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名名名名(名名名名)名名名名名名名名名名 09-1-017-0016 名名 名名名 【】 要要 (要 要要 要要 ・・ )要要要要要要要要要要要要要要要要要要要要要要 、一。。、、。、、、。、、。、、。。、、体。 要要 要要要要要 、一、 40要 要 要 要 要 要 要 要 要 要 要 、4。、。、、、、。。 要 要 要 要 要 要 要 要 要 要 要 要要要要要要要要要要要要要要要要要要要要要要 、。、、。、。1体、、

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名塩和紙(雁皮和紙)の実験研究と商品提案09-1-017-0016 大間 菜優子

【要旨】本研究は私の生まれた町である名塩と共に繁栄してきた和紙について調べたものである。

和紙の種類には3種類(楮・三椏・雁皮)があり、名塩和紙は雁皮和紙の一種である。雁皮は非常に貴

重で自生しているものは少なく手に入りにくい。だが、名塩に雁皮が自生していたため、昔は和紙職

人として生計をたてている人がほとんどであった。昔は名塩千軒と言われるほど和紙の生産で盛んで

あったが、製紙業が発達し、機械製造が増え、和紙の需要はなくなっていった。しかし、今でも伝統

を守り、和紙を漉いている職人が存在する。その人は人間国宝にも認定されるほど偉大な方であり、

私の祖父も知り合いだと言うことで実際にお会いし、話も詳しく伺うことが出来た。今まで作ってき

た作品や資料もたくさん見せて頂いた。さらに、個人的に名塩和紙を漉かせてもらえ、貴重な体験を

した。

 和紙の特徴を調べるために、現代で一般的に使われている普通紙と新聞紙、その 40 年前の和紙、自

ら漉いた和紙の4種類で比較実験を行った。比較実験を終えた後、ほかの紙にはない名塩和紙の特徴

を活かした商品を作成。和紙で作成した商品を見てもらうことによって、和紙に対しての考え方、と

らえ方、感じ方が変わるのかを知りたくて、アンケートも実施。アンケート結果をもとにさらに付加

価値をつけた商品提案も行った。

 現代の人たちは紙があって当たり前、捨ててもいくらでも出てくると思っているであろう。現に私

もそうであり、本研究にあたるまで、紙をそんなに大事にしていなかった。しかし、本研究を終えて

みるとその感覚が変わった。紙1枚作るのにも多大な時間や体力を費やしていた時代があり、その人

たちのおかげで、自由に「紙」が使えると言うことを知ってもらいたい。

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【目次】第一章 はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

1. 目的 ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ 12. 結論 ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ 13. 方法 ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ 14. 意義 ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ 1

第二章 名塩和紙について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21. 雁 皮 和 紙 と は ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2

① 和 紙 の 種 類 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2② 雁 皮 に つ い て ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2

2. 町 の 繁 栄 と の 関 係 と 現 状 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 33. 紙 漉 き 体 験 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 4

第三章 実験 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・61. 経 緯 ・ 目 的 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 62. 実 験 ① ≪ 色 褪 せ に く さ ≫ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 63. 実 験 ② ≪ 燃 え に く さ ≫ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 74. 実 験 ③ ≪ 耐 水 性 ≫ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 75. 実 験 ④ ≪ 耐 久 性 ≫ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 86. ま と め ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 8

第四章 名塩和紙の特徴を生かした商品提案 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・91. 商品提案するにあたって ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 92. 商品作成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 93. アンケート調査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10

・和紙についてのアンケート ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10・作成した商品についてのアンケート ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11

4. アンケート結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 115. アンケート後の提案 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13

第五章 まとめ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ 15

第六章 参考文献・参考資料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15

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第一章 はじめに

1. 目的 一つ目は、私は名塩という西宮市の町に住んでいて、名塩には「雁皮和紙」という和紙があるが、今まで身近であるはずの和紙作りの伝統に触れることは、ほとんどなかった。小学生のときに少し体験しただけで、名塩和紙について無知と言っても過言ではない。そこで、地元の伝統を自ら調べ、実験し、奥まで知りたい。さらに、研究に自分で商品を提案し付加価値をつけ、和紙に興味を持ってもらいたい。他の紙では感じることが出来ない和紙特有の「和」を感じてほしい。

二つ目は、今の子供たちは「紙があることは当たり前だ」と思っている子が多いのではないかと思い、子供たちに紙が存在する意義や大切さを知ってもらえたらと思った。

この二つの理由からテーマを設定した。

2. 結論 紙は存在するのは当たり前ではない。この研究を通じて、電子化が進んでいる今の世の中では感じることのない、紙が存在する有難さを伝えていきたい。今までにはない資料を作るために、自らで実験し、提案商品について評価し何らかの付加価値をつける。本研究を通して、伝統の和紙作りに触れることができ、自ら漉いた和紙で商品提案も行い、さらにアンケート結果を参考に、新たな商品提案やサービス提案を行うことが出来た。和紙はただ単に文字を書く紙だけではなく、色んなものに多用できることが明確になった。

3. 方法① 資料・文献を使用し、和紙の歴史や町の歴史を調べる② 自らの足で出向き、和紙職人や関わっていた人に話を伺う③ 和紙を使った実験④ 名塩和紙の特徴を活かした商品を提案⑤ 提案商品についての評価

4. 意義 和紙には何種類かあるが、今回「雁皮」を取上げたのは名塩和紙=雁皮和紙であるから。また名塩という町は和紙とともに繁栄してきたのだ。その素晴らしい歴史を研究しようと思う。自分で和紙の特徴を活かした商品を作ることで、今まで和紙に関心がなかった人に和紙の良さを伝え、少しでも需要が増えることを期待する。

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第二章 名塩和紙について1.雁皮和紙とは① 和紙の種類 和紙の主原料として挙げられるのは、楮(こうぞ)・三椏(みつまた)・雁皮(がんぴ)の3種類である。そのうち、楮は和紙の約9割を占めている。私たちの日常で使われているものなら、障子がそうである。楮の長い繊維がよく絡んで、裂けたり、破れたりしにくい強靭な楮紙。ちなみに三椏は、楮より繊維が短く優美であるため、きめ細やかな紙となる。特に印刷したときに綺麗なので、紙幣などに多く用いられている。そして、今回テーマにした雁皮は三椏と同じで繊維が短く、5㎜前後である。繊維に光沢があり半透明で、粘り気がある。そのため紙になっても肌触りが大変滑らかで、魅力的である。

(西宮の歴史と文化「名塩紙の意義」から一部抜粋)

     ↑雁皮の繊維

(図1)

② 雁皮について 雁皮紙は楮紙のようには数が多くなく種類も少ない。それは、楮や三椏のように栽培が容易ではなく、野外に自生しているものを採取しなければならないためである。現在は雁皮紙の需要が少なくなったから原料を確保することは、それほど困難なことではなくなったのだ。雁皮は温かい地元の日当たりの良い土地を好む。静岡・岐阜・石川・福井より南側でよく見られた。特に有名で優秀な雁皮があると言われていたのは、和歌山県の勝浦のものであった。

 その雁皮が、私が住んでいる名塩に多く自生している。実際に生えていた木から切って採ってきた枝が(図2)の写真である。採ってきてすぐだと素手で木の皮を剥ぐことができる。時間が経ってしまうと、木の水分が飛び、剥ぎにくくなってしまう。

(図2)

4

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 →上の写真(図2)を拡大した写真。(図3)白い部分は皮を剥いだ部分の枝で、剥いだ皮の裏面も枝同様に白くなっている。緑の部分は剥いだ皮の表面の茶色い皮を更に剥いだ部分である。和紙に使うのは枝ではなく、『剥いだ皮』である。

(図3)

2.町の繁栄との関係と現状

 名塩和紙は、およそ 400 年の伝統を誇る重要な西宮の伝統工芸品である。名塩紙はいわゆる和紙に属する日本古来の紙で、古くからの抄紙技術を守って漉かれている。上記にもあったように、和紙には楮・三椏・雁皮が知られ、名塩ではこのうちの雁皮を用いる。原料に名塩産の凝灰石をすり潰して溶かしこんだ水溶液を混ぜ淡い色をつけるのだ。技法としては、『溜め漉き』が発達した。独自の技術で生産される紙は、丈夫で偽造が困難なため、藩札 ( )※ 用紙として重宝された。この技術が評価されて、昭和58年に「兵庫県指定無形文化財」になり、さらに平成14年には「国指定無形文化財」となった。

※ 藩札とは江戸時代に諸藩が発行した紙幣。最初の藩札は 1661年に越前国福井藩で発行した銀札であった。藩札の発行に先立って,江戸初期には伊勢,大和,河内,和泉,摂津の諸地域で私札の発行が見られ,それが寛文期以降における藩札の続発を生むに至った。全国諸藩の約 80%にあたる 244藩で藩札を発行していた。

(江戸時代の名塩紙と藩札から一部抜粋)

また名塩紙は、今の紙幣でもあるような「透かし」の入った珍しい藩札にも用いられていたのだ。

←名塩和紙を使った透かしの入った藩札(図4) (上の方にある薄い丸が透かし)

(図4)

5

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 私の祖父は若かりし頃、和紙作りを仕事としていた。祖父のように昔から名塩に住んでいる人々のほとんどが紙漉きの仕事に就いており、最盛期には、山間の村とは言え、西国の諸大名からの藩札原紙の注文が続いていたからの理由もあり「名塩千軒」という名声を誇った。この多大な注文が村全体の生活水準も向上させた。そして藩札だけではなく、寺院や一般家庭にも広がっていった。しかし、現在では地域全体に産業の発達の波にのまれ、紙漉きで生計を立てているのは、たった2軒だけである。その現在でも紙を漉いている工人たちの手によって昔ながらの習俗を守り製紙業が保たれているのが現状である。 今は藩札などないが、有名な寺院や城からの需要がある。寺院や城のふすまや障子に使用されている。他には、どこにでも売っているわけではないが、下の写真のような便箋・折り紙などがある。また体験教室も開かれており、自分だけの和紙が漉けるのである。私も、小学生のころだが体験したことがある。卒業証書も自ら漉いた名塩和紙で作ったものであった。

←白色…東久保土青色…カブタ土黄色…玉子土茶色…蛇豆土これらの土は名塩でとれるものである。これらの土を雁

皮と混ぜて漉くことによって写真にあるような色を付けることが出来る。

(図5)(図5)

3.紙漉き体験

 H24.11.14 に人間国宝の谷野武信さんの家に訪問し、実際に和紙を漉かせてもらった。実際に教えてくれたのは息子さんだったが、後から武信さんにもお話を伺うことが出来て、さまざまな資料や実際に国宝などに使われている障子やふすまなども見せて頂いた。

 【行程】

① 第二章の1に説明した雁皮の皮をきれいに処理し、水と苛性ソーダで炊いた後、水で洗いながらゴミやチリを取

り除く。そのあと柔らかくなった雁皮をたたいて繊細にほぐ

したもの (図6)を山でとれる凝灰石から泥を作り混ぜる。

(図6)②① の雁皮の原料を舟(紙を漉くための大きい水槽)に入れ、

竹の棒でかき混ぜる。

 

6

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簀と桁を両手で持ち、原料をくみ上げ簀桁をゆっくり揺すりながら水が落ちるのを待つ。(溜め漉き)③ と④を好きな回数繰り返す。薄い紙なら、2回程度厚い紙なら、3~5回程度

(体験では4回繰り返した)

※紙を漉くための木の道具のことを 簀(す)と桁(けた)と言う。 簡単に説明すると簀は網で、

桁はその網を挟む枠である。

⑤ 漉き終わった紙を簀からはずす。 (このあとの作業は素人には不可能な

ことなので体験はここまで。)

 完成するまでは、このあと日に干して乾燥させなけれならない。出来上がるのは3~4日ほど

【体験した感想】 初めは何回もやり直したが、コツを掴んだ途端失敗しなくなり、すいすい漉けるようになった。A4の大きさは小さくて軽いので凄くやり易かった。いろんな大きさの簀桁があるが、簀桁が大きくなるにつれて難易度もあがることが分かった。漉いている時に小さなゴミが入っていることがあり、1回漉く度にチェックして、ピンセットで取るという細かな作業も必要で、簡単そうに見えて神経を集中させなければならないのだと感じた。

7

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第三章 実験

1.経緯・目的 和紙と現在一般的に使われている紙とは、なにが違うのか。名塩和紙は木の繊維である雁皮・名塩独特の土を混ぜて漉いているため、「色褪せにくく、燃えにくい」と言われている。そこで、自分の目で確かめたいと思い、実際に実験してみた。その2つだけでなく、「耐水性」と「耐久性」はどうかと疑問に思ったため加えて実験した。 私の家には祖父が漉いた和紙が残っていた。それは40年も前の和紙だそうだがシミもほとんど付いていなかった。40年も前に漉いた和紙など、そうそう残っていないため、実験する意義があると思った。さらに、今回体験をさせていただいて現在の和紙も手に入ったため、他の3種類とは同時進行の実験ではなくなるが、実験に加えた。

実験に使う紙は、「40 年前の名塩和紙」「現在の名塩和紙」「新聞紙」「普通紙」の4つである。以下、40 年前の和紙→名塩和紙(昔)、現在の名塩和紙(今)と表記。

2.実験①≪色褪せにくさ≫実験方法 新聞紙と普通紙と名塩和紙の3つを並べ、同期間天日にさらし、どれほど色褪せするか実験した。期間は 9月 3日から1週間程度である。新聞紙と普通紙は最近のものを使用し、和紙は 40 年前の和紙を使用する。

(図7)結果A 新聞紙・・・画像では少し分かりづらいが、1週間ではっきりと色褪せしていた。(図7)B,普通紙・・・はっきりとは分からないが、少しの変化が見られた。C,名塩和紙(昔)・・・まったく色褪せしていなかった。この実験後も2週間ほど天日にさらしていたが、

変化なし。D,名塩和紙(今)・・・C と同様に色褪せなし。

3.実験②≪燃えにくさ≫実験方法 この実験も①の実験と同じ新聞紙・普通紙・名塩和紙を使用する。紙のサイズはすべて同じ(13cm×9cm)にして、それぞれ火をつけ全て燃えきる時間を計測する。

結果A,新聞紙・・・火を付けた途端、いっきに紙全体に火が

まわり23.5秒ですべて燃え尽き た。B,普通紙・・・火が紙につきにくかったが、端から徐々に

燃えていき、45秒で燃え尽きた。

8

1週間後

B A

C

A

C

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C,名塩和紙(昔)・・・まったく火が紙に移らず、端のほうが黒くなるだけであった。何度も火をつけたが、燃え尽きることはなかった。(図8)

D,名塩和紙(今)・・・C と同様に燃えなかった。

(図8)

4.実験③≪耐水性≫実験方法

実験①、②と同じ条件の紙を使用する。それぞれに水に浸し、水分を含むと紙の強度はどうなるのかを調べる。

結果A,新聞紙・・・持ったぐらいでは破けなかったが、少し力を入れて引っ張ると簡単に破けた。(図9)B.普通紙・・・浸けた瞬間は、水をはじいていたが徐々に浸み込んでいった。C,名塩和紙(昔)・・・一瞬で水が浸み込んだ。持ち上げようとしただけで、端のほうが少し破け、少し

濁った水が出てきた。(図10)D,名塩和紙(今)・・・昔の和紙とは違って、水につけても破れず、濁った水も出なかった。少々の力を

入れても破れなかった。

9

C

A

(図9)(図 10)

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5.実験④≪耐久性≫実験方法 ①~③と同じ条件の紙を使用する。それぞれをクシャクシャに紙が柔らかくなるまで揉み、穴が開いたり、ちぎれたりしないかを調べる。

結果A,新聞紙・・・もともと薄いためか穴が開き、ちぎれやすくなった。B,普通紙・・・柔らかくはなったが、穴が開いた

(図 11)C,名塩和紙(昔)・・・やはり 40 年前のものという

こともあるのか、少し穴が開いた。

D,名塩和紙(今)・・・穴も開かないし、ちぎれるこ と も な か っ た

(図 12)

(図 11)

6.実験のまとめ(表1参考) *雁皮の繊維が細かく絡みあっているため、揉みくちゃにしても簡単には穴も開かないし、ちぎれ

ることはない。 *和紙については昔のものも今のものも「色褪せにくい」「燃えにくい」ということがわかった。 *40 年前は貴重な雁皮を少しずつ使用していたためか、現在の和紙よりも多く泥も含んでいるため、

水に浸けると、泥が浮き出してきた。 *40 年前の和紙は耐水性に欠けているが、現在の和紙は耐水性に長けている。 *現在の名塩和紙は4つの項目すべてにおいて、優れている。 *新聞紙が1番劣っている。

(表1)A,新聞紙 B,普通紙 C,名塩和紙(昔) D,名塩和紙(今)

色褪せにくさ × △ ◎ ◎燃えにくさ × △ ○ ◎

耐水性 △ ○ × ◎耐久性 △ ○ ○ ◎

10

B

( 図12)

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第四章 名塩和紙の特徴を生かした商品提案

1.商品提案するにあたって 40年前の和紙は障子などに張るために漉かれたものなので、薄く、なんらかの商品を作成するにあたって、適していないため、商品提案に使用する和紙は体験実習で自ら漉いた和紙とする。

※あくまでも提案であり、実際に商品化する予定はない。

2.商品作成 商品の共通のコンセプト・・・名塩和紙の特徴を活かしたもの

≪iPhone背面シール≫(図 13) 現代ではスマートフォンが流行している。そこで、昔からの伝統である和紙とiPhone を組み合わせてみたら面白いと思い、この商品を提案した。携帯なのでどうしても手あかがついてしまうので、この上からクリアケースを装着すると汚れることはない。耐水性があるので多少水をこぼしてしまっても、乾かしてしまえばシミになることもない。

(図 13)

≪あぶらとり紙≫(図 14) 女性には欠かせないコスメである。市販されているあぶらとり紙よりは、あまり皮脂を吸わないが、名塩和紙の原料がすべて自然からとれたものなので、肌に良いであろう。

(図 14)≪マウスパッド≫(図 15) 違う種類の名塩和紙を両面に張り合わせ、どちらの面も使えるリバーシブルになっている。名塩和紙は耐久性が高いため、マウスを動かす時に起こる摩擦も問題はない。

(図 15)

11

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≪お香立て≫(図 16) 最近よくお香が店に並んでいるのを見る。お香立てにはさまざまな種類があるが紙でできているものは見たことがない。そこで、名塩和紙の燃えにくいという性質から、お香立てを考えた。燃えにくいので灰が落ちても心配なし。

3.アンケート調査  一般的に和紙はどれぐらい認知されていて、どれぐらいの人に興味・関心を持たれているのだろか。今回アンケート調査を行った。内容は和紙についてのアンケート、そして提案商品についてのアンケート。私が提案した商品を見て、今まで和紙に興味がなかった人が興味を持ってくれるのかを知りたい。

 アンケート対象:20代~40代の男女

アンケート調査*和紙について*

○男性 ○女性年齢(  )歳

Q1, 和紙あるいは、和紙を使用している商品を見たことがありますか? ○YES ○NO

Q2,和紙あるいは、和紙を使用している商品を使ったことはありますか?  ○YES ○NO

Q3,和紙に興味がありますか? ○YES ○NO

12

(図 16)

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4. アンケー ト結果

13

YES90%

NO10%

Q1, 和紙あるいは、和紙を使用している商品を見たことがありますか?

YES60%

NO40%

Q2,和紙あるいは、和紙を使用している商品を使ったことはありますか?

*作成した商品について*

Q4,上記の商品を見て、あったらいいなと思ったものはありますか? ○YES ○NO

Q5,もし上記の商品が売っているとしたら、どう思いますか? ≪iPhone背面シール≫  ○使ってみたい or欲しい  ○使ってみたいと思わない or欲しくない

 ≪あぶらとり紙≫  ○使ってみたい or欲しい  ○使ってみたいと思わない or欲しくない

 ≪マウスパッド≫  ○使ってみたい or欲しい  ○使ってみたいと思わない or欲しくない

 ≪お香立て≫  ○使ってみたい or欲しい  ○使ってみたいと思わない or欲しくない

Q6,提案商品を見て、和紙に興味を持った ○YES ○NO

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YES40%

NO60%

Q3,和紙に興味がありますか?

YES70%

NO30%

Q4,上記の商品を見て、あったらいいなと思ったものはあります

か?

iPhone7%あぶらとり紙

6%

マウスパッド81%

お香立て6%

Q5,(2)使いたいと思わない or欲しくない

iPhone25%

あぶらとり紙35%

マウスパッド10%

お香立て30%

Q5,使ってみたい or欲しい商品

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15

YES90%

NO10%

Q6,提案商品を見て和紙に興味を持った。

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5.アンケート後の提案

 アンケート後に、自分が作成した商品以外にも何か画期的で、名塩和紙の特徴を活かせるもの、名塩和紙の特徴を活かした役割のある商品は出来ないのかと考え直した。しかし、時間的な問題もあり、上記にあるような商品を作ることができないため、「名塩和紙ならこんな商品提案やサービス提案が可能なのでは?」という私的な考えで提案する。さらにモノだけでなく、名塩和紙の知名度を向上させるためのサービス提案を行う。

提案①≪メッセージカードや手紙≫ 私は友達から誕生日の時などによく手紙をもらう。最近はメールが多くなってきているが、昔の手紙など全部保管してある。しかし、10年ほど前にもらった手紙は色褪せて、ペンで書いた文字が全く読めないものがあった。名塩和紙はどんなペンや筆で書いても文字がにじまないのも特徴の1つだ。そして色褪せないという特徴も加え、長期保存が可能となる。メッセージカードや手紙にすることで「大切な人へ贈る言葉が何十年経っても形として残る。」

提案②≪クロス≫ 家の壁紙は何年か経つと黄ばんできたり、タバコを吸う家庭だとヤニがついて汚れたりする。さらに、家の構造上の問題で湿気がたまりやすい家だと、カビが生えてきたりする。そこで、名塩和紙の耐水、耐久、色褪せない、シミがつかない、燃えにくい、虫食いもしない特徴を考えれば家のクロスに適当だと考えた。現在は障子やふすまに主に使われているが、今後一般向けで壁紙を売ることも可能である。

提案③≪着物の保管紙≫ 着物を保管するときに紙のようなものをかぶせるのはご存じだろうか。右の図 17 のようなもの。一般的には特に統一されていない、さらに和紙でつくったものもあるようだが、これを名塩の和紙で提案すると虫食い・色褪せ・シミを防ぎ、着物の保管に非常にメリットになることばかりであると考えた。大切な着物を綺麗な状態で自分の子や孫にも着させてあげることが可能である。

(図 17)

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Page 17:  · Web view名塩和紙(雁皮和紙)の実験研究と商品提案 09-1-017-0016 大間 菜優子 【要旨】 本研究は私の生まれた町である名塩と共に繁栄してきた和紙について調べたものである。和紙の種類には3種類(楮・三椏・雁皮)があり、名塩和紙は雁皮和紙

和紙のフライヤー配布和紙作り体験口コミ知名度向上新商品提案商品化提案④≪神社の縁結びお守り≫ 神社に行くと縁結びといったお守りがよく売られている。恋人同士で買ったことある人もいるだろう。そこでただお守りを買うだけでなく、お守りの中にメッセージなどの残したい言葉などを名塩和紙に書き入れることが出来れば、いつまでも「残せる」思い出になり、よりいい願掛けにもなる。しかし、この提案には両局面がある。「残せる思い出」になるが、一方で「残ってしまう思い出」になってしまうということ。名塩和紙は強く、燃えにくい。燃やそうと思ってもなかなか燃やせない。恋人は、誰もがいつまでも永遠に続くわけではないため、別れが来たとき、苦い思い出になるかもしれない。

提案⑤≪若い世代に向けての新サービス≫ 名塩和紙に限らず和紙に触れる機会は若い世代には少ないであろう。そこで、新たなサービスを提案し、若い世代にも和紙に触れてもらおうという考えだ。

 サービス①:個別の紙漉き体験教室   名塩和紙には体験教室があるが、和紙学習館という西宮市が運営している場所でしか受付して

いない。人間国宝の谷野さんは自宅で紙漉きしているため、体験実習は普段行っていない。今回個人的に谷野さんにお願いして体験させていただいたが、金銭は発生しなかった。私のように、紙を漉きたいという人はいないとは言い切れない。自宅であるため大人数は不可能だが、2~3人の少人数受付は可能である。自分で漉いた紙は世界に1枚しかないという価値があるため、サービスになると考えた。

 サービス②:和紙を使ったフライヤーで体験教室の宣伝   サービス①で提案した個別の紙漉き体験を宣伝するにあたって、口コミや WEB とは違って、少

し和紙に経費はかかるが、実際の和紙を使ったフライヤーなら手に取った人が和紙の魅力にそそられるかもしれない。普通の紙とは違って受け取った時に、「なんか上等な紙だ。」と思って興味を持ってくれると考えた。和紙の宣伝を和紙で行う。

このフライヤーを20代~30代の男女に配り、実際に和紙作りを体験してもらうことによって、口コミでも広がっていき、知名度向上に繋がる。今回私が商品提案したように、若い世代の人々が和紙に触れる機会が多くなれば、あらたな新商品が提案され、商品化されるであろう。今の時代では考えられないような商品も世代を超えて和紙の伝統が伝われば、出てくると考えた。

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第五章 まとめ 本研究は主に、本などの歴史的な資料しかない「名塩和紙」について、自ら実験し、体験し、提案することによって今までの資料にはない付加価値をつけ、まだ和紙について何も知らない人に知ってもらい、広めていきたいというのが目的であった。

本研究を終えて、地元の伝統工芸品をより深く知ることができ、さらに研究しなければ今後体験する機会なんてなかったであろう紙漉きもできて、私自身にとっても良い研究となった。実験して本当の和紙の凄さや人々の知恵、技術の凄さがわかり、オリジナル商品を提案することで、和紙のさらなる市場への拡大の期待も持てた。アンケート結果や周りの人の意見にも助けてもらったおかげで、納得のできる商品提案もすることができた。最後に書かせてもらった商品提案は私的提案なので、もっとより良い商品提案が今後、出てきてくれると嬉しい。

 この IT化、電子化が進んでいる世の中で伝統を守りぬき、いまだ職人として紙を漉いている人がいることを知ってもらいたい。

第六章 参考文献・資料文献*江戸時代の名塩紙と藩札 / 発行者:西宮市教育委員会 / 発行年:H17*西宮の歴史と文化「名塩紙の意義」 / 発行:西宮市郷土資料館 / 発行年:S60*図版で見る 摂津・名塩の和紙 / 発行:亥野 / 発行年:H14

WEB*人間国宝 谷野武信さん「西宮スタイル」http://nishinomiya-style.jp/who/0904tanino/*名塩和紙 日本文化いろは辞典 http://iroha-japan.net/iroha/C05_paper/10_najio.html

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