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V結線は解らないと言う話をよく聞きます。 と言っている自分もつい最近まで、良く解りませんでした。 市販の参考書を見ても、解らない又は余計に訳が解らなくなった、という経験を持った方も多いと思います。ここでは、小生が理解できた手法でV結線の考え方を記載しました。 この書き込みが、何かの参考になれば幸いです。 尚、この書き込みは複素数座標及び極座標が有る程度理解されていることを前提としています。 予めご承知起き下さい。 さて、下図はV結線の回路図及びベクトル図を示したものです。 これを見て理解できる人 ==>次ページ以降の説明は不用だと思います。 これを見て理解できない人==>次ページ以降の説明を辛抱強くお読み下さい。 最後まで読んでも解らなかった人は・・・ゴメンナサイ別の参考書を読んで下さい。悪しからず・・・。
三相平衡負荷
力率=100%
Ers
Ir
Is
It
R
S
T
Irs
Ist
R
S T
Est
r
Etr
回路図
I.
rs=I.
r
I.
s I.
t
E.
rs
E.
st
E.
tr
電流I.rsは電圧E
.rsに
対して30°遅れている。
電流I.stは電圧E
.stに
対して30°進んでいる。I.
st=-I.
t
ベクトル図
ナンジャコリャと思うかも知れませんが、これがV結線のベクトル図です。
良く解らない場合は、余りじっくり見ないで、次ページに進んで下さい。
巻線RSは遅れバンク
と言う。
巻線STは進みバンク
と言う。
-1-
R線
S線
T線
ちょっとその前にベクトル図のおさらい。
ある回路に交流電圧をかけると電流が流れますが、下記回路のそれぞれの計器の読みを考えます。 この計器はマイナス値も読める直流電圧計及び直流電流計です。 あくまでも、仮想のものとしてください。
~ V
A
負荷
回路図
+- A
電圧計のイメージ 電流計のイメージ
+- V
計器の読み
+- V +- V +- V +- V +- V
0秒後 1/200秒後 2/200秒後 3/200秒後 4/200秒後
上記のメータの読みは、時刻の間隔がおおざっぱで(長すぎて)良く解りません。 今度は時刻の間隔を1/1000秒にします。 その読みをグラフ用紙に書くと下記のようになります。
このグラフを見ると解るのですが、このプロット図(点を記載したもの)はサインカーブになります。 間隔 1/1000秒
電圧計を例にとって具体的な計器の様子を見ることにします。 50Hzの場合を記載しますが、1秒間に針は盤面上を50往復しますので普通では目で追えません。 仮想ですが、読めたらこうなると言う話です。
-2-
これをベクトル図では左記のように書きます。 →の長さは上のグラフの波高値※です。 向きは、これ1本のみのベクトルですので、3時の方向に書きます。 ※実はベクトルの長さを波高値とするのは一般的では有りません。 実際は実効値の長さとします。 実効値と波高値の関係式は下記になります。 実効値=波高値/√2 例 実効値100Vの波高値は141Vです。 以降ベクトル図のベクトル長さは全て実効値とします。
1サイクル360°
今度はグラフがサインカーブになることが解りましたので、横軸の間隔を時刻では無く角度で表現します。
間隔 18°
角度
電圧
波高値
今度は電圧のグラフ曲線を連続線に直し、且つ、電流計の読みを重ねて見ます。 赤い線が電圧計の読みで、青い線が電流計の読みです。このグラフを見ると解るのですが、電流波形が電圧波形に対してθ°右側にずれています。 右側にずれた波形は時刻としては遅れています。 これを、電流は電圧に対して遅れていると言います。遅れる度合いを角度で示したものが、位相角です。 反対に左側にずれた場合は「進み」と言います。 例えば、50Hzの場合で電流が電圧の右側に30度ずれている場合、で考えてみます。 50Hzは、角度に直すと18000度/秒(360度×50)になります。 30度は時間にしてどの位かを計算すると、30/18000=1/6000秒です。 つまり、電圧が最大値になった1/6000秒後に電流が最大値になります。 だから遅れになります。 これをベクトル図で書くと左図の様になります。
又、ベクトルを文字で書く場合、E.といった具合に、
頭に「・」を付けます。
単にEと書いた場合はE.の長さ(絶対値)を示します。
ここでは間違えるといけませんので、長さを示す場合
は|E.|と書きます。
ベクトル図のおさらいはこれでおしまい。
次は力率のおさらいです。
電流は電圧に対して位相角θの遅れ。
電流ベクトルの長さは電流値の実効値。
電圧ベクトルの長さは電圧値の実効値。
-3-
前ページで説明した位相角θですが、力率とはこの角度のCOS値を取ったものです。 つまり、力率=COSθです。 直流回路では電力、電圧、電流の関係式は下記になります。 電力=電圧×電流 一方、交流回路ではこうなります。 電力=電圧×電流×力率 =電圧×電流×COSθ 一般的にθは-90°≦θ≦90°の範囲にありますので0≦COSθ≦1の値を取ります。 例 電源電圧AC100V、電流1A、位相角30°の場合 電力=電圧×電流×力率 =100V×1A×COS30° =100V×1A×√3/2 =86.6W 余談ですが、力率と効率は別の係数です。 力率が悪い(値が小さい)と言っても効率が必ずしも悪い訳ではありません。 ご注意下さい。 力率の話はこれでおしまい。次は三相交流のおさらい。(力率の話は24ページ以降に書いてあります。)
力率のおさらい。
三相交流のおさらい。
下図はY(スター)結線三相3線200V回路を示したものである。
ここで問題1
線電流値は幾つか?(¦I.
r|=|I.
s|=|I.
t|) 解答 負荷の容量がkWで与えられていますので、次の関係式が得られます。(三相交流の公式を使う。) 電力=√3×線間電圧×線電流×力率 線電流=電力/(√3×線間電圧×力率) =80000/(√3×200×0.8) ≒289A
次ページに続く
線間電圧が200Vの三相平衡負荷
入力容量=80kW 力率=0.8(遅れ)
200V
20
0V
200V
Ir
Is
It
R
S
T
R
S
S T
N
R線
S線
T線
-4-
問題2 位相角は何度か? 解答 COSθ=0.8と与えられていますが、 これを満足するθの値は数値表から拾う意外方法は有りません。 MS社製のエクセルで計算するとθ=36.86989765°と計算されます。 問題3 三相電圧のベクトル図を書け 解答 下図の様になります。電圧値に注意。
R
ST
120°
120°
120° N
115V
問題4 このベクトル図を元に電流ベクトルを書け。 解答 下図の様になります。
ST
N
RIr
It
Is
電流は電圧に対して36.9°遅れている。
解説 電流値(=289A)及び位相角(=36.9°)は前もって計算していますので大きさは解っています。 位相角θはどの電圧ベクトルに対しての位相角なのかが非常に重要です。 電流Irは電圧RNに対して位相角θを取ります。 Is、Itも同様です。 尚、力率の解説は24ページ以降に解説を書きました。併せてご覧下さい。
次ページに続く
115V=200V÷√3
-5-
参考問題 線間電圧のベクトル図を書け。 解答 下図の様になります。ベクトルの向きに注意。
115V
T
R
S
120°
120°
120° N
115V
T
R
S
120°
120°
120° N
30°
30°
30°
線間電圧のベクトルを平行移動すると
こうなります。
線間電圧のベクトルはトランス巻線の電圧ベクトルに対して、大きさが√3倍で位相角が30度進んだ
電圧になります。
どうしてこうなるかは触れない事にします。
ここでは、なるからなるとしてください。
次ページに続く
-6-
三相交流のおさらい。続き
下図は△(デルタ)結線三相3線の200V回路を示したものである。
問題5 三相電圧のベクトル図を書け。 解答 下図の様になります。
R
ST
R
ST
R
ST
←このベクトルを
バラバラにすると
こうなる→
R
S
T
RS
T
↑さらに平行移動すると
←こうなる
次ページへ続く
120°
120°
120°
線間電圧が200Vの三相平衡負荷
入力容量=80kW 力率=0.8(遅れ)
200V
20
0V
200V
Ir
Is
It
R
S
T
Irs Itr
Ist
-7-
R線
S線
T線
問題6 電流Irs、Ist、Itrを求めなさい。 解答 もう一度図を掲載します。
線間電圧が200Vの三相平衡負荷
入力容量=80kW 力率=0.8(遅れ)
200V
20
0V
200V
Ir
Is
It
R
S
T
Irs Itr
Ist
ここのR点に注目するとキルヒホッフの定理より下記の方程式が建てられます。
R点に流入する電流をプラス、流出する電流をマイナスと定義すると プラスとマイナスの和はゼロになります。
流入する電流=I.rs
流出電流=I.r及びI
.tr
従って、I.rs-I
.r-I.tr=0
これを変形すると
I.r=I.rs-I
.tr ---- ①
となります。
同様に
I.s=I.st-I
.rs ---- ②
I.t=I.tr-I
.st ---- ③
①~③の方程式を解けばIrs、Ist、Itrが求まりますが、この方程式はそのままでは解けません。
ここでベクトルオペレータなるものを導入します。
ベクトルオペレータをαと書きます。
α=-1/2+j√3/2という複素数です。
これは下図の値を持つ長さが1のベクトルです。
半径が1の円
j√3/2
-1/2
つまり、1∠120° (長さが1、角度が120度)と等価です。 α=-1/2+j√3/2ですから、 α2=-1/2-j√3/2になります。 1∠240°と等価です。 α3=1です。 1∠0°又は360°と等価です。 これを使って①~③の方程式を変形します。
次ページに続く虚数軸
実数軸
R
S T
R線
S線
T線
-8-
もう一度方程式を書きます。
I.r=I.rs-I
.tr ---- ①
I.s=I.st-I
.rs ---- ②
I.t=I.tr-I
.st ---- ③
I.s及びI
.tを変形し、αを使って表現すると下記になります。
I.s=α2I
.r
I.t=αI
.r
同様にI.tr及びI
.stを変形すると下記になります。
I.st=α2I
.rs
I.tr=αI
.rs
これを元の①式に代入すると下記になります。
I.r=I.rs-αI
.rs
=(1-α)I.rs
I.rs=I
.r/(1-α)
=I.r/{1-(-1/2+j√3/2)}
=I.r/(3/2-j√3/2)
=2I.r/(3-j√3)
=2I.r×(3+j√3)/{(3-j√3)×(3+j√3)}(分母の有理化)
=2I.r×(3+j√3)/(32+√32)
=2I.r(3+j√3)/12
=I.r(1/2+j√3/6)
=I.r(1/2+j√3/6)×(√3/√3)
=(I.r/√3)×{(1/2+j√3/6)×√3}
=(I.r/√3)×(√3/2+j1/2)
この式は下記の事を示します。
I.rsはI
.rに対して大きさが1/√3で30度進んだベクトルである。
つまり下図の様になります。
I.rはスター結線電源の場合と負荷が同じですから、同じ値になります。
つまり、|I.r|=289Aです。
従ってI.rsの大きさは|I
.rs|=|I
.r|/√3=289/1.732=167Aです。
I.rs=
半径が1の円
√3/2
j1/2 I.r
1/√3 ××30度
=I.r
30度
I.rs
同様にIst及びItrを求める事が出来ます。
次ページに続く
長さを1/√3にしろ。 位相を30°進ませろ。
これが解答。
I.rのベクトル図。
長さは1
-9-
問題7
I.rs、I
.st、I
.trのベクトル図を、E
.rs、E
.st、E
.trの電圧ベクトルと重ねて書け。
解答
これまでに記載されたものを逆に追えば書けるハズです。
三相交流(都合が良いことに完全に平衡している)ですから要素の1つが解れば、残りの2つは120度の位
相でずれるだけです。だから、すぐに解ります。
解っていることを順に追うと・・・。
I.rsはI
.rに対して大きさが1/√3で30度進んだベクトルです。
I.rは電圧E
.rに対して36.9度の遅れ位相角を持ち、大きさが289Aです。
今回はデルタ結線なので・・・!! 電圧E.rが無い!!
これじゃワカンナイになってしまいます!
それじゃ、E.rsとI
.rsの位相角は?・・・何処にも書いていません。
つまり解らない事になってしまいます。
もうお解りだと思いますが、デルタ結線の場合は仮想のスター結線電圧を考えないと電流ベクトル図は書けま
せん。
結果を下図に示します。
点線の部分(E.
rn、E.
sn、E.
tn)が仮想の部分です。
I.
r289A
I.
s
電流I.rは電圧E
.rnに対
して36.9°遅れている。
I.
t N
E.
rs200V
E.
st
E.
tr
E.
rn115V
E.
sn E.
tn
I.
rs
I.
tr167A
I.
st
電流I.stは電流I
.sに対
して30°進んでいる。
電流I.stは電圧E
.stに対
して36.9°遅れている事
がここで始めて解る。
かなりゴチャゴチャのベクトル図になりました。 我慢してじっくりご覧下さい。 ベクトルのそれぞれの値(長さ)はそれぞれの要素の1つにだけ書いて有ります。 (全部に書くと図がゴチャゴチャになる。)
次ページに続く
-10-
ここからいよいよV結線の話に入ります。
理解を助ける為に下記の問題を解いて下さい。
R
S T
N
200V
20
0V
200V
Ir
Is
It
線間電圧が200Vの三相平衡負荷
入力容量=100kW 力率=100%
R
S
T
S
線間電圧が200Vの三相平衡電源
R
S
T
S
下図は三相3線200V回路を示したものである。 下図に示した電源の種類に応じて、線電流を求めなさい。 各電源の線間電圧は何れも200Vで同じである。 力率=100%であることに注意すること。
問題
R
S T
R
S T
スター結線 デルタ結線 V結線
解答 電圧が平衡電源、負荷が平衡負荷と解っていますので、3線の線電流の大きさは全て同じ値になります。 線間電圧、負荷容量、力率、線電流の関係は公式で下記のように決まっています。 負荷容量=√3×線間電圧×線電流×力率 100000=√3×200×線電流×1 線電流=100000/(√3×200×1) ≒289A
¦I.r¦=¦I
.s¦=¦I
.t¦=289Aです。
この計算のみで値は算出できてしまいます。 つまり、負荷側から見た場合、線間電圧が同じで相回転が同じ三相電源は全て同じ電源と言えます。 上記3種類の電源は負荷側から見れば、同じ電源です。 従って、3種類何れの電源を接続しても線電流の大きさ(¦I
.r¦、¦I
.s¦、¦I
.t¦)は全て同じになります。
-11-
R線
S線
T線
続いて下記の問題を解いて下さい。
問題 3種類の電源の種類に応じて、電圧と電流のベクトル図を全て書け。(基準ベクトルはどのベクトルでも良い。)
スター結線の場合
R
S T
N
Ir
Is
It ST
N
R
Ir
It Is
289A
115V
回路図 ベクトル図
Ir
Is
It
解説 回路図を見ると解るのですが、スター結線は、線電流=巻線電流となります。 力率が100%ですから、巻線電圧(スターの電圧)と巻線電流は同相になります。
デルタ結線の場合
ST
R
115V
電圧ベクトル図の下図 回路図
N
R
S T
R
S T
I.
r
I.
s
I.
t
I.
rs
I.
st
I.
tr
I.rを求める為に考えた 仮想の電圧
¦Irs¦ =¦Ir¦/√3=167A
¦Ir¦= 289
I.rsはI
.rに対して
30°の進み
I.
tr
I.
st I.
s I.
t
電流ベクトル図の下図
I.rはI
.rsに対して
30°の遅れ
完成したベクトル図
解説は次ページ参照 -12-
解説 力率が100%と言うことは、線電流が仮想のスター電圧に対して位相角が0°と言うことです。
従って、線電流ベクトルI.rは仮想の電圧ベクトルE
.rnに対して同相になります。
電流ベクトルの下図でわざわざ仮想のスター電圧ベクトルを書いたはこのためです。 巻線電流Irsは線電流Isと比較すると、長さが1/√3になり位相が30°ずれることは、前に説明した通りです。 デルタ結線の巻線はスター結線の巻線と比較した場合、電圧が√3倍になる代わりに、電流が1/√3倍になります。 つまり、トランスとしての容量は変わりません。 (三相トランス容量=巻線電圧×巻線電流×3) 尚、力率が100%の時は、巻線電流が巻線電圧に対して同相になります。
V結線の場合
さて、いよいよV結線です。 まず、回路図を書きます。下図参照。 この回路図はデルタ結線の回路図から巻線TRを撤去したものです。 前に説明した通り、V結線でも、線電流Ir、Is、Itは他の電源と比較しても、全く変わりません。
この部分は電源の種類が変わっても変わらない。
T点の部分に注目して下さい。
I.stはこの点から見ると、流出する電流です。
I.tも流出する電流です。 T点から見ると流出する電流しか有りません。 しかし、キルヒホッフの法則はこの様な場合でも成立します。 流出する電流と流入する電流の和はゼロです。 従って、流出する電流をマイナスで表現すれば、次の方程式が成立します。
-I.st-I
.t=0
従って、I.st=-I
.t <=非常に重要な方程式!(これが理解できないとV結線は理解できない。)
I.stはI
.tと長さが同じで位相が180°異なる電流ベクトルである。
これもV結線を理解する上で非常に重要な事項です。
R点に注目して下さい。
流入する電流はI.rsだけ、流出する電流はI
.
rだけです。 流出する電流と流入する電流の和はゼロですから、次の方程式が成立します。
I.rs-I
.r=0
I.rs=I
.r
つまり、I.rとI
.rsは同じ電流になります。
これはV結線を理解する上で非常に重要な事
項です。
R
S T
I.
r
I.
s
I.
t
I.
rs
I.
st
回路図
-13-
次は電圧のベクトル図です。 結果を先に記載すると下図のようになります。 ご覧の通り、デルタ結線のベクトル図と全く同じです。
ST
R
V結線の電圧ベクトル図
どうしてこうなるかは非常に単純な理由で説明できます。 V結線は三相電源です。 <==当たり前の話 ここで、もし、下記のようなベクトル図になったとしたら、これは三相電源では有りません。 三相電源は電圧ベクトルが最低3本必要です。 従って、上記の図になります。
ST
R
間違ったV結線の 電圧ベクトル図A
ST
R
間違ったV結線の 電圧ベクトル図B
巻線そのものは、確かにTR間には有りません。 しかし、巻線RS及び巻線STに依り、端子T~端子R間には電圧が発生します。 従ってベクトルが3本書けます。 世の中の参考書には上記A及びBの様に書かれたものも有ります。 筆者の独断と偏見ですが、これは間違いだと思います。 三相電源で電圧ベクトルが2本しか無いような説明では訳が解らなくなってしまいます。
次ページから、具体的にベクトル図を書いていきます。-14-
まず、電圧ベクトルを書きます。 仮想のスター電圧ベクトルを加筆します。(下図1) 次にベクトルを平行移動して下図2とします。
ST
R
下図1 (V結線の電圧ベクトル)
次ページに続く。
下図2 (V結線の電圧ベクトル)
次に、線電流を加筆します。(下図3) 力率が1ですから、線電流は仮想のスター電圧と同相になります。 この電流ベクトルを書くために仮想のスター電圧ベクトルが必要です。
E.rn
下図3
E.tn E
.sn
E.st
E.rs
E.tr
I.r
I.s
I.t
E.rn
E.sn
E.st
E.rs
E.tr
E.tn
¦I.r¦=289A
-15-
ここで仮想のスター電圧ベクトルを撤去します。(線電流が書けた後なので、用は無い。)
次に巻線電流I.rs及びI
.stを書くのですが・・・。
当たり前の話ですが、巻線電流I.trは有りません。(巻線そのものが無いのだから巻き線電流も無い。)
まずは、I.rsから書きます。
回路図の説明をもう一度読み返して欲しいのですが、
「I.rs=I
.r つまり、I
.rとI
.rsは同じ電流になります。」と書いてあります。
ですから、I.rsは既に書けています。
今度はI.stです。
これも「I.st=-I
.t I.stはI
.tと長さが同じで位相が180°異なる電流ベクトルである。」と書い
てあります。
従って、下記のような図が書けます。
次ページに続く。
完成図
E.st
E.rs
E.tr
I.r=I.rs
I.s
I.t
I.rs=I
.r
¦I.r¦=¦I
.sr¦=289A
既に書けている。
I.st=-I
.t
¦I.t¦=¦I
.st¦=289A
I.stはI
.tを反転したもの
I.rs(巻線電流)はE
.rs(巻
線電圧)に対して 30°遅れ
ている。
従って、RSバンクを遅れバ
ンクと言う。
I.st(巻線電流)はE
.st(巻線電
圧)に対して30°進んでいる。
従って、STバンクを
進みバンクと言う。
I.st=-I
.t
-16-
ここで問題を変えます。
次ページに続く。
完成図 力率80%のベクトル図
E.st
E.rs
E.tr
I.r=I.rs
I.s
I.t
I.rs=I
.r
¦I.r¦=¦I
.sr¦=289A
I.rs(巻線電流)はE
.rs(巻線
電圧)に対して 30°+36.9°
=66.9°遅れる。
RSバンクから見ると極端な
遅れ力率に見える。
I.st(巻線電流)はE
.st(巻線電
圧)に対して 36.9°-30°=
6.9°の遅れになる。
STバンクから見ると事実上力
率100%に見える。
I.st=-I
.t
200V
20
0V
200V
Ir
Is
It
線間電圧が200Vの三相平衡負荷
入力容量=80kW 力率=COSθ =80%(遅れ) (θ=36.9°)
R
S
T
S
下図は三相3線200V回路を示したものである。 各電源の線間電圧は何れも200Vで同じである。 この回路のベクトル図を書け。 力率=80%、容量=80kWであることに注意すること。
問題
R
S T
前の問題と異なる部分は負荷の容量と力率が変わった事です。
kW値と、力率が同時に変わっています。
kVA値は100kVAとなりますので、前の問題とkVA値は同じです。
つまり線電流値の絶対値は289Aで同じです。
結果を下図に示します。(途中経過は略)
疑問?
これらは問題に
なるのか?
-17-
R線
S線
T線
前ページの疑問を考える前に次の事を検証します。
負荷は力率80%遅れ負荷でしたが、これに力率改善用コンデンサを付けて、力率を100%にしたらど
うのようになるのでしょうか?。
下図は力率改善用コンデンサ60kVarを接続した図です。(力率は100%に改善される。)
200V
Ir
Is
It
線間電圧が200Vの三相平衡負荷
入力容量=80kW 力率=COSθ =80% (θ=36.9°)
R
S
T
S
R
S
200V
20
0V
T
SC 60kVar
R S T
まず線電流を計算します。
力率が100%に改善されていますので、負荷容量は80kW=80KVAになります。
線電流=負荷容量KVA値/200/√3ですから、
=80000/200/√3
≒231Aとなります。(¦I.r¦=¦I
.s¦=¦I
.t¦=231A)
下図のベクトル図が書けます。
100%力率のベクトル図
E.st
E.rs
E.tr
I.r=I.rs
I.s
I.t
I.rs=I
.r
¦I.r¦=¦I
.sr¦=231A
30°遅れ。
30°進み
I.st=-I
.t
次ページに続く -18-
R線
S線
T線
6.9°遅れ
ここで、力率改善前と改善後を比較します。
(ベクトル図の電圧ベクトルは長さを省略しています。)
-19-
力率80%のベクトル図
E.st
E.rs
E.tr
I.r=I.rs
I.s
I.t I
.st=-I
.t
66.9°遅れ
力率100%のベクトル図
E.st
E.rs
E.tr
I.r=I.rs
I.s
I.t
30°遅れ。
左図で 僅か 6.9°の遅れであったものをわざわざ 30°進みにした。
I.st=-I
.t
改善前 改善後
電流値
¦I.r¦=¦I
.s¦=¦I
.t¦=¦I
.rs¦=¦I
.st¦
=289A トランス1バンク当たりの負担 負担=巻線電圧×巻線電流 =200V×289A =57,800VA=57.8KVA
電流値
¦I.r¦=¦I
.s¦=¦I
.t¦=¦I
.rs¦=¦I
.st¦
=231A トランス1バンク当たりの負担 負担=巻線電圧×巻線電流 =200V×231A =47,200VA=47.2KVA
上記2つのパターンを見比べると下記のことが解ります。
電流値が改善前と比較すると改善後は58A減っています。
従って、電源供給に必要なトランス容量が変わります。
1バンク当たりの負担は力率改善前で57.8KVA、改善後で47.2KVAです。
従って、これを満足する汎用トランスは下記になります。
力率改善前:75KVA×2バンク
力率改善後:50KVA×2バンク
たまたま、容量が汎用トランスの容量の境目になりましたの、この様に都合の良い結果となっていますが、
同じトランス容量が必要になる負荷容量の場合でも、力率を改善することに依り、確実に電流値は減ります。
従って、トランスの負担は減りますので、トランスの損失を減らす事が出来ます。
又、上記回路で必要な配線材料を比較した場合下記のようになります。
配線材料の許容電流のみで比較した場合です。(電圧降下は無視しています。)
改善前:IV200×3+配管(許容電流328A)
改善後:IV150×3+配管(許容電流276A)
この様に力率を改善した結果は確実に出ます。(電流値が間違いなく少なくなる。)
ところで、位相のずれの話はどうなった?
次ページに続く
力率改善前のベクトル図で、遅れバンクの位相差が極端(66.9度の遅れ)になっている事が問題(?)
になっていました。
下図ベクトル図はその部分のみを抽出したものです。
E.rs
I.rs= I
.r
I.rs=I
.r
¦I.r¦=¦I
.sr¦=289A
I.rs(巻線電流)はE
.rs(巻線
電圧)に対して 30°+36.9°
=66.9°遅れる。
RSバンクから見ると極端な
遅れ力率に見える。
-20-
電気理論に従えば、この回路に進み電流(コンデンサによる進み電流)を流してやれば、極端な位相のず
れは解消できるハズです。(下図の様に考える。)
この様な電流を流すコンデン
サを取り付ければ、・・・。 この電流はこうなるハズ。
それでは・・・と言うことで、この電流値を計算で求めます。
必要な電流値=元々の電流値×SINθで求まります。
元々の電流値=289A θ=66.9°です。(SIN66.9°=約0.92になります。)
必要な電流値=289A×0.92=266Aになります。
必要なコンデンサの容量は電流×電圧で求まります。
コンデンサ容量=266A×200V=53200VA=53.2KVAとなります。
世の中に53.2KVAというコンデンサは売っていませんが、此処では現存するとします。
このコンデンサを接続したのが下記の回路図です。
289A
200V
Ir
Is
It
線間電圧が200Vの三相平衡負荷
入力容量=80kW 力率=COSθ =80% (θ=36.9°)
R
S
T
S
R
S
200V
20
0V
T
SC 53.2kVar
R S
Ir
Is
It
Ir
I.c
I.c
Ic
Ic
次ページに続く
R線
S線
T線
前ページの回路図を元にベクトル図を書いたのが下記のベクトル図です。
-21- 次ページに続く
6.9°遅れで変わらず
単相コンデンサを取り付けたベクトル図 その1(実は間違いが有る。)
E.st
E.rs
E.tr
I.s
I.t I
.st=-I
.t
66.9°遅れであったものを
解消した。
コンデンサを取り付ける前の
I.r=I.rs(289A)
コンデンサを取り付けた後の
I.r=I.rs
¦I.r¦=¦I
.rs¦
=289A×COS66.9°
=113A
約40%の値になった。
ヤッタ!! I.t
I.c
実は上記のベクトル図には間違いがあります。
I.sベクトルが間違っています。
回路図をもう一度よく見て欲しいのですが、I.rsは確かに上記のベクトル図の通りです。
新I.rs=旧I
.rs+I
.cです。
ところが、S線に流れる電流、つまり電源のS端子から負荷のS端子に渡る配線部分のトランス直後の部
分は下記のように書いてあります。
此処にはI.s(矢印→)とI
.c(矢印←)が書いて有ります。
つまりS線の線電流はI.s-I.cです。
これを折り込んだベクトル図は下記になります。
単相コンデンサを取り付けたベクトル図 その2
E.st
E.rs
E.tr 旧I
.s
I.t I
.st=-I
.t
66.9°遅れであったものを
解消した。
コンデンサを取り付ける前の
I.r=I.rs(289A)
コンデンサを取り付けた後の
I.r=I.rs
¦I.r¦=¦I
.rs¦=113A
I.c
-I.c
新I.sはこれになる。
長さを計算すると
新I=√(旧Is2+Ic2)
=√(2892+2662)
=393A!
となる。(電流値が増える!)
前ページのベクトル図を整理したものが下記です。
最終的な結果だけを示しました。
-22- 次ページに続く
単相コンデンサを取り付けたベクトル図 その3
E.st
E.rs
E.tr
I.st=-I
.t
コンデンサを取り付けた後の
I.r=I.rs
¦I.r¦=¦I
.rs¦=113A
I.t
I.c
新I.sはこれになる。
¦新I.s¦=393A!!
線電流だけを取り出したベクトル図を書くと下記になります。
単相コンデンサを取り付けたベクトル図 その4
E.st
E.rs
E.tr
新I.t=旧I
.t=289A
新I.s=393A
新I.r=113A
上記の線電流になった結果、何が起きるかを検証します。
各配線の線電流の値から電線太さを求めると下記になります。 Ir:電流値113A、配線太さIV38(許容電流=113A)×1 Is:電流値393A、配線太さIV325(許容電流=455A)×1 It:電流値289A、配線太さIV200(許容電流=328A)×1 と言った具合で、各線バラバラになります。(電流比率は約1:4:3) 通常この様な配線はしません。一番太い配線に他の2本を合わせます。
従ってIV325×3と言う結果になります。 単相コンデンサを取り付ける前がIV200でしたから、2ランクアップのサイズが必要になります。 しかし、悪い事ばかりでは有りません。 今度は必要なトランス容量を計算します。 RSバンク(遅れバンク)に必要なトランス容量は何もしない場合(素の状態)では75KVAが必要でした。
今回はこのバンクに流れる電流の大きさ¦I.rs¦=113Aです。
従って、113A×200V=22600VA=22.6KVA==>必要トランス容量:30KVA つまり、遅れバンクは30KVA、進みバンクは75KVAの異容量V結線が可能になります。
何か釈然としませんので、次ページでは比較表を作って見ました。
各パターンを比較すると下記になります。
-23-
素の場合 線電流 Ir:電流値289A Is:電流値289A It:電流値289A
配線太さ R線:IV200(許容電流=328A) S線:IV200(許容電流=328A) T線:IV200(許容電流=328A)
トランス容量 遅れバンク:75KVA×1 進みバンク:75KVA×1 合計:150KVA
コンデンサ容量:無し 力率:80%
三相コンデンサを付けた場合 線電流
Ir:電流値231A Is:電流値231A It:電流値231A 配線太さ R線:IV150(許容電流=276A) S線:IV150(許容電流=276A)
T線:IV150(許容電流=276A) トランス容量
遅れバンク:50KVA×1 進みバンク:50KVA×1 合計:100KVA コンデンサ容量:三相60kVar 力率:100%
単相コンデンサを付けた場合 線電流 Ir:電流値113A Is:電流値393A
It:電流値289A 配線太さ(理論値) R線:IV38(許容電流=113A) S線:IV325(許容電流=455A) T線:IV200(許容電流=328A) 配線太さ(現実値)
R線:IV325(許容電流=455A) S線:IV325(許容電流=455A) T線:IV325(許容電流=455A) トランス容量 遅れバンク:30KVA×1 進みバンク:75KVA×1
合計:105KVA コンデンサ容量:単相53.2kVar 力率:見なし力率で87.2%
単相コンデンサを取り付けた場合の力率が良く解りません。 仕方が無いので、無理矢理下記のような計算式を立てて計算することにします。
見なし力率 =負荷KW値÷(R線電流値×仮想RN電圧+S線電流値×仮想SN電圧+T線電流値×仮想TN電圧) これを素の場合で計算すると =80KW÷(289A×115.4V+289A×115.4V+289A×115.4V) =80kw÷100KVA
=80%と計算できますのであながちデタラメな計算式では無いようです。 単相コンデンサを取り付けた場合で計算すると 見なし力率 =80KW÷(113A×115.4V+393A×115.4V+289A×115.4V) =87.2%と言う数値を得ます。
この値は余り良い数値とは言えないと思います。 従って下記のように結論付けます。 V結線に単相コンデンサを取り付けるのは意味のある行為とは思えない。 線電流が不平衡電流となり、且つ設置前に比べて電流値が増加する線が有り、配線材料のサイズアップが必要となる等の弊害が生じる。
力率の改善とは電流値を減らす事に有るが、この場合逆に増え、本末転倒である。 電圧ベクトルと、線電流ベクトル間に生じる位相角と力率角を混同してはイケナイ。 取り敢えず此処までとします。 次ページは力率の話です。
番外編:力率の話
-24- 次ページに続く
そもそも力率とは何でしょうか? 力率=COSθと言いますが、このθ(力率角)は何処の角度なのでしょうか? もう一度最初から考えて見ましょう。
下図は単相回路の場合です。
電流ベクトルの長さは電流値の実効値。
電流は電圧に対して位相角θの遅れ。
電圧ベクトルの長さは電圧値の実効値。
これは解りやすいと思います。 単相電源と単相電流の位相差をθ°(力率角と言う。)とすれば、力率はCOSθです。 これだけの事です。 図の中に力率角は見えています。 見たまんまです。 では、三相の場合は?
三相の場合の力率の話をします。
4ページの回路図を変形して下記の様な回路図にします。
三相4線式の回路です。
N線は新たに追加しましたが、他は全く同じです。(負荷容量も変わらない。)
-25- 次ページに続く
線間電圧が 115V/200Vの三相平衡負荷 力率=0.8(遅れ)容量=80kW =100KVA
200V
Ir
Is
It
R
N
S
T
R
S
N
T
200V
20
0V
115V
115V
11
5V
Ir+Is+It
R線
S線
N線
T線
上記の回路はよく見ると下記の回路と等価です。
Ir R
N
R
N
115V
Ir
R線
N線
Is
N
S S
N
115V
Is
S線
N線
線間電圧が 115Vの単相負荷 力率=0.8(遅れ) 容量=80/3kW =100/3KVA
It
N
T N
T
115V
It N線
T線
同上
同上
+
+
R相
S相
T相
つまり、単相回路×3セットです。(負荷は三等分する。)
単相回路だったら解析は単純です。
と言うことで・・・
この単相回路の負荷電流を計算してみましょう。
各相供、計算式は同じです。
負荷電流=負荷KVA値÷電源電圧
=(100/3KVA)÷115.47V(115Vは正確には115.47Vになる。)
=289A
因みに三相交流の公式を使った計算は次の様になります。
負荷電流=負荷KVA値÷電源電圧÷√3
=100KVA÷200V÷1.732
=289A
同じ結果が得られます。
この単相回路×3セットのベクトル図は下図の様になります。
-26- 次ページに続く
電流は電圧RNに対して36.9°遅れている。
R
N
Ir S
N
Is
電流は電圧SNに対して36.9°遅れている。
T
It
電流はTN電圧に対して36.9°遅れている。
N
ここで、N線の電流値を考えます。
N線の電流値はIr+Is+Itです。
つまり電流値はゼロになります。
ゼロAが流れる電線だったら有っても無くても同じです。
従って撤去します。
こうすると変形した前の回路(三相3線式)変形後の回路(三相4線式)の回路に流れる電流は全く同じ
で有ることが解ります。
つまりスター結線の力率とは巻線電圧と線電流の位相差θのCOS値を取ったものです。
従って、力率角θとは巻線電圧と、線電流の位相角を言うと言えます。
上記のベクトル図にはθの値が3箇所同時に同じ値で出現しています。
ではデルタ結線やV結線の場合は?
このベクトル図を繋ぎ合わせると下記のベクトル図になります。
電流は電圧RNに対して36.9°遅れている。この角度が力率角。
R
N
Ir
S
Is
電流は電圧SNに対して36.9°遅れている。この角度が力率角。
T
It
電流は電圧TNに対して36.9°遅れている。この角度が力率角。
スター結線の力率角の説明図
デルタ結線の場合の力率及び力率角θの考え方
デルタ結線のベクトル図は下図になりますが、見れば解るとおり、N点は有りません。
-27-
次ページに続く
ST
R
V結線の電圧ベクトル図
N点が無いのなら・・・仮想で良いから作れば良い。と考えます。
と言う訳で、勝手に仮想のスターベクトルを考えます、下図参照
ST
R
デルタ結線の電圧ベクトル +仮想のスター結線電圧ベクトル図
N
都合が良いことに、デルタ結線のベクトル図は平衡電圧ですから、
N点は正三角形の重心点にピタリと納まります。
このベクトル図に線電流の電流ベクトルを加筆すると力率角θが見えます。下図参照。
つまりデルタ結線の力率角θとは仮想のスター結線電圧ベクトルと、線電流ベクトルの位相角で有る、
と言えます。
力率角θは ここの角度を言う。
R
N
Ir
S
Is
力率角θは ここの角度を言う。
T
It
力率角θは ここの角度を言う。
デルタ結線の力率角の説明図
実はデルタ結線の場合の力率角θは別の場所でも見えます。
下図は、デルタ結線の電圧ベクトルに巻線電流ベクトルを加筆したものです。
-28- 次ページに続く
ST
R
力率角θは ここの角度を言う。力率角θは
ここの角度を言う。
力率角θは ここの角度を言う。
どうしてこうなるのか?・・・宿題とします。
考えるヒント スターの時と同様に単相×3セットで考える。 負荷はデルタ結線の単相負荷とする。 単相の各負荷容量はヤッパリ80/3KWとする。 単相負荷の定格電圧は200Vである。 電源~負荷間の配線は6本となる。後で2本ずつ束ねて3本にする。
次にV結線の場合です。
V結線の場合の考え方はデルタ結線の時と全く同じです。
V結線の電圧ベクトル(14ページ参照)を見れば解りますが、デルタ結線の電圧ベクトルと全く同じベ
クトル図になります。
従ってV結線の力率角は、仮想のスター結線電圧ベクトルと線電流ベクトルの位相角となります。
下図参照。
力率角θは ここの角度を言う。
R
N
Ir
S
Is
力率角θは ここの角度を言う。
T
It
力率角θは ここの角度を言う。
V結線の力率角の説明図
V結線の力率角は前のページに示した通りですが、V結線は色々な位相角が見えます。
代表的な位相角は、巻線電圧ベクトルと、巻線電流が作る位相角です。
ここで注意して頂きたいのは、この位相角は力率角では有りません。
従って、パッと見ると極端な遅れ力率、又は丁度良い力率の様に見えますが、これを元に力率を判断して
はいけないことになります。
下図は力率80%80KWの負荷を接続した場合のベクトル図ですが・・・。
-29- おしまい。
V結線力率80%の力率角説明用のベクトル図
E.st
E.rs
E.tr
I.r=I.rs
I.s
I.t
I.st(巻線電流)はE
.st(巻線電
圧)に対して 36.9°-30°=
6.9°の遅れになる。
STバンクから見ると事実上力
率100%に見えるが、ここに
見えている位相角は力率角では
無い。
この角度で力率を計算してはイ
ケナイ。
I.st=-I
.t
I.rs(巻線電流)はE
.rs(巻線
電圧)に対して 30°+36.9°
=66.9°遅れる。
RSバンクから見ると極端な
遅れ力率に見えるが、この位
相角は力率角では無い。
この角度で力率を計算しては
イケナイ。
力率角は此処に出ている。
3箇所とも値は同じで、
36.9°の遅れ。
仮想のスター電圧ベクトル。