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「いろいろな記数法 第二回」 きょうの数字12数学の小宇宙「蛇篭」 洛北算額 数学オリンピックにチャレンジ! vol.12 2018 3 月発行 きょうの 数学

vol. 数学 - Hamajima · 2018. 6. 3. · 図:カントール集合 上の図がカントール集合です。これは「0 以上1 以下で、三進小数で1 を使わずに書ける数」の集合で、「自分の1

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Page 1: vol. 数学 - Hamajima · 2018. 6. 3. · 図:カントール集合 上の図がカントール集合です。これは「0 以上1 以下で、三進小数で1 を使わずに書ける数」の集合で、「自分の1

「いろいろな記数法 第二回」

きょうの数字「12」

数学の小宇宙「蛇篭」

洛北算額

数学オリンピックにチャレンジ!

vol.12

2018 年 3 月発行

きょうの

数学

Page 2: vol. 数学 - Hamajima · 2018. 6. 3. · 図:カントール集合 上の図がカントール集合です。これは「0 以上1 以下で、三進小数で1 を使わずに書ける数」の集合で、「自分の1

いろいろな記数法 第二回記数法とフラクタル

洛北高校教諭 藤岡翼

「きょうの数学 第10号」の続きです。読んでいない人は、これを配布している学校の先生に問い合わせるか、ペー

ジ下部の URL*1にアクセスすることで読むことができますので、読むとよりこの記事を楽しめます。

また、「きょうの数学 第11号」に掲載の橋本先生によるフラクタルの記事を読むとより楽しめます。

1 小数が持つフラクタルの構造

いきなりですが、小数はフラクタルと同じ構造、つまり自己相似の性質を持ちます。下の画像を見てみましょう。

図の左の図形はコッホ曲線と呼ばれるフラクタル図形で、「自分の 13 の大きさの、自分と相似な図形」が 4つ組み合

わされてできています*2。したがってどこをどれだけ拡大しても同じ構造が現れます。これがフラクタルのもつ自己相

似という性質です*3。

対して右の図形は数直線と呼ばれるものですが、「自分の 110 の大きさの、自分と相似な図形」が 10個組み合わされ

ている*4ことに気づくでしょうか?どこをどれだけ拡大しても同じ構造が現れるので、小数の構造は自己相似であると

いえます。

2 三進小数とカントール集合

では、記数法を用いてフラクタル図形を描いてみましょう。記数法と組み合わせて

描かれる図形の中で最も有名なのはカントール集合 (あるいは、カントールの三進集合

)と呼ばれるもので、三進数の小数を使います。右に図をのせたので、これを見て三進

小数の構造を思い出してください。

*1 http://www2.hamajima.co.jp/kyoto-math/kyomath.html*2 したがってコッホ曲線のフラクタル次元は log3 4 = 1.261 . . . です。*3 実際には自己相似でなくてもフラクタルと呼ばれることがあります*4 したがって数直線のフラクタル次元は log10 10 = 1です。直線なので当たり前ですね。

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Page 3: vol. 数学 - Hamajima · 2018. 6. 3. · 図:カントール集合 上の図がカントール集合です。これは「0 以上1 以下で、三進小数で1 を使わずに書ける数」の集合で、「自分の1

図:カントール集合

上の図がカントール集合です。これは「0以上 1以下で、三進小数で 1を使わずに書ける数」の集合で、「自分の 13

の大きさの、自分と相似な図形」が 2つ組み合わされてできています*5。

わかりにくいと思うので、右に作り方の図をかいてみました。

まず「0 5 x 5 1である xの集合」を用意します。これを C0とします。

次に、C0 を三等分して、真ん中の部分を取り去ります。これが C1 で

す。このとき取り去った xは 0.1(3) < x < 0.2(3)、つまり「三進小数で表

したときに、小数第 1位が 1である x」であることに注意してください。

さらに C1 の 2つの部分をそれぞれ三等分して、真ん中の部分を取り去り、C2 を作ります。このとき取り去った x

は 0.01(3) < x < 0.02(3) と 0.21(3) < x < 0.22(3)、つまり「三進小数で表したときに、小数第 2位が 1である x」です。

同様に「小数第 3位が 1である部分」「小数第 4位が 1である部分」…を取り除いて順に C3, C4, . . . を作ります。そ

うして最後に残った C∞ がカントール集合です。ここには「三進小数の全ての桁が 0か 2」である数、たとえば

0 =0.0000000000 . . .(3)

1

4=0.0202020202 . . .(3)

4

13=0.0220220220 . . .(3)

2

3=0.2000000000 . . .(3)

74

81=0.2202000000 . . .(3)

1 =0.2222222222 . . .(3)

が入っています。

あまりこの図形に魅力を感じませんか?見た目がパッとしないので、無理もないですね。次の図形を見てみましょう。

3 (−1 + i)進法で複素数を表す

個人の感じ方次第ですが、カントール集合の見た目に感動したり美しさを感じたりする人はあまりいないように見え

ます*6。それはコッホ曲線などほかのフラクタル図形に比べて、二次元的な広がりがないからではないでしょうか。

そこで二次元的な数、すなわち複素数を表すような「(−1 + i)進法」という記数法を考えてみます。

(−1 + i)進法� �� 底は −1 + i

� したがって各桁は右から順に 1の位、(−1 + i)の位、−2iの位、2 + 2iの位…となる (k 桁目は (−1 + i)k)

� 仮数は 0, 1の 2種類� �*5 フラクタル次元は log3 2 = 0.630 . . . です。1次元より小さくなるような図形もあることがわかりました*6 当然、カントール集合を見て感動する人がいたらそれは素晴らしいことだと思いますし、本来「美しさ」と数学的な構造の間には特に関係がないという考え方もあると思います。

2

Page 4: vol. 数学 - Hamajima · 2018. 6. 3. · 図:カントール集合 上の図がカントール集合です。これは「0 以上1 以下で、三進小数で1 を使わずに書ける数」の集合で、「自分の1

ここで「i」は虚数単位です。1年生でまだ虚数を習っていないという人は、周りの人に聞くか数学 IIで虚数を学習

した後にもう一度この記事に戻ってきてください。

さて,前回同様 10進法との対応を表にしてみました。実部が負であるものについては、読者の練習問題にします。

10進 (−1 + i)進 10進 (−1 + i)進 10進 (−1 + i)進 10進 (−1 + i)進 10進 (−1 + i)進

−2i 100 −i 111 0 0 i 11 2i 1110100

1− 2i 101 1− i 111010 1 1 1 + i 1110 1 + 2i 1110101

2− 2i 111000 2− i 111011 2 1100 2 + i 1111 2 + 2i 1000

3− 2i 111001 3− i 111010110 3 1101 3 + i 111010010 3 + 2i 1001

小数についても他の n 進法と同様に考えると、例えば1

2= 1.11(−1+i),

1

3+

1

4i = 0.01101̇1001101̇(−1+i),

√2 =

1100.11011101110011 . . .(−1+i) のようになんとすべての複素数を表すことができるのです!すごいと思いません

か*7?

−1 + i進法の利点� �符号「-」や虚数単位「i」の記号を使わなくても、すべての複素数を表すことができる。� �

4 ツインドラゴン

話をフラクタルに戻します。

「記数法からフラクタル図形が作れる」「(−1 + i)進法は二次元の数を表現できる」という二つの事実から、(−1 + i)

進法から二次元のフラクタル図形を作ることができそうです。

(−1 + i)進法で、0. ∗ ∗ ∗ ∗ ∗ ∗ . . . と表される数を考えます。例えば 0.1(−1+i), 0.11(−1+i), 0.0̇1001̇(−1+i) などです。

これらをすべて複素数平面上に描くと、下の図のようになります。

この曲線は「ツインドラゴン」といい、次ページの図のような自己相似性を持ちます。

*7 現在私たちが使っている記数法も「底が 10」「仮数が a+ bi(a, bは 0から 9の整数)の 100種類」で作られる記数法と言えて、これも同様に複素数を表せています。なのでこれ自体は実はすごい利点ではありませんが、後述のようにフラクタル図形が現れたり、2種類の仮数で複素数が表せるという点では特筆に値します。

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Page 5: vol. 数学 - Hamajima · 2018. 6. 3. · 図:カントール集合 上の図がカントール集合です。これは「0 以上1 以下で、三進小数で1 を使わずに書ける数」の集合で、「自分の1

0. ∗ ∗ ∗ ∗ ∗ ∗ . . . と表される数のうち、小数第 1位が 0のものと小数第 1位が 1のものを色分けしてみました(見え

るでしょうか?)

小数第 1位が 0のもの、つまり 0.0 ∗ ∗ ∗ ∗ ∗ . . . と表される数を取り出して、回転させることで、元の図形と相似になっていることがわかるでしょうか。このことから、ツインドラゴンは「自分の 1√

2の大きさの、自分と相似な図形」

が 2個組み合わされている*8フラクタル図形です。

いかがでしょうか?前回の記事も含めて、「普段使わない記数法を使って面白いことをする」ということを念頭に置

いて書いてみました。数と図形の間にこんな関係があるというのは、知れば知るほど面白いです。

次回は位取り記数法の弱点や、位取り記数法とは全く異なる記数法について、そもそも記数法とは何かというところ

に踏み込んだ記事を書きたいと思います。

5 練習問題

(1) 次の数を (−1 + i)進法で表しなさい。

    (ア) −1 + 2i (イ) −1

2i

(2) 1

2 (10)= 1.11(−1+i),

(1

3+

1

4i

)(10)

= 0.01101̇1001101̇(−1+i) であることを、実際に計算して示しなさい。

(3)  (−1 + i)進法ですべての複素数が表せることを示しなさい。

(4) 複素数 a+ biについて、「a+ biが (−1 + i)進法の有限小数か循環小数で表せること」と

   「aと bがともに有理数であること」が必要十分であることを示しなさい。

(5) 底が −2で仮数が 0, 1, ω, ω2(ω は ω3 = 1となる虚数)であるような記数法を考えます*9。

   この記数法で 0. ∗ ∗ ∗ ∗ ∗ ∗ . . . と表される数を複素数平面上に表しなさい。

6 参考文献

Gerald Edgar(2008) "Measure, Torology, and Fractal Geometry ," Springer

*8 したがってフラクタル次元は log√2 2 = 2です。これは、ツインドラゴンの中身がスカスカではなく、中にある数すべてを表せていることの証拠でもあります。

*9 これをアイゼンシュタインの記数法といいます

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きょうの数字:「12」

今月の「きょうの数学」は第 12 号ということで、12 についての話をしたいと思います。

12 は《ペントミノの数》です。ペントミノ(pentomino)とは正方形を図のように繋げた図形のことで、

回転・反転で重なり合う物は1通りとして数えます。

みなさんはドミノという言葉を聞いたことがあると思いますが、これは

正方形を2つ繋げたものです。3つ繋げたものはトロミノ、4つだとテト

ロミノ1、5つだとペントミノ、6つだとヘキソミノ…と呼ばれます。この

ような図形を総称してポリオミノと呼びます。

それぞれの種類の数は右の表のようになっており2、繋げた正方形の数 n が

40 になると 2187263896664830239467 個ものポリオミノがあります。しか

しこれはコンピュータで計算した値であり、ポリオミノの個数 P(n)がどんな

式で表されるかは未解決問題なのです!

ただし𝑃(𝑛+1)

𝑃(𝑛)が一定の値に収束する(限りなく近づく)ことがわかっており、

その値λを Klarner 定数と呼びます。Klarner 定数はいまのところ、4.0025 と

4.5685 の間にある3ということしかわかっていません。

ところで、ペントミノは 12 種類あるので、全てを集めると正方形 60 個ぶんの図形

になります。これを長方形や直方体の形に並べるパズルが有名で、たとえば図のよう

に6×10 の形に並べるパズル、ほかにも3×20,4×15,5×12,また 3×4×5の

形に並べるパズルがあります。自分でつくってぜひ取り組んでみてください。

というわけで、12 が特別な数だということがわかりました。12 を見かける機会が

あったら、ぜひ周りの人に教えてあげてくださいね。

1 有名なゲーム「テトリス」は、テトロミノを積み上げていくものですね。

2 https://oeis.org/A000105

3 Barequet Gill (et al.) ,λ>4 , Algorithms - ESA 2015 pp 83-94

n 名前 数

1 モノミノ 1

2 ドミノ 1

3 トロミノ 2

4 テトロミノ 5

5 ペントミノ 12

6 ヘキソミノ 35

7 ヘプトミノ 108

🁸🁺🁻🂌 ドミノ

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蛇 篭

京都学園高等学校非常勤講師

中 井 保 行

塵劫記には、蛇篭に関する容積計算の記述があります。 蛇篭(蛇籠)とは、竹で編んだ長い

じゃかご

籠にごろ石を詰め込み、河川の護岸などに対応してきた仕掛けです。蛇篭という名称は、その形

が細長く蛇に似た形状であることや、昔から河川には大蛇など蛇の伝説がつきものであったこと

に由来すると考えられています。なお、用字の「籠」と「篭」の違いは、「かご」という漢字の

正俗の差であり大きな意味はないでしょう。

寛永 18年(1641年版)の塵劫記には、次のような記述があります。

じやかごのつもりの事

四坪二合七才入也

法に五尺を左右に置かくれは

二五と成 これにまるき法七九を

かくれは 一九七五となるこれに

長さ九間をかくれは 一七七七五に

なるこれを四二二五にてわる時に

四坪二合令七抄としるへし

(蛇篭の容積のこと。四坪二合七才である。解法は、5尺を(そろばんの)左右においてかければ、

25となる。これに、円の法として79をかければ、1975となる。これに長さ9間をかければ17775に

なる。これを4225で割ると四坪二合令七抄となる。 )

この計算は、単に円柱の体積の計算です。現代式でやりますと、体積を V、半径をr、長さをhとするとき、V=πr2

h となりますから (当時、円周率は3.16を使用していました。)

V=(3.16)・(2.5÷6.5)2

・9=4.2071005・・・・

が得られます。

それでは塵劫記に戻りましょう。直径は5尺ですから、半径は2.5尺です。また、当時1間

=6.5尺でした。よって、上の計算の体積の単位は、間

となります。また、土砂の場合、間

を坪あるいは立坪と呼んでいました。

この予備知識を持って、前述の法を解釈しましょう。まず、円柱の断面としての円の面積を求

めなければなりません。直径を D としますと、面積 S は、S=πr2

=(π÷4)D 2

ですから、

D 2

にπ÷4=0.785≒0.79をかければ求まります。これが「円の法」です。更に、容

積としての17775の単位は間・尺

となります。これを、間

になおさねばなりません。

1間=6.5尺ですから、(6.5)

=42.25で割ると単位が間

としての容積が求まりま

す。ただし、計算はそろばんで行いますので、小数点計算が苦手ゆえ、整数計算しています。

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このように、塵劫記には、実際に土木工事などで直接役立つような例題がぎっしり詰まってい

ました。この実用性が、塵劫記の普及の理由のひとつとなりました。

蛇篭 蛇篭(内側)

上の写真は、滋賀県立琵琶湖博物館に展示されている竹製の蛇篭の現物です。直径は数十セン

チ、長さは数メートルありました。

竹で編んだ蛇篭は昔日の郷愁を感じさせてくれます。手のひらサイズのものは華道やインテリ

アに、小指サイズのものは箸置きになっているのをしばしば見かけます。

生け花の作品 インテリア

箸置き

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しかし、蛇篭が回顧の対象かといえばそうではありません。竹材が針金に変わり、現代もなお

というより、より現代的な土木技術として蛇篭は生き延びています。下左の写真は、京都市右京

区の山間部の山麓工事で施工された蛇篭です。数年もすれば草木が生え、緑で覆われるでしょう。

また、ごろ石の隙間は山からの湧水も容易に逃がし、全体が大きく崩壊する災害を防止します。

蛇篭は、自然共生型護岸手法としてもっともホットな手法とも言えるでしょう。陸上では、自然

石の景観は目にやさしく、水中ではエビ、カニ、ドジョウ、ウナギなどの生き物のすみかを提供

してくれます。先日などは、蛇篭の上で蛇がひなたぼっこをしていました。そういう意味での蛇

篭の姿でした。

下右の写真は、上桂川(京都市右京区)の護岸です。江戸時代には、この前の川を京北産の杉

材などが筏で流され、了以が開削した保津峡を通り、京の都へ運ばれました。先の台風の増水が

護岸に押し寄せた時、入川用階段の横に設置された蛇篭は、強い流れにはがされながらも耐えて

いました。もちろん、このはがされた部分は後日本来の位置に戻されました。蛇篭の長所が発揮

されたいい例と言えましょう。

山麓工事の蛇篭 洪水後の蛇篭(上桂川)

当時も今も、堤防の構築、農業用水への河川水利用、舟運の運営などの河川の管理は重要な業

務です。堤防に関しては、自然堤防や人工的に土を盛っただけの堤防では河川の増水には弱いの

です。そこで、杭を打ったり、木や竹を植えたりと人々は各種工夫をしました。中でも蛇篭は、

堤にある竹藪の竹材と、河原に転がるごろ石を使って、一定の強度のある堤防構築に役立ちまし

た。

塵劫記の著者である吉田光由は角倉一族であり、一族は金融とともに、土木、海外貿易、商業、

舟運など、広く手掛けていました。蛇篭の記述は河川工事に関連した一事例であり、容積計算は

工事の労役の総量、強いては工事予算の算出につながります。塵劫記における蛇篭の記述は、小

さな例題にすぎませんが、堤防工事全体を把握していた角倉一族の視点が感じられます。

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3 月は春期休業のため、2月の問題の解答を 3 月中も受け付けます。

解答は [email protected] まで送ってください。洛北高校生以外の解答も受け付けています。

先月の問題のヒント

第1問(3) まず「-10 進法で2桁で書ける数」をリストアップしましょう。

次に「-10 進法で3桁で書ける数」をリストアップしましょう。

すると4桁,5桁・・・はどうなりますか?

第2問 2018 = 132 + 432を使いましょう。

洛北算額 今月の問題 2018.3

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【年 日本数学オリンピック本選 第問】  進法表記で,自然数が … と表されていたとする。つまり,以上以下の整数  … ただし を用いて,    ………  と表される。このとき,

    ………  を満たすをすべて求めよ。

 のときは明らかに条件を満たさないので,である。 のとき     であるから   よって, かつ  より   すなわち  一般のについて   

… ・…・  ……① ここで  ①の右辺 ・…・ ・…・            ・…・ ・…・                             ・…・           ………           ・…・ ・…・                             ・…・                                   ………      より,①は    ・…・ ・…・                                  ………  ……② と変形できる。

 ここで,自然数について, であるから, となり,   

・…・  等号は …… のときに成り立つが,このとき②の左辺はとなり,条件を満たさない。 よって, となる自然数が少なくともつ存在する。 このことと, より   ・…・  また,②の左辺の残りの項はすべて以上の整数であるから    ・…・  かつ    ・…・ ……

 よって  ・・ …  となるが,これを満たすのは に限る。

 このとき, であるからである。

数学オリンピックにチャレンジ! 先月号の問題と解答

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編集部のひとりごと「仮面ライダービルド」

現在放送中の「仮面ライダービルド」が毎週数学好きの間で話題になっている。主人公が

天才物理学者という設定で、毎回数式がたくさん登場する。物理学者の白石直人氏が番組の

アドバイザーとして、使用する数式を考えているらしい。話数には数学として面白い式が使

われているので、興味のある人は白石氏の Web サイトをチェックしてみよう。↓

https://sites.google.com/site/naotoshiraishiphys/home-jp/outreach/rider

-編集後記-

「きょうの数学」第 12 号です。意見・感想・寄稿など、「きょうの数学」編集部

[email protected])までお送りください。

twitter アカウントもつくりました。→ @kyomath31415 バックナンバーを「京都府高等学校数学研究会」の HP にアップしています。

ご覧ください。→ http://www2.hamajima.co.jp/kyoto-math/

【表紙の写真】

ウィリアム・ローワン・ハミルトン William Rowan Hamilton(Wikipedia より) 19 世紀のイギリスの数学者。複素数を 3 次以上に一般化することに尽力し、

10 年以上取り組み続けた結果、1843 年、ブルーム橋の上で「四元数」の概念を

ひらめいた。ハミルトン力学を創始し、ベクトル解析の基礎につながる研究を行

った。