物数 I.例 1.1
[例 1]
右図に示すように,辺の長さがそれぞれ 1,2 および 4 である直方体が,直交座標系 xyz のそれぞれの軸に 3辺をそろえて置かれている.点を A, B, D は直方体の頂点であり,点 Cは辺の中点とする.
A
B
C
D
4
2
1 O
x
y
z
(1) ベクトル−→AB,
−→ACと
−→AD を成分で表しなさい.
(2) ベクトル−→AB と向きが同じで大きさが
−→ABの 2倍のベクトル ~aを成分で表しなさい.また,ベクトル
−→AC と向きが同じで大きさが 1 のベクトル~b を成分で表しなさい.
(3) 原点 O を始点とし,点 F を終点とするベクトル−→OFが次の式
−→OF =
−→OB −
−→OC + t
(3−→OC − 2
−→OB
), −∞ < t < ∞ (ex1.1)
で表される時,点 F の集合は x-y 平面上の直線となる.この直線を図示しなさい.
[答 1]
各点の座標は
A : (2, 0, 1), B : (2, 4, 0) , C : (1, 4, 0) , D : (0, 0, 1) (ex1.2)
となる.
(1)−→AB = (0, 4,−1) ,
−→AC = (−1, 4,−1) ,
−→AD = (−2, 0, 0) . (ex1.3)
(2)
~a = 2−→AB = (0, 8,−2) , (ex1.4)
~b =1
|−→AC|
−→AC =
1√18
(−1, 4,−1) =1
3√
2(−1, 4,−1) =
(− 1
3√
2,
43√
2, − 1
3√
2
). (ex1.5)
(3)−→OB −
−→OC = (1, 0, 0),3
−→OC − 2
−→OB = (−1, 4, 0),なので
−→OF = (1 − t , 4t , 0) (ex1.6)
となる.点 F の座標を (x, y, z)とすると
x = 1 − t , y = 4t , z = 0 (ex1.7)
となる.この式より直線は右図のようになる.t を消去した x と
y の関係式は
y = 4 − 4x (ex1.8)
となる.
0.5 1 1.5 2
-4
-2
2
4
x
y
物数 I.例 2.1
[例 2]
図 2-1に示すように,辺の長さがそれぞれ 2,4 および 2 である直方体が,直交座標系 xyz のそれぞれの軸に 3辺をそろえて置かれている.点 B は辺の中点であり,点 E は直方体の中央にある.このとき,次の問に答えなさい.
(1)線分 AB と 線分 AC の間の角度を θ とするとき,cos(θ) を求めなさい.
(2)−→AB ×−→
ACと−→EB ×−→
EC を計算しなさい.
A
B
C
D
42
2E
O
図 2-1
(3)3角形 EBCの面積を求めなさい.
(4)点 A, B, C を含む平面の方程式を求めなさい.
(5)図 3-1の点 A, B, C を含む平面によって,空間は 2つの領域に区切られる.次の 3点
F : (8, 1, 4) , G : (−1, 14, 5), H : (−6, −6, −7),
について,それぞれ,点 Dと同じ領域に入っているか,点 Dと違う領域に入っているか,あるいは,ちょうどこの平面上にあるかを判定しなさい.ただし ( , , ) の中の数値は点の座標を示す.
[答 2]
この座標系について各点の座標は
A : (2, 0, 0),B : (0, 4, 1),C : (2, 4, 2) ,D : (0, 0, 2) ,E : (1, 2, 1)となる. (ex2.1)
(1)−→AB = (−2, 4, 1) ,
−→AC = (0, 4, 2) , (ex2.2)
より,以下を得る:
−→AB ·
−→AC = −2 × 0 + 4 × 4 + 1 × 2 = 18 , (ex2.3)
|−→AB| =
√(−2)2 + 42 + 12 =
√21 , |
−→AC| =
√02 + 42 + 22 = 2
√5 . (ex2.4)
これより
cos(θ) =−→AB ·
−→AC
|−→AB||
−→AC|
=9√105
(ex2.5)
が得られる.
(2)−→EB = (−1, 2, 0) ,
−→EC = (1, 2, 1) , (ex2.6)
より,以下を得る:−→AB ×−→
AC = (4, 4, −8) ,−→EB ×−→
EC = (2, 1, −4) . (ex2.7)
物数 I.例 2.2
(3)
4EBCの面積 =12|−→EB ×
−→EC| =
12
√22 + 12 + (−4)2 =
√212
. (ex2.1)
(4)−→AB ×
−→AC = (4, 4, −8) は点 A, B, C を含む平面に直交するベクトルとなる. 平面上の任意の点 Pの座標を
(x, y, z)とすると−→APと
−→AB ×
−→AC は直交するので
0 =−→AP ·
(−→AB ×−→
AC)
= 4 (x − 2, y, z) · (1, 1, −2) = 4(x + y − 2z − 2) (ex2.2)
が成り立つ.従って平面の方程式は
x + y − 2z = 2 (ex2.3)
となる.式 (ex2.3)を定数倍した式でも構いません.
【注】平面の方程式は一般に
ax + by + cz = d (ex2.4)
と書けるの.点 A,B,Cの座標を式 (ex2.4)に代入した方程式
2a = d (ex2.5)
4b + c = d (ex2.6)
2a + 4b + 2c = d (ex2.7)
を満たすように未知数 a, b, c, dを決めてもよい.
(5)
−→AD = (−2 , 0 , 2) ,
−→AF = (6 , 1 , 4) ,
−→AG = (−3 , 14 , 5) ,
−→AH = (−8 , −6 , −7) (ex2.8)
より
−→AD ·
(−→AB ×
−→AC
)= −24 ,
−→AF ·
(−→AB ×
−→AC
)= −4 ,
−→AG ·
(−→AB ×−→
AC)
= 4 ,−→AH ·
(−→AB ×−→
AC)
= 0 (ex2.9)
となる.これより点 Fが平面に対して点 D同じ側,点 Gが逆側に位置することがわかる.また,点 Hはちょうど平面上にある.
【注】点 D,F,G,Hの座標を式 (ex2.2)の右辺に代入して,その値の正負から判断してもよい.
f(x, y, z) = x + y − 2z − 2 (ex2.10)
とすると
f(0, 0, 2) = −6 , f(8, 1, 4) = −1 ,
f(−1, 14, 5) = 1 , f(−6,−6,−7) = 0 (ex2.11)
より,点 Fは点 Dと同じ領域に属し,点 Gは違う領域に属することがわかる.また点 Hはちょうど平面上にあることがわかる.
物数 I.例 3.1
[例 3-1]
図 3-1に示すように,辺の長さがそれぞれ 2,4 および 2である直方体が,直交座標系 xyz のそれぞれの軸に 3辺をそろえて置かれている.点 A,C, D は直方体の頂点,点 B は辺の中点であり,点 E は直方体の中央にある.図のように座標系をとった場合に次の問に答えなさい.
(1)線分 EB, EC, ED を 3辺とする平行 6面体の体積を求めなさい.
A
B
C
D
42
2E
O
BBE
BB
C
E
C
E
C
EEEE
CC
図 3-1
(2) 点 Pが図の点 D を時刻 t = 1 に通過し,時刻 t = 4 に点 E を通過した.任意の時刻 t の点 P の位置ベクトル ~rP(t) =
(xP(t) , yP(t) , zP(t)
)を求めなさい.
(3) 点Pが 3点 A,B,Cを含む平面を横切る時刻を求めなさい.(平面を表す方程式は [例 2]の (4)で求めました.)
(4) 点 P が 点 B に最も近づく時刻を求めなさい.
[例 3-2]
図 3-2に示すように台形の壁 OABCがある.ただしそれぞれの点の座標は
O : (0, 0, 0) , A : (0, 0, 4) , B : (0, 4, 2) , C : (0, 4, 0) (ex3.1)
であり,xy 平面 (z = 0) を地面とする.この壁の後ろの点 S : (−2, 0, 6)に光源を置くと,壁の影ODECができた.
(1) 点 Dと点 Eの座標を求めなさい.
(2) 線分 EC と 線分 ED の間の角度を θ とするとき,
cos(θ)を求めなさい.
A
B
C
S
E
O
D
図 3-2
物数 I.例 3.2
[答 3-1]
この座標系について各点の座標は
A : (2, 0, 0),B : (0, 4, 1),C : (2, 4, 2) ,D : (0, 0, 2) ,E : (1, 2, 1)となる. (ex3.2)
(1)−→EB = (−1, 2, 0) ,
−→EC = (1, 2, 1) ,
−→ED = (−1, −2, 1) , (ex3.3)
より,平行 6面体の体積は∣∣∣−→ED ·(−→EB ×
−→EC
)∣∣∣ = |(−1 , −2 , 1) · (2, 1, −4)| = | − 8| = 8 (ex3.4)
となる.
(2) 一定の速度で動く点の位置ベクトルは,~a,~bを定数のベクトルとして
~r(t) = t~a +~b (ex3.5)
と表される.(線形代数・演習 Iの資料 §2.4 を参照.パラメータ t を時刻と考える.) 問題の条件,
−→OD = ~r(1) = ~a +~b ,
−→OE = ~r(4) = 4~a +~b , (ex3.6)
より
~a =13
(−→OE −
−→OD
)=
(13
,23
, −13
), ~b =
13
(4−→OD −
−→OE
)=
(−1
3, −2
3,
73
)(ex3.7)
が得られるので,時刻 t での点 Pの位置ベクトルは
~rP(t) =( t − 1
3,
2(t − 1)3
,7 − t
3
)(ex3.8)
と表される.
(3) 平面を表す方程式は [例 2-4]より次式となる:
x + y − 2z − 2 = 0 (ex3.9)
時刻 t = t1 に点 Pが平面を横切るとすると,(ex3.8)を (ex3.9)に代入して
0 = xP(t1) + yP(t1) − 2zP(t1) − 2 =5t1 − 23
3(ex3.10)
より点 Pが平面を横切る時刻 t1 は t1 =235となる.
(4) 点 Pと点 Bの間の距離の 2乗∣∣∣~rP(t) −−→OB
∣∣∣2 = (xP(t))2 + (yP(t) − 4)2 + (zP(t) − 1)2 =13
(2t2 − 22t + 71
)(ex3.11)
を t の関数と考えて,最小値を与える t を求めればよい.関数が最小となる時刻を t2 とすると t = t2 で微
分係数が 0 となるので,式 (ex3.11)を t で微分して
0 = 4t2 − 22 (ex3.12)
より,時刻 t2 =112で点 Pは点 Bに最も近づくことがわかる.
物数 I.例 3.3
[答 3-2]
(1) 各点の座標より,−→SA = (2 , 0 , −2) ,
−→SB = (2 , 4 , −4) (ex3.13)
となる.−→SA と
−→AD は同じ向きなので,αを正の実数として
−→AD = α
−→SA = (2α , 0 , −2α) (ex3.14)
となる.αの値は点 Dが地面 (xy平面)上にあるという条件から決める.点 Dの座標は
−→OD =
−→OA +
−→AD = (2α , 0 , 4 − 2α) (ex3.15)
なので,点 Dの z 座標が 0という条件から α = 2 となる.従って点 Dの座標は
D : (4 , 0 , 0) (ex3.16)
となる.
同様に−→SB と
−→AD は同じ向きなので,β を正の実数として
−→BE = β
−→SB = (2β , 4β , −4β) (ex3.17)
となる.点 Eの座標は−→OE =
−→OB +
−→BE = (2β , 4 + 4β , 2 − 4β) (ex3.18)
なので,点 Eの z 座標が 0という条件から β =12となる.従って点 Eの座標は
E :(1 , 6 , 0
)(ex3.19)
となる.
(参考) 直線の影がやはり直線になることは以下のように示せる.例えば直線 AB 上の点 Q は 0 ≤ t ≤ 1 として−−→OQ =
−→OA + t
−→AB = (0 , 4t , 4 − 2t) (ex3.20)
と表わされる.点 Q の “影” を点 R とすると,上と同様に γ を正の実数として−→QR = γ
−→SQ = γ(2 , 4t , −2t − 2) (ex3.21)
−→OR =
−−→OQ +
−→QR =
“
2γ , 4t + 4tγ , 4 − 2t − 2γ(1 + t)”
(ex3.22)
となる.点 R の z 座標が 0 という条件から γ =2 − t
1 + tが得られる.従って
−→OR =
“2(2 − t)
1 + t,
12t
1 + t, 0
”
(ex3.23)
より点 R は直線 2x + y = 8 上にあることがわかる.
(2) cos(θ) =−→EC ·
−→ED
|−→EC| |
−→ED|
の関係を使う.−→EC = (−1 , −2 , 0) ,
−→ED = (3 , −6 , 0) より
−→EC ·
−→ED = 9 , |
−→EC| =
√5 , |
−→ED| = 3
√5 (ex3.24)
なので
cos(θ) =35
(ex3.25)
となる.
物数 I.例 4.1
[例 4-1]
(1) 4つの力 ~F1 = (2 , 0 , 1),~F2 = (−1 , 2 , −1),~F3 = (0 , 1 , 3)と ~F4 が物体に働いてつりあっている.~F4 を求めよう.大きさが最大の力と最小の力はそれぞれどれ?
(2) 図 4-1に示すように,辺の長さがそれぞれ 2,4 および 2である直方体が,直交座標系 xyz のそれぞれの軸に 3辺をそろえて置かれている.点 B は辺の中点であり,点 Aは x = 2 にある面の中央にある.また点 E は直方体の中央にある.このとき,次の問に答えなさい.
(2-1)点 Eから点 A,B,C,D,Oに向かう単位ベクトル ~uA,~uB,
~uC,~uD,~uO をそれぞれ求めなさい.
(2-2)点 E にある物体に,点 O に向かって大きさ√
6 N の力~FO が働いているとき,~FO を成分で表しなさい.
(2-3)点 E にある物体を点 A に向かって大きさ fA [N] の力~FAで引っ張る.さらに点 B に向けて大きさ
√5 N の力
~FBで,点Cにむけて大きさ fC [N] の力 ~FCで,点Dにむけて大きさ fD [N] の力 ~FD で,点 Oにむけて大きさ√
6 [N] の力 ~FOで引っ張る.力がつりあって物体が静止
する場合に fA,fC,fD を求めなさい.
D
C
42
2A
O
BE
図 4-1
[例 4-2]
図 4-2に示すように,質量 M [kg] のおもりと質量 m1,m2 [kg] のおもりが滑車を通してひもでつながれ, つりあっている.滑車 Aと Bが同じ高さにあるとき,糸の長さ ACと BCの比をm1 , m2 , M で表しなさい.
1m
2m
M
θ φ
A B
C
D
図 4-2
物数 I.例 4.2
[答 4-1]
(1)~F4 = −~F1 − ~F2 − ~F3 =
(− 1 , −3 , −3
). (ex4.1)
また,
|~F1| =√
5 , |~F2| =√
6 , |~F3| =√
10 , |~F4| =√
19 (ex4.2)
なので,大きさが最大の力は ~F4,最小の力は ~F1 となる.
(2) この座標系について各点の座標は A:(2, 2, 1),B:(0, 4, 1),C:(2, 4, 2),D:(0, 0, 2),E:(1, 2, 1),となる.
(2-1)
−→EA =
(1 , 0 , 0
),
−→EB =
(− 1 , 2 , 0
),
−→EC =
(1 , 2 , 1
),
−→ED =
(− 1 , −2 , 1
),
−→EO =
(− 1 , −2 , −1
)(ex4.3)
となる.点 Eから点 A,B,C,D および Oに向かう単位ベクトル ~uA,~uB,~uC, ~uD, ~uO, はそれぞれ
~uA =−→EA
|−→EA|
=(1 , 0 , 0
), ~uB =
−→EB
|−→EB|
=1√5
(− 1 , 2 , 0
),
~uC =−→EC
|−→EC|=
1√6
(1 , 2 , 1
), ~uD =
−→ED
|−→ED|=
1√6
(− 1 , −2 , 1
),
~uO =−→EO
|−→EO|
=1√6
(− 1 , −2 , −1
)(ex4.4)
となる.
(2-2)~FO =
√6~uO =
(− 1 , −2 , −1
)(ex4.5)
(2-3) 点 Eから点 A,B,C,D および Oに向かう力をそれぞれ ~FA,~FB,~FC,~FD および ~FO とすると
~FA = fA ~uA = fA
(1 , 0 , 0
), ~FB =
√5 ~uB =
(− 1 , 2 , 0
),
~FC = fC ~uC =fC√
6
(1 , 2 , 1
), ~FD = fD ~uD =
fD√6
(− 1 , −2 , 1
)~FO =
√6 ~uO =
(− 1 , −2 , −1
)(ex4.6)
となる.
力のつりあいの条件
~FA + ~FB + ~FC + ~FD + ~FO =
−2 + fA + fC−fD√6
2√6
(fC − fD
)−1 + fC+fD√
6
=
0
0
0
(ex4.7)
物数 I.例 4.3
より,fA,fC,fD についての連立方程式
−2 + fA +fC − fD√
6= 0 , fC − fD = 0 , −1 +
fC + fD√6
= 0 (ex4.8)
が得られる.これを解いて
fA = 2 , fC = fD =√
62
(=
√32
)(ex4.9)
となる.
【注】(ex4.8)を解くのに変数 fC, fD のかわりに f̃C =fC√
6,f̃D =
fD√6を用いてもよい.
[答 4-2]
CD = ACcos(θ) = BCcos(φ) (ex4.10)
と,プリント中の (15.9),(15.10)より
ACBC
=cos(φ)cos(θ)
=m1
(M2 + m2
2 − m21
)m2
(M2 + m2
1 − m22
) (ex4.11)
が得られる.
物数 I.例 5.1
[例 5-1]
図 5-1に示すような,x軸を回転軸として,そのまわりに自由に回転で
きる円板がある.円板の ~r1 =(0 , 3 , 1
)の位置に力 ~F1 =
(0 , 4 , 3
)を, ~r2 =
(0 , −1 , −1
)の位置に力 ~F2 =
(0 , −4 , −1
)を加えた.
(1)力 ~F1 がこの物体に及ぼす,原点の回りの力のモーメント ~N1 を
求めなさい.
(2)力 ~F2 がこの物体に及ぼす,原点の回りの力のモーメント ~N2 を
求めなさい.
1rr
2rr
2Fr
1Fr
xy
z
図 5-1
(3) この物体に力 ~F1 と ~F1 を加えた場合,この棒は x 軸のまわりに,時計回りに回り始めるか,反時計回りに
回り始めるか,あるいは静止したままかを答えなさい.
(4) この円板に,位置 ~r3 =(0 , −2 , 3
)に力 ~F3 =
(0 , Fy , 0
)をさらに加えて回転軸のまわりに回転しないよ
うにした.Fy を求めなさい.
[例 5-2]
図 5-2のような,ゆがんだやじろべえを考える.やじろべえは y-z平面内にあり,x軸のまわりにのみ,回転でき
るとする.点 Aに質量 m1 のおもりをつけ,点 Bに質量 m2 のおもりをつける.点 Aの座標を (0 , 4 , −1),点Bの座標を (0 , −2 , 1) とする.また,重力加速度の大きさを g とし,次の問いに答えなさい.
(1) 点 Aの位置のおもりにはたらく重力 ~FA による原点の回りの力のモーメント ~NA を求めなさい.
(2) 点 Bの位置のおもりにはたらく重力 ~FB による原点の回りの力のモーメント ~NB を求めなさい.
(3) いま, ~NA + ~NB = ~0 であった.m1
m2を求めなさい.
z
y
O1m
2m
A
B
図 5-2
z
yO
1m
2m
A
B′
′
θ
図 5-3
(4) 力のモーメントの和が 0ベクトルになっているので,やじろべえは x軸のまわりの回転に対してつりあって
いるが,この配置が安定かどうかを調べる.やじろべえを θだけ傾けて放したとする (図 5-3).このとき,やじろべえは x 軸のまわりに,時計回りに回り始めるか,反時計回りに回り始めるか,あるいは静止したまま
かを答えなさい.やじろべえを,少し反時計回りに回転させて傾ける場合 (θ > 0)と,少し時計回りに回転させて傾ける場合 (θ < 0)のそれぞれについて答えなさい.ただし,傾ける角度は小さい (|θ| ¿ 1) として,以下の近似式が成り立つとする:
sin(θ) ≈ θ , cos(θ) ≈ 1 . (ex5.1)
また,座標 (0 , y , z)にある点を x 軸のまわりに θだけ回転させた点の座標 (0 , y′ , z′) は以下のようになる(線形代数・演習 I 資料 §3.3):(
y′
z′
)=
(cos(θ) − sin(θ)sin(θ) cos(θ)
)(y
z
)=
(cos(θ)y − sin(θ)zsin(θ)y + cos(θ)z
)≈
(y − θz
z + θy
). (ex5.2)
物数 I.例 5.2
[答 5-1]
(1)~N1 = ~r1 × ~F1 =
(0 . 3 , 1
)×
(0 , 4 , 3
)=
(3 × 3 − 1 × 4 , 0 , 0
)= (5 , 0 , 0
)(ex5.3)
となる.
(2)
~N2 = ~r2× ~F2 =(0 . −1 , −1
)×
(0 , −4 , −1
)=
(−1× (−1)− (−1)× (−4) , 0 , 0
)= (−3 , 0 , 0
)(ex5.4)
となる.
(3) 力 ~F1 と力 ~F2 が働く場合の原点の回りの力のモーメント ~N は
~N = ~r1 × ~F1 + ~r2 × ~F2+ =(2 , 0 , 0
)(ex5.5)
となる. ~N は x 軸の正の向きを向いているので,棒は x 軸の回りに 反時計回りに回転を始める.
(4) 力 ~F3 による力のモーメント ~N3 は
~N3 = ~r3 × ~F3 =(0 . − 2 , 3
)×
(0 , Fy , 0
)=
(− 3Fy , 0 , 0
)(ex5.6)
となる.物体が回転しないのは ~N + ~N3 = ~0となる場合なので 2 − 3Fy = 0 より
Fy =23
(ex5.7)
となる.
[答 5-2]
(1) ~FA = (0 , 0 , −m1g)なので
~NA = ~rA × ~FA =(0 , 4 , −1
)×
(0 , 0 , −m1g
)=
(− 4m1g , 0 , 0
). (ex5.8)
(2) ~FB = (0 , 0 , −m2g)なので
~NB = ~rB × ~FB =(0 , −2 , 1
)×
(0 , 0 , −m2g
)=
(2m2g , 0 , 0
). (ex5.9)
(3) 力のモーメントの和が 0ベクトルになるという条件:
~NA + ~NB =(− 4m1g + 2m2g , 0 , 0
)= (0 , 0 , 0) (ex5.10)
よりm1
m2=
12
(ex5.11)
となる.
物数 I.例 5.3
(4) やじろべえが θ 傾いたときのおもりの位置は (ex5.2)より
A′ :(0 , 4 + θ , −1 + 4θ
), B′ :
(0 , −2 − θ , 1 − 2θ
)(ex5.12)
となる.おもりにはたらく重力は変わらないので,この場合の力のモーメントは
~NA′ = ~rA′ × ~FA ≈(0 , 4 + θ , −1 + 4θ
)×
(0 , 0 , −m1g
)=
(− 4m1g − θm1g , 0 , 0
),
~NB′ = ~rB′ × ~FB ≈(0 , −2 − θ , 1 − 2θ
)×
(0 , 0 , −m2g
)=
(2m2g + θm2g , 0 , 0
),
~NA′ + ~NB′ =(− 4m1g + 2m2g − θm1g + θm2g , 0 , 0
)m2=2m1=
(θm1g , 0 , 0
)(ex5.13)
となる.これより, やじろべえを{少し反時計回りに回転 ; θ > 0 ; Nx > 0 ; 棒は反時計回りに回り始める少し時計回りに回転 ; θ < 0 ; Nx < 0 ; 棒は時計回りに回り始める
(ex5.14)
となることがわかる.
やじろべえはつりあいの配置 (θ = 0)からの微小な変化に対して,元の配置からさらに離れようとするので,この場合,つりあいの状態は 不安定 となる.
(参考)
原点を通る回転軸のまわりに回転できる物体の,位置 {~r0i , i = 1 , · · · , N}に力 {~Fi , i = 1 , · · · , N} が働いていて,回転
に対してつりあっていると,~u · ~N0 = 0 (ex5.15)
という関係が成り立つ.ただし
~N0 =
NX
i=1
~r0i × ~Fi (ex5.16)
は力のモーメント,~uは回転軸の向きの単位ベクトルである.つり合いの条件が ~N0 = 0ではなく,~u · ~N0 = 0 であるのは,運動が回転軸 ~uのまわりの回転のみに制限されているためである.
力 {~Fi , i = 1 , · · · , N} を加えたまま,物体を ~uのまわりに δθ だけ回転すると,力 ~Fi のはたらく位置 ~ri は ~r0i から
δ~ri = ~ri − ~r0i ≈ δθ ~u × ~r0
i (ex5.17)
だけ変位する.従って,δθ だけ回転したときの力のモーメント ~N =
NX
i=1
~ri × ~Fi の回転軸方向の成分は
~u · ~N = −δθ
NX
i=1
“
~r0i · ~Fi − (~r0
i · ~u) (~u · ~Fi)”
(ex5.18)
となる.これより,N
X
i=1
“
~r0i · ~Fi − (~r0
i · ~u) (~u · ~Fi)”
> 0 (ex5.19)
の場合,物体は回転軸 ~uのまわりの微小な回転に対して安定となる.
特に,回転軸が x 軸 (~u = (1, 0, 0))で,~r0i や ~Fi が y-z 平面内のベクトルの場合,微小な回転に対して安定となる条件は
NX
i=1
~r0i · ~Fi > 0 (ex5.20)
となる.
物数 I.例 6.1
例 6-1]
図 6-1に示すように辺の長さがそれぞれ 2,4,2である直方体が,直交座標系 xyz のそれぞれの軸に 3辺をそろえて置かれている.点 Bと E は辺の中点であり,点 A は x = 2 にある面の中央にある.このとき次の問に答えなさい.
(1)一定の加速度で運動をしている 点 P が図の点 E を時刻 t = 0 に通過した.また,時刻 t = 1に点Cを,時刻 t = 2に点Bを通過した.任意の時刻 t の点 Pの位置ベクトル ~rP(t) =
(xP(t) , yP(t) , zP(t)
)を求めなさい.
(2)点 P が 3点 A,B,D を含む平面を横切る時刻をすべて求めなさい.
D
C
42
2A
O
B
E
図 6-1
[例 6-2]
水平面上を 2人の人 A, C が運動している.それぞれの位置ベクトルは,水平面上の x-y 座標によって
~rA(t) =(− t2 + 6t − 10 , t − 2
), ~rC(t) =
(t2 − 4t + 4 , 2t − 5
)(ex6.1)
と表されている.(z 成分はともに 0.)
Aが手に持っていたボールを水平面上で静かに放し,その後,ボールは等速度運動を行うとする.Cがこのボールをうまく受け取れるためには,Aがいつボールを放せばよいかを以下の手順で求めよう.
(1) Aがボールを放す時刻を t = t1 とする.時刻 t = t1 での A の速度ベクトル ~v1 を t1 で表しなさい.
(2) 時刻 t = t1 に A が手に持っていた ボールを水平面上で静かに放した.ボールと水平面の間には摩擦は働かないとすると,ボールは時刻 t = t1 に ~rA(t1) を通り,一定の速度 ~v1 で等速度運動を行う.t ≥ t1
でのボールの運動を表す位置ベクトル ~rB(t) を書き表しなさい.
(3) このボールを C が時刻 t = t2 に受け取った.(つまり,~rB(t2)= ~rC(t2) となった.)時刻 t1 と t2 を求
めなさい.
A
C
B
x
y
-4 -2 2
-3
-2
-1
1
2
3
4
図 6- 2
物数 I.例 6.2
.
[答 6-1]
この座標系について,各点の座標は A:(2, 2, 1),B:(0, 4, 1),C:(2, 4, 2),D:(0, 0, 2),E:(2, 2, 0),となる.
(1) プリントの式 (24.4)より, 一定の加速度 ~a0 で運動する物体が時刻 t = t0 に位置 ~r0 を通り,その時の速度
が ~v0 である場合の位置ベクトルは
~r(t) = ~r0 + (t − t0) ~v0 +(t − t0)2
2~a0 (ex6.2)
となる.点 Pは時刻 t = 0に点 Eを通るので,t0 = 0 , ~r0 =−→OEとすると,点 Pの位置ベクトルは
~rP(t) =t2
2~a0 + t ~v0 +
−→OE (ex6.3)
と表される.問題の条件より
~rP(1) =12
~a0 + ~v0 +−→OE =
−→OC =
(2 , 4 , 2
), (ex6.4)
~rP(2) = 2 ~a0 + 2 ~v0 +−→OE =
−→OB =
(0 , 4 , 1
)(ex6.5)
が得られる.これより
~a0 =−→OB − 2
−→OC +
−→OE =
(− 2 , −2 , −3
), ~v0 = 2
−→OC − 1
2
(−→OB + 3
−→OE
)=
(1 , 3 ,
72
)(ex6.6)
となる.従って時刻 t の点 P の位置ベクトルは以下で与えられる;
~rP(t) =(xP(t) , yP(t) , zP(t)
)=
(−t2 + t + 2 , −t2 + 3 t + 2 ,
−3t2 + 7t
2
). (ex6.7)
(2) ~r = (x , y , z) を平面上のある点を表す位置ベクトルとすると ~r −−→OA = (x − 2 , y − 2 , z − 1) は平面内に含
まれるベクトルなので−→AB ×
−→AD と直交する.従って (x , y , z)の間には次の関係がある:(
~r −−→OA
)·(−→AB ×−→
AD)
= 0 . (ex6.8)
−→AB ×−→
AD = (−2 , 2 , 0) × (−2 , −2 , 1) = (2 , 2 , 8) (ex6.9)
なので平面を表す方程式は次式となる:
x + y + 4z − 8 = 0 . (ex6.10)
方程式 (ex6.10)を満たす座標 (ex6.7)の時刻 t を求めればよい (問題の設定より t = 2 が解になることはわかっている) :
0 = xP(t) + yP(t) + 4 zP(t) − 8 = −8t2 + 18t − 4 = −2(t − 2)(4t − 1) (ex6.11)
より点 Pが平面を横切る時刻は t = 2 と t =14となる.
物数 I.例 6.3
[答 6-2]
(1) A の速度ベクトル ~vA(t) は A の位置ベクトルの時間 t についての微分で得られる;~vA(t) =d~rA(t)
dt.
ベクトルの微分は各成分を微分すればよいので
~vA(t) =ddt
(− t2 + 6t − 10 , t − 2
)=
(− 2 t + 6 , 1
)(ex6.12)
となる.時刻 t1 での速度ベクトルは上の式に t = t1 を代入して得られる;
~v1 =(− 2 t1 + 6 , 1
). (ex6.13)
(2) ボール B は時刻 t1 に位置 ~rA(t1) にあり,速度 ~v1 で等速度運動 (等速直線運動)を行う.B の位置の変化は単位時間あたり ~v1 なので,時刻 t1 から時刻 t の間には (t− t1) ~v1 だけ位置が変化する.(プリントの式 (24.1)も参照.) 従って
~rB(t) = ~rA(t1) + (t − t1) ~v1 =(− 2 t1 t + 6t + t21 − 10 , t − 2
)(ex6.14)
となる.
(3) 条件 ~rB(t2)= ~rC(t2) は両辺のベクトルの各成分が等しいことを意味する;
− 2 t1 t2 + 6t2 + t21 − 10 = t22 − 4t2 + 4 , (ex6.15)
t2 − 2 = 2t2 − 5 . (ex6.16)
この 2式から t1 , t2 を求める.
式 (ex6.16)よりt2 = 3 (ex6.17)
が得られる.これを式 (ex6.15)に代入して t1 が満たすべき条件
t21 − 6 t1 + 7 = 0 (ex6.18)
が得られる.この 2次方程式の解は 3 ±√
2 であるが,
t1(A がボールを放した時刻) < t2 = 3 (B がボールを受け取った時刻)
なので
t1 = 3 −√
2 (ex6.19)
となることがわかる.
物数 I.例 7.1
.
exp(f(t)) = ef(t)
[例 7-1]
これは微分の練習問題です.次の関数を変数 t について微分して,導関数を求めなさい. また,x 軸上を運動する
物体の時刻 t の x座標が x = f(t)で表される場合,時刻 t = 1 で物体は,x 軸の正の向きに動くか,負の向きに
動くか,それとも (一瞬)静止するかをそれぞれについて述べなさい.
(1) f(t) =√
t2 + 3 (2) f(t) = cos(π
4
√t2 + 3
)(3) f(t) = exp
(2 −
√t2 + 3
)
(4) f(t) = cos(π
4
√t2 + 3
)e2−
√t2+3 (5) f(t) = cos
(π
4e2−
√t2+3
)
(6) f(t) = log(√
t2 + 3 − 1)
(7) f(t) = F(√
t2 + 3),ただし F (x) =
∫ x
0
sin(s)s
ds, つまり F (x)は,導関数がdF (x)
dx=
sin(x)x
で
あり,F (0) = 0となる関数.
【注】 (7) でdf(t)
dt6= dF (u)
du
˛
˛
˛
˛
u=√
t2+3
=sin(u)
u
˛
˛
˛
˛
u=√
t2+3
=sin
`√t2 + 3
´
√t2 + 3
(ex7.1)
であることに注意.F の導関数dF (u)
duに u =
p
t2 + 3を代入するのではなく,F (u) に u =p
t2 + 3を代入し
た後に,t で微分する.
(参考) F (x)は積分正弦関数などと呼ばれ,Si(x) などと書かれる.
[例 7-2]
x-y 平面上で物体が曲線 y = x3 − x 上を一定の速さ (速度の大きさ) |~v(t)| = 2 で左から右に動いている.物体が,
原点 O (0 , 0)を通る時の速度ベクトル ~v1と加速度ベクトル ~a1,点 A( 1√
3, − 2
3√
3
)を通る時の速度ベクトル ~v2
と加速度ベクトル ~a2,点 B (1 , 0)を通る時の速度ベクトル ~v3と加速度ベクトル ~a3 を求めたい.以下の,手順に
従って考えよう.
まず,一般に,物体が曲線 y = f(x) の上を速度の大きさ v0 で運動する場合を考える.
(1) 時刻 t での物体の速度ベクトル ~v(t)と加速度ベクトル ~a(t) を x(t),dx(t)
dt,
d2x(t)dt2
や f(x)の導関数 f ′(x) =
df(x)dx,2次の導関数 f ′′(x) =
d2f(x)dx2
を用いて表そう.
(2) 物体が速さ (速度の大きさ) |~v(t)| = v0 で左から右に動いている.(つまり dx(t)/dt > 0 となっている.) こ
のときdx(t)
dtと
d2x(t)dt2
を x(t),f ′(x) や f ′′(x) を用いて表そう..
(3) f(x) = x3 − x,v0 = 2 の場合に,物体が点O,A, および B を通る時の速度と加速度ををそれぞれ求めよう.
物数 I.例 7.2
多少,複雑な関数の微分には合成関数の微分の式を何回か用いる.既に求めた結果を用いると計算が楽になる:
(1)df(t)dt
=d
dt
√t2 + 3 =
du1/2
du
∣∣∣∣u=t2+3
d(t2 + 3)dt
=12u−1/2 2t =
t√t2 + 3
. (ex7.2)
vx(1) =df(t)dt
∣∣∣∣t=1
=12
> 0 (ex7.3)
より,時刻 t = 1 で物体は x 軸の正の向きに動く.
(2)
df(t)dt
=d
dtcos
(π
4
√t2 + 3
)=
d cos(u)du
∣∣∣∣u= π
4
√t2+3
π
4d
dt
√t2 + 3
(1)= −π
4sin(u)
t√t2 + 3
= − πt
4√
t2 + 3sin
(π
4
√t2 + 3
). (ex7.4)
vx(1) =df(t)dt
∣∣∣∣t=1
= −π
8sin
(π
2
)= −π
8< 0 (ex7.5)
より,時刻 t = 1 で物体は x 軸の負の向きに動く.
(3)
df(t)dt
=d
dtexp
(2 −
√t2 + 3
)=
deu
du
∣∣∣∣u=2−
√t2+3
d(2 −√
t2 + 3)dt
= −eu d√
t2 + 3dt
(1)= − t√
t2 + 3e2−
√t2+3 . (ex7.6)
vx(1) =df(t)dt
∣∣∣∣t=1
= −12
e0 = −12
< 0 (ex7.7)
より,時刻 t = 1 で物体は x 軸の負の向きに動く.
(4)
df(t)dt
=d
dt
{cos
(π
4
√t2 + 3
)e2−
√t2+3
}=
d cos(
π4
√t2 + 3
)dt
e2−√
t2+3 + cos(π
4
√t2 + 3
) de2−√
t2+3
dt(2,3)= − πt
4√
t2 + 3sin
(π
4
√t2 + 3
)e2−
√t2+3 − cos
(π
4
√t2 + 3
) t√t2 + 3
e2−√
t2+3
= − t√t2 + 3
e2−√
t2+3{π
4sin
(π
4
√t2 + 3
)+ cos
(π
4
√t2 + 3
)}. (ex7.8)
vx(1) =df(t)dt
∣∣∣∣t=1
= −12
e0{π
4sin
(π
2
)+ cos
(π
2
)}= −π
8< 0 (ex7.9)
より,時刻 t = 1 で物体は x 軸の負の向きに動く.
物数 I.例 7.3
(5)
df(t)dt
=d
dtcos
(π
4e2−
√t2+3
)=
d cos(u)du
∣∣∣∣u= π
4 e2−√
t2+3
d
dt
(π
4e2−
√t2+3
)= −π
4sin(u)
de2−√
t2+3
dt
(3)=
πt
4√
t2 + 3sin
(π
4e2−
√t2+3
)e2−
√t2+3 . (ex7.1)
vx(1) =df(t)dt
∣∣∣∣t=1
=π
8sin
(π
4e0
)e0 =
π
8√
2> 0 (ex7.2)
より,時刻 t = 1 で物体は x 軸の正の向きに動く.
(6)
df(t)dt
=d log(
√t2 + 3 − 1)dt
=log(u)
du
∣∣∣∣u=
√t2+3−1
d√
t2 + 3 − 1dt
=1u
d√
t2 + 3dt
(1)=
t√t2 + 3(
√t2 + 3 − 1)
=t
t2 + 3 −√
t2 + 3. (ex7.3)
vx(1) =df(t)dt
∣∣∣∣t=1
=1
4 −√
4=
12
> 0 (ex7.4)
より,時刻 t = 1 で物体は x 軸の正の向きに動く.
(7)
df(t)dt
=dF
(√t2 + 3
)dt
=dF (u)
du
∣∣∣∣u=
√t2+3
d√
t2 + 3dt
(1)=
sin(u)u
∣∣∣∣u=
√t2+3
t√t2 + 3
=t sin
(√t2 + 3
)t2 + 3
. (ex7.5)
vx(1) =df(t)dt
∣∣∣∣t=1
=sin (2)
4> 0 (ex7.6)
より,時刻 t = 1 で物体は x 軸の正の向きに動く.
物数 I.例 7.4
[答 7-2]
(1) 時刻 t の物体の x 座標を x(t) と書くと,物体の y 座標は y(t) = f(x(t)) と x(t) を用いて表せる.これより物体の位置ベクトルは
~r(t) =(
x(t) , f(x(t)))
(ex7.1)
と書き表すことができる.速度ベクトルは
~v(t) =d~r(t)dt
=(
dx(t)dt
,df(x(t))
dt
)=
(dx(t)
dt,
df(x)dx
∣∣∣∣x=x(t)
dx(t)dt
)
=dx(t)
dt
(1 , f ′(x(t))
)(ex7.2)
となる.上で f ′(x) は f(x) の導関数を意味する,つまり f ′(x) =df(x)dx.次に加速度ベクトルは
~a(t) =d2x(t)
dt2
(1 , f ′(x(t))
)+
dx(t)dt
d
dt
(1 , f ′(x(t))
)=
d2x(t)dt2
(1 , f ′(x(t))
)+
dx(t)dt
d
dx
(1 , f ′(x)
)∣∣∣∣x=x(t)
dx(t)dt
=d2x(t)
dt2
(1 , f ′(x(t))
)+
(dx(t)
dt
)2 (0 , f ′′(x(t))
)=
(d2x(t)
dt2,
d2x(t)dt2
f ′(x(t)) +(
dx(t)dt
)2
f ′′(x(t))
)(ex7.3)
となる.上で f ′′(x) は f(x) の 2次の導関数を意味する,つまり f ′′(x) =d2f(x)
dx2.
(2) 物体が一定の速さ v0 で運動しているという条件から
v0 = |~v(t)| =∣∣∣∣dx(t)
dt
∣∣∣∣ ∣∣∣(1 , f ′(x(t)))∣∣∣ =
∣∣∣∣dx(t)dt
∣∣∣∣ √1 + (f ′(x(t))2 (ex7.4)
が得られる.dx(t)/dt > 0 なので dx(t)/dt は x(t) と次の関係
dx(t)dt
=v0√
1 + (f ′(x(t))2(ex7.5)
があることがわかる.次に,d2x(t)/dt2 は (ex7.5)を t でもう一度微分して
d2x(t)dt2
= v0d
dt
1√1 + (f ′(x))2
= v0d
dx
(1 + (f ′(x))2
)−1/2 dx(t)dt
= −v0f ′(x(t)) f ′′(x(t))(1 + (f ′(x))2
)3/2
dx(t)dt
(ex7.6)
が得られるが,この式の右辺に (ex7.5)を代入して
d2x(t)dt2
= −v20
f ′(x(t)) f ′′(x(t))(1 + (f ′(x))2
)2 (ex7.7)
となる.
物数 I.例 7.5
(3) (ex7.2),(ex7.3)と (ex7.5),(ex7.7)から時刻 t での物体の速度ベクトルと加速度ベクトルは x(t) を用いて
~v(t) =v0√
1 + (f ′(x(t))2
(1 , f ′(x(t))
)(ex7.1)
~a(t) =
−v20
f ′(x)f ′′(x)(1 + f ′(x)2
)2 , −v20
f ′(x)2f ′′(x)(1 + f ′(x)2
)2 + v20
f ′′(x)1 + f ′(x)2
∣∣∣∣∣∣∣x=x(t)
= v20
f ′′(x(t))(1 + f ′(x(t))2
)2
(− f ′(x(t)) , 1
)(ex7.2)
と表せる.
尚,上の 2式から ~a(t) · ~v(t) = 0 であることがわかるが,これは物体が一定の速度の大きさで運動している場合に一般に成り立つ.また,f ′′(x) = 0 となる点 (変曲点)で ~a = ~0 となることがわかる.
f(x) = x3 − x,f ′(x) = 3x2 − 1,f ′′(x) = 6x,v0 = 2を代入して
~v(t) =2√
2 − 6 x(t)2 + 9 x(t)4
(1 , 3 x(t)2 − 1
)(ex7.3)
~a(t) =24 x(t)(
2 − 6 x(t)2 + 9 x(t)4)2
(− 3 x(t)2 + 1 , 1
)(ex7.4)
となる.従って,点 Oでの速度と加速度は
~v1 =√
2(1 , −1) , ~a1 = ~0 (ex7.5)
となる.
点 Aでの速度と加速度は~v2 = (2 , 0) , ~a2 =
24√3(0 , 1) = 8
√3(0 , 1) (ex7.6)
となる.
点 Bでの速度と加速度は~v3 =
2√5(1 , 2) , ~a3 =
2425
(−2 , 1) (ex7.7)
となる.
� � ����� � ���� � � ��
����� �
����� �
��� ��
����
��� ��
�
x
y
B
A
O
物数 I.例 8.1
.
sin(α) cos(β) =1
2
“
sin(α − β) + sin(α + β)”
cos(α) cos(β) =1
2
“
cos(α − β) + cos(α + β)”
, sin(α) sin(β) =1
2
“
cos(α − β) − cos(α + β)”
cos(0) = 1 , sin(0) = 0 ea+b = ea eb d log |t + a|dt
=1
t + a, log(1) = 0
[例 8] 積分の練習問題
次の関数 f(t) が x 軸上を運動する物体の時刻 t の速度 (の x成分),vx(t),であるとする.x(0) = 7 である場合に,物体の時刻 t の x座標,x(t),を求めなさい.
(1) f(t) = 3t2 + 4t + 1 (2) f(t) = sin(3t
)(3) f(t) = 2 sin2
(3t
)
(4) f(t) = 4 sin(3t
)cos
(5t
)(5) f(t) = 4 cos
(3t
)cos
(5t
)(6) f(t) = exp(−7t + 2)
(7) f(t) =
0 ; t < 2
2 − 2t−1 ; 2 ≤ t
t < 2 と 2 ≤ t のそれぞれの場合の x(t) を求めてください.
(8) f(t) =
0 ; t < 1
(t − 1)2 ; 1 ≤ t < 2sin(2t − 4) + 1 ; 1 ≤ t
t < 1,1 ≤ t < 2,2 ≤ t のそれぞれの場合の x(t) を求めてください.
【注】exp(f(t)) = ef(t),sin2(α) =(
sin(α))2
物数 I.例 8.2
.
[答 8]
時刻 t での物体の位置 x(t) は
x(t) = x(0) +∫ t
0
vx(t′) dt′ = 7 +∫ t
0
vx(t′) dt′ (ex8.1)
より求まる.
(1)
x(t) = 7 +∫ t
0
(3(t′)2 + 4t′ + 1
)dt′ = 7 +
[(t′)3 + 2(t′)2 + t′
]t′=t
t′=0= t3 + 2t2 + t + 7 . (ex8.2)
なお,vx(t) の不定積分
x(t) =∫ (
3t2 + 4t + 1)
dt = t3 + 2t2 + t + C (ex8.3)
より,初期条件 x(0) = 7 から積分定数 C = 7を決めてもよい.(以下の問も同様.)
(2)
x(t) = 7 +∫ t
0
sin(3t′)dt′ = 7 +[−1
3cos(3t′)
]t′=t
t′=0
= 7 − 13
cos(3t) +13
= −13
cos(3t) +223
. (ex8.4)
(3)
sin2(α) =12
(1 − cos(2α)
)(ex8.5)
を用いる.
x(t) = 7 + 2∫ t
0
sin2(3t′)dt′ = 7 +∫ t
0
(1 − cos(6t′)
)dt′ = 7 +
[t′ − 1
6sin(6t′)
]t′=t
t′=0
= 7 + t − 16
sin(6t) . (ex8.6)
(4)
sin(3t) cos(5t) =12
(sin(8t) − sin(2t)
)(ex8.7)
を用いる.
x(t) = 7 + 4∫ t
0
sin(3t′) cos(5t′)dt′ = 7 +42
∫ t
0
(sin(8t′) − sin(2t′)
)dt′ = 7 + 2
[−1
8cos(8t′) +
12
cos(2t′)]t′=t
t′=0
= 7 + 2(− 1
8cos(8t) +
12
cos(2t) +18− 1
2
)= −1
4cos(8t) + cos(2t) +
254
. (ex8.8)
(5)
cos(3t) cos(5t) =12
(cos(2t) + cos(8t)
)(ex8.9)
を用いる.
x(t) = 7 + 4∫ t
0
cos(3t′) cos(5t′)dt′ = 7 +42
∫ t
0
(cos(2t′) + cos(2t′)
)dt′
= 7 + 2[12
sin(2t′) +18
sin(2t′)]t′=t
t′=0
= 7 + sin(2t) +14
sin(8t) . (ex8.10)
物数 I.例 8.3
(6) exp(−7t + 2) = e2 e−7t なので
x(t) = 7 +∫ t
0
e2 e−7t′dt′ = 7 +
[−e2 e−7t′
7
]t′=t
t′=0
= 7 − e2
7
(e−7t − 1
)= 7 +
e2 − e−7t+2
7. (ex8.11)
(7) x(t) = 7 +∫ t
0
vx(t′) dt′ を計算すればよいのだが,被積分関数 vx(t′) の関数形が t < 2と 2 ≤ t で異なる
ので,場合を分けて考える必要がある.
t < 2 の場合 x(t) = 7 +∫ t
0
0 dt′ = 7 ,
2 ≤ t の場合 x(t) = 7 +∫ t
0
vx(t′) dt′ = 7 +∫ 2
0
vx(t′) dt′ +∫ t
2
vx(t′) dt′ = 7 + 2∫ t
2
(1 − 1
t′ − 1
)dt′
= 7 + 2[t′ − log |t′ − 1|
]t′=t
t′=2= 7 + 2
(t − log(t − 1) − 2 + log(1)
)= 2t − 2 log(t − 1) + 3 . (ex8.12)
以上より
x(t) =
{7 ; t < 2 ,
2t − 2 log(t − 1) + 3 ; 2 ≤ t(ex8.13)
となる.
なお,不定積分を用いる場合は,まず t < 2 の場合は,
x(t) =∫
0dt = C1 (ex8.14)
と,初期条件 x(0) = 7 より C1 = 7となるので
x(t) = 7 , t < 2 . (ex8.15)
次に, 2 ≤ tの場合の不定積分は
x(t) = 2∫ (
1 − 1t − 1
)dt = 2t − 2 log |t − 1| + C2 (ex8.16)
となる.この式は 2 ≤ t で成り立つ式なので,積分定数 C2は t = 2で (ex8.15)と (ex8.16)の値が同じになる (x(t)が t = 2で連続である)という条件:
7 = x(2) = 4 − 2 log |1| + C2 = 4 + C2 (ex8.17)
より決める. 上式から C2 = 3となるので,
x(t) = 2t − 2 log(t − 1) + 3 , 2 ≤ t (ex8.18)
となる.
物数 I.例 8.4
(8) t < 1,1 ≤ t < 2,2 ≤ t の場合について別々に考える.
t < 1 の場合 x(t) = 7 +∫ t
0
vx(t′)dt′ = 7 +∫ t
0
0 dt′ = 7 . (ex8.19)
1 ≤ t < 2 の場合 x(t) = 7 +∫ t
0
vx(t′)dt′ = 7 +∫ 1
0
vx(t′) dt′ +∫ t
1
vx(t′) dt′ = 7 +∫ t
1
(t′ − 1)2dt′
= 7 +[(t′ − 1)3
3
]t′=t
t′=1
= 7 +(t − 1)3
3
(=
t2 − 2t + 223
). (ex8.20)
2 ≤ t の場合 x(t) = 7 +∫ t
0
vx(t′)dt′ = 7 +∫ 1
0
vx(t′) dt′ +∫ 2
1
vx(t′) dt′ +∫ t
2
vx(t′) dt′
= 7 +∫ 2
1
(t′ − 1)2dt′ +∫ t
2
(sin(2t′ − 4) + 1) dt′
= 7 +[(t′ − 1)3
3
]t′=2
t′=1
+[−1
2cos(2t′ − 4) + t′
]t′=t
t′=2
=223
+(−1
2cos(2t − 4) + t +
12− 2
)=
356
− 12
cos(2t − 4) + t . (ex8.21)
以上より
x(t) =
7 ; t < 1 ,
7 + (t−1)3
3 ; 1 ≤ t < 2 ,356 − 1
2 cos(2t − 4) + t ; 2 ≤ t
(ex8.22)
となる.
t
t
( )xv t
( )x t
� � � � � � � �
�
�
� � � � � � � � � �
�
�
�
� �
物数 I.例 9.1
[例 9-1]
質量 m の物体に力 ~F を加えると,加速度 ~a =1m
~F を生じる.
x軸上にある質量 m = 3 の物体の運動を考える.時刻 0 < t ≤ T の間に力 ~F (t) =(Fx(t) , 0 , 0
);
Fx(t) =
0 ; t ≤ 0
2t(t − T ) ; 0 < t ≤ T
0 ; T < t
を加えた.物体は時刻 t = 0 で x = 0 の位置にあり,速度の x 成分 vx が vx(0) = 3 であった.
(1) 時刻 t = T でこの物体が止まるように T を定めなさい.
(2) 上のように T を定めたとき,時刻 t = T での物体の x 座標を求めなさい.
[例 9-2]
滑らかな水平面 (x-y 平面) 上を運動する質量 m = 3 の質点を考える.この質点に,時刻 t = t1( > 0 ) からt = t1 + 1 まで力
~F (t) =
~0 ; t < t1(
1 − cos(2π(t − t1)))
~F0 ; t1 ≤ t < t1 + 1~0 ; t1 + 1 ≤ t
(ex9.1)
を加える.ここで,~F0 = (3, 0) (ex9.2)
は定ベクトルを表す.また,時刻 t = 0 での質点の位置は ~r(0) = (0, 0),速度は ~v(0) = (0, 3)である.
(1) 時刻 t > t1 + 1 での質点の位置ベクトル ~r(t)を求めなさい.
(2) この質点が t1 + 1 以降の時刻 t2 で点 (3,15)を通った.t1 と t2 を求めなさい.
物数 I.例 9.2
[答 9-1]
(1)
ax(t) =1m
Fx(t) =23t(t − T ) , 0 < t ≤ T (ex9.3)
より 0 < t ≤ T で
vx(t) = vx(0) +23
∫ t
0
((t′)2 − t′T
)dt′ = 3 +
23
[(t′)3
3− (t′)2
2T
]t′=t
t′=0
= 3 +23
( t3
3− t2
2T
)(ex9.4)
となる.条件
0 = vx(T ) = 3 +23
(T 3
3− T 2
2T
)= 3 − 1
9T 3 (ex9.5)
より, T = 3 となる.
(2)
(ex9.4)より T = 3 の場合に
vx(t) = 3 − t2 +29t3 , 0 < t ≤ 3 (ex9.6)
なので,0 < t ≤ 3で
x(t) = x(0) +∫ t
0
(3 − (t′)2 +
29(t′)3
)dt′ =
[3t′ − 1
3(t′)3 +
118
(t′)4]t′=t
t′=0
= 3t − t3
3+
t4
18(ex9.7)
となる.これより x(3) = 9/2 となる.
[答 9-2]
(1) ~a(t) =1m
~F (t) =13
~F (t) より,物体の速度ベクトルは t < t1 では
~v(t) = ~v(0) = (0 , 3) , t < t1 (ex9.8)
となり,t1 ≤ t < t1 + 1では
~v(t) = ~v(0) +∫ t1
0
~a(t′) dt′ +∫ t
t1
~a(t′) dt′ = ~v(0) +~F0
3
∫ t
t1
(1 − cos(2π(t′ − t1))
)dt′
= ~v(0) +~F0
3
[t′ − 1
2πsin(2π(t′ − t1))
]t′=t
t′=t1
= ~v(0) +~F0
3
(t − t1 −
12π
sin(2π(t − t1)))
=(t − t1 −
12π
sin(2π(t − t1)) , 3)
, t1 ≤ t < t1 + 1 (ex9.9)
となる. これより~v(t1 + 1) = (1 , 3) (ex9.10)
であることがわかる.最後に,t1 + 1 < t では
~v(t) = ~v(0) +∫ t1+1
0
~a(t′) dt′ +∫ t
t1+1
~a(t′) dt′ = ~v(t1 + 1) +∫ t
t1+1
~0 dt′ = ~v(t1 + 1) , t1 + 1 ≤ t (ex9.11)
となる.
物数 I.例 9.3
位置ベクトルは t < t1 の場合は
~r(t) = ~r(0) + ~v(0)t = (0 , 3t) , t < t1 (ex9.12)
となる.t1 ≤ t < t1 + 1 の場合は
~r(t) = ~r(t1) +∫ t
t1
~v(t′)dt′ = ~r(t1) +∫ t
t1
(t′ − t1 −
12π
sin(2π(t′ − t1)) , 3)dt′
= ~r(t1) +[(
(t′ − t1)2
2+
cos(2π(t′ − t1))4π2
, 3t′)]t′=t
t′=t1
= ~r(t1) +(
(t − t1)2
2+
cos(2π(t − t1)) − 14π2
, 3(t − t1))
=(
(t − t1)2
2+
14π2
cos(2π(t − t1)) −1
4π2, 3t
)(ex9.13)
となる.とくに
~r(t1 + 1) =(
12
, 3t1 + 3)
(ex9.14)
となる.t1 + 1 ≤ tでは
~r(t) = ~r(t1 + 1) +∫ t
t1+1
~v(t′)dt′ = ~r(t1 + 1) +∫ t
t1+1
~v(t1 + 1)dt′
= ~r(t1 + 1) + (t − t1 − 1)~v(t1 + 1) =(t − t1 −
12
, 3t)
, t1 + 1 ≤ t . (ex9.15)
(2) (ex9.15)から時刻 t = t2 で
(3 , 15) = ~r(t2) =(t2 − t1 −
12
, 3t2
)(ex9.16)
となる.これより
t1 =32
, t2 = 5 (ex9.17)
となる.
物数 I.例 10.1
[例 10-1]
(1) x 軸上を速度の x 成分 v0 > 0 で運動している物体に,大きさ一定の力を x 軸の負の向きに加えて停止させ
る.力を加え始めてから物体が止まるまでに進む距離が `0 であるとき,この力による物体の加速度の大き
さ a0 を求めなさい.また,力を加え始めてから物体が止まるまでにかかる時間 t1 を求めなさい.
(2) 時速 40 km/時 で走っている車にブレーキをかける.車がブレーキをかけ始めてから止まるまでに走る距離が 10m である場合に,ブレーキによって減速する際の車の加速度の大きさを求めなさい.ただし,ブレーキをかけている間,車には一定の加速度が生じるとする.また,ブレーキをかけ始めてから車が止まるまで
にかかる時間を求めなさい.単位に注意して計算すること.
[例 10-2]
滑らかな水平面 (x-y平面)上を運動する質量 m = 3 の物体を考える.この物体に,時刻 t = 1 から t = 2 まで力
~F (t) =
~0 ; t < 1
(t − 1)(t − 2)~F0 ; 1 ≤ t < 2~0 ; 2 ≤ t
(ex10.1)
を加える.時刻 t = 0 での物体の位置を ~r(0) = ~r0,速度を ~v(0) = ~v0 としたとき,以下に答えなさい.ただし,~F0,~r0,~v0 は定ベクトルを表す.
(1) 時刻 0 ≤ t < 1 での物体の位置ベクトル ~r(t)を求めなさい.
(2) 時刻 1 ≤ t < 2 での物体の位置ベクトル ~r(t)を求めなさい.
(3) 時刻 2 ≤ t での物体の位置ベクトル ~r(t)を求めなさい.
(4) ~r0 = (0, 3),~v0 = (1, 0) の場合に,この物体が時刻 t = 3 に原点を通るように,~F0 を定めなさい.
物数 I.例 10.2
.
[答 10-1]
(1) 物体に加わる力による物体の加速度の x 成分は ax(t) = −a0 となる.物体に力を加え始める時刻を t = 0,そのときの物体の x 座標を x(0) = 0 とする.物体が停止する時刻は t = t1 となる.t = 0 から t = t1 まで
のあいだの時刻では物体の速度は
vx(t) = vx(0) +∫ t
0
ax(t′)dt′ = v0 − a0
∫ t
0
dt′ = v0 − a0t , 0 ≤ t ≤ t1 (ex10.2)
となる.また,物体の位置は
x(t) = x(0) +∫ t
0
vx(t′)dt′ =∫ t
0
(v0 − a0t
′)dt′ =
[v0t
′ − a0(t′)2
2
]t′=t
t′=0
= v0t − a0t2
2, 0 ≤ t ≤ t1 (ex10.3)
となる.条件 vx(t1) = 0と x(t1) = `0 より
0 = v0 − a0t1 , `0 = v0t1 − a0t212
(ex10.4)
が得られる.これらを t1 と a0 についての連立方程式と考えて
t1 =2`0v0
, a0 =v20
2`0(ex10.5)
が得られる.
(2) 式 (ex10.5)を用いる.`0 = 10m である.次に v0 = 40km/時 の単位を [m/s] に変換する.速さ 40km/時 =40 × 103 m/時 は 1時間つまり 60 × 60 s に 40 × 103 m 車が進むことなので,[m/s] で表すと
40 km/時 =4 × 104
60 × 60m/s =
1009
m/s ≈ 11 m/s (ex10.6)
となる.車の加速度の大きさはv20
2`0=
103
2 × 92≈ 6.2 m/s2 (ex10.7)
となる.また,車が止まるまでにかかる時間は
2`0v0
=2 × 9 × 10
100= 1.8 s (ex10.8)
となる.
[答 10-2]
物体の加速度は ~a(t) =1m
~F (t) より
~a(t) =
~0 ; t < 1
~F03 (t − 1)(t − 2) ; 1 ≤ t < 2
~0 ; 2 ≤ t
(ex10.9)
となる.
物数 I.例 10.3
(1)
~v(t) = ~v0 +∫ t
0
~a(t′)dt′ = ~v0 , t < 1 (ex10.10)
より
~r(t) = ~r0 +∫ t
0
~v(t′)dt′ = ~r0 + ~v0 t , t < 1 (ex10.11)
となる.0 ≤ t < 1 では物体は等速度運動をすることから,直接,上の式を導いても構わない.
(2)
~v(t) = ~v(1) +∫ t
1
~a(t′)dt′ = ~v0 +~F0
3
∫ t
1
(t′ − 1)(t′ − 2)dt′ = ~v0 +~F0
3
[13(t′)3 − 3
2(t′)2 + 2t′
]t′=t
t′=1
= ~v0 +~F0
18(2t3 − 9t2 + 12t − 5
), 1 ≤ t < 2 (ex10.12)
より
~r(t) = ~r(1) +∫ t
1
~v(t′)dt′ = ~r0 + ~v0 +∫ t
1
{~v0 +
~F0
18(2(t′)3 − 9(t′)2 + 12t′ − 5
)}dt′
= ~r0 + ~v0 +
[~v0t
′ +~F0
18
((t′)4
2− 3(t′)3 + 6(t′)2 − 5t′
)]t′=t
t′=1
= ~r0 + ~v0t +~F0
36
(t4 − 6t3 + 12t2 − 10t + 3
), 1 ≤ t < 2 (ex10.13)
となる.
(3)
~v(t) = ~v(2) +∫ t
2
~a(t′)dt′ = ~v(2) = ~v0 −~F0
18, 2 ≤ t (ex10.14)
より
~r(t) = ~r(2) +∫ t
2
~v(t′)dt′ = ~r(2) + ~v(2)(t − 2) = ~r0 + 2~v0 −~F0
36+ (t − 2)
(~v0 −
~F0
18
)
= ~r0 + t~v0 −~F0
36(2t − 3) , 2 ≤ t (ex10.15)
となる.
(4) 条件
~0 = ~r(3) = ~r0 + 3~v0 −~F0
12(ex10.16)
より~F0 = 12(~r0 + 3~v0) = (36 , 36) (ex10.17)
となる.
物数 I.例 11.1
[例 11-1]
質量 m のボールを斜面上の点 O から,初速度の大きさ v0 で水平
面と θ =π
4の角度で斜面の上方に向かって投げる.重力加速度の大
きさを g とし,空気の抵抗が無視できるとする.図 11-1 に示すように,z 軸を鉛直上向きにとり,物体が z-x 平面内を運動するように x 軸を水平にとる.点 O を原点とし,斜面は z = x/3 で表わされるとする.ボールが斜面にぶつかる点A の x 座標とボールを投げ
てから斜面にぶつかるまでの時間を求めなさい。
x
O
A
図 11-1
[例 11-2]
質量 m のボールを谷底の点 O から,初速度の大きさ v0 で水平面と θ の角度 ( 0 < θ < π/2)で上方に投げる.図 11-1に示すように,z 軸を鉛直上向きにとり,ボールが x-z 平面内を運動するように x 軸を水平にとる.谷の
表面は z = ax2 (a > 0) で表わされるとする.ボールが谷の表面にぶつかる点 A の x 座標とボールを投げてから
谷にぶつかるまでの時間を求めなさい。ただし,重力加速度の大きさを g とし,空気の抵抗が無視できるとする.
x-3 -2 -1 1 2 3
0.5
1
1.5
2
2.5
3
3.5
4
O
A
図 11-1
物数 I.例 11.2
.
[答 11-1]
時刻 t = 0 にボールを投射したとする.初期条件は
~r(0) = (0 , 0 , 0) , ~v(0) =(v0 cos(θ) , 0 , v0 sin(θ)
)=
( v0√2
, 0 ,v0√2
)(ex11.1)
となり,斜面にぶつかるまでのボールの位置ベクトル ~r(t) =(x(t) , y(t) , z(t)
)は
x(t) = v0 cos(θ) t =v0√2t , y(t) = 0 , z(t) = −1
2gt2 + v0 sin(θ) t = −1
2gt2 +
v0√2
t (ex11.2)
と表される.ボールが斜面にぶつかる時刻を t1 とすると,
z(t1) =13x(t1) (ex11.3)
となっているので t1 に対する条件
−12gt21 +
v0√2
t1 =13
v0√2t1 (ex11.4)
が得られる.これよりボールが斜面にぶつかるまでの時間 t1 とその点の x 座標 x(t1)は以下となる:
t1 =2√
23
v0
g, x(t1) =
23
v20
g. (ex11.5)
[答 11-2]
時刻 t = 0 にボールを投射したとする.初期条件は
~r(0) = (0 , 0 , 0) , ~v(0) =(v0 cos(θ) , 0 , v0 sin(θ)
)(ex11.6)
となり,谷にぶつかるまでのボールの位置ベクトル ~r(t) =(x(t) , y(t) , z(t)
)は
x(t) = v0 cos(θ) t , y(t) = 0 , z(t) = −12gt2 + v0 sin(θ) t (ex11.7)
と表される.
ボールが谷にぶつかる時刻を t1 とすると,
z(t1) = ax(t1)2 (ex11.8)
となっているので t1 に対する条件
v0 sin(θ) t1 −g
2t21 = av2
0 cos2(θ) t21 (ex11.9)
が得られる.これよりボールが谷の表面にぶつかるまでの時間は
t1 =2v0 sin(θ)
g + 2av20 cos2(θ)
(ex11.10)
となる.また,点 Aの x 座標を L とすると
L = v0 cos(θ)t1 =2v2
0 sin(θ) cos(θ)g + 2av2
0 cos2(θ)=
v20 sin(2θ)
g + av20 + av2
0 cos(2θ)(ex11.11)
となる.
(参考) L を最大にする投射角度 θmax は式 (ex11.11) の θ 微分が 0 という条件
0 = 2v20
cos(2θmax)(g + av20) + av2
0(g + av2
0 + av20 cos(2θmax)
)2 (ex11.12)
を書き換えて,
cos(2θmax) = − av20
g + av20
(ex11.13)
から決まる.
物数 I.例 12.1
[例 12-1]
空気の抵抗が無視できる場合の質量 m のボールの運動を考える.図
12-1に示すように,点 O が幅 L の谷の一方の端に位置する.谷の
対岸は点 O より L だけ低い.点 O を座標系の原点にとり,z 軸を
鉛直上向きにとる.また, x 軸を点 O から崖に向かって水平に,崖に垂直にとる.点 O から,初速度の大きさ v0 で水平面と θ =
π
4の
角度にボールを投げる.ボールが谷に落ちないために必要な v0 の最
小値 vmin 求めなさい.ただし,重力加速度の大きさを g とする.
O
L
L
x
図 12-1
[例 12-2]
(1) −5 ≤ t ≤ 5 の範囲でx(t) = 2 cos
(π
2t − π
5
)(ex12.1)
のグラフの概形を描きなさい.山や谷,横軸を横切る点の t の値を書きなさい.
(2) x 軸上で原点を中心に,周期 T = π/3 で単振動を行う物体を考える.時刻 t = 0 の物体の x 座標が x(0) = 6,速度の x 成分が vx(0) = 6であった.この物体の任意の時刻 t での x 座標 x(t) を書きなさい.また,振幅を求めなさい.
物数 I.例 12.2
.
[答 12-1]
時刻 t = 0 にボールを投げるとすると,ボールの運動は崖や崖の向こう岸の地面に衝突するまでは
x(t) = v0 cos(θ) t =v0√2
t , z(t) = v0 sin(θ) t − g
2t2 =
v0√2
t − g
2t2 (ex12.2)
と表される.ボールの x 座標が L となった時刻 t1 でのボールの z 座標が −L 以上であればよい:
x(t1) = L , z(t1)ge − L . (ex12.3)
(ex12.3)の最初の方程式より得られる t1 =√
2L
v0を 2番目の不等式に代入して
v0√2
√2L
v0− g
22L2
v20
≥ −L (ex12.4)
より v0 に対する条件は
v0 ≥√
gL
2(ex12.5)
となる.つまり,ボールが谷に落ちないために必要な v0 の最小値 vmin は
vmin =
√gL
2(ex12.6)
となる.
【注】ボールの z 座標が −L となった時刻 t2 でのボールの x 座標が L 以上であるという条件
z(t2) = −L , x(t2) ≥ L (ex12.7)
を用いてもよい.(ex12.7)の最初の方程式
v0√2
t2 −g
2t22 + L = 0 (ex12.8)
より
t2 =v0√2g
(1 +
√1 +
4gL
v20
)(ex12.9)
が得られる.t2 を (ex12.7)の 2番目の不等式に代入して
v20
2g
(1 +
√1 +
4gL
v20
)≥ L (ex12.10)
より √1 +
4gL
v20
≥ 2gL
v20
− 1 (ex12.11)
が得られる.2gL
v20
> 1,つまり v20 < 2gLの場合は,不等式の両辺を 2乗して
1 +4gL
v20
ge1 − 4gL
v20
+4g2L2
v40
(ex12.12)
より,条件gL
2≤ v2
0 (< 2gL) (ex12.13)
を得る.また,2gL
v20
− 1 ≤ 0,つまり v20 ≥ 2gLの場合は,(ex12.11)は自動的に成り立つ.以上から,
v0 に対する条件は
v0 >
√gL
2(ex12.14)
となる.
物数 I.例 12.3
.
sin(α + β) = sin(α) cos(β) + cos(α) sin(β) , cos(α + β) = cos(α) cos(β) − sin(α) sin(β)
[答 12-2]
(1)
-5 -4 -3 -2 -1 1 2 3 4 5
-2
-1
1
2
t
( )x t
山の位置はπ
2t − π
5= 2πn より t = 4n +
25
= 4n + 0.4 , n = 0 , ±1 , ±2 · · · (ex12.15)
を満たす t となる.従って,t = −3.6 , 0.4 , 4.4 となる.
谷の位置はπ
2t − π
5= π(2n + 1) より t = 2(2n + 1) +
25
= 4n + 2.4 , n = 0 , ±1 , ±2 · · · (ex12.16)
を満たす t となる.従って,t = −1.6 , 2.4 となる.
x(t) = 0となるのはπ
2t − π
5=
π
2+ πn より t = 2n +
75
= 2n + 1.4 , n = 0 , ±1 , ±2 · · · (ex12.17)
を満たす t となる.従って,t = −4.6 , −2.6 , −0.6 , 1.4 , 3.4 となる.
(2) 角振動数 ωは
ω =2π
T= 6 (ex12.18)
となる.
x(t) = A cos(ωt) + B sin(ωt) = A cos(6t) + B sin(6t) (ex12.19)
とおいて,A , B を求める.
x(0) = A = 6 , vx(0) = 6B = 6 (ex12.20)
より A = 6 , B = 1となる.従ってx(t) = 6 cos(6t) + sin(6t) (ex12.21)
となる.単振動の振幅 R は
R =√
A2 + B2 =√
37 (ex12.22)
となる.
【注】
x(t) = R cos(ωt + φ
)= R cos
(6t + φ
)(ex12.23)
という式から出発してもよい.条件
x(0) = R cos(φ) = 6 , vx(0) = −6R sin(φ) = 6 (ex12.24)
より R =√
37 が得られる.初期位相 φ は
cos(φ) =6√37
, sin(φ) = − 1√37
, 0 ≤ φ < 2π (ex12.25)
より定まる.
物数 I.例 13.1
[例 13-1]
x,y 軸方向にそれぞれ単振動をしてる物体の座標が
x(t) = 4 cos(2t) , y(t) = 4 cos(ω2t + φ2) (ex13.1)
で表されている.ω2(> 0)φ2は定数である.図 13-1にこの物体の軌道が描かれている.物体は A→B→C→D→E→F→G→H→E →I→C→J→Aの順に動く.点Aの座標は (4, 2),点Cの座標は (−2,−2),点Eの座標は (−2, 2),点 Gの座標は (4,−2) である.このとき,ω2 と φ2 を求めなさい.
-4 -2 2 4
-4
-2
2
4
x
y
A
B
C
DE
F
G
H
I
J
図 13-1
[例 13-2]
(1) xy 平面内で, 原点を中心として半径 5 で反時計回りに速度の大きさ 3 で等速円運動をする物体を考える。時刻 t = 0 の物体の位置ベクトルが ~r(0) =
(0 , 5 , 0
)であるとき任意の時刻 t の物体の位置ベクトルを書き
表しなさい。
(2) xy 平面上で原点を中心に,反時計回りに等速円運動を行う物体を考える.時刻 t = 0 の物体の座標が~r(0) =
(5 , 3 , 0
),時刻 t = 3 の物体の座標が ~r(3) =
(− 3 , 5 , 0
)である場合に,この物体の任意の時刻 t
での位置ベクトル ~r(t) を書きなさい.ただし,物体の速度の大きさが最も小さい場合について求めること.
物数 I.例 13.2
[答 13-1]
2 = y(0) = 4 cos(φ2) , すなわち cos(φ2) =12
(ex13.2)
より φ2 = ±π
3となる.図 13-1より点 Aで速度の y 成分は負となるが,
vy(0) =dy(t)dt
∣∣∣∣t=0
= −4ω2 sin(ω2t + φ2)|t=0 = −4ω2 sin(φ2) < 0 (ex13.3)
なので φ2 =π
3となる.
次に,物体が点 Cを通る時刻を t1 とすると,
−2 = x(t1) = 4 cos(2t1) より cos(2t1) = −12
(ex13.4)
となる.x(t)は 0 < t < t1 で単調に減少しているので,
2t1 =π
2+
π
6=
2π
3より t1 =
π
3(ex13.5)
となる.一方,
−2 = y(t1) = 4 cos(ω2t1 +
π
3
)より cos
(ω2t1 +
π
3
)= −1
2(ex13.6)
となる.0 < t < t1 で y(t) は一度,最小値 -4 まで減少した後,再び増加して -2 になっているので,
ω2t1 +π
3= π +
π
3より ω2t1 = π (ex13.7)
となる.(ex13.5)と (ex13.7)より ω2 = 3となる.
以上から
y(t) = 4 cos(3t +
π
3
)(ex13.8)
であることがわかる.
【注】 ω2 は次のように考えて求めてもよい:
物体が点 Aから再び点 Aに戻るまでの時間を T とする.この間に x 方向には 2回振動するので
2T = 2 × 2π = 4π すなわち T = 2π (ex13.9)
であることがわかる。一方,この間に y 方向には 3回振動するので
ω2T = 3 × 2π = 6π より ω2 =6π
T= 3 (ex13.10)
であることがわかる。
物数 I.例 13.3
(参考)
ω2
ω1が無理数の場合は軌道は閉じずに,長方形の領域を埋め尽くす。下の図は
x(t) = 4 cos(2t) , y(t) = 4 cos(√
9.1 t +π
3
)(ex13.1)
に対する軌道を示す.
-4 -2 2 4
-4
-2
2
4
x
y
0 ≤ t ≤ 6π
図 13-2
x-4 -2 2 4
-4
-2
2
4
y
0 ≤ t ≤ 20π
図 13-3
x-4 -2 2 4
-4
-2
2
4
y
0 ≤ t ≤ 50π
図 13-4
物数 I.例 13.4
[答 13-2]
(1) xy 平面内で原点を中心として半径 5 で等速円運動を行う物体の位置ベクトルは
~r(t) =(5 cos(ωt + φ) , 5 sin(ωt + φ) , 0
)(ex13.1)
と書き表せる。ここで ω は角速度,φ は初期位相 (時刻 t = 0 における位相)を表す。半径 5 の円の円周の
長さは 10π であり,物体の速度の大きさは 3 なので,物体が円を一周する時間 (周期) T は T =103
π とな
る。角速度 ω と周期 T の関係 T =2π
ωより ω =
35となる。また,
~r(0) =(5 cos(φ) , 5 sin(φ) , 0
)=
(0 , 5 , 0
)(ex13.2)
より,cos(φ) = 0 , sin(φ) = 1,従って φ =π
2であることがわかる。以上より以下が得られる;
~r(t) =(
5 cos(3
5t +
π
2
), 5 sin
(35t +
π
2
), 0
)=
(−5 sin
(35t)
, 3 cos(3
5t)
, 0)
(ex13.3)
【注】速度の大きさと角速度との関係 |~v| = 5ω = 3 より ω =3
5を求めてもよい。
(2)~r(t) = R
(cos(ωt + φ) , sin(ωt + φ) , 0
)(ex13.4)
の,R , ω , φ を条件より決める.
~r(0) = R(
cos(φ) , sin(φ) , 0)
=(5 , 3 , 0
)(ex13.5)
より
R =√
52 + 32 =√
34 , cos(φ) =5√34
, sin(φ) =3√34
(ex13.6)
となるので,
~r(t) = R(
cos(ωt + φ) , sin(ωt + φ) , 0)
=√
34(
cos(ωt) cos(φ) − sin(ωt) sin(φ) , sin(ωt) cos(φ) + cos(ωt) sin(φ) , 0)
=(5 cos(ωt) − 3 sin(ωt) , 5 sin(ωt) + 3 cos(ωt) , 0
)(ex13.7)
であることがわかる.また,
~r(3) =(5 cos(3ω) − 3 sin(3ω) , 5 sin(3ω) + 2 cos(3ω) , 0
)=
(− 3 , 5 , 0
)(ex13.8)
なので
cos(3ω) = 0 , sin(3ω) = 1 (ex13.9)
が得られる.これより
3ω =π
2+ 2πn , n = 0,±1,±2, · · · (ex13.10)
となるが,物体の速度の大きさ |Rω|が最小という条件より ω =π
6となる。以上より
~r(t) =(5 cos
(π
6t)− 3 sin
(π
6t)
, 5 sin(π
6t)
+ 3 cos(π
6t)
, 0)
(ex13.11)
が得られる.