tsutawarudesign.web.fc2.com/tsutaeru2.html
プレゼンテーション技法:第2回 22
その他の専門用語
MECE (Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive,ミッシー)
「重複無く,かつ,漏れなく」 考える,説明する◦ 米マッキンゼー社が考案したロジカルシンキングの方法
例: 男女別のタバコに関する意識について◦ 1:喫煙家(男性),2:喫煙家(女性) ,3:嫌煙家(男性),嫌煙家(女性)
合脳的コミュニケーション* 脳科学者 茂木健一郎氏
◦ 物語として語ると,脳のシステムにすーっと入ってくる.理解・記憶しやすいものとして受け取ることができる.こういう脳にとって受け取りやすいコミュニケーションを「合脳的」(脳に合っている)という.
プレゼンテーション技法:第2回 23
出典:「プロフェショナル仕事の流儀」(NHK)2006年6月29日http://www.nhk.or.jp/professional/2006/0629/index.html
写真出典:Wikipedia, http://ja.wikipedia.org/wiki/茂木健一郎
テクニックを使う際の注意点
テクニックはあくまでテクニック 肝心のメッセージが込められていないと意味がない
慣れないうちは濫用しない方がよい
基本をおさえた上で活用すること プレゼンテーションの本質を理解する →1章
メッセージを伝えるプレゼンテーションを作成する → 3章
自信と熱意を持ってプレゼンテーションを発表する → 4章
↑3つができて余裕があればチャレンジ
準備・練習を怠らないこと せっかくのテクニックが本番で出てこない
プレゼンテーション技法:第2回 24
まとめ
プレゼンテーションの基本的な事項を学習した第1章: プレゼンテーションとは
第2章: PowerPointの使い方
第3章: プレゼンテーションの作成
第4章: プレゼンテーションの実施
第5章: 効果的なプレゼンテーションのためのテクニック
さあ,あなたの番ですよ! プレゼンテーションはアイデアのプレゼントです
話し手と聞き手の双方向コミュニケーションを楽しみましょう!
プレゼンテーション技法:第2回 25
参考文献
中西通雄,プレゼンテーション技法, 放送大学大阪学習センター教材資料, 2013年
池内健治, 高澤圭一,プレゼンテーション+PowerPoint 2007/2010, 実教出版, ISBN978-4-407-32085-5
菅野誠二, 共感をつかむプレゼンテーション, 日本経団連出版, ISBN978-4-8185-2611-2
伝わるデザイン・研究発表のユニバーサルデザイン,http://tsutawarudesign.web.fc2.com/
ウィキペディア, http://ja.wikipedia.org
プレゼンテーション技法:第2回 26
演習II:プレゼンテーションの実施
演習Iで作成したプレゼンテーションを発表してください 持ち時間は,発表5分+質問3分です
◦ ベルは,1回目4分,2回目5分(発表終了),3回目8分(質疑終了) になります
教卓用のPCにデータを入れて,プロジェクタで映します
座長は中村が行います
聞き手として,それぞれの人にコメントを記述してください
スライドの準備・練習 3限開始時までスライドを完成させ,練習を進めてください
昼休みの間にスライドファイルを回収します◦ ファイル名は自分の名前.pptx (例:中村匡秀.pptx) としてください
発表会は3限から始めます
プレゼンテーション技法:第2回 27
(再掲)演習I: プレゼンテーションの作成
次のテーマのうちどちらか1つ選択し,プレゼンテーションを作成しなさい.持ち時間はどちらも5分で,次回の午後に前で発表していただく予定です
テーマ1 「私はこんな人」自分のことを他の受講生により知ってもらうためのプレゼンテーションをしてください.ユニークな趣味や生活や仕事上のこだわり,座右の銘などの紹介を歓迎します
テーマ2 「ちょっとした工夫,教えます!」日々の生活や仕事において,ご自身が実践している工夫で,他の人にも役立つと思うことをプレゼンテーションしてください.「おばあちゃんの知恵袋」的なものも歓迎します.
プレゼンテーション技法:第2回 28