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(57) 1 1 JP 2006-131595 A 2006.5.25 発癌予防剤及びシクロアルタン型トリテルペン系化合物の製造方法秋久俊博、徳田春邦、浮谷基彦、渡辺建二、米今梨紗

vzvLN 2RdSÊ0s0·0¯0í0¢0ë0¿0óW …【0010】 次に、実施例により本発明を具体的に説明する。すなわち、本発明に係る微生物変換反 応による発癌予防効果を有する化合物の生成、単離、単離された化合物の同定及び構造解

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Page 1: vzvLN 2RdSÊ0s0·0¯0í0¢0ë0¿0óW …【0010】 次に、実施例により本発明を具体的に説明する。すなわち、本発明に係る微生物変換反 応による発癌予防効果を有する化合物の生成、単離、単離された化合物の同定及び構造解

(57)【要約】

【課題】 安全で有効な発癌予防剤を提供する。

【解決手段】 本発明の発癌予防剤は、24-メチルシ

クロアルタン-3β,24,241-トリオール、241

-メトキシ-24-メチルシクロアルタン-3β,24

-ジオール、シクロアルタン-3,24-ジオン、4,

4,14-トリメチル-9,19-シクロプレグナン-

3,20-ジオン、24,25-ジヒドロキシシクロア

ルタン-3-オン、25-ヒドロキシシクロアルト-2

3-エン-3-オン、25-ヒドロキシ-24-メトキ

シシクロアルタン-3-オンからなる群から選ばれた少

なくとも1種のシクロアルタン型トリテルペン系化合物

を含有する。

【選択図】図1

JP 2006-131595 A 2006.5.25

発癌予防剤及びシクロアルタン型トリテルペン系化合物の製造方法秋久俊博、徳田春邦、浮谷基彦、渡辺建二、米今梨紗

Page 2: vzvLN 2RdSÊ0s0·0¯0í0¢0ë0¿0óW …【0010】 次に、実施例により本発明を具体的に説明する。すなわち、本発明に係る微生物変換反 応による発癌予防効果を有する化合物の生成、単離、単離された化合物の同定及び構造解

【 特 許 請 求 の 範 囲 】【 請 求 項 1 】  シ ク ロ ユ ー カ レ ノ ー ル 、 2 4 - メ チ ル シ ク ロ ア ル タ ン - 3 β , 2 4 , 2 4 1 - ト リ オ ール 、 2 4 1 - メ ト キ シ - 2 4 - メ チ ル シ ク ロ ア ル タ ン - 3 β , 2 4 - ジ オ ー ル 、 シ ク ロ アル タ ン - 3 , 2 4 - ジ オ ン 、 4 , 4 , 1 4 - ト リ メ チ ル - 9 , 1 9 - シ ク ロ プ レ グ ナ ン -3 , 2 0 - ジ オ ン 、 2 4 , 2 5 - ジ ヒ ド ロ キ シ シ ク ロ ア ル タ ン - 3 - オ ン 、 2 5 - ヒ ド ロキ シ シ ク ロ ア ル ト - 2 3 - エ ン - 3 - オ ン 、 2 5 - ヒ ド ロ キ シ - 2 4 - メ ト キ シ シ ク ロ アル タ ン - 3 - オ ン か ら な る 群 か ら 選 ば れ た 少 な く と も 1 種 の シ ク ロ ア ル タ ン 型 ト リ テ ル ペン 系 化 合 物 を 含 有 す る こ と を 特 徴 と す る 発 癌 予 防 剤 。【 請 求 項 2 】  前 記 シ ク ロ ア ル タ ン 型 ト リ テ ル ペ ン 系 化 合 物 は 、 米 糠 成 分 を 処 理 し て 得 た 化 合 物 を 基 質と し た 糸 状 菌 に よ る 微 生 物 変 換 反 応 か ら 得 ら れ る 反 応 生 成 物 、 あ る い は 米 糠 成 分 を 処 理 して 得 た 化 合 物 の 化 学 的 変 換 反 応 に よ っ て 得 ら れ る 反 応 生 成 物 で あ る こ と を 特 徴 と す る 請 求項 1 に 記 載 の 発 癌 予 防 剤 。【 請 求 項 3 】  米 糠 成 分 を 処 理 し て 得 ら れ る 化 合 物 を 基 質 と し て 糸 状 菌 に よ る 微 生 物 変 換 を 行 う こ と でシ ク ロ ア ル タ ン 型 ト リ テ ル ペ ン 系 化 合 物 を 得 る こ と を 特 徴 と す る シ ク ロ ア ル タ ン 型 ト リ テル ペ ン 系 化 合 物 の 製 造 方 法 。【 発 明 の 詳 細 な 説 明 】【 技 術 分 野 】【 0 0 0 1 】  本 発 明 は 発 癌 予 防 剤 及 び シ ク ロ ア ル タ ン 型 ト リ テ ル ペ ン 系 化 合 物 の 製 造 方 法 に 関 し 、 特に シ ク ロ ア ル タ ン 型 ト リ テ ル ペ ン 系 化 合 物 を 含 有 す る 発 癌 予 防 剤 及 び シ ク ロ ア ル タ ン 型 トリ テ ル ペ ン 系 化 合 物 の 製 造 方 法 に 関 す る 。【 背 景 技 術 】【 0 0 0 2 】  従 来 か ら 、 発 癌 予 防 剤 と し て ト リ テ ル ペ ン 系 化 合 物 は 知 ら れ て い る ( 特 許 文 献 1 参 照 )。 こ の 特 許 文 献 1 で は 、 米 糠 成 分 を 処 理 し て 得 ら れ る γ - オ リ ザ ノ ー ル を 化 学 的 に 変 換 する こ と で 、 発 癌 予 防 に 有 効 な 数 種 の ト リ テ ル ペ ン 系 化 合 物 を 得 る 技 術 が 示 さ れ て い る 。【 特 許 文 献 1 】 特 開 2 0 0 3 - 2 7 7 2 6 9 号 公 報【 発 明 の 開 示 】【 発 明 が 解 決 し よ う と す る 課 題 】【 0 0 0 3 】  し か し な が ら 、 発 癌 予 防 の 大 き な ニ ー ズ に 鑑 み て 、 さ ら に 安 全 で 有 効 な 発 癌 予 防 剤 が 得ら れ な い も の か と の 期 待 は 大 き い 。  本 発 明 は 、 上 述 の 課 題 に 鑑 み て な さ れ た も の で あ り 、 安 全 で 有 効 な 発 癌 予 防 剤 を 提 供 する こ と を 目 的 と し て い る 。【 課 題 を 解 決 す る た め の 手 段 】【 0 0 0 4 】  本 発 明 者 ら は 、 上 記 の 課 題 を 解 決 す る こ と を 目 的 と し て 、 従 来 か ら 安 全 性 及 び 優 れ た 発癌 予 防 効 果 が 報 告 さ れ て い る シ ク ロ ア ル タ ン 型 ト リ テ ル ペ ン 系 化 合 物 に 着 目 し 、 さ ら に 優れ た 発 癌 予 防 効 果 を 有 す る 化 合 物 を 探 索 す べ く 鋭 意 研 究 を 行 っ た 。 そ の 結 果 、 糸 状 菌 を 用い る こ と で 、 優 れ た 発 癌 予 防 効 果 を 有 す る シ ク ロ ア ル タ ン 型 ト リ テ ル ペ ン 系 化 合 物 を 得 るこ と が で き る の を 見 出 し た 。 す な わ ち 本 発 明 の 請 求 項 1 に よ る 発 癌 予 防 剤 は 、 シ ク ロ ユ ーカ レ ノ ー ル 、 2 4 - メ チ ル シ ク ロ ア ル タ ン - 3 β , 2 4 , 2 4 1 - ト リ オ ー ル 、 2 4 1 - メト キ シ - 2 4 - メ チ ル シ ク ロ ア ル タ ン - 3 β , 2 4 - ジ オ ー ル 、 シ ク ロ ア ル タ ン - 3 , 24 - ジ オ ン 、 4 , 4 , 1 4 - ト リ メ チ ル - 9 , 1 9 - シ ク ロ プ レ グ ナ ン - 3 , 2 0 - ジ オン 、 2 4 , 2 5 - ジ ヒ ド ロ キ シ シ ク ロ ア ル タ ン - 3 - オ ン 、 2 5 - ヒ ド ロ キ シ シ ク ロ ア ルト - 2 3 - エ ン - 3 - オ ン 、 2 5 - ヒ ド ロ キ シ - 2 4 - メ ト キ シ シ ク ロ ア ル タ ン - 3 - オン か ら な る 群 か ら 選 ば れ た 少 な く と も 1 種 の シ ク ロ ア ル タ ン 型 ト リ テ ル ペ ン 系 化 合 物 を 含

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Page 3: vzvLN 2RdSÊ0s0·0¯0í0¢0ë0¿0óW …【0010】 次に、実施例により本発明を具体的に説明する。すなわち、本発明に係る微生物変換反 応による発癌予防効果を有する化合物の生成、単離、単離された化合物の同定及び構造解

有 す る こ と を 特 徴 と す る 。【 0 0 0 5 】  上 述 し た シ ク ロ ア ル タ ン 型 ト リ テ ル ペ ン で あ れ ば 、 発 癌 予 防 効 果 に 優 れ 、 か つ 、 案 税 も高 い 。  な お 、 上 述 し た 本 発 明 の 化 合 物 に は 、 医 学 的 に 使 用 さ れ 薬 理 学 的 に 許 容 さ れ る 各 化 合 物の 塩 も 含 む も の で あ る も の 。 こ の よ う な 塩 と し て 、 例 え ば 、 ナ ト リ ウ ム 塩 、 カ リ ウ ム 塩 、リ チ ウ ム 塩 、 の よ う な ア ル カ リ 金 属 塩 、 カ ル シ ウ ム 塩 、 マ グ ネ シ ウ ム 塩 、 の よ う な ア ル カリ 土 類 金 属 塩 、 ア ル ミ ニ ウ ム 塩 、 鉄 塩 、 亜 鉛 塩 、 銅 塩 、 ニ ッ ケ ル 塩 、 コ バ ル ト 塩 等 の 金 属塩 ; ア ン モ ニ ウ ム 塩 の よ う な 無 機 塩 、 t - オ ク チ ル ア ミ ン 塩 、 ジ ベ ン ジ ル ア ミ ン 塩 、 モ ルホ リ ン 塩 、 グ ル コ サ ミ ン 塩 、 フ ェ ニ ル グ リ シ ン ア ル キ ル エ ス テ ル 塩 、 エ チ レ ン ジ ア ミ ン 塩、 N - メ チ ル グ ル カ ミ ン 塩 、 グ ア ニ ジ ン 塩 、 ジ エ チ ル ア ミ ン 塩 、 ト リ エ チ ル ア ミ ン 塩 、 ジシ ク ロ ヘ キ シ ル ア ミ ン 塩 、 N , N '- ジ ベ ン ジ ル エ チ レ ン ジ ア ミ ン 塩 、 ク ロ ロ プ ロ カ イ ン塩 、 プ ロ カ イ ン 塩 、 ジ エ タ ノ ー ル ア ミ ン 塩 、 N - ベ ン ジ ル - フ ェ ネ チ ル ア ミ ン 塩 、 ピ ペ ラジ ン 塩 、 テ ト ラ メ チ ル ア ン モ ニ ア 塩 、 ト リ ス ( ヒ ド ロ キ シ メ チ ル ) ア ミ ノ メ タ ン 塩 の よ うな 有 機 ア ミ ン 塩 ; 及 び 、 グ リ シ ン 塩 、 リ ジ ン 塩 、 ア ル ギ ニ ン 塩 、 オ ル ニ チ ン 塩 、 ア ス パ ラギ ン 塩 の よ う な ア ミ ノ 酸 塩 等 を 挙 げ る こ と が で き る 。【 0 0 0 6 】  ま た 、 上 述 し た 請 求 項 1 に 記 載 の 本 発 明 の 化 合 物 が 溶 剤 和 物 ( 例 え ば 水 和 物 ) を 形 成 する 場 合 は 、 こ れ ら も す べ て 本 発 明 に 含 ま れ る 。 例 え ば 、 本 発 明 の 化 合 物 が 、 大 気 中 に 放 置さ れ た り 、 ま た は 再 結 晶 す る こ と に よ り 、 水 分 を 吸 収 し 、 吸 着 水 が 付 着 し た り 、 水 和 物 を形 成 す る 場 合 が あ る 。 本 発 明 に は こ の よ う な 溶 剤 和 物 も 含 ま れ る 。  さ ら に 、 請 求 項 1 に 記 載 の 本 発 明 の 化 合 物 は 、 そ れ ぞ れ い く つ か の 不 斉 炭 素 原 子 を 有 して お り 、 こ の た め 、 種 々 の 光 学 異 性 体 が 存 在 す る 。 本 発 明 に お い て は 、 特 に 記 述 し な い 限り 、 ラ セ ミ 化 合 物 を 含 む こ れ ら の 異 性 体 及 び こ れ ら の 異 性 体 の 混 合 物 を も す べ て 含 む も ので あ る 。【 0 0 0 7 】  ま た 、 本 発 明 の 請 求 項 2 に よ る 発 癌 予 防 剤 は 、 請 求 項 1 に お い て 、 前 記 シ ク ロ ア ル タ ン型 ト リ テ ル ペ ン 系 化 合 物 は 、 米 糠 成 分 を 処 理 し て 得 た 化 合 物 を 基 質 と し た 糸 状 菌 に よ る 微生 物 変 換 反 応 か ら 得 ら れ る 反 応 生 成 物 、 あ る い は 米 糠 成 分 を 処 理 し て 得 た 化 合 物 の 化 学 的変 換 反 応 に よ っ て 得 ら れ る 反 応 生 成 物 で あ る こ と を 特 徴 と す る 。  さ ら に 、 本 発 明 は 新 規 で 優 れ た 発 癌 予 防 効 果 を 有 す る シ ク ロ ア ル タ ン 型 ト リ テ ル ペ ン 系化 合 物 を 提 供 す る の み で な く 、 自 律 神 経 失 調 治 療 薬 等 と し て も 有 用 な シ ク ロ ア ル タ ン 型 トリ テ ル ペ ン 系 化 合 物 の 新 た な 製 造 方 法 を 提 供 す る も の で あ る 点 に お い て 重 要 な 意 味 を 有 する 。 す な わ ち 、 本 発 明 の 請 求 項 3 に よ る は 、 米 糠 成 分 を 処 理 し て 得 ら れ る 化 合 物 を 基 質 とし て 糸 状 菌 に よ る 微 生 物 変 換 を 行 う こ と で シ ク ロ ア ル タ ン 型 ト リ テ ル ペ ン 系 化 合 物 を 得 るこ と を 特 徴 と す る 。【 0 0 0 8 】  米 糠 成 分 を 処 理 し て 得 ら れ る 化 合 物 を 基 質 と し て 糸 状 菌 に よ る 微 生 物 変 換 を 行 う こ と でシ ク ロ ア ル タ ン 型 ト リ テ ル ペ ン 系 化 合 物 を 得 る こ と が で き る 。 こ れ は 、 よ り 安 全 な シ ク ロア ル タ ン 型 ト リ テ ル ペ ン 系 化 合 物 の 製 造 の 可 能 性 、 糸 状 菌 の 大 量 培 養 、 変 換 反 応 の 関 連 遺伝 子 を 組 み 込 ん だ 形 質 転 換 体 の 培 養 や 糸 状 菌 か ら 抽 出 さ れ る 変 換 反 応 の 関 連 酵 素 の 利 用 によ る 大 量 製 造 の 可 能 性 を 示 唆 す る も の で あ る 。  こ こ で 、 用 い る こ と が で き る 糸 状 菌 と し て は 、 例 え ば G l o m e r e l l a 属 、 M o rt i e r e l l a 属 、 C h a e t o m i u m 属 、 A s p e r g i l l u s 属 な ど が 挙 げ られ る 。 G l o m e r e l l a 属 の 中 で も 、 さ ら に G l o m e r e l l a   f u s a r i oi d e s が 好 ま し い 。【 発 明 の 効 果 】【 0 0 0 9 】  本 発 明 に よ れ ば 、 安 全 か つ 発 癌 予 防 効 果 に 優 れ た 発 癌 予 防 剤 が 提 供 さ れ る 。【 発 明 を 実 施 す る た め の 最 良 の 形 態 】

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Page 4: vzvLN 2RdSÊ0s0·0¯0í0¢0ë0¿0óW …【0010】 次に、実施例により本発明を具体的に説明する。すなわち、本発明に係る微生物変換反 応による発癌予防効果を有する化合物の生成、単離、単離された化合物の同定及び構造解

【 0 0 1 0 】  次 に 、 実 施 例 に よ り 本 発 明 を 具 体 的 に 説 明 す る 。 す な わ ち 、 本 発 明 に 係 る 微 生 物 変 換 反応 に よ る 発 癌 予 防 効 果 を 有 す る 化 合 物 の 生 成 、 単 離 、 単 離 さ れ た 化 合 物 の 同 定 及 び 構 造 解析 、 並 び に 、 本 発 明 に 係 る 発 癌 予 防 剤 の 効 果 確 認 試 験 に つ い て 説 明 す る 。[ 基 質 の 調 製 ]  微 生 物 変 換 反 応 の 基 質 で あ る シ ク ロ ア ル テ ノ ー ル ( 以 下 、 本 明 細 書 で は 「 化 合 物 1 」 と記 す こ と も あ る 。 ) 、 2 4 - メ チ レ ン シ ク ロ ア ル タ ノ ー ル ( 以 下 、 本 明 細 書 で は 「 化 合 物2 」 と 記 す こ と も あ る 。 ) 、 及 び 、 シ ク ロ ア ル テ ノ ン ( 以 下 、 本 明 細 書 で は 「 化 合 物 3 」と 記 す こ と も あ る 。 ) の 調 製 に つ い て 説 明 す る 。【 0 0 1 1 】  ま ず 、 γ - オ リ ザ ノ ー ル か ら 、 文 献 記 載 ( L .   J .   G o a d 、 T .   A k i h i sa 、 “ A n a l y s i s   o f   S t e r o l s ” 、 B l a c k i e   A c a d e m i c  &   P r o f e s s i o n a l 、 ロ ン ド ン 、 2 9 2 項 、 1 9 9 7 年 ) の 方 法 に 基 づ き 、分 別 再 結 晶 法 に よ り 、 シ ク ロ ア ル テ ノ ー ル フ ェ ル ラ ー ト 及 び 2 4 - メ チ レ ン シ ク ロ ア ル タノ ー ル フ ェ ル ラ ー ト を 調 製 し た 。 そ の 後 、 シ ク ロ ア ル テ ノ ー ル フ ェ ル ラ ー ト 及 び 2 4 - メチ レ ン シ ク ロ ア ル タ ノ ー ル フ ェ ル ラ ー ト を 、 そ れ ぞ れ ア ル カ リ 加 水 分 解 ( 5 % 水 酸 化 カ リウ ム ・ メ タ ノ ー ル 溶 液 ; 加 熱 還 流 ; 3 時 間 ) す る こ と で 、 シ ク ロ ア ル テ ノ ー ル ( 化 合 物 1) 及 び 2 4 - メ チ レ ン シ ク ロ ア ル タ ノ ー ル ( 化 合 物 2 ) を 調 製 し た 。 ま た シ ク ロ ア ル テ ノン ( 化 合 物 3 ) は 、 化 合 物 1 の C 3 位 の 水 酸 基 を C r O 3 / C 5 H 5 N に て 化 学 的 に 酸 化 し て調 製 し た 。【 0 0 1 2 】[ 変 換 反 応 菌 体 の 調 製 ]  微 生 物 変 換 反 応 に 用 い る 糸 状 菌 G l o m e r e l l a   f u s a r i o i d e s の 調 製に つ い て 説 明 す る 。 ま ず 、 糸 状 菌 G l o m e r e l l a   f u s a r i o i d e s 、 よ り具 体 的 に 本 実 施 例 で は G l o m e r e l l a   f u s a r i o i d e s   I F O 8 8 3 1( 財 団 法 人   発 酵 研 究 所 ) を ポ テ ト デ キ ス ト ロ ー ス 液 体 培 地 ( P D B 、 日 水 製 薬 株 式 会 社製 ) 4 0 0 m L に て 、 室 温 で 5 日 間 、 撹 拌 培 養 を 行 っ た 。 さ ら に 新 た に 調 製 し た P D B 3L に 植 菌 し 、 室 温 で 3 日 間 、 大 量 培 養 を 行 っ た 。 培 養 終 了 後 、 菌 体 を 水 洗 浄 し 、 微 生 物 変換 反 応 に 用 い る 変 換 反 応 菌 体 を 調 製 し た 。【 0 0 1 3 】  な お 、 本 発 明 に お い て は 、 変 換 反 応 菌 体 の 調 製 工 程 に お け る 培 養 方 法 と し て は 、 通 常 微生 物 の 大 量 培 養 に 用 い ら れ る 培 養 法 で あ れ ば 特 に 限 定 は な い が 、 例 え ば 、 上 記 の 撹 拌 培 養法 、 振 盪 培 養 法 、 通 気 培 養 法 等 を 挙 げ る こ と が で き る 。 こ こ で 挙 げ ら れ た い ず れ の 培 養 法も 、 好 気 的 条 件 下 で 行 う こ と が 好 ま し い 。 工 業 的 培 養 に は 、 通 気 撹 拌 培 養 法 が 適 し て い る。【 0 0 1 4 】[ 微 生 物 変 換 反 応 ]  基 質 を ジ メ チ ル ス ル ホ キ シ ド に 溶 解 さ せ 、 こ れ を 純 水 に 加 え て 反 応 液 を 調 製 し た 。 こ の反 応 溶 液 に 変 換 反 応 菌 体 を 加 え 、 室 温 で 1 0 日 間 、 通 気 培 養 を 行 っ た 。[ 化 合 物 の 単 離 ]  反 応 終 了 後 、 反 応 溶 液 を 酢 酸 エ チ ル に て 抽 出 を 行 っ た 。 こ の 抽 出 物 に つ い て 、 シ リ カ ゲル カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー 、 オ ク タ デ シ ル シ リ カ ( O D S ) カ ラ ム 分 取 高 速 液 体 ク ロ マト グ ラ フ ィ ー ( H P L C ) に よ り 分 画 を 行 っ た 。 な お 本 実 施 例 で 用 い た 分 取 H P L C の カラ ム は 、 P e g a s i l   O D S ( ( 株 ) セ ン シ ュ ー 科 学 製 、 充 填 剤 : 粒 子 径 5 μ m 、 カラ ム : 長 さ 2 5 c m × 内 径 1 0 m m ) で あ る 。【 0 0 1 5 】[ シ ク ロ ア ル テ ノ ー ル の 微 生 物 変 換 反 応 ]  シ ク ロ ア ル テ ノ ー ル ( 5 0 7 m g ) を 基 質 と し て 上 記 の 方 法 で 微 生 物 変 換 反 応 を 行 い 、そ の 反 応 溶 液 か ら 酢 酸 エ チ ル 抽 出 物 ( 5 3 6 m g ) を 得 た 。 以 下 に 、 こ の 酢 酸 エ チ ル 抽 出物 の シ リ カ ゲ ル カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー に よ る 分 画 、 及 び 分 取 H P L C に よ る 変 換 生 成

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Page 5: vzvLN 2RdSÊ0s0·0¯0í0¢0ë0¿0óW …【0010】 次に、実施例により本発明を具体的に説明する。すなわち、本発明に係る微生物変換反 応による発癌予防効果を有する化合物の生成、単離、単離された化合物の同定及び構造解

物 の 単 離 の 詳 細 を 示 す 。  シ リ カ ゲ ル カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー に よ り F r . 1 ( 溶 離 液 、 n - ヘ キ サ ン : 酢 酸 エチ ル = 9 5 : 5 ; 1 1 m g ) 、 F r . 2 ( n - ヘ キ サ ン : 酢 酸 エ チ ル = 9 5 : 5 ; 4 2 mg ) 、 F r . 3 ( n - ヘ キ サ ン : 酢 酸 エ チ ル = 9 5 : 5 ; 3 0 4 m g ) 、 F r . 4 ( n -ヘ キ サ ン : 酢 酸 エ チ ル = 9 5 : 5 ; 1 9 m g ) 、 F r . 5 ( n - へ キ サ ン : 酢 酸 エ チ ル =9 : 1 ; 4 0 m g ) 、 F r . 6 ( n - ヘ キ サ ン : 酢 酸 エ チ ル 4 = 1 : 1 ; 2 1 m g ) 、 Fr . 7 ( 酢 酸 エ チ ル ; 9 m g ) 、 F r . 8 ( メ タ ノ ー ル ; 5 5 m g ) を 得 た 。【 0 0 1 6 】  分 取 H P L C [ 展 開 液 : メ タ ノ ー ル - 水 - 酢 酸 ( 9 5 : 5 : 1 ) 、 3 . 0 m L / 分 ] を行 い 、 F r . 2 か ら 、 シ ク ロ ア ル テ ノ ン ( 化 合 物 3 ; 2 4 . 7 m g ; 保 持 時 間 2 8 . 8 分) 、 F r . 4 か ら 、 シ ク ロ ア ル タ ン - 3 β , 2 4 , 2 5 - ト リ オ ー ル ( 化 合 物 4 ; 4 . 8m g ; 保 持 時 間 2 2 . 4 分 ) 、 F r . 5 か ら 、 シ ク ロ ア ル ト - 2 5 - エ ン - 3 β , 2 4 -ジ オ ー ル ( 化 合 物 5 ; 4 . 1 m g ; 保 持 時 間 2 3 . 2 分 ) を 単 離 し た ( 図 1 参 照 ) 。 な お、 未 反 応 の 基 質 で あ る シ ク ロ ア ル テ ノ ー ル ( 化 合 物 1 ) は F r . 3 成 分 と し て 回 収 さ れ た。【 0 0 1 7 】[ 2 4 - メ チ レ ン シ ク ロ ア ル タ ノ ー ル の 微 生 物 変 換 反 応 ]  2 4 - メ チ レ ン シ ク ロ ア ル タ ノ ー ル ( 5 0 0 m g ) を 基 質 と し て 用 い 、 上 記 の 方 法 で 微生 物 変 換 反 応 を 行 い 、 そ の 反 応 溶 液 か ら 酢 酸 エ チ ル 抽 出 物 ( 4 4 2 m g ) を 得 た 。 以 下 に、 こ の 酢 酸 エ チ ル 抽 出 物 の シ リ カ ゲ ル カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー に よ る 分 画 、 及 び 分 取 HP L C に よ る 変 換 生 成 物 の 単 離 の 詳 細 を 示 す 。【 0 0 1 8 】  シ リ カ ゲ ル カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー に よ り F r . 1 ( 溶 離 液 、 n - ヘ キ サ ン : 酢 酸 エチ ル = 9 5 : 5 ; 2 5 m g ) 、 F r . 2 ( n - ヘ キ サ ン : 酢 酸 エ チ ル = 9 5 : 5 ; 3 5 5m g ) 、 F r . 3 ( n - ヘ キ サ ン : 酢 酸 エ チ ル = 9 5 : 5 ; 2 3 m g ) 、 F r . 4 ( n -ヘ キ サ ン : 酢 酸 エ チ ル = 9 5 : 5 ; 5 m g ) 、 F r . 5 ( n - ヘ キ サ ン : 酢 酸 エ チ ル = 9: 1 ; 1 2 m g ) 、 F r . 6 ( n - ヘ キ サ ン : 酢 酸 エ チ ル = 9 : 1 ; 1 9 m g ) 、 F r .7 ( n - ヘ キ サ ン : 酢 酸 エ チ ル = 8 : 2 ; 9 m g ) 、 F r . 8 ( n - ヘ キ サ ン : 酢 酸 エ チル = 1 : 1 ; 6 m g ) 、 F r . 9 ( 酢 酸 エ チ ル ; 8 m g ) 、 F r . 1 0 ( メ タ ノ ー ル ; 31 m g ) を 得 た 。【 0 0 1 9 】  こ の う ち 分 取 H P L C [ 展 開 液 : メ タ ノ ー ル - 酢 酸 ( 1 0 0 : 1 ) 、 3 . 0 m L / 分 ]を 行 い 、 F r . 2 か ら シ ク ロ ユ ー カ レ ノ ー ル ( 化 合 物 6 ; 4 . 8 m g ; 保 持 時 間 2 7 . 2分 ) 、 2 4 - メ チ ル シ ク ロ ア ル タ ン - 3 β , 2 4 , 2 4 1 - ト リ オ ー ル ( 化 合 物 7 ; 3 .7 m g ; 保 持 時 間 8 . 4 分 ) 、 2 4 1 - メ ト キ シ - 2 4 - メ チ ル シ ク ロ ア ル タ ン - 3 β ,2 4 - ジ オ ー ル ( 化 合 物 8 ; 6 . 5 m g ; 保 持 時 間 1 8 . 4 分 ) を 単 離 し た 。 F r . 3 から シ ク ロ ユ ー カ レ ノ ー ル ( 化 合 物 6 ; 4 . 8 m g ; 保 持 時 間 2 7 . 2 分 ) 、 2 4 1 - メ トキ シ - 2 4 - メ チ ル シ ク ロ ア ル タ ン - 3 β , 2 4 - ジ オ ー ル ( 化 合 物 8 ; 6 . 5 m g ; 保持 時 間 1 8 . 4 分 ) を 単 離 し た 。 ま た 分 取 H P L C [ 展 開 液 : メ タ ノ ー ル - 水 - 酢 酸 ( 95 : 5 : 1 ) 、 3 . 0 m L / 分 取 に よ り 、 F r . 5 か ら シ ク ロ ア ル ト - 2 5 - エ ン - 3 β, 2 4 - ジ オ ー ル ( 化 合 物 5 ; 3 . 6 m g ; 保 持 時 間 2 6 . 8 分 ) を 単 離 し た ( 図 2 参 照) 。 な お 、 F r . 2 に 未 反 応 基 質 で あ る 2 4 - メ チ レ ン シ ク ロ ア ル タ ノ ー ル ( 化 合 物 2 )は F r . 2 成 分 と し て 回 収 さ れ た 。【 0 0 2 0 】[ シ ク ロ ア ル テ ノ ン の 微 生 物 変 換 反 応 ]  シ ク ロ ア ル テ ノ ン ( 5 6 8 m g ) を 基 質 と し て 上 記 の 方 法 で 微 生 物 変 換 反 応 を 行 い 、 その 反 応 溶 液 か ら 酢 酸 エ チ ル 抽 出 物 ( 5 4 6 m g ) を 得 た 。 以 下 に 、 こ の 酢 酸 エ チ ル 抽 出 物の シ リ カ ゲ ル カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー に よ る 分 画 、 及 び 分 取 H P L C に よ る 変 換 生 成 物の 単 離 の 詳 細 を 示 す 。 シ リ カ ゲ ル カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー に よ り F r . 1 [ 溶 離 液 、 n- ヘ キ サ ン : 酢 酸 エ チ ル = 9 5 : 5 ; 3 0 9 m g ] 、 F r . 2 [ n - ヘ キ サ ン : 酢 酸 エ チ

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Page 6: vzvLN 2RdSÊ0s0·0¯0í0¢0ë0¿0óW …【0010】 次に、実施例により本発明を具体的に説明する。すなわち、本発明に係る微生物変換反 応による発癌予防効果を有する化合物の生成、単離、単離された化合物の同定及び構造解

ル = 8 : 2 ; 3 2 m g ] 、 F r . 3 ( n - ヘ キ サ ン : 酢 酸 エ チ ル = 1 : 1 ; 1 3 0 m g )、 F r . 4 ( 酢 酸 エ チ ル ; 3 0 m g ) 、 F r . 5 ( メ タ ノ ー ル ; 1 0 7 m g ) を 得 た 。【 0 0 2 1 】  分 取 H P L C [ 展 開 液 : メ タ ノ ー ル - 水 - 酢 酸 ( 9 5 : 5 : 1 ) 、 3 . 0 m L / 分 ] を行 い 、 F r . 1 か ら 、 シ ク ロ ア ル タ ン - 3 , 2 4 - ジ オ ン ( 化 合 物 9 ; 3 . 1 m g ; 保 持時 間 1 6 . 2 分 ) 、 2 4 - ヒ ド ロ キ シ シ ク ロ ア ル ト - 2 5 - エ ン - 3 - オ ン ( 化 合 物 1 1; 5 . 2 m g ; 保 持 時 間 1 3 . 8 分 ) 、 2 4 , 2 5 - ジ ヒ ド ロ キ シ シ ク ロ ア ル タ ン - 3 -オ ン ( 化 合 物 1 3 ; 5 . 3 m g ; 保 持 時 間 8 . 7 分 ) 、 2 5 - ヒ ド ロ キ シ - 2 4 - メ ト キシ シ ク ロ ア ル タ ン - 3 - オ ン ( 化 合 物 1 5 ; 4 2 m g ; 保 持 時 間 1 2 . 9 分 ) を 単 離 し た。 F r . 2 か ら 、 4 , 4 , 1 4 - ト リ メ チ ル - 9 , 1 9 - シ ク ロ プ レ グ ナ ン - 3 , 2 0 -ジ オ ン ( 化 合 物 1 0 ; 3 . 5 m g ; 保 持 時 間 6 . 9 分 ) 、 化 合 物 1 1 ( 5 . 2 m g ; 保 持時 間 1 3 . 8 分 ) 、 シ ク ロ ア ル ト - 2 5 - エ ン - 3 , 2 4 - ジ オ ン ( 化 合 物 1 2 ; 3 . 0m g ; 保 持 時 間 1 9 . 5 分 ) を 単 離 し た 。 F r . 3 か ら 、 化 合 物 1 3 ( 5 . 3 m g ; 保 持時 間 8 . 7 分 ) 、 2 5 - ヒ ド ロ キ シ シ ク ロ ア ル ト - 2 3 - エ ン - 3 - オ ン ( 化 合 物 1 4 ;3 . 9 m g ; 保 持 時 間 1 6 . 5 分 ) 、 を 単 離 し た ( 図 3 参 照 ) 。 な お 、 反 応 基 質 で あ る シク ロ ア ル テ ノ ン は F r . 1 成 分 と し て 回 収 さ れ た 。【 0 0 2 2 】[ 化 合 物 4 ~ 1 5 の 構 造 解 析 及 び 同 定 に つ い て ]  上 記 の よ う に し て 単 離 し た 1 2 種 の 化 合 物 4 ~ 1 5 に つ い て 構 造 解 析 及 び 同 定 を 行 っ たの で 説 明 す る 。 化 合 物 4 ~ 1 5 の 構 造 解 析 は M S 、 I R 、 1 H - N M R 、 1 3 C - N M R 、及 び 2 次 元 N M R 法 で あ る 相 関 分 光 法 ( 1 H - 1 H C O S Y ) 、 異 種 核 多 量 子 コ ヒ ー レ ン ス法 ( H M Q C ) 、 異 種 核 遠 隔 多 量 子 相 関 法 ( H M B C ) 、 及 び 、 核 オ ー バ ー ハ ウ ザ ー 交 換分 光 法 ( N O E S Y ) を 用 い て 行 っ た 。 構 造 解 析 を 行 っ た 1 2 種 の 化 合 物 4 ~ 1 5 の 化 学構 造 式 を 図 1 ~ 図 3 に 示 す 。【 0 0 2 3 】  こ れ ら の う ち 、 化 合 物 7 、 8 、 1 0 、 1 5 の 4 種 は こ れ ま で 文 献 記 載 の な い 新 規 化 合 物で あ る 。 新 規 化 合 物 7 、 8 、 1 0 、 1 5 の 1 H - N M R 及 び 1 3 C - N M R を H M B C デ ータ と と も に 表 1 ~ 4 に 示 し た 。 ま た 、 図 4 に は 新 規 化 合 物 7 、 8 、 1 0 、 1 5 の 炭 素 番 号を 示 し た 構 造 式 を 、 図 5 に は こ れ ら の 新 規 化 合 物 の N O E S Y ス ペ ク ト ル 法 に よ り 得 ら れた 核 オ ー バ ー ハ ウ ザ ー 効 果 ( N O E ) 相 関 関 係 を 立 体 構 造 式 と と も に 両 方 向 の 矢 印 で 示 した 。 こ れ ら の N O E 相 関 は 化 合 物 7 、 8 、 1 0 、 1 5 に つ い て 帰 属 し た 構 造 と 矛 盾 は し ない 。【 0 0 2 4 】  ま た 既 知 の 化 合 物 4 ~ 6 、 9 、 1 1 ~ 1 4 の 構 造 は 、 こ れ ら 各 化 合 物 の 種 々 の ス ペ ク トル 値 を 文 献 ( 以 下 に 示 す ) 値 と 比 較 す る こ と に よ り 確 認 し た 。  化 合 物 4 : 稲 田 ら P h y t o c h e m i s t r y   4 6 巻 、 2 号 、 3 7 9 - 3 8 1 頁 、1 9 9 7 年  化 合 物 5 、 1 1 : C a b r e r a ら J o u r n a l   o f   N a t u r a l   P r o du c t s   5 9 巻 、 3 4 3 - 3 4 7 頁 、 1 9 9 6 年  化 合 物 6 : 秋 久 ら P h y t o c h e m i s t r y 4 7 巻 、 6 号 、 1 1 0 7 - 1 1 1 0 頁、 1 9 9 8 年化 合 物 9 、 1 3 : 稲 田 ら J o u r n a l   o f   N a t u r a l   P r o d u c t s   58 巻 、 1 1 4 3 - 1 1 4 6 頁 、 1 9 9 5 年  化 合 物 1 2 、 1 4 : D e P a s c u a l ら P h y t o c h e m i s t r y   2 6 巻 、 17 6 7 - 1 7 7 6 頁 、 1 9 8 7 年  但 し 、 こ れ ら の 化 合 物 の 発 癌 予 防 効 果 に つ い て は 知 ら れ て い な い 。【 0 0 2 5 】  新 規 化 合 物 7 、 8 、 1 0 、 1 5 の 諸 性 質 及 び ス ペ ク ト ル デ ー タ を 次 に 示 す 。( 1 ) 2 4 - メ チ ル シ ク ロ ア ル タ ン - 3 β , 2 4 , 2 4 1 - ト リ オ ー ル ( 化 合 物 7 )  無 色 結 晶 . 融 点 : 1 7 5 ~ 1 7 7 ℃ . 比 旋 光 度   [ α ] 2 5

D : + 2 5 . 5 0 ( 濃 度   c

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= 0 . 1 0 ( g / 1 0 0 m L ) 、 溶 媒 ク ロ ロ ホ ル ム ) . I R   ν m a x : 3 4 0 7 、 2 9 28 c m - 1

E I - M S ( m / z 値 、 ( 相 対 イ オ ン 強 度 ) ) : 4 7 4 ( 8 ) 〔 M 〕 + 、 4 5 6 ( 3 0 )[ M - H 2 O ] + 、 4 4 1 ( 2 3 ) [ m / z 4 5 6 - C H 3 ] 、 4 2 3 ( 3 0 ) [ m / z 44 1 - H 2 O ] + 、 3 3 4 ( 2 3 ) 、 2 0 3 ( 3 2 ) 、 1 7 5 ( 5 7 ) 、 9 5 ( 1 0 0 ) .高 分 解 能 E I - M S ( m / z 値 ) : 4 7 4 . 4 0 6 4 ( 理 論 値 C 3 1 H 5 4 O 3 [ M - H 2 O ]+ 4 7 4 . 4 0 7 3 ) .  1 H - N M R 及 び 1 3 C - N M R デ ー タ は H M B C デ ー タ と と も に 表 1 に 示 し た 。  化 合 物 7 の 1 3 C - N M R ( 1 5 0 M H z ) 、 1 H - N M R ( 6 0 0 M H z ) 及 び H M BC ス ペ ク ト ル デ ー タ ( 溶 媒 : C D C l 3 )【 0 0 2 6 】

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【 表 1 】                                           【 0 0 2 7 】( 2 ) 2 4 1 - メ ト キ シ - 2 4 - メ チ ル シ ク ロ ア ル タ ン - 3 β , 2 4 - ジ オ ー ル ( 化 合 物8 )  無 色 結 晶 . 融 点 : 1 6 8 ~ 1 7 1 ℃ . 比 旋 光 度   [ α ] 2 5

D : + 4 . 3 ° ( 濃 度 c = 0. 1 0 ( g / 1 0 0 m L ) 、 溶 媒 ク ロ ロ ホ ル ム ) . I R   ν m a x : 3 4 0 9 、 2 9 3 8 cm - 1 .

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E I - M S ( m / z 値 、 ( 相 対 イ オ ン 強 度 ) ) : 4 8 8 ( 1 3 ) 〔 M 〕 + 、 4 7 0 ( 4 5) [ M - H 2 O ] + 、 4 5 7 ( 1 0 0 ) 、 4 3 8 ( 3 7 ) [ m / z 4 7 0 - H O C H 3 ] 、4 2 3 ( 5 2 ) [ m / z 4 3 8 - C H 3 ] 、 3 1 7 ( 8 3 ) 、 1 7 5 ( 4 4 ) 、 9 5 ( 68 ) .高 分 解 能 E I - M S ( m / z 値 ) : 4 8 8 . 4 2 2 8 ( 理 論 値 C 3 1 H 5 6 O 3 [ M ] + 4 8 8. 4 2 2 9 ) .  1 H - N M R 及 び 1 3 C - N M R デ ー タ は H M B C デ ー タ と と も に 表 2 に 示 し た 。  化 合 物 8 の 1 3 C - N M R ( 1 5 0 M H z ) 、 1 H - N M R ( 6 0 0 M H z ) 及 び H M BC ス ペ ク ト ル デ ー タ ( 溶 媒 : C D C l 3 )【 0 0 2 8 】 10

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【 表 2 】                                            【 0 0 2 9 】( 3 ) 4 , 4 , 1 4 - ト リ メ チ ル - 9 , 1 9 - シ ク ロ プ レ グ ナ ン - 3 , 2 0 - ジ オ ン ( 化合 物 1 0 )  無 色 結 晶 . 融 点 : 1 6 5 ~ 1 6 8 ℃ . 比 旋 光 度   [ α ] 2 5

D : + 8 . 3 0 ( 濃 度 c = 0. 1 6 ( g / 1 0 0 m L ) 、 溶 媒 ク ロ ロ ホ ル ム ) . I R   ν m a x : 2 9 3 1 、 1 7 1 0 c

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m - 1 .E I - M S ( m / z 値 、 ( 相 対 イ オ ン 強 度 ) ) : 3 5 6 ( 1 0 0 ) 〔 M 〕 + 、 3 4 1 ( 52 ) [ M - C H 3 ]

+ 、 3 1 3 ( 5 2 ) [ m / z 3 4 1 - C O ] 、 2 7 1 ( 2 6 ) [ m / z3 1 3 - C 3 H 6 ] 、 2 1 8 ( 1 0 0 ) [ m / z 2 7 1 - C 4 H 6 ] 、 1 7 5 ( 7 0 ) 、 1 37 ( 5 0 ) 、 1 2 1 ( 4 7 ) 、 1 0 7 ( 6 0 ) 、 9 5 ( 6 8 ) .高 分 解 能 E I - M S ( m / z 値 ) : 3 5 6 . 2 7 1 4 ( 理 論 値 C 2 4 H 3 6 O 2 [ M ] + 3 5 6. 2 7 1 5 ) .  1 H - N M R 及 び 1 3 C - N M R デ ー タ は H M B C デ ー タ と と も に 表 3 に 示 し た 。  化 合 物 1 0 の 1 3 C - N M R ( 1 5 0 M H z ) 、 1 H - N M R ( 6 0 0 M H z ) 及 び H MB C ス ペ ク ト ル デ ー タ ( 溶 媒 : C D C l 3 )【 0 0 3 0 】【 表 3 】                                   【 0 0 3 1 】( 4 ) 2 5 - ヒ ド ロ キ シ - 2 4 - メ ト キ シ シ ク ロ ア ル タ ン - 3 - オ ン ( 化 合 物 1 5 )  無 色 結 晶 . 融 点 : 1 9 8 ~ 1 9 9 ℃ . 比 旋 光 度   [ α ] 2 5

D : + 1 6 . 4 0 ( 濃 度 c =

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0 . 1 8 ( g / 1 0 0 m L ) 、 溶 媒 ク ロ ロ ホ ル ム ) . I R   ν m a x : 3 4 4 5 、 2 9 3 1、 1 7 1 0 c m - 1 .E I - M S ( m / z 値 、 ( 相 対 イ オ ン 強 度 ) ) : 4 7 2 ( 1 5 ) 〔 M 〕 + 、 4 4 0 ( 4 5) [ M - H O C H 3 ]

+ 、 3 1 3 ( 5 0 ) [ M - 側 鎖 ( C 9 H 1 9 O 2 ) ] + 、 2 7 1( 5 ) 、 7 3 ( 1 0 0 ) .高 分 解 能 E I - M S ( m / z 値 ) : 4 7 2 . 3 9 2 4 ( 理 論 値 C 3 1 H 5 2 O 3 [ M ] + 4 7 2. 3 9 1 6 )  1 H - N M R 及 び 1 3 C - N M R デ ー タ は H M B C デ ー タ と と も に 表 4 に 示 し た  化 合 物 1 5 の 1 3 C - N M R ( 1 5 0 M H z ) 、 1 H - N M R ( 6 0 0 M H z ) 及 び H MB C ス ペ ク ト ル デ ー タ ( 溶 媒 : C D C l 3 )【 0 0 3 2 】

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【 表 4 】                                       【 0 0 3 3 】  以 下 に 新 規 化 合 物 7 、 8 、 1 0 、 1 5 の 構 造 決 定 に つ い て 述 べ る ( 図 4 参 照 ) 。  化 合 物 7 は 、 高 分 解 能 E I - M S ( 〔 M 〕 + m / z 4 7 4 . 4 0 6 4 ) 及 び 1 3 C - N MR よ り 分 子 式 C 3 1 H 5 4 O 3 を 持 つ 事 が 示 さ れ た 。 ま た 本 化 合 物 は I R ス ペ ク ト ル 、 1 H - NM R 、 1 3 C - N M R か ら メ チ レ ン 基 〔 δ H   0 . 3 3 ( d 、 J = 4 . 4 H z ) 、 0 . 5 5( d 、 J = 4 . 2 H z ) 〕 の 存 在 が 示 さ れ 、 シ ク ロ プ ロ ピ ル 基 の 存 在 が 示 唆 さ れ た 。 さ らに 4 個 の 第 3 級 メ チ ル 基 〔 δ H   0 . 8 1 、 0 . 8 9 、 0 . 9 7 、 0 . 9 7 ( 各 s ) 〕 、1 個 の 第 2 級 メ チ ル 基 〔 δ H   0 . 9 0 ( d 、 J = 7 . 3 H z ) 〕 、 イ ン プ ロ ピ ル 基 〔 δ H

  0 . 9 3 ( d 、 J = 6 . 3 H z ) 、 0 . 9 4 ( d 、 J = 6 . 8 H z ) 〕 、 そ し て 1 個 のヒ ド ロ キ シ メ チ ン 基 〔 3 4 0 7 c m - 1 ; δ H   3 . 2 8 ( m ) ; δ C   7 8 . 8 〕 、 1 個 の

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ヒ ド ロ キ シ メ チ レ ン 基 〔 δ H   3 . 4 7 ( d 、 J = 1 1 . 3 H z ) 、 3 . 6 2 ( d 、 J =1 0 . 7 H z ) ; δ C   6 5 . 9 〕 の 存 在 が 示 唆 さ れ た 。 E I - M S で は m / z 4 5 6 にH 2 O の 脱 離 に よ る イ オ ン 、 m / z 4 4 1 に ( m / z 4 5 6 - C H 3 ) に 対 応 す る イ オ ン 、m / z 4 2 3 に ( m / z 4 4 1 - H 2 O ) に 対 応 す る イ オ ン が 観 測 さ れ た 。 こ れ ら の 値 とシ ク ロ ア ル タ ン 系 化 合 物 の 文 献 値 ( D e   P a s c u a l ら   P h y t o c h e m i s tr y   2 6 巻 、 1 7 6 7 - 1 7 7 6 頁 、 1 9 8 7 年 ) と 比 較 し 、 化 合 物 7 は 2 4 - メ チ ルシ ク ロ ア ル タ ン - 3 β , 2 4 , 2 4 1 - ト リ オ ー ル 構 造 を 持 つ 事 が 明 ら か と な っ た 。 本 構造 が 正 し い 事 は 、 1 H - 1 H C O S Y 、 H M Q C 、 H M B C 、 及 び N O E S Y ス ペ ク ト ル の解 析 に よ り 確 認 し た 。【 0 0 3 4 】  化 合 物 8 は 、 高 分 解 能 E I - M S ( 〔 M 〕 + m / z 4 8 8 . 4 2 2 9 ) 及 び 1 3 C - N MR よ り 分 子 式 C 3 2 H 5 6 O 3 を 持 つ 事 が 示 さ れ た 。 ま た 本 化 合 物 は I R ス ペ ク ト ル 、 1 H - NM R 、 1 3 C - N M R か ら メ チ レ ン 基 〔 δ H   0 . 3 3 ( d 、 J = 4 . 4 H z ) 、 0 . 5 5( d 、 J = 4 . 2 H z ) 〕 の 存 在 が 示 さ れ 、 シ ク ロ プ ロ ピ ル 基 の 存 在 が 示 唆 さ れ た 。 さ らに 4 個 の 第 3 級 メ チ ル 基 〔 δ H   0 . 8 1 、 0 . 9 0 、 0 . 9 7 、 0 . 9 7 ( 各 s ) 〕 、1 個 の 第 2 級 メ チ ル 基 〔 δ H   0 . 9 0 ( d 、 J = 6 . 5 H z ) 〕 、 イ ン プ ロ ピ ル 基 〔 δ H

  0 . 9 2 ( d 、 J = 6 . 3 H z ) 、 0 . 9 4 ( d 、 J = 6 . 8 H z ) 〕 、 そ し て 1 個 のヒ ド ロ キ シ メ チ ン 基 〔 3 4 0 9 c m - 1 ; δ H   3 . 2 9 ( m ) ; δ C   7 8 . 9 〕 、 1 個 のメ ト キ シ ル 基 〔 δ H   3 . 2 3 ( m ) ; δ C   4 9 . 4 ] の 存 在 が 示 唆 さ れ た 。 E I - M Sで は m / z 4 7 0 に H 2 O の 脱 離 に よ る イ オ ン 、 m / z 4 3 8 に C 2 4 - C 2 4

1 の 開 裂 に よ りH O C H 3 が 脱 離 し た イ オ ン が 観 測 さ れ た 。 こ れ ら を 化 合 物 7 の ス ペ ク ト ル 値 と 比 較 し 、化 合 物 8 は 2 4 1 - メ ト キ シ - 2 4 - メ チ ル シ ク ロ ア ル タ ン - 3 β , 2 4 - ジ オ ー ル 構 造を 持 つ 事 が 明 ら か と な っ た 。 本 構 造 が 正 し い 事 は 、 1 H - 1 H C O S Y 、 H M Q C 、 H M BC 、 及 び N O E S Y ス ペ ク ト ル の 解 析 に よ り 確 認 し た 。【 0 0 3 5 】  化 合 物 1 0 は 高 分 解 能 E I - M S ( 〔 M 〕 + m / z 3 5 6 . 2 7 1 4 ) 及 び 1 3 C - N MR よ り 分 子 式 C 2 4 H 3 6 O 2 を 持 つ 事 が 示 さ れ た 。 ま た 本 化 合 物 は I R ス ペ ク ト ル 、 1 H - NM R 、 1 3 C - N M R か ら メ チ レ ン 基 〔 δ H   0 . 5 7 ( d 、 J = 4 . 6 H z ) 、 0 . 8 2( d 、 J = 4 . 3 H z ) 〕 の 存 在 が 示 さ れ 、 シ ク ロ プ ロ ピ ル 基 の 存 在 が 示 唆 さ れ た 。 さ らに 4 個 の 第 3 級 メ チ ル 基 〔 δ H   0 . 9 3 、 0 . 9 8 、 1 . 0 5 、 1 . 1 0 、 2 . 1 2 (各 s ) 〕 、 そ し て 2 個 の カ ル ボ ニ ル 基 〔 1 7 1 0 c m - 1 ; δ C   2 1 0 . 3 、 2 1 6 . 4〕 の 存 在 が 示 唆 さ れ た 。 E I - M S で は m / z 3 4 1 に C 2 0 ‐ C 2 1 の 開 裂 に よ り C 2 1 メ チル 基 が 脱 離 し た 開 裂 イ オ ン 、 m / z 3 1 3 に C 1 7 ‐ C 2 0 の 開 裂 に よ り C H 3 C O が 脱 離 した イ オ ン が 観 測 さ れ た 。 こ れ ら の ス ペ ク ト ル 値 、 及 び シ ク ロ ア ル タ ン 系 化 合 物 の 文 献 値 (B a r i k ら P h y t o c h e m i s t r y   3 5 巻 、 1 0 0 1 - 1 0 0 4 頁 、 1 9 9 4年 ) と 比 較 し 、 化 合 物 1 0 は 4 , 4 , 1 4 - ト リ メ チ ル - 9 , 1 9 - シ ク ロ プ レ グ ナ ン -3 , 2 0 - ジ オ ン 構 造 を 持 つ 事 が 明 ら か と な っ た 。 本 構 造 が 正 し い 事 は 、 1 H - 1 H C O SY 、 H M Q C 、 H M B C 、 及 び N O E S Y ス ペ ク ト ル の 解 析 に よ り 確 認 し た 。【 0 0 3 6 】  化 合 物 1 5 は 高 分 解 能 E I - M S ( 〔 M 〕 + m / z 4 7 2 . 3 9 2 4 ) 及 び 1 3 C - N MR よ り 分 子 式 C 3 1 H 5 2 O 3 を 持 つ 事 が 示 さ れ た 。 ま た 本 化 合 物 は I R ス ペ ク ト ル 、 1 H - NM R 、 1 3 C - N M R か ら メ チ レ ン 基 〔 δ H   0 . 5 7 ( d 、 J = 4 . 2 H z ) 、 0 . 7 9( d 、 J = 3 . 7 H z ) 〕 の 存 在 が 示 さ れ 、 シ ク ロ プ ロ ピ ル 基 の 存 在 が 示 唆 さ れ た 。 さ らに 4 個 の 第 3 級 メ チ ル 基 〔 δ H   0 . 9 1 、 1 . 0 0 、 1 . 0 5 、 1 . 1 0 、 ( 各 s ) 〕、 1 個 の 第 2 級 メ チ ル 基 〔 δ H   0 . 8 9 ( d 、 J = 6 . 4 H z ) 〕 、 イ ン プ ロ ピ ル 基 〔δ H   1 . 1 0 、 1 . 1 3 ( 各 s ) 、 そ し て ヒ ド ロ キ シ ル 基 〔 3 4 4 5 c m - 1 〕 、 カ ル ボニ ル 基 〔 1 7 1 0 c m - 1 ; δ C   2 1 3 . 0 〕 、 メ ト キ シ ル 基 ( δ H   3 . 2 3 ( s ) ; δ

C   4 9 . 1 ) の 存 在 が 示 唆 さ れ た 。 E I - M S で は m / z 4 4 0 に C 2 4 位 の C H 3 O H 脱離 に よ る イ オ ン 、 m / z 3 1 3 に C 1 7 ‐ C 2 0 の 開 裂 に よ り 側 鎖 ( C 9 H 1 9 O 2 ) が 脱 離 し た開 裂 イ オ ン 、 更 に m / z 2 7 1 に C 1 3 ‐ C 1 7 と C 1 4 ‐ C 1 5 の 結 合 開 裂 に よ る 、 1 H を 伴 っ

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Page 15: vzvLN 2RdSÊ0s0·0¯0í0¢0ë0¿0óW …【0010】 次に、実施例により本発明を具体的に説明する。すなわち、本発明に係る微生物変換反 応による発癌予防効果を有する化合物の生成、単離、単離された化合物の同定及び構造解

た D 環 の 開 裂 イ オ ン が 観 測 さ れ た 。 こ れ ら の 値 と シ ク ロ ア ル タ ン 系 化 合 物 の 文 献 値 ( 稲 田ら P h y t o c h e m i s t r y   4 6 巻 、 3 7 9 - 3 8 1 頁 、 1 9 9 7 年 ) 、 化 合 物 13 の ス ペ ク ト ル 値 と の 比 較 に よ り 、 化 合 物 1 5 は 2 5 - ヒ ド ロ キ シ - 2 4 - メ ト キ シ シ クロ ア ル タ ン - 3 - オ ン 構 造 を 持 つ 事 が 明 ら か と な っ た 。 本 構 造 が 正 し い 事 は 、 1 H - 1 H CO S Y 、 H M Q C 、 H M B C 、 及 び N O E S Y ス ペ ク ト ル の 解 析 に よ り 確 認 し た 。【 0 0 3 7 】  な お 、 化 合 物 7 、 8 は 、 2 4 - メ チ レ ン シ ク ロ ア ル タ ノ ー ル ( 化 合 物 2 ) の 化 学 的 変 換反 応 に よ っ て 得 ら れ る も の で あ っ て も よ い 。 化 学 的 変 換 反 応 を 用 い た 化 合 物 7 , 8 の 合 成方 法 を 以 下 に 示 す ( 図 5 参 照 ) 。[ 化 合 物 7 の 化 学 的 方 法 に よ る 調 製 ]( 1 ) 化 合 物 2 ( 1 0 0 m g ) を 塩 化 メ チ レ ン に 溶 解 さ せ 、 炭 酸 水 素 ナ ト リ ウ ム ( 2 5 0m g ) 、 m - ク ロ ロ 過 安 息 香 酸 ( 5 0 0 m g ) を 加 え 、 室 温 に て 4 8 時 間 、 撹 拌 し た 。( 2 ) 反 応 終 了 後 、 反 応 溶 液 を 1 N 水 酸 化 ナ ト リ ウ ム 水 溶 液 に て 洗 浄 し 、 続 い て 塩 化 メ チレ ン 層 は 水 で 洗 浄 し た 。【 0 0 3 8 】( 3 ) 分 取 H P L C [ 溶 離 液 : メ タ ノ ー ル ; 流 速 3 . 0 m L / 分 ] を 行 い 、 2 4 , 2 4 1

- エ ポ キ シ シ ク ロ ア ル タ ン - 3 β - オ ー ル ( 化 合 物 1 6 ; 3 1 . 6 m g ; 保 持 時 間 1 6 .8 分 ) を 得 た 。( 4 ) 化 合 物 1 6 ( 8 . 7 m g ) を 1 , 2 - ジ メ ト キ シ エ タ ン に 溶 解 さ せ 、 過 塩 素 酸 水 溶液 ( 2 m L ) を 加 え 、 室 温 に て 1 6 時 間 、 撹 拌 し た 。( 5 ) 反 応 終 了 後 、 ジ エ チ ル エ ー テ ル に て 抽 出 し 、 エ ー テ ル 層 を 1 M 炭 酸 ナ ト リ ウ ム 、 続い て 水 で 洗 浄 し た 。 エ ー テ ル 抽 出 部 は 分 取 H P L C [ 溶 離 液 : メ タ ノ ー ル ; 流 速 3 . 0 mL / 分 ] を 行 い 、 化 合 物 7 ( 2 . 6 m ; 保 持 時 間 1 2 . 9 分 ) を 得 た 。【 0 0 3 9 】  上 述 し た 本 発 明 の シ ク ロ ア ル タ ン 型 ト リ テ ル ペ ン 系 化 合 物 は 、 単 独 で あ る い は 混 合 し て用 い る こ と が で き る 。  ま た 、 本 発 明 の シ ク ロ ア ル タ ン 型 ト リ テ ル ペ ン 系 化 合 物 は 、 適 当 な 医 薬 用 の 担 体 又 は 希釈 剤 と 組 み 合 わ せ て 医 薬 と す る こ と が で き 、 通 常 の 如 何 な る 方 法 に よ っ て も 製 剤 化 で き 、経 口 又 は 非 経 口 投 与 す る た め の 固 体 、 半 固 体 又 は 液 体 の 剤 形 に 処 方 す る こ と が で き る 。 処方 に あ た っ て は 、 他 の 医 薬 活 性 成 分 と の 配 合 剤 と し て も よ い 。【 0 0 4 0 】  例 え ば 、 日 本 薬 局 方 に 記 載 さ れ て い る 各 種 製 剤 、 即 ち 、 錠 剤 、 丸 剤 、 カ プ セ ル 剤 、 顆 粒剤 、 散 剤 、 乾 燥 エ キ ス 剤 、 ト ロ ー チ 剤 等 の 内 用 固 形 製 剤 、 流 エ キ ス 剤 、 エ リ キ シ ル 剤 、 酒精 剤 、 シ ロ ッ プ 剤 、 リ モ ナ ー デ 剤 等 の 内 容 液 剤 、 チ ン キ 剤 、 リ ニ メ ン ト 剤 、 ロ ー シ ョ ン 剤等 の 外 用 液 剤 、 硬 膏 剤 、 軟 膏 剤 、 パ ッ プ 剤 等 の 外 用 剤 な ど に 製 剤 化 で き る 。 ま た 、 投 与 可能 で あ る な ら ば 、 吸 入 剤 、 エ ア ゾ ー ル 剤 、 注 射 剤 、 点 眼 剤 、 座 剤 等 に も 用 途 に 応 じ て 製 剤化 し て も よ い 。【 0 0 4 1 】  経 口 投 与 に お い て は 、 成 人 に 対 し 体 重 1 k g 当 り 0 . 5 ~ 5 0 0 m g / 日 の 範 囲 で 投 与す る の が 好 ま し い 。  ま た 、 本 発 明 の シ ク ロ ア ル タ ン 型 ト リ テ ル ペ ン 系 化 合 物 は 発 癌 予 防 の 薬 剤 と し て 使 用 する だ け で な く 、 種 々 の 飲 食 品 に 添 加 し 、 発 癌 予 防 に 有 効 な 機 能 性 飲 食 品 を 製 造 す る の に も有 用 な も の で あ る 。 こ の よ う な 機 能 性 飲 食 品 の 形 態 の 例 と し て は 、 顆 粒 、 錠 菓 、 ゼ リ ー 、飴 、 飲 料 な ど が 挙 げ ら れ る 。 さ ら に 、 本 発 明 の シ ク ロ ア ル タ ン 型 ト リ テ ル ペ ン 系 化 合 物 は、 人 間 の 食 べ る 食 品 と し て だ け で な く 、 ペ ッ ト 、 家 畜 、 競 技 用 動 物 な ど の 人 間 以 外 の 動 物の 飼 料 に 添 加 し て 利 用 さ れ 得 る 。【 0 0 4 2 】[ 化 合 物 8 の 化 学 的 方 法 に よ る 調 製 ]( 1 ) ~ ( 3 )   上 記 ( 1 ) ~ ( 3 ) と 同 じ よ う に し て 、 化 合 物 1 6 を 得 た 。( 4 ) 化 合 物 1 6 ( 8 . 7 m g ) を 1 , 2 - ジ メ ト キ シ エ タ ン に 溶 解 さ せ 、 過 塩 素 酸 / メ

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タ ノ ー ル ( 2 m L ) を 加 え 、 室 温 に て 1 6 時 間 、 撹 拌 し た 。( 5 ) 反 応 終 了 後 、 ジ エ チ ル エ ー テ ル に て 抽 出 し 、 エ ー テ ル 層 を 1 M 炭 酸 ナ ト リ ウ ム 、 続い て 水 で 洗 浄 し た 。 エ ー テ ル 抽 出 部 は 分 取 H P L C [ 溶 離 液 : メ タ ノ ー ル ; 流 速 3 . 0 mL / 分 ] を 行 い 、 化 合 物 8 ( 1 . 7 m g ; 保 持 時 間 1 8 . 3 分 ) を 得 た 。【 0 0 4 3 】[ 発 癌 予 防 効 果 の 確 認 試 験 に つ い て ]  次 に 、 本 発 明 の 効 果 を 確 認 す る た め に 行 っ た 試 験 に つ い て 説 明 す る 。( E p s t e i n - B a r r ウ イ ル ス ( E B V ) 活 性 化 抑 制 試 験 )  本 研 究 者 ら は 、 E B V の ゲ ノ ム を 内 蔵 す る バ ー キ ッ ト ・ リ ン パ 腫 由 来 の 培 養 細 胞 で あ るR a j i ( ラ ジ ) 株 に お い て 、 E B V ・ ゲ ノ ム の 発 現 を 阻 害 す る 化 合 物 の 多 く が 、 マ ウ ス皮 膚 発 癌 二 段 階 実 験 に お い て 抗 発 癌 プ ロ モ ー タ ー と し て 作 用 す る 点 に 注 目 し た 。 そ し て 米糠 抽 出 物 か ら 得 ら れ る シ ク ロ ア ル タ ン 系 ト リ テ ル ペ ノ イ ド の 糸 状 菌 に よ る 微 生 物 変 換 反 応か ら 得 ら れ た 変 換 生 成 物 か ら E B V ・ ゲ ノ ム の 発 現 を 阻 害 す る ウ イ ル ス ・ ゲ ノ ム 不 活 性 化物 質 を 探 索 し た 。 E B V ・ ゲ ノ ム の 発 現 阻 害 作 用 に 着 目 し た こ の 方 法 は R a j i ( ラ ジ )株 培 養 系 に 、 発 癌 プ ロ モ ー タ ー で あ る T P A ( テ ト ラ デ カ ノ イ ル ホ ル ボ ー ル ア セ タ ー ト )と 、 活 性 発 現 の た め に 相 乗 作 用 と し て 働 く n - 酪 酸 、 そ れ に 被 験 物 質 を 加 え て 培 養 し 、 TP A に よ り 活 性 化 さ れ た 細 胞 由 来 の 抗 体 を 用 い る 間 接 蛍 光 抗 体 法 で 検 出 す る 方 法 で あ る 。こ の 方 法 は 、 迅 速 、 か つ 定 量 性 に 優 れ 、 加 え て 、 微 量 活 性 成 分 の 検 出 が 可 能 な 点 で 優 れ た方 法 で あ る 。【 0 0 4 4 】  ま ず 、 試 験 の 手 順 に つ い て 図 7 の ス キ ー ム を 参 照 し な が ら 説 明 す る 。 な お 、 本 手 順 は 、徳 田 ら の 方 法 ( C a n c e r   L e t t e r s 、 4 0 巻 、 3 0 9 頁 、 1 9 9 8 ) に 準 拠 して い る 。( 1 ) 1 × 1 0 6 / m L の ラ ジ 細 胞 に 、 発 癌 プ ロ モ ー タ ー と し て 、 2 0 n g / m L の 濃 度の 1 2 - O - テ ト ラ デ カ ノ イ ル ホ ル ボ ー ル - 1 3 - ア セ タ ー ト ( T P A ) を 3 2 p m o 1加 え 、 さ ら に T P A の 活 性 発 現 の た め に 相 乗 作 用 と し て 働 く n - 酪 酸 を 加 え た 。( 2 ) そ こ に 、 水 、 エ タ ノ ー ル 、 又 は ジ メ チ ル ス ル ホ キ シ ド に 溶 解 し た 所 定 量 の 被 験 物 質を 添 加 し て 、 3 7 ℃ で 4 8 時 間 培 養 し た 。( 3 ) 培 養 終 了 後 、 上 咽 頭 癌 患 者 の 血 清 ( T P A に よ り 活 性 化 さ れ た 細 胞 由 来 の 抗 体 を 含む ) を 用 い た 間 接 蛍 光 抗 体 法 に よ り E B V 早 期 抗 原 の 発 現 を 検 出 し た 。【 0 0 4 5 】  上 記 の 手 順 に 従 っ て 検 定 を 行 っ た 後 、 T P A の み を 加 え た 群 ( コ ン ト ロ ー ル ) の E B V早 期 抗 原 の 発 現 率 を 1 0 0 % と し て 、 被 験 物 質 添 加 群 の E B V 早 期 抗 原 の 発 現 率 を 求 め 、次 式 ( 1 ) に よ り 被 験 物 質 の E B V 早 期 抗 原 の 発 現 阻 害 率 ( % ) を 算 出 し た 。E B V 早 期 抗 原 の 発 現 阻 害 率 ( % ) =  1 0 0 - 被 験 物 質 添 加 群 の E B V 早 期 抗 原 の 発 現 率 ( % ) ・ ・ ・ 式 ( 1 )  検 定 は 、 前 述 の よ う に 糸 状 菌 G l o m e r e l l a   f u s a r i o i d e s に よ る シク ロ ア ル タ ン 系 ト リ テ ル ペ ノ イ ド の 変 換 反 応 よ り 得 た 化 合 物 1 ~ 1 5 を 被 験 物 質 と し 、 各被 験 物 質 を 種 々 の 濃 度 ( 被 験 物 質 / T P A の モ ル 比 ) に 調 製 し て 行 っ た 。 こ の 検 定 の 結 果を 表 5 に 示 す 。  シ ク ロ ア ル タ ン 型 ト リ テ ル ペ ン ( 化 合 物 1 ~ 1 5 ) の E B V 早 期 抗 原 の 発 現 阻 害 率 ( %)【 0 0 4 6 】

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【 表 5 】                              【 0 0 4 7 】  な お 、 被 検 物 質 の 濃 度 が 1 0 0 0 倍 モ ル 濃 度 の 欄 の 括 弧 内 の 数 値 は 、 ラ ジ 細 胞 の 生 存 率( % ) を 示 す 。 こ の 数 値 が 高 い 方 が 正 常 細 胞 に 対 す る 悪 影 響 が 小 さ い 、 す な わ ち 安 全 性 が高 い と 言 え る 。 表 5 に 示 さ れ る よ う に 、 こ れ ら の 化 合 物 の 阻 害 率 は 、 T P A に 対 し 1 0 0倍 モ ル 濃 度 の 時 2 8 ~ 3 7 % で あ り 、 高 い 活 性 を 有 し て い る 。 特 に 2 4 - メ チ ル シ ク ロ アノ レ タ ン - 3 β , 2 4 , 2 4 1 - ト リ オ ー ル ( 化 合 物 7 ) 、 2 4 1 - メ ト キ シ - 2 4 - メ チル シ ク ロ ア ル タ ン - 3 β , 2 4 - ジ オ ー ル ( 化 合 物 8 ) は 1 0 倍 モ ル 濃 度 の 時 1 5 % 以 上と 非 常 に 高 い 活 性 を 有 し て お り 、 抗 発 癌 プ ロ モ ー タ ー 活 性 に 優 れ る 事 が 確 認 さ れ た 。 ま た、 こ の 阻 害 率 は 、 ビ タ ミ ン A 誘 導 体 で あ り 、 そ の 発 が ん 予 防 効 果 が 種 々 の 動 物 実 験 で も 確認 さ れ て い る β - カ ロ テ ン ( 村 上 ら 、 B i o s c i .   B i o t e c h .   B i o c h em . 、 6 0 巻 、 1 頁 、 1 9 9 6 ) よ り も 高 い 値 を 示 し た 。 さ ら に 、 こ れ ら は 本 検 定 に お いて 高 い ラ ジ 細 胞 生 存 率 を 示 し た こ と か ら 、 高 い 安 全 性 を 持 つ 発 癌 予 防 剤 と し て 期 待 で き る。【 0 0 4 8 】  さ ら に 、 本 発 明 の 効 果 を 試 験 す る た め に 化 合 物 1 ~ 1 5 を N O ( 一 酸 化 窒 素 ) 障 害 に 対す る 抑 制 試 験 を 行 い 、 活 性 を 示 し た の で 説 明 す る 。( N O R 1 処 理 に よ る 細 胞 形 態 変 化 抑 制 試 験 )  ( ± ) - ( E ) - 4 - メ チ ル - 2 - [ ( E ) - ハ イ ド ロ キ シ イ ミ ノ ] - 5 - ニ ト ロ - 6ム メ ト キ シ - 3 - ヘ キ セ ナ ミ ド ( N O R 1 ) 処 理 に よ る 細 胞 形 態 変 化 抑 制 試 験 は 、 発 癌 イ

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ニ シ エ ー タ ー の 一 次 ス ク リ ー ニ ン グ 法 と し て 知 ら れ た 試 験 で あ る 。 N O は ガ ス 状 の フ リ ーラ ジ カ ル で あ り 、 そ の 過 剰 産 生 が 慢 性 化 す る と 、 胃 が ん や 大 腸 が ん の 危 険 性 が 高 ま る と いわ れ て い る 。 こ の こ と か ら 、 N O の 過 剰 生 産 を 抑 制 す る こ と が 発 癌 予 防 に 有 効 で あ る と いえ る 。 こ の 試 験 は 迅 速 、 か つ 微 量 活 性 成 分 の 検 出 が 可 能 な 点 で 優 れ た 試 験 で あ る【 0 0 4 9 】  試 験 方 法 に つ い て 説 明 す る 。 な お 、 本 手 順 は 、 秋 久 ら の 方 法 ( C a n c e r   L e t te r s   2 0 5 巻 、 9 - 1 3 頁 、 2 0 0 4 年 ) に 準 拠 し て い る 。( 1 ) イ ー グ ル の 最 小 必 要 培 地 よ り 得 た 5 × 1 0 5 / m L の ヒ ト 正 常 肝 由 来 細 胞 を 3 日 間培 養 す る 。( 2 ) そ こ に 被 検 物 質 を 加 え 、 そ の 1 分 後 に N O ド ナ ー で あ る N O R 1 を 加 え C O 2 イ ンキ ュ ベ ー タ ー で 培 養 す る 。( 3 ) 細 胞 の 形 態 変 化 を 光 学 顕 微 鏡 に て 測 定 す る 。 ( 2 5 0 以 上 の 形 態 変 化 を 示 し た 細 胞数 を 測 定 す る 。 )【 0 0 5 0 】  上 記 の 手 順 に 従 っ て 試 験 を 行 な っ た 後 、 被 検 物 質 を 加 え な い 群 を コ ン ト ロ ー ル と し 、 次式 に よ り N O R 1 処 理 に よ る N O 産 性 抑 制 率 を 算 出 し た 。  N O R 1 処 理 に よ る 細 胞 形 態 変 化 抑 制 率  = N O R 1 の み で 形 態 変 化 し た 細 胞 ( % ) / N O R 1 と 被 検 物 質 を 加 え た と き の 形 態 変化 し た 細 胞 ( % ) … 式 ( 2 )【 0 0 5 1 】  前 述 の よ う に 糸 状 菌 G l o m e r e l l a   f u s a r i o i d e s に よ る シ ク ロ ア ルタ ン 系 ト リ テ ル ペ ノ イ ド の 変 換 反 応 よ り 得 た 化 合 物 ( 1 ~ 1 5 ) を 被 験 物 質 と し て 行 っ た検 定 の 結 果 を 表 6 に 示 す 。 な お 、 参 照 化 合 物 と し て 、 発 癌 予 防 効 果 が 知 ら れ て い る ク ル クミ ン ( C a n c e r   L e t t e r s 1 5 9 巻 、 1 3 5 頁 、 2 0 0 0 年 ) と 、 N O ス カ ベン ジ ャ ー で あ る 2 - ( 4 - カ ル ボ キ シ フ ェ ニ ル ) - 4 , 4 , 5 , 5 - テ ト ラ メ チ ル イ ミ ダゾ リ ン - 1 - オ キ シ ル   3 - オ キ シ ド   ナ ト リ ウ ム 塩 ( カ ル ボ キ シ - P T I O ) の 値 も 示し た 。  シ ク ロ ア ル タ ン 型 ト リ テ ル ペ ン ( 化 合 物 1 ~ 1 5 ) の N O 障 害 に 対 す る 抑 制 率【 0 0 5 2 】

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【 表 6 】                                            【 0 0 5 3 】  表 6 に 示 さ れ る よ う に 、 化 合 物 7 、 8 は 参 照 化 合 物 で あ る ク ル ク ミ ン と 同 程 度 の 活 性 を示 し た 。 こ の こ と か ら 、 こ れ ら の 化 合 物 は 抗 発 癌 イ ニ シ エ ー タ ー 活 性 に 優 れ る こ と が 確 認さ れ た 。【 図 面 の 簡 単 な 説 明 】

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Page 20: vzvLN 2RdSÊ0s0·0¯0í0¢0ë0¿0óW …【0010】 次に、実施例により本発明を具体的に説明する。すなわち、本発明に係る微生物変換反 応による発癌予防効果を有する化合物の生成、単離、単離された化合物の同定及び構造解

【 0 0 5 4 】【 図 1 】 糸 状 菌 に よ る シ ク ロ ア ル テ ノ ー ル ( 化 合 物 1 ) の 微 生 物 変 換 反 応 生 成 物 ( 化 合 物3 ~ 5 ) の 化 学 構 造 式 を 示 す 図 で あ る 。【 図 2 】 糸 状 菌 に よ る 2 4 - メ チ レ ン シ ク ロ ア ル タ ノ ー ル ( 化 合 物 2 ) の 微 生 物 変 換 反 応生 成 物 ( 化 合 物 5 ~ 8 ) の 化 学 構 造 式 を 示 す 図 で あ る 。【 図 3 】 糸 状 菌 に よ る シ ク ロ ア ル テ ノ ン ( 化 合 物 3 ) の 微 生 物 変 換 反 応 生 成 物 ( 化 合 物 9~ 1 5 ) の 化 学 構 造 式 を 示 す 図 で あ る 。【 図 4 】 新 規 化 合 物 7 、 8 、 1 0 、 1 5 の 化 学 構 造 式 を 示 す 図 で あ る 。【 図 5 】 本 発 明 に 係 る 新 規 化 合 物 7 、 8 、 1 0 、 1 5 の N O E S Y ス ペ ク ト ル 法 に よ り 得ら れ た 核 オ ー バ ー ハ ウ ザ ー 効 果 ( N O E ) 相 関 関 係 を 説 明 す る 図 で あ る 。【 図 6 】 化 合 物 7 、 8 を 化 学 的 に 合 成 す る 方 法 を 示 す 図 で あ る 。【 図 7 】 E B V 活 性 化 抑 制 試 験 の 手 順 を 説 明 す る 図 で あ る 。

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【 図 1 】 【 図 2 】

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【 図 3 】 【 図 4 】

【 図 5 】 【 図 6 】

【 図 7 】

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(51)Int.Cl. FI テーマコード(参考) C12PC12PC12PC12PC12PC12PC12PC12P 33/06 (2006.01) 33/06 (2006.01) 33/06 (2006.01) 33/06 (2006.01) 33/06 (2006.01) 33/06 (2006.01) 33/06 (2006.01) 33/06 (2006.01) C12P 33/06    A            C12P 33/06    Z      

(72)発明者 浮谷 基彦 東京都千代田区九段南四丁目8番24号 学校法人 日本大学内(72)発明者 渡辺 健二 東京都葛飾区四ツ木4-5-7(72)発明者 米今 梨紗 神奈川県横浜市金沢区並木1-17-11-604Fターム(参考) 4B064 AH07 CA05 CB12 CB13 CB30 DA05         4C086 AA01 AA04 DA11 MA01 MA04 NA14 ZB26         4C091 AA01 BB01 CC03 DD01 EE07 FF02 FF06 GG01 HH04 JJ04         KK01 LL03 MM03 NN01 PA02 PA06 PB05 QQ05 QQ15 RR13

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