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TKAにおける大腿骨遠位骨切りを正確に行うための小工夫
富山労災病院 整形外科 徳永 綾乃
伊藤 芳章 平岩 利仁 平野 典和
第44回 日本人工関節学会にて発表
人工膝関節置換術;Total Knee Arthroplasty (TKA)
変形性膝関節症や関節リウマチで破壊された関節を人工関節に置換することで、膝関節の疼痛を取り除き、アライメント・機能の 再建を図る目的で行われる
TKAでは、理想的な膝アライメントと適正な靭帯バランスの獲得が術後の膝関節機能と人工関節長期生存に重要とされている
術前 術後
TKA術後coronal alignment
・大腿骨、脛骨をそれぞれの機能軸に対し 垂直に骨切りし、コンポーネントを設置する
・Mikulicz lineが膝関節中央をとおる
髄内ガイドを用いた大腿骨骨切り 1、術前レントゲンで大腿骨骨軸と機能軸のなす角度を計測
2、術中、大腿骨軸に髄内ロッドを挿入し、予定角度に骨切り ガイドを設置し、骨切りを行う
髄内ガイドを用いた場合、 20%~30%で、90 ± 3°を外れる
Deakin AH et al. Knee 2011
Mizu-uchi H et al. JBJS-Br. 2008
大腿骨コンポーネント設置角度は、
・コンピューターナビゲーション手術
・髄内ガイドと大腿骨頭マーキング
Coronal alignmentを改善する方法
肢位によりマーキングが移動する
股関節伸展位 股関節屈曲位
股関節外転・屈曲伸展中間位、下腿下垂位
術前にマーキングした肢位で術中に骨切りガイドを設置し、骨切り前にアライメントの確認が可能
対象と方法
2011.9~ 当院でTKAを施行した30症例 Scorpio, Triathlon (Stryker)
対象
コントロール(従来法); 術前レントゲン計測にて決定した外反角度で骨切り
股関節外転、下腿下垂群(下腿下垂群); 術中に骨頭中心をメルクマールとしてアライメントを確認し、 必要に応じ骨切り角度を調整
対象の内訳
コントロール群 下腿下垂群
症例数 15 15
年齢 ( 歳 ) 73.6 ± 6.3 75.8 ± 3.9 np
男性:女性 3:12 7:8 np
原疾患 ( OA:RA ) 13:2 15:0 np
FTA ( °) 181.8 ± 8.8 183.5 ± 3.2 np
ROM ( °) -11 ± 8.1 -12 ± 9.4 np ext
flex 120.0 ± 12.2 122.3 ± 13.6 np
(Student’s t-test)
方法
術前の大腿骨頭中心のマーキングは、股関節外転かつ屈曲伸展中間位、下腿下垂位にてイメージ下に行った
① 術前マーキング
② 術中角度調整
骨切りガイドをWhiteside lineに垂直かつ地面
に水平に保持し、骨頭中心をメルクマールに骨切り角度を調整しガイドを固定
検討項目
1, Mikulicz line
A B C
2, 大腿骨機能軸と コンポーネント設置角度
AB/AC x100 (% MA)
結果
1,Mikulicz lineの膝関節通過位置
コントロール群; 35.3± 15.3 下腿下垂群; 45.7 ± 9.6 p=0.034
(Student’s t-test)
0
10
20
30
40
50
60
70
80
コントロール群
下腿下垂群
外側
内側
(%)
0
1
2
3
4
5
6
-3 -2 -1 0 1 2 3 4 5
症例数
コントロール群
下腿下垂群
角度
2, 大腿骨機能軸とコンポーネント設置角度
内反 外反
コントロール群; 2.0 ± 1.93° 下腿下垂群; 0.5 ± 1.88° p=0.035
(Student’s t-test)
考察
1.術前、術中肢位でマーキングするためマーカーの位置がずれにくい
2.骨切り前にアライメントを確認して調整できる
3.下腿を下垂することで股関節の外旋がとれ、股関節から大腿骨は中間位となる
Advantage
股関節外転、屈曲伸展中間位 下腿下垂位での骨頭マーキング
Mikulicz lineは有意に膝関節中央に近くなり、
大腿骨コンポートネント設置角度も有意に改善した
Limitaion
1.症例数が少ない
2.セメンティング等のインプラント設置角度に影響を及ぼす因子の存在が除外できない