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本間 正充 国立医薬品食品衛生研究所・変異遺伝部 ICH - M7 医薬品中に含まれる遺伝毒性(変異原性) 不純物の安全性評価と TTC の考え方 201494-5ISPE-ADI設定セミナー

TTCの手法の例から食品への応用 ICH-M7 医薬品中 …本間正充 国立医薬品食品衛生研究所・変異遺伝部 医薬品TTCの手法の例から食品への応用ICH-M7;医薬品中に含まれる遺伝毒性(変異原性)

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本間 正充

国立医薬品食品衛生研究所・変異遺伝部

医薬品TTCの手法の例から食品への応用ICH-M7;医薬品中に含まれる遺伝毒性(変異原性)

不純物の安全性評価とTTCの考え方

2014年9月4-5日ISPE-ADI設定セミナー

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そもそも遺伝毒性・変異原性とは何か?

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毒性の種類

I. 一般毒性• 急性毒性• 慢性毒性

II. 特種毒性• 刺激性• 免疫毒性• 発がん性• 変異原性(遺伝毒性)• 生殖発生毒性• 神経毒性• 光毒性

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
一般毒性:明らかな形で(しばしば全身症状として)現れる毒性で、日常的に毒性と言われるのはこれである。次のように分けられる。 急性毒性:投与直後から数日以内に発現する毒性である。この急性毒性の強さの尺度として用いられるのは半数致死用量(LD50), または、半数致死濃度(LC50, 吸入毒性の場合)、すなわち同量投与された個体のうち半数が死に至る用量(濃度)である。単位としては普通mg/kg(体重1kg当りの投与mg)あるいは、mg/m3、またはppm(吸入毒性の場合、吸入ガス中濃度)を用いる。毒物・劇物などはLD50を目安に指定されている(毒物及び劇物取締法参照)。投与経路としては経口、経皮(皮膚から吸収される場合)、吸入、各種の注射(医薬品)などがある。投与後の3~4週間以内に発現する毒性は遅発性急性毒性と呼ばれる。 慢性毒性:半年から1年程度の長期間にわたり連続または反復投与されることにより発現する毒性である。また1~3か月程度で発現する毒性を亜急性(または亜慢性)毒性という。 特定の臓器・組織に機能異常または病変が現れる場合には、その臓器・組織の名を冠して「心毒性」「肝毒性」「神経毒性」などと称する。また体内の細胞(または培養細胞)に対する毒性(細胞構造の破壊、細胞死、増殖阻害等)を「細胞毒性」という。 特殊毒性:次のような各種の毒性を含む。 刺激性:皮膚や粘膜などに投与された物質によって炎症が引き起こされることをいう。物質自体によって起きる急性的影響を一次刺激性といい、物質によって特異的にアレルギー反応が起こされる場合を感作性という。なお強酸・強アルカリなどのように皮膚や粘膜自体が破壊される場合は腐食性という。 免疫毒性:免疫機能の抑制やアレルギー反応の亢進など。感作性を含めることもある。 発癌性:がんの原因となる性質。 変異原性(遺伝毒性):遺伝子または染色体の異常を起こす性質。変異原性は一般には閾値は無いと考えられている。変異原は発がんイニシエーターにもなる可能性がある。 催奇性(発生毒性):受精、受胎に係る胎児の発達(発生)に対する悪影響。胎児に奇形を起こす性質。 生殖毒性:生殖に対する影響。受精、受胎、出産時等の母体の生殖能あるいは雄親の生殖能に対する悪影響。たとえば内分泌撹乱物質(いわゆる環境ホルモンなど)による不妊などの影響が挙げられる。 光毒性:投与後、光に当たった場合に、投与物質が反応して皮膚に影響が現れるものをいう。投与物質自体による急性的影響と、感作性によるものがある。 遅発性神経毒性:末梢神経に対する遅発性の毒性。
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生殖発生毒性 遺伝毒性

生殖発生毒性 VS. 遺伝毒性

生殖細胞遺伝毒性

(次世代影響)

・DNA損傷性・染色体異常誘発性・突然変異誘発性その他

・生殖毒性性機能、性殖能に対する悪影響

・発生毒性(催奇形性)子(胎児)の発生に対

する悪影響

体細胞遺伝毒性

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
生殖毒性:雌雄生殖器官の変化、生殖可能年齢の開始時期、配偶子の生成および移動、生殖周期の正常性、性的行動、受精能/受胎能、分娩、妊娠の予後に対する悪影響、生殖機能の早期老化、または正常な生殖系に依存する他の機能における変化など 発生毒性:(a)発生中の生体の死亡、(b)構造異常、(c)生育異常、および(d)機能不全
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発がん性物質

発がん物質 VS. 遺伝毒性物質

生殖細胞遺伝毒性物質(次世代影響)

遺伝毒性物質

遺伝毒性発がん物質

非遺伝毒性発がん物質

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遺伝毒性試験法

In vitro試験

1.レックアッセイ2.ファージインダクタンステスト3.umuテスト4.微生物復帰突然変異試験

(エームステスト)5.微生物前方突然変異試験6.酵母による突然変異試験7.培養細胞による突然変異試験8.UDS試験9.SCE試験10.染色体異常試験11.小核試験12.コメット試験など

In vivo試験

1.小核試験2.SCE試験3.染色体異常試験4.UDS試験5.Pig-a遺伝子突然変異試験6.トランスジェニック動物

遺伝子突然変異試験7. コメット試験など

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遺伝毒性 VS 発がん性

遺伝毒性・発がん物質 遺伝毒性・非発がん物質

非遺伝毒性・発がん物質 非遺伝毒性・非発がん物質

定義されていない。多くの場合は遺伝毒性試験特徴に基づく非特異的な反応と考える

細胞増殖の亢進によるプロモーション作用等

遺伝毒性試験:陽性発がん性試験:陽性

遺伝毒性試験:陽性発がん性試験:陰性

遺伝毒性試験:陰性発がん性試験:陰性

遺伝毒性試験:陰性発がん性試験:陽性

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DNA 染色体

遺伝毒性物質

遺伝子突然変異・安定型染色体異常

発 が ん

遺伝毒性

変異原性

・DNA損傷・修復応答

・染色体異常・小核形成等

遺伝毒性 VS 変異原性

遺伝毒性

変異原性

細胞のゲノムに対する可逆的影響

細胞の次の世代の細胞ゲノムに対する不可逆的かつ永続的影響

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何故、変異原性発がん物質には閾値が設定できないのか?

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直接遺伝毒性発がん物質

間接遺伝毒性発がん物質

非遺伝毒性発がん物質

遺伝毒性からみた発がん物質の特徴

•DNAへ直接作用•DNA損傷あり•突然変異の誘発あり•閾値なし•不可逆的変化

•DNAへ間接作用•DNA損傷なし•突然変異の誘発あり•閾値あり•不可逆的変化

•DNAへ間接作用•DNA損傷なし•突然変異の誘発なし•閾値あり•可逆的変化

放射線紫外線アルキル化剤多環芳香族炭化水素アフラトキシン等

塩素化合物ペルオキシゾーム増殖剤ホルボールエステルホルモン類催眠薬(フェノバルビタール)等

DNA合成阻害剤トポイソメラーゼ阻害剤細胞分裂阻害剤等

変異原性

遺伝毒性

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Base

+

toluene

Pd catalyst/ Ligand 1) conc H2SO4

LiOt-Bu THF

1) NaBH4 / MgCl2 /MeOH

F3C

XCN

NH2

F3C

NH

CN F3C

NH

O

NH2

F3C

NH

O

NH

O

O

2) aqHCl

F3C

NH

HN O

O

F3C

N

HN O

O

OO

Sodium carbonate Tetrahydrofuran

Cl

O

O

F3C

N

N

O

O

O O

F3C CF3

Br

F3C CF3

Methylene chlorideNaOH/TBAB

1)

2) Ethanol/water

2) Ethanol/water

1)

Step 1 Step 2

Step 3 Step 4 Step 5

Step 6

Cl

O

O

X=Cl, Br

3) Ethanol/water

2) toluene/heptane(1) (2)

(3) (4)

(5)

合成過程の合成過程の試薬、反応中間体、副産物

医薬品の分解物

医薬品中に含まれる変異原性不純物とは?

不純物

変異原性?

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医薬品の不純物に関するICH品質ガイドライン

ICH Q3A: 原薬の不純物に関するガイドライン

ICH Q3B: 製剤の不純物に関するガイドライン

最大一日投与量 構造決定が必要な閾値 安全性確認が必要な閾値

原薬 ≦2 g 0.10% 又は 1 mg/日の低い方 0.15% 又は 1 mgの低い方>2 g 0.05% 0.05%

<1 mg 1.0% 又は 5 μg/日の低い方1 mg ~10 mg 0.5% 又は 20 μg/日の低い方10 mg~2 g 0.2%又は2 mg/日の低い方>2 g 0.10%

製剤<10 mg 1.0% 又は 5 0 μg/日の低い方10 mg ~ 100mg 0.5%又は200 μg /日の低い方100 mg ~ 2 g 0.2%又は3 mg/日の低い方>2 g 0.15%

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医薬品の不純物に関するICH品質ガイドラインQ3A/Bの問題点 (1)

たとえば、Q3B(製剤)では

1日 2gの製剤を服用し、その0.15%に遺伝毒性不純物が含まれるとしても許容される。

最大3mg/dayの遺伝毒性物質を暴露

(0.06mg/kg/day:体重50kg)

DMNは0.1mg/kg/dayでラットの50%にがんをつくる。

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医薬品の不純物に関するICH品質ガイドラインQ3A/Bの問題点 (2)

7.不純物の安全性の確認(Q3A)

本ガイドラインは、臨床試験段階で使用する新原薬に適用す

ることを意図したものではないが、本ガイドラインに示した閾値

は、開発の後期の段階において実生産を反映した工程で製造

された原薬ロット中に認められた新たな不純物を評価する上で

も有用である。

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2006年6月

EMEAガイダンス

医薬品の不純物に関する欧米のガイダンス

2008年12月

FDAガイダンス

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ICH-M7:潜在的発がんリスクを低減するための医薬品中DNA反応性

(変異原性) 不純物の評価および管理

ICH 運営委員会が遺伝毒性不純物に関するガイドラインの策定を承認(2010年、6月)

専門家作業グループが組織され、 ICH-M7ガイドライン策定作業が開始(2010年、11月 福岡)

Step2文書が完成(2012年、11月 サンディエゴ)

パブコメ対応(2013年、11月 大阪)

Step4 (2014年、6月 ミネアポリス)サインオフ

Step4ガイドラインの公表(2014年、7月 ICHウェブサイト)

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ICH-M7 Step4ガイドライン

2014年6月

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M7ガイドラインの構成

1. 諸言2. ガイドラインの適用範囲3. 一般原則4. 市販製品に対する検討事項5. 製造工程と製剤中の不純物に関する評価6. ハザード評価の要件7. リスクの特性解析8. 管理9. ドキュメンテーション10. 注記

用語解説参考文献付録(シナリオ、管理方法の事例)

本ガイドラインの実行

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ICH-M7 ガイドラインの主なポイント(安全性)

対象は低レベルでDNAに直接損傷を与える変異原物質(Mutagens)のみ

毒性学的懸念の閾値(TTC)の適用

治験薬に関しても遺伝毒性不純物のリスク評価と管理を義務づける

構造活性相関(SAR)によるin silico手法を用いて変異原性を評価する

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一般原則(エームス試験)

本ガイダンスで焦点を当てる化合物は、低レベルでDNAに直接損傷を与え変異を引き起こす可能性があり、それによってがんを誘発する可能性があるDNA反応性物質である。

このタイプの変異原性発がん物質の検出には、通常、微生物を使用した復帰突然変異試験(Ames試験)が使用される。この試験で陰性の結果が示された遺伝毒性物質は通常、閾値メカニズムを有しており、不純物としての通常の濃度では普通、ヒトでの発がんリスクはない。

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遺伝毒性閾値とTTC

用量

反応

用量

反応

閾値あり化合物(非遺伝毒性物質)

閾値なし化合物(遺伝毒性物質)

閾値 閾値なし

用量

反応

閾値を問わない化合物(遺伝毒性物質)

安全性量 実質安全性量(VSD) 安全性量?

TTC

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毒性学的懸念の閾値(Thresholds of Toxicological Concern ;TTC)

すべての化学物質について、その値以下では明らかな健康被害がないとするヒトでの包括的な実質安全性閾値(Virtual Safety Dose; VSD)の設定について述べた概念。

1.5μg/人/日 未知の化学物質の10%が発がん物質と仮定して、その

99%が10-5の発がんリスクで担保される設定閾値

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TTC算出の根拠

発がん性が最も感受性の高い毒性エンドポイントであるという仮定に基づいて、発がん性データベース(Carcinogenic Potency Database: CPDB)から得られるTD50データの分布解析から求められている。

実際のリスク評価の際のユニットリスクの算定には、線形マルチステージモデルなどの数理モデルによるフィッティングを行って求められるが、TD50からの直線外挿により、VSD(10-5~10-6リスク)を求め、その分布を解析。

Tum

or O

ccur

renc

e

Dose

0

0.2

0.4

0.6

0.8

10-6

TD50VSD(LMS)VSD(TD50)

Multi-Stage Model

Linear extrapolation fro

m TD50

Tum

or O

ccur

renc

e

Dose

0

0.2

0.4

0.6

0.8

10-6

TD50VSD(LMS)VSD(TD50)

Multi-Stage Model

Linear extrapolation fro

m TD50

Log10 Dose

Rel

ativ

e Fr

eque

ncy

Distribution of TD 50Distribution of VSD(10-6 from TD 50)

0.15 ug/day(≒0.0025 ug/kg/day)

85 %ile

Log10 Dose

Rel

ativ

e Fr

eque

ncy

Distribution of TD 50Distribution of VSD(10-6 from TD 50)

0.15 μg/day(≒0.0025 ug/kg/day)

85 %ile

63 %le

1.5 μg/day

VSD with 10-5 risk (μg/person/day ) = Weight (kg) X TD50(μg/kg)/50,0001.25 mg/kg/day (TD50) → 1.5 µg/day (TTC)

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日本での死因の生涯リスク(中央環境審議会報告書より引用)

交通事故 6×10-3(千分の6)水難 7×10-4(1万分の7)火災 6×10-4(1万分の6)自然災害 3×10-5(10万分の3)落雷 2×10-6(100万分の2)

許容リスク(発がん性の有無を問わない)

飲料水(WHO): 10-5

飲料水(USEPA): 10-6~10-4

香料(JECFA): 1.5ug/day間接添加物(FDA): 1.5ug/day

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構造アラートにより強力な発がん物質であってTTCアプローチが不適切なもの

(Cohort of Concern)

アフラトキシンAflatoxin様化合物

アゾキシAzoxy化合物

ニトロソNitroso化合物

2,3,7,8-dibenzo-p-dioxinおよびその類似体(TCDD)

ステロイド類

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ハザード評価

I. 不純物の分類

II. 構造活性相関(SAR) 解析

III. エームス試験

IV. In vivo 試験によるフォローアップ

V. Q3A/Bとの関係

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不純物分類 定義予想される管理方法

カテゴリー 1 遺伝毒性発がん物質

カテゴリー 2

遺伝毒性不明、親化合物関連しないアラート構造を有する

カテゴリー 3

遺伝毒性を有するが発がん性不明

カテゴリー 4 遺伝毒性不明、親化合物と類似したアラート構造を有する

カテゴリー 5 構造アラートの特徴なし

VSDor

PDE

非変異原物質として評価

I. 遺伝毒性不純物の分類と管理方法

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II.構造活性相関((Q)SAR) 解析

互いに相補的な2種類の(Q)SAR予測モデルを用いる

べきである。1つは専門的な経験に基づくルールベースの方法、2つ目は統計ベースの手法である。用いられる(Q)SARモデルはOECD原則に従い、バリデーションされるべきである。

DEREKOncologicHazardExpertToxtree

MCASESciQSAR (MDL-QSAR)TOPKATADMEWORKS

ルールベース 統計ベース

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II.構造活性相関((Q)SAR) 解析

コンピュータによる毒性評価

• 相補的な二つの(Q)SAR法において警告構造のないことが示された

場合は、その不純物には懸念がないと十分に結論され、更なる試験は必要とされない。

• コンピュータシステムに基づくすべての解析結果は、陽性又は陰性の予測の妥当性を支持する更なる根拠を示すために、また矛盾する結果が生じた場合には根本的原因を明らかにするため、専門的知識に基づいたレビューが必要である。

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III. エームス試験

試験はGLP規則を遵守して実施すべきであるが、被検試料の調製または分析をGLP規則に準拠して行えない場合がある。GLP規則を遵守していないことは、必ずしも臨床試験および販売承認申請を支持するためにそのデータが使用できないことを意味するものではない。

一部の試験における試験菌株の選択は、遺伝毒性が予想される物質に対する感受性が証明されている試験菌株に限られることがある。

単離や合成ができないか、または化合物の量が限られている場合の分解物については、最新の試験ガイドラインに準拠したICHに適合する細菌を用いる変異原性試験に対して推奨される最高試験濃度を達成できないことがある。変異原性物質の検出の信頼性を確保するため、250 μg/プレート以上の試験濃度が必要とされる(Kenyon et al. 2007)。

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IV. In vivo 試験によるフォローアップ

• 細菌を用いる変異原性試験の結果が陽性である不純物について、その不純物の量を適切な許容限度値で管理することができない場合などは、さらにハザード評価を行ってもよい。

• 細菌を用いる変異原性試験の結果の妥当性をin vivo条件下で関連づけるために、その不純物をin vivo遺伝子突然変異試験で検証することが推奨される。他のin vivo遺伝毒性試験を選択する場合には、その不純物の作用機序及びその曝露臓器部位に関する知見に基づいて、その科学的妥当性を示す必要がある。

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in vivo試験目的適合性の見地から試験法の選択の妥当性を示す

機序に関係するデータ

トランスジェニック突然変異試験 • 細菌を用いる変異原性試験での陽性結果。試験に用いた組織/臓器の選択の

妥当性を示すこと。

Pig-a試験

(血液)

• 直接的に作用する変異原性物質(S9非添加の細菌を用いる変異原性試験にお

いて陽性)*

小核試験

(血液または骨髄)

• 直接的に作用する変異原性物質(S9非添加の細菌を用いる変異原性試験にお

いて陽性)および染色体異常誘発性が確認されている化合物*

ラット肝UDS試験 • 特にS9のみ添加の細菌を用いる変異原性試験において陽性

• 肝代謝物に関して以下が確認されている

o 試験に用いた動物種において生成される

o 巨大付加体を誘発する

コメット試験 • 妥当性を示す必要あり(アルカリ感受性サイトの形成または突然変異を引き起こ

す可能性のあるDNA損傷に先行する一本鎖切断に対する化学的分類に特有の

作用機序)

• 試験に用いた組織/臓器の選択の妥当性を示すこと

その他 • 説得力のある根拠を示すこと

in vitro変異原性(細菌を用いる変異原性試験での陽性結果)のin vivoでの関連性を検討するための試験

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注1ICH M7ガイドラインの勧告では、不純物が遺伝子突然変異を引き

起こす可能性を評価するための最新の手法が示され、そのような不純物が安全なレベルに管理できることを確実にしているため、安全性確認の必要な閾値よりも低いか高いかを問わず、変異原性に関するさらなる安全性評価を行う必要はない。これには、細菌による変異原性の予測として初めに(Q)SARツールを使用することが含まれる。長期投与において1日あたりの不純物の量が1 mgを超える場合は、ICH Q3A/Q3Bに従い、遺伝毒性評価を考慮することができる。不純物の量が1 mg未満の場合には、他で規定されている安全性確認の必要な閾値に関わらず、さらなる遺伝毒性試験は必要ない。

V. Q3A/Bとの関係

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DNA反応性不純物の安全性確認のためのフローチャート

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7. リスクの特性解析

新しいTTC の導入(Generic TTC to Adjusted TTC)

曝露期間に応じた許容レベル(Less than Lifetime TTC)

化合物の特徴に応じた許容レベル(Compound-specific TTC)

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Haberの法則

曝露期間

曝露

レベル

T1 T2

C1

C2

C1 x T1 = C2 x T2

曝露期間

曝露

レベル

高濃度短期間曝露と低濃度長期間曝露の生涯累積用量は同価である

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TTCltl for indicatedtreatment durations

Haberの法則を考慮したTTCレベル(10-5リスク)

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0,1

1

10

100

1000

10000

100000

1 10 100 1000 10000 100000

number of treatment days in 70 years

dose

[µg/

pers

on/d

ay]

give

n on

trea

tmen

t day

s

38250

1270

100

10

1,5

120 µg

20 µg

10 µg

1,5 µg

Calculated less-than-lifetime TTC yielding <1 cancer in 105 exposed personsbased on cumulative dose concept (Haber 's rule) and

lifetime TTC of 1.5 ug(Including upper boundary to not exceed 3X)

Additional safety factors to 10-5 risk level

(300-10x)

(60-5x)(10-1x)

(7-1x)

(30-3x)

(20-1.6x)(3- +3x)

(2.3-+3x)

0.15% for 14 days (for a 1 g drug)

(25.5-1.8x)

ICH-M7で提唱するTTCレベル(10-5リスク x 追加安全係数)

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ICH-M7で提唱する許容摂取レベル

治験薬

上市医薬品

投与期間 ≤1ヵ月 >1~12ヵ月 >1~10年 >10年、 一生涯にわたる

1日摂取量(μg/day) 120 20 10 1.5

投与期間 ≤1ヵ月 >1~12ヵ月 >1~10年 >10年、 一生涯にわたる

1日摂取量(μg/day) 120 60 30 5

個々の不純物に対する許容摂取量

全不純物に対する許容摂取量

39

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LTL-TTCの上市医薬品への適用(大多数の患者への予想曝露期間に適用すると意図されている)

シナリオ 使用期間分類

-救急処置に用いられる医薬品(解毒剤や麻酔薬、急性虚血性脳卒

中など)

<1ヵ月

-最大3~6ヵ月の使用が伴う抗感染症治療(HCVなど) >1~12ヵ月

-パーキンソン病やアルツハイマー病、黄斑変性など

-乳癌や慢性骨髄性白血病などのより長期生存する患者集団へ、非

遺伝毒性型腫瘍崩壊薬を用いる場合などの余命が限られた疾患

-特別に注意喚起された医薬品

>1~10年*

-幅広い年齢層が生涯使用する可能性が高い慢性使用の疾患(糖尿

病や高血圧、統合失調症、脂質異常症、ぜんそくなど)

>10年、

一生涯にわたる

* たとえ10年間を越えても10 µg/dayが許容される高齢期発症型疾患

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懸念すべきクラス(COC)vs. 懸念が少ないクラス(COLC)

Distribution of VSD

Log10Dose

Rel

ativ

e Fr

eque

ncy Distribution of TD50Distribution of VSD

(10-6 from TD50)

0.15 ug/ day

85 % tile

COC (Cohort of Concern)

COLC (Cohort of Less Concern)

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Alert Name

Number in

CPDB % in CPDB

Number in Synthetic Routes

% in Synthetic Routes

Daily dose Resulting in a 1 in 100,000 Excess Cancer Risk (µg)

Min. 10% 25% Med. 75% 90% Max.

Aromatic amine or amide, N hydroxylamine 43 21.6 125 20.8 0.40 0.824 2.30 14.94 67.71 279.24 3636

N-Nitro or N-nitroso compound 34 17.1 0 0.0 0.009 0.04 0.098 0.35 2.81 8.98 38.52Aromatic nitro compound 33 16.6 88 14.6 0.017 0.77 4.95 13.68 139.80 296.88 793.20

Alkylating agent 19 9.5 156 25.9 2.94 3.65 6.65 45.36 79.95 1149 1656

Aromatic azo compound 9 4.5 8 1.3 1.13 1.13 1.95 4.62 73.02 844.80 844.80

Epoxide 5 2.5 13 2.2 1.79 1.79 5.355 36.84 36.84 36.84 36.84

Halogenated alkene 5 2.5 0 0.0 0.44 0.44 2.865 12.24 20.1 21.48 21.48

構造クラス別の許容レベル(10-5リスク)とその分布

(Galloway et al, in preparation)

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アルキルハロゲン化合物と、そのTD50

:モノアルキルハロゲン化合物

Brigo, A. and Müller, L. (2011) Development of the Threshold of Toxicological Concern Concept and its Relationship to Duration of Exposure, in Genotoxic Impurities (ed A. Teasdale), John Wiley & Sons, Inc., Hoboken, NJ, USA.

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化合物特異的許容摂取量(ICH-M7, Note 5)

• 調査したモノアルキルハロゲン化合物のTD50は36-1810mg/kg/day(最低値:36mg/kg/day)

• 36mg/kg/dayは43.2µg/dayのVSDに相当

• 変異原性発がん物質のモノアルキルハロゲン化合物に関してはデフォルトの10倍のTTCレベルを許容できる(15µg)

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付録(個別不純物許容摂取量)

• 医薬品の製造に汎用される不純物数十種を、Addendumとして許容摂取量を例示する予定。

• 個々の化合物に関する許容摂取量算出とモノグラフの作成が進行中。

• 2014年末をめどに個別化合物の算出報告書を纏めた後、パブリックコメントを募集予定。

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ICH-M7 Supplement

Supplement to ICH M7 - Guideline on Assessment and Control of DNA Reactive (Mutagenic) Impurities in Pharmaceuticals to

Limit Potential Carcinogenic Risk

Acceptable Intakes for DNA Reactive (Mutagenic) Chemicals

March 19, 2014

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まとめ化学物質の発がんリスク評価

一般化学物質 vs 医薬品(不純物) vs 労働者曝露?

リスク vs. ベネフィット

曝露量評価

曝露期間

対象物質の化学構造

一般化学物質

リスク

困難

一生涯

多様

医薬品

ベネフィット

容易

生涯以下

制限付

労働者曝露

?

?

?

?