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品質設計特論まとめ2
和歌山大学システム工学研究科
鈴木 新
火曜日 2限目 A204教室
動的な対象の評価(誤差)
• 同じように写真を撮ってもRGB値は異なる• これらのばらつきの原因はノイズ
デジカメ被写体 撮影画像
入力 出力
撮影方法環境など
ソフト紙など
ソフト部品など
被写体のRGB成分 → 画像出力のRGB成分
2
復習:原点を通る比例式(1次式)
一次式(原点比例式)の関係
→ 入力が増えると出力も増える(動的)
y
M
My
復習:比例式における2乗和の分解
y
M
My
1y2y
ny
n
iinT yyyyS
1
2222
21
1M 2M 3M
221 nMMS
SSS Te
全2乗和
比例項の変動
誤差変動
平均値が1次式(回帰直線)に変わった
3
復習:誤差と信号(比例式の場合)
(傾き)が信号
eT SSS
2ノイズは平均値の場合と同じく より
ee VnS )1/(
SN比は )/log(10:/ 22ee VV
自由度
動的SN比の考え方• バネはかり
–測りたいもの(測定対象)とバネの伸びの関係→ 比例関係
2kg1kg
どのようなはかりが良いか?
良いはかりは• 同じ対象は同じ:誤差が小さい• 違う対象は違う:伸び(感度)が大きい
4
おもりと伸びの関係
伸び
おもり
各おもりにおいて測定のばらつきは小さい方が良い
おもさの違いは大きく現れた方が
良い
大きく
小さく
𝛽
𝑦 = 𝛽𝑀
𝑦
𝑀
産業的に有効と考えられるばねはかり
伸び
おもり
𝛽
𝑦
𝑀
先ほどと比べて明らかに差が大きい
先ほどと比べて明らかに差が小さい
5
実測値と1次式のずれ
より
となる.
しかし,実際は誤差,
が存在
つまり を最小にする
が直線の傾き
(平均的なところを通る)最小2乗法
y
e
e
):(
0
11 MyexMye
My
My
1M 2M 3M
最小二乗法
で微分
1次式 の形で表現
の2乗和(正負で相殺されないため)
を最小にする係数 が各点からの誤差が
最も少ない直線 → を で微分し0とおけば求まる
n
iii My
d
d
1
2 0
n
iiie MyS
1
2
eS
三乗法でも四乗法でもない
2i
ii
M
yM
My
Mye
6
最小二乗法cont’d
で微分
022
2
2
1
2
1
1
22
11
2
21
211
21
1
2
n
ii
n
iiie
e
n
ii
n
iii
n
ii
n
iii
MyMSd
d
SMyMy
MyMyMy
2i
ii
M
yM
動特性SN比の重要な特性(前提条件)
𝛽
𝑦
𝑀• 因果の向き:Mから yへ対象システムにMを入力して得られる出力 yを評価する誤差は各Mにおける推定値と実測値の差(2乗の)• ゼロ点比例式入力されるエネルギー Mが理想とする出力 yに変換されたかを評価する
7
理想関係に近い=利点
y y
どちらが良いデータ(システム)か?
1M 2M 3M 1M 3M2M
機能が理想関係に近いと設計しやすい,ロバスト,省エネ,・・・
定量評価へ向けて再びおもりと伸びの関係
伸び
おもり
大きく
小さく
𝛽
𝑦 = 𝛽𝑀
𝑦
𝑀
• おもさの違いは大きく現れた方が良いが大きく
• 各おもりにおいて測定のばらつきは小さい方が良いが小さく
正負で相殺されないように2乗で扱う
𝛽
𝑦 − 𝛽𝑀
8
信号(感度):SN比のS (Signal)
傾き が大きければ良い
相関が負の場合はマイナスに,エネルギーは2乗で扱う,信号とノイズの分離・・・2乗和の分解
傾きの2乗を信号とする
y 3e3y
2y1y
1M 2M 3M𝛽2
22
i
ii
M
yM
𝛽
ノイズ(誤差):SN比のN (Noise)
実測値 と推定値 の差が小さければ良い
積算時に正負で相殺されないように,エネルギーは2乗で扱う,信号とノイズの分離・・・2乗和の分解
誤差の2乗(分散と同じ)をノイズとする
y 3e3y
2y1y
1M 2M 3M𝛽
1
2
n
My ii
𝑦 𝛽𝑀
9
動特性SN比(誤差条件無し)
信号
ノイズ
信号とノイズの比に足し算の関係を成立させるためにlog化
1
2
n
My ii
2
22
i
ii
M
yM
1
log10log10 2
2
22
n
My
M
yM
V ii
i
ii
e
動特性SN比の2乗和を考える
全ての出力 の2乗和は
これはどんな成分に分解できたか?
y 3e3y
2y1y
1M 2M 3M
2iT yS
iy
𝛽
直線上の点,そこからの誤差。つまり,
全2乗の積算値=直線上の積算値+誤差の積算値
2iy 22
iM 2 ii My
10
222
iii
eT
MyM
SSS
2乗和の分解
全ての出力 の2乗和は
は比例項変動
は誤差変動
理想値の2乗の項とばらつきの2乗の項に分解
eiT SSyS 2
iy
S
eS
信号とノイズは無関係
→ 直交!
222 iiieT MyMSSS
2乗和の分解を利用してSN比を表現
1
log10
1
log10log102
2
2
22
n
SS
M
S
n
My
M
yM
V T
i
ii
i
ii
e
11
SN比(不偏推定値補正)
• は平均的に大きくも小さくもない推定値
期待値をみると
正のバイアス有
正のバイアスを引いてあげるとSN比は
の不偏推定値は
𝛽
)(22 VE
)(V 2
i
e
M
V
e
i
e
e
i
e
i
V
M
VS
V
MV
M
S
222
log10log10
動的な対象の評価(誤差)
• 同じように写真を撮ってもRGB値は異なる• これらのばらつきの原因はノイズ
デジカメ被写体 撮影画像
入力 出力
撮影方法環境など
ソフト紙など
ソフト部品など
被写体のRGB成分 → 画像出力のRGB成分
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誤差を考えた(取り入れた)評価
• バネはかりの評価では誤差を考え無かった–のびを測る簡単なシステム
–乱れる要因が少ない
• エンジンでは?–温度,湿度,燃料の質,運転の方法,部品のばらつき,他・・・
• デジカメでは?–照明,背景,撮影距離,他・・・
• 電気ケトルでは?–外気温,部品のばらつき,高度,電源,他・・・
意図的に誤差条件を与える
• 例:電気ケトル–初期水温が低いと遅い→冷水,外気温が低いと遅い→風,冬場,古いヒーターは遅い→劣化(マイナス条件)
–電圧が高いと速い→高電圧(プラス条件)
• これらを誤差因子と呼ぶ–設計によって(設計者が)変更できない因子
–外乱:気温や風,内乱:部品の劣化やばらつき
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復習:誤差因子を考える
• ノイズ=誤差因子
• ばらつきの要因は何か?消費者の立場で
内部のばらつき 【内乱】
色の表現方法(ソフトウェア)、部品ばらつき(個体差)、部品品質(劣化)、他
外部のばらつき 【外乱】
撮影条件、環境(光など)、印刷紙、他
誤差因子
• 設計パラメータ:設計者が自由に変更可能
• 誤差因子:設計者が変更不可(手出しできない)
例:
1. 季節による温度,湿度の変化 (外乱)
2. 抵抗のばらつきと経時変化 (内乱)
• 単純繰り返しとは違う意図的な誤差を与え評価
– わざとばらつかせるという考え方 → 画期的!
水の量 沸騰までの時間
例:ケトル
誤差(内乱,外乱)
𝛽𝑀 𝑦
14
復習:メーカーの立場では
温度一定!無風!条件を揃えるんだ!
実験の条件を絞って再現性を確認(保?)上司を説得するため?
誤差因子導入とロバストネス
• 実用誤差を考慮 タグチメソッドの最大の成果
Mが大きくなれば誤差も大きくなる(当たり前)
しかし,誤差が意図したものであれば解釈は異なる(繰返しは無意味)
意図的誤差を与え評価可愛い子には旅をさせよ!
𝑁
𝑁
𝑀 𝑀 𝑀
𝑦
15
誤差因子の設定(例:ケトル)
• 誤差因子は外気温– 外気温は設計者が変更できない(使用者によって変化)
外気温が高温熱の逃げが少ないために,出力(沸騰時間)は小さく(短く)なる
外気温が低温熱の逃げが多いために,出力(沸騰時間)は大きく(長く)なる
𝑁
𝑁
と の差が最小となる組み合わせを求める
𝑁 𝑁
𝑀 𝑀 𝑀
𝑦
誤差因子有SN比の概念
𝑁
𝑁
𝑀 𝑀 𝑀
𝑦
二乗和の分解eNT SSSS
誤差因子によるばらつき
NS
本来のエネルギー
S
比例関係からのばらつき
eS
16
は比例項変動 は誤差変動 は誤差による変動
誤差因子の導入
傾き が変動
全ての出力 の2乗和は
Ne
ijT
SSS
yS 2
S eS NS
𝑁
𝑁
𝑀 𝑀 𝑀
𝑦
𝑦
𝑦
𝑦
𝑦
𝛽
𝑦
𝑦
𝑦
二乗和の分解1
2
22
2
11
22
j
jj
j
jj
j
ijj
M
yM
M
yM
M
yM
3,2,12,1 ji
NeT SSSS
回帰直線上の点 222 jMS
𝑀 𝑀 𝑀
𝑦𝛽
𝑁
𝑦
𝑦𝑦
𝛽
𝑁
𝑦
𝑦
𝑦
𝛽
17
22
2
ij
jij
N
M
MM
S
二乗和の分解2
誤差因子による変化
原点比例式の
•傾きが共通 の回帰変動と
•傾きが異なる 回帰変動の差
【誤差因子による変動成分】
NeT SSSS
𝑀 𝑀 𝑀
𝑦 𝛽
𝑁
𝑦
𝑦𝑦
𝛽
𝑁
𝑦
𝑦
𝑦
𝛽
𝛽
𝛽 ,
二乗和の分解3
を自由度で割る(不偏分散)
3個のデータから1個の直線
それらが2個あるので
NeT SSSS
2jiji
NTe
My
SSSS
eS
𝑀 𝑀 𝑀
𝑦 𝛽
𝑁
𝑦
𝑦𝑦
𝛽
𝑁
𝑦
𝑦
𝑦
𝛽
𝑗 = 1,2,3 𝑖 = 1,2 132 e
e
SV
18
誤差因子SN比1
不偏推定値補正をしたSN比(誤差因子数:I,信号水準:J)
シグナルは傾き
ノイズはばらつきをすべて合計し自由度で割る
を自由度 で割る
全ノイズの自由度は
の自由度は
22
22
j
j
MI
S
MIS
eN SS 1IJ1IJ
)1( JIeS
1
IJ
SSN eN
誤差因子SN比2
誤差無と同じく分子は不偏推定値
分子は正のバイアスを引いた形
海外では単なる傾きの2乗が多い
本講義では正のバイアスを引いた形を用いる
不偏推定値補正をしたSN比(誤差因子数:I,信号水準:J)
1/
/log10
1/
/log10
222
IJSS
MIV
IJSS
MIVS
eN
je
eN
je
)1(JI
SV ee
19
機能性評価の方法
デジタルカメラの機能は
37
デジカメ被写体 撮影画像
入力 出力
寸法の転写性
色の転写性
被写体の寸法 撮影画像の寸法
被写体の色 撮影画像の色
yx a
axy
誤差あり、動特性のSN比で評価
• グレースケールのRGB値
• グレースケールにもばらつき有り
• さらにRGB値の正式値は非公開• とりあえず上の「演習」の値を使用
• 消費者の立場で「信号、ノイズ」、それらは分解可能か良く考えること
38
ラベル名 19 M A
演習 33 116 242
20
誤差因子有SN比の概念
𝑁
𝑁
𝑀 𝑀 𝑀
𝑦
二乗和の分解eNT SSSS
誤差因子によるばらつき
NS
本来のエネルギー
S
比例関係からのばらつき
eS
33 116 242
日陰
日向
タグチメソッドの考え方と手順
• 技術者,企画者,教育者他・・・が作りだすもの,これらはすべて人工物
• 人工物には必ず目的が存在• 目的(目標値)にあうようにパラメータを調整
–例えば教育システム:現行6-3-3-4を4-4-4-4–調整手順はタグチメソッドによって与えられる
• 調整した結果を評価–目的が明確であれば理想的な状態が分かる–評価方法はタグチメソッドによって与えられる
• 評価結果から最適値を得る目的を実現する機能の評価方法
21
タグチメソッドの流れ
1. システム選択(目的と手段)– 仕様(設計対象と機能)を決定
2. パラメータ設計(評価)– 適当なパラメータで実験– 直交表とSN比を利用
3. 許容差設計– 損失関数など経済的考え方
タグチメソッドとはこれ!
技術者の独創性は要求されない
発明とはこれ!技術者の独創性!
企業では重要(コスト),安全率
システム選択で重要なこと
• 対象は人工物:何か目的を持って設計される–冬でも暖かいシャツ,速い車,燃費の良い車など
これが目的機能!
• 目的を実現するための機能を設計–各種素材(繊維)の組み合わせ,燃料噴射法など
これが基本機能!
基本機能を実現させるための工夫 特許!
他社(人)が真似できない技術
はたして実現できるのだろうか?手っ取り早く知る方法がタグチメソッド
22
パラメータ設計への橋渡し
• パラメータ設計こそがタグチメソッドの核心
• どうやって設計するのか?
• 具体例として電気ケトルで説明
まず電気ケトルの構造
• 名古屋市消費生活センター報告より引用–電気で沸かすやかん
23
沸き上がり時間のばらつき
• 名古屋市消費生活センター報告より引用
水温 1.2L 1.0L 0.5L 0.15L20℃ 6:14 5:19 2:59 1:23
A 15℃ 6:32 5:41 3:05 1:2710℃ 6:59 6:08 3:19 1:295℃ 7:36 6:14 3:27 1:33
20℃ 6:23 5:29 3:06 1:35
C 15℃ 6:43 5:58 3:12 1:3510℃ 7:03 6:14 3:25 1:385℃ 7:48 6:28 3:31 1:33
時間(分)
同容量でも水温によって沸き上がり時間が変わる
容量の増加と沸き上がり時間はきれいな比例関係ではない
同容量でも製品によって沸き上がり時間が変わる
設計の目的と設計法
• 電気ケトルの目的機能,基本機能,パラメータ?
目的機能 → 湯沸かし
基本機能 → ヒータによる加熱
設計パラメータ →ヒータ(種類,構造),断熱(側面,ふた)他・・・
これをどうやって設計(調整)するか?
伝熱,流体,他・・・あらゆる知識を総動員する単純にもっとも早く湯沸かしできるものを!
機能性評価
24
ケトルの設計
• 湯沸かしにおいて熱力学の法則が成り立つ(はず)
熱エネルギー, 質量, 比熱,
温度上昇, エネルギー, 時間,
この関係が重要!入力と出力
(色々な形式が考えられるがW数を入力,温度上昇を出
力とする)
Wmc
tT
WtmcTQ
Q m c
T W t
ケトルの設計cont’d
• 「印加エネルギー」=「ヒータ電力」-「外部へ逃げるエネルギー」
• 材料のばらつき
• 加熱による対流を最適化(形状の変更)
最適な設計ができましたか?
本当に重要なことは何か?(QCにおけるパレートの法則)
電力 W を t 秒間印加したとき温度上昇 T が大きくなれば良いどう対流しようが・・
)( OutKetolHeater TTRWW mmcc ,
Wmc
tT
25
消費者のことを考えた設計へ
温度上昇は変化する!季節,地域,・・・
冷蔵庫内で実験,評価
可愛い子には旅をさせよ!
ばらつきの原因はそのまま
従来には無い考え方
Wmc
tT
• SN比は理解できた(?)• どうやってSN比が高いシステムを設計するか?• 設計の手順も規定されている(おせっかい?)
• タグチメソッドの流れを思い出す
• システム選択– 技術者の知恵,創造
• パラメータ設計– タグチメソッドが提供する設計手順
• 許容差設計– タグチメソッドが提供する安全率,コストの設定
実験計画
創造したものを調節する方法つまり最適化調節には直交表を利用
26
A B CL1 1 1 1L2 1 2 2L3 2 1 2L4 2 2 1
直交表
直交とはA列の1に対して,B列の1,2が同じ回数出現すること
L4直交表(4行,3変数)
目的は効率化と
組み合わせ効果
直交表(L9:組み合わせ9通り)A B C D
1 1 1 1 12 1 2 2 23 1 3 3 34 2 1 2 35 2 2 3 16 2 3 1 27 3 1 3 28 3 2 1 39 3 3 2 1
•直交表
•目的は効率化と組み合わせ効果
•本来の組み合わせ数は
3×3×3×3=81
•作成法:一貫した理論は無い
→ 技術者は利用する立場でOK
•従来実験は任意の設計パラメータを固定して条件出し(例:モータを決めて(固定)他の条件を変更していく)
27
L18直交表(推奨!)A B C D E F G H
1 1 1 1 1 1 1 1 12 1 1 2 2 2 2 2 23 1 1 3 3 3 3 3 34 1 2 1 1 2 2 3 35 1 2 2 2 3 3 1 16 1 2 3 3 1 1 2 27 1 3 1 2 1 3 2 38 1 3 2 3 2 1 3 19 1 3 3 1 3 2 1 210 2 1 1 3 3 2 2 111 2 1 2 1 1 3 3 212 2 1 3 2 2 1 1 313 2 2 1 2 3 1 3 214 2 2 2 3 1 2 1 315 2 2 3 1 2 3 2 116 2 3 1 3 2 3 1 217 2 3 2 1 3 1 2 318 2 3 3 2 1 2 3 1
•18行(実験回数18回,信号や誤差によってこれよりも多くなる)
•本来の組み合わせ数は
2^1×3^7=4374
•2水準が1,3水準が7
•8個の設計パラメータが割付可能
•複雑なシステムでなければ改善の余地無し,競争力無し
A B C D E F G H1 1 1 1 1 1 1 1 12 1 1 2 2 2 2 2 23 1 1 3 3 3 3 3 34 1 2 1 1 2 2 3 35 1 2 2 2 3 3 1 16 1 2 3 3 1 1 2 27 1 3 1 2 1 3 2 38 1 3 2 3 2 1 3 19 1 3 3 1 3 2 1 210 2 1 1 3 3 2 2 111 2 1 2 1 1 3 3 212 2 1 3 2 2 1 1 313 2 2 1 2 3 1 3 214 2 2 2 3 1 2 1 315 2 2 3 1 2 3 2 116 2 3 1 3 2 3 1 217 2 3 2 1 3 1 2 318 2 3 3 2 1 2 3 1
L18直交表の活用
•タグチメソッドでは通常L18を使用
•基本的には3水準で「大 or 中or 小」が分かる
•設計パラメータが6以下のときはC列以降に割り付け
•もっと細かくしたいときはA,Bをひとつに → 6水準
•そうすればABの6水準がその他のパラメータと直交していることが分かる
①
②
⑥
・
・
・
28
A B CL1 1 1 1L2 1 2 2L3 2 1 2L4 2 2 1
直交表実験(設計)方法
• 適当に組み合わせて実験,良いのを選ぶ
• どう組み合わせるのか? → 直交表
• 通常2^3=8通り,直交表4通り
A1:ヒーター1
B1:プレート5mm
C1:胴形状1
A2:ヒーター2
B1:プレート5mm
C2:胴形状2
直交表にて(主)効果を確認
A1:×○,A2:○×B1:×○,B2:○×C1:××,C2:○○
C2は他のパラメータの影響を受けにくい→ ロバスト
この考え方は後で説明する誤差実験で重要
A B CL1 1 1 1L2 1 2 2L3 2 1 2L4 2 2 1
×
○
○
×
29
設計パラメータの割り付け
No A B C M1 M2 M3 M1 M2 M31 1 1 12 1 2 23 2 1 24 2 2 1SNR
N1 N2
A: ヒーターの種類B:底の種類C:胴の形ケトルでは
それぞれの行で結果を得る
それを静的な評価指標(静特性SN比)で評価する
設計パラメータごとの結果ex, A1>A2, B1<B2, …誤差Nは?信号Mは?(動特性SN比)
誤差因子と信号因子の割り付け
誤差因子と信号因子の外側配置:外側直交表
N1の回帰直線 N2の回帰直線
全データの回帰直線
No A B C M1 M2 M3 M1 M2 M31 1 1 12 1 2 23 2 1 24 2 2 1SNR
N1 N2
全ての設計パラメータ(行)のSN比を得るSN比は行で1つ(動的)
30
内側直交表と外側直交表
外側直交表
内側(設計パラメータ)と外側(誤差と信号)は直交している
誤差と信号も直交している
つまり分離可能 → 2乗和の分解
内側直交表
No A B C M1 M2 M3 M1 M2 M31 1 1 12 1 2 23 2 1 24 2 2 1SNR
N1 N2
誤差因子の配置と調合
No A B C N1 N21 1 1 12 1 2 23 2 1 24 2 2 1SNR
誤差因子は直交表の外側に配置:外側直交表
SN比小 SN比大室温 低 高ヒーター古 新電圧 低 高
誤差1 誤差2
SN比が大,SN比が小の両極端な条件設定→ 誤差因子の調合意図した誤差条件!
2条件としたほうが実験が楽,さらにより厳しい条件となる
31
実験結果の評価(行)
No A B C M1 M2 M3 M1 M2 M31 1 1 12 1 2 23 2 1 24 2 2 1SNR
N1 N2SNR
外側直交表:yijは実験結果(評価値)
1行目のSNRを計算する
𝑦 𝑦 𝑦𝑦 𝑦 𝑦 𝜂
𝜂
⋮
2, 3, 4行目のSNR
432 ,, 3,2
,1/
/log10
2
1
JI
IJSS
MIVS
eN
je
実験結果の評価
No A B C SNR1 1 1 1 η12 1 2 2 η23 2 1 2 η34 2 2 1 η4SNR
221
1
A
A1のSNR
243
2
A
A2のSNR
以下,同様にSN比を計算
32
No A B C SNR1 1 1 1 η12 1 2 2 η23 2 1 2 η34 2 2 1 η4SNR
最適水準の組み合わせ
1A
2B
21 AA の場合, を選択
の場合, を選択21 BB
最適水準のグラフ化(要因効果図)
• 得られた結果をもとに平均値間の差(要因効果)を求める → 難しいことは後,とりあえずプロット
A1 A2 B1 B2 C1・・・
11
10
9
dBSN比の一番高いところが最適条件
33
No A B C SNR1 1 1 1 η12 1 2 2 η23 2 1 2 η34 2 2 1 η4SNR
要因効果図
SN比をプロットSN比の高い
パラメータを探す
221
1
A
243
2
A
𝜂 𝜂 𝜂 𝜂 ⋯ 𝜂 𝜂 𝜂 𝜂 ⋯
交互作用(ケトルの例)
• ヒーター1とヒーター2の良いほうを選択したい– 板厚1,センサー1,・・・ヒーター以外の条件を固定– 問題点は板厚とヒーターとの関係が変化
– ヒーター1,2で板厚1,2の差(傾き)が違う
ヒータ1 ヒータ2 板厚1 板厚2
板厚1
板厚2
ヒータ1ヒータ2
【交互作用無し】
𝑦 𝑦
34
交互作用(ケトルの例)
• ヒーター1とヒーター2の良いほうを選択したい– 板厚1,センサー1,・・・ヒーター以外の条件を固定– 問題点は板厚とヒーターとの関係が変化
– ヒーター1,2で板厚1,2の差(傾き)が違う
ヒータ1 ヒータ2 板厚1 板厚2
板厚1
板厚2
ヒータ1ヒータ2
【交互作用有り】
𝑦 𝑦
交互作用をもとにパラメータ選択
• 交互作用を考えた選択では– ノイズ(誤差,ばらつき)を減らす
– ヒーター1とヒーター2はどちらが良いか?–板厚1と板厚2はどちらが良いか?
ヒータ1 ヒータ2
板厚1
板厚2
板厚1 板厚2
ヒータ1
ヒータ2
ヒーター2がばらつき小
板厚1がばらつき小
𝑦 𝑦
35
パラメータとばらつき
パラメータの変化によって出力は大きな影響を受ける𝑦
𝑦
𝐴 𝐴
のほうが出力のばらつきが小さい
𝐴
ばらつき低減 → 目標値
• ばらつきは低減できそうだ,目標値は?
目標値
ばらつきは減る,しかし出力が大きすぎる
線形なパラメータを利用して出力を小さく!
𝑦 𝑦
𝑦
𝑦
𝐴 𝐴 𝐵 𝐵
36
ばらつき低減 → 目標値
• ばらつきは低減できそうだ,目標値は?
目標値
ばらつきは減る,しかし出力が大きすぎる
線形なパラメータを利用して出力を小さく!
𝑦 𝑦
𝑦
𝑦
𝐴 𝐴 𝐵 𝐵
まずばらつきの低減,つぎに目標値へ合わせる2段階設計!
2段階設計の方法• 設計パラメータによる方法(前述)
• 出力のオフセット
の目標値
の目標値
𝛼𝑦
𝑦
𝑦
𝑀 𝑀 𝑀
𝑀
𝑀
𝑦 = 𝛽(𝑀 + 𝛼)or 𝑦 = 𝛽𝑀 + 𝛼
37
最適水準を確認する
A1 A2 B1 B2 C1 C2
11
10
9
dB
最適条件はA2,B1,C1
直交表内には無い条件
確認実験によってSN比を確認
No A B C1 1 1 12 1 2 23 2 1 24 2 2 1
No A B C SNR1 1 1 1 η1
2 1 2 2 η2
3 2 1 2 η3
4 2 2 1 η4
SNR ηA ηB ηC
確認実験
例えば1行目は
T
T
CBA
AAA
22
22
2
2/)(2/)(42
1
43211
413121
111
4321
432121
38
確認実験の再現性
なので
では,最適設計が全て水準2であればどうする?
最適設計と1行目(初期設計)の差を計算
初期よりどれだけ改善されたか確認
実際に実験したときのSN比と比較!
),()()(
)()()(2
2
1212
1111111
1111
TTTT
TTTTT
T
CBA
CBACBA
CBA
T
TTTT
CBA
CBAopt
2
)()()(
222
222
11 optopt
No A B C1 1 1 12 1 2 23 2 1 24 2 2 1
確認実験L18の場合
の推定値は以下のように一般化できる
最適値 も同様にして推定可能
3
6/6/6/183
182
9/9/
2
18715412111
181321
18118109121
CABBB
B
AAA
T
)()()(
7ˆ
111
1111
TTTT
T
HBA
HBA
1
opt
39
dBを使う意味
• 通信で利用されるSN比に合わせて–信号(技術の働き)とノイズ(誤差)の比
• それぞれのSN比の効果を足し算で計算
L9直交表の場合,A1は3個(3行の実験結果)得られた
これらを単純に足して平均化した理由はSN比(dB値)による
_
_ _ _
対数(log)の評価
• 製品開発で欲しい情報例温度変化の影響度 a% 湿度変化の影響度 b%電圧変化の影響度 c% 材料のばらつきの影響度 d%
• 総合的な安定性は次式となる
総合評価=(1+a/100)・(1+b/100)・(1+c/100)・(1+d/100)
• 両辺の対数を取ると足し算で表されるlog(総合評価)=log(aの影響)+ log(bの影響) + log(cの影響)+ log(dの影響)
総合的な評価や個別の影響も分析しやすくなる
40
静特性SN比
• 望小特性:目標値が負ではなく,小さければ(特に0が)うれしいもの
• 望大特性:目標値が負ではなく,大きければ(特に∞が)うれしいもの
n
yn
ii
1
2
log10
n
yn
ii
1
2/1log10
静特性SN比 cont’d
• 望目特性:誤差因子(誤差条件)を繰り返しとすれば目標値からの変動係数と同じ扱い
• ゼロ望目特性:上記の望目特性と異なりばらつきが平均に依存しないもの
SN比は大きいほど良い
静特性のSN比はS(信号)とN(ノイズ)の比ではないが,気にせずに使用しましょう
1
,/,/
log10 1
22
1
n
SyVnyS
V
nVS m
n
ii
e
n
iim
e
em
eV
1log10
41
動特性SN比
• 動特性:誤差有り:信号因子j=1,・・,J,誤差因子i=1,・・,I
• 動特性:誤差無し:信号因子j=1,・・,J,繰り返し数i=1,・・,I
1/
/log10
2
IJSS
MIVS
eN
je
e
je
V
MIVS
2/log10
動特性と静特性
• パラメータ設計において
• システムの入力と出力の関係を調べたい
→ 動特性(原点を通る比例式)
(例)入力電圧における回転数:エネルギーの変換
𝑀 𝑀 𝑀
𝑦
𝑀 𝑀 𝑀
𝑦
パラメータ設計
42
動特性と静特性
• 入力:固定,出力を安定化 → 静特性
(例)規定時間での処理量:理想値へ近づける
静特性:「望目特性」・「望大特性」・「望小特性」
目標値に揃うほど良い
寸法,出力電圧など
大きいほど良い
強度,寿命など
非負で小さいほど良い
騒音,振動など
𝑦
パラメータ設計
𝑦
2段階設計
①ばらつきを抑える ②目標へ近づける
傾き
43
手順まとめ
1. システム選択– 設計の目的,基本機能,評価方法(SN比含む)を決定
2. パラメータ設計– パラメータと水準決定(設計,誤差,信号)
– 直交表実験,最適水準の探索
– 確認実験により初期値と最適値比較,再現性確認
• 重要なことは「最初に良く考える」,「仕様が決まればとにかく実験をする」,「確認実験で再現性チェック」,「活用しやすいデータを取る」