千葉大学アカデミック・リンクの経験から
平成26年(2014)10月17日
島 文子
自己紹介
• 京都工芸繊維大学附属図書館
• 京都大学附属図書館 情報管理課受入掛
• 京都教育大学附属図書館
• 京都大学医学図書館 閲覧掛→整理掛
• 京都大学附属図書館 総務課
• 大阪教育大学附属図書館
• 千葉大学附属図書館
• 京都大学附属図書館 情報管理課
千葉大学はどんなところか
• 千葉県にある国立総合大学
• 西千葉キャンパス(文、教、法政経、理、工)
• 亥鼻キャンパス(医、薬、看護)
• 松戸キャンパス(園芸)
• 柏の葉キャンパス(柏の葉診療所、植物工場)
• つねに、より高きものをめざして
千葉大学附属図書館は
• 本館(西千葉)
• 亥鼻分館
• 松戸分館
• 組織体制
–利用支援企画課(1グループ+1係)
–学術コンテンツ課(1グループ+2係)
アカデミック・リンクとは
• アカデミック・リンクは、千葉大学において「生涯学び続ける基礎的な能力」「知識活用能力」を持つ『考える学生』を育成するために、附属図書館、総合メディア基盤センター、普遍教育センターが協力して立ち上げる、教育・学習のための新しいコンセプトです。これは、平成20年12月の中教審答申「学士課程教育の構築に向けて」において提示された、知識基盤社会、学習社会における市民の育成、高等教育のグローバル化の中での質の維持・向上、職業人としての基礎能力、創造的人材の育成といった、大学に向けられた社会的要請に対する大学からの一つの回答でもあります。
(千葉大学アカデミック・リンク・センターホームページより)
• アカデミック・リンクは場所ではない
アカデミック・リンク・センターとは
• 平成23年(2011)4月設置
• 教員の所属する組織(平成25年度)
–センター長
–兼任教員2名
–特任教員4名
–共同研究部門教員2名
• 事務は附属図書館事務部が担う
• アカデミック・リンク・センターは場所ではない
アカデミック・リンクの活動
• アクティブ・ラーニング・スペース
• コンテンツ・ラボ
• ティーチング・ハブ
プレゼンテーションスペース
• セミナー等多様なプレゼンテーションの実施が可能な、オープンなスペース
• 壁や扉がなく、出入り自由な空間
– 「1210あかりんアワー」
–卒論構想発表会
–卒業制作発表会
–学長の講義
–特別講義
–ガイダンス、講習会
1210あかりんアワー
• 授業期間中の毎週火曜日・金曜日の昼休みに実施(12:10~12:40)
• 教員・職員・学生・OBによるショートセミナー
–教員が研究の楽しさを語る
–外国に暮らす
–千葉大学で○○するには?
– ALSAカフェ
–千葉大学経済人倶楽部「絆」
–ブックトーク
ガイダンス・講習会
• 「情報処理」授業の1-2コマを使ったガイダンス
• その他の授業の中での図書館ツアー、ガイダンス
• 図書館主催講習会
–レポート作成セミナーなど
–講習会形式とワークショップ形式
• レポート作成セミナーは大学院生SAと協働
• 図書館ツアーは学生SAと協働
コミュニケーション・エリア
• 机、椅子はキャスター付きで、学生が自由に動かすことができ、大きいテーブルを作ったり、少人数に分かれたりすることができる
• キャスター付きのホワイトボードが常備されており、自由に使える
• 数式や化学式を書きながら討議
• 仕切り壁や扉のない学習スペース
• 集まって勉強を教え合ったり、分かれて個人学習をしたり
学習支援デスク
• コミュニケーション・エリアのオープンなスペースに設置
– ラーニング・サポート・デスク
–オフィスアワー
–レファレンスデスク
ラーニング・サポート・デスク
• 分野別学習相談を実施
• 授業期間中の月~金、昼休み~5限に開設
• 数学、物理、化学、文系学習相談の4テーマにより、時間割を設定
• 各テーマの専門分野を持つ大学院生をSAとして雇用し、相談活動に当たる
• 相談記録を取る
• SAどうしの振り返りを研修とする
オフィスアワー
• 教員が学生の相談に応じるデスク
• 時間割を設定して教員が待機
• アカデミック・リンク・センター教員が中心
• 教職相談、学生何でも相談員の時間も
レファレンスデスク
• カウンターではなく、オープンなスペースにデスクを設置
• 本館所属の図書系職員全員が順番に担当
• レファレンス記録を必ず作成する
• 記録を基に全員で振り返り会を行い、情報を共有
• 図書館情報学の教員による研修会等を実施
• 各職員が担当分野(学部)を持つ
–選書や授業資料ナビも同分野を担当
グループ・ワーク・エリア
• 学生用端末(シンクライアント)50台を配備
• iPad、ノートPC、プロジェクターの貸出も実施
• PCと資料(図書、参考図書、雑誌など)を併用
• e-learningに取り組む姿も
• 静かにPCでレポートを書きたいという声もある
個人閲覧席
• 一人分の幅1.5メートルを確保した、ゆったりした閲覧席
• 仕切りがなく隣席の様子が気にならない距離
• 椅子を寄せれば2人で話し合いながら学習することも可能
• 各机にLED照明とPC用電源コンセントを設置
• 無線LAN対応
グループ学習室・研究個室
• 「見る」「見られる」という基本コンセプトに基づく、ガラスで囲われたグループ学習室(大2室、小2室)
• 大量の資料が持ち込める広い研究個室(8室)
ブックツリー
• 学生に図書の多様性と可能性に気づいてもらうための「見せる」本棚
• 「触って使える展示」の棚
• 分類ではなく、テーマ展示の形式
–学び方に関する図書
–プレゼンに使う図書
– PC操作に関する図書
–留学・留学生に関係する図書
– コレクション資料の展示
授業資料ナビゲータ
• 授業の事前事後学習の際や、さらにその主題について掘り下げて学習する際に有益な、図書類やWEBサイトを案内するもの
• 授業ごとに、授業担当教員と担当図書系職員が相談しながら作成する
• 授業資料ナビゲータを自動作成するシステムを開発(OPACと連携)
• 授業資料ナビ掲載図書をブックツリーに配置
–書架にRFID装置を設置
学生との協働
• ALSA(Academic Link Student Assistant)– ALSA-LS (Learning Support) 大学院生
ラーニング・サポート・デスクの運営、ALSAカフェ、
レポート作成セミナーの講師
– ALSA-TT (Technical Team) 学生・大学院生
授業動画の撮影編集、電子教材作成支援、
貸出用PC・iPadのメンテナンス
– ALSA-GS (General Support) 学生・大学院生
図書館事業のサポート
• 学内公募による採用
授業動画の収録
• コンテンツ・スタジオ
• コンテンツ制作室
• SAによる授業動画の撮影・編集
• Learning Management System(Moodle)による提供
• 授業紹介動画の作成・公開
教員どうしをつなぐ活動
• セミナー室等の貸出による学内諸活動(授業、学会、セミナー、講習会等)の支援
– コンテンツ・スタジオ
–セミナー室(2室)
–プレゼンテーション・スペース
• ティーチング・ハブ
教材作成支援
• 共同研究部門の設置
• ハイブリッド教材研究プロジェクト
–教材のデジタルデータ化
–教材のリッチ化(音声・映像資料等のデジタル化)
–図表・画像等の素材作り
–著作権処理のサポート
• 大学学習資源コンソーシアム(CLR)の設立大学関係者が、学習、教育における電子的学習資源の製作および共有化を促進させる体制の構築と著作物の円滑な利用環境を整備し、我が国の高等教育・学術研究の発展に寄与する
• コンテンツ制作室での電子教材作成支援
調査研究活動
• 研究成果の公開→アカデミック・リンク・セミナー
– 千葉大学学習状況・情報利用環境調査
– 赤外線センサーによる館内動態調査
– アイ・カメラを用いた情報探索行動の推定調査
– 学生に対するフォーカス・グループ・インタビュー調査
– 学生撮影写真および個人インタビューの併用によるフォトボイス調査
– ブックトラックを用いた図書利用状況調査
– IDを共通記号化したうえでの各種調査の結果と学生成績情報の連動分析
アカデミック・リンクの活動体制
• 7つのプロジェクトによる活動体制
• 各プロジェクトに教員数名と図書系職員1-2名が担当者として付く
• 図書系職員全員が一ずつプロジェクトを担当
• 活動企画は担当者が話し合い提案書を作る
• 毎週プロジェクト会議を開催し提案書を検討
• 教員会議でオーソライズ
7つのプロジェクト
• 「レガシーコンテンツ再生」
• 「デジタルコースパック」
• 「オンラインクラスルーム」
• 「情報利用行動定点観測」
• 「参加する学習」
• 「教育力」・「学習力」向上
• 「新しい図書館員」
今思うこと
• 平成24年(2012)3月の増改築工事(第1期~第2期)完了後に開始した事業が多い
• 多くの事業を同時並行的に実施している
• スペース、コンテンツ、人的支援が連動
• ブランド戦略を重視
• 大学において図書館への認識が変わった
• 図書系職員の認識も変化したが、人員不足
• 平成26年10月の第3期改修工事完了後、さらに飛躍するはず
第3期改修工事後の拡充
• コミュニケーション・エリアの拡充
– コミュニケーション・エリアの増床
– ラウンジの設置
• サイレント・エリアの拡充
–静寂閲覧室(PC利用不可)の設置
–静かな閲覧室(PC利用可)の整備
–静かな学生用端末エリアの整備
• POD(Print on Demand)装置の設置
参考URL
• 千葉大学アカデミック・リンク・センター
http://alc.chiba-u.jp/index.html
• ALC評価委員会報告書
http://alc.chiba-u.jp/assessment_committee.html
• 大学学習資源コンソーシアム(CLR)
http://clr.jp/index.html
つねに、より高きものをめざして
ご静聴ありがとうございました