SMILE-2+軟ガンマ線望遠鏡による2018年豪州気球実験の初期解析

吉川慶 (京都大学)谷森達, 高田淳史, 水村好貴, 竹村泰斗, 中村優太,

小野坂健, 斎藤要, 阿部光, 水本哲矢, 窪秀利,

古村翔太郎, 岸本哲朗, 中増勇真, 谷口幹幸,

黒澤俊介A, 身内賢太朗B, 澤野達哉C, 小財正義D

京都大学 A東北大学 B神戸大学 C金沢大学 DISAS/JAXA

写真 : 気球放球直前 2018/4/7 @ アリススプリングス, オーストラリア

ハウスキーピングデータ

天文学会秋季年会 2018/9/21 兵庫県立大学 2

• 装置の監視・運用に成功。• 残留大気量は予定通り要求を満たした。

搭載したセンサ類：GPS、外気圧計、容器内気圧計、ガス検出器圧力計、傾斜計、磁場センサ、温度計

検出レートの時間変化

天文学会秋季年会 2018/9/21 兵庫県立大学 3

気球実験中、検出器は計画通りの検出レートで、安定に動作した。

ETCC 検出 = ガス飛跡検出器とシンチレーション検出器の同時検出

実験前のETCC予測検出レート = 500 Hz

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検出器底面

検出器上面

30 cm

pair creation-like

cosmic ray-like shower event

electron-like

30 cm

荷電粒子の飛跡

ETCCデータの解析方法

天文学会秋季年会 2018/9/21 兵庫県立大学 5

事象の選別条件

1. single scintillator hitの事象

2. 有効体積内に散乱点がある事象

3. fully contained e- の 事象

4. α角によるCompton散乱事象の選択

• シンプルなセレクションのみ

• ガンマ線vetoが必要ない

検出できるガンマ線事象は2通り

今回は single hit event のみ

割合(カットなし) 3 : 2

水平飛翔時の解析

天文学会秋季年会 2018/9/21 兵庫県立大学 6

1. single scintillator hitの事象

2. 有効体積内に散乱点がある事象

3. fully contained e- の 事象

4. α角によるCompton散乱事象の選択

5. zenith angle 0 – 60°

2桁のノイズ除去ができた。

第１回気球実験 SMILE-Iとコンシステント

Takada et al., ApJ (2011)

4/7 8:45 - 4/8 4:05

livetime 5.8 x 10⁴ sec

Raw 1.7 x 10⁷ events

22.4%

10.3%

2.3%

1.2%

0.5%

エネルギースペクトル

preliminary

ガンマ線強度の残留大気圧依存性

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ガンマ線候補事象のレート

0

4

8

12

事象

数/

livetim

e[c

ounts

/sec]

Local time

15:004/83:00

4/73:00

検出レートの高度依存性はモデルと無矛盾

growth curve

3 10 100atmospheric depth [g/cm²]

[counts

/sec/s

r]

5

1

0.5

Lingモデルをスケールenergy = 300 keVzenith angle = 0°Ling, JGR (1975)

SMILE-2+実測zenith angle = 0 - 20°

高度が大きく変化したデータを利用(上昇中3時間分)

preliminary

preliminary

0.5

SMILE-Iとの比較

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SMILE-Iとの比較• 有効面積 100倍• 事象数 500倍 (水平飛翔)• 低大気圧 ~3 g/cm²

宇宙拡散ガンマ線フラックス

3 10 100atmospheric depth [g/cm²]

今後の解析で、宇宙拡散ガンマ線を精度よく決める。

TotalCosmicAtmospherice+ e- annihilationBackground

1

SMILE-2+5

[counts

/sec/s

r]

flux [

photo

ns/s

ec/s

r/cm

²/keV

]

10-3 SMILE-I

takada et al., ApJ (2011)

3 10 100atmospheric depth [g/cm²]

10-5

10-2

flux [

photo

ns/s

ec/s

r/cm

²/keV

]

preliminary

[MeV]1010.1

takada et al., ApJ (2011)

10-4

10-6

10-8

SMILE-ICOMPTEL 9年

まとめ

天文学会秋季年会 2018/9/21 兵庫県立大学 9

• SMILE-2+の目的は天体観測によるイメージングの実証

• 2018年4月にオーストラリアで気球実験を実施し、

高度~40 kmで26時間の水平飛翔に成功した。

• 銀河中心領域を>8時間、かに星雲を6時間の観測ができた。

• 飛翔中、装置は安定に稼働した。

• これまでに得られた結果は過去の文献と無矛盾。

• 今後、Double hit事象の解析法の確立や、シミュレーショ

ンによる検出器レスポンスの構築を行い、天体解析へと進

めていく。

Zenith Angle Dependence of Energy Spectra

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zenith angle0 - 60°

60 - 180°

ガス飛跡検出器のノイズ

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strip number

counts

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検出器の利得変化

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ガス飛跡検出器 シンチレーション検出器

宇宙線候補事象の

エネルギー損失率から補正

偶然同時事象を用いて

電子・陽電子消滅線で補正

09:00 21:00 09:00 09:00 21:00 09:00

local time

1.0

0.8

0.6

0.4

0.2

0

A.

U.

1.0

0.8

0.6

0.4

0.2

0A.

U.

HV変更

時間による利得変化を補正できた。

©google

• かに星雲 ~6時間• 銀河中心領域 >8時間

JAXA

~150 m

望遠鏡装置

天体の観測、装置の回収に成功

4/7 6:24 放球

4/9 装置の回収

約1000 kmの飛翔経路

フライトの概要

100 km

放球地点

至 エアーズロック回収地点

水平飛翔 26時間

JAXA気球グループの運用

SMILE-2+ ゴンドラ

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衝撃吸収材 バラスト箱

GPS アンテナ磁気姿勢計

MLI

重量 511 kg消費電力 214 W姿勢制御なし姿勢センサー ~1°

~2 m

検出器 (ETCC)

電池 ＆ CPUs

~1 m

気球実験 SMILE-2+

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目的 : 明るい天体の観測によるイメージングの実証

観測天体 : 銀河中心領域からの電子・陽電子対消滅線

かに星雲

検出有意度>5σのための要求 :

• 高度 : ~39 km (残留大気量 ~3.5 g/cm²)

• Half Power Radius : ~10°

• エネルギー範囲 : 0.3 – 1.5 MeV

• 有効面積 : 数 cm²

• 銀河中心領域 >6時間

• かに星雲 ~6時間

オーストラリア