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SIP次世代農林水産業創造技術 「新たな育種体系の確立」の進捗状況 ~基礎研究から出口(実用化・事業化)まで を見据えた研究開発の推進~

SIP次世代農林水産業創造技術 「新たな育種体系の …...CRISPR/Cas9システム 遺伝子A 遺伝子B 遺伝子C ガイドRNA Cas9(はさみの役割) 遺伝子Bに変異が入る→新機能の獲得

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SIP次世代農林水産業創造技術 「新たな育種体系の確立」の進捗状況

~基礎研究から出口(実用化・事業化)まで を見据えた研究開発の推進~

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昭和初期頃~昭和50年頃 明治~

昭和初期頃 昭和50年代~ 今後の課題

・生産性(単収)向上 等

温 暖 化

グローバル化

世界人口の増加→食糧増産

育種を巡る現状と課題

・生産の不安定化 ・品質低下 ・新規病害虫 等

・海外市場の開拓 等

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主要農作物のゲノム情報の解読が進み、有用な農業形質に関与する遺伝子が次々と同定されている。これら遺伝子情報を活用することによって、画期的な農作物を短期間に選抜することが可能に。

イネで同定された遺伝子の例

Hd1, 出穂期 Plant Cell (2000)Hd6, 出穂期 PNAS (2001)Hd3a, 出穂期 PCP (2002)Ehd1, 出穂期 Genes Dev (2004)Ehd2, 出穂期 Plant Physiol (2008)

Xa1, 白葉枯病抵抗性 PNAS (1998) Pib, いもち病抵抗性 Plant J (1999)OsRac1, 病害抵抗性 PNAS (2006)WRKY45,いもち病・白葉枯病抵抗性Plant Cell (2007)RACK1A,病害抵抗性 Plant Cell (2008)pi21, いもち病抵抗性 Science (2009)

d1, 草丈 PNAS (1999)d11, 草丈 Plant Cell (2005)

Lsi1, Lsi2, ケイ酸吸収Nature (2006) (2007)

LOG, 茎数 Nature (2007)

gid1, ジベレリン反応 Nature (2005) gid2, ジベレリン反応 Science (2003)

Spl7, 高温ストレス耐性 PNAS (2002)

qUVR10, 紫外線耐性 Genetics (2005)

OsDREB1A-D, OsDREB2A,乾燥、塩害、低温耐性 Plant J (2003)

qSH1, 脱粒性 Science (2006)

Gn1, 種子数 Science (2005)

qSW5, 粒幅 Nat genet (2008)

PAIR1, 減数分裂 Plant Cell (2004) MEL1, 生殖細胞形成 Plant Cell (2007)MSP1, 生殖細胞分化 Plant Cell (2003)

OsGA2ox1, 草型Nature Biotech (2003)

OsBR6ox, ブラシノステロイド生合成Plant Physiol (2002)P450, ジベレリン生合成Plant Physiol (2004)

qLTG3-1, 低温発芽性 PNAS (2008)

POLLUX, CYCLOPS,菌根菌共生 Plant Cell (2008)

RMS, 細胞質雄性不稔 PNAS (2009)

SSI, SSIII, デンプン合成Plant Physiol (2006, 2007)

SNORKEL1, SNOKEL2, エチレン反応 Nature (2009)

Lsi6, ケイ酸吸収Plant Cell (2008) H25.7.19 石毛資料を一部改編

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ゲノム情報の解読の進展

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SIP「新たな育種体系の確立」が目指す出口目標

生産性の飛躍的な向上による国内農業の競争力強化

国民の健康長寿ニーズに対応した農産物の提供

水産資源の持続的な利用と安定供給

主な政策課題 研究開発の方向

○コメの生産コスト削減*

主食用 → ▲4割 飼料用 → ▲5割

ICT・ロボット技術の開発・実用化とあわせ、コメの単収ポテンシャルを2~3倍程度(1.5トン/10a目標)にアップ

○海外市場の開拓*

2020年 → 輸出額1兆円 2030年 → 〃 5兆円

果樹、花き等の育種期間を半減し、「強み」のある新品種を次々と作出し、海外への輸出を支援

○健康長寿社会の実現 ・2025年には65歳以上が3割超 ・生活習慣病や認知症の予防

農林水産物に含まれる機能性成分の特性解明等(食品機能性G)とあわせ、機能性成分等に富んだ農産物の開発・提供

○水産資源の持続的な確保 ・マグロ、ウナギ等の漁獲規律が 強化

完全養殖用マグロ品種の開発など、養殖管理に適した魚種や種苗管理技術の確立

「新たな育種体系の確立」が目指す出口戦略・目標

*印の目標は、平成27年6月に閣議決定された「日本再興戦略」改訂2015におけるKPI数値。

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ゲノム編集技術とは

CRISPR/Cas9システム

遺伝子A 遺伝子B 遺伝子C

ガイドRNA

Cas9(はさみの役割)

遺伝子Bに変異が入る→新機能の獲得

外来遺伝子

菌に運ばせたり、金粒子にまぶして細胞に打ち込むことで、新機能を持った外来遺伝子を導入する。

外来遺伝子を導入→新機能の獲得

従来の遺伝子組換え

ガ イドRNAとCas9を合わせた人工制限酵素をCRISPR/Cas9という。ガイドRNAがDNAの特定の場所を指示し、Cas9がはさみの役割を果たして切断する。切断箇所の修復中に変異がおこって、新機能を獲得する。

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出展:サイエンス(2006) 農林水産先端技術研究所 小西左江子氏ほか

イネ第1染色体612番目の塩基に変異

イネの脱粒性に関する突然変異 無受粉でも肥大するナスの突然変異

引用:農研機構、タキイ種苗株式会社 平成27年10月21日プレスリリース

pad-1遺伝子の4558塩基が欠失している

通常型(千両2号) 突然変異型

栽培種 (日本晴)

野生種 (カサラス)

変異発生は自然界や通常の育種過程においても生じている ゲノム編集技術は、作物種が有する特定の遺伝子上に狙った変異を 正確に誘導できる信頼性の高い技術である

変異の発生による新形質獲得の可能性

Pad-1遺伝子

突然変異型

通常型 日本晴 ATTGCA カサラス ATTTCA

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「新たな育種体系の確立」の推進体制

コーディネート

知財戦略

ターゲット遺伝子のリソース化

2系代表:阿部知子(理化学研究所)

ゲノム機能改変技術開発

1系代表:廣瀬咲子(農研機構)

開発技術を用いた育種素材・品種開発

3系代表:江面 浩(筑波大学)

新たな育種技術の社会実装

4系代表:大澤 良 (筑波大学)

ものづくり 社会実装

ゲノム編集用技術の提供

目的形質を示す変異点情報の提供

ゲノム編集作物の提供

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世界標準を目指した改良型CRISPER/Cas9の開発(1系)

○ 現在、米国において熾烈な知財獲得競争が繰り広げられているゲノム編集技術「CRISPR/Cas9」については、ゲノム編集の際の効率性や汎用性の面で技術的な課題が残されている状況。

○ 東京大学では、世界最高性能の放射光を生み出すことができる大型放射光施設「SPring-8」を利用して、CRISPR/Cas9の立体構造を解析。基本特許を有する米国MITと連携して構造解析面から技術的改良を実施中。

27年度までの成果

○ Cas9タンパク質をさらに小型化・高性能化することにより、現行のCRISPR/Cas9を上回るDNA切断効率の高

い改良型CRISPR/Cas9を開発し、MIT等とのクロスライセンスにより世界的な標準技術を目指す。

28年度以降の課題

世界標準技術として知財化 国内の学会・産業界への優先許諾

【CRISPR/Cas9の立体構造を解析】 【切断効率向上に向けた新構造発見】

Super Photon ring-8GeV 理研(兵庫県)

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果樹等の世代促進法の開発(1系)

○ 「桃栗3年、柿8年」の諺のとおり、果樹類は種子が発芽してから初めて開花・結実するまでの期間が長いため、品種育成に数10年の歳月を要する状況。

○ リンゴから分離した無害なウイルス(ALSV)に、植物の開花を促進する遺伝子を組み合わせることにより、リンゴの開花を種子発芽後1〜3ヵ月に、種子ができるまでを1年以内に短縮する技術の開発に成功。

ALSVベクター

(AtFT/MdTFL1)

開花を早める遺伝子(AtFT)

開花を遅らす遺伝子(MdTFL-1)

感染

50日

11ヵ月 全てウイルスフリー

次世代実生

Yamagishi et al. (2013) 68日 50日

採種

播種

リンゴ以外にセイヨウナシ、ブドウ、オウトウなどで早期開花に成功。リンドウなど花卉類でも利用可能

セイヨウナシ ブドウ オウトウ

リンドウ

ALSV+ ALSVー

72日 50日

90日

5ヵ月 5ヵ月

27年度までの成果

○ 一部課題(ブドウ、カンキツ類、リンドウ)を3系に移行させ、実際に有用品種を作出 ○ ALSV+人工制限酵素の組み合わせによる、世界初の新たなゲノム編集技術の開発を検討

28年度以降の課題

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簡便かつ汎用性の高い国産ゲノム編集技術の開発(1系)

○ 現行ゲノム編集技術を植物に応用する場合、CRISPER/Cas9等を発現する遺伝子を植物体のDNA上に一旦組み込み、発現させる必要があり、その後、当該外来遺伝子を除去することが必要。

○ このような複雑な操作をしなくとも簡便かつ汎用性の高い国産ゲノム編集技術を開発中。

27年度までの成果

A G T

A T C A

G C

G T C

G T C

A G C

ウイルスベクターに改良型CRISPR/Cas9を搭載

ゲノム編集が成功し、葉でLUCが発光

切断

U C L

U C L

編集

○ 1系の他の研究課題の成果も活用しつつ、さらなる技術の改良

○ 3系と連携し、戻し交雑による外来遺伝子の除去等が困難なジャガイモ、果樹等の様々な作物種への汎用

性を確認

28年度以降の課題

世界標準技術として知財化 国内の学会・産業界への優先許諾

細胞膜透過ペプチド(CPP)をキャリアとしてTALENsを直接導入

CPP

TALENsが蛍光色素遺伝子を破壊したのを

確認

対象区

編集区

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若狭湾エネルギー研究センター

照射核種や速度を自在に制御することによって、 DNAの欠失変異のサイズを任意に改変

日本原子力研究開発機構 高崎量子応用研究所

理化学研究所 仁科加速器研究センター

20Ar17+

14N7+

表現型が目視可能

表現型の目視不可

DNA解析

オミックス解析

有用遺伝子を獲得

DB

ガンマー線照射施設(農研機構)1960年より突然変異情報を蓄積

3系及び民間企業等に広く公開

2018年度 試行公開予定

12C6+

画期的な新品種を創出するための有用遺伝子のリソース化(2系)

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変異体の獲得

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○ ジャガイモのステロイドグリコアルカロイド(SGA)生合成系

・ ソラニン、チャコニン等のSGAは、ジャガ

イモの新芽等に含まれる天然毒素

・ SGA生合成遺伝子(SSR2)をゲノム編集

技術で破壊することに世界で初めて成功

グリコアルカロイド量

(m

g p

er

g D

W)

0.0

2.0

4.0

6.0

8.0

10.0

12.0

14.0

16.0

NT #1 #5 #19 NT #1 #5 #19

a-ソラニン a-チャコニン

標的遺伝子が破壊されたバレイショ(#19)は、ソラニン、チャコニン(SGA)産生量が激減

NT #19

(Sawai, Ohyama et al. (2014) Plant Cell 26, 3763) 対 象

(左図NT) ゲノム編集個体 (同#19)

○ 1系で開発された国産ゲノム編集技術などの利用によるnon-GMO

系統取得に向けたジャガイモ育種素材の開発

○ SGA代謝系をさらに制御すること

によって、認知症発症遅延効果等が期待される成分(機能性植物ステロイド)の強化

28年度以降の課題

TALEN

芽を削ぐことなく食べることができ、機能性成分に富んだ世界初のジャガイモ

新規需要の創出 海外輸出

健康長寿ニーズに対応した新形質ジャガイモの作出(2系)

11

ニン

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○ 海外市場の開拓をめざし、輸送性(日持ち性)に優れ、省力栽培(無受粉)が可能な世界最高品質(高糖度・機能性)のトマトを育成

海外市場を目指した画期的なトマト品種の作出(3系)

【突然変異体から有用遺伝子を特定】

27年度までの成果

【ゲノム編集個体の作出】

○ 機能性成分(カロテノイド、GABA)に関する形質のさらなる改変

○ 1系で開発された国産ゲノム編集技術を使用することにより、トマトのゲノム上に導入遺伝子が残存していないNon-GMO系統を取得

28年度以降の課題

国内における需要創出、海外輸出

通常品種 ゲノム編集個体 (日持ち性) ゲノム編集個体(単為結実性)

A G T

A T C A

G C

G T C

G T C

A G C

国産技術の試行的利用 (神戸大:デアミナーゼ)

上:通常 下:突然変異体 (日持ち性関与遺伝子)

60日間常温

保存したトマトの状態

通常品種 突然変異体 (単為結実遺伝子)

無受粉でも結実

通常のトマトの2倍の糖度

高糖度系統 (糖度10%)

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生産性を大幅に高める超多収米の作出(3系)

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○ 遠種のインド型イネ(インディカ種)から、日本型イネ(ジャポニカ種)に有用遺伝子を効率的に取り込むことによって、コメの単収ポテンシャルを2~3倍(現行0.5トン →目標 1.5トン/10a)にアップを目指す。

27年度までの成果

○ 有望多収系統の改良とそれをベースにしたゲノム編集等を進め、超多収系統を取得

○ 超多収系統が最大限パフォーマンスを発揮する栽培方法の開発により、1.5t/10a の収量を目指す。

28年度以降の課題

生産性の飛躍的向上、飼料自給や輸出拡大

【ゲノム編集個体の取得(籾数制御)】 【有望多収系統を獲得】

籾数に関与する遺伝子

粒の大きさに関与する遺伝子

糖の転流に関与する遺伝子

通常品種 (ジャポニカ種)

インディカ種の血を取り入れた有望系統 (1.0トン/10a)

~平成30年度

追加改良

ゲノム

編集

隔離温室で栽培中のゲノム編集個体(籾数制御)

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水産資源の安定確保のための完全養殖用マグロの作出(3系)

不意の光

共食い (攻撃行動)

衝突死

= 甚大な経済損失

○ 世界的にマグロの漁獲規制が高まる中で完全養殖技術の確立と普及が急務 ○ マグロは非常に神経質な動物のため、天然の稚魚を飼育した場合には、養殖中に網に衝突する等して3割以上が死亡してしまい養殖効率が大きな課題

高速で狂奔 品種改良

攻撃性

光感受性

狂奔遊泳

マグロの性格

27年度までの成果

【クロマグロのゲノム編集に世界で初めて成功】 【マグロの性格に関与する候補遺伝子の特定】

野生型クロマグロ ゲノム編集クロマグロ (色素遺伝子を破壊)

○ 性格に関与する遺伝子のゲノム編集の実施及び有望個体の取得、形質の評価 ○ 人工飼育方法の確立 ○ 養殖効率の評価、食品安全や環境影響評価データの収集 等

28年度以降の課題

水産資源の安定的な確保、輸出拡大 14

視覚制御に関与する遺伝子

性格制御に関与する遺伝子

行動制御に関与する遺伝子

が27年度までに特定された遺伝子

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社会実装に向けた課題と対応方向(4系)

課 題 対 応 方 向

GM規制上の取扱いの明確化 (自然科学系グループ)

規制の適用判断に資する科学情報の収集 (レギュラトリー・サイエンス) → 導入遺伝子が残存していないことの立証方法の確立

→ 自然突然変異に関するエビデンスの収集

→ 安全性等に関する情報の充実 等

消費者の受容性の向上 (社会科学系グループ)

リスク認知 → 上記レギュラトリー・データ等に基づくリスク・コミュニケーション の展開

ベネフィット認知 → 民間事業者と連携し、生活向上に直結する食品等の提案

信頼感の醸成 → 情報開示、研究開発段階からの積極的なコミュニケー ションの実施 研究者によるアウトリーチ活動の強化 等

社会実装に向けた課題と対応方向

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食の安全安心に対する関心が高い 40代以上・女性が多い

レイトフォロワー

社会・技術への関心 は中程度 30代が多い

フォロワー

社会・技術の関心強い 品種改良技術に詳しい 20代・男性が多い

リーダー

「温暖化による産地移動の可能性」など

解決すべき社会的な課題の提示が重要

先端技術に対する一般消費者の受容態様(4系)

調査時期:2015年2月 調査方法:インターネット調査 有効サンプル数3100件 調査内容:先進技術(早期開花技術;8頁)を

利用したリンゴに対する消費者の支払い意思額等

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受容環境を整備するための今後の取組(4系)

26年度 30年度

マスコミ、

消費者団体等のオピニオンリーダー 等

○ 科学的なエビデンスに基づき リスク情報を分かりやすく発信 ○ 社会・経済的な意義等も含め、 コミュニケーションを強化

一般消費者

○ ベネフィットが身近に感じ取れ る条件づくり

生産者、 食品事業者

大学等のサイエンス・カフェ

消費者団体との学習会

研究成果の巡回展示 子供向け実験教室

ベネフィットが実感できる商品づくり、マーケティング戦略

受容環境を整備するための今後の取組(4系)

17

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産業界との連携・橋渡しの仕組みの創設

農林水産省 文部科学省 経済産業省

2系

有用遺伝子の 探索・DB

1系

国産技術開発

水産 部会 (県、民間etc)

果樹等 栄養繁殖 作物

部会(国、県、協会)

野菜・花き 部会

(種苗会社 etc)

イネ等 主要 農作物 部会

(JA etc)

NBT実用化戦略会議 4系 NBT社会実装

3系 作物別NBT開発

任務 ①国内外の技術・知財情報の収集・提供 ②国内外の規制関連情報の収集・提供 ③社会受容のための広報等のプラットホームの役割

情報収集

リクエスト

有用遺伝子情報

情報共有

内閣府(西尾PD)

指導

技術調査 部会

情報共有

情報共有

情報共有

機能性食品、植物工場等の他のコンソーシアム

連携

注:関係者間で研究情報等の守秘義務を徹底する形で情報を共有

支援

成果のうち事業化が可能なものから順次、民間企業・地方自治体等に技術移転 18

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各課題の問合せ先

スライド 番号

タイトル 研究者 連絡先

7 世界標準を目指した改良型CRISPR/Cas9の開発(1系)

東京大学 濡木 理

03-5841-4392 [email protected]

8 果樹等の世代促進法の開発(1系) 岩手大学 吉川 信幸

019-621-6150 [email protected]

9 簡便かつ汎用性の高い国産ゲノム編集技術の開発(1系)

農研機構生物機能利用研究部門

廣瀬 咲子 029-838-8450 [email protected]

10 画期的な新品種を創出するための有用遺伝子のリソース化(2系)

理化学研究所 阿部 知子

048-467-9451(代表) [email protected]

11 健康長寿ニーズに対応した新形質ジャガイモの作出(2系)

大阪大学 村中 俊哉

06-6879-7423 [email protected]

12 海外市場を目指した画期的なトマト品種の作出(3系)

筑波大学 江面 浩

0298-53-4710 [email protected]

13 生産性を大幅に高める超多収米の作出(3系)

農研機構生物機能利用研究部門

小松 晃 029-838-8949 [email protected]

14 水産資源の安定確保のための完全養殖用マグロの作出(3系)

水産研究・教育機構 玄 浩一郎

095-860-1631 [email protected]

16 先端技術に対する一般消費者の受容態様(4系)

北海道大学 齋藤 陽子

011-706-4934 [email protected]

17 受容環境を整備するための今後の取組(4系)

筑波大学 大澤 良

029-853-6674 [email protected]

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