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図 6. 集団サンプル間 FST 値の分布
(A)全 SNP サイト(57,828 サイト)(B)non-HWE サイト除外後(54,271 サイト)
0.25
SNP site (57,828 sites)
0.15
0.05
AM
OV
A F
ST
Lower-FST-site Higher-FST-site
Significant:2,174/57,828 sites (3.7%)
1,919/28,605 RAD tags (6.7%)
(A)
0.25
0.15
0.05
SNP site (54,271 sites)Lower-FST-site Higher-FST-site
(B)
AM
OV
A F
ST
Significant:1,984/54,271 sites (3.7%)
1,780/27,907 RAD tags (6.4%)
SNP 解析では、パラログ
の存在により注1、偽 SNPsが真の SNPs と判断される
リスクがある(Marth et al. 1999)。また制限酵素認識配
列上の変異により生じるア
リルドロップアウト(ナル
アリル)の存在は注2、集団
間の遺伝的異質性評価のバ
イアスになる(Gautier et al . 2013)。このような現象が本
課題で見つかった SNP サイ
トにも生じている可能性は
否定できないが、それらを
直接観察して該当 SNP サイ
トを解析から除外すること
は困難である。そこで各
SNP サイトで観察されたア
リル頻度とジェノタイプ頻
度のハーディ・ワインバー
グ平衡(HWE)を検定し、
HWE からの有意な逸脱
(non-HWE)が認められた
SNP サイトを解析から除外
することにより対応した。
ただし集団内にサブ構造が
ある場合や、SNPs の中立性が成立しない場合などにも non-HWE が見られる可能性がある
ことに留意する必要がある。HWE 検定には Exact test(Guo and Thompson 1992)を用いた
(ソフトウェア Genepop v4.3, Rousset 2008)。またより保守的に、多重比較のための有意水
準調整は行わなかった(実質水準 P<0.05)。HWE 検定後、2 集団サンプルでともに non-HWEであった SNP サイトを除外し、再度集団サンプル間 FST を計算した。57,828 の SNP サイト
のうち、3,557 サイトで両集団サンプルにおいて non-HWE が認められた。これらのサイト
除外後の 54,271 サイト(27,907 の RAD タグ上)を使って FST を求めたところ、平均値はサ
イト除外前と同様 0.002 であった。また 54,271 の SNP サイトのうち、1,984 サイト(約 3.7%)
で有意な遺伝的異質性が認められた(1,780RAD タグ、約 6.4%)。図 6B に示すように、
non-HWE SNP サイト除外前と同様に高い FST 値を示すサイトが認められた。これらのこと
から、高知と島根間において、ゲノムの一部で高い遺伝的異質性が認められたという結果
の信頼性は高いと考えられる。 このように、ゲノム全体で見ると地域間の遺伝的差異が小さいにも関わらず、ゲノムの
一部で高い遺伝的異質性が認められる場合、ヨーロッパウナギやアメリカウナギで示唆さ
れているように、地域環境に応じた単一世代内のセレクションが起こっている可能性があ
る(Gagnaire et al. 2012; Pujolar et al. 2014)。今後他集団の解析を進めるとともに、課題(1)
−1で得られるゲノム情報と併せて解析を行うなど、さらに詳細な検討が必要である。
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