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SXIのアウトガス源として最も注意すべきはビデオボードである。ベーキングによりアウトガス量をビデオボードの許容値(1 ng/sec)以下に抑えることが現実的に可能か調べる。
3, SXIのコンタミネーション対策 • SXIのアウトガス許容値
『有効エネルギー範囲下限である0.4 keVでの検出効率低下が10%以内』 軌道上でのアウトガス減少量の時間依存性、二部屋間の隙間のコンダクタンス
を考慮し、アウトガス許容値を求めると5 μg/cm2となる。 ・アウトガス対策 - SXI外部からのアウトガス
Ø コンタミネーション防止フィルター(CBF)。 - SXI内部からのアウトガス
Ø ベントパイプによりアウトガスをセンサー外に排気。 Ø 二部屋構造によりCCDと電子回路基板(ビデオボード)を隔離。 Ø 搭載機器のベーキングによりアウトガス発生を抑える。
ASTRO-‐H搭載軟X線撮像検出器SXIのコンタミネーション対策 井澤正治、堂谷忠靖、藤永貴久、岩井將親(ISAS/JAXA、東工大)、尾崎正伸、夏苅権(ISAS/JAXA)
松田桂子、近藤恵介(ISAS/JAXA、総研大)、他SXIチーム 概要
SXI は、ASTRO-‐H搭載の焦点面検出器のひとつで、撮像分光観測を行う。CCDは-‐120 ℃に冷却して使用されるが、衛星から放出される汚染(コン
タミネーション)物質は低温箇所に付きやすいため、CCDには汚染物質が大変付き易いことになる。アウトガス源として最も注意すべき電子基板は
CCDと隔離し、二部屋構造とすることで対処している。しかし、二部屋構造の隙間を通じてアウトガスがCCD側に漏れ、CCDを汚染する恐れがある。
そこで、ベーキング等により、電子基板からのアウトガスを許容値以下に抑える必要がある。本研究では、エンジニアリングモデルの電子基板か
らのアウトガス量の測定を行い、アウトガス許容値の実現可能性を検証した。現状ではアウトガス放出量が許容値に対して約4倍大きいが、フラ
イトモデルでは約2週間のベーキングにより許容値の達成可能が見込まれる。
10.5 20.01
0.1
110
norm
aliz
ed c
ount
s sï1
keV
ï1
Energy (keV)
E0102ï72 (Suzaku XISï1)
図2, XISによる超新星残骸E0102-‐72のエネルギースペクトル。オレンジの楕円で囲んだ領域(<1keV)で汚染により感度が低下している。
図3, SXI のアウトガス対策
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• 結果
図5に測定結果を示す。 TQCM温度が低下するに 従いアウトガス吸着率が 指数関数的に増加してい ることが確認出来る。
• 解析 以下のモデル関数を用いて、データをフィッティングする。
吸着レート=P0-‐P1exp(-‐P2/RT) (P0 : ガスフラックス, P1 : 被覆率, P2 : 活性化エネルギー)
上記TQCM吸着レートは、チャンバーからのバックグラウンドを差し引き、 -‐120 ℃まで外挿すると約2 ng/sec。 これを今回使用したチャンバー排気系のgeometry等を考慮して、以下の
式を用いてビデオボードからのアウトガス量に換算すると、 Mboard=MTQCM(STQCM+A×C)/STQCM
STQCM : 振動子の面積, A : チャンバー排気口の面積, C : 補正係数 ビデオボードからのアウトガス量は約4 ng/secとなる。 したがって、現状ではアウトガス量が許容値に比べ約4倍大きい。
5, まとめ 現状ではビデオボードからのアウトガス量は許容値に比べ4倍大きい。 しかし、フライト品では2週間程度のベーキングを施すことにより、許容 値達成可能が見込まれる。
6, 参考文献 1) 清水一真、「衛星搭載X線CCDカメラのコンタミネーション対策」、修士論文、東
京工業大学(2011) 2) 堂谷忠靖、井上一、小賀坂康志、竹島敏明、「衛星検出器のアウトガス対策」、
搭載機器基礎開発成果報告書 vol.7,pp.49, ISAS/JAXA(1994) 3) 穴吹直久、ASTRO-‐E2チーム、「ASTRO-‐E2衛星ベーキングにおけるアウトガス
量の測定」、JAXA研究開発報告、JAXA-‐RR-‐04-‐025(2005)
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������������ ��SXI内部
ベントパイプ
4.4. SXI-S内部からのコンタミネーション物質への対策 29
きるようにした。また、コンタミネーション物質発生源である PCB基板と PCB-Feedthruの間のケーブルは、覆いをかぶせることで二部屋構造の下の部屋に含まれるようにした。CCD-PCBの間の FPCについては、下の部屋からのアウトガスの上の部屋への流入を防ぐため、2枚のL字板で FPCをサンドウィッチすることで隙間を埋めながら通す構造にした (図 4.7)[26]。
図 4.6: SXI-Sの二部屋構造
図 4.7: SXI-S内部からのコンタミネーション物質への対策
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上の部屋
しきり板
下の部屋
SXIフード
C]°Temperature [-20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20
Hz/m
in
1
10
210
Board+ChamberBoardChamber
C]°Temperature [-20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20
Hz/m
in
1
10
210
C]°Temperature [-20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20
Hz/m
in
1
10
210
C]°Temperature [-20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20
Hz/m
in
1
10
210
C]°Temperature [-20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20
Hz/m
in
1
10
210
Board+ChamberBoardChamber
チャンバー+基板
基板
チャンバー
図4, 実験セットアップ
SXIフード
28 第 3章 ASTRO-H SXI
SXI-S-BDY
SXI-S-EFHood
purge line
compressor
cold head
kinematic mount (Ti-6Al-4V)
system heat pipe
図 3.3: SXI システム全体の構造図 [17]。CCD 素子は中央のボディ内に格納される。SXT で集光した X線は図の上方から鏡筒を通って素子に入射する。冷凍機 (SXI-S-1ST) は側面に取り付けられる。ドライバーボードはボディ横 (SXI-S-FE) に配置される。
3.1.5 SXI-MXS
SXI-MXS は衛星の lower パネル (SXT-I と SXI-S の間に位置する) に配置される。SXI-S に対し較正用の X線を生成し照射する役割をもつ。「すざく」XIS では較正線源を塔載し、エネルギー分解能やゲインの時間依存性は較正線源を利用して、位置依存性は天体を利用して較正しているが、天体を利用した較正では実際のところ充分な統計が得られておらず、真のX線エネルギーもわからない。SXI は XIS よりも視野が広くなり、較正に天体を利用すると他のターゲットの観測時間を圧迫してしまう。そのため、MXS を定期的に CCD全面に照射することで時間依存性と位置依存性の両方を較正する計画である。
3.2 SXI の要求性能SXI の要求性能および仕様を 表 3.1 にまとめておく。5.9 keV でのエネルギー分解能は 150 eV 以
下を目指す。素子全面を使って露光時間 4 秒、つまり時間分解能 4 秒を目指している。その間に次の撮像データで上書きされることなくデジタル系がデータ収集を終えなければならず、SpaceWire ネットワークでのデータ速度がトータルスループットで 8.8 Mbps より速くなければならない。
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SXI&S$(S:$Sensor)$¦①��^ÿ�¡Ā$¦②ÕõöòâÎ(CCD¯{ÃÇʹ«É)$¦③Íåú×)�ąäöÏéþòþäÿFE�Ā¦¦¦¦¦¦¦¦¦¦¦¦¦¦$¦¦¦¦+ëâÔòþäÿBDY�Ā$$
SXI&S&FE�
X-‐ray
フード
SXI本体
パージライン
ヒートパイプ
SXI-‐S-‐FE
コンプレッサー
コールドヘッド
Kinema]c mount
図5, 吸着レートの温度依存性
2005 Aug 31 2005 Dec 16
1, SXIの概要 • 0.4-‐12 keVのエネルギー範囲で撮像分光。 • 背面照射型CCDを採用し、高分解能を実現
(150 eV @6 keV)。 • CCDを4枚(2×2配置で)用い、広視野を実現 (38分角)。 • CCDを-‐120 ℃に冷却して使用。
2, コンタミネーション対策の重要性 打ち上げ後、衛星搭載品の有機化合物から可塑剤 (DEHP : C24H38O4)等が放出され、衛星内を飛び回り、吸着、脱離を繰り返す。 ↓ アウトガスはCCDのような低温の表面に吸着。 ↓
1keV以下の軟X線がガスに吸収 され、CCD感度が低下する。
「すざく」搭載XISでは、100μg/cm2の 汚染がつき、軟X線感度が低下した。
断面図
4, ビデオボードからのアウトガス測定 ここでは、実際にビデオボード(エンジニアリングモデル)からのアウトガス量を測定した。これはフライト品と同等であるが、部品はプラスチックパッケージで、基板にコーティングは施されていない。測定前に80℃で正味3日間ベーキングを行った。 ・測定装置 - TQCM (Thermoelectric Quartz Crystal Microbalance)
水晶振動子にアウトガスが吸着すると振動子の固有振動数が減少するため、周波数変化分を精度よく測定し、吸着量に変換出来る。
- アウトガス測定用チャンバー 図4に実験セットアップの概要を示す。TQCMは真空槽中に露出され、かつ冷却されてアウトガスが吸着しやすい状態に保たれる。
・測定方法 アウトガス吸着率の温度依存性を調べるために、TQCMを20,10,0,-‐10,-‐20 ℃に設定し、各温度で1分毎に、計20分間TQCM周波数を測定した。
図1, SXI body
W61b 日本天文学会2013春季年会 @埼玉大学
TQCM感度 : 1.69×10-‐10 g/Hz
隙間を通じアウトガスがCCD側に漏れる