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2019 年度以降入学者(学士課程・大学院課程)の 授業料を改定 若手研究者が自由な発想で新たな課題に挑戦する 「基礎研究機構」が発足 リーダーシップ教育院 登録学生を迎え、本格始動 文部科学省 平成 30 年度卓越大学院プログラムに採択 現物資産活用基金の創設 細野秀雄教授が米国材料学会(MRS)の フォン ヒッペル賞を受賞 吉田尚弘教授が米国地球物理学連合フェローに選出 西森秀稔教授 C&C 賞の受賞決定 菅野了次教授が山﨑貞一賞を受賞 小山二三夫教授が第 27 回大川賞を受賞 平成 30 年度「末松賞『ディジタル技術の基礎と 展開』支援」採択者決定 平成 30 年度「東工大挑戦的研究賞」授賞式を実施 -独創性豊かな若手研究者に- 濱田貴大さんが「遊戯王ワールドチャンピオンシップ 2018」デュエルリンクスの部で世界王者に 石田大輝さんが「ポケモンワールドチャンピオン シップス 2018」ポッ拳部門で世界 4 位に 長沼大樹さんのチームがダイソンアワード 2018 で 国内最優秀賞を受賞 原昇平さんがデュアスロン世界大会で 13 位と健闘 東工大ボート部 長沙国際大学レガッタに出場 東工大合氣道部が全国大会で個人の部「金賞」、 団体の部「銅賞」を受賞 東工大剣道部が全国国立工業大学柔剣道大会 剣道の部団体戦で優勝 社会とともに「ちがう未来」を描く「未来社会 DESIGN 機構」が発足 キックオフイベントを開催 科学教室「植物の葉について学ぼう ―葉脈のしおり を作ろう―」ほか 開催報告 中国・韓国の放射線・アイソトープ研究者・技術者の 先導原子力研究所施設見学報告 November 2018 No. 1 3 5 7 8 9 10 11 11 12 13 15 17 18 19 21 22 24 25 27 32 34

Times Higher Education Global University …...November 2018 No.526 2 このほか、グローバル化した社会での活躍を目指し、講義の英語化の推進等、外国語による教育の充実

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2019年度以降入学者(学士課程・大学院課程)の 授業料を改定 若手研究者が自由な発想で新たな課題に挑戦する 「基礎研究機構」が発足 リーダーシップ教育院 登録学生を迎え、本格始動 文部科学省 平成30年度卓越大学院プログラムに採択 現物資産活用基金の創設 細野秀雄教授が米国材料学会(MRS)の フォン ヒッペル賞を受賞 吉田尚弘教授が米国地球物理学連合フェローに選出 西森秀稔教授 C&C 賞の受賞決定 菅野了次教授が山﨑貞一賞を受賞 小山二三夫教授が第27回大川賞を受賞 平成30年度「末松賞『ディジタル技術の基礎と 展開』支援」採択者決定 平成30年度「東工大挑戦的研究賞」授賞式を実施 -独創性豊かな若手研究者に- 濱田貴大さんが「遊戯王ワールドチャンピオンシップ2018」デュエルリンクスの部で世界王者に 石田大輝さんが「ポケモンワールドチャンピオン シップス2018」ポッ拳部門で世界4位に 長沼大樹さんのチームがダイソンアワード2018で 国内 優秀賞を受賞 原昇平さんがデュアスロン世界大会で13位と健闘 東工大ボート部 長沙国際大学レガッタに出場 東工大合氣道部が全国大会で個人の部「金賞」、 団体の部「銅賞」を受賞 東工大剣道部が全国国立工業大学柔剣道大会 剣道の部団体戦で優勝 社会とともに「ちがう未来」を描く「未来社会DESIGN 機構」が発足 キックオフイベントを開催 科学教室「植物の葉について学ぼう ―葉脈のしおりを作ろう―」ほか 開催報告 中国・韓国の放射線・アイソトープ研究者・技術者の先導原子力研究所施設見学報告

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東京工業大学は、2019 年 4 月以降の学士課程入学者、および 2019 年 9 月以降の大学院課程(修士課程・

専門職学位課程・博士後期課程)入学者の授業料について、学士課程、大学院課程とも、現行の授業料

535,800 円(年額)を、635,400 円(年額)に改定することといたしました※。

授業料改定に伴い、本学では、国際化の推進、教育環境等の整備、学生の国際交流活動の充実といった

教育内容・環境の向上を図ると同時に、自主財源を増強する努力を続け、志のある学生が経済的状況によ

り本学で学ぶ機会を逸することがないよう、新たな給付型奨学金を創設するなど学生の経済的支援の充実

に努めてまいりますので、ご理解を賜りますようお願いいたします。

※2018 年度以前に入学した学士課程学生、2019 年 4 月までに入学した大学院課程学生については、当該課程に在籍して

いる間は、2019 年度以降も現行の授業料 535,800 円(年額)のままです。

ただし、現在在籍している課程を卒業又は修了等し、新たに課程に入学又は進学した場合には、入学・進学時の授業料年

額が適用されます。

学長メッセージ

2019 年度以降に入学を希望される皆様及び保護者の皆様

(授業料改定及び学生支援・教育環境の充実に関するご理解のお願い)

東京工業大学は、創立 150 周年を迎える 2030 年に、世界トップ 10 のリサーチユニバーシティとなるこ

とを目指し、教育改革、研究改革を推進しています。

本学の高度な研究水準と卒業生の卓越した素養はこれまでも高く評価されてきましたが、それをさらに

高めるため、本学は 2016 年度から教育体系を抜本的に改編いたしました。この教育改革においては、学

生の高い志を育み、日本と世界を牽引する真のリーダーとなる修了生を輩出することを目指しています。

先端の研究を通した高度な専門的知識・能力の養成に加えて、常に学び続ける姿勢の涵養に努めます。

また、一人ひとりの潜在的な可能性を掘り起こし、自らを活かし他者を活かすことのできる卓越した人材

を育成することを目指します。このため、学士課程から博士後期課程までのカリキュラムを一新し、極め

て先進的な教育の場を実現させました。

2016 年度以降の新しいカリキュラムでは、学士課程卒業者の 90%以上が大学院へ進学する本学の特色に

合わせて、日本で初めて学部と大学院を統一した 6つの学院が、それぞれの専門分野について、継ぎ目の

ない教育を推進しています。その一方で、新入生のための統一授業「科学・技術の 前線」では、一年目

の学生全員が専門の枠を超え、国内外から招聘された一流の研究者・技術者のレクチャーを受けることで、

自然科学の多様多彩な分野への知識と関心を広げ、社会における科学の位置付けや自分の専門との関わり

について考えを深める機会を提供します。

それらに加えて、学士課程から大学院課程にいたるまで全学の教養教育を担当する組織として「リベラ

ルアーツ研究教育院」を新設しました。社会で活躍し、未来を創造していくためには、専門性を高めるだ

けではなく、幅広い視野、柔軟な発想や自身で課題を見つけ考え抜く力が必要であるという信念から、本

学は伝統的に教養教育を重視してきました。その伝統を踏まえ、今回の教育改革では、著名な人文社会系

学者や文化人を含む教員たちが各自の専門を教えることに加え、総力で全学のアクティブラーニング教育

を推進しています。学士課程から博士後期課程まで、学生同士が活発に意見を交換し、ワクワクする環境

の中で「志」を掘り起こす斬新な新時代型教養教育は、東工大生の積極性と発信力を飛躍的に高め、既に

内外から大きな注目を集めるものとなっています。

2019年度以降入学者(学士課程・大学院課程)の授業料

を改定

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このほか、グローバル化した社会での活躍を目指し、講義の英語化の推進等、外国語による教育の充実

を図るため、外国人教員・研究者の拡充にも努めています。また、学生が入学の早い段階から研究の楽し

さ、奥深さに目覚めることを目的に学士から博士まで一貫した東工大独自の教育を推進します。こうした

教育体系は、大学における工学系教育のあり方のひとつのひな形として注目されています。

このような改革の成果が評価され、2018 年度に本学は、文部科学省から「世界 高水準の教育研究活動

の展開が相当程度見込まれる国立大学法人」である指定国立大学法人 5大学の一つとして指定され、世界

の大学と伍していく中核的教育研究拠点として大きな期待を集めています。

こうした社会の期待と注目を背景に、卒業生が世界の産業界・学術界等でより一層活躍できるよう、2019

年度から教育の環境と内容をさらに充実させることにいたしました。具体的には、高度な研究を通した教

育を実施するための 先端設備・施設の整備と、学生が何をどのように学び、将来のキャリアにどうつな

げていくのかを考える能力を育む初年次教育とリベラルアーツ教育のさらなる充実、本学卒業生の寄附に

よる学生交流施設の完成を機に学生間のアクティビティを促進する支援サービスの強化に加えて、

●早期に 先端の研究環境に触れ、研究のおもしろさを体得しながら社会をリードする能力を養う「早期

研究志向学士・修士・博士一貫型教育」の提供

●社会にイノベーションをもたらす「気づき」やアイディアの創発を促すため、世界各界の第一人者を招

聘して行う 先端科学技術・文化に関する講義の充実

●グローバル化する社会をリードできる能力を涵養するため、本学の高い留学生比率を踏まえて推進する

大学院講義の英語化をはじめとした教育の国際化

を進めて参ります。

このような他の国立大学と一線を画した「東工大モデル」の教育を着実に実現するため、本学では授業

料の改定をお願いすることといたしました。2019 年 4 月以降に本学の学士課程に入学される方、2019 年

9 月以降に修士課程並びに博士後期課程に入学される方から、現行の年額 535,800 円の授業料を年額

635,400 円に改定させて頂きます。

これと同時に、志のある学生が経済的状況により本学で学ぶ機会を逸することがないよう、産学連携等

による資金獲得や本学の有する資産の活用などにより自主財源を増強する努力を続けて、学生への経済的

支援の充実も図ります。具体的には、新たな給付型奨学金の創設等により、本学への進学機会に対する経

済格差の解消に努めます。

本学の教育効果は、現在の教育環境・内容においても、就職に関する国際的な大学ランキング

(Employability)※で世界 19 位に評価されています。上記の教育環境と教育内容の充実により、本学卒

業生が新たなステージに進まれる際に、本学での学びの成果が今回の改定に見合うもの以上であったと得

心頂けるよう、さらには、その結果として本学の教育効果が世界トップ 10 に入る評価を得られるよう、

教職員一丸となって不退転の決意で取り組んで参りますので、ご理解のほど、よろしくお願いいたします。

※Times Higher Education Global University Employability Ranking 2017 による

国立大学法人 東京工業大学

学長 益 一哉

(全学サイト東工大ニュース投稿者・掲載日:広報・社会連携本部 広報・地域連携部門・2018 年 9 月 13 日)

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先端研究領域を開拓し、世界の研究ハブとしての地位を継続的に維持・発展させるため、活力にあふ

れた若手研究者・技術者を育成する場として、今年 7月に東京工業大学「基礎研究機構」が発足しました。

基礎研究機構は、本学が世界をリードする 先端研究分野で顕著な業績を有する傑出した研究者を塾長

に据えた「専門基礎研究塾」と、本学のすべての若手研究者が塾生として 3カ月間研さんを行う「広域基

礎研究塾」から構成されています。

本学が指定国立大学法人の構想で示したアウトカムの一つ「新規・融合分野の研究領域の開拓」の「長

期的な視点から、若手教員・研究者が自由な発想に基づく研究に集中できる環境を構築する」ことを具現

化する研究組織として基礎研究機構が設立され、小山二三夫機構長のもと、科学技術創成研究院内に配置

されました。あわせて、すずかけ台キャンパス S2 棟 2 階(西側)にオープンラボが整備されました。

●機構長 小山二三夫 教授(科学技術創成研究院 )

グローバルな競争下で日本が発展を続けていくためには、高度な専門知識と独

創性を有する若手研究者・技術者が社会の様々な場面で活躍することが求められて

います。日本が継続的に発展していくためには、活力にあふれた若手研究者・技術

者を養成し続けることが必要です。本機構の取り組みを通して、優秀な若手人材に、

若いうちに自由な発想のもと、新たな課題に挑戦する機会を提供し、将来の新しい

産業の芽となるイノベーション創出に繋がることを期待します。

若手研究者が自由な発想で新たな課題に挑戦する

「基礎研究機構」が発足

基礎研究機構 イメージ図

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専門基礎研究塾

細胞科学分野

細胞科学分野の将来を担う卓越した研究者を育成することを目指します。若手研究者が落ち着いた研究

環境の中で自身の学術的興味から細胞科学の研究課題を見出し、仮説の立案と検証を存分に行うことの出

来る研究の場を提供して基礎研究の発展を支えていきます。

●塾長 大隅良典 栄誉教授(科学技術創成研究院 細胞制御工学研究センター長)

基礎研究機構は、研究力強化に対して本学が出した一つの答えです。そして専門

基礎研究塾は未来を担う若手研究者の活躍を図るのが目的です。今回、細胞科学分

野に、細胞制御工学研究センターから助教 5名、特任助教 6名、生命理工学院から

助教 2名の計 13 名の塾生が入塾しました。ファシリテータをはじめ、多くの方々が

積極的に関与し協力して、若い人たちが伸びやかに研究できる環境を共につくって

いくことを期待しています。

来年には、科学技術創成研究院 西森秀稔教授(量子コンピューティング研究ユニットリーダー)が塾

長となる専門基礎研究塾が発足予定です。

広域基礎研究塾

若手研究者に、研究分野に関わらず自らの学術的興味に基づいて独創的・萌芽的な研究課題を見出し、

社会的な期待や責任を自覚しつつ研究を推進することの重要性を肌で感じられる場を提供することによ

り、人材育成と研究大学としての本学の発展を支えていきます。

●塾長 大竹尚登 教授(科学技術創成研究院)

研究テーマを考える時間は、研究者として非常に重要です。広域基礎研究塾は、時

には先達の知恵に接したり未来社会像を描いたりしながら、自分は研究者として何が

したいのか、どんな挑戦がその先に待っているのかを思索する時間を若手教員に提供

します。さながら科学・技術のゆりかごのように、未来の科学・技術の息吹きが本機

構から発せられることを期待しています。そして、10 月 15 日に開催された大隅塾の

入塾式に集った研究員、学生の皆さんを始め、多くの若手研究者に、来年から始動す

る広域基礎研究塾の将来の塾生として活躍していただきたいと思います。

(全学サイト東工大ニュース投稿者・掲載日:広報・社会連携本部 広報・地域連携部門・2018 年 11 月 8日)

10月15日に開催された専門基礎研究塾 細胞科学分野 入塾式、セミナーの様子

(前列左から6人目から小山機構長、大隅塾長、大竹塾長)

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9 月 26 日、大岡山キャンパス本館にて東京工業大学リーダーシップ教育院(ToTAL)の開設式とオリ

エンテーションを行いました。

今年 4月に設立されたリーダーシップ教育院は、卓越した専門性に加え、学術分野の枠を超えた多様

な人々を巻き込んで将来の国際社会を牽引することができるリーダーシップを備えた人材の育成をミッ

ションとする、大学院修士課程・博士後期課程一貫(5年間)の教育プログラムです。リーダーシップ

教育院では、グローバルリーダー教育院(AGL)等で約 7年にわたり培ってきた博士課程教育リーディ

ングプログラムのリーダーシップ教育と、本学リベラルアーツ研究教育院の知見を組み合わせること

で、社会・経済の持続可能な発展を担う理工系人材を育成する、全く新しい教育プログラムを実現して

います。

開設式では、今秋から始動する本プログラムの第 1 期登録学生として全学院から集まった 10 名(うち

4名が外国人留学生)を迎え、文部科学省高等教育局大学振興課の平野博紀大学改革推進室室長、益一

哉学長、水本哲弥理事・副学長(教育担当)による祝辞がありました。

益学長は祝辞の中で、2030 年に向けた東工大ステートメント

「尖らせる、共鳴する、実装する」について触れ、リーダーシッ

プ教育院で学ぶ際には、専門分野の研究等に加え、ステートメン

トの意思を心に留めておくとともに、1.多様性と寛容さ、2.協調

と挑戦、3.決断と実行の三つの姿勢をもって学修に臨んでほし

い、と話しました。

続いて井村順一教育院長から挨拶と教育院教員の紹介があり、

その後、益学長から登録学生 1人ひとりに対して登録許可書が授

与されました。

リーダーシップ教育院 登録学生を迎え、本格始動

祝辞を述べる益学長

開設式出席者の集合写真

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続いて行われたオリエンテーションでは、リーダーシップ教育院で育むリーダーシップの 3つのタネ

が紹介されました。

1.歴史や世界の中で自己を認識し、内発的動機を見つけることができる

2.自己と他者の違いを受け入れ、共に尊重し、よりよい社会のために協働できる

3.常に挑戦する心を持ち、思った通りにならなくても、創造的に楽しむことができる

また、登録学生が自身の学院の系・コースにおける専門教育に加えて受講することとなる、「社会課題

の認知」、「グローバルコミュニケーション」、「リーダーシップ・フォロワーシップ養成、合意形成」、

「オフキャンパスプロジェクト(3ヵ月)」、「幅広い教養」といったリーダーシップ教育院が提供するカ

リキュラムの説明がありました。

その後のワークショップでは、登録学生 1名に対し教員 1~2名が、対談相手に配慮した言語で 2分ず

つ相手を変えながら自己紹介を行いました。自己紹介のテーマは相手を変えるごとに設定され、好きな

スポーツ・アートから、人生の転機、自分がリーダーシップを発揮したのはどんな時?などを語り、プ

ログラムの導入としてお互いを知ることに重点を置いた内容となりました。 後に、リーダーシップ教

育院で何をしたいかを、教員、登録学生から発表し、閉会となりました。

※リーダーシップ教育院が実施する修了審査に合格した上で,在籍する学院の学位審査・ 終試験に合格すると,博士

の学位とともにリーダーシップ教育課程の修了が認定され,学位記に付記されます。なお,博士の学位が認定されない場

合は,リーダーシップ教育課程のみの修了は認められません。

異なる専門分野、文化的背景をもつ仲間と切磋琢磨する中で、志を立て成長してゆく学生達の今後の

活躍にご期待下さい。

(全学サイト東工大ニュース投稿者・掲載日:リーダーシップ教育院(ToTAL)・2018 年 10 月 29 日

※東工大クロニクル用に一部修正の上、掲載)

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東工大から申請したプログラム「『物質×情報=複素人材』育成を通じた持続可能社会の創造」が 10

月 3 日、文部科学省の平成 30 年度卓越大学院プログラムに採択されました。

卓越大学院プログラムとは

博士課程を設置する日本の国公私立大学を対象として今年度から始まった新規事業です。

新たな知の創造と活用を主導し、次代をけん引する価値を創造するとともに、社会的課題の解決に挑

戦して、社会にイノベーションをもたらすことができる博士人材(高度な「知のプロフェッショナル」)

を育成することを目的とする事業です。

修士博士一貫のプログラムですが、採用された学生は、特別カリキュラムを履修できるだけでなく、

経済的支援も受けられる予定です。

今年度は 38 大学 54 件の申請があり、うち 13 大学 15 件が採択され、本学からは申請した 1件が採択

されました。

プログラム概要

●名称

「物質×情報=複素人材」育成を通じた持続可能社会の創造

●プログラム責任者

和田雄二教授(物質理工学院長)

●プログラムコーディネーター

山口猛央教授(科学技術創成研究院)

●内容

本プログラムでは、情報科学を駆使して複眼的・俯瞰的視点から発想し新社会サービスを見据えて

独創的な物質研究を進める、以下の能力を発揮する「複素人材」を育成します。

1.物質と情報の両分野にまたがる複素的な新しい考え方を生み出す独創力

2.大量の情報から正しく社会の課題を設定する俯瞰力

3.原子・分子レベルから社会サービスまでスパイラル的に繋げ持続可能な社会に向けた課題を解決

する実行力

4.新サービスを世界に展開する国際リーダーシップ力

複素人材に期待するのは、持続可能な社会を構築するための物質と情報をリンクさせた新産業の創出

です。

元素戦略センターやスーパーコンピュータ「TSUBAME」を始めとする、本学が持つ高い学術基盤を

活かすとともに、全 6 学院と科学技術創成研究院、リベラルアーツ研究教育院の総合力と、企業、国立

研究開発法人、海外トップ大学との連携を活かした教育を展開します。

修士課程から博士後期課程までの 5年間の教育プログラムとして、全学横断型の学位プログラムであ

る「物質・情報教育課程」を新設予定です。

文部科学省 平成 30 年度卓越大学院プログラムに採択

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●連携先機関

国立研究開発法人物質・材料研究機構、国立研究開発法人産業技術総合研究所、ライデン大学(オラ

ンダ王国)、マギル大学(カナダ)、マックスプランク研究所(ドイツ連邦共和国)、インペリアル カレ

ッジ ロンドン(英国)、コーネル大学(アメリカ合衆国)、ソルボンヌ大学(フランス共和国)、清華大

学(中華人民共和国)、トヨタ自動車株式会社、日産自動車株式会社、マツダ株式会社、株式会社ぐる

なび、旭化成株式会社、富士フイルム株式会社、住友化学株式会社、三菱ケミカル株式会社、JX 金属

株式会社、東ソー株式会社、住友電気工業株式会社、三菱ガス化学株式会社、TDK 株式会社、昭和電

工株式会社、JFE スチール株式会社、株式会社東芝

(全学サイト東工大ニュース投稿者・掲載日:広報・社会連携本部 広報・地域連携部門・2018 年 10 月 12 日)

東京工業大学は、株式や土地などの現物資産寄附を受け入れ、当該資産を有効に活用するため、東

京工業大学基金の中に「現物資産活用基金」を創設しました。同基金は、2018 年度の税制改正※に対

応した文部科学大臣の証明を受けた特別な基金です。

※2018 年度の税制改正により、株式や土地などの現物資産寄附の、みなし譲渡所得税の非課税要件が緩和されまし

た。具体的には、寄附された現物資産を文部科学大臣の証明を受けた基金で管理する場合、所轄の税務署への申請によ

り非課税措置を受けることができる制度の創設です。また、当該基金内であれば他種資産に買換えも可能です。

東京工業大学基金は、主に現金による寄附により運営していますが、それに加え、このたびの株式

等の有価証券、土地等の不動産などの現物による寄附を有効に活用することで、教育研究環境の一層

の充実を図っていきます。

世界トップ 10 に入るリサーチユニバーシティの実現に向けて、現金によるご支援はもとより、株式

や土地等の現物資産によるご支援、ご協力を賜りますようお願いいたします。

(全学サイト東工大ニュース投稿者・掲載日:基金室・2018 年 9 月 10 日)

現物資産活用基金の創設

複素人材とは

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科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所の細野秀雄教授(元素戦略研究センター長)が、米国材

料学会(Materials Research Society、以下 MRS)の 高位の学会賞であるフォン ヒッペル賞(Von Hippel

Award)を受賞することが決定しました。表彰式と受賞記念講演「材料研究における元素戦略(Element

Strategy in Materials Research)」は、2018 年 11 月 28 日(水)、米国ボストンで開催される MRS の秋

学会で行われます。

MRS は、材料に関する学際的研究を促進することを目的に 1973 年に創設された世界 大の材料学会で

す。90 以上の国・地域から集まる会員のうちの半数以上が米国以外の研究者で構成されており、その分野

は化学、生物学、物理学、工学等多岐にわたります。

フォン ヒッペル賞は、アーサー・R・フォン ヒッペル教授(Arthur R. von Hippel, 1898-2003)を記

念し、分野を横断した材料について際立った研究業績を挙げた研究者(会員・非会員を問わない)1名に

毎年授与されています。本賞は今回で第 42 回を数えますが、日本人が受賞するのは初めてです。

受賞業績は「鉄系高温超伝導体の発見と透明酸化物半導体と無機エレクトライドの創出」です。

銅酸化物と並ぶ高温超伝導物質の新大陸となった鉄ニクタイド系超伝導物質、有機 EL テレビなどに応

用されている IGZO(イグゾー)等の酸化物半導体、そして温和な条件下でのアンモニア合成触媒への道

を開いた無機エレクトライドの創出といった開拓的研究の業績が評価されたものです。

細野教授のコメント

フォン ヒッペル先生は、多くの学際的テーマで歴史に残る先駆的業績を

挙げた方で、私の学生時代から著名でした。かなり前から分野横断を意図し

た研究を行ってきたので、今回の受賞は大変に嬉しいものです。材料科学は

日本が世界で強い分野の一つなのに、これまで受賞者がいなかったことに驚

きました。多くの共同研究者と支援を頂いた大学、科学技術振興機構(JST)、

日本学術振興会(JSPS)などのスポンサー、そして推薦を頂いた方々に感謝

いたします。

ここ 10 年くらいの間に日本の材料研究の存在感が世界の中で急速に失わ

れつつあり、変革が必要なことは多くの方が指摘しています。卓越大学院に

採択された本学の提案のように、伝統的な枠組みを超越した独創性の明確な

研究を強力に推進する必要があります。個人的には、広い領域を俯瞰して、未開でポテンシャルの高いテ

ーマについて、独自のコンセプトに基づく、新物質・材料の創出とその応用を拓く研究に精進したいと思

います。

(全学サイト東工大ニュース投稿者・掲載日:科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所 教授 細野秀雄・2018 年 10 月 24 日)

細野秀雄教授が米国材料学会(MRS)のフォン ヒッペル賞を受賞

細野秀雄教授

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物質理工学院 応用化学系の教授で地球生命研究所主任研究員の吉田尚弘博士が、米国地球物理学連合

(American Geophysical Union 。以下、AGU)のフェローに選出されることが決定しました。

AGU は、米国の首都に本部を持つ地球・宇宙科学分野の国際的な組織で、世界の 137 の国と地域に約

6万人の会員を有し、創立 100 年の歴史を有する世界 大の学術連合です。

AGU は 1962 年以来、全会員の中で 0.1%以内の、地球・宇宙科学分野に偉大なる貢献をした会員を相

互に選出し、AGU フェローとして顕彰しています。授賞式および招待講演は約 3 万人が参加する秋季大

会(今年はワシントン DC で 12 月に開催)において行われます。吉田尚弘教授のこのたびの授賞は、同

位体置換分子種の新たな計測法の開発と生物地球化学と大気化学研究への応用による貢献が評価された

ものです。

地球生命研究所の研究者では、吉田教授は広瀬敬所長、ヘルフリック ジョージ特任教授に次ぐ 3 人目

の AGU フェローとなります。

吉田教授のコメント

本授賞の対象となった研究は分子の基盤的解析法の開発とその地球宇宙科学への応用です。一つの分子

種に「同位体置換分子種」が多数存在すると予想されていながら、計測困難であったものを計測可能にし

てきました。分子種計測をいわば、白黒からカラーに、さらにその色彩解像度をあげてきたものと言えま

す。これにより分子の「色」を調べることで、その分子の起源やサイクルをより正確に解析できるように

なります。

本研究のアイデアは本学学生当時から持ち続けたもので、恩師、研究室の皆さん、国内外の共同研究者、

学生の皆さんと政府系研究支援機関に心よりお礼申し上げます。また、教員として戻り 20 年間、自由闊

達に研究させていただいた本学の皆様に厚くお礼申し上げます。

上の写真は、1996 年から科学技術振興機構(JST)/戦略的創造研究推進事業(CREST)研究代表者

として提案した、高分解能同位体質量分析計の基本設計をもとに 近ドイツのメーカーが市販化した装置

です。昨年採択の 2回目となる日本学術振興会の科研費基盤研究 S により、今春、地球生命研究所に導入

し研究に供していますことも不思議な同期です。

(全学サイト東工大ニュース投稿者・掲載日:物質理工学院 教授 吉田尚弘・2018 年 10 月 10 日)

吉田尚弘教授が米国地球物理学連合フェローに選出

吉田尚弘教授

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科学技術創成研究院 量子コンピューティング研究ユニットの西森秀稔教授が、公益財団法人 NEC

C&C(エヌイーシー シー&シー)財団の C&C 賞を受賞することが決定しました。

西森教授による「量子アニーリングの提唱と、同概念に基づく計算機創出の基礎となったランダムスピ

ン系の研究に関する功績」に対して贈られます。

西森教授のコメント

このような大きな賞をいただけることになり身に余る光栄です。学生時代か

ら 40 代前半にかけて、その面白さに我を忘れて基礎研究にのめりこんでいた

ころに作り上げた一連の理論が、20 余年の時を経て社会に大きな影響を与え

るような広がりを持つに至ったのはほとんど信じられない思いです。私一人で

成し遂げた業績ではなく、多くの方々の力がなければここまで達することはと

ても出来ませんでした。皆様に心より感謝し、喜びを分かち合いたいと思いま

す。

NEC C&C 財団によると、C&C 賞は 1985 年に創設され、情報処理技術、通信技術、電子デバイス技術、

およびこれらの融合する技術分野の開拓または研究、あるいはこの分野の進歩がもたらす社会科学的研究

活動について顕著な貢献があった研究者に対して授与される賞です。国内外から推薦された候補者の中か

ら、原則として毎年 2件以内(1件 3名以内)に授与されています。2017 年度までに 67 グループ、110 名

が受賞しました。その後、ノーベル賞や文化勲章を受章した研究者もいます。C&C は「コミュニケーシ

ョン技術とコンピュータ技術の融合(Computers and Communications)」という意味です。

表彰式典は 2018 年 11 月 28 日(水)に ANA インターコンチネンタルホテル東京にて行われ、各受賞

者には、賞状、賞牌、賞金(1件当たり 1千万円)が贈呈されます。

本賞のこれまでの本学からの受賞者には、末松安晴栄誉教授、伊澤達夫博士、伊賀健一名誉教授、辻井

重男名誉教授が名を連ねています。

(全学サイト東工大ニュース投稿者・掲載日:広報・社会連携本部 広報・地域連携部門・2018 年 10 月 10 日)

科学技術創成研究院 全固体電池研究ユニットの菅野了次教授が、第 18 回山﨑貞一賞を受賞することが

決定しました。

山﨑貞一賞(正式名称:一般財団法人材料科学技術振興財団山﨑貞一賞)は、科学技術水準の向上とそ

の普及啓発に寄与することを目的とし、同財団の初代理事長を務めた故山﨑貞一氏の科学技術および産業

の発展に対する功績、人材の育成に対しての貢献を記念して創設された賞です。

西森秀稔教授 C&C 賞の受賞決定

菅野了次教授が山﨑貞一賞を受賞

西森秀稔教授

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「材料」、「半導体及び半導体装置」、「計測評価」、「バイオサイエンス・バイオテクノロジー」の 4分野

において、論文の発表、特許の取得、方法・技術の開発等を通じて、実用化につながる優れた創造的業績

をあげている方が授賞対象となっています。

この度の菅野教授の受賞は、材料分野となり、「新規リチウムイオン伝導体の創成と全固体電池の開発」

に対するものです。

贈呈式は、2018 年 11 月 21 日(水)に日本学士院で行われる予定です。

菅野教授のコメント

歴史ある山﨑貞一賞を受賞することは、私にとって大変な名誉です。これま

でに受賞された方々の業績を改めて拝見しますと、身の引き締まる思いがしま

す。

特に、私自身は、東工大で加藤与五郎先生が創設された電気化学科の流れを

組む専攻で、長年研究開発を行ってきたこともあり、加藤与五郎先生と武井武

先生のフェライトの発明を事業化された山﨑貞一先生が創設された賞を受賞

できたのを、たいへん嬉しく思います。

さらに、私たちの研究グループが物質開発から電池開発に大きな成果をあげ

ることができたのは、ひとえに、一緒に研究を行ってきた非常に優秀な共同研

究者・技術者の方々、そして苦労と発見の喜びを共にしてきた研究室の学生の

方々の努力があってのことです。この場を借りて厚く御礼申し上げます。

この受賞のテーマとなった技術が、社会に大きく貢献するまでに育つには、さらなる技術開発の進展が

必要です。そのための一層の努力をする所存です。

(全学サイト東工大ニュース投稿者・掲載日:研究推進部 研究企画課・2018 年 10 月 4 日)

科学技術創成研究院 未来産業技術研究所の小山二三夫教授が、第 27 回(2018 年度)大川賞を受賞する

ことが決定しました。

大川賞は情報・通信分野における研究、技術開発および事業において顕著な社会的貢献をした研究者の

労に報い、その功績を表彰すると共に、情報・通信分野のさらなる発展と啓蒙に寄与することを目的とし

た国際賞です。日本における情報通信産業の草創期の立ち上げに貢献し、株式会社 CSK(現 SCSK 株式

会社の前身の一つ)を創業した故大川功氏が中心となって設立された公益財団法人 大川情報通信基金(略

称:大川財団)が、原則として日本人の研究者 1名、海外の研究者 1名の計 2名を毎年、表彰しています。

海外研究者からは、米国カリフォルニア大学バークレー校 工学部のコンスタンス・チャン-ハスナイ

ン教授の受賞が決定しています。

今回の受賞は、小山教授の「光通信、光センシングの高度化に向けた超高速変調、ビーム偏向機能集積

化による面発光レーザーフォトニクスへの顕著な貢献」に対して授与されるものです。

小山二三夫教授が第 27 回大川賞を受賞

菅野了次教授

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小山教授のコメント

私の研究対象である面発光レーザーは、本学の伊賀健一名誉教授・元学長が

1977 年に発明した半導体レーザーです。近年、インターネットや携帯端末の

普及により、データセンター内の大規模光インターコネクト、高精細レーザー

プリンタ、携帯端末での 3D 光センサなど、その応用分野は多岐にわたり、IoT

の進展により、さらに研究開発が加速しています。今回の受賞は、恩師の末松

安晴先生と伊賀健一先生のご指導と、これまで一緒に研究を進めてきた同僚

の研究者、大学院学生など、多くの方々のご努力と貢献によるもので、深く感

謝したいと思います。永年にわたる友人でもある、カリフォルニア大学バーク

レー校のコンスタンス・チャン-ハスナイン教授と同時に受賞できることは、

この上ない光栄と喜びです。これからも、この受賞を励みに、東工大の強みと

伝統を活かして、今後も研究に邁進していきたいと思っています。

贈呈式は、2018 年 11 月 7 日(水)に東京で行われる予定です。

なお、本学関係者としては、第 11 回に飯島泰藏名誉教授、第 15 回に末松安晴栄誉教授、第 22 回に古

井貞熙栄誉教授が同賞を受賞しています。

(全学サイト東工大ニュース投稿者・掲載日:科学技術創成研究院 未来産業技術研究所 教授 小山二三夫・2018 年 9 月 19 日)

平成 30 年度「末松賞『ディジタル技術の基礎と展開』支援」(以下、「本支援」)採択者が学内外の審査

員による審査を経て決定し、9月 12 日に授賞式を執り行いました。

本支援は、将来の基盤技術としてのディジタル技術に関心を持った若手研究者の育成と、コンピュータ、

ロボティクス、ネットワーク技術等の活用に関する研究に幅広い支援を行うことを目的として、平成 30

年度に末松基金により創設されました。

平成 30 年度「末松賞『ディジタル技術の基礎と展開』 支援」採択者決定

小山二三夫教授

末松栄誉教授と授賞者を囲んでの記念写真

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本支援初となる採択者 3名の支援決定通知書授与式が行われ、今回は本支援創設を記念して、特に顕著

な業績を挙げた 2名に対し特別賞も授与されました。

平成 30 年度「末松賞『ディジタル技術の基礎と展開』支援」採択者一覧

所属 職名 氏名 研究課題題

工学院 電気電子系 准教授 小寺 哲夫 半導体量子コンピュータに向けた関連基盤技術の開発

情報理工学院

数理・計算科学系

研究員 坂野 遼平 pub/sub メッセージングにおける負荷分散性と低遅延性の並

環境・社会理工学院

建築学系

助教 川島 範久 コンピュータ・シミュレーションとセンサー・モニタリング

およびネットワーク技術を活用したパッシブ手法活用型の建

物利用者に対する低コストな環境行動誘発システムの開発

「末松賞『ディジタル技術の基礎と展開』支援」創設記念特別賞授賞者一覧

所属 職名 氏名

情報理工学院 数理・計算科学系 特任教授 松岡 聡

科学技術創成研究院 量子コンピューティング研究ユニット 教授 西森 秀稔

小寺准教授 左から益学長、川島助教、渡辺理事・副学長(研究担当)

坂野研究員によるプレゼンテーション

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末松基金および本支援設立の背景

末松安晴栄誉教授・元学長は、本学で行った光ファイバー通信の研究、特に動的単一モードレーザーの

先駆的研究が、大容量長距離光ファイバー通信の発展に寄与し、社会に貢献したとして 2014 年日本国際

賞、2015 年度文化勲章を受賞(章)しています。

「若い人たちが様々な分野で未開拓の科学・技術システムの発展を予知して研究し、隠れた未来の姿を

引き寄せて定着させる活動が、澎湃(ほうはい)として湧き出てほしい」との末松栄誉教授の思いから賞

金の一部を寄附いただいたことを受け、その思いを継承し、研究活動を奨励するため、末松基金を設立す

ることとしました。

また、本支援の設立にあたっては、末松基金設立当初より賛同いただいている本学同窓生、株式会社ぐ

るなびの滝久雄代表取締役会長からの更なるご寄附を受け、本支援を開始する運びとなりました。

(全学サイト東工大ニュース投稿者・掲載日:研究推進部 研究企画課・2018 年 10 月 1 日)

平成 30 年度「東工大挑戦的研究賞」授賞式が 9月 12 日に行われました。

受賞者との記念撮影

平成 30 年度「東工大挑戦的研究賞」授賞式を実施 -独創性豊かな若手研究者に-

西森教授特別賞授賞の様子 松岡特任教授による謝辞スピーチ

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授賞式では、益学長から受賞者に賞状の授与、および今後さらなる活躍を期待する旨の激励の言葉があ

り、次いで受賞者代表 3 名から、採択された研究課題についてのプレゼンテーションが行われました。

この賞は、本学の若手教員の挑戦的研究の奨励を目的として、世界 先端の研究推進、未踏分野の開拓、

萌芽的研究の革新的展開または解決が困難とされている重要課題の追求等に果敢に挑戦している独創性

豊かな新進気鋭の研究者を表彰するもので、第 17 回目となる今回は 11 名が選考されました。なお、受賞

者には支援研究費が贈呈されます。

平成 30 年度「東工大挑戦的研究賞」受賞者一覧

受賞者 所属

主担当系または担当研究所 職名 研究課題名( * は学長特別賞)

ジルベル・

アレクシ

理学院

地球惑星科学系 特任助教 同位体分子測定による天然ガス生成モデル

石﨑孝幸

工学院

システム制御系 助教

* 次世代スマートグリッド開発に向けたシステム・

オブ・システムズ 適設計理論構築

杉元紘也

工学院

電気電子系 助教

超スマート社会に適応する革新的高効率ベアリング

レスモータの研究

澤田敏樹

物質理工学院

応用化学系 助教

繊維状ウイルスの階層的な集合化を利用した熱伝導

性材料の創製

清水亮太

物質理工学院

応用化学系 助教

薄膜界面制御された水素化物薄膜電池を用いた常圧

高温超伝導体の創製

大上雅史

情報理工学院

情報工学系 助教

細胞内 PPI 阻害を可能にする in silico 中分子設計

技術の開発

門之園哲哉

生命理工学院

生命理工学系 助教

* 二重特異性小型標的結合タンパク質の創製とがん

治療への応用

授賞式の様子 金澤輝代士助教によるプレゼンテーション

石﨑孝幸助教によるプレゼンテーション 門之園哲哉助教によるプレゼンテーション

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飯村壮史

科学技術創成研究院

フロンティア材料研究所

助教 鉄系 高温超伝導を実現する協奏的スピン揺らぎモ

デルの検証

金澤輝代士

科学技術創成研究院

ビッグデータ数理科学研究

ユニット

助教 * 実データ解析・理論解析に基づく外国為替市場の

ミクロ動力学の解明

吉敷祥一

科学技術創成研究院

未来産業技術研究所

准教授 構造・非構造部材の地震時損傷状況に基づく継続使

用可否の判断方法

佐藤伸一

科学技術創成研究院

化学生命科学研究所

助教 薬物抗体複合体の生産技術を指向した電気化学的抗

体修飾法の確立

(敬称略)

(全学サイト東工大ニュース投稿者・掲載日:研究推進部 研究企画課・2018 年 9 月 13 日)

情報理工学院 情報工学系の濱田貴大さん(修士課程 2年)が、8月 4日、5日にかけて行われた「遊☆

戯☆王」シリーズの e スポーツ世界選手権「遊戯王ワールドチャンピオンシップ 2018(Yu-Gi-Oh! World

Championship 2018)」のデュエルリンクスの部において、世界チャンピオンとなりました。

「遊☆戯☆王」は高橋和希氏による漫画作品であり、のちにアニメ化、カードゲーム化されるなど世界

中で楽しまれています。「遊戯王ワールドチャンピオンシップ」は、2003 年から毎年開催され、一般の部、

小学生の部、デュエルリンクスの部の各部門に分かれて勝者を決定する世界選手権です。世界各地の予選

参加者延べ 260 万人の中から見事決勝大会に勝ち進んだメンバーが幕張メッセ(千葉県)に集結し、濱田

さんが出場したデュエルリンクスの部には、12 ヵ国から 16 名が参加しました。

デュエルリンクスの部は、7,000 万ダウンロード(2018 年 5 月時点)を突破しているモバイルゲームア

プリによる対戦であり、制限時間は 60 分間で 大 5 戦、うち 3 戦先取した者が勝者となります。濱田さ

んは、デュエルリンクス歴が 4ヵ月と短い中での世界選手権進出となりました。

対戦相手の手を読みながらその攻撃をつぶす圧巻かつ早い展開を見せて 3 戦連勝し、世界チャンピオン

の座を獲得しました。

濱田貴大さんが「遊戯王ワールドチャンピオンシップ2018」デュエルリンクスの部で世界王者に

チャンピオントロフィーを掲げる濱田さん

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濱田さんのコメント

本アプリのプレイ経験においては若輩の身ではありましたが、小中学校の頃に慣れ親しんだ遊戯王とい

うコンテンツにおいて今回の結果を出すことが出来、非常に嬉しく思います。

学業においては、メンタルコミットロボットの有用性に関する研究を行っています。

今回の結果を経て来年度の世界大会へもご招待いただける予定です。次の大会においてもよい結果を出

せるよう、油断せずに精進していきたいと思います。応援してくださった方々、特に、大会用のデッキ調

整に付き合ってくださった方々、本当にありがとうございます。

(全学サイト東工大ニュース投稿者・掲載日:広報・社会連携本部 広報・地域連携部門・2018 年 9 月 26 日)

工学院 経営工学系の石田大輝さん(学士課程 3年)がポケモンワールドチャンピオンシップス(以下、

ポケモン WCS)2018 のポッ拳部門(マスターディビジョン)に日本代表として出場し、世界 4位に入賞

しました。

石田大輝さんが「ポケモンワールドチャンピオンシップス2018」ポッ拳部門で世界 4 位に

益学長への世界チャンピオン獲得報告

表彰式でトロフィーを手にする石田さん

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ポケモン WCS は、ポケモンのゲーム部門、カードゲーム部門、ポッ拳部門に分かれて行われる世界大

会で、今年は 8月 24 日から 26 日にかけてアメリカのナッシュビルで開催されました。石田さんが出場し

たポッ拳部門は Nintendo Switch(任天堂スイッチ)の「ポッ拳 DX」を用いた、1 試合 大 5 ゲームの

うち 3ゲーム先取の 1対 1のダブル・エリミネーション方式(2敗した時点で敗退となるトーナメント方

式)で行われ、世界各国の予選で招待出場権を獲得した 14 名と、現地の 終予選を勝ち抜いた 2 名の計

16 名が決勝大会に進出しました。石田さんは 3 月に開催された日本大会で優勝し、日本の招待出場権を

獲得しました。

石田さんは、1 試合目に 3 対 1、2 試合目に 3 対 0、3 試合目に 0 対 3、4 試合目に 3 対 2、5 試合目に 0

対 3で敗退し、4位となりました。

石田さんのコメント

高校生の頃にゲームセンターでポッ拳を始め、大学生になってからは競技として真剣に取り組んできま

した。そんなポッ拳で世界 4位という結果を残すことが出来て非常に嬉しいです。

僕は経営工学系所属の 3年で、経済学や経営学を勉強しています。今年の世界大会はアメリカのナッシ

ュビルで開催されたのですが、そこで海外での e スポーツの盛り上がりを実感し、e スポーツ産業にとて

も興味が沸きました。

来年も世界大会に行けるように、練習を続けていきます。

(全学サイト東工大ニュース投稿者・掲載日:広報・社会連携本部 広報・地域連携部門・2018 年 10 月 19 日)

一般財団法人ジェームスダイソン財団が主催する国際エンジニアリングアワードであるジェームス ダ

イソン アワード 2018(以下、ダイソンアワード)において、情報理工学院 情報工学系の長沼大樹さん

(修士 2年)を含む 6名によるチーム Rota++(ロタ プラス プラス)が開発した作品「your pacifier

(ユア パシファイアー)」が国内 優秀賞に決定しました。

長沼大樹さんのチームがダイソンアワード 2018で国内最優秀賞を受賞

ユア パシファイアー

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ユア パシファイアーとは

赤ちゃんが脱水状態のときに、赤ちゃんへの水分補給を促し、保護者の取るべき行動をサポートする

ことを目的としたスマートおしゃぶり「ユア パシファイアー」です。

メンバーの 1人がアジア・太平洋諸島で公衆衛生調査をした際に、下痢により危険な脱水症状にさら

されている子どもが多数入院していることに気付き、その解決策を考える中で生まれたデバイスです。

おしゃぶりに付いているセンサーによって赤ちゃんの脱水状態を判定し、危険な脱水症状だと判断し

た場合には、モバイルアプリを通じて赤ちゃんの体全体の水分量を保護者に通知します。その際アプリ

上で保護者に対して簡単な質問が出され、その返答内容によって警告を出し、例えば「病院に連れて行

く」などの保護者が行うべき行動を指示します。さらに、ユア パシファイアーはユーザーのデータを収

集し、その地域の同様の症状の流行を検出することができるため、その情報を病院が共有することで感

染状況の分析にも役立てられます。

このユア パシファイアーは 2017 年 10 月にアメリカのスタンフォード大学で開催された「Stanford's

Health Hackathon Health++ 2017(スタンフォード ヘルスハッカソン ヘルス プラスプラス 2017」で

も、総合 3位と、Persistent-Neodesign(パーシステント ネオデザイン)賞の 2つの賞を受賞していま

す。前回受賞時以降の変更点としては、センサーの原理検証および、筐体のデザインの改善策をいくつ

か試したことです。また、これまでの検証等をまとめ 9月に行われる国内のシンポジウムにおいて長沼

さんを始めとするメンバーによる発表が予定されています。

ダイソンアワードについて

ダイソンアワードは、ジェームス ダイソン財団により、次世代のデザインエンジニアの支援・育成を

目的として毎年開催されています。エンジニアリング(工学)、プロダクトデザイン、工業デザインを専

攻する 18 歳以上の学生、卒業・修了して 4年以内の方を対象として、今年は世界 27 の国・地域で開催

され、1,300 を超える作品が集まりました。

ユア パシフィアーを含む日本国内の上位 3作品は、他国の作品とともに、ジェームス ダイソン アワ

ードの国際ステージとなる第 2次審査(9月下旬発表予定)に進み、そこでトップ 20 に入った作品がダ

イソン創業者であるジェームスダイソン氏による国際 終審査(11 月中旬発表予定)へと進みます。

ユア パシファイアー使用イメージ

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長沼さんのコメント

今回のプロダクトは、関西関東を中心とした学生メンバーだけからなるチームで

昨年開発が始まったものですが、現在は社会人として働くメンバーもいるため、一

度チームを解体しチームの再構成を行っています。

今後、課題である赤ちゃんの命を本当に救うためには単なるキャンペーンではな

く、持続的なビジネスとして、製品を世に出していく必要があると考えています。

実際にデバイスを製造し研究開発を進めていくには人も資金も必要になります。チ

ームとしてはこのジェームズ ダイソン アワード受賞をきっかけに、アイデアに共

感していただける世界のパートナーを募り、課題の解決に向かって突き進みたいで

す。

現在私は、深層学習の理論的側面の研究をしています。その研究がこのプロダクトのセンサーの精度

向上などに寄与できるといいなと考えています。

(全学サイト東工大ニュース投稿者・掲載日:Rota++・2018 年 9 月 14 日)

トライアスロン部の原昇平さん(工学部 高分子工学科 4年)が、7月 6日にデンマーク オーデンセに

て行われた世界大会「マルチスポーツ ワールド チャンピオンシップ フェスティバル」のデュアスロン

U23 男子部門に出場し、13 位と健闘しました。

デュアスロンは、水泳・自転車・ランニングを行うトライアスロンとは違い、1人の選手がランニング

(第 1ラン)・自転車(バイク)・ランニング(第 2ラン)の 3つの競技を順に行う複合競技です。水泳が

ないため季節を問わず大会を開催することができ、マラソンや自転車愛好者にも広く楽しまれているスポ

ーツです。

マルチスポーツ ワールド チャンピオンシップ フェスティバルの U23 男子部門では、18 歳以上 23 歳

以下の競技者が第 1ラン 10 km、自転車 36km、第 2ラン 4.9km のコースで戦いました。

原昇平さんがデュアスロン世界大会で 13 位と健闘

レース中の原さん

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原さんのコメント

当日は今まで練習してきた分を 100%出し切れたのですが、結果は U23 で 13 位ということで入賞からは

遠く、世界のレベルの高さを実感しました。学業では、4月から研究室に所属し、剛直棒状高分子である

ポリイミドの垂直配向制御についての研究を始めたところです。今回のレースで感じたことをこれからの

練習に生かし、より一層強くなれるよう努力していきたいです。応援してくださった皆様、本当にありが

とうございました。

東京工業大学トライアスロン部とは

体育会系のサークルとして 1993 年頃に設立され、現在は修士、他大学を含め 23 名の部員が所属してい

ます。海、プール、湖、川などでの水泳、バイク(自転車)、ランニングを立て続けにこなすハードなスポ

ーツですが、大学対抗の選手権大会等を目指して、日々練習に励んでいます。

原さんは、公営社団法人 日本トライアスロン連合によるデュアスロン強化指定選手に選ばれるなど、

今後も活躍が期待されます。

(全学サイト東工大ニュース投稿者・掲載日:広報・社会連携本部 広報・地域連携部門・2018 年 9 月 6 日)

東京工業大学端艇部(ボート部)が、7月 26 日から 7月 30 日にかけて中国の長沙(湖南省の省都)に

遠征し、「2018 長沙国際大学レガッタ(2018 Changsha International famous Universities Rowing

Regatta)」に出場しました。

本大会はケンブリッジ大学、イエール大学など世界9ヵ国から20の大学が参加したボートの大会です。

日本から唯一参加した東工大ボート部は日本を代表するチームとなりました。

レースは 7月 28 日、29 日の 2日間に分けて開催され、合計タイムが も早いチームが優勝します。東

工大は初日にアクシデントに見舞われ合計タイムではメダルに届きませんでしたが、2日目には強豪校と

して知られるイエール大学を破るなど、勢いある活躍を見せました。

東工大ボート部 長沙国際大学レガッタに出場

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また、レースの他にも、長沙にある博物館や雅礼高校を訪問し文化交流をするなど、文化的にも充実し

た遠征になりました。

レース中の様子(画面左のイエール大学を突き放す東工大ボート部)

(上段左から)大越さん(端艇部 OB) 海上さん 藤井さん 服部さん 中島さん 長谷川さん 中森さん

(下段右から)原さん 小川さん 井上さん 舩岡さん 島田さん

毛沢東の巨大な彫刻を眺める東工大ボート部

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主将 舩岡知広さん(理学部 地球惑星科学科 学士課程 4 年)のコメント

研究室では、大地震の前兆としての地震活動の静穏化に関する研究に励んでいます。

試合については満足のいく結果は得られませんでしたが、海外選手の体格や漕ぎを隣で感じられたのは

良い経験になりました。また観光やセレモニーではケンブリッジ大学、イエール大学など数々の世界的に

有名な大学の学生と交流を深めることが出来て、とても充実した遠征になりました。

今回の遠征は昨年、国立 1位を取ったことで得られたものです。来年以降も海外遠征を続けられるよう

に、より高みを目指して、これからも強くあり続けます。応援よろしくお願いします!

今回の中国遠征は東工大ボート部にとって約 20 年ぶりの海外遠征となりました。これより一年間の集

大成として、9月上旬に開催される全日本大学選手権という目標に向かい邁進していきます。

(全学サイト東工大ニュース投稿者・掲載日:端艇部・2018 年 9 月 6 日)

東工大合氣道部が「第 37 回全日本心身統一合氣道競技大会」に出場し、個人の部で、主将の井上翔太

郎さん(生命理工学院 生命理工学系 学士課程 3年)と山崎雄大さん(工学院 電気電子系 学士課程 2年)

のペアが金賞、また団体の部では、東工大が銅賞を受賞しました。

本大会は 9 月 23 日、栃木県芳賀郡の心身統一合氣道会天心館道場で、「個人の部」と「団体の部」(そ

れぞれ「中等部」「高等部」「大学部」)に分かれて行われ、日本全国から 113 名の学生が参加しました。

主将の井上さんのコメント

去年の「団体の部」金賞に続き、今年は「個人の部」金賞という結果を残すことができたこと、大変嬉

しく思います。このような結果を残すことができたのも、現役部員や先輩方をはじめ、師範である小原英

雄先生の支えのおかげだと思います。また、長年にわたり東工大をご指導下さった、前師範である大塚豊

先生にもこの場を借りてお礼申し上げます。

学業に関しましては、稽古を通して会得した「真の落ち着き」を活かし、専門である生物学の分野で活

躍していきたいと思います。

東工大合氣道部が全国大会で個人の部「金賞」、 団体の部「銅賞」を受賞

世界中から多くの大学が参加

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東工大合氣道部は今年で創立 50 周年を迎えました。さらなる発展に向け、現役一同全力で稽古に励ん

でいきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

合氣道部とは

東工大合氣道部は 1968 年に活動を開始し、今年で創立 50 周年を迎えます。週 4日の稽古のうち、心身

統一合氣道会師範の小原英雄先生(心身統一合氣道七段)による稽古を週 1回行っています。日々の稽古

の中では「心が身体を動かす」ということを重視し、心と身体を一つにして用い、「相手の心を尊重して

導く」ことを学んでいます。

(全学サイト東工大ニュース投稿者・掲載日:心身統一合氣道部・2018 年 10 月 22 日)

8 月 18 日、第 54 回全国国立工業大学柔剣道大会(以下、六工大戦)が東京工業大学大岡山キャンパス

において開催され、東京工業大学剣道部が剣道の部 団体戦で全戦勝利し、優勝を果たしました。

また、剣道の部 個人戦男子において第 2 類の齋藤海晟さん(学士課程 1 年)が準優勝、同個人戦女子

では工学部 機械科学科の北原麗さん(学士課程 4年)が第 3位を獲得しました。

東工大剣道部が全国国立工業大学柔剣道大会 剣道の部団体戦で優勝

全国大会終了後、小原英雄師範(前列中央)を囲んで

六工大戦表彰後の集合写真(主将の伊藤さん(最前列の左から3番目)、

個人戦男子準優勝の齋藤さん(同左端)、個人戦女子第3位の北原さん(同右端)

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六工大戦は、東工大、北見工業大学、室蘭工業大学、名古屋工業大学、京都工芸繊維大学、九州工業大

学の柔道部および剣道部が一堂に会して行われる大会です。柔道・剣道それぞれにおいて団体戦と個人戦

があり、団体戦は 6大学でリーグ戦を、個人戦は各大学 6名ずつ出場してトーナメント戦を行います。

コメント

主将 伊藤謙吾さん(情報理工学院 情報工学系 学士課程 3年)

今回、六工大戦の団体戦で 4年ぶりに優勝することができ、大変嬉しく思っております。ご指導して下

さった先生、先輩方をはじめ、部活動を支えて下さった全ての方々に感謝致します。

今大会では、1年前よりも個々の力をつけることができ、チームとして 後まで繋ぐ戦い方もできまし

た。共に厳しい稽古を乗り越えたことで皆が成長し、一致団結できたことは、主将としてこの上なく誇ら

しいことです。

また、私個人としては、研究室所属が近付いています。ソフトウェア、脳情報科学、人工知能など、興

味は多岐にわたりますが、自分に何が出来るのか、これから可能性を見極めていきたいと思っています。

代替わり後も、剣道部は引き続き団体連覇に向けて稽古に励んでいきます。

齋藤海晟さん

今回は東工大開催ということでなんとか個人戦においても優勝を掴みたかったのですが、準優勝と悔し

い思いをしました。自分はまだ 1年生なので来年、再来年も団体、個人共に優勝を果たしたいと思います。

また学業においては、文系教養を含む様々な分野の講義を受けています。これらで学んだ幅広い知識を専

門分野に進むうえで活かしていきたいと思います。

剣道部とは

全国国立工業大学柔剣道大会優勝と、関東学生剣道大会の全日本大会出場を二大目標に、部員一丸とな

って稽古に取り組んでいます。本学武道場にて、学士課程学生を中心に男子学生 22 名、女子学生 2 名の

計 24 名が活動しています。

(全学サイト東工大ニュース投稿者・掲載日:広報・社会連携本部 広報・地域連携部門・2018 年 10 月 11 日)

益一哉学長への優勝報告(剣道部長(剣道部顧問教員)の加藤明准教授、益学長、剣道部主将の伊藤さん)

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指定国立大学法人構想の要となる未来社会DESIGN機構が9月に発足し、そのキックオフイベントを、

10 月 28 日に大岡山キャンパス東工大蔵前会館において開催しました。

未来社会 DESIGN 機構とは、予測可能な未来とはちがう

「人々が望む未来社会とは何か」を、社会と一緒になって考

えデザインし、導き出された未来社会像を実現するために必

要な要素(技術、政策など)を含めて広く社会のみなさまと

共有し、共に実現に向けた活動を行うことで社会に貢献する

組織です。

本学にとっても新しい挑戦となる機構の取り組みのため

に、2018 年春から学院やリベラルアーツ研究教育院から参加

する学内構成員の他、実業家や広告会社、映像制作会社の方々など多様な学外構成員を交え、機構の在り

方や目指すべき方向について議論を重ねてきました。

今回のキックオフイベントには、本学学生・教職員はもちろんのこと、学外からも高校生、社会人、卒

業生など 130 名以上の多様な方々が参加しました。楽しく、真剣に、熱く語り合った当日の会場の盛り上

がりの様子をご紹介します。

第 1 部 未来社会を考える共創ワークショップ 第 1 回「ボーダーを、超えよう。」

「ボーダーを、超えよう。」というテーマは、未来社会

DESIGN 機構の構成員が事前の議論の中で出し合った「私の

創りたい未来社会のイメージ」からキーワードを抽出して議

論を進め、このテーマのもと、学内外の方々と話し合いたい

という思いから設定しました。このワークショップには、本

学学生及び本学教職員の他、高校生、卒業生、一般社会人の方

のご参加がありました。

ワークショップではリベラルアーツ研究教育院の中野民夫

教授と伊藤亜紗准教授がファシリテーター役となり、本学教

員による 先端の研究に関する講演で述べられた新しい科

学・技術や予測される世界の状況を踏まえて、どのような「ボ

ーダー」を超えられるか、どのような未来社会が構想できるか、参加者が話し合いをしていきました。

話し合いに入る前のアイスブレークでは、参加者が 4~5 名のグループになり、自己紹介を行ったり、

2030 年に向けた東工大のステートメント「ちがう未来を、見つめていく」を読み上げたり、さらに中野教

授がギターを持って自作の歌を全員と歌うなどして、参加者同士の距離を縮めていきました。第 1部のメ

インであるワールドカフェ※1 方式で行うワークショップでは、どちらの意見が正しいのかを競う「議論」

ではなく、あるテーマについて向かい合って話し合い、新たな「発見」「創造」につなげられるよう「対

話」することを目指します。対話する際のルールが中野教授から伝えられた後、丸くカットされた段ボー

ル「えんたくん」を囲んで、ワークショップが始まりました。

司会進行する中野教授(右)と伊藤准教授(左)

社会とともに「ちがう未来」を描く「未来社会 DESIGN 機構」が発足 キックオフイベントを開催

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第 1 ラウンドでの話し合いのテーマとなる 先端の研究の例

として、「無線通信のボーダーを超える!」と題し、工学院 電

気電子系の岡田健一准教授が講演を行いました。岡田准教授は、

100 年後の電気通信、運輸、軍事、医療など 23 項目について 20

世紀に実現するであろう科学・技術を予言した 1901 年の新聞を

取り上げ、当時予言された通信技術のうち、多くの技術が実現さ

れていること、続けてこの約 20 年間における無線技術の急速な

進歩について、講演をしました。

この講演を元に、5G と呼ばれる次世代の通信速度が実現した

ら何がしたいか、グループごとに「えんたくん」を囲み円座にな

って対話していきました。対話ののち、ミニハーベスト(意見の

共有)として 2~3 名の参加者が、対話から生まれた意見について参加者全員に対して発表しました。こ

のように講演、対話、ミニハーベストを 1 ラウンドとして、さらに 2 ラウンドを同様の形式で行いまし

た。

第 2 ラウンドでは、環境・社会理工学院 土木・環境工学系の鼎信次郎教授が、「変化する地球の環境

-「ボーダー」を考えるために-」という題で、水、人口、地球温暖化といった観点から、変わりつつあ

る地球環境について講演しました。 後に鼎教授は「みなさんが変わらなくても、まわりが変わっていき

ます」と呼び掛けて、この変わっていく地球、世界において、私達が望むことは何かを問いかけました。

無線通信技術の発展について講演する岡田准教授

2060~2070年頃,世界の人口が100億人を突破するといった

予測を説明する鼎教授

えんたくんの中心に書いたテーマについて、

メモをしながら進める対話 講演や発表された意見はグラフィックレコーディング※2

で記録

サリドマイドを例に薬の作用メカニズムの解明の重要性と,

新薬の開発の可能性を説明する山口教授

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休憩をはさんで第 3 ラウンドでは、生命理工学院 生命理工学系から山口雄輝教授が「創薬の壁を超え

て」と題して講演を行いました。山口教授は、薬が効くメカニズムを解明する前から私たちは薬を服用し

ていることがあるという事実や、特に低分子医薬品において新薬が生まれにくくなっている現状、高額な

高分子医薬品など現在の創薬を取り巻く問題を提起したうえで、人間に対して好ましい作用も、好ましく

ない作用ももたらすサリドマイドの研究を中心に、薬の作用メカニズムの解明の重要性を説明しました。

第 1ラウンドから第 3ラウンドまで、ラウンドごとに議論する相手を変えつつ、 後のハーベスト(意

見の共有)の時間では 初のグループに戻り、3つのラウンドの対話で印象的だったこと、これらを踏ま

えて、これから創りたい未来は何か、その思いを共有しました。

その後まとめとして行われたのが、ワークシートを使い、

「現在の課題・心配」と「超えたいボーダー」を挙げたうえ

で、「私の創りたい未来」を、絵と言葉で参加者それぞれが

描くことでした。それまでのにぎやかな対話とは対照的に会

場はしばし静まり返り、それぞれが集中してワークシートに

取組みました。描き終わった人はワークシートをもって、他

の参加者とお互いのアイデアを共有し、さらに、講演やミニ

ハーベストで共有された意見を記録してきたグラフィック

レコーディングを用いて、ワークショップ全体の振り返り

を全員で行いました。

その後、一度グループに戻り、お互いの「創りたい未来」

を共有して感想を述べたのち、全員が会場内で大きな円を

作りました。ここで、中野教授から「何かやりたくなったことがある人、手を挙げて!」と呼びかけると、

数名の学生から手が上がり、「学生の団体を作りたい」「東工大生が名刺を持ったらいい」「小さなコミュ

ニティをつなげるようなことをしたい」「異なる価値を共有して認識するため、場を作ってみんなと語り

合いたい」といった意見が出されました。

後に、中野教授から一本締めならぬ「一本ジャンプ」の提案があり、参加者を代表して高校 3年生の

女子生徒が「自分のボーダーを超えられた」という感想を述べた後に、彼女の掛け声にあわせて全員が目

の前のボーダーを超えるイメージでジャンプしました。

※1 ワールドカフェ

1995 年にアメリカのアニータ・ブラウン氏とディビッド・アイザックス氏によって開発・提唱された話し合いの方法。

カフェのようにリラックスした雰囲気の場を作り、全体を 4~6名ぐらいのグループに分けてそれぞれテーブルを囲み、多

様な意見を受け入れることを目的とした対話をします。(川島直、中野民夫著『えんたくん革命』、みくに出版、p64 から抜

粋)

それぞれがワークシートに描いた「私の創りたい未来」を

参加者同士で共有

グラフィックレコーディングを囲み、

参加者全員による今日の議論の振り返り

「何かやりたくなったことがある人!」と中野教授

の呼びかけに、すぐに手を挙げた学生も

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※2 グラフィックレコーディング

会議の中で人々の議論をリアルタイムでグラフィックに可視化する手段。グラフィックレコーディングを行うグラフィ

ックレコーダーは人々の対話や議論の内容を聞き分け整理しながら、リアルタイムでグラフィックに変換し、可視化してい

きます(清水淳子著『Graphic Recorder ― 議論を可視化するグラフィックレコーディングの教科書』、ピー・エヌ・エヌ

新社、p4 及び p12 から抜粋)。今回のワークショップではグラフィックレコーディングに関する書籍も出している清水淳子

さんがグラフィックレコーダーを務めました。

第 2 部 東工大コミットメント 2018 と未来社会 DESIGN 機構の紹介

第 2 部ではワークショップ参加者以外の学内外関係者も招い

て、 初に益一哉学長から、今後の大学の活動の基本的な考え

方となる「東工大コミットメント 2018」の発表がありました。

これは、今年 4 月に就任した益学長が、学内教職員の声を聞

いてつくったものです。益学長は、本学の先進的な改革をさら

に進め、特に教育と研究で成果を生み出すべく共通の価値観の

醸成を目指して、「多様性と寛容」「協調と挑戦」「決断と実行」

という 3 つのコミットメントを発信するに至った思いを、ワー

クショップで高校生や本学学生と話した際にも、これらの考え

方の重要性を感じたという話を交え、語りました。

益学長は 後に、「ボーダーを、超えよう。」というワークシ

ョップのテーマに絡めて、「一歩ボーダーを超える、今日何を超

えたか、を感じ取ってほしい。未来を見つけましょう」と呼びかけました。

続けて未来社会 DESIGN 佐藤勲機構長から、未来社会

DESIGN 機構の組織概要に関する説明がありました。佐藤機

構長は、こうある「べき」という未来社会像より、社会のみな

さんと一緒に、こうあり「たい」という未来社会像を考えてい

きたい、そのためには本学だけでなく社会の色々な方々に機構

の活動に注目して、今日のワークショップのように積極的に参

加していただきたいと訴えました。

後に未来社会 DESIGN 機構構成員でもある上田紀行リベ

ラルアーツ研究教育院長が、「共創ワークショップから未来へ」

と題して、当日参加していた未来社会 DESIGN 機構の学外構

成員を紹介するとともに壇上にお呼びし、第 1部の共創ワーク

ショップで感じたことや、これから機構でやっていきたいこ

と、さらにそれぞれのこだわりや未来に対する原動力について、一人ひとり聞いていきました。

未来社会 DESIGN 機構に注目しつづけていただく

よう呼びかける佐藤機構長

東工大コミットメント2018に込めた

想いを語る益学長

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登壇者からは、決まったシナリオがないところで自由に議論ができる雰囲気や本日のこういう場を大事

にしていきたいといった意見や、もっと多くの若い人たちの率直な意見を取り入れていってほしいといっ

た感想が出されました。

第 2部の後は、会場を百年記念館に移して、懇親会を開催しました。この場でも、いくつもの小グルー

プが形成され、第 1部の対話の続きや今後への期待を語り合う姿が見られました。

イベント終了の翌日から 11 月 2 日まで、第 1 部の共創ワークショップで参加者が描いた「私の創りた

い未来」と、講演や議論を記録したグラフィックレコーディングを百年記念館に展示し、今回参加できな

かった方へも未来社会 DESIGN 機構の取り組みを紹介しました。

未来社会 DESIGN 機構では、変わりゆく時代のなかで、今回のワークショップのように、自由に、あ

りたい社会を語り合い構想する仕組みを作りつつ、今後、参加者が描いた「私の創りたい未来」をもとに、

「こうありたい」という未来社会像を描いていきます。

(全学サイト東工大ニュース投稿者・掲載日:総務部企画・評価課・2018 年 11 月 22 日)

未来社会 DESIGN 機構キックオフイベントのちらし(左)と、「ボーダー」を意識した百年記念館の装飾(右)

登壇者による座談会の様子

(左から、上田教授、株式会社ロフトワークの林 千晶氏、株式会社博報堂の根本かおり氏、

科学技術振興機構 研究開発戦略センターの倉持隆雄氏、株式会社円谷プロダクションの杢野純子氏)

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生命理工学院基礎生物学教室

猛暑が続いた夏休み期間中の 8月 25 日と 26 日の 2日間、大岡山キャンパスにおいて科学教室を開催し

ました。今回の科学教室は、東工大基金による支援事業の一つ「理科教育振興支援」と東京工業大学博物

館の後援を受け、濱口幸久名誉教授と濱口研究室の卒業生とともに実施しました。

植物の葉について学ぼう ―葉脈のしおりを作ろう―

25 日の科学教室「植物の葉について学ぼう ―葉脈のしおりを作ろう―」においては、植物の葉の役割

を学び葉脈の構造を観察するため、参加者が学内の植物から葉を採集しました。採集した葉を実験室に持

ち帰って、葉脈を蛍光染色して観察したり、葉肉を取り除いて葉脈の標本を作製したりしました。参加者

は 後に「しおり」にして持ち帰りました。

ウニについて学ぼう ―ウニランプを作ろう―

翌 26 日には「ウニについて学ぼう ―ウニランプを作ろう―」を実施しました。参加者はウニの構造を

学び、海水中のウニやヒトデ、ウミホタルの行動を観察しました。その後、ウニの殻を利用し LED ライ

トを使って「ウニランプ」を作成し、各自持ち帰りました。

25日「植物の葉について学ぼう」の説明を聞く参加者

蛍光染色して葉脈を可視化した葉 薬剤処理をして取り出した葉脈の標本

科学教室「植物の葉について学ぼう ―葉脈のしおりを作ろう―」ほか 開催報告

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今回は小学 4・5・6年生の親子を対象とした企画だったので、参加者は親子で共同作業をしながら夏の

思い出作りを楽しみました。

(全学サイト東工大ニュース掲載日:2018 年 9月 5 日)

「ウニについて学ぼう」についての説明を聞く参加者

主に4年生が作成したウニランプ

主に5、6年生が作成したウニランプ

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科学技術創成研究院 先導原子力研究所 准教授 松本義久

平成 30 年 6 月 1日(金)、中国、韓国の放射線・アイソトープに関する研究者、技術者 20 名と日本アイ

ソトープ協会、国内企業から 6名の方々が、本学先導原子力研究所の施設見学に来られました。日本アイ

ソトープ協会では、中国・韓国のアイソトープ協会とともに、各国でのアイソトープ利用の普及と国際協

力の発展を目的として、2年に一度、持ち回りで CJK ミーティングを開催しています。今年は日本での 5

月 31 日(木)、6月 1日(金)の 2日間にわたって開催され、そのプログラムの一つ、テクニカルツアーと

して本研究所見学が企画されました。

まず、本研究所会議室にて、私から本研究所の概要をご説明しました。その中で、今年 3月の米国物理

学会 (APS)に際して制作された研究所紹介ビデオを上映致しました (YouTube の“Laboratory for

Advanced Nuclear Energy (LANE) at the Tokyo Institute of Technology”で視ることができます

https://www.youtube.com/watch?v=yXcbf0IGiR0)。また、本研究所の各研究室では、中国、韓国も含めて

多くの留学生が研究、勉学に励んでいることを紹介しました。

続いて、2つのグループに分かれて、研究所施設を見学しました。

まず、今年 4 月に放射線総合センターから先導原子力研究所に移管されたコバルト 60 照射施設を私と

依田功技術専門員がご案内しました。この施設は長年に亘り、放射線物理、計測、化学、材料科学、生物

学・医学などさまざまな分野の研究に利用されてきました。 近では、こうした高強度の研究用放射線源

が減ってきていることもあり、他大学や民間企業、研究機関からの利用者も増えてきています。こうした

利用の実態に加え、安全やセキュリティーのためのシステムにも関心が集まっていました。

中国・韓国の放射線・アイソトープ研究者・技術者の先導原子力研究所施設見学報告

コバルト60照射施設見学の様子

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次に、片渕竜也准教授、登坂健一技術専門員の案内により、ペレトロン加速器施設の見学が行われまし

た。この施設では、加速器中性子源を用いて、様々な物質中で中性子が起こす原子核反応のデータ(核デー

タ)が調べられています。ここで得られた核データは、原子力発電により発生する長寿命核廃棄物の核変

換処理に重要であるばかりでなく、宇宙の元素起源の解明の手がかりにもなり、国内外の多くの研究者に

活用されてきました。さらに、中性子照射場での計測ノウハウを生かし、近年注目されている中性子捕捉

療法のためのイメージングシステムの開発も行われています。

続いて、松本研究室の実験室を大学院生の塚田海馬さんが中心となって案内しました。当研究室では、

DNA、タンパク質、細胞(主に、ヒト、マウスなど)を用いて、放射線に対する生体の応答、防御機構を明

らかにすることを目指した研究を行っています。今回は、細胞培養のための設備(クリーンベンチ、インキ

ュベータなど)と、細胞の中での分子の挙動を見る蛍光顕微鏡などをご覧頂き、現在行われている研究の

一端を紹介させて頂きました。

後に、先導原子力研究所 1号館(大岡山北 1号館)の玄関前に全員が集合して、写真撮影を行い、無

事、見学日程を終了しました。なお、施設間の移動や入退域の際の先導に松本研究室大学院生の土屋尚代

さん、Anie Day Asa De Castro さん、また、写真撮影には、先導原子力研究所放射線安全管理室の松本

美緒さんに協力して頂きました。今回の見学が、本学の放射線、アイソトープ関連施設、設備のさらなる

有効利用、活用や研究、教育面での国際協力、貢献のさらなる発展につながることを願っています。

ペレトロン加速器施設見学の様子

松本研究室細胞培養実験室見学の様子

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No.526 2018年11月30日 東京工業大学広報・社会連携本部 広報・地域連携部門発行

©東京工業大学

編集長 千葉 明(工学院 教授)

陣内 修(理学院 准教授)

住所:〒152-8550 東京都目黒区大岡山2-12-1-E3-13

TEL:03-5734-2976 FAX:03-5734-3661

E-mail:[email protected]

最新号・過去号:

http://www.titech.ac.jp/about/overview/publications.html#h3-7

東工大クロニクル執筆要項:

http://www.titech.ac.jp/staff/relations/chronicle/chronicle.html

ISSN 1349-9300

※タイトル下に部署名/個人名がある記事は、東工大クロニクルに投稿が

あった記事です。

※記事内の所属、役職等は東工大ニュース公開時点、もしくはイベント等の開催

時点のものです。

先導原子力研究所1号館玄関前での集合写真