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本日のテーマ
・脳血管攣縮(スパズム)の一般論の紹介
・脳血管攣縮の管理について(triple H療法)
・脳血管攣縮の治療について
1. Nimodipine(ニモジピン)
2. Nicardipine(ペルジピン)
3. Fasudil(エリル)
4. Magnesium(マグネシウム)
5. Sta?n(スタチン)
6. Clazosentan(クラゾセンタン)
Incidence and Prevalence of Aneurysmal SAH
Risk Factors for Aneurysmal SAH
罹患率: 8.1〜23/100,000(Australia, New Zealand, Japan) 20000〜30000/年(United States) 高リスク: 40〜60歳の女性 死亡率: 白人で低い傾向にある 高血圧 喫煙 大量の飲酒 気圧 交感神経作動薬 多発性嚢胞腎 SAHの家族歴 Stroke 2009 ;40:994-‐1025
N Engl J Med 2006; 354:387-‐96
Cause
合併症
・再出血 ・脳血管攣縮(cerebral vasospasm) ・肺水腫 ・尿崩症 ・正常圧水頭症
・ruptured aneurysms(85%) ・non-‐aneurysmal perimesencephalic haemorrhage(10%) ・remaining 5% →
Lancet 2007;369:306-‐18
重症度分類 重症度 基準 1 無症状もしくは軽度の頭痛(70%) 2 中等度から強度の頭痛、項部硬直をみるが、脳神経麻痺以外の神経症状はなし 3 錯乱状態、傾眠傾向、もしくは軽度の局所神経症状を示すもの 4 昏迷状態で、片麻痺があることもある 5 昏迷状態で、除脳硬直を示すこともある(10%) Ⅰ GCS15点で運動障害が全くない Ⅱ GCS13〜14点で運動障害が全くない Ⅲ GCS13〜14点で運動障害がある Ⅳ GCS7〜12点 Ⅴ GCS3〜6点 分類 発症後48時間後の単純CTでの所見 Ⅰ 血液のみられないもの Ⅱ 血液がびまん性に存在し、血塊を認めず、血液のそうが1mmを超えないもの Ⅲ 血塊を認めるか、1mmの血液の層があるもの(30%) Ⅳ 脳室内に血塊を認める Washington Manualより引用
Cerebral Vasospasm aaer SAH
・発症頻度 : 30〜70%
・起始 : 3〜5日
・最大狭窄 : 5〜14日
・漸減 : 2〜4週間
・脳梗塞 or 死亡率 : 15〜20%
Stroke 2009 ;40:994-‐1025
Cerebral Vasospasm aaer SAH
徴候 ・水頭症や再出血では説明がつかない新たな 神経徴候の出現 ・虚血を予防するための脳循環の改善を促す 自動能の調節による平均血圧の上昇
Stroke 2009 ;40:994-‐1025
Cerebral Vasospasm aaer SAH
機序 →くも膜で出血した血液のヘモグロビンが分解・変質して ヘモジデリンやヘミンとなり、これらが周囲の血管壁が 分泌する一酸化窒素(NO)を分解する。 動脈は常に血管を拡張させる物質(NO)と収縮させる物質 (エンドセリン)を分泌しているが、NOが分解されてしまう ことにより、血管を収縮させる物質のみ残ってしまうことが 原因と考えられる。また脳血管れん縮の重症度とくも膜下 腔の血管周囲の血腫量との間には相関があると考えられて いる。
Acta Neurochir Suppl 1999 ; 72 : 27-‐46
Cerebral Vasospasm aaer SAH
TCD ( transcranial Doppler )
・TCDの検査はoperatorの技術によるところが大きい。 ・前大脳動脈や中大脳動脈の血流測定を行うことで 診断の一助になる可能性はあるが、 MRIの拡散強調 画像や3D-‐CTなどの検査と同じように非侵襲的補助検査 として有用かもしれない。 ・多くの施設では血管造影検査を診断に用いている。
Stroke 2009 ;40:994-‐1025
Intensive care of aneurysmal subarachnoid hemorrhage: an interna?onal survey Intensive Care Med 2009 ;35: 1556-‐66
Design: survey Interven?on: 予め組まれた45の質問項目を (10分程度で回答できるもの) SCCM,ESICM,NCSの協力を仰ぎ ながら、SAHの治療に携わっている それぞれの国のICU physicianに 回答してもらった。
→全部で626の回答を得ることができた。 Ini?al management、Aneurysm repair、Medical management、Monitoring、 Management of cerebral vasospasmに関してそれぞれ回答を得た。 アメリカとヨーロッパ、年間40例以上の症例を見ている施設とそうでない施設 では違いがあり、個々の施設でも治療・管理の方法は異なることがわかった。
Defining vasospasm aaer subarachnoid hemorrhage 〜 what is the most clinically relevant defini?on 〜 Stroke 2009; 40: 1963-‐68
Design: survey Methods: 1)symptoma?c vasospasm: 脳血管れん縮以外の要因を除いた上で vasospasmと思われる臨床的神経所見の悪化 2)delayed cerebral ischemia (DCI): 1)あるいはCT上でvasospasmによると思わ れる脳梗塞と診断された場合 3)angiographic spasm: 脳血管造影で診断される 4)transcranial Doppler (TCD): 平均流速が120cm/sec以上で診断 n=580 Outcome: 3ヶ月後のQOL(SIP)、電話での認知障害レベルの判断(TICS)、日常生活における 介助の割合(Lawton score)、3ヶ月後の重症度(mRS)を見て、どの診断方法が 最も役に立つか。
→DCIが臨床的に最も役に立つ定義である。
Angiographic vasospasm is strongly correlated with cerebral Infarc?on aaer subarachnoid hemorrhage Stroke 2011;42:919-‐923
Background: SAH後のvasospasmと脳梗塞の関係を調べる。 Design: post hoc exploratory analysis of the CONSCIOUS-‐1 data Methods: SAH後9±2日後の脳血管造影の結果と、SAH後6週間でのCT撮影の 結果を照らし合わせて解析した。(n=381)
→脳血管れん縮と脳梗塞には強い相関がある。
→1980年〜90年代にかけて脳血管攣縮に対するtriple H療法 ( hypervolemia, hemodilu?on, hypertension)の有用性が示されたが、、、 Neurosurgery 1990; 27: 729-‐4 Neurosurgery 1988; 23: 699-‐704 Neurosurgery 1991; 30: 12-‐16
Effect of hypervolemic therapy on cerebral blood flow aaer subarachnoid hemorrhage Stroke 2000 ; 31 : 383-‐91
Design: randomized controlled trial Selng: single center Methods: クリッピングを施行されたSAHの患者82名を day14までhypervolemic(HV)群,normovolemic(NV)群 に分けて管理を行い、脳循環血液量(CBF)を測定した。 基本的にすべての患者でcrystalloidの投与を行った。 (80ml/hr)HV群:PADP14mmHg or CVP8mmHg NV群:PADP7mmHg or CV5mmHgをそれぞれ下回ったら 5%Albを2hrごとに投与した。
→HV群はNV群よりも明らかに輸液量も多く、PDAPもCVPも高かったが、輸液バランス は同じであり、CBFに関しても2群間で有意差はなかった。
→14d,3ヶ月後における脳梗塞、死亡率(機能予後)にも有意差はなかった。 予防的なhypervolemiaが必ずしも有用であるとはいいきれない。
Prophylac?c hyperdynamic postopera?ve fluid therapy aaer aneurysmal subarachnoid hemorrhage Neurosurgery 2001;49: 593-‐606
Design: randomized controlled study Selng: single center Methods: A群(n=16): 2000ml/dayの晶質液をday12まで投与。 B群(n=16): 5000〜5500ml/day(膠質液1/3 晶質液2/3)をday12まで投与。 (目標値:CVP8〜12,Htct30〜35%,MAP:術前よりも20% up ) Endpointは臨床所見、TCD、SPECT、合併症、コスト
→二つの小さいRCTから考えると予防的なhyperdynamic therapyの有用性の根拠 は乏しい。しかし、Hypovolemiaは避けた方が良さそうである。
←臨床とTCDにおける vasospasmの割合 臨床のアウトカム→
←1年後の神経学的 機能予後 合併症→
2群間で有意差は見られなかった。 唯一コストがNormovolemic群に比べてHyperdynamic 群で250$/day余分にかかった。
Effect of different components of triple-‐H therapy on cerebral Perfusion in pa?ents with aneurysmal subarachnoid haemorrhage Cri?cal care 2010;14:R23
Design: systema?c review ( triple H療法はCBFの増加に有効か?) Studies: n=11(RCTは1つ)
・Hypervolemia:7つ (Hemodilu?onを兼ねている のが3つ) 1日のtotal輸液量は250〜 4000mlと様々 ・Hypertension: 4つ Phenylephrie or Dopamineを 用いてMAPを21〜33mmHg↑s ・DCI、vasospasmなしで適応 された文献(予防):4つ ・DCI、vasospasmと診断されて 適応された文献(治療):6つ 予防、治療両方:1つ ・致命的な合併症はなし。
↑CBFの測定方法、測定場所、時期が異なる。 →24hr以内の予防的hypervolemiaでは優位なCBFの 増加は認められなかった。Hypertensionに関しては CBFの増加が認められた。(1つは有意差あり) triple Hに関しては2つの文献ともCBFの増加を認めた。 (有意差ありは1つだけ) 同様に24hr以内の治療群においてisovolemia、hypervolemiaを行ってもCBFの有意な増加は 認められなかった。Hypetensionに関してはCBFの増加を認めたが、有意差があったのは1つ のみであった。 5-‐7日、12-‐14日での解析ではhypervolemiaにおいて1つのみ有意差を認めた。 →適切なRCTがほとんどない、サンプル数が小さい、CBFの測定がばらばらなど問題点は多い meta-‐analysisである。その中で唯一言えるのはhypertensionはCBFを増やすのに有効かも しれない。そもそもCBFを増やすと予後は改善する?(一時的?酸素運搬能↑?)
CBFの測定 結果
1970年 1980年 1990年 2000年
1973 イソプロテレノール
1977 triple-‐H療法
1983 ニモジピン
1988 ニカルジピン
1992 ファスジル
1992 パパベリン
2000 マグネシウム
2005 クラゾセンタン
2005 スタチン
Vasospasmに対する薬物療法の歴史
Effect of oral nimodipine on cerebral infarc?on and outcome Aaer subarachnoid haemorrhage: Bri?sh aneurysm nimodipine trial Br Med J 1989;298:636-‐42
Design: randomized controlled trial Selng: mul?center Interven?on: SAH発症96時間以内にニモジピン群は60mgを4時間ごとの経口 投与を行い、21日間施行した。 Pa?ents:プラセボ群:276名 ニモジピン群:278名(554名) End point:脳梗塞、虚血性イベントの発生と退院3ヶ月後の予後
↑脳梗塞の発症を減少させた。
↑90日死亡率はニモジピン群で少ない。 Rela?ve reduc?on29%(96%CI:-‐1-‐50)
↑障害・死亡の原因
→経口のニモジピン投与は脳の虚血性イベントを減らし予後を改善する。 下記の文献とも矛盾しない。
Efficacy of prophylac?c nimodipine for delayed ischemic deficit Aaer subarachnoid hemorrage: a metaanalysis J Neurosurg 1996;84:405-‐14
Design: metaanalysis (n=1202)
L(3):P=0.1; odds ra?o 0.73,99% CI:0.42-‐1.25 R(4):P=0.00001; odds ra?o 0.46,99% CI:0.31-‐0.68
L(5):P=0.007; odds ra?o 0.50,99%CI:0.26-‐0.97 R(6):P=0.001; odds ra?o 0.58,99%CI:0.38-‐0.90
→ニモジピンの投与により脳血管れん縮の発症は減少させ,それによる脳梗塞の発症 やそれらによる死亡率は下げ、有意差はでなかったものの全体の死亡率もわずかに 改善する。
↑7つのRCT
A randomized trial of nicardipine in subarachnoid hemorrhage: angiographic and transcranial doppler ultrasound results J neurosurg 1993; 78:548-‐553
Objec?ve: 高用量のニカルジピンを投与することで脳血管造影による脳血管れん縮の 減少、TCDにおける血流速度を下げることができるか。 Design: randomized controlled study Selng: single center Methods: 0.15mg/kg/hrのニカルジピンを発症からday14まで持続的に流す。 day7〜11の間に脳血管造影を、day7,11,14と意識レベルが悪くなった時に TCDを施行し評価した。
←プラセボ群に比べてニカルジピン群 において、より重症な脳血管攣縮の発症 が少なかった。(p=0.028)
↑vasospasmの予後因子における2群間の比較(Angio) TCDにおける比較でも2群間で有意差なし。
↑脳血管造影 ↑TCD (重症なスパズムの発症) (流速120cm/sec以上)
→高用量のニカルジピンの投与は脳血管れん縮の発症を減少させる。 ただし、予後の記載、合併症、血圧のtargetなどの記載はなし。
A randomized trial of two doses of nicardipine in aneurysmal Subarachnoid hemorrhage J Neurosurg 1994; 80:788-‐96
Design: randomized controlled trial Selng: mul? center Objec?ve: 高用量のニカルジピンの投与は脳血管攣縮を 減少させると言われているが、一方で低血圧や 肺水腫などの副作用も指摘されている。そこで 高用量群(0.15mg/kg/hr:n=184)と低用量群 (0.075mg/kg/hr:n=181)の持続投与では、 脳血管攣縮の発症、また患者予後は異なるのか どうか検討した。
↑虚血イベントの発生頻度 ↑アウトカム ↓副作用
→ 脳血管れん縮の発生頻度は2群間で変わらな かった。また、3ヶ月後のアウトカムにおいても 2群間で有意差はなかった。 低用量群に比べて高用量のニカルジピンを 投与した群で副作用により投与を中止した症例 が多かった。
Effect of AT877 on cerebral vasospasm aaer aneurysmal subarachnoid hemorrhage J Neurosurg 1992;76:571-‐577
Design: double-‐blind randomized controlled study Selng: mul?center study Methods: SAH (Hunt&Hess Grade Ⅰ〜Ⅳ)の発症 3日以内に手術を施行された276名の患者 を対象に、1日3回1回30mgを30分かけて 投与(14日間)した群とプラセボ群とを比較 して、脳血管攣縮の発症頻度をみた。
↑血管撮影上のvasospasm ↑症候性のvasospasm
↑CT上の低吸収域の出現 ↑アウトカム(1ヶ月後のGOS)
→上記の血管撮影上、症候性、CT画像所見すべてにおいてファスジルを使用した群 において脳血管攣縮の減少を認めた。また脳血管攣縮だけのoutcomeも改善したが、 その他(再出血、感染、水頭症など)の要因を加味すると有意差はなかった。
Effect of fasudil hydrochloride , a protein kinase inhibitor On cerebral vasospasm and delayed cerebral ischemic symptoms Aaer aneurysmal subarachnoid hemorrage Neurol Med Chir 2006;46:421-‐28
Design: randomized controlled trial Selng: mul?center study Pa?ents: SAH (Hunt&Hess Grade Ⅰ〜Ⅳ)の患者72名 Methods: 術後14日間ファスジルを1日3回1回30mgを30分かけて投与した群(n=37)と、 ニモジピンを1mg/hrで持続投与した群(n=35)で脳血管攣縮の抑制効果の 違いを検討した。 2群間における患者背景には違いはなかった。
結果 →血管撮影上のvasospasm、症候性のvasospasm、CT上の低吸収域の出現においては 2群間で有意差は見られなかった。また、臨床的アウトカムにおいても有意差はみられ なかった。(p=0.345)しかし、ニモジピン群よりもファスジル群において運動機能の回復 が早い傾向であった。失語に関しては有意差なし。副作用もなし。
※低マグネシウム血症はSAHではしばしば見られる。(38%) Neurosurgery 2003 ;52: 276-‐81
Magnesium sulfate in aneurysmal subarachnoid hemorrhage Stroke 2005;36:1011-‐15
Design: randomized double-‐blind controlled trial Selng: mul?center Methods: SAH発症後4日以内の患者283名に対して、4日以内(発症)〜14日までの 間、64mmol/L/dayのマグネシウムを持続投与することで、 DCIの発症 とアウトカム(Rankin scale)を解析した。 Results: マグネシウムを投与した群ではDCI のリスクを34%(hazard ra?o 0.66;95% CI 0.38-‐1.14)減らし、3ヶ月後の予後を 23%(risk ra?o 0.77;95%CI 0.54-‐1.09) 改善した。 →Phase Ⅲ trialへ。
Intravenous magnesium sulphate for aneurysmal subarachnoid hemorrhage (IMASH) Stroke 2010;41:921-‐26
Design: randomized double-‐blind controlled Phase Ⅲ trial Selng: mul?center Methods: SAHを発症して48時間以内の患者に対して マグネシウムを10〜14日間投与した群と プラセボ群で比較検討した。(n=327) Primary outcome: 6ヶ月後のGOSE ( Extended Glasgow Outcome Scale)
患者背景→
GOSE and mRS subgroup analysis
よい←←←予後→→→悪い
primary outcomeでは有意差なし。 (GOSE5〜8の予後がいい群は64% vs 63% OR 1.0;95% CI 0.7-‐1.6) TCDにおけるMCAの血流も2群間で変わらなかった。(p=0.487) →SAHの患者に対するマグネシウムの投与の有用性は見いだせなかった。 ※今回のstudyではAngioでの評価はしていない。(診断法としての根拠が乏しく侵襲的) 副作用についての記載なし。
↑すべてにおいて有意差なし
Intravenous magnesium sulphate for aneurysmal subarachnoid hemorrhage Cri?cal Care 2011;15:R52
Design: systemic review and meta-‐analysis Methods: 6つのRCTを解析 n=875 Jadad scoreを用いて評価した。 ※マグネシウムは10-‐14日間投与 されていて、3ヶ月、6ヶ月の予後 はGOS,mRSを用いて行われた。
アウトカムパラメーター→
←RCTの質
Clazosentan to overcome neurological ischemia and infarc?on Occurring aaer subarachnoid hemorrhage ( CONSCIOUS-‐1) Stroke 2008;39:3015-‐21
Design: randomized double-‐blind controlled study Selng: mul?center Methods: SAH発症後56時間以内にクラゾセンタンを開始し、14日間続ける群 (1,5,15mg/h:持続投与)とプラセボ群で比較検討した。(n=413) Primary endpoint: 脳血管れん縮の発症( Angiographic vasospasm )
治療:クリップ or コイル 有意差なし
クラゾセンタン群で有意に減少した。(p<0.02) 15mgの高用量群ではプラセボ群66%に対して 23%(RR 65%;95%CI,47% to 78%;p<0.0001) であった。
Secondary endpoint(6週以内にCT上で 新しく発症した脳梗塞、14日以内に 発症した遅発性の脳梗塞、同じく14日 以内にTCDで認められた脳梗塞により 死亡した患者)では有意差は認められ なかった。またGOSEでも有意差は認め られなかった。
→クラゾセンタンは容量依存的に脳血管れん縮を 減少させるが、予後には影響を与えなかった。
←合併症(肺、貧血、低血圧)
Clazosentan, an endothelin receptor antagonist, in pa?ents With aneurysmal subarachnoid haemorrhage undergoing Surgical clipping ( CONSCIOUS-‐2) Lancet Neurol 2011;10:618-‐25
Design: randomized duble-‐blind controlled phase 3 trial Selng: mul?center Methods: SAHに対してクリッピングを施行した患者をクラゾセンタン(5mg/h.n=768) プラセボ(n=389)(2:1割付け)に分けて比較検討した。(total:1147) Primary endpoint: SAHになって6週以内でのすべての要因に対する死亡率(死亡, 脳梗塞に関連したvasospasm, vasospasmのためのDIND, rescue therapy 必要とするようなAngioにおける所見に神経学的sign、徴候があるもの)
Study design
※2群間での患者背景に 有意差はなし。 2/3が女性でWFNSが Ⅰ,Ⅱの患者が多かった。
6週後のprimary endpointに有意差なし(p=0.10) それぞれの要因でみても有意差なし。
12週後のGOSEでは有意差なし(p=0.10) 新たな脳梗塞の発症、脳梗塞の悪化(広がり) に関しても有意差なし。(p=0.315)
←clot sizeがdiffuse thickなもの、WFNSがⅢ、Ⅳ、Ⅴの クラゾセンタン群で死亡率を有意に減少させた。GOSEに 関してはクラゾセンタンの効果は認められなかった。 ※合併症として肺水腫、低血圧、貧血がクラゾセンタン群で 多く見られた。 ※重症の患者ではクラゾセンタンは有効な可能性がある。 (今回のstudyでは多くの患者がWFNSⅠ、Ⅱ) →クラゾセンタンの投与は死亡率やvasospasmに関する 病態を改善しなかった。
Effect of sta?n treatment on vasospasm, delayed cerebral ischemia, and func?onal outcome in pa?ents with aneurysmal subarachnoid hemorrhage Stroke 2010;41:e47-‐52
Design: systema?c review and meta-‐analysis update Pa?ents: n=190 (sta?n:94 placebo:96)
Pravasta?n Simvasta?n Simvasta?n Simvasta?n
4つのRCT→
n 80 39 39 32
TCD vasospasm delayed cerebral ischemia
Poor outcome mortality
→これらからSAH後のスタチンの予防投与は効果をもたらさないという結果になった。 2008年のメタアナリシスでは脳血管れん縮はスタチンを投与すると減少し、死亡率も 減少させるという結果であったが、理由として1)てfixed-‐effects modelsを使用していた。 (今回はrandom-‐effects models) 2)vasospasmの徴候というだけのデータの論文も含まれ ていた。3)今回の方がnが多い。しかし、1)1つだけnが多い2)定義がまちまち3)機能予後 を評価する時期が異なるなど問題点もあり、現在phase Ⅲ trial (STASH)が進行中である。
まとめ
・SAHの合併症とcerebral vasospasmの発症頻度は30〜70%である。 ・vasospasmにはsymptoma?c vasospasm, delayed cerebral ischemia (DCI) angiographic spasm, transcranial dopplerがある。 ・triple H療法に根拠はない。しかし、hypovolemiaにしない、hypertensionに することは有用性がありそうである。 ・ニモジピンの経口投与はvasospasmを減少させ、予後も改善する。 ・ニカルジピンの持続投与はvasospasmを減らすという研究もあるが予後は 改善しない。 ・塩酸ファスジルはvasospasmを減少させるが、予後は改善しない。 ・マグネシウムはvasospasmに対して効果はない。 ・クラゾセンタンも同様に根拠はない。 ・スタチンの予防投与にも根拠はない。 ・動注療法(パパベリン、ミルリノン、ファスジル)やPTAなどの血管形成術に 関しては今回は触れていない。