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対人コミュニケーション能力 コミュニケーション学概論
(Fall, 2016)
Topics to be covered � 対人関係欲求 � 対人魅力 � 対人関係発展と後退のプロセス � 自己開示とコミュニケーション
1. 対人関係欲求 � 人間関係の発展、維持、後退には、ヒトの基本的な「欲求」が深く関わっている。
� マズローの要求階層理論 (pp.124-126) � � � � �
� シュッツの対人要求理論 (pp.145-147) � � �
シュッツの対人欲求理論 � 「関係を築き、維持、発展していく過程で相手との対人行動に影響をあたえる欲求をさらに詳しく説明した理論 (p.145)」: � � �
� それぞれの欲求の程度(適度、過多、過少)によって対人行動は異なる形をとる
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包含欲 �
�
�
� 過少
� 周囲との人間関係が脅威に感じられる � できるだけ他者との接触を避ける
� 過多 � 自分が話の中心にならなければ満足しない � 会話に割り込む
愛情欲 �
�
� 過少
� 本当の自分を隠そうとする � 周囲との接触を避けたり、表面的
� 過多 � 相手を選ばず誰とでも親密な関係を作ろうとする � 贈り物(favor)をしたり、嫉妬したりする
支配欲 � �
� 適度 � リーダとしても、リーダーに従うための行動もうまくこなす � 他者の意見に耳を傾け、グループ全体に最適な選択を受け入れる
� 過少 � 自分の能力に対して自信が持てない � 人に引っ張ってもらうことを好む
� 過多 � 自分の気持ち、意見を通すことに全てのエネルギーを注ぐ � 権力欲が強く、他人を傷つけるのも仕方がない
2. 対人魅力 � 「出会いから、人間関係が発展してく間に強まったり、逆に衰退していく過程で弱まったりする(対人感覚)要因を「対人魅力」と呼ぶ」 (p.148)
3
5つの対人魅力 (pp.148-151)
A.
B.
C.
D.
E.
3. 人間関係発展のプロセス (pp.151-157)
�
人間関係発展のコミュニケーション (pp.151-154)
人間関係発展のコミュニケーション
❶ 出会いの段階のCommunication (p.151) Ø この先関係を発展させるかどうかを判断する段階 Ø 表面的で、当たり障りのない、社交辞令的な内容 Ø 自分と相手に直接関係のない内容に終始(スモール・トーク)
Ø 天気、時事ネタ、その他、価値観や感情とは関わらない話題
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人間関係発展のコミュニケーション
❷ 探り合いの段階のCommunication � 自分と相手とのこれからの関係を探り合う段階 � 名前や身分、年齢、興味などの交換、探り合いを行う � 自分を抑圧することなく相手と交換し合うことができる話題、趣味、考えかたを見つけるのが目的
� 微妙な非言語コミュニケーションを多用する
人間関係発展のコミュニケーション
❸ 関係強化の段階のCommunication l 自分探り合いの段階を経て、相互の信頼が深まりつつある時期。 l 性格、家族、相手への気持ち、秘密、金銭の話題、性的な話題などが登場する
l 様々な話題に対する相手の反応を観察し、反応に応じて会話を調整する
l 特定の相手との間だけで意味をもつ言語、非言語シンボルが使用されるようになる(愛称、名、
l 「わたしたち」的感覚の誕生 l 高コンテキストコミュニケーションが可能に
人間関係発展のコミュニケーション
❹ 統合の段階のCommunication � 周囲に対しても親密さが露呈する段階(関係を聞かれても肯定するようになる)
� 片方の人間に他方のことについて尋ねられたりする � 相手の気持ちを察し、相手に代わって物事を判断したりするようになる(気に入りそうなものを黙って買ったり、逆に断りなく何かを借りたり)。
� 多くのものを共有するようになる
人間関係発展のコミュニケーション
❺ 結束の段階のCommunication � 人間関係の発展の頂点的段階:社会的、法的に正式な関係となる(例:結婚)
� 二人の間の約束をシンボルとして表す契約書、署名、指輪、お揃いの服装などの非言語コミュニケーション
� 人間関係を深めるためではなく、相手に対する責任を約束したり、あるいは責任を果たすうえでの細かい約束事を取り決めたりするためのメッセージ交換が行われる
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人間関係発展のコミュニケーション
❺ 結束の段階のCommunication � 人間関係の発展の頂点的段階:社会的、法的に正式な関係となる(例:結婚)
� 二人の間の約束をシンボルとして表す契約書、署名、指輪、お揃いの服装などの非言語コミュニケーション
� 人間関係を深めるためではなく、相手に対する責任を約束したり、あるいは責任を果たすうえでの細かい約束事を取り決めたりするためのメッセージ交換が行われる
人間関係後退のコミュニケーション
人間関係後退のコミュニケーション
❶ 食い違いの段階のCommunication � 人間関係後退の最初の段階 � ちょっとした食い違いが関係の発展を妨げ、後退のきっかけとなる
� 通点ではなく、相違点に注意が向けられる � 些細な意見の食い違いから、お互いの気持ちの深い部分(価値観、感情)を攻撃する議論に発展すること
人間関係後退のコミュニケーション
❷ 制限の段階のCommunication � コミュニケーションの量、質が限られたものとなる段階 � 相違点に関する内容の会話を極力避けようとする � 出会い、探り合い、といった段階での会話内容が多くなる � 関係の改善を可能にする共通点を探そうとしたり、周囲には関係後退を隠そうとしたりする
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人間関係後退のコミュニケーション
❸ 沈滞の段階のCommunication � 譲れない相違点が、質/量ともに共通点を上回り、関係停滞する段階
� 相手との深い会話を避け、特に相違点に目に向けないようにする。 � 用意されたメッセージの使用、思ったことを口にする回数の激減 � 社交辞令的で冷たいコミュニケーション � 修復はかなり難しくなる
人間関係後退のコミュニケーション
❹ 回避の段階のCommunication � 物理的なインタラクションを回避する段階 � 非言語でによる反感、嫌悪感、憎しみなどの表現(侮蔑!)
人間関係後退のコミュニケーション
❺ 関係終結の段階のCommunication � 法律上、社会上、その他の契約、約束を集結させ、関係に終止符を打つ過程
� 個人内コミュニケーションがほとんど(自己納得や、自問自答、こころの整理)
4. 自己開示 � 人間関係の発展や後退の過程において「自分のこと(自己概念)を相手に伝える過程」(p.158)
� どのように自分を開くか、そして、自己開示と自己認識(理解)の相互影響についての理論
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(1) 自己開示と自己理解 � 各人の個性、人格も周囲との人間関係を通して理解できる。そればかりか、自己形成そのものが対人コミュニケーションによって行われる」(p.158)
� 自己開示を行うことにより、他者のフィードバックを得られ、自己理解が深まる
� 一方で、「自己理解が十分でなければ、自己開示はできない」(p.162)
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自己開示の機能 � 機能: 親密な関係構築とリスク � 機能: 自己理解の度合い � 機能: カタルシス効果
対人関係機能:親密さとリスク � 親密な関係の構築:
� リスク:
� 現代日本では、自己開示を避けてリスクを負わない傾向が高い
� 必要に応じた自己開示コンピテンスが必要
自己理解機能:相手も同様 精神衛生機能:カタルシス効果 � 精神の浄化としての自己開示
� 必要最低限の人間の欲求
� 溜まっているものを吐き出すことによって、心に新しいスペースを作り、新しい考え方を見出す余裕を自らに与える(p.163, l)