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普段はディリ市内で中学生 を対象にセミナーを実施し ていますが、今回の地方出 張では小学校も訪問しまし たので、いろいろな工夫を しました。小学生の子ども たちは、こちらから一方的 に話しをするだけでは、セ ミナーの話をなかなか興味 を持って聞いてくれません し、彼らの集中力は長くは 続きません。そこで環境教 育課のメンバーたちと、ど のようにしたら小学生に興 味を持ってもらえるかを考 えて、クイズをセミナーに 取り入れて進めることにし ました。この方法はとても 盛り上がり大成功でした。 セミナー内容もできるだけ 簡潔かつコンパクトにしま した。森林の重要な役割と 配属先の環境局からのサポートもあり、今回は初めて首都ディリを離れて、マナ トゥト、リキサ、アイレウ県という地方の小学校と中学校に行き、環境教育セミ ナーを実施してきましたして、主な 6 つの機能(① 森林への降雨は土壌で滞留 し、その過程で水がきれい になるという水の保水と浄 化機能、②洪水や地すべり などの災害防止、③光合成 によって二酸化炭素を吸収 することでの地球温暖化へ の貢献、④動物や昆虫に住 処を与えることでの生態系 や生物多様性への貢献、⑤ 人々に癒しを与えたり教育 の場にもなるというレクリ エーション機能、⑥薪や木 材としての商業利用)を紹 介し、ポスターやパワーポ イントを使い、視覚に訴え るようにセミナーを進めま した。 うアクティビティが好評だ ったことから、リサイクル グッズを作るというアクテ ィビティを子どもたちと行 いました。今回は、空き缶 で灰皿を作ったり、ペット ボトルでペン立てを作りま した。どちらもはさみと色 テープしか使わない簡単な 材料からできるものです。 東ティモールの学校では日 本の図工のような授業はな いので、子どもたちはリサ イクルグッズを作るという 初めての工作体験に夢中で 取り組んでいました。 Activity 以前に中学校で実施した新 聞紙からゴミ箱を作るとい Challenge 地方で初めて環境教育セミ ナーを実施できたというこ とは、私たち環境教育課に とってはとても大きな一歩 だったと思います。また、 普段は地方の環境局の職員 は会う機会がありませんの で、彼らといろいろな話が できて非常に良かったと思 います。しかし、ヒアリン グをする中で、課題も見つ かりました。地方の環境局 の職員は、環境教育活動に 関することを学校では全く 実施していないということ がわかりました。理由は 様々にありましたが、共通 していたことは、どんな環 境問題をどのようにセミナ ーとしてすればいいのかわ A News Flash!! 2014 年に環境教育課が中心とな り、日本で行われた『第 22 回世 界子ども図画コンテスト』に東 ティモールの中学校 4 校から 132 名の学生が初めて参加しま した。応募総数 23,868 作品(83 カ国が参加)の中から東ティモ ールの 2 人の中学生の作品が佳 作に選ばれました。それを記念 して、東ティモール JICA 事務所 で子供たちのご家族、先生、環 境局局長などを招き授与式を行 いました。 セレモニーにはティモールポス トという国内最大手の新聞社も 駆けつけ、2015 5 11 日の新 聞に取り上げていただけまし た。 Seminar 今回は森林の果たしている 様々な機能についてのセミ ナーを行いました。東ティ モールでは森林破壊が非常 に深刻な問題です。料理用 のかまどで薪を使用してい ること、焼畑農業が行われ ていること、人口の増加や 発展に伴い、家を建てた り、道を作るなどのインフ ラ整備が進んでいることな どが原因として挙げられま す。森林は東ティモールの 人々の生活に不可欠な資源 です。東ティモールの人々 にとって森林は生活に直結 していますので、森林伐採 はよくないというアプロー チでは彼らには響きませ ん。そこで、森林には様々 な重要な機能があり、私た ち人間はその恩恵を受けて いるんだということを再認 識してもらい、木を大切に 使っていきましょうという のが、私たち環境教育課が 伝えているメッセージで す。 からないという職員の能 力・経験不足でした。環境 教育課にとって、今後はこ ういった地方職員のキャパ シティ・ビルディングが重 要な課題になってくると思 います。 青年海外協力隊 平成 25 年度 4 次隊 東ティモール 環境教育 藤原 祐輔 このアクティビティを通し て、子どもたちは普段ゴミ としか扱っていないもの が、視点を少し変えるだけ でリサイクル品として、新 たに役立つ物になるんだと いうことを学んでくれたと 思います。少しでも子ども たちのゴミに対する意識が 変ってほしいと思っていま す。 Nice and CleanGonelio Elizalio Salustiano Martins NatureIzaura Monteiro Fitun

Seminar ChallengeIzaura Monteiro Fitun Author StockLayouts Created Date 5/26/2015 12:28:28 PM

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Page 1: Seminar ChallengeIzaura Monteiro Fitun Author StockLayouts Created Date 5/26/2015 12:28:28 PM

普段はディリ市内で中学生

を対象にセミナーを実施し

ていますが、今回の地方出

張では小学校も訪問しまし

たので、いろいろな工夫を

しました。小学生の子ども

たちは、こちらから一方的

に話しをするだけでは、セ

ミナーの話をなかなか興味

を持って聞いてくれません

し、彼らの集中力は長くは

続きません。そこで環境教

育課のメンバーたちと、ど

のようにしたら小学生に興

味を持ってもらえるかを考

えて、クイズをセミナーに

取り入れて進めることにし

ました。この方法はとても

盛り上がり大成功でした。

セミナー内容もできるだけ

簡潔かつコンパクトにしま

した。森林の重要な役割と

配属先の環境局からのサポートもあり、今回は初めて首都ディリを離れて、マナ

トゥト、リキサ、アイレウ県という地方の小学校と中学校に行き、環境教育セミ

ナーを実施してきました。

して、主な 6 つの機能(①

森林への降雨は土壌で滞留

し、その過程で水がきれい

になるという水の保水と浄

化機能、②洪水や地すべり

などの災害防止、③光合成

によって二酸化炭素を吸収

することでの地球温暖化へ

の貢献、④動物や昆虫に住

処を与えることでの生態系

や生物多様性への貢献、⑤

人々に癒しを与えたり教育

の場にもなるというレクリ

エーション機能、⑥薪や木

材としての商業利用)を紹

介し、ポスターやパワーポ

イントを使い、視覚に訴え

るようにセミナーを進めま

した。

うアクティビティが好評だ

ったことから、リサイクル

グッズを作るというアクテ

ィビティを子どもたちと行

いました。今回は、空き缶

で灰皿を作ったり、ペット

ボトルでペン立てを作りま

した。どちらもはさみと色

テープしか使わない簡単な

材料からできるものです。

東ティモールの学校では日

本の図工のような授業はな

いので、子どもたちはリサ

イクルグッズを作るという

初めての工作体験に夢中で

取り組んでいました。

Activity 以前に中学校で実施した新

聞紙からゴミ箱を作るとい

Challenge 地方で初めて環境教育セミ

ナーを実施できたというこ

とは、私たち環境教育課に

とってはとても大きな一歩

だったと思います。また、

普段は地方の環境局の職員

は会う機会がありませんの

で、彼らといろいろな話が

できて非常に良かったと思

います。しかし、ヒアリン

グをする中で、課題も見つ

かりました。地方の環境局

の職員は、環境教育活動に

関することを学校では全く

実施していないということ

がわかりました。理由は

様々にありましたが、共通

していたことは、どんな環

境問題をどのようにセミナ

ーとしてすればいいのかわ

A News Flash!!

2014 年に環境教育課が中心とな

り、日本で行われた『第 22 回世

界子ども図画コンテスト』に東

ティモールの中学校 4 校から

132 名の学生が初めて参加しま

した。応募総数 23,868作品(83

カ国が参加)の中から東ティモ

ールの 2 人の中学生の作品が佳

作に選ばれました。それを記念

して、東ティモール JICA 事務所

で子供たちのご家族、先生、環

境局局長などを招き授与式を行

いました。

セレモニーにはティモールポス

トという国内最大手の新聞社も

駆けつけ、2015 年 5月 11 日の新

聞に取り上げていただけまし

た。

Seminar 今回は森林の果たしている

様々な機能についてのセミ

ナーを行いました。東ティ

モールでは森林破壊が非常

に深刻な問題です。料理用

のかまどで薪を使用してい

ること、焼畑農業が行われ

ていること、人口の増加や

発展に伴い、家を建てた

り、道を作るなどのインフ

ラ整備が進んでいることな

どが原因として挙げられま

す。森林は東ティモールの

人々の生活に不可欠な資源

です。東ティモールの人々

にとって森林は生活に直結

していますので、森林伐採

はよくないというアプロー

チでは彼らには響きませ

ん。そこで、森林には様々

な重要な機能があり、私た

ち人間はその恩恵を受けて

いるんだということを再認

識してもらい、木を大切に

使っていきましょうという

のが、私たち環境教育課が

伝えているメッセージで

す。

からないという職員の能

力・経験不足でした。環境

教育課にとって、今後はこ

ういった地方職員のキャパ

シティ・ビルディングが重

要な課題になってくると思

います。

青年海外協力隊 平成 25年度 4次隊 東ティモール 環境教育 藤原 祐輔

このアクティビティを通し

て、子どもたちは普段ゴミ

としか扱っていないもの

が、視点を少し変えるだけ

でリサイクル品として、新

たに役立つ物になるんだと

いうことを学んでくれたと

思います。少しでも子ども

たちのゴミに対する意識が

変ってほしいと思っていま

す。

『Nice and Clean』 Gonelio Elizalio Salustiano Martins

『Nature』 Izaura Monteiro Fitun