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「だいち」緊急観測 観測から画像公開まで のプロセス(その2) SAR干渉処理について 第5回 JAXA人工衛星セミナー 島田政信 JAXA/EORC 2009年10月6日(火曜日)

SAR干渉処理について - JAXA...1. SAR画像化 1950年代に開発されたSARは全て光学処理(レンズの組み合わ せ)で映像化していた。得られた画像は、写真に焼き付けていた。1978年に打ち上げられたSeaSATではデジタル処理可能なデー

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「だいち」緊急観測 観測から画像公開までのプロセス(その2)SAR干渉処理について

第5回 JAXA人工衛星セミナー

島田政信

JAXA/EORC

2009年10月6日(火曜日)

Page 2: SAR干渉処理について - JAXA...1. SAR画像化 1950年代に開発されたSARは全て光学処理(レンズの組み合わ せ)で映像化していた。得られた画像は、写真に焼き付けていた。1978年に打ち上げられたSeaSATではデジタル処理可能なデー

・合成開口レーダ観測のしくみ・地震による地殻変動とインターフェロメトリ(干渉縞)ができるまで・「だいち」画像からわかること。「ふよう1号」からの進化

地震直後の地殻変動は発生前後の合成開口レーダ画像を比較することで、その変動の大きさを知ることが可能です。ここでは画像の干渉(比較)処理の方法と干渉画像の読み解き方をお話します。

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SARに関して

SARとは何?

SARでなぜ高分解能画像が出来るの?

SARでなぜ地表の位置を決定できるの?

干渉SARとは?

干渉SARでなぜ地表の変化や地形高度がわかるの?

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PALSAR画像の代表例:富士山、振幅画像

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PALSAR画像の代

表例:富士山、振幅画像

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富士山の干渉画像

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合成開口レーダの歴史、長所、短所History1950s:航空機SARの登場 米国、南米の探査。

1978, Seasat:世界初の地球観測用Lバンド-SAR。

1980s,1990s:米国、欧州、日本、ロシアが打ち上げ

2000s:ENVISAT、ALOS、RADARSAT-2, TERRA-SARX,,Cosmo-Skymed打ち上げ

特徴 (長所)•高分解の画像(数メートルの分解能)、計算機処理(相関処

理)

•振幅、位相の抽出、

•昼夜、天候に左右されない。

•短所

•特有の雑音を持つ

•斜視観測の為に画像の歪みを受ける。

•地上レーダーの干渉を受ける。

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SAR model JERS-1 SAR artistic view

JERS-1 SAR

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PRISMAVNIR-2

PALSAR

Data Relay Antenna

Solar Array Paddle

Star Tracker

GPS Antenna

VelocityNadir

PRISM : Panchromatic Remote-sensing Instrument for Stereo Mapping

AVNIR-2: Advanced Visible and Near Infrared Radiometer type 2 PALSAR: Phased Array type L-band Synthetic Aperture Radar

ALOS Satellite System

Sun SynchronousOrbit

46 days( 2 days )

Repeat Cycle(Sub-Cycle)

691.65kmAltitude

about 7kWat EOL

GeneratedElec. Power

about 4,000kgSpacecraft MassH-IIALaunch Vehicle

Jan. 24 2006Launch Date

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1. SAR画像化

1950年代に開発されたSARは全て光学処理(レンズの組み合わせ)で映像化していた。得られた画像は、写真に焼き付けていた。

1978年に打ち上げられたSeaSATではデジタル処理可能なデータを取得しており、JPLのWuによって開発されたデジタル型処理アルゴリズムが世界の中心になってゆく。

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レーダーとは

RADAR:Radio Detection and Ranging

antenna target

•反射信号の検出

•時間遅れの検出

距離=時間差xC/2

得られるもの:反射強度と距離(位相) C:光速

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合成開口レーダーとは

Synthetic Aperture RADAR:Radio Detection and Ranging

antenna target

•反射信号の検出•時間遅れの検出

•信号帯域幅を広げ、映像化を可能にしたもの

距離=時間差xC/2

得られるもの:反射強度と距離(位相)

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宇宙を飛ぶSARからなぜ地球表面を識別できるのか?

地面

距離(レーダーからわかる)

移動

観測点

ドップラー周波数

1:距離2:ドップラー周波数

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重複しながら低分解能画像の取得 高分解能画像への変換

圧縮処理

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分解能荒い

小さなレンズ

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分解能がよい

大きなレンズ

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宇宙を飛ぶレーダー(広帯域)がなぜ高分解能画像を得ることができるのか?

送信信号を広帯域化する。地面の距離を正確に記録し、相関処理で高分解能化を行う。

R

~βR:12km

~cτ/2:5km

orbit

SAR on orbit

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高分解能化処理とは:相関処理

1 2 0

1 3 0

1 4 0

1 5 0

1 6 0

1 7 0

2 0 2 5 3 0 3 5 4 0 4 5 5 0 5 5 6 0

Im p u ls e re s p o n se

1 . 0 1 . 0 1 1 . 0 2

10*

log1

0(I^

2+Q

^2)

P i x e l

g t '( )= f (t) fr*(t + t ')dt

−τ /2

τ /2

∫内容

信号とモデル信号の積和演算

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合成開口レーダーのまとめ

距離と反射強度を計測

高分解能化の為の帯域幅増加

広帯域幅化:レンジ方向の圧縮、ドップラー帯域幅:アジマス方向の圧縮

距離を計測する。

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距離の計測であるが、、、、

波長が短すぎる為に、往復距離を波長で割った余りを計測している。

レーダー 対象物

波長

余り分を”距離あるいは角度”として計測

位相差計測で半波長以内でも計測可能。

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高分解能画像化レンジ方向 :FM 変調アジマス方向:ドップラー変調

SAR 画像化

Cloud water vapor

IonosphereBw L

JERS-1 15M 12mPALSAR 28M 9mPALSAR 14M 9mPi-SAR 50M 1.6m

SAR画像は観測対象物の反射強度と時間遅れを含む関数。

Sra R, x( ) = A R, x( )sin c2πBw R − R0( )

C

sin c 2π

x − x0

L

exp −

4πR0

λj

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SAR画像の見え方、倒れ込み

CA

B

絵が右詰まり:fore shortening

A B C

S/C

レイオーバー/シャドウイング

フォアショートニング

DZÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈǞǽDžÇÕÅAÅgQuickTimeýÅhã@î\ägí£Ç²ÅA

ÅgÉtÉHÉg - JPEGÅhêLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄÇ™ïKóvÇ-Ç�ÅB

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2.干渉処理

(Differential SAR interferometry)DEM and Surface deformation

SAR画像が1)観測対象物の反射信号と2)衛星と観測物の距離の情報を持つことに着眼し、

二回の観測の差が距離の差、そして、地面の高さ、地殻変動を抽出することができるもの。

1976年に、アメリカ人が発案。

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DZÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈǞǽDžÇÕÅAÅgQuickTimeýÅhã@î\ägí£Ç²ÅA

ÅgÉtÉHÉg - JPEGÅhêLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄÇ™ïKóvÇ-Ç�ÅB

S

M二時期で位置が変化する場合

観測1 観測2

距離2 - 距離1-平行軌道間距離

=地殻変動量の衛星方向成分

地球表面

DZÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈǞǽDžÇÕÅAÅgQuickTimeýÅhã@î\ägí£Ç²ÅA

ÅgÉtÉHÉg - JPEGÅhêLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄÇ™ïKóvÇ-Ç�ÅB

距離2

距離1

平行軌道間距離

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DZÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈǞǽDžÇÕÅAÅgQuickTimeýÅhã@î\ägí£Ç²ÅA

ÅgÉtÉHÉg - JPEGÅhêLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄÇ™ïKóvÇ-Ç�ÅB

M

S

高さ “距離の差”は高さ、軌道間距離、入射角、レンジ距離に比例

二時期で位置が変化しない場合

地球表面

レンジ距離

軌道間距離

= +

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なぜcm程度の距離が計測できるか?

SARの距離分解能は4.5m程度である。従って、振幅画像を用いると、4.5m程度で距離の計測が可能である。しかし、これではcm程度の計測は出来ない。

干渉手法を用いることで、cm程度の距離の差の計測が可能である。

干渉とは:一つの画像の中に数千個の反射点があり、各々が衛星からの距離情報を保存しており、統計処理により、波長の数分の一の精度で距離の差を計測する技術。

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距離の変化分をレーダー視線方向だけ検出するので、地面の隆起か衛星への近づくのかわからない

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距離2−距離1:

場合1:距離2<距離1:地面が衛星に近づく。隆起?

場合2:距離2>距離1:地面が衛星から遠ざかる。沈降?

-波長/4 波長/4

衛星に近づく衛星から遠ざかる

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干渉SAR

二つのレーダで計測した画像の差分には、以下の情報が含まれる。

1)高さ (z)2)高さの変化(dz/dt)(地殻変動)3) 大気変化

ただし、計測は半波長以内である。

また、干渉しやすいことが条件である。

coordinate方法 繰り返し干渉SAR

単一軌道干渉SAR

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3/9

master slave 干渉度

9/9

干渉とは:二つの画像の類似性をいう。

悪い

良い

5m

干渉とは?

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干渉SAR処理流れ

主画像 従画像

テレメトリ解析: Doppler Model

Telemetry: Doppler Model

レンジ圧縮

アジマス圧縮

画像あわせ込み

平滑か軌道補正、地形補正

共通化

Curvature

レンジ圧縮

アジマス圧縮

Curvature

output

fD = a0 + a1 ⋅ r + a2 ⋅ r2Doppler model :

rg '= a + b ⋅ rg + c ⋅ az + d ⋅ rg ⋅ az

az '= e + f ⋅ rg + g ⋅ az + h ⋅ rg ⋅ az

γe jϕ =a ⋅b*

a ⋅ a* ⋅ b ⋅b*

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差分干渉処理 (1/3)

能登半島地震を例に挙げて、画像の作成手順を示す。まず、主画像(災害後)と従画像(災害前)を映像化する。振幅画像は、下にあるように、何ら差はない。

観測座標 主画像(4/10/2007) 従画像(2/23/2007)

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干渉度 生干渉図

干渉の具合(中間結果)干渉しているが縞の間隔が狭くてよくわからない

差分干渉処理 (2/3)

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差分干渉処理 (3/3)

(1)軌道縞補正 (3)最終結果(2)地形縞補正

干渉処理を行い、軌道間距離の補正、地形の補正を行い、地図投影して最終結果を得る。

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能登半島近辺の拡大図

生干渉図 地殻変動図

振幅図 等高線

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-5.9cm 5.9cm

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ソロモン地震

M8.1April 2 2007

3パスの変動量の重ね合わせRSP344:4/10-2/23RSP345:5/3-1/31RSP343:5/10-2/12

FBS343HH

軌道補正なしその他補正なし3パスのモザイク

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阪神淡路大震災(1995年1月17日)の地殻変動パターンに伴う技術改良JERS-1 SAR DinSARMaster:1995/2/6Slave:1992/9/9

Fault at Hokutan-cho

First Image of 1995

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2008年6月23日の画像と

2008/6/23-2006/6/19Bp=-500m

© JAXA, METI, analyzed by JAXA

2008/6/242007/6/19

で異なる方向から観測して水平、垂直変位を取得

岩手宮城地震

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Unwrapped phase 変化量を積分したもの(3次元図)

変動量の断面図/Cross section76.7cm=(11.8*6.5)

(Unwrapped data)

遠ざかる

近づく

-110 0 24

0 cm

+24cm

-110cm

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垂直変動/Vertical 水平変動/horizontal

Decomposition in up-down and east-west.断層の東側で50センチ程度西に移動、また、12センチ程度沈降

11.8cm

西に移動

-11.8

0

-47.8

沈降

0

-11.8

© JAXA, METI, analyzed by JAXA

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精度と誤差要因

精度:2cm程度

誤差1:水蒸気:Cを遅くする。>沈降と間違える

誤差2:電離層:Cを速くする。>隆起と間違える。

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干渉SARによるDEM作成

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他の周波数との比較

L’Aquila Earthquake on April 9 2009

高い周波数は:分解能は高異。しかし、植生があると観測できない。

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まとめ

SARによる映像化の原理干渉SARによる地殻変動抽出、DEM抽出について紹介した。

特に、植生を透過するL-band SARは地面の情報を多く取得することができ、地殻変動抽出に有効である。