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February 2009 Computerworld 5

Features 特集特別䌁画

仮想化テクノロゞヌはただただ進化する仮想化テクノロゞヌが克服すべき3぀の課題運甚管理方法は サポヌト䜓制は 仮想化ベンダヌ遞定の基準は宇野俊倫

これから必芁な仮想化テクノロゞヌはこれだ仮想化゜フト倧手3瀟が語る「仮想化の今、そしお未来」線集郚

5぀のキヌワヌドでトレンドを぀かむ

ストレヌゞデヌタ保護の戊略ず実践癟瀬 厇

䌁業のストレヌゞ戊略を決める5぀のキヌワヌド「䞀歩先ゆく」ストレヌゞ・ベンダヌ4瀟の取り組み

゚ンタヌプラむズ垂堎に新颚を吹き蟌む

泚目のオヌプン゜ヌス䌁業10瀟ゞョン・フォンタナ

HotTopicsホット・トピックス

クラりドぞず舵を切ったマむクロ゜フトが「Azure」で狙うものレむ・オゞヌ氏が語る「Windows進化論」に、そのヒントが  ゚リザベス・モンタルバヌノ

セヌルスフォヌスが描くクラりド・コンピュヌティングの姿フェヌスブックアマゟンず連携し、クラりド・゚コシステムの確立を目指す線集郚

APCが掲げる「゚ネルギヌ消費効率化」の秘策「APC Day」で、デヌタセンタヌ効率化のための新たなアプロヌチを提瀺

線集郚

特集

Part1

Part2

発行・発売 株IDGゞャパン 〒113-0033 東京郜文京区本郷3-4-5TEL:03-5800-2661販売掚進郚 © 株匏䌚瀟 アむ・ディ・ゞヌ・ゞャパン

月刊コンピュヌタワヌルド

䞖界各囜のComputerworldず提携

TM

2009幎2月号

  2contentsFebruary2009Vol.6No.63

36

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42

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特別䌁画 1

トレンド線

ベンダヌ線

特別䌁画 2

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February 2009 Computerworld 7

News&Topicsニュヌストピックス   18

Interview線集長むンタビュヌ

チェック・ポむント䌚長兌CEO ギル・シュ゚ッド氏

「単䞀゚ヌゞェントでセキュリティ管理を簡玠化する」

ViewPointビュヌ・ポむント

RFIDタグセンサヌ情報の“ハブ”を目指す「ID情報統合技術」

山口 孊

RunningArticles連茉

远跡! ネットワヌク・セキュリティ24第2回

キャンペヌン・サむトで顧客情報が倧量挏掩山矜 六

アタッカヌズ・ファむル──ネットに朜む脅嚁第2回

2008幎版悪質なWebサむト䞖界地図シェヌン・キヌツ

ITキャリア解䜓新曞第11回

ITプロ開発者向けトレヌナヌ暪山哲也

ギョヌカむ人のためのIT法埋講座第2回

違法有害情報ず法芏制森 亮二

「フリヌ゜フトサヌビス」レビュヌ第2回

遠隔地からのデスクトップ操䜜を可胜にする「RealVNC」

杉山貎章

Informationむンフォメヌション

今月の ──泚目のホワむトペヌパヌ

バックナンバヌのご案内

おすすめBOOKS

読者プレれント

次号予告AD.INDEX

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contents2

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「第3の局」をタヌゲットに定める

――Azureは開発プラットフォヌムであるず同時に、マ

むクロ゜フトのアプリケヌションを、Web䞊で利甚でき

るようにするずいう圹割も担っおいる。この2぀の甚途

を持った Azureを発衚した背景を教えおいただきた

い。

 われわれは自瀟の知的財産を意識し぀぀、珟圚の

トレンドに着目した。人々はスケヌラビリティの高いむンタヌ

ネット・サヌビスを提䟛できるマむクロ゜フトのシステムに、

倧きな関心を寄せ始めおいるようだ。そこでわれわれ

は、新たなコンピュヌタ、すなわちクラりド䞊のコンピュヌ

タの出番だず刀断したわけだ。この刀断は、われわれ

の䞀倧決心を衚したものだず蚀える。

――クラりド・コンピュヌティングが“出番”を迎えたず刀

断したのは、い぀ごろのこずか。

 私が芚えおいるかぎりでは、クラりド・コンピュヌティ

ングに関しお最初に文曞を曞いたのは2005幎12月

のこずだ。そしお2006幎には、1幎間を通しおクラりド・

コンピュヌティングに぀いおの話し合いを重ねおきた。

 ちなみに、同分野におけるアマゟン・ドットコムの取り

組みには、個人的には深い敬意を払っおいる。しかし

PDC 2008の基調講挔で、Windows Azureを発衚するマむクロ゜フトのCSA、レむ・オゞヌ氏

Computerworld February 20098

2008幎10月に米囜マむクロ゜フトが開催した「Professional Developers ConferencePDC」の目玉は、䜕ず蚀っおもむンフラストラクチャ䞊でサヌビスを開発・運甚できるクラりド・コンピュヌティング・プラットフォヌム「Windows Azure」以䞋、Azureであった。PDCの基調講挔で、Azureを発衚したのが、同プラットフォヌムの生みの芪であり、同瀟のチヌフ・゜フトりェア・アヌキテクト

CSAでもあるレむ・オゞヌ氏であったずころにも、マむクロ゜フトのAzureにかける期埅の倧きさがうかがえる。ビル・ゲむツ氏の跡を継いで、マむクロ゜フトの屋台骚であるWindowsの開発の指揮を執るオゞヌ氏に、あらためおAzureやクラりド・コンピュヌティングに察する考え方、そしおWindows OSの未来に関する思いを聞いた。

゚リザベス・モンタルバヌノIDG News Serviceニュヌペヌク支局

クラりドぞず舵を切ったマむクロ゜フトが「Azure」で狙うものチヌフ・゜フトりェア・アヌキテクト、レむ・オゞヌ氏が語る「Windows進化論」に、そのヒントが  

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れかがあなたにボヌルを投げたずする。ボヌルが1぀で

あれば簡単にキャッチできるはずだ。さらに続けお2぀

目、3぀目ず投げられおきたずしおも、頑匵れば受け止

めるこずができるだろう。

 ここで蚀うボヌルは「タスク」であり、あなたはコンピュ

ヌタに盞圓する。そしおボヌルを1぀受け取るこずは、

われわれの業界で蚀う「スケヌル・アップ」に盞圓する

ず考えおいただきたい。さお、それでは盞手が100個の

ボヌルを投げおきたら、どうなるだろうか。

――1人で察凊するのは無理でしょうね。

 そのずおり。スケヌル・アップをするにも限界がある。

しかし、100個のボヌルを投げられおも受け取る偎がグ

ルヌプであれば、察応するこずは可胜だ。䞇が䞀、だ

れかがボヌルを萜ずしたずしおもほかの人がフォロヌす

れば、萜ずした人は䜜業を続けられる。この状態が、い

わゆる「スケヌル・アりト」だ。これはすなわち、凊理す

べきタスクが増えるたびに、凊理を受け持぀ものを远加

するこずで、すべおを機胜させるずいうやり方だ。

 われわれが䌁業向けに開発しおきたシステムは、たさ

に「スケヌル・アップ・モデル」ず呌ぶべきものだった。぀

たり、倚くの䌁業を察象ずするために倚くのタスクを扱え

るシステムを開発し、それを凊理できるだけのハヌドりェ

アを远加しお芏暡を拡倧しおいくずいうモデルだったの

だ。しかし、こうしたモデルはいずれは行き詰たる。䟋え

ば、「Notes」や「Exchange」ずいった補品は、このよう

にスケヌル・アップに次ぐスケヌル・アップを重ねおきた

ずいう歎史を持っおいる。

 䞀方、Hotmailは䜕億人ものナヌザヌが利甚するこ

ずを想定しお開発されおいるが、スケヌル・アップ・モデ

ルずは完党に反察の道筋をたどっおきた。今埌、われ

われはExchangeのような゚ンタヌプラむズ・アプリケヌシ

ョンにHotmailのようなモデル――より広範なナヌザヌ

を察象に間口を広げるよう䜜り替えおいくプロセス――

を適甚しおいく考えだ。

――぀たり、Azureは耇数の異なるタスクを凊理する

アプリケヌションではなく、アプリケヌションの芁求に

応じられるハヌドりェアを蚭蚈するこずのほうに重点を

眮いたものだずいうこずか。

 そのずおりだ。耇数のボヌルを1人で凊理するアプリ

ながら、圌らの取り組みは、既存のOSを利甚しお、そ

れらをクラりドに察応させるホスティング・モデルを基本ず

しおおり、われわれの取り組みずはあたり重ならない。

 いずれにせよ、マむクロ゜フトは、クラりド䞊のコンピュ

ヌタずいう“第3の局”が重芁な圹割を担うに至ったず

刀断した。“局”ずは抂念的なものであり、パヌ゜ナル・

コンピュヌタPCが第1の局、䌁業向けのWindowsサ

ヌバが第2の局、䞖界䞭のWebに向けたクラりド・コン

ピュヌタが第3の局であるず考えおいただきたい。

――Azureプロゞェクトで、最初に行ったこずは䜕か。

 われわれが最初にやらなければならなかったのは、

Azureが開発者にどのような倉化をもたらし、長期的な

スパンにおいお䌁業にどういった利益をもたらすのかを

把握するこずだった。そういうずころから始めたので、

Azureのプロゞェクトを遂行するために数幎もの歳月が

必芁だったわけだ。

 たた、同プラットフォヌムを介しおマむクロ゜フトのビゞネ

ス・アプリケヌションをオンラむンで提䟛したり、Webメヌ

ル・サヌビスの「Hotmail」をはじめずするコンシュヌマヌ

向けのアプリケヌションず連携させたりする方法も、

Azureプロゞェクトの䞭で怜蚎しなければならなかった。

 だが、Windowsもクラりド䞊で展開しようず方向性を

決めおからは、マむクロ゜フトの瀟内のみでAPI

Application Programming Interfaceを開発しお

各郚門に提䟛するよりも、瀟倖の人々にAPIを開攟す

るこずで、倚くの開発者がさたざたな“䟡倀”を生み出す

こずを期埅したほうがいいずいう流れになった。

 この流れは、必ずや、われわれのアプリケヌション開

発の効率化に貢献しおくれるこずになるはずだ。瀟内

で埗られるフィヌドバックにずどたらず、瀟倖の人々から

公平な意芋を提䟛しおもらうこずで、われわれは自分た

ちの開発成果を客芳芖できるようになるだろう。

「スケヌル・アップ・モデル」の限界

――぀たり、Azureは、単に䜕かをクラりド䞊ぞ移行さ

せるためだけの補品ではないず  。

 私が䌝えたかったポむントはそこではない。

 わかりやすくするために、䟋を挙げお説明しよう。だ

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Computerworld February 200910

ケヌションを蚭蚈するのではなく、耇数のボヌルを耇数

のコンピュヌタで凊理するプログラムを䜜成するこずを目

的ずしおいる。

Windowsは氞遠か

――今回のむンタビュヌに先立っお耇数のAzureナヌ

ザヌテスタヌに話を聞いおみたが、圌らは、アプリケ

ヌション・ホスティング・プラットフォヌムの長所ずしお、

アプリケヌションを皌働させるのにデスクトップOSに

䟝存せずに枈む点や、互換性を気にしなくおもよい点

などを挙げおいた。だが、Windows OSはマむクロ゜

フトのビゞネスの䞭栞を担っおいるはずだ。アプリケヌ

ション・ホスティング・プラットフォヌムが浞透すれば、そ

のWindows OSの存圚が脅かされるこずになるので

はないか。だずすれば、Windows 7以降、Windows

OSはどのように進化しおいくのか。

 その質問に答えるにあたっおは、いく぀かの事柄を

分けお考える必芁がある。たず、あなたの蚀うAzureナ

ヌザヌが話しおいたのは、クラりド䞊にあるコンピュヌタ

のこずだ。Azure自䜓は、クラりド・コンピュヌタ䞊で動く

ものずデバむスPCずを盎接結び぀けるようなこずはし

ない。

 人々がPCを賌入するのは、それが圹に立぀から

だ。PCのデザむンや利甚できる機胜、そしおその䞊で

利甚できるアプリケヌションに魅力を感じるからPCを賌

入するわけだ。

 もちろん、将来的には、なんらかの方法でクラりド・コ

ンピュヌタずPCずの連携を実珟する、盞互接続サヌビ

スのようなものが登堎するこずになろう。

 それでもコンシュヌマヌはさたざたな理由――䟋えば

䟡栌が手ごろだずか、機胜性に富んでいるずか――で

PCを賌入する。今埌、Windowsが、Windows 7、

Windows 8、Windows 9ず展開しおいくかどうかは未

定だが、PC分野におけるハヌドりェアの技術革新ずOS

ずが足䞊みをそろえお進化しおいくかぎり、Windows

OSがビゞネスずしお廃れるこずはあるたい。

――マむクロ゜フトはWebサヌビス分野ではグヌグル

ず、デスクトップOS分野ではオヌプン゜ヌスず競合し

おいる。圌らに打ち勝぀ための䜜戊を聞きたい。

 競争盞手はほかにもたくさんいる。䟋えばビゞネス・

アプリケヌション垂堎では、SAPやセヌルスフォヌス・ドッ

トコムもラむバルだ。

 オヌプン゜ヌスに関しお蚀えば、その登堎は確かに

衝撃的だった。OSが無料配垃されるこずで人々が゜

フトりェアに䟡倀を芋いださなくなる可胜性があるずいう

点で、オヌプン゜ヌスは埓来のシステムに倧きな脅嚁を

䞎えたず蚀える。

 しかしながら、結局、そうした状況には至らなかった。

オヌプン゜ヌスを導入した䌁業が、自らのシステムにわ

れわれのシステムを統合せざるをえない状況を生み出

したこずで、圓瀟のシステムに察する需芁がむしろ高た

ったからだ。぀たり、オヌプン゜ヌスの登堎はマむクロ゜フ

トにずっおはチャンスだったず蚀えるのかもしれない。脅

嚁どころか、奜機だったわけだ。

 次にグヌグルに関しおだが、圌らは本圓にわれわれ

の敵なのだろうか。もちろんマむクロ゜フト瀟内にグヌグ

ルを敵芖しおいる者がいるこずは吊定しない。しかしな

がら、グヌグルがコンシュヌマヌずコンシュヌマヌ・サヌビ

スに焊点を絞っおいるかぎり、さらにはわれわれが今た

で築き䞊げおきた実瞟におごるこずなく補品開発に力を

泚いでいるかぎり、われわれはこれからも珟圚の地䜍

を倱うこずはないず確信しおいる。

ネットワヌク・ナヌザヌだけがWindowsナヌザヌではない

――以前はWindows OSの䞀郚だった耇数のアプリ

ケヌションを、Windows 7以降はオンラむン・サヌビス

「Windows Live」経由で提䟛するこずになるず聞いお

いる。この流れが加速すれば、将来的にOSは倚皮倚

様なオンラむンサヌビスを管理するだけの圹割しか

持たないようになるず芋る向きも少なくない。今埌、

図1マむクロ゜フトが瀺すAzureサヌビス・プラットフォヌムの構成

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February 2009 Computerworld 11

 Windows OSには、賌入した時点で、ブラりザや

「Windows Update」ずいった基本的なWeb接続機胜

が備わっおいる。ただし、これらの機胜はブロヌドバンド

の利甚を前提ずしおいるナヌザヌのためのものだ。しか

しながら、珟時点ではただ、充実したむンタヌネット接続

サヌビスを利甚できないナヌザヌがWindowsを賌入し

おいるずいったケヌスもたくさんある。こうした珟状を考

慮すれば、むンタヌネット利甚を前提ずした機胜の搭茉

は、ある皋床制限する必芁があろう。

 このように、あらゆる環境のナヌザヌに察応できるか

らこそ、自前のネットワヌクを有しおいる政府機関も、むン

タヌネット接続が敎っおいない地域の人も、等しく

Windowsナヌザヌになりうるのだ。むンタヌネットが利甚

できない環境でもWindows OSが掻甚されおいるこず

を、忘れおはならない。

 われわれは今埌、Windows OSを存分に掻甚しお

もらうために、むンタヌネットを介しおさたざたな機胜を配

信しおいく予定だ。WindowsのAPIを幅広く開攟する

こずで、倚くの開発者がさたざたなツヌルを開発できるよ

うになるだろう。そしお、それらのツヌルをシェルに組み

蟌んで、あたかもWindows暙準の゚クステンションのよ

うに利甚できるようにもなるはずだ。

Windows OSはどのような倉化を遂げるのか。

 OSがサヌビスを管理する環境ぞず倉化するずいう

芖点は、なかなか興味深い。ずもあれ、たずは最初の

質問から答えおいこう。

 Windows 7から耇数のアプリケヌションを“取り陀い

た”のは、アプリケヌションにもサヌビス・コンポヌネントや

゜フトりェア・コンポヌネントがあったほうがよいず刀断した

からだ。

 たた、アプリケヌションをサヌビスずしお提䟛し、そのサ

ヌビスをアップグレヌドするず同時に該圓する゜フトりェア

コンポヌネントもアップデヌトするようにしたほうが、

「Movie Maker」や「Photo Gallery」ずいった特定の

アプリケヌションをパッケヌゞ化するためには䟿利だず考

えた。今埌もこうした圢態のアプリケヌションを増やしお

いく蚈画だ。

 コアずなるOSに぀いおは、PCの皮類が倚岐にわた

っおおり、デバむスの技術革新が珟圚進行圢で起きお

いるずいう点に泚目しおいただきたい。

 デバむス䞊のOSは、そのデバむスが最倧限の䟡倀を

発揮できるように䜜られおいる。こうしたデバむスにおけ

るむノベヌションには、今埌も倧いに期埅しおよいだろう。

むンタビュヌで“Windows進化論”を熱く語るレむ・オゞヌ氏

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9,000名以䞊が参加し過去最倧芏暡を蚘録

 今回で6回目を迎えたセヌルスフォヌス・ドットコム䞻

催の幎次ナヌザヌディベロッパヌ・コンファレンス

「Dreamforce」。SaaSSoftware as a Serviceずい

うアプリケヌションの利甚圢態が䞀般化し、その代衚的

なプロバむダヌずしおセヌルスフォヌスぞの泚目床が高た

るに぀れお、同コンファレンスも幎々芏暡を拡倧しおき

た。参加者数で芋るず、今回は40カ囜から9,000名以

䞊が参加し、前回の7,000名を倧きく䞊回っおいる。

 今回、モスコヌン・コンベンション・センタヌに足を運ん

Computerworld February 200912

2008幎11月2日〜5日米囜時間の4日間、米囜カリフォルニア州サンフランシスコのモスコヌニ・コンベンション・センタヌで、米囜セヌルスフォヌス・ドットコムの幎次ナヌザヌディベロッパヌ・コンファレンス「Dreamforce 2008」が開催された。本皿では、セヌルスフォヌスの䌚長兌CEO、マヌク・ベニオフ氏の基調講挔を䞭心に、同コンファレンスの暡様をリポヌトする。

Computerworld線集郚

セヌルスフォヌスが描くクラりド・コンピュヌティングの姿フェヌスブックアマゟンず連携し、クラりド・゚コシステムの確立を目指す   

だ参加者が最初に驚かされたのは、セヌルスフォヌス

が同センタヌに斜した装食が前回たでずは倧きく倉化し

たこずだろう。埓来は同瀟のコヌポレヌト・カラヌである

赀を基調にしおいたが、今回は䞀倉しお青い背景に

癜い雲の暡様があしらわれたものに倉わっおいたので

ある。

 2007幎の終わりごろからセヌルスフォヌスはクラりド・

コンピュヌティングずいう蚀葉を積極的に䜿うようになり、

クラりド・コンピュヌティング領域におけるリヌダヌ的存圚

であるこずを積極的にアピヌルしおきた。今回のコンファ

レンス䌚堎の“倉化”からも、クラりドに察する同瀟の意

気蟌みの匷さを垣間芋るこずができる。

Dreamforce 2008リポヌト

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February 2009 Computerworld 13

私にずっお本圓にうれしいニュヌスだ。だが、ベンダヌが

1瀟しか存圚しないクラりド・゚コシステムが必芁ずされ

おいるのだろうか」ず、マむクロ゜フトの動きを牜制した。

フェヌスブックらず築くクラりド・゚コシステム

 1瀟のサヌビスで賄うのではなく、「ナヌザヌがさたざ

たなベンダヌのものを組み合わせ、自瀟にずっお最適な

クラりドを䜜れるようにするべき」ベニオフ氏ずいうの

が、セヌルスフォヌスが考えるクラりド・コンピュヌティング

の理想圢である。

 こうした考えに基づき、ベニオフ氏が今回の基調講

挔で発衚したのは、SNSサヌビス「Facebook」および

クラりド・コンピュヌティング・サヌビス「Amazon Web

Services」のそれぞれず、Salesforceアプリケヌション

ずの連携を可胜にするForce.comの新機胜だ。同氏

は、アマゟンやフェヌスブック、そしおすでに提携関係

にあるグヌグルを、自瀟同様、クラりド・コンピュヌティン

グのリヌダヌ的䌁業ず䜍眮づけ、それらの䌁業が䜜る

゚コシステムこそ、ナヌザヌに本圓のメリットをもたらすク

ラりド・サヌビスになるずアピヌルした。

 今回発衚された新機胜は、フェヌスブックおよびアマ

ゟンずの協力の䞋に開発された。それぞれ「Force.

com for Facebook」「Force.com for Amazon Web

Services」ずいう名称で提䟛される。

 Force.com for Facebookは、Salesforceアプリケ

ヌションからFacebook䞊のサヌビスを利甚したり、

Salesforceの機胜をFacebookに提䟛したりするこずを

可胜にする機胜。Force.comナヌザヌには無償で提

䟛される。

 Force.com for Facebookを利甚するこずで、「Face

book䞊の人の぀ながりを掻甚する゚ンタヌプラむズ・゜

ヌシャル・アプリケヌションを開発できるようになる」ずベ

ニオフ氏は語り、その䞀䟋ずしお、Facebook䞊での採

甚掻動状況をSalesforce偎で管理するアプリケヌショ

ンのデモを行った14ペヌゞの写真2。

 たた、フェヌスブックでCOO最高執行責任者を務

めるシェリル・サンドバヌグ氏がゲストずしお登壇し、For

ce.com for Facebookぞの期埅感を衚明した。「セヌ

ルスフォヌス補品ず連携するこずで、Facebookの朜圚

的な胜力を匕き出せるようになるず考えおいる。今回の

連携によっお、Facebookは、これたでにないかたちで

マむクロ゜フトの「Azure」を牜制

 毎幎秋ごろに開催されるDreamforceでは、オンデ

マンド・アプリケヌション「Salesforce」の新バヌゞョンずず

もに、セヌルスフォヌスの今埌の方向性を瀺す新たなテ

クノロゞヌやコンセプトが披露されるこずが恒䟋ずなっお

いる。

 前回のDreamforceでも、それたで「Apex」ず呌ば

れおいたオンデマンド開発プラットフォヌムに「Force.

com」ずいう新名称を䞎えるこずが発衚された。これによ

っおセヌルスフォヌスは、「PaaSPlatform as a Serv

iceサヌビスずしおのプラットフォヌム」ベンダヌずしおの

偎面を匷く打ち出し、オンデマンド提䟛の範疇をアプリ

開発の領域たで拡匵するずいう方向性を匷調する栌

奜ずなった。

 クラりド・コンピュヌティング・サヌビス・プロバむダヌず

しおの偎面を匷調するセヌルスフォヌスの最近の動きを

芋れば、クラりドずいう新たなITの朮流に倧きなむンパ

クトを䞎える発衚が、今回のDreamforceの1぀の目玉

であろうこずは容易に想像が぀く。実際、開催2日目ず

なる11月3日に基調講挔のために登壇した䌚長兌

CEOのマヌク・ベニオフ氏は、同瀟がクラりド・コンピュ

ヌティング垂堎を牜匕するリヌダヌ的䌁業であるこずを

匷調するずずもに、この垂堎が急速に拡倧し぀぀ある

珟状に぀いお述べた写真1。

 その䞭でベニオフ氏は、Dreamforce開幕の1週間

前にマむクロ゜フトが発衚したクラりド・コンピュヌティング・

プラットフォヌム「Azure」に蚀及し、「マむクロ゜フトがク

ラりド・コンピュヌティングに取り組むず発衚したこずは、

写真1セヌルスフォヌスの䌚長兌CEO、マヌク・ベニオフ氏

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Computerworld February 200914

䜿われるこずになるだろう。そこからは、われわれが思

い぀かないようなアむデアが生たれおくるはずだ」サン

ドバヌグ氏

 䞀方、Force.com for Amazon Web Servicesは、

仮想サヌバ・レンタル・サヌビス「Amazon Elastic Com

pute CloudEC2」やオンラむン・ストレヌゞ・サヌビス

「Amazon Simple Storage ServiceS3」をForce.

comアプリケヌションから利甚できるようにする機胜。こ

の機胜に぀いおベニオフ氏は、「Force.comのクラりド

ずアマゟンのクラりドずを組み合わせるこずで、開発者は

さたざたなメリットを享受できる」ず語った。

 ベニオフ氏はこのほか、Force.comで開発したWeb

サむトやWebアプリケヌションを倖郚に公開できるように

する新サヌビス「Force.com Sites」も発衚した。Force.

comで開発されたアプリケヌションは、これたでは基本

的にSalesforceナヌザヌのみが利甚可胜だったが、

Force.com Sitesが远加されたこずで、Salesforceナ

ヌザヌ以倖にも提䟛可胜なWebサむトWebアプリケ

ヌションを開発できるようになる。Force.com Sitesは

珟圚、開発者向けの有料プレビュヌ段階にあり、2009

幎䞭には䞀般提䟛が開始されるずいう。

Apexネヌティブ・アプリの増加で党ビゞネスをクラりドに包含

 基調講挔でベニオフ氏は、オンデマンド・アプリケヌシ

ョン共有サむト「AppExchange」の珟状に぀いおも蚀及

し、同サむトぞの登録アプリケヌション数が順調に䌞び

おいるこずをアピヌルした。

 AppExchangeは、セヌルスフォヌスのパヌトナヌやナ

ヌザヌが開発したオンデマンド・アプリケヌションを、ほか

のナヌザヌが利甚できるように公開するサヌビスで、

2005幎のDreamforceで発衚された。以来、さたざた

なアプリケヌションが登録され、珟圚の登録アプリケヌシ

ョン数は800を超えおいる。

 そうしたAppExchange登録アプリケヌションのうち、

Force.comのプログラミング蚀語「Apex」で開発された

ものを、同瀟では「ネヌティブ・アプリケヌション」ず呌ん

でいる。ベニオフ氏は、このネヌティブ・アプリケヌション

が増加しおいるこずを特に匷調したうえで、富士通の党

額出資子䌚瀟であるグロヌビアむンタヌナショナルの

ERP補品がネヌティブ・アプリケヌションずしおApp

Exchangeに登録されたこずを玹介した。

 “Glovia”ずいう瀟名が瀺すように、グロヌビアむンタ

ヌナショナルは富士通の「GLOVIA」の流れを匕く

ERPを提䟛しおいる。このたび提䟛が開始されたの

は、商品の販売、芋積もり、圚庫管理、発送、請求

曞発行ずいった販売管理に必芁ずなる機胜を備えた

「glovia.com Order Management」である。

 「こうした財務系アプリケヌションたでもが、クラりド・コ

ンピュヌティング・モデルで提䟛されるようになった。䌁

業のすべおのビゞネスをクラりドで動かすこずが可胜に

なり぀぀あるのだ」ベニオフ氏

「Salesforceで顧客の声に耳を傟ける」──デル氏

 ベニオフ氏は、開催3日目ずなる11月4日の基調講

挔にも登壇し、叞䌚進行圹を務めた。前日の講挔で

同氏が「今日はプラットフォヌムの話をする。アプリケヌシ

ョンに぀いおは明日話したい」ず述べたずおり、4日の基

調講挔ではSalesforceアプリケヌションに関する話題

が䞭心ずなった。

 Salesforceの新バヌゞョン「Winter '09」に぀いお

は、セヌルスフォヌスでマヌケティングアプリケヌション

教育担圓䞊玚副瀟長を務めるゞョヌゞ・フヌ氏が詳

现を説明した写真3。

 Winter '09は27回目のメゞャヌ・バヌゞョンアップに

圓たり、今回は50以䞊の新機胜が远加されおいるずい

う。「われわれは顧客の声に耳を傟けおSalesforceア

プリケヌションの機胜を拡匵しおきた。今回の新機胜も

皆さんからむンスピレヌションを受けたものだ」ずフヌ氏は

語り、ナヌザヌからの芁望を基にアプリケヌションを拡

写真2「Force.com for Facebook」のデモンストレヌション。写真䞭倮がフェヌスブックのCOO、シェリル・サンドバヌグ氏

Page 13: Computerworld.JP Feb, 2009

February 2009 Computerworld 15

匵するずいう同瀟の姿勢をあらためお匷調した。

 たた、この基調講挔では、Salesforceナヌザヌずし

おデルから䌚長兌CEOマむケル・デル氏写真 4ずず

もに数名の業務担圓者が登壇し、同瀟におけるSales

forceの掻甚状況を玹介した。圌らの話によるず、デル

は珟圚、埓来の盎販䜓制に加え、パヌトナヌ経由での

販売䜓制を匷化しおおり、その掻動の䞭でSalesforce

を掻甚しおいるずいう。

 最埌に登壇したデル氏は、各担圓者の講挔内容を

螏たえたうえで、「圓瀟はコンピュヌタや関連機噚の盎

販で成功しおいる䌁業であり、顧客の声を聞くずいう

姿勢が DNAに刻み蟌たれおいる。この姿勢を、

Salesforceを䜿っおさらに匷化するこずができた」ず

Salesforceを称賛した。

    

 “クラりド䞀色”──Dreamforce 2008の印象を䞀

蚀でたずめるず、こうなる。クラりドずいう蚀葉が認知さ

れ始めたのは最近のこずであり、セヌルスフォヌスがこ

の蚀葉を䜿い出したのもここ1幎ほど前からのこずにす

ぎない。だが、実はそれ以前にも、同瀟には“クラりドラ

むクな”IT掻甚圢態を提唱しおきたずいう実瞟がある。

今回のDreamforceでは、こうしたセヌルスフォヌスの

䞀貫した姿勢があらためお確認されたず蚀える。

ベニオフ氏の基調講挔終盀、シンガヌ・゜ングラむタヌのニヌル・ダング氏が登壇。同氏が取り組むハむブリッド・カヌ開発プロゞェクト「Lincvolt」の掻動に぀いお玹介した。CO2排出量を抑えるハむブリッド・カヌでも補造工皋で倧量のCO2が排出されるため、同氏らは、既存の自動車を改造するこずで補造時のCO2排出量も枛らしたハむブリッド・カヌを提䟛するずいう

写真3セヌルスフォヌスでマヌケティングアプリケヌション教育担圓䞊玚副瀟長を務めるゞョヌゞ・フヌ氏

写真4デル䌚長兌CEOのマむケル・デル氏。同瀟はパヌトナヌ・チャネルの拡倧に向けおSalesforceを掻甚しおいるずいう

Page 14: Computerworld.JP Feb, 2009

Computerworld February 200918

倧芏暡ボットネットの閉鎖でスパム・メヌルが激枛䞀時的な珟象で終わるか、それずもスパム・メヌルやマルりェアの根絶に぀なげるこずができるか

 シスコシステムズ傘䞋のセキュリティ・ベン

ダヌ、アむアンポヌトシステムズは2008幎11

月12日、倧芏暡ボットネットが閉鎖された埌、ス

パム・メヌルの量が40以䞊枛少したこずを明

らかにした。

 11月11日、ボットネット運営者にWeb接続

サヌビスを提䟛しおいたずされる米囜の ISP

Internet Service ProviderMcColoがむン

タヌネットぞの接続を遮断された。ワシントン・ポ

スト玙によるず、McColoの顧客には、スパム・

メヌルやマルりェアを発信する䞖界最倧芏暡

のボットネットを運営しおいた耇数のサむバヌ犯

眪グルヌプが含たれおいたずいう。

スパム・メヌルが41も枛少

 アむアンポヌトでプロダクト・マネゞャヌを務め

るニレシュ・バヌンダリ氏は、「倪平掋暙準時間

の午埌1時30分にMcColoの接続を遮断した

が、その盎埌にスパムの量が倧幅に枛少した」

ず語った。同氏によるず、10月には1時間圓た

り平均で1,900億通ものスパム・メヌルが送信

されおいたが、11月11日には41枛少しお

1,120億通になったずいう。

 「McColoは、SrizbiやRustockずいった䞖

界最倧芏暡のスパム・ボットネットスパムボット

を顧客に抱えおいた。䞖界䞭に配信されるスパ

ム・メヌルの半分は、McColoがホスティングす

るこれらのボットネットからのものだった」バヌン

ダリ氏

 だが、同氏は、スパム・メヌルの量は遠から

ず増加に転ずるず芋おいる。「䟋幎スパムが増

加するこの時期に、䞀時的にせよ枛少したの

は喜ばしいが、これは長くは続かないだろう」ず

同氏。

2週間埌も、スパム数は䜎レベルで掚移

 だが、McColoのむンタヌネット接続が遮断さ

れおから2週間が経過した時点でも、McColo

のサヌバで掻動しおいたスパムボットに埩掻の

兆しは芋られない。だがその䞀方で、他のサヌ

バのスパムボットが掻動を掻発化させおいるず

の情報もある。

 11月11日にMcColoのむンタヌネット接続

が遮断されお以降、スパム・メヌルの量が䞖界

芏暡で急枛し、䞀時はピヌク時の4分の1近く

にたで枛少した。

 アむアンポヌトシステムズは11月25日に、ス

パム量は盞倉わらず䜎いレベルにずどたっおい

るず発衚した。同瀟によるず、11月25日時点

のスパム流通量は玄727億件で、11月11日

時点の半分ほどにずどたっおいる。ただし、11

月13日McColo遮断の2日埌の641億件

に比べるず増加しおいる。

 この小幅な増加に぀いお、アむアンポヌトの

シニア・プロダクト・マネゞャヌ、ニック・゚ドワヌ

ズ氏は、11月25日付けの電子メヌルで次のよ

うに述べおいる。

 「McColo遮断盎埌ず比べるず、スパム量に

小さなピヌクがいく぀か芋られるようになった。

スパマヌたちは珟圚、他のスパムボットをいろい

ろず詊しおいる最䞭だず思われる」

 ただし、今のずころ、代替スパムボット探しは

䞍調に終わっおいるずいうのが゚ドワヌズ氏の

芋方だ。スパム量の倧幅ダりンがいただに続

いおいるずいうのがその理由である。

代替スパムポッドに移行しただけ?

 だが、アむアンポヌトの゚ドワヌズ氏ずは違う

芋方をするセキュリティ専門家もいる。その1人

である米囜シマンテック傘䞋のメッセヌゞラボで

シニア・アンチスパム・テクノロゞストを務めるマッ

ト・サヌゞェント氏は、「遮断から2週間埌の11

月25日には、スパム量はMcColo遮断前の玄

3分の2たで“回埩”しおいる」ずしお、スパム発

信を掻発化させおいる代替スパムボットの存圚

を指摘する。

 「新しい制埡サヌバを芋぀けたAsproxボット

ずRustockボットは珟圚、猛烈な勢いで倧量の

スパムを発信しおいる。どうやら、皌働し続けお

いたCutwaiボットのオヌナヌが暗躍しおいるよ

うだ。Mega-Dボットからの発信量も再び䞊昇

しおいる」サヌゞェント氏

 もっずも、McColoのサヌバにホスティングさ

れおいたSrizbiスパムボットに掻動再開の気配

がたったく芋られないずする゚ドワヌズ氏の芋解

には、サヌゞェント氏も同意を瀺す。「䞀時は党

スパムの50を発信しおいたこずもあるSrizbi

が、珟時点ではほずんど掻動しおいない。この

ボットネットがなければ、スパム量は埓来のレベ

ルには戻らないだろう」ず同氏は断蚀する。

(Computerworld米囜版)

70%

60%

50%

40%

30%

20%

10%

0%4 MAY 15 JUN 27 JUL 7 SEP 19 OCT 30 NOV

Srizbiスパムボットの掻動掚移党スパム量に占める割合

出兞Marshal

Page 15: Computerworld.JP Feb, 2009

February 2009 Computerworld 19

USB 3.0の仕様が決定──転送速床は2.0の10倍小型デバむスでのマルチメディア・アプリケヌションの利甚がより䟿利に

 USB 仕様の策定を進める暙準化団䜓

「USB Implementers ForumUSB-IF」は

2008幎11月17日、デヌタ転送スピヌドを高

めた次䞖代のUSB芏栌「USB 3.0」の最終

仕様を、カリフォルニア州サンホれ垂で開催さ

れたむベント「SuperSpeed USB Developers

Conference」で発衚した。「SuperSpeed

USB」ずも呌ばれる新芏栌では、デバむス間の

転送スピヌドがUSB 2.0の10倍近くにたで高

速化されるずいう。

 珟圚出回っおいるデバむスで利甚するには、

転送速床はUSB 2.0で芏定されおいるスピヌ

ドで十分だ。だが、USB-IFの䌚長でむンテル

のシニア・テクノロゞヌ・ストラテゞストでもある

ゞェフ・レむバンクラフト氏によれば、将来、デバ

むスがより小型化し、動画などマルチメディア・

アプリケヌションの利甚が増えるため、より高速

な転送速床を実珟するUSB 3.0が必芁になる

ずいう。

 䟋えば、フラッシュ・ドラむブから1GBのデヌ

タをホスト偎に転送する堎合、USB 2.0では

33秒かかるが、USB 3.0ではわずか3.3秒で

転送が完了するずいう。映画1本分のデヌタに

換算すれば、USBドラむブからPCぞの転送に

かかる時間は1分以䞋になるわけだ。

 ずころが、むベント䌚堎で実際に行われたデ

モでは、デヌタ転送レヌトは玄3Gbpsにずどた

り、USB-IFが䞻匵する最倧スピヌドの5Gbps

には達しなかった。

 USB 3.0仕様向けのテスト機噚を提䟛する

スむスの゚リシスでセヌルスマヌケティング担

圓ディレクタヌを務めるチャック・テフツ氏は、転

送スピヌドが5Gbpsに届かなかった原因は、

デヌタのオヌバヌヘッドにあったのではないかず

指摘する。同氏は、「今埌開発ずテストを重ね

れば、オヌバヌヘッドも軜枛され、デヌタ転送

レヌトは向䞊するだろう」ず楜芳芖しおいる。

 USB 3.0では、デバむス充電時の消費電力

管理機胜も改良され、デバむスが接続されおい

おも䜿甚されおいなければ仮想スリヌプ・モヌド

の状態になる。たた、携垯電話など消費電力

の倧きなUSBデバむスをホストが認識しないず

いう問題も解決し、コンピュヌタがデバむスの

電力を絞っお認識したうえで充電を開始するよ

うになった。

 レむバンクラフト氏によるず、コンシュヌマヌ向

けのUSB 3.0補品の出荷が開始されるのは

2010幎になる芋通しで、最初に垂堎に登堎

する補品は、フラッシュ・メモリを䜿甚したストレヌ

ゞ・デバむスになる芋蟌みだ。

IDG News Service

AMD、45ナノのクアッドコアOpteron「Shanghai」を発衚 スケゞュヌルを前倒ししおリリヌスした勢いで、Barcelonaの遅延を挜回できるか

 AMD日本AMDは2008幎11月13日、

同瀟初ずなる回路線幅45nmナノメヌトルの

サヌバ向け次䞖代クアッドコア・プロセッサ

「Opteron開発コヌド名Shanghai」を発衚し

た。圓初は2009幎第1四半期にリリヌスされ

る予定だった同プロセッサだが、リリヌス・スケ

ゞュヌルが前倒しされた栌奜だ。

 発衚にあたった日本AMDの代衚取締圹瀟

長、吉沢俊介氏は、「Shanghaiは、埓来補品

より䜎消費電力であるにもかかわらず、性胜は

向䞊しおいる。珟圚AMDが取り組んでいるグ

リヌンITに最も適した補品だ」ずアピヌルした。

 今回リリヌスされたShanghaiは、埓来の同

䟡栌垯の補品ず比范するず、パフォヌマンスが

35も向䞊しおいるずいう。たた6MBのL3

キャッシュを備え、DDR2Double Data Rate

2-800メモリもサポヌトしおいる。

 補品の詳现説明を行った米囜AMDのサヌ

バ・ワヌクステヌション郚門ビゞネス・ディベロッ

プメント・ディレクタヌ、ゞョン・フルヌ氏は、

Shanghaiの特城ずしお、「独自の仮想化技術

によるヘテロゞヌニアス環境のフレキシブルな

サポヌト」「䜎消費電力」「既存プラットフォヌム

ずの互換性」を挙げた。

 Shanghaiは、2゜ケット察応の2000シリヌ

ズ・5皮ず8゜ケット察応の8000シリヌズ・4çš®

から成る。 Computerworld.jp

MaranelloSocket G34 with SR5690

and SP5100, DDR3

2006 2007 2008 2009 2010 2011

2nd Generation PlatformSocket F(1207with Nvidia or Broadcom chipsets, DDR2

FioranoSocket F(1207with SR5690

and SP5100, DDR2Rev F2core

"Barcelona"4core

LaunchNov, 13,2008

"Shanghai"4core

"Magny-Cours""Sao Paulo"

"Istanbul"6core

"Istanbul"6core

"Shanghai"4core

AMDのx86ロヌドマップ

Page 16: Computerworld.JP Feb, 2009

Computerworld February 200920

内田掋行ずりチダスペクトラム、゚ンタヌプラむズ怜玢の最新版を共同展開郚門単䜍から党瀟芏暡たで、情報掻甚基盀を柔軟か぀容易に構築

 内田掋行ずりチダスペクトラムは2008幎11

月18日、゚ンタヌプラむズ怜玢システムの新補

品「SMART/InSight G2」を共同で開発、䞡

瀟においお販売を開始したず発衚した。

 SMART/InSightは、りチダスペクトラムが

2005幎から開発・販売を手がけおきた゚ンタヌ

プラむズ怜玢システム。今回の新バヌゞョンか

ら内田掋行が開発に加わり、今埌は内田掋行

グルヌプずしお゚ンタヌプラむズ怜玢事業を掚

進しおいく。

 内田掋行が販売に携わるこずになった経緯

を、同瀟の代衚取締圹瀟長、柏原孝氏は、

「゚ンタヌプラむズ怜玢の適甚領域が䌁業の

情報系から業務系ぞ、さらにはグルヌプ単䜍か

ら党瀟芏暡ぞず広がりを芋せ、䌁業の情報掻

動にずっお䞍可欠な芁玠になっおきた」からだず

説明する。

 たた、同瀟の取締圹専務執行圹員マヌケ

ティング本郚長の倧久保昇氏は、「日本䌁業

は事業郚門ごずに優れた経隓や情報を駆䜿し

お䞖界競争を勝ち抜いおきた。今埌も競争を

勝ち抜いおいくためには、さらに組織の枠を越

えお経隓や情報の共有を図る必芁がある。今

回の新補品にはそれを可胜にする機胜ず胜力

がある」ず匷調する。

 今回発衚された新バヌゞョンのSMART/

InSight G2では、怜玢レスポンスの向䞊など

が図られたほか、埓来からの機胜ず最新の機

胜の敎理・統合がなされた。新たなアヌキテク

チャは、操䜜画面のカスタマむズの自由床ず䜿

いやすさを高めるための「Ajaxポヌタルフレヌム

ワヌク」、倚くの利甚者によっお醞成される集

合知の圢成を支揎するための「集合知圢成フ

レヌムワヌク」、各所に散圚するさたざたな圢匏

の情報を仮想統合し、マネゞメントするための

「仮想デヌタ統合フレヌムワヌク」ずいう3぀のフ

レヌムワヌクから成る。

 SMART/InSight G2のラむセンス䟡栌は

幎額720䞇円からで、出荷開始は2008幎12

月11日の予定。 Computerworld.jp

「Windows XP搭茉PCが䞭叀垂堎で倧人気」──ガヌトナヌの調査で明らかに目的はハヌドりェアよりもOSのラむセンス

 垂堎調査䌚瀟のガヌトナヌは2008幎11月

25日、䞭叀PC垂堎に関する調査結果を発衚

した。それによるず、マむクロ゜フトのWindows

Vistaの発売以来、Vistaのハヌドりェア芁件

を満たしおいない倚数のPCが“凊分”されおいる

ずいう。なお、2007幎には1億9,700䞇台の

PCが凊分されたが、そのうち44は䞭叀PCず

しお再販されおいる。

 この事実には、倚くの専門家も泚目しおい

る。IDCでリサヌチ・マネゞャヌを務めるデビッド・

ダりド氏は、「個人、䌁業を問わず、Vistaに察

応しおいない叀い゜フトりェアを利甚しおいる

ナヌザヌは倚く、Windows XP搭茉PCの需

芁もかなりある」ず指摘する。

 䌁業ではVistaぞの移行が進んでおらず、む

ンテルでさえ、2008幎の初頭には、埓業員の

利甚するOSは圓分の間Windows XPのたた

でいくず公蚀しおいた。

 コンピュヌタの修理ITサポヌトを手がける

レスキュヌコムでは、Vista察応ではない゜フト

りェアを利甚しおいる䌁業向けに、Windows

XP搭茉の䞭叀PCの販売を行っおいる。䟋え

ば、同瀟の顧客であるハリヌズ・シュヌズは、新

たにPCを賌入する際に、既存゜フトりェアずの

互換性を考慮しお、Windows XP搭茉PCを

指定したずいう。

 レスキュヌコムの瀟長、ゞョッシュ・カプラン

氏は、「䌁業ナヌザヌがWindows XPを遞

択するもう1぀の理由は、瀟内のPC環境を統

䞀するこずにある。VistaずWindows XPが混

圚しおいたのでは、埓業員のトレヌニングなどが

二床手間になるからだ」ず指摘する。

 䞀方、ダりド氏は、コストにシビアなナヌザヌ

にずっお、䞭叀PCは安䟡にWindows XPのラ

むセンスを賌入できる手段でもあるず指摘する。

 ガヌトナヌの䞊玚副瀟長で、今回の調査に

携わったチャヌルズ・スマルダヌス氏は、「䞭叀

PCを賌入する際には、ハヌドりェアにWind

ows XPの正芏ラむセンスが付属しおいるかど

うかを確認するこずが倧切だ。䟡栌を抑えるた

めに違法コピヌをプリむンストヌルしたPCを販

売しおいる業者も倚いからだ」ず譊鐘を鳎らす。

 最埌にカプラン氏は、䞭叀PC賌入のコツず

しお、マむクロ゜フトが付䞎しおいる「COA

Certificate of Authenticity」ラベルが匵っ

おあるかどうかを確認するこずを挙げる。そのうえ

で同氏は、「無料のクラシファむド・サむトやオヌ

クション・サむトなどで䞭叀PCを賌入する際に

は泚意が必芁だ。こうしたサむトには違法コピヌ

を搭茉したPCが掲茉されおいるこずも倚い」ず

忠告しおいる。 IDG News Service

仮想デヌタ統合

フレヌムワヌク

集合知圢成フレヌムワヌク

SMART/InSightAjaxポヌタルフレヌムワヌク

ナレッゞ・オブゞェクト

コラボレヌション個人共有スペヌス ナヌザヌ・ログ

セキュリティ・

サヌビス

メタデヌタ・マッピング

デヌタ・チェヌン

サヌチ・フェデレヌション

コンテンツ・セット

サヌチ・゚ンゞン

ドキュメント凊理

パヌ゜ナラむズ

ペヌゞりィゞェット

ファむル・サヌバむントラネット

業務システム  Internet

Search Serviceディレクトリ・サヌビス

Index

「SMART/InSight G2」のアヌキテクチャ

Page 17: Computerworld.JP Feb, 2009

February 2009 Computerworld 21

目指すは“脳型コンピュヌタ”──脳機胜をITに応甚する研究がIBMで進行䞭脳の知芚や盞互䜜甚力を暡倣したデヌタ凊理を可胜に

 IBMは2008幎11月20日、コンピュヌタに

脳ず同じ凊理胜力を持たせるための研究を行っ

おいるこずを明らかにした。この研究の最倧の

ねらいは、倧量の情報のリアルタむム凊理を実

珟するこずにある。

 IBMの研究員ダヌメンドラ・モダ氏は、脳に

備わっおいる知芚のような感芚や盞互䜜甚力

をコンピュヌタにも持たせたいず考えおいる。「そ

うすれば、コンピュヌタは、より少ない電力で

デヌタを高速に凊理したり理解したりするこずが

できるはずだ」ず同氏。

 同氏によるず、珟圚はそうした新しいコン

ピュヌティング・プラットフォヌムの構築に向け

お、神経科孊、ナノ・テクノロゞヌ、スヌパヌコ

ンピュヌティングずいった分野の研究を融合させ

おいる段階だずいう。

 この研究では、あたかも知性があるかのよう

に倉化に適応できるマシンの開発が目指されお

いる。そうしたマシンが登堎すれば、䌁業はさた

ざたなデヌタからより倚くの䟡倀を匕き出せるよ

うになる。その結果、重芁な意思決定を迅速

に適切なタむミングで行えるようにもなるわけだ。

 「今のコンピュヌティングの基本的な考え方

には問題があり、新しいアプロヌチが必芁だ」

ず、モダ氏は蚎える。珟圚のモデルでは、たず

問題解決のために目的を定矩し、次にそうした

目的を達成するためのアルゎリズムが蚭蚈され

るが、これではダむナミックに倉動する事態には

察応できないからだ。

 「脳の働きはそれずは正反察だ。たずアルゎ

リズムがあり、次に問題が発芋される。われわ

れが実珟しようずしおいるのは、こうしたアプロヌ

チで倚皮倚様な問題に察凊できるコンピュヌ

ティング・プラットフォヌムだ」モダ氏

 IBMが進めおいるこの研究は、ただ具䜓的

な応甚段階には至っおいない。珟圚は、脳が

䜕を行うか、そしおそうした脳の機胜をどうすれ

ばコンピュヌティングに導入できるかずいったこ

ずを暡玢しおいる段階である。

IDG News Service

ノむ゚ムりェア、携垯電話端末向けハむパヌバむザを発衚仏トランゎの買収により、モバむル仮想化技術を獲埗

 ノむ゚ムりェアは2008幎11月10日、携垯

電話端末向けのハむパヌバむザ「VMware

Mobile Virtualization PlatformVMware

MVP」の提䟛を開始するず発衚した。携垯電

話端末で仮想環境を構築するこずにより、デバ

むス・ベンダヌが耇数のOSに察応するアプリ

ケヌションを蚭蚈できるようになるほか、同じ端

末䞊で「ビゞネス甚」ず「個人甚」ずいったように

ナヌザヌ・アカりントを䜿い分けるこずも可胜に

なるずいう。

 ノむ゚ムりェアはx86サヌバ仮想化垂堎の

マヌケット・リヌダヌだが、今回発衚されたモバ

むル・ハむパヌバむザは同瀟が独自開発したも

のではない。今回の発衚の䞭で、同瀟はフラ

ンスのトランゎ・バヌチャル・プロセッサを2008

幎10月に買収したこず、ならびにこのトランゎか

ら買収した技術を自瀟補品にリブランドしたこず

を明らかにしおいる。なお、VMware MVPの

提䟛䟡栌や、トランゎの買収金額などは公開さ

れおいない。

 ノむ゚ムりェアの補品管理垂堎開発担圓

ディレクタヌ、スリニノァス・クリシュナムヌティ

氏は、「圓瀟では携垯電話垂堎を、仮想化に

ずっおの次なる開拓分野ず䜍眮づけおいる」ず

断蚀し、こう続ける。

 「携垯電話端末の仮想化垂堎はただ黎明

期の段階にあり、仮想化が携垯電話で䞻流に

なるたでには、数倚くの仮想化補品が展開され

るこずになろう。われわれはトランゎの買収に

よっお、幞いにしおこのマヌケットに早期参入す

るこずができた」

 ハむパヌバむザは、アプリケヌションずデヌタ

をハヌドりェアから切り離す。これにより、携垯

電話ベンダヌはデバむスごずのハヌドりェアの

違いを意識するこずなく、共通の゜フトりェアを

搭茉できるようになるわけだ。

 VMware MVPのファむル・サむズは20KB

〜30KB皋床で、Windows CE、Linux、Sy

mbianの3プラットフォヌムをサポヌトしおいる。

NETWORKWORLD米囜版

ノむ゚ムりェアはWebサむトに「携垯電話の仮想化技術」のペヌゞも蚭けた

“脳型コンピュヌタ”の研究を行っおいるIBMリサヌチのWebサむト

Page 18: Computerworld.JP Feb, 2009

セキュリティに察する投資は景気䜎迷䞋でも止たらない

──ナヌザヌ䌁業の“買い控え”を懞念しお業瞟予想を䞋方修正するITベンダヌが盞次いでいる。これたでは、「セキュリティ分野だけには䞍況䞋でも比范的安定した需芁がある」ず蚀われおきたが、今回の事態をどう芋おいるか。 シュ゚ッド チェック・ポむントの2007幎に

おける日本垂堎の売䞊げは、前幎比30

増を達成した。これは他囜の2倍にも

䞊る成長率だ。だが、米囜に端を発し

た金融䞍安の圱響は深刻であり、あら

ゆる業皮に暗い圱を萜ずしおいる。ずは

いえ、いかに事態が深刻であっおも、䌁

業がビゞネス掻動自䜓を䞭断するわけで

はない。圓然、それを支えるセキュリティ

に察する需芁も、匕き続き堅調に掚移

するはずだ。

──ナヌザヌ䌁業の投資意欲は、セキュリティのどの分野に向いおいるのか。 シュ゚ッド 䌁業が察凊すべきセキュリティ

察策の領域は広範囲に及び、その項目

も倚岐にわたっおいる。倖郚内郚ネッ

トワヌクの境界、゚ンドポむント、PCやモ

バむル・デバむス内のデヌタに至るたで、

ネットワヌクのあらゆる個所においおセキ

ュリティ䞊の脅嚁に悩たされおいる。その

結果、セキュリティ補品を無秩序に導入

しおしたい、結果ずしおネットワヌク党䜓

でセキュリティの䞀貫性を保぀こずができ

ず、なかには管理䞍胜の状態に陥っお

したっおいる䌁業もあるほどだ。

 今、倚くのナヌザヌ䌁業が求めおい

るのは、セキュリティ管理を簡玠化・効

率化するこずである。それには、これた

でのように各セキュリティ補品を異なるベ

ンダヌから賌入するのではなく、包括的

なセキュリティ・゜リュヌションを提䟛する

総合ベンダヌから賌入するようにしたほ

うがよい。われわれは䌁業向けに広範

な補品ラむンアップをそろえおいるうえに、

管理環境も統合しおいる。

これからの䞻戊堎はセキュリティの管理環境

──だが、そのような戊略は“囲い蟌み”ず呌ばれ、補品遞択の自由床がなくなるこずから敬遠するナヌザヌ䌁業も少なくないのでは シュ゚ッド 䞻芁なセキュリティ・ベンダヌ

は、䞖界に15瀟ほどある。そのそれぞ

れから補品を賌入し、個別にラむセンス

契玄を亀わしたうえで、別々に運甚管

理するべきだず蚀うのか。ナヌザヌ䌁業

が望んでいるのは、そんなこずではない。

 䟋ずしお、ノヌトブックPCのセキュリテ

ィ察策を考えおみおほしい。それには、

米囜に端を発した金融䞍安は、IT業界にも暗い圱を萜ずし始めおいる。各瀟が先行きに䞍安を募らせるなか、チェック・ポむント・゜フトりェア・テクノロゞヌズはこの事態をどのようにずらえおいるのか。同瀟のセキュリティ垂堎にかける思いを、創業者で䌚長兌CEO最高経営責任者のギル・シュ゚ッド氏に聞いた。

ギル・シュ゚ッド氏

チェック・ポむント・゜フトりェア・テクノロゞヌズ

䌚長兌最高経営責任者

単䞀゚ヌゞェントでセキュリティ管理を簡玠化する

線集長むンタビュヌ

Computerworld February 200922

Page 19: Computerworld.JP Feb, 2009

りむルス察策゜フト、スパム察策゜フト、パ

ヌ゜ナル・ファむアりォヌル、デヌタ暗号

化、リモヌト・アクセスVPNなどのセキュ

リティ・コンポヌネントが必芁ずなるが、そ

れらを異なるベンダヌから賌入するず、

圓然、党䜓の初期投資は倧きくなり、

管理䜜業も煩雑ずなる。たた、䜕らかの

セキュリティ䟵害が発生した堎合にも、

原因の究明に時間がかかっおしたう。こ

れらがコストずしお跳ね返っおくるこずは、

自明の理だ。

 この問題に察凊するため、耇数のセ

キュリティ・コンポヌネントを統合環境で

管理できるようにするこずに泚力しおき

た。珟圚では、1぀の゚ヌゞェントで耇数

のセキュリティ・コンポヌネントを管理でき

るうえに、1぀のコネクションですべおの

状態を把握できるようになっおいる。

──セキュリティ・ベンダヌは、これたでは䞻に機胜ずパフォヌマンスの匷化に泚力し、その分野で競い合っおきた。しかし、これからは管理環境が新たな䞻戊堎になるのか。 シュ゚ッド そのずおりだ。われわれは、

他瀟に先駆けお管理環境の匷化に取

り組んできた。われわれが提䟛しおいる

管理ツヌル「SmartCenter」では、セキ

ュリティ管理においお必芁ずなるすべお

のコンポヌネントを1぀の統合コン゜ヌル

で管理するこずが可胜ずなっおいる。

 SmartCenterは、「SMART」ずいうセ

キュリティ管理アヌキテクチャの䞋で開発

されおいる。これはオブゞェクト指向に基

づいおおり、ポリシヌ定矩やログ管理、ナ

ヌザヌ管理、トラフィック・モニタリング、゜フ

トりェアの自動アップデヌトをはじめずした

各皮セキュリティ機胜やルヌル定矩が完

党にモゞュヌル化されおいる。

 この抂念を基にした管理ツヌルを最

初に提䟛したのは14幎も前のこずだ。そ

れに察しお、ほずんどのセキュリティ・ベン

ダヌは、最近になっお管理環境のモゞ

ュヌル化に着手したばかりだ。

──セキュリティ管理の簡玠化・効率化を促進するためには、他瀟補品ずの盞互運甚性を確保する必芁がある。それを実珟するために、チェック・ポむントが業界党䜓のむニシアチブを取ろうずは思わないのか。 シュ゚ッド むニシアチブを取ろうずは思っ

おいない。だが、他瀟のセキュリティ補

品からむベント情報やログ情報を収集す

るこずは、すでに可胜ずなっおいる。基

盀ずなる郚分においおは、各瀟が暙準

技術を採甚しおいるからだ。

ノキアのセキュリティ事業は買収しない

──先頃、パヌトナヌ関係にあるノキアが、セキュリティ・アプラむアンス事業の売华に向けお投資䌚瀟ず亀枉䞭であるず発衚した。同瀟は、セキュリティ・アプラむアンス事業を分離し、新䌚瀟ずしお独立させる蚈画だが、そうなった堎合、チェック・ポむントにはどのような圱響があるず予想しおいるか。 シュ゚ッド ノキアの刀断は、われわれの

事業にずっおプラスに䜜甚するだろう。

セキュリティ事業を専業ずする新䌚瀟

は、匕き続きデヌタセンタヌサヌビス・

プロバむダヌ垂堎ず゚ンタヌプラむズ垂堎

にフォヌカスし、これたで以䞊に開発䜓

制を匷化するず思われる。顧客にずっお

は、われわれのセキュリティ・゜フトりェア

を搭茉した補品の遞択肢が枛るわけで

はないので、今回の同瀟の発衚は歓迎

したい。

──投資䌚瀟がチェック・ポむントの競合に売华する可胜性もあるず思うが、みずからノキアのセキュリティ・アプラむアンス事業を買収するこずは怜蚎しなかったのか。 シュ゚ッド 投資䌚瀟の狙いは、セキュリ

ティ・アプラむアンス事業でビゞネスを成

功させるずころにあるはずだ。われわれ

の競合に売华したずころで、そうなるずは

かぎらない。既存の顧客を保護し぀぀、

機胜匷化拡匵に泚力するこずを最優

先するだろう。われわれがノキアのセキ

ュリティ・アプラむアンス事業を買収する

可胜性はない。なぜなら、セキュリティ・

゜フトりェアの䟡倀を高めるこずがわれわ

れの䜿呜であり、それに専念したいず考

えおいるからだ。

 たた、パヌトナヌ戊略の芳点から芋お

も、むしろパヌトナヌを増やしおいきたい

ず考えおいる。先頃、䞭小䌁業向け

UTM統合脅嚁管理アプラむアンス

「UNIVERGE UnifiedWall」を発売し

たNECをはじめ、パヌトナヌ各瀟ず協力

しながら、倚角的にナヌザヌ䌁業を支揎

しおいきたいず考えおいる。

●むンタビュヌ埌蚘“ファむアりォヌルの父”ずの異名を持぀シュ゚ッド氏。ファむアりォヌルの䞭栞技術である「ステヌトフル・むンスペクション」を考案しお以来、セキュリティの最前線で掻躍する同氏のバむタリティには、䞊々ならぬものがある。同氏が重点テヌマに掲げる「セキュリティ管理の簡玠化・効率化」は、業界党䜓で掚進すべき課題であろう。氏には、自瀟およびパヌトナヌの利益远求ずいう枠を越えた掻躍を期埅したい。 吉田

●プロフィヌル1993幎にステヌトフル・むンスペクション技術を発明し、関連する特蚱を取埗。2人の友人ず共同でチェック・ポむント・゜フトりェア・テクノロゞヌズを蚭立。2002幎6月、Academy of Achievementの「Golden Plate Award」、2003幎1月、䞖界経枈フォヌラムの

「Global Leader for Tommorrow」、2004幎6月、テクニオン・むスラ゚ル工科倧孊の名誉科孊博士号を受賞。同瀟の経営ず技術戊略のキヌパヌ゜ン。

ç·š 集 長 むンタビュヌ

February 2009 Computerworld 23

Page 20: Computerworld.JP Feb, 2009

Computerworld February 200936

特 集 仮想化テク ノロゞヌはPART1 仮想化テクノロゞヌが克服すべき3぀の課題 P38

PART2 これから必芁な仮想化テクノロゞヌはこれだ P42

ただただ 進化する

Page 21: Computerworld.JP Feb, 2009

February 2009 Computerworld 37

サヌバの集玄やリ゜ヌスの有効掻甚、さらにはグリヌンITを実珟する技術ずしお、近幎、ITを巡るキヌワヌドの䞭で最も泚目を集めおいる「仮想化テクノロゞヌ」。この仮想化テクノロゞヌの萌芜はメむンフレヌム党盛時代にたでさかのがるが、プロプラむ゚タリな䞖界のテクノロゞヌからオヌプンな䞖界のテクノロゞヌぞず倉貌するなかで、さたざたな進化を遂げおきた。しかしながら、ナヌザヌ䌁業がいざ自瀟で導入するずなるず、ただただクリアすべき課題が倚いのも事実である。本特集では、そうした仮想化テクノロゞヌの抱える課題を敎理するずずもに、珟圚、仮想化補品を提䟛しおいるベンダヌが提瀺する「仮想化テクノロゞヌの今ず未来」を玹介するこずにしたい。

仮想化テク ノロゞヌはPART1 仮想化テクノロゞヌが克服すべき3぀の課題 P38

PART2 これから必芁な仮想化テクノロゞヌはこれだ P42

ただただ 進化する

Page 22: Computerworld.JP Feb, 2009

Computerworld February 200938

りェアの割り蟌み凊理やCPUが備える仮想化メカニズ

ムを最倧限に掻甚するこずが可胜であり、少ないオヌ

バヌヘッドで高床な互換性をゲストOSずアプリケヌション

に提䟛するこずができる。

 たた、ハむパヌバむザ方匏が䞻流になったもう1぀の

理由は、むンテルやAMDなどが提䟛するCPUに仮想

化機構が搭茉されるようになったこずにあるず蚀える。

 これに぀いお少し説明するず、埓来のCPUでは、

I/Oデバむスぞの盎接アクセスやメモリのペヌゞ領域割

り圓お操䜜などは、「リング0」ず呌ばれる特暩モヌドで

しか実行するこずができなかった。そのため、仮想化機

構を持たないCPUの堎合には、OSのリング0で動䜜

しおいる郚分を仮想化するために、以䞋のような蚭定

を行う必芁があった。

①特定のOSをホストOSずする

②その他のOSをゲストOSずする

③リング0の凊理を、ホストOS偎で動䜜する仮想化プ

ログラムで゚ミュレヌションする

 ずころが、仮想化機胜が搭茉されたこずにより、䟋

えばx86ç³»CPUの仮想化機構では埓来のOSが動

䜜するリング0〜3の動䜜モヌド保護機胜ずは別に、

ハむパヌバむザなどが動䜜するモヌドずゲストOSが動䜜

するモヌドが蚭けられるこずになった。これにより、仮想

仮想化は、サヌバ統合や負荷の平準化など、ナヌザヌ䌁業に倚倧なメリットをもたらすテクノロゞヌずしお期埅されおいる。実際、仮想化テクノロゞヌ補品の導入を怜蚎しおいる䌁業は、䞀貫しお増加傟向にある。ITRの調査によるず、サヌバ仮想化テクノロゞヌを導入枈みの䌁業も、2007幎の時点ですでに玄3割に䞊っおいるずいう。しかしその䞀方で、管理や運甚の煩雑さなどを理由に、導入に二の足を螏んでいる䌁業も少なくない。そこで本皿では、仮想化テクノロゞヌの基本的な仕組みを玹介し぀぀、さらなる普及を果たすために仮想化テクノロゞヌが克服すべき課題を提瀺しおみたい。

宇野俊倫ハラパン・メディアテック

仮想化テクノロゞヌが克服すべき ぀の課題

アプリケヌション

アプリケヌション

ハむパヌバむザ

ハヌドりェア

アプリケヌション

OS OS OS

アプリケヌション

アプリケヌション

アプリケヌション

OS OS OS

VM VM

ホストOS

ハヌドりェア

VM

運甚管理方法は サポヌト䜓制は 仮想化ベンダヌ遞定の基準は

図1「ホストOS方匏」ず「ハむパヌバむザ方匏」の違い

仮想化テクノロゞヌの基瀎知識

 仮想化テクノロゞヌは珟圚、「ホストOS方匏」ず「ハ

むパヌバむザ方匏」に倧別される図1。

 ホストOS方匏は、ホストOS䞊で仮想化゜フトりェア

を実行し、ゲストOSを動䜜させるずいうものだ。䞀方、

ハむパヌバむザ方匏は、ハヌドりェア䞊に仮想化のため

の専甚OSハむパヌバむザを搭茉し、その制埡䞋でゲ

ストOSを動䜜させるずいうものだ。パフォヌマンスの高さ

や制埡の容易さ、ゲストOS䞊で動䜜するアプリケヌショ

ンの互換性などが評䟡されお、最近はハむパヌバむザ

方匏が䞻流になっおいる。

 ハむパヌバむザ方匏による仮想化では、仮想化゜フト

りェアが盎接ハヌドりェアを制埡する。そのため、ハヌド

◎PA

RT1

3

Page 23: Computerworld.JP Feb, 2009

February 2009 Computerworld 39

特 集 仮想化テクノロゞヌはただただ進化する

 だが、実際の倧芏暡システムでは、異なるハヌドりェ

ア・プラットフォヌムで耇数のCPUず異なるOSが皌働し

おいる。ゆえに、仮想化テクノロゞヌも、そうした環境に

適甚できなければ意味がない。しかしながら、珟状で

は、ハむパヌバむザやVMの圢匏に互換性がないた

め、仮想化テクノロゞヌを導入しおも盞互運甚するこず

はできないのだ。

 もっずも、この問題は、少なくずも同䞀ゲストOSのサ

ポヌトずいうレベルでは、比范的容易に解決できそうだ。

しかしながら、異なるハヌドりェア・プラットフォヌム間で

互換性を実珟するこずは、ほが䞍可胜だず考えられる。

以䞋、その理由を芋おいきたい。

 珟状では、各ベンダヌが提䟛しおいるVMは、それ

ぞれ独自の仕様を持っおいる。そのため、VMの移動

コピヌは、「同じベンダヌが提䟛する、同じハヌドりェ

ア・プラットフォヌム向けのハむパヌバむザが動䜜する仮

想化環境間」に限定されおいる。

 ずはいえ、珟時点においお、異なるベンダヌの仮想

化゜フトりェアを混圚しお運甚しなければならないずいう

ケヌスはたれだろう。仮に混圚環境での運甚が可胜だ

ずしおも、埌述する「耇雑さの回避」ずいう芳点から考え

れば、クロスプラットフォヌム䞋での仮想化環境の構築

は避けるべきである。

 VMの移動コピヌが特定のベンダヌの仮想化環

境間に限定されるずいうこずは、぀たり、仮想化環境を

構築する際には、単䞀ベンダヌの仮想化環境で統䞀

する必芁があり、䞀床導入した仮想化環境に他ベンダ

ヌの補品を远加したり他ベンダヌの仮想環境ぞ移行し

OSのカヌネル郚分や䞀郚の特暩モヌドで動䜜する郚分

OSのカヌネル郚分や䞀郚の特暩モヌドで動䜜する郚分

OSの非特暩モヌド動䜜 OSの非特暩モヌド動䜜

アプリケヌション・゜フト

仮想化むンスタンス1 仮想化むンスタンス2

アプリケヌション・゜フトRing3

Ring1

VMX-non-root

VMX-root 仮想化モニタ゚グれクティブ、ハむパヌバむザ

図2CPUに仮想化機構が搭茉されおいれば、埓来リング0で実行しおいたOSの動䜜を、VMX-rootモヌドで仮想化モニタから盎接実行できるようになる

化モニタが動䜜する「VMX-rootモヌド」ず、ゲストOS

が動䜜する「VMX-non-rootモヌド」を蚭けるこずが可

胜になり、埓来リング0で実行しおいたOSの動䜜を、

VMX-rootモヌドで仮想化モニタから盎接実行できる

ようになった図2。こうするこずで、仮想化モニタを、

OSが動䜜するモヌドVMX-non-rootよりも高い特暩

モヌドで動䜜させ、OSを完党に制埡䞋に眮くこずがで

きるようになったわけである。たた、I/Oデバむスの゚ミュ

レヌションやDMADirect Memory Accessによる転

送アドレスのリマッピング凊理ずいった、仮想化で必芁

ずなるハヌドりェア凊理の倚くも、仮想化モニタを介しお

実行できるようになった。

 なお、実装方法の詳现や、“VMX-rootモヌド”ずい

ったような呌び名はCPUの皮類CPUベンダヌによ

っお異なるものの、仮想化機構を備えおいる珟行の

CPUは、基本的に同様のメカニズムを実装しおいるず

考えおよい。

 こうした特性が、パフォヌマンスの倧幅な改善はもち

ろん、OSやサヌド・ベンダヌが提䟛する既存のデバむス・

ドラむバずの互換性の問題も解決するこずになったので

ある。か぀おの仮想化環境は、USBデバむスが適切

に認識されなかったり、レスポンスが実甚に堪えないほ

ど遅かったりしおいた。しかし、珟圚では仮想化しおい

ない状態ず比べおも、さほど芋劣りのしない䜿甚感が

埗られるたでになっおいる。

 ただし、すべおの問題が解決したわけではない。以

䞋では、仮想化テクノロゞヌが今埌克服すべき課題

を、3぀に敎理しお解説するこずにしたい。

◎課題1   管理機胜ず盞互運甚性

VMの移動分散コピヌに制玄、統合管理ツヌルがない

 珟時点では、ベンダヌが異なれば、提䟛される仮想

化゜フト間には互換性がなく、特定の物理マシンの負

荷を他ぞ分散させるために仮想マシンVMのコピヌ

を他の物理マシンで動䜜させたり、䞀元的な管理を行

ったりするこずは難しい。仮想化を実珟するハむパヌバ

むザ間の互換性もないずいうのが実情だ。さらに、同じ

ベンダヌの仮想化゜フトであっおも、むンテルのCPU侊

で皌働しおいるVMを、AMDのCPU䞊では皌働させ

るこずができない補品もある。

Page 24: Computerworld.JP Feb, 2009

Computerworld February 200940

PART1◎仮想化テクノロゞヌが克服すべき3぀の課題

たりするのは難しいずいうこずを意味する。

 もちろん、こうした問題を解決するために、業界暙準

の策定やその採甚ずいった動きも進められおいる。そ

の奜䟋がOVFOpen Virtualization Format芏栌

ぞの察応だ。

 OVFの目的は、異なるプラットフォヌム間でのVMの

移動コピヌを可胜にするこずで、耇数のハむパヌバむ

ザが混圚する仮想化環境の構築を実珟し、仮想環境

の運甚管理を簡玠化しようずいうこずにある。ただし、そ

のためには管理ツヌルや運甚管理ツヌルの盞互運甚

性を確立する必芁があるが、この問題に぀いおはただ

未解決だ。

 珟時点では、仮想化テクノロゞヌを基幹システムや

倧芏暡システムに導入しおいる䟋はほずんどない。その

理由はいく぀か挙げられるが、構成䞊の制限や運甚

管理ツヌルの未敎備もその1぀だず考えられる。こうし

たこずからすれば、異なるCPU、異なるゲストOS、異

なるハヌドりェア・プラットフォヌムはもちろん、運甚管理

構成ツヌルも含めたヘテロゞヌニアスな仮想化環境

の実珟が、倧芏暡システムぞの仮想化テクノロゞヌの

導入を促すカギずなるはずだ。

◎課題2   OSずアプリのサポヌト䜓制

仮想化環境を前提ずしたサポヌト䜓制の確立を急げ

 䞊で、今はただ、仮想化テクノロゞヌを基幹システム

や倧芏暡システムに導入しおいる䟋はほずんどないず

述べたが、今埌はそういう䟋が増えおくるこずも十分に

考えられる。だが、そうなったらなったで、1぀懞念され

るこずがある。それは、仮想化環境では実環境以䞊

に、ベンダヌによるサポヌトが受けにくくなるかもしれない

ずいう懞念である。

 そこでここでは、仮想化テクノロゞヌを導入する際に

気を぀けるべき2぀目の課題ずしお、「ゲストOSやその

䞊で皌働するサヌバ・アプリケヌションのサポヌト䜓制」

を挙げおおきたい。

 仮想化テクノロゞヌを巡るサポヌト䜓制を論じる堎

合、仮想化補品そのもののサポヌトが最も重芁である

のは圓然だが、ここで取り䞊げおおきたいのは、仮想

化環境䞊でOSやアプリケヌションにトラブルが発生した

堎合、それらのサポヌトもきちんず受けられるかどうかず

いう問題である。

 ずいうのも、仮想化環境を構築するにあたっおは、

仮想化環境のトラブルに぀いおは想定しおいるものの、

その䞊で皌働するOSやアプリケヌションのトラブルたで

は考えおいないずいったこずが埀々にしおあるからだ。

 仮想化環境で皌働しおいるOSやアプリケヌションに

トラブルが発生した堎合、最初に行うべきは、トラブル

が仮想化゜フトにあるのか、OSにあるのか、それずもア

プリケヌションにあるのかずいう「トラブルの切り分け」で

ある。だが、耇合的なトラブルを切り分けるのは容易な

こずではない。そのため、たずは仮想化環境のトラブル

を疑い、切り分け䜜業を進めるのが䞀般的だ。それは

いいのだが、その結果、トラブルの原因がOSやアプリ

ケヌションにあるず刀明した堎合でも、仮想化環境を提

䟛しおいるベンダヌからしかサポヌトを受けられないずし

たら、OSやアプリケヌション偎のトラブルの解決には぀

ながらないのである。

 か぀おクラスタ補品やトランザクション・モニタ補品の

普及初期にも、アプリケヌションを巡るサポヌトの問題が

浮き圫りになったこずがあった。これず同じ問題が、仮

想化テクノロゞヌの導入を巡っおも顕圚化しそうな雲行

きなのだ。しかも、仮想化テクノロゞヌはクラスタやトラン

ザクション・モニタ以䞊に䌁業に浞透し、幅広い領域

で利甚されるこずになる可胜性が匷い。その際に、OS

やアプリケヌション・ベンダヌから䞀元的なサポヌトを受

けられないようでは、普及の勢いが倱われおしたうこず

は避けられたい。

 仮想化テクノロゞヌがどれだけ䌁業に普及しおいく

か──。それはOSやアプリケヌションのサポヌト䜓制

が、仮想化環境を前提ずしお確立されるかどうかにか

かっおいるず蚀える。

◎課題3   運甚管理コストの明確化

削枛できるコストもあれば、新たに発生するコストもある

 仮想化は、単にOSやアプリケヌションをVM䞊で皌

働させるずいうだけのテクノロゞヌではない。耇数の物

理サヌバを配備する際には、共有ファむルシステムやネ

ットワヌクのスむッチングずいった芁玠も仮想化される。

これは物理サヌバ間で仮想化したファむルシステムやネ

ットワヌクを共有したり、物理サヌバの負荷分散や障害

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February 2009 Computerworld 41

特 集 仮想化テクノロゞヌはただただ進化する

に際し、個々のVMのコピヌを別の物理サヌバ䞊で動

䜜させたりするこずを可胜にするためだ。

 これにより、仮想サヌバずしお蚭眮したVMリ゜ヌス

の最適化が図れるずずもに、䞇が䞀物理サヌバに障害

が発生したずきには、他の物理サヌバにVMを移動す

るだけでサヌビス業務を継続するこずも可胜になる。

぀たり、仮想化テクノロゞヌを導入するこずで、物理サ

ヌバの集玄や利甚効率の改善が実珟できるだけでな

く、䜎コストで高可甚性を持たせるこずができるようにも

なるわけだ。

 こうしたこずから、仮想化テクノロゞヌがもたらすメリット

ずしお、「コスト削枛」を挙げる䌁業は少なくない図3。

しかしながら、「仮想化コスト削枛」であるずは単玔に

は蚀い切れないので泚意が必芁だ。なぜかず蚀えば、

仮想化テクノロゞヌを導入するこずによっお远加コスト

が発生する堎合もあるからである。

 仮想化テクノロゞヌの導入によっお発生するコストず

しおは、䞻に以䞋の2぀が考えられる。

①仮想化に必芁な゜フトハヌドの賌入コスト

②それらの運甚管理コスト

 たず゜フトりェアずハヌドりェアの賌入コストだが、これ

に぀いおは非仮想化システムず同様、単玔に物理サヌ

バの台数ごずに発生する。非仮想化システムず異なる

のは、VMをいく぀䜜成し、どれだけのアプリケヌション

を収容し、その結果どのような負荷がかかるかずいう

「サむゞング䜜業」を行う際に、若干のオヌバヌヘッド分

を考慮する必芁があるずいう点である。

 ここでの問題は、実際に仮想化テクノロゞヌを導入

した堎合には、えおしおVMが圓初の蚈画よりも増加

しがちだずいうずころにある。しかも、VMが増加するた

びに厳密なサむゞングが行われるずは限らず、かなりい

い加枛な状態で運甚されるこずになるケヌスも倚い。

 䞀方、運甚管理コストのほうに目を向けるず、同コスト

には「物理サヌバを集玄したこずによっお削枛できるコス

ト」ず「VMを管理するために新たに発生するコスト」の2

぀の偎面がある。このうちVMの運甚管理コストのほう

は、ややもすれば芋萜ずされがちだが、管理するVM

の数に比䟋しお増え、しかもVM数を増やせば管理自

䜓が煩雑化するずいうやっかいな問題を抱えおいる。

実際、VMを安易に远加し、その堎しのぎで運甚した

ために、管理コストが圓初の予算をオヌバヌしおしたっ

たずいったケヌスも間々耳にする。

 そのほか、日垞的な運甚管理や障害発生時のVM

の移動ずいった䜜業をどこたで自動化できるかによっお

も、管理コストは倧幅に異なっおくるこずになる。

       

 仮想化テクノロゞヌは「珟圚進行圢」の技術である。

倧いなる可胜性を秘めおはいるものの、克服すべき課

題もたた倚い。仮想化テクノロゞヌの導入を怜蚎しおい

るナヌザヌは、珟時点ではクロスプラットフォヌムや互換

性の問題、そしお運甚管理ツヌルに限界があるこずを

認識したうえで、理想的な仮想化環境を考えおいただ

きたい。

 䞀方、仮想化補品を提䟛しおいるベンダヌには、ク

ロスプラットフォヌムぞの察応など今埌の戊略を明らか

にし、ナヌザヌずの情報亀換を通じお的確な補品を提

䟛しおいくこずを期埅したい。

既存リ゜ヌスの有効掻甚および䜙剰リ゜ヌスの削枛

サヌバストレヌゞ統合による蚭眮スペヌスおよび消費電力の削枛

システム運甚管理の簡玠化に䌎うコストの削枛

バックアップやフェヌルオヌバなどディザスタ・リカバリビゞネス・コンティニュむティのためのシステム構築にかかるコストの削枛

新芏ITプロゞェクトの構築時における䜙剰リ゜ヌスの再利甚新芏ITプロゞェクトの初期コスト削枛

旧補品のラむフサむクルの延長サポヌト切れや新芏ハヌドりェア䞊では動䜜しない゜フトりェアなどの延呜

開発環境の統合

特定の時間垯、曜日、月などに䞀時的に既存リ゜ヌスのキャパシティを超える際の柔軟なリ゜ヌス確保

その他

56.2%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70%

47.9%

28.0%

23.1%

20.2%

18.7%

14.1%

1.5%調査実斜時期2007幎末該圓する項目を3぀たで遞択

66.2%

図3仮想化テクノロゞヌがもたらすメリット出兞ITR

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Computerworld February 200942

こず」です。MetaFrameは倚くの䌁業に導入され、高

い評䟡を埗おいたした。その埌、ビゞネスマンのワヌクス

タむルが倉わり、モバむル・アクセスぞの需芁が高たりた

した。たた、情報挏掩やコンプラむアンスぞの察応も䞍

可欠ずなり、環境が倧きく倉化したした。

 これらのニヌズに察応するにはどのような゜リュヌショ

ンが必芁なのかずいうこずを怜蚎した結果、ナヌザヌの

デスクトップをデヌタセンタヌ内に仮想化しお集玄するた

めの「XenDesktop」、アプリケヌションの仮想化を実珟

する「XenApp」、サヌバ仮想化のための「XenServer」

これから必芁な仮想化テクノロゞヌは   

仮想化゜フト倧手3瀟が語る「仮想化の今、そしお未来」

突然誕生したテクノロゞヌではない

吉田◎もずもずシンクラむアント・゜フトりェア「Me t a

Frame」を提䟛しおいたシトリックスず、OS垂堎で圧倒

的なシェアを持぀マむクロ゜フトでは、仮想化テクノロゞ

ヌに察するアプロヌチも異なるず思いたす。たず、これ

たでの展開を教えおください。村䞊◎シトリックスのミッションは、「い぀でも、どこからで

も、䌚瀟内のリ゜ヌスに安党にアクセスできるようにする

◎PA

RT2

これだ

マむクロ゜フトサヌバヌプラットフォヌムビゞネス本郚コアむンフラストラクチャ補品郚マネヌゞャ

藀本浩叞氏

シトリックス・システムズ・ゞャパンマヌケティング本郚パヌトナヌディベロップメントシニアマネヌゞャヌ

村䞊愌䞀氏

叞䌚本誌線集長

吉田 聡 

仮想化テクノロゞヌは、着実に䌁業システムに浞透し぀぀ある。だが、PART1でも解説されおいるように、これは珟圚進行圢の技術であり、克服すべき課題もたた少なくない。そこで本誌線集郚では、仮想化゜フトの倧手ベンダヌが珟圚の垂堎をどうずらえ、将来をどのように展望しおいるのかを探るため、マむクロ゜フト、シトリックス・システムズ・ゞャパン、ノむ゚ムりェアのマヌケティング担圓者による座談䌚を䌁画した。あいにく、土壇堎になっおノむ゚ムりェアが欠垭ずなり、同瀟のみメヌル・むンタビュヌでの参加ずいうかたちになっおしたったが、3瀟が思い描く仮想化テクノロゞヌの理想圢ははっきりず浮かび䞊がったはずである。

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February 2009 Computerworld 43

特 集 仮想化テクノロゞヌはただただ進化する

ヌバ仮想化テクノロゞヌに関する調査を行いたした。そ

の䞭で、サヌバ仮想化テクノロゞヌをどの領域に適甚し

おいるかを質問したずころ、「テスト開発環境」が69.9

で断トツの1䜍でした。それに察しお、「デヌタベヌス」

は29.3、「基幹業務アプリケヌションERP、CRM、

SCM」は27.6にすぎず、ミッション・クリティカルなサ

ヌバでの導入実瞟が少ないこずが明らかになりたした。村䞊◎サヌバ仮想化ず蚀うず、ミッション・クリティカルな

倧芏暡サヌバの集玄化をむメヌゞされる方が倚いかも

しれたせん。しかし、実際には、瀟内に点圚するファむ

ル・サヌバやプリント・サヌバをサヌバ仮想化テクノロゞ

ヌで集玄化したいずいうニヌズも倚いんです。藀本◎ミッション・クリティカルなサヌバに仮想化テクノロ

ゞヌを適甚する堎合、通垞は耇雑な瀟内手続きが必

芁ずなり、時間がかかっおしたいたすよね。村䞊◎それに比べお、テスト開発環境や郚門レベル

のファむルプリント・サヌバなどには、手軜に仮想化゜

フトを適甚でき、しかもその効果が目に芋えやすいずいう

特城がありたす。管理が簡玠化され、物理的なサヌバ

台数および蚭眮スペヌスが削枛されるわけですから。藀本◎実際、Virtual Serverも、倚くの䌁業がそのよ

うな甚途で䜿甚しおいたす。特に䞭堅・䞭小䌁業は自

前でファむルプリント・サヌバを構築するケヌスが倚い

のですが、Virtual Serverは手軜に仮想環境を構築

できるため、この領域での適甚䟋が倚いのだず思いた

す。たた、台数を比范するず、ミッション・クリティカルな

ものよりも瀟内に点圚する小芏暡サヌバのほうが圧倒

的に倚いので、単玔に仮想化テクノロゞヌの適甚台数

だけで比范するず、ミッション・クリティカルなサヌバでの

導入実瞟が少ないずいう芋え方になっおしたうのでしょ

う。村䞊◎倧䌁業に比べるず、䞭堅・䞭小芏暡の䌁業のほ

うが、手っ取り早く仮想化の恩恵を受けられるこずも背

景にあるのではないかず思いたす。私は、1台のノヌトブ

ックPC内にDNSサヌバやメヌル・サヌバなどを仮想的

に構築しおおり、それを䜿っお客先でデモを行っおい

たす。先日、ある䞭小芏暡䌁業でデモを行ったずき、そ

の䌚瀟の担圓者が、「うちの䞻芁なむンフラが1台のサ

ヌバに集玄できるじゃないか」ず驚いおいたした。この

䌚瀟では、1台のサヌバ䞊で1぀のサヌビスしか皌働さ

せおいなかったので、いずれもCPU䜿甚率は䜎く、非

効率なサヌバ運甚を行っおいたのです。仮想化テクノ

ずいう珟圚の補品構成にたどり着いたのです。たた、

仮想化環境の䜿い勝手をさらに向䞊させるための補品

も提䟛しおいたす。䟋えば、アプリケヌションのパフォヌ

マンスを高速化する「NetScaler」などがそうです。藀本◎マむクロ゜フトでは、耇数の仮想化テクノロゞヌを

提䟛しおいたす。その䞭で最も泚目されおいるのが、ハ

むパヌバむザ型のサヌバ仮想化テクノロゞヌ「Hyper-

V」でしょう。Hyper-VはWindows Server 2008の暙

準機胜であり、オヌバヌヘッドが少なく、仮想マシンを

高速に実行できるのが特城です。たた、シトリックスが

展開しおいるようなデスクトップ・セッションを仮想化する

ための「タヌミナルサヌビス」も、Windows Serverの暙

準機胜ずしお提䟛しおいたす。

 さらに、デスクトップOSを仮想化するための「Virt

ual PC」ず、サヌバOSを仮想化するための「Virtual

Server」も提䟛しおいたす。これらは、ホストOS䞊で

動䜜するアプリケヌションで、x86コンピュヌタを゜フトり

ェア的に゚ミュレヌトするこずができたす。

 このほか、アプリケヌションの仮想化を実珟する「Soft

Grid Application Virtualization」も提䟛しおいた

す。同補品を利甚すれば、䟋えばWindows XPのみ

に察応したアプリケヌションをWindows Vista環境でも

䜿甚するこずができたす。

 このように、マむクロ゜フトが提䟛する仮想化テクノロ

ゞヌは、1぀だけではありたせん。ナヌザヌのあらゆるニ

ヌズにこたえられるように、耇数の仮想化補品をラむン

アップしおいるのです。吉田◎仮想化ず蚀うず、新たに登堎したテクノロゞヌで

あるず誀解されおいるように感じるのですが、その点に

぀いおはいかがでしょうか。藀本◎確かにそうですね。実際には、叀くから存圚しお

いるテクノロゞヌであり、Hyper-Vはその延長線䞊にあ

るずいうのがマむクロ゜フトの認識です。おそらく、シトリッ

クスでも同じですよね。村䞊◎ナヌザヌ・ニヌズの倉遷ずずもに、以前から存圚

しおいたテクノロゞヌが進化を遂げ、珟圚に至ったずい

う点ではたったく同じ認識です。

たず、䞭堅・䞭小䌁業ぞの導入が進む

吉田◎2007幎末に、本誌のモニタヌ読者を察象にサ

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Computerworld February 200944

PART2◎これから必芁な仮想化テクノロゞヌはこれだ

ロゞヌを適甚すれば、簡単にその問題を排陀できるわ

けですね。そういうこずからするず、仮想化テクノロゞヌ

は、たず䞭堅・䞭小䌁業ぞの導入が進み、そこから加

速床的に普及しおいくだろうず予想できたす。

ハむパヌバむザ間の互換性は

吉田◎仮想化テクノロゞヌがさらに普及するためには、

克服すべき課題もありたす。䟋えば、各瀟のハむパヌバ

むザ間に互換性がないずいう問題に぀いおは、どうお考

えでしょうか。村䞊◎すでに、マむクロ゜フト、シトリックス、ノむ゚ムりェ

アに、デル、ヒュヌレット・パッカヌドHP、IBMを加え

た6瀟が、共同で仮想マシンの可搬性を高める業界

暙準フォヌマットの仕様「OVFOpen Virtual Machine

Format」を暙準化団䜓DMTFDistributed Mana

gement Task Forceに提出しおいたす。OVFは、各

瀟ごずの仕様の違いを差分ずしおXML圢匏で定矩し

たものです。これが暙準化されれば、ハむパヌバむザの

盞互運甚ができるようになるでしょう。藀本◎マむクロ゜フトずシトリックスでは、さらに付加䟡倀

的な機胜を远加するために、頻繁にミヌティングを行っ

おいたす。たた、マむクロ゜フトでは、仮想化環境の統

合管理ツヌル「System Center Virtual Machine

Manager 2008」でノむ゚ムりェアのハむパヌバむザ

「ESX」をすでにサポヌトしおおり、皌働䞭の仮想マシン

をサヌバ間で瞬時に移行する「VMotion」の機胜にも

察応しおいたす。

村䞊◎サヌドパヌティからも倉換ツヌルが提䟛されおい

るので、それらを利甚すれば異なるハむパヌバむザでも

盞互運甚は可胜です。ただし、その堎合には、各瀟の

ハむパヌバむザごずにそれぞれ管理ツヌルを甚意しなけ

ればなりたせん。この問題を解決するために、OVFに

よる暙準化が進められおいるわけです。吉田◎OVFずいう1぀のバスを通しお盞互に乗り入れ

できる環境が敎い぀぀あるずいうわけですね。村䞊◎そのずおりです。ちなみに、シトリックスでは、異

皮混圚型の仮想化環境であっおも移動可胜な仮想ア

プラむアンスを䜜成するためのツヌルキット「Project

Kensho」を2008幎7月に発衚したした。これにより、

XenServer、Hyper-V、ESXの混圚環境であっおも

管理・運甚するこずが可胜になりたす。Project Kensho

は、アマゟン・ドットコムが提䟛しおいるクラりド・サヌビス

「Elastic Compute CloudEC2」でも䜿甚されおい

たすが、クラりド間における仮想アプラむアンスの可搬性

を高めるためには、このようなツヌルが䞍可欠であるず

考えおいたす。藀本◎マむクロ゜フトも、OSずアプリケヌションを最適化し

た仮想アプラむアンスを2009幎1月から順次リリヌスしお

いく予定です。クラりド・コンピュヌティング時代に向け

お、呚蟺環境の敎備を進めおいるずころです。吉田◎珟状では、仮想環境を管理するためのツヌルに

も互換性がありたせんよね。村䞊◎その問題の解決に向けた取り組みも始たっおお

り、仮想サヌバを管理するための暙準プロファむル・セッ

トがDMTFによっおすでにリリヌスされおいたす。このプ

ロファむル・セットは、CIMCommon Information Mod

elをベヌスずしおおり、管理情報を盞互運甚可胜なか

たちでやり取りできるようになっおいたす。吉田◎そのほかに、仮想化したシステムにトラブルが発

生したずきに、その原因の特定が難しいずいう問題もあ

るかず思いたす。藀本◎マむクロ゜フトでは、「Server Virtualization Vali

dation ProgramSVVP」ずいう認定プログラムを実

斜しおいたす。これは、゜フトりェア・ベンダヌ各瀟が提

䟛する仮想化゜フトりェアずWindowsプラットフォヌムの

動䜜怜蚌を行い、動䜜保蚌を認定するプログラムで

す。この認定を取埗した゜フトりェアには、その゜フトりェ

ア・ベンダヌずマむクロ゜フトによる共同技術サポヌトが提

䟛されたす。SVVPには、シトリックスも参加しおいたす

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February 2009 Computerworld 45

特 集 仮想化テクノロゞヌはただただ進化する

よね。村䞊◎「XenServer 5」がすでに認定を受けおいたす。

これにより、XenServer 5䞊で皌働するWindows

Serverやマむクロ゜フトのサヌバ・アプリケヌションのテク

ニカル・サポヌトを、物理環境ず同様にマむクロ゜フトか

ら受けるこずができたす。たた、ハむパヌバむザずハヌドり

ェアの障害の切り分けを支揎する環境も敎い぀぀あ

り、珟圚、ナヌザヌやパヌトナヌ各瀟ず情報を共有する

ためのコミュニティ・サむトを立ち䞊げる準備を進めおい

たす。

サヌバ仮想化の普及を阻害する芁因は

吉田◎サヌバ仮想化の普及を劚げる芁玠はないのでし

ょうか。䞀時期、物理環境ず仮想環境の䞡方を管理し

なければならないため、かえっお管理䜜業が煩雑にな

るずいった声もあったようですが。村䞊◎珟圚は管理ツヌルも進化したので、物理環境ず

仮想環境を容易に管理できるようになっおいたす。シト

リックスが提䟛しおいる管理ツヌルでは、どこで䜕が皌

働しおいるのか䞀目瞭然ですし、必芁な情報を怜玢し

たり、゜ヌトしたりするこずもできたす。藀本◎管理䜜業が煩雑になるずいうのは、ずらえ方の

問題かもしれたせんね。䟋えば、瀟内に点圚する耇数

のファむル・サヌバをHyper-Vで集玄した堎合、これた

で管理しおいなかった他郚門のサヌバたで、だれかが

管理しなければならなくなりたす。吉田◎なるほど。郚眲間の壁ずいうのは、どこの䌁業に

もありそうですね。村䞊◎仮想化テクノロゞヌを適甚する前に、その目的を

十分に怜蚎し、あらかじめガむドラむンを蚭けるべきだず

思いたす。サヌバの仮想化では、党䜓最適ず郚分最

適のどちらを目指すのかを怜蚎する必芁がありたす。

党䜓最適のほうが効果は倧きいのですが、瀟内の調

敎に時間がかかるこずが予想されたすので  。藀本◎䞀般的には、たず郚門ごずに分かれおいるサヌ

バを集玄するずころから着手するのがよいでしょう。぀た

り、郚分最適です。それを繰り返すこずで、自然ず党

䜓最適に結び぀くず思いたす。吉田◎先に玹介した本誌の調査では、「仮想化技術

の導入に際しお障壁ずなるものは䜕か」ずいう質問もし

たした。その結果、半数以䞊の回答者が、「仮想化技

術に関するスキルおよび経隓の䞍足」を挙げたした。

仮想化テクノロゞヌの普及を促進するには、゚ンゞニア

の育成も䞍可欠だず蚀えそうですね。藀本◎その問題は、マむクロ゜フトずしおも認識しおいた

す。仮想化テクノロゞヌの適甚にあたっお新たなスキル

の習埗が必芁になるずしたら、ナヌザヌは導入に二の

足を螏むかもしれたせん。そうした䞍安を抱くこずがない

ように、マむクロ゜フトでは、Windows Serverの暙準

機胜ずしおHyper-Vを提䟛しおいるのです。Windows

Serverを操䜜できれば、仮想サヌバの操䜜に迷うこず

はないでしょう。たた、Hyper-Vを䜿ったシステムの蚭

蚈・構築・運甚管理を手がける゚ンゞニア向けの「Mic

rosoft Certified Technology SpecialistMCTS」

ず、それを販売する営業マン向けの「Microsoft Hy

per-V導入アドバむザヌ」ずいう2皮類の認定資栌を甚

意しおおり、それぞれに合ったトレヌニングも展開しおい

たす。

察ノむ゚ムりェア戊略は

吉田◎ずころで、マむクロ゜フトずシトリックスは、埓来から

提携関係にありたす。珟圚では、それが“ノむ゚ムりェ

ア包囲網”にも芋えるのですが、実際にはどうなのでし

ょうか。藀本◎サヌバの仮想化に最も叀くから取り組んでいる

のはノむ゚ムりェアであり、マむクロ゜フトは埌発です。し

かし、サヌバ仮想化が泚目されるようになったのはここ

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Computerworld February 200946

PART2◎これから必芁な仮想化テクノロゞヌはこれだ

数幎であり、垂堎を開拓しおいく䜙地は十分にありた

す。実際、䌁業が利甚しおいるサヌバのうち、仮想化

されおいるものの割合は、ただごくわずかです。たた、

これたでの仮想化テクノロゞヌが、ナヌザヌ・ニヌズを

完党に満たしおいるわけでもないず思いたす。したがっ

お、特にノむ゚ムりェア包囲網ずいうのは、意識しおい

たせん。村䞊◎シトリックスずしおも、たったく同様に考えおいた

す。珟圚は、ナヌザヌ・ニヌズを発掘し、垂堎を開拓し

おいく段階であり、ただただ成熟した垂堎ではないず認

識しおいたす。藀本◎よく「マむクロ゜フトの察ノむ゚ムりェア戊略を教え

おください」ずの質問を受けるのですが、実は、皆さん

が思っおいるほど、マむクロ゜フトはノむ゚ムりェアのこず

を意識しおいるわけではありたせん。仮想化ずいう垂堎

のパむを取り合う前に、たず仮想化のメリットを蚎求し、

普及を掚進しおいきたいのです。村䞊◎仮想化テクノロゞヌを普及させるためには、囜内

ナヌザヌのニヌズを米囜の開発チヌムにフィヌドバック

しおいくこずも重芁です。成長の䜙地が倧きい垂堎な

ので、今埌が楜しみです。早くパむを取り合える状況に

したいですね。吉田◎今、普及に関する話題が出たしたが、日本は米

囜に比べるず仮想化テクノロゞヌの普及が遅れおいる

ず蚀われおいたす。普及の起爆剀になるものがあるずし

たら、それは䜕だずお考えですか。藀本◎仮想化テクノロゞヌを適甚しおいる䌁業は、着

実に増えおいたす。すでにテスト導入しおいる䌁業も、

かなりの数に䞊りたす。マむクロ゜フトずしおは、今埌の

飛躍に十分な手応えを感じおいたす。村䞊◎テスト導入の件数が増えれば、本番環境ぞの導

入も増えるこずは確実です。日本では、たず仮想デスク

トップが起爆剀ずなり、それに次いで、背埌で皌働する

仮想サヌバのニヌズが倧きくなるのではないでしょうか。

たた、景気も倧きく圱響するでしょう。先日、米囜本瀟

のスタッフが蚀っおいたのですが、米囜の経枈状況は

日本から芋おいる以䞊に深刻で、IT郚門ではコスト削

枛が急務ずなっおいるそうです。そのため、コスト削枛

効果が芋蟌める仮想化テクノロゞヌは、さらに導入が

進むだろうず笑顔で話しおいたした。たた圌は、間もなく

日本も同じ状況になるのでは、ずも蚀っおいたした。

吉田◎ずなるず、2009幎が仮想化テクノロゞヌのタヌニ

ング・ポむントになりそうですね。䞍況だからこそ、仮想

化テクノロゞヌでコスト削枛を図るずいうのは、IT郚門ず

しおは正しい戊略なのでしょうが、これ以䞊景気が悪

化するのだけは勘匁しおもらいたいですね。

番倖線  メヌル・むンタビュヌ

マむクロ゜フトずシトリックスは脅嚁ずは感じない

──珟圚の仮想化テクノロゞヌの普及状況をどう芋おいるか。堀江◎テスト開発環境やサヌバ統合ずいった領域にずどたらず、ビゞネス継続性BCやディザスタ・リカバリDRの甚途でも利甚されおおり、デスクトップの領域にも広がり぀぀ある。われわれが2008幎11月に実斜した調査では、玄半数がすでに本番環境で運甚しおいるこずが明らかになった。

──さらなる普及に向けお起爆剀ずなるものがあるずすれば、それは䜕か。堀江◎仮想化テクノロゞヌは、日本では2007幎から普及段階に突入したず認識しおいる。倧芏暡環境での導入件数は、囜内だけでも1,000件を超えおいる。さらなる普及を促すために、今埌は、運甚管理やセキュリテ

ィ関連の匷化を図るず同時に、基幹むンフラに求められる゜リュヌションを展開しおいきたいず考えおいる。

──仮想化テクノロゞヌ導入の障壁ずしお、゚ンゞニア䞍足やスキル䞍足を挙げるナヌザヌが倚い。その問題に察しおは、どういった取り組みを行っおいるのか。堀江◎今埌の匷化ポむントであるず認識しおいる。たず、教育系のパヌトナヌを増やし、認定教育も頻繁に開催しおいきたい。たた、仮想むンフラに特化するのではなく、DRや仮想デスクトップ管理などの領域もカバヌしおいく蚈画だ。

──仮想環境においお障害が発生した堎合のサポヌト䜓制に぀いお教えおいただきたい。

堀江◎ノむ゚ムりェアは、OEMパヌトナヌなどず密接に連携しおおり、ハむパヌバむザ、ハヌドりェア、ゲストOSずいった倚面的な障害分析のノりハりを蓄積しおいる。たた、マむクロ゜フトのSVVP認定も取埗しおいる。もっずも、われわれのハむパヌバむザは、基本的にホスト型ではないため、ゲストOSおよびアプリケヌションずの組み合わせに起因する問題は発生しないず考えられる。

──マむクロ゜フトずシトリックスを脅嚁だず感じるか。堀江◎率盎に蚀っお、珟時点では脅嚁であるずは感じおいない。そもそも、珟堎で競合したこずがほずんどないからだ。ずはいえ、垂堎拡倧のためには、ナヌザヌの遞択肢は倚いほうが望たしい。

ノむ゚ムりェアプロダクトマヌケティングマネヌゞャ

堀江 培氏

Page 31: Computerworld.JP Feb, 2009

February 2009 Computerworld 47

iSCSIFCoE仮想化グリヌンITデヌタ・ラむフサむクル管理

iSCSI

仮想化

グリヌンIT

FCoE

デヌタ・ラむフサむクル管理

倧量のデヌタを効率的に管理し、将来にわたっお情報の可甚性ず安党性を維持しおいくためには、䌁業芏暡やビゞネス䞊のニヌズに適したストレヌゞ技術を適切なタむミングで導入・掻甚するこずが䞍可欠である。ストレヌゞ・システムは、いったん導入するず乗り換えが難しい。それゆえ、垂堎のトレンドずベンダヌの戊略をきちんず把握しおおくこずが重芁なのだ。本䌁画では、「トレンド線」においおストレヌゞを巡る5぀のキヌワヌドで垂堎を展望したのち、「ベンダヌ線」でストレヌゞ・ベンダヌ4瀟の取り組みを玹介する。

特別䌁画1 5぀のキヌワヌドでトレンドを぀かむ

ストレヌゞデヌタ保護の戊略ず実践

癟瀬 厇

Page 32: Computerworld.JP Feb, 2009

48 Computerworld February 2009

タベヌスや業務甚に䜜り蟌たれたアプリケヌションのデ

ヌタが䞭心だった。珟圚でも、それらのデヌタが占める

割合は倧きいし、たたその容量も増えおいるが、それ以

䞊に増加しおいるのが、電子メヌルやWebペヌゞなど

を含むオフィス系のデヌタである。珟代の䌁業には、こ

うしたデヌタをいかに管理すべきかずいう課題も課せら

れおいるわけである。

 さらに、デヌタ保護に関する囜内䌁業の考え方も、

2006幎から2007幎にかけお倧きく倉わった。その背

景にあるのは、「金融商品取匕法J-SOX法」に代

衚される芏制や法埋の成立・斜行だ。日本䌁業は以

前はデヌタ保護の取り組みにあたり積極的でなかった

膚匵ず倚様化が進みデヌタ保護ぞの関心が高たる

 䌁業におけるストレヌゞ容量の増倧はずどたるずころを

知らない。調査䌚瀟IDCゞャパンのリサヌチ第1ナニッ

ト グルヌプディレクタヌ、森山正秋氏によるず、幎間40

50の割合で䌁業向けストレヌゞの出荷容量が増え

おいるずいう図1。「倚くの䌁業が、管理すべきデヌ

タ量の激増に芋舞われおいる」ず森山氏は指摘する

図2。

 たた最近は、デヌタの皮類も倚様化する䞀方だ。スト

レヌゞに栌玍するものず蚀えば、510幎前たではデヌ

トレンド線

䌁業のストレヌゞ戊略を決める5぀のキヌワヌドトレンドの倉化を぀かみ最適なストレヌゞを芋぀ける膚匵ず倚様化を宿呜ずするデヌタを効率よく管理しおいくためには、ストレヌゞを巡る垂堎トレンドを基に運甚方針を確立する必芁がある。そこで、この「トレンド線」では、「iSCSI」「FCoE」「仮想化」「グリヌンIT」「デヌタ・ラむフサむクル管理」ずいう5぀のキヌワヌドを軞に、ストレヌゞ垂堎の最新トレンドを分析する。

図1囜内ディスク・ストレヌゞ・システム出荷容量の実瞟ず予枬単䜍ペタバむト

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

2004幎 2005幎 2006幎 2007幎 2008幎 2009幎 2010幎 2011幎 2012幎

3,233

2,060

1,300

808

500312

21414696

出兞IDC

Page 33: Computerworld.JP Feb, 2009

49February 2009 Computerworld

ストレヌゞデヌタ保護の戊略ず実践特別䌁画 1

が、その傟向はここ23幎で倉化し、デヌタ保護技術

に関する投資が増えおきおいるのだ。「䟋えば、バック

アップ管理゜フトりェアやミッドレンゞ・クラスのテヌプ・スト

レヌゞぞの投資が䌞びおいる」森山氏

 さらに先を行く䌁業は、ディザスタ・リカバリにも積極的

だ50ペヌゞの図3。数幎前たで、ディザスタ・リカバリ・

システムを導入するのは倧芏暡䌁業や金融機関に限

られおいたが、ここにきお補造業や流通業ずいった幅広

い業皮で採甚されるようになった。地理的に離れた2

぀のデヌタセンタヌ間で定期的にレプリケヌションを行う

など、䞍枬の事態に備える動きが掻発化した結果だ。

 「ここ12幎、自瀟のIT投資や芏暡に合わせおデ

ィザスタ・リカバリを導入する䌁業が増えおいる。この傟

向がストレヌゞ垂堎に倧きな圱響を䞎えおおり、今埌の

動向が泚目される」森山氏

 ディザスタ・リカバリぞの取り組みが掻発化しおいるの

は、システムがダりンしたりデヌタを倱ったりするこずによ

るビゞネス・ロスの倧きさを、倚くの䌁業がきちんず認識

し始めおいるからだ。システム・ダりンやデヌタ損倱は、

顧客や取匕先䌁業に䞎えるむンパクトが倧きいだけでな

く、䌁業の瀟䌚的な評䟡にもかかわる問題である。

 たた、最近目立぀のが、取匕先䌁業の遞定基準に

ディザスタ・リカバリを含める動きである。事業継続蚈画

Business Continuity Planを実践しおいるかどうか

を遞定基準に入れる䌁業も珍しくなくなった。

 このようにディザスタ・リカバリぞの察応が進めば、圓

然のこずながらストレヌゞ容量は増えおいく。そこで問題ず

なるのが、倧容量のストレヌゞをいかに確保し、倚皮倚

様なデヌタをいかに効率よく管理しおいくかずいう点だ。

 FC SANFibre Channel Storage Area Network

に代衚される埓来のストレヌゞ・システムは導入や運甚

が容易ではないし、かずいっお単なるNASNetwork

Attached Storageではデヌタの管理性やストレヌゞ

の拡匵性に問題が残る。たた、ストレヌゞ容量を増やせ

ば、圓然電力消費や蚭眮スペヌスの問題も生じる。

 そこで登堎しおきたのが、以䞋で取り䞊げる「iSCSI」

「FCoE」「ストレヌゞ仮想化」ずいった技術や、「グリヌ

ンIT」「デヌタ・ラむフサむクル管理」ずいった取り組みで

ある。

キヌワヌド①

iSCSIサヌバ仮想化を進める䞭小䌁業に有効

 「iSCSIinternet Small Computer System

Interface」補品が登堎しおからかなりた぀が、囜内で

も囜倖でもなかなか垂堎が広がらず、いただ䜎空飛行

を続けおいるずいうのが実情だ。その理由ずしおは、

iSCSI察応補品がただ少ないこず、ナヌザヌの認知床

が䜎いこずが挙げられる。ただし、2008幎を境にそうし

図2ストレヌゞぞの投資理由。「デヌタ量増加ぞの察応」を図る䌁業が増えおいる2008幎アンケヌト調査、204瀟を察象、耇数回答

0 20 40 60 80 100瀟

デヌタ量増加ぞの察応

セキュリティ匷化

バックアップ手法芋盎し

デヌタ共有

灜害察策

システムの信頌性向䞊

法芏制ぞの察応

デヌタ長期保存

ストレヌゞ統合

システムの可甚性向䞊

ファむル・サヌバ統合

管理コスト削枛

バックアップ統合

管理の簡玠化

本瀟・拠点間ストレヌゞ統合

ストレヌゞ仮想化

101

6656

51

48

43

43

38

32

27

2626

2323

17

6

出兞IDC

Page 34: Computerworld.JP Feb, 2009

50 Computerworld February 2009

床な技術を必芁ずするため、䞭堅・䞭小䌁業にずっお

は敷居が高かった。そこで、比范的敷居の䜎い

iSCSIが遞択肢ずしお浮䞊しおきたずいうわけだ。実

際、郚門単䜍でiSCSIを導入する䟋は増えおいる。

 「iSCSIは、補品金額ベヌスで芋るずストレヌゞ垂堎

党䜓の5にも満たない。しかし、䌞び率はストレヌゞ技

術の䞭でいちばん高い。2008幎䞊半期には前幎比

100増ずいう䌞びを蚘録した」森山氏

 今埌、サヌバ統合やサヌバ仮想化が䌁業で進行す

るに埓い、ネットワヌク・ストレヌゞの需芁も増えおいくは

ずだ。その䞭で、iSCSIの果たす圹割も次第に倧きく

なっおいくず考えられる。

 iSCSIの普及を阻害する芁因があるずすれば、それ

は認知床の䜎さであろう。サヌバ統合の事䟋の䞭には、

ストレヌゞの遞択肢にiSCSI補品が含たれないケヌスも

あるずいう。しかし、安䟡で管理が容易ずいうiSCSIのメ

リットが浞透すれば、サヌバ統合やサヌバ仮想化ぞの

道が新たに開かれる可胜性も出おくるはずだ。

 「iSCSIは、FC SANに眮き換わるものずいうより

は、新しい需芁を満たすものだ。これたでサヌバの内

蔵ディスクでRAIDを組んでいたナヌザヌが、サヌバ統

合仮想化にあたっお初めおネットワヌク・ストレヌゞを

導入する際にiSCSIを遞択する、ずいったケヌスが増

えるだろう」森山氏

 珟圚、iSCSIの普及に貢献しおいるのは、サヌバ

統合やサヌバ仮想化を積極的に進めおいる䞭堅䌁業

である。やはり、高床な知識・技術を必芁ずせず自瀟

で管理できるこずず、比范的コストが䜎いこずが人気の

た状況も倉わり぀぀ある。マヌケット自䜓はただ小さい

が、䌞びに勢いが芋られおきたのだ図4。

 iSCSI補品の垂堎が䌞び始めた背景には、サヌバ

統合やサヌバ仮想化の導入が囜内で加速しおいるこ

ずがある。サヌバ統合仮想化は、これたでは倧䌁業

が䞭心ずなっお察応・導入を進めおきた技術だ。それ

が、管理コストや効率を最適化したり、電力消費を䜎

枛したりするために、䞭堅・䞭小䌁業にも導入が広がり

぀぀あるのだ。

 サヌバ統合仮想化を進めるにあたっお問題ずなる

のは、ストレヌゞの構築方法である。埓来は、このよう

な芁件の堎合はFC SANを採甚するケヌスが倚かっ

た。しかし、FC SANは、投資芏暡が倧きいうえに高

図3ディザスタ・リカバリの実態。システムのバックアップやテヌプによるデヌタ保管を実践しおいる䌁業が倚い2008幎アンケヌト調査、204瀟を察象、耇数回答

122

107

57

43

21

21

48

18

8

4

2

0 20 40 60 80 100 120 140瀟

システム・バックアップ

テヌプ保管同䞀敷地

テヌプ保管遠隔地

灜害察策プラン䜜成

システム2重化同䞀敷地

灜害察策蚓緎実斜

リモヌト・バックアップ

システム2重化遠隔地

灜害察策組織蚭立

その他

IT芁員の分散配眮

出兞IDC

IDCゞャパン リサヌチ第1ナニット グルヌプディレクタヌの森山正秋氏。氏は、「ロヌ゚ンドではiSCSI、ハむ゚ンドでは䟝然FC SANが匷く、FCoEはミッドレンゞ・クラスから普及しおいくず思われる」ず、ストレヌゞ垂堎の動きを予想する

Page 35: Computerworld.JP Feb, 2009

51February 2009 Computerworld

ストレヌゞデヌタ保護の戊略ず実践特別䌁画 1

理由だ。今埌、サヌバ統合仮想化を進める䌁業が

増えおいけば、iSCSIのマヌケットが小芏暡䌁業たで

広がる可胜性は十分にある。

キヌワヌド②

FCoELAN/SAN統合ずパフォヌマンス保蚌がメリット

 FCoEFibre Channel over Ethernetは登堎し

おからただ日が浅く、垂堎もこれから立ち䞊がる段階に

あるため、その動きを正確に分析するのは容易ではな

い。だが、FCoEから埗られるメリットを基に考えれば倧

たかな予枬は可胜だ。

 珟圚、䌁業にはLANIPネットワヌクずSANの2぀

のネットワヌクが䜵存しおおり、その管理負担は決しお

小さくない。FCoEは、これら2぀のネットワヌクを統合

するものず䜍眮づけられおいるため、察応補品が垂堎

に出回るようになれば、このメリットを生かそうずする䌁

業はおのずず増えるだろう。

 FCoEのもう1぀のメリットは、パフォヌマンスの保蚌

だ。これが既存のLANず最も異なる点である。ミッショ

ン・クリティカルなデヌタを扱うにあたり、デヌタやパフォ

ヌマンスを保蚌しおいるストレヌゞ機噚を重芖する䌁業

は少なくない。そうした䌁業ナヌザヌにずっお、FCoE

は有力な遞択肢ずなりうるに違いない。

 FCoEの普及を劚げる芁因ずしおは、FC SANの

存圚がある。FC SANは広く普及しおおり、倚額の投

資を行っおいる䌁業も少なくない。たた、䞊述したよう

に、iSCSI垂堎が急速に成長し぀぀あるのに察し、

FCoEはかなり出遅れおいるずいうのも気になる。さら

に、FCoEの導入にはネットワヌク・むンフラぞの投資が

必芁だ。これは、FCoEの導入がロヌ゚ンドよりもミッドレ

ンゞ・クラス以䞊で進むず芋られる理由でもある。

 「今埌5幎の間に、ロヌ゚ンドではiSCSIがある皋床

のポゞションを確保するだろう。ハむ゚ンドのデヌタセンタ

ヌにはすでにFC SANが導入されおいるため、これは

そのたた運甚されおいくず思われる。FCoEは、この䞡

者の䞭間ずなるミッドレンゞ・クラスから普及し始めるので

はないか」ず森山氏は分析する。

キヌワヌド③

ストレヌゞ仮想化資産掻甚ず管理負荷軜枛に効果的

 ストレヌゞの仮想化は、サヌバ仮想化に比べお、囜

内ではあたり導入が進んでいない。倚くの䌁業がストレ

ヌゞの物理統合を進めおいる最䞭であるこず、所有し

おいるデヌタの芏暡がただ小さいこずなどが、その理由

だ。ただし、管理察象のデヌタ容量が今埌増えおいく

のは明らかで、そうなれば倚くの䌁業がストレヌゞ仮想

図4囜内におけるiSCSI補品の売䞊げ実瞟ず予枬。2008幎を起点に急激な䌞びが予枬されおいる単䜍癟䞇円

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

40,000

2004幎 2005幎 2006幎 2007幎 2008幎 2009幎 2010幎 2011幎 2012幎

36,603

32,594

26,499

14,540

4,616

98743916880

出兞IDC

Page 36: Computerworld.JP Feb, 2009

52 Computerworld February 2009

化のメリットを享受できるようになるはずである。

 ストレヌゞ仮想化のメリットずしおは、ストレヌゞ資産の

効率的な掻甚が挙げられる図5。たた今埌は、ダりン

タむムを小さくできるこずや、システムを止めずにデヌタを

移行できるこず、デヌタ保護の信頌性を高めるこずな

ど、運甚管理面でのメリットが導入を決定する際のポむ

ントになっおいくだろう。

 「ストレヌゞ仮想化の本圓のメリットは運甚管理面にあ

る。将来的には、ビゞネス芁件に合わせおストレヌゞを

構成するずいった柔軟な察応も可胜になるはずだ。今

のずころ、ストレヌゞ仮想化を実践しおいる䌁業は党䜓

の数パヌセントにすぎないが、今埌は段階的に導入が

進むものず思われる」森山氏

 ストレヌゞ仮想化の導入圢態ずしおは、既存システム

に远加するのではなく、システムの曎新に合わせお導

入するケヌスのほうが圧倒的に倚い。そのためストレヌ

ゞの物理統合段階にある囜内䌁業では、導入䌁業が

2割近い米囜に比べ、普及に時間がかかっおいるよう

だ。だが、ストレヌゞ仮想化を怜蚎する䌁業が増えおい

るのは確かである。

 「ストレヌゞ仮想化を有効掻甚できる堎面がはっきり

すれば、おそらく34幎で導入が加速するだろう」ず

森山氏は芋おいる。

 ストレヌゞ仮想化ずは異なるが、サヌバ仮想化におけ

るストレヌゞの扱いに぀いおも觊れおおこう。

 2008幎以降、サヌバ仮想化の動きが囜内䌁業でも

数倚く芋られるようになっおきた。そうしたなかで泚目し

たいのは、サヌバ仮想化に䌎うストレヌゞの動向だ。サ

ヌバ仮想化のメリットを最倧限に生かそうずするず、倖

付けストレヌゞ、特にネットワヌク・ストレヌゞが必芁にな

る。それゆえ、サヌバ仮想化ず同時に、新しいストレヌゞ

を導入する䌁業は増えおいくはずである。

 ここでポむントずなるのは、これたで高床なストレヌゞ・

システムを持っおいなかった䌁業ナヌザヌが、サヌバ仮

想化環境の䞭でストレヌゞを管理する必芁に迫られるこ

ずだ。぀たり、管理性に優れたストレヌゞやストレヌゞ管

理ツヌルなどが重芁になっおくるずいうこずである。

 サヌバ仮想化を進めおいくず、倧容量や高信頌性、

高パフォヌマンスずいったストレヌゞに関するニヌズが生

じる。だが、それ以䞊に重芁なのは、ストレヌゞ仮想化

ず同様、運甚管理をどれだけ容易に、か぀効率的に

行えるかずいうこずなのだ。

キヌワヌド④

グリヌンITデヌタ容量ずハヌドりェアの最適化がポむント

 サヌバの導入にあたっお、その電力消費量は重芁

な遞定ポむントずなる。電力消費量の削枛をねらっおサ

ヌバ統合を進める䌁業も増えおいるようだ。その傟向

は、ストレヌゞにおいおも同様である。

 ストレヌゞ・ベンダヌのグリヌンITぞの取り組みはさた

ざただ。䟋えば、「MAIDMassive Array of Idle

Disks」「シン・プロビゞョニング」「デデュプリケヌション

重耇排陀」ずいった機胜をアピヌルするベンダヌもい

る。こうした機胜により、デヌタ容量そのものを枛らした

図5ストレヌゞ仮想化の目的。ストレヌゞ資産・容量の有効利甚ず、運甚管理の負荷軜枛を図る䌁業が倚い2008幎アンケヌト調査、23瀟を察象、耇数回答

18

14

13

9

9

8

5

4

4

2

1

1

0 10 20瀟

ストレヌゞ資産有効利甚

ストレヌゞ容量有効利甚

運甚・管理環境の簡玠化

運甚・管理コストの削枛

運甚・管理の効率化

可甚性の向䞊

拡匵性の向䞊

異皮ストレヌゞ統合管理

デヌタ移行の容易化

灜害察策

ダりンタむムの解消

階局型ストレヌゞ構築

出兞IDC

Page 37: Computerworld.JP Feb, 2009

53February 2009 Computerworld

ストレヌゞデヌタ保護の戊略ず実践特別䌁画 1

りハヌドりェアを枛らしたりしお、システム党䜓で電力消

費量を削枛しようずいうわけである。

 なかでも、シン・プロビゞョニングずデデュプリケヌショ

ンはグリヌンIT化にずっお重芁な機胜だ。ただし、「そ

れが䌁業でのストレヌゞ賌買に結び付くのは、2009幎

か2010幎ごろ」ず森山氏は予枬する。

 珟時点で䌁業ナヌザヌでの事䟋が倚いのは、ストレ

ヌゞを統合しおハヌドりェアを枛らすずいう取り組みだ。

その次に倚いのは、安䟡なテヌプ・メディアにデヌタを

移すこずである図6。叀いデヌタをテヌプにアヌカむブ

するこずで、デヌタが新たに増えおもプラむマリのストレヌ

ゞ容量を増匷せずに枈み、結果的に電力消費を抑え

るこずができるからだ。

 グリヌンIT化で問題になるのは、䞀般的な囜内䌁

業の堎合はデヌタセンタヌの管理者ずIT機噚の賌入

者が異なり、デヌタセンタヌ蚭備ずIT機噚のラむフサむ

クルがずれおしたうずいう点だ。最新の省電力IT機噚

をそろえおも、デヌタセンタヌの蚭備がそれを生かせるよ

うな構造になっおおらず、グリヌン化がなかなか進たな

いケヌスも倚々ある。

 森山氏によれば、デヌタセンタヌの蚭備ずIT機噚ず

を統合し、同䞀のラむフサむクルで管理しおいくこずが、

グリヌンITでは重芁なポむントになるずいう。「実際、スト

レヌゞ・ベンダヌの倚くは、ファシリティを提䟛しおきたベン

ダヌず連携しおデヌタセンタヌ・゜リュヌションを提案する

などの動きを芋せおいる。グリヌンITずいう芳点からデヌ

タセンタヌぞの投資を怜蚎する囜内䌁業も、2007幎か

ら2008幎にかけお確実に増えおいる」森山氏

キヌワヌド⑀

デヌタ・ラむフサむクル管理デヌタ管理のあり方を倉化させる可胜性

 米囜䌁業の間でデヌタ・ラむフサむクル管理の導入

が進んでいる背景には、法芏制の匷化がある。䞀方、

日本䌁業の堎合は、これたで法芏制が緩かったこずも

あり、34幎ほど前からデヌタ・ラむフサむクル管理自

䜓の認知床は高たっおきおいるものの、導入が進むた

でには至っおいない。だが最近は、金融商品取匕法

などによっお法芏制が匷化され、日本䌁業の考え方も

倉わり぀぀あるようだ。

 デヌタ・ラむフサむクル管理によっお効率的なデヌタ

管理が可胜になれば、電力消費量の削枛ずいうメリット

も生じる。この点に着目し、グリヌンITぞの取り組みの

䞀環ずしおデヌタ・ラむフサむクル管理をずらえる囜内䌁

業も出始めおいる。

 デヌタ・ラむフサむクル管理の実践にあたっお、最も

重芁なポむントずなるのは、自瀟ビゞネスに合わせおデヌ

タ管理手法を倉化させるこずである。しかし、これを実

践できおいる䌁業はただ少ない。ずはいえ、コンプラむア

ンスやグリヌンITぞの取り組みをきっかけずしおデヌタ・

ラむフサむクル管理の導入が進めば、䌁業のデヌタ管

理は倧きく倉わっおいくはずだ。

 そしおこの倉化こそが、囜内倖のラむバル䌁業ず競っ

おいくうえでの力になる。「ビゞネスの歊噚ずしお扱える

ほどに消化させられれば、本圓の意味でのデヌタ・ラむ

フサむクル管理が完成する」森山氏

図6ストレヌゞ・システムにおける導入枈み導入予定の省電力察策。ストレヌゞを統合しおハヌドりェアを削枛しようずする䌁業が倚い2008幎アンケヌト調査

■■ストレヌゞ統合によるシステム数削枛■■テヌプぞのデヌタ・アヌカむブ■■シン・プロビゞョニングの利甚

■■2.5むンチHDD搭茉システムの利甚■■デデュプリケヌションの利甚■■MAIDの利甚

■■察策を講じる蚈画はない■■わからない

総合

埓業員数1,000人以䞊

100人 999人

1人 99人

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

出兞IDC

Page 38: Computerworld.JP Feb, 2009

54 Computerworld February 200954 Computerworld February 2009

デル3補品シリヌズのすべおでiSCSIに察応、ストレヌゞ仮想化ではコスト・メリットを蚎求

iSCSI垂堎の成長を確信問題は認知床の䜎さ

 このずころiSCSI垂堎でデルの動きが掻発化しおい

る。2008幎1月にはiSCSI専甚ストレヌゞのベンダヌで

あるむコヌルロゞックを買収し、ワヌルドワむドのiSCSIス

トレヌゞ垂堎シェアで銖䜍に躍り出た。デルは珟圚、

「PowerVault」「DellEMC」「EqualLogic」ずいう3

シリヌズのストレヌゞ補品をラむンアップしおいるが、この

3シリヌズすべおにおいおiSCSI察応補品を甚意しお

いるこずになる。このこずからも、iSCSIに察するデルの

匷い意気蟌みがうかがえる。

 デルの゚ンタヌプラむズ゜リュヌション・マヌケティン

グ本郚でストレヌゞブランドマネヌゞャヌを務める今井兌

人氏は、同瀟がiSCSIに泚力する理由の1぀ずしお

「iSCSI垂堎がこれから成長する方向に向かっおいる

こず」を挙げる。珟圚のずころ、SAN垂堎党䜓ではや

はりFCファむバ・チャネルが䞻流であり、iSCSIはた

だただ少数掟だ。だが、これからはiSCSIのほうが倧き

く䌞びおいくず同瀟は芋おおり、「今埌の成長が期埅

できる重芁なアむテムの1぀だ」今井氏ず認識しおい

るのである。

 「コスト面での優䜍性」や「運甚管理の容易性」ずい

う点も、デルがiSCSIを高く評䟡するポむントだ。コスト

に぀いおは芏暡や構成などの倉動芁因はあるが、同

瀟の詊算によれば、iSCSIはFCの10分の1皋床のコ

ストでSANを構築できるずいう。たた、運甚管理の面で

は、特別な知識が必芁ずなるFCずは異なり、iSCSIは

通垞のネットワヌク管理の知識を応甚できるため、䞀般

的なIT管理者でも理解しやすいずいうメリットがある。

 以䞊のように、デルはiSCSIの将来が明るいこずを

確信しおいる。ただし、珟時点ではiSCSIがナヌザヌ

デル ゚ンタヌプラむズ゜リュヌション・マヌケティング本郚 ストレヌゞブランドマネヌゞャヌ 今井兌人氏

デル ゜リュヌション・サヌビス・デリバリヌ本郚 むンフラストラクチャ・コンサルティング・サヌビス統括郚長 山田尚敏氏

「䞀歩先ゆく」ストレヌゞ・ベンダヌ4瀟の取り組みベンダヌ線

Page 39: Computerworld.JP Feb, 2009

55February 2009 Computerworld

ストレヌゞデヌタ保護の戊略ず実践特別䌁画 1

55February 2009 Computerworld

ストレヌゞデヌタ保護の戊略ず実践特別䌁画 1

䌁業から十分に認知されおいないこずも実感しおいる。

そのため、「iSCSIの認知床を向䞊させ、垂堎を䜜っ

おいくこず」今井氏が、今埌のiSCSIビゞネスにおけ

る重芁な取り組みになるず考えおいるずいう。

「仮想ボリュヌムに課金しない」EqualLogicのコスト・メリット

 䞊述したように、デルは、3補品シリヌズのストレヌゞ

それぞれにおいおiSCSI察応補品を提䟛しおいる。こ

のうち、特にストレヌゞ仮想化の面で充実しおいるのは

EqualLogicシリヌズである。

 EqualLogicのストレヌゞ仮想化に関しお泚目すべき

ポむントは、シン・プロビゞョニングを远加料金なしに利

甚できるこずだ。他瀟補品の堎合、シン・プロビゞョニン

グで仮想ボリュヌムを構成するず、その容量分の远加

料金を芁求されるこずがある。これに察しお、デルは

EqualLogicのシン・プロビゞョニングを“暙準機胜”ず

䜍眮づけおおり、この機胜を利甚する暩利は本䜓お

よびディスクの䟡栌に含たれおいるずしおいる。

 「シン・プロビゞョニングは、物理容量以䞊の仮想ボ

リュヌムを構成できるようにする機胜であり、䜙分な物

理ディスクの賌入を䞍芁にしおコストを抑えるずいうメリッ

トがある。このコスト・メリットをナヌザヌが十分に享受で

きるようにするためには、シン・プロビゞョニングの利甚

に課金しないこずが劥圓だず考えおいる」今井氏

 たた、ストレヌゞ・ポヌトの仮想化もEqualLogicの特

城的な機胜である。これは、EqualLogicが搭茉する3

぀の物理iSCSIポヌトに同䞀のIPアドレスを割り圓おる

ずいうものだ。3぀の物理ポヌトを1぀のIPアドレスの䞋

に束ねるこずで、仮想的に1぀のiSCSIポヌトずしおサ

ヌバ偎に認識させるのである。サヌバずEqualLogicの

間でやり取りが発生するず、その時点で最も凊理量が

少ない物理ポヌトが自動的に遞択される。そのポヌトか

らサヌバに応答するこずで、ストレヌゞ・アクセスのパフォ

ヌマンスを維持するこずが可胜になる。

アセスメント・サヌビスでデヌタ・ラむフサむクル管理を支揎

 デルの取り組みの䞭でも、デヌタ・ラむフサむクル管理

ずいう芳点から泚目したいのは、2008幎9月に開始した

「ストレヌゞ・アセスメントサヌビス」である。このサヌビスに

぀いお、同瀟゜リュヌション・サヌビス・デリバリヌ本郚で

むンフラストラクチャ・コンサルティング・サヌビス統括郚長

を務める山田尚敏氏は、「埓来の手法で問題なのは、

ナヌザヌ環境の調査に倚倧な時間を芁するこずだ。圓

瀟のアセスメント・サヌビスは、そうした調査をツヌルで

行うこずで、短期間でストレヌゞ環境の改善策を提案で

きるようにした」ず説明する。

 ストレヌゞ・アセスメントサヌビスは、サヌバずストレヌゞ

の合蚈台数が250台以䞊の倧芏暡ナヌザヌを察象ず

しおおり、最初の1カ月間でナヌザヌ環境のデヌタを収

集する。「デヌタ収集で最も重芁なのは、収集したデヌ

タを基に顧客ずディスカッションを行うこず」ず山田氏。デ

ヌタだけではわからない情報をディスカッションで聞き出

し、その䌁業にずっお最適な提案を行うわけだ。

 具䜓的な提案内容ずしおは、階局化ストレヌゞ蚭

蚈、バックアップ蚭蚈、ディザスタ・リカバリDR蚭蚈ず

いったものがある。

 階局化ストレヌゞずは、デヌタの栌玍先を重芁床や

利甚頻床に応じお最適化するこずだ。デルでは、デヌ

タの栌玍先を3階局に分類し、その階局に基づいお適

切なストレヌゞを提案する。

 たた、バックアップ蚭蚈では、バックアップ環境を最

適化するこずに重点を眮いおいる。䟋えば、同じデヌタ

を重耇しおバックアップしおいる堎合は適切なバックア

ップ・システムの統合を促したり、デヌタの重芁床に芋

合わない頻床でバックアップしおいる堎合は適切なバ

ックアップ・サむクルを提瀺したりする。

 最埌のDR蚭蚈に぀いおは、「以前から提䟛しおい

たが、ストレヌゞ・アセスメントサヌビスにおいおは階局化

ストレヌゞを掻甚するこずがポむント」山田氏であるずい

う。DRプランの立案時にデヌタの重芁床に応じた重

み付けを行うこずで、必芁最䜎限のコストによるDR環

境構築を支揎する。

Dell EqualLogic PS5500E

Page 40: Computerworld.JP Feb, 2009

56 Computerworld February 200956 Computerworld February 2009

NEC ITプラットフォヌム販売掚進本郚 商品マヌケティンググルヌプ マネゞャヌ 鈎朚陞文氏

NECハむ゚ンドSANからテヌプ装眮たでストレヌゞ補品をフルラむンアップ

充実した補品ラむンでデヌタ・ラむフサむクル管理に察応

 NECのITプラットフォヌム販売掚進本郚で商品マヌ

ケティンググルヌプのマネゞャヌを務める鈎朚陞文氏に

よれば、ストレヌゞ分野におけるN E Cの匷みは、

「『iStorage』ずいうストレヌゞ・プラットフォヌムで、SAN、

NAS、バックアップアヌカむブ・ストレヌゞのすべおを

展開しおいるこずにある」ずいう。幅広い補品矀をカバヌ

しおいるiStorageの䞭から甚途に応じお補品を䜿い分

けるこずができるため、デヌタ・ラむフサむクル管理を的

確か぀柔軟に実珟するこずも可胜なわけだ。

 その倚圩なiStorage補品の䞭でも、珟圚、NECが

特に力を入れおいるのが、バックアップアヌカむブ甚

のセカンダリ・ストレヌゞずしお提䟛しおいる「iStorage

HS」シリヌズである。

 同シリヌズは、「HYDRAstor」ずいう名称で北米垂

堎に先行投入されたが、それは「コンプラむアンスに察

する取り組みが日本より早い時期に始たった北米では、

メヌル・デヌタの長期保管など、バックアップアヌカむ

ブ・ニヌズが爆発的に䌞びおいる」鈎朚氏こずに察

応した結果である。そのため、HSシリヌズには、バック

アップアヌカむブ・デヌタを効率的か぀安䟡に栌玍す

るうえで必芁になるさたざたな機胜が搭茉されおいる。

 その1぀が同瀟の特蚱技術ずもなっおいる「Data

Redux」である。これは、重耇しおいるデヌタをブロック・

レベルで怜出しお排陀するずずもに、重耇しおいないデ

ヌタを圧瞮しお栌玍するずいう技術である。実運甚環

境で枬定した結果、同瀟では、DataReduxを利甚し

た堎合、20分の1から50分の1の圧瞮効果があるこず

を確認しおいるずいう。

 たた、「拡匵性」も、HSシリヌズの売りの1぀だ。同シ

リヌズは、デヌタ管理などを行う「アクセラレヌタ・ノヌド」

ずデヌタを保管する「ストレヌゞ・ノヌド」で構成されおお

り、前者を远加するこずでデヌタ転送速床が向䞊し、

埌者を远加するこずで容量が増加するようになっおい

る。ITプラットフォヌム販売掚進本郚商品マヌケティン

ググルヌプ䞻任の平石淳氏によれば、これにより「最

NEC ITプラットフォヌム販売掚進本郚 商品マヌケティンググルヌプ 䞻任 平石淳氏

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57February 2009 Computerworld

ストレヌゞデヌタ保護の戊略ず実践特別䌁画 1

57February 2009 Computerworld

ストレヌゞデヌタ保護の戊略ず実践特別䌁画 1

初は少ないノヌドで導入しおおき、デヌタが増えたり、よ

り高速な転送速床が必芁になったりした堎合には、ノヌ

ドを远加する」ずいった段階的な拡匵スモヌル・スタヌ

トが可胜になるずいう。

 しかも、ノヌド远加時にもシステムを停止する必芁は

なく、远加されたノヌドは自動認識され、負荷分散やデ

ヌタの再配眮なども自動的に行われる。

安䟡で信頌性の高いiSCSIで䞭堅・䞭小䌁業向け垂堎を狙う

 NECが提䟛しおいるiSCSI察応補品ずしおは、䞭

堅・䞭小向けのSANストレヌゞ「iStorage E」シリヌズ

がある。これはEMCず共同開発した補品で、補造は

NECが担圓し、䞡瀟それぞれの補品ずしお販売され

おいるEMCでの名称は「CLARiX AX4」。

 Eシリヌズの特城ずしおは、たず、「定䟡で89侇

8,000円から」ずいう䟡栌の安さが挙げられる。NECで

は、iSCSIを利甚するメむンのナヌザヌ局を、FC

SANの運甚が困難な䞭堅・䞭小䌁業だず芋おおり、そ

のナヌザヌ局に蚎求するためには同瀟ストレヌゞ補品

の䞭でも最安倀に蚭定する必芁があるず刀断したわけ

だ。EMCず共同開発した狙いも、「䜎䟡栌化が倧きな

目的だった。EMCず手を組んでワヌルドワむドで展開す

るこずで出荷台数を皌ぎ、補造コストの削枛を図ろうず

考えた」平石氏ずころにあった。

 もっずも、NECでも、䟡栌の安さだけで䞭堅・䞭小䌁

業が受け入れおくれるず考えおいたわけではない。平

石氏も、次のようにそれを認める。

 「䞭堅・䞭小䌁業では、10䞇20䞇円皋床の安䟡

なNAS補品が広く䜿われおきた。だが、この皮の補品

は、容量远加の際にNAS装眮ごず远加するなど管理

性が䜎く、たた、信頌性にも難がある。䞭堅・䞭小䌁業

では、こうした問題から、安䟡で、か぀信頌性の高いス

トレヌゞに察するニヌズが高たっおいた」

 こうしたニヌズにこたえるために、Eシリヌズでは可甚

性信頌性を確保するための技術や機胜を数倚く取

り入れおいる。䟋えば、iSCSIポヌトや電源ナニットな

ど、䞻芁なコンポヌネントを二重化しおいるほか、ディス

ク2 基が故障しおも皌働を継続するこずが可胜な

RAID 6にも察応しおいる。たた、ディスクに察しおバッ

クグラりンド・スキャンを行い、゚ラヌを怜出し次第修埩

する「パトロヌル・リヌド機胜」や、突然の停電時にキャ

ッシュ・メモリ䞊のデヌタを保護

する「キャッシュ・デステヌゞ機

胜」なども備えおいる。

 Eシリヌズの出荷台数は、

2008幎 1月の発衚からしばらく

は䜎迷しおいた。しかしながら、

䜎䟡栌ず高可甚性高信頌性

が認知された2008幎䞋期以降

は、飛躍的に台数を䌞ばしおい

るずいう。

スモヌル・スタヌトで消費電力を節玄

 グリヌンITの分野では、ミッドレンゞのSANストレヌゞ

「iStorage D」シリヌズが泚目に倀する補品だず蚀える。

そこで、以䞋では、Dシリヌズが備えるグリヌンIT関連

技術機胜に目を向けおみたい。

 NECがスケヌラブル・ストレヌゞず呌ぶ「D8」は、Dシ

リヌズの䞭でも拡匵性を売りにしたモデルであり、業務

の拡匵やデヌタの増加によっお容量を远加する必芁

が生じた堎合には、無停止でノヌドを远加できるずいう

特城を持぀。そのため、「スモヌル・スタヌトが可胜であ

り、最初から倧きなストレヌゞを賌入する堎合に比べる

ず倧幅に消費電力を節玄できる」鈎朚氏ずいう。

 たた、電源にDC48V絊電機胜を搭茉しおおり、通

垞、DC盎流からAC亀流に倉換しお、再床DCに

倉換するずころを、DCからACに1回倉換するだけで䜿

えるようになっおいる。これにより、倉換時の電源ロスが

枛少し、電力効率の向䞊が図れた。加えお、未䜿甚ハ

ヌドディスクぞの絊電を停止するMAIDMass ive

Arrays of Inactive Disks機胜なども備えおいる。

 そのほか、ディスクだけではなく、ポヌト、キャッシュを

仮想化し、業務ごずに割り圓おるずいったこずも可胜に

なっおいる。

 「芁は、仮想ストレヌゞ・マシンを構成できるようにな

っおいるわけだ。これによっお、物理ストレヌゞの台数

が抑えられるこずでグリヌンITの実珟に぀ながる」鈎

朚氏

iStorage HS8-20R

Page 42: Computerworld.JP Feb, 2009

58 Computerworld February 200958 Computerworld February 2009

ネットアップあらゆる利甚圢態、利甚芏暡に察応するナニファむド・ストレヌゞ

ネットアップのマヌケティング本郚 ゜リュヌションマヌケティング郚 郚長、阿郚恵史氏

ストレヌゞ仮想化機胜を粟力的に拡匵

 「ストレヌゞ仮想化が泚目される前から、圓瀟はこの

技術に力を入れおきた」──ネットアップのマヌケティン

グ本郚 ゜リュヌションマヌケティング郚 郚長、阿郚恵史

氏はこう語る。

 実際、物理容量以䞊の仮想容量を確保するシン・

プロビゞョニングに぀いおは、同瀟は2004幎11月ずい

う早い時期に提䟛を開始しおいる。その埌も、1぀の

実䜓デヌタから耇数の仮想クロヌン・ボリュヌムを䜜り

出す「FlexClone」など、ストレヌゞ仮想化機胜を粟力

的に拡匵し続けおいる。

 これらの仮想化機胜は、ストレヌゞ専甚OS「Data

ONTAP 7G」に実装されおいる。そしお、このOSã‚’å…š

モデルで搭茉しおいるのが、ネットアップの䞻力ストレヌ

ゞである「FAS」シリヌズだ。共通のOSずいうシングル・

アヌキテクチャゆえに、゚ントリヌ・モデル補品でも䞊䜍

モデルず同等の機胜を提䟛でき、たた運甚管理手法

を党モデルで統䞀できるずいうメリットも有しおいる。

筺䜓間の仮想化 もっずも、珟圚は「Data ONTAP GX」ずいう別系統

のOSもある。ネットアップでは、Data ONTAP 7Gでス

トレヌゞ筺䜓内の仮想化機胜を拡匵する䞀方で、筺

䜓間の仮想化ずいうニヌズにこたえるため、2003幎に

NAS゜リュヌション・ベンダヌのスピネヌカヌ・ネットワヌク

スを買収。同瀟の技術を基に開発、2006幎に提䟛を

開始したのが、このData ONTAP GXなのだ。

 Data ONTAP GXによる筺䜓間の仮想化機胜ず

は、倚数のストレヌゞをたたいで分散ファむルシステムを

構築したり、ストラむピング・ボリュヌムを䜜成しお負荷分

散やパフォヌマンス向䞊を実珟したりするこずである。ネ

ットアップではHPCHigh Performance Computing

分野などでの利甚を想定しおいる。

 このように出自の違う2系統のストレヌゞ専甚OSをネ

ットアップは有しおいるが、「シングル・アヌキテクチャを

暙抜しおきた圓瀟が、2系統のOSを有するのは正しい

姿ではない」阿郚氏ずしお、将来的には䞡OSを1぀

に統合するずいう。

異機皮混圚環境の仮想化 ストレヌゞ仮想化ずいう芳点からネットアップ補品を芋

た堎合、FASシリヌズず䞊んで泚目すべきなのが「V」

シリヌズだ。Vシリヌズは、異ベンダヌ異機皮のストレ

ヌゞをたずめお1぀のストレヌゞ・プヌルずするコントロヌ

Page 43: Computerworld.JP Feb, 2009

59February 2009 Computerworld

ストレヌゞデヌタ保護の戊略ず実践特別䌁画 1

59February 2009 Computerworld

ストレヌゞデヌタ保護の戊略ず実践特別䌁画 1

ネットアップの䞭芏暡䌁業・組織向けストレヌゞ「FAS3170」

ラ・ナニットである。

 FASシリヌズでは、RAIDグルヌプをたずめお「アグリ

ゲヌト」ず呌ばれるストレヌゞ・プヌルを䜜り、そのアグリ

ゲヌト䞊に仮想ボリュヌムを構成するかたちでストレヌゞ

仮想化を行う。異ベンダヌ異機皮ストレヌゞのボリュ

ヌムを認識しおアグリゲヌトに取り蟌む機胜を提䟛する

のがVシリヌズである。

 VシリヌズにもData ONTAP 7Gが搭茉されおいる。

そのため、Vシリヌズを䜿うこずで、仮想化をはじめずす

る同OSの機胜を旧モデルのストレヌゞでも利甚できるよ

うになる。

グリヌンITのポむントは仮想化にあり

 グリヌンITに取り組むにあたり、ネットアップはそのポ

むントを仮想化に眮いおいる。「圓瀟のグリヌンIT戊略

は、ストレヌゞの利甚効率を補品レベルで向䞊させるず

いう、いたっおシンプルなもの。そのためにも、仮想化

に力を入れおいる」ず阿郚氏。このほか、ネットアップが

保有するデヌタセンタヌで、FASシリヌズなどの同瀟補

品が搭茉する省電力機胜の効果枬定を行い、埗られ

た結果をホワむトペヌパヌずしお公衚するずいう掻動も行

っおいる。

 たた、ストレヌゞ補品の電力削枛効果をアピヌルする

のに加えお、デヌタセンタヌにおけるグリヌンITの取り

組みも倖郚に公開しおいる。阿郚氏によるず、1幎くら

い前から、この取り組みをホワむトペヌパヌにしたり、プ

レれンテヌションの堎で説明したりしおいるずいう。

 「補品レベルでのグリヌンITにも力を入れおいるが、

実際に圓瀟補品をどのような環境で䜿ったら効果的な

のかを顧客に知っおいただくためには、デヌタセンタ

ヌ党䜓で怜蚌する必芁がある」阿郚氏

 もちろん、ナヌザヌのデヌタセンタヌ環境は千差䞇別

であり、同瀟が提䟛する情報がそのたた圓おはたるわけ

ではない。だが、少なくずも、ネットアップのストレヌゞを

䜿ううえでの1぀の指針、ヒントにはなる。同瀟は今埌

も、自瀟の怜蚌で埗られた結果を還元するアプロヌチ

を展開しおいく方針だ。

 このほか、ネットアップは「The Green Grid」などの

暙準化団䜓にもメンバヌずしお加わっおいる。暙準化

団䜓を通じおグリヌンITずストレヌゞの関連を可芖化・

蚈量化し、それを指暙ずしお広く提䟛するなどの取り組

みを進めおいるずいう。

ナニファむド・ストレヌゞでFCoEに察応

 前述のシングル・アヌキテクチャに加え、1぀のストレ

ヌゞでFC、iSCSI、NASずいった耇数プロトコルをサ

ポヌトするずいう点も、FASシリヌズの重芁な特城であ

る。こうした特城を同瀟は「ナニファむド・ストレヌゞ」ず呌

んでいる。

 「ナニファむド・ストレヌゞにはさたざたな意味があるが、

圓瀟が蚀うナニファむド・ストレヌゞは基本的に、どのよう

な利甚圢態・芏暡でも、シングル・アヌキテクチャで察

応するずいうこずだ。プロトコルに぀いおも、単䞀のストレ

ヌゞ・コントロヌラですべおに察応する」阿郚氏

 ネットアップでは、こうしたナニファむド・ストレヌゞの枠

組みを、かなり前から研究を続けおきたFCoEにも適

甚する考えだ。぀たり、別途FCoE察応補品を提䟛す

るのではなく、ほかのプロトコルずずもに、FASシリヌズ

でサポヌトするのである。ただし、初期の段階では、

FASシリヌズにデフォルトでFCoEむンタフェヌスを搭茉

するのではなく、PCI ExpressボヌドのCNAConver

ged Networking AdapterFCoE察応のEther

netアダプタを提䟛するこずになりそうだ。

 「今のずころ、CNAボヌドは、䞻に埓来のHBAベン

ダヌが提䟛しおいるが、将来的にはNICベンダヌも提

䟛するようになるはずだ。そうしおプレヌダヌが増えれ

ば、䟡栌が䞋がり、ストレヌゞ・ハヌドりェアのマザヌボヌ

ド䞊にFCoEむンタフェヌスを実装できるようになるだろう」

阿郚氏

Page 44: Computerworld.JP Feb, 2009

60 Computerworld February 200960 Computerworld February 2009

日立補䜜所仮想化を軞ずしたストレヌゞ・゜リュヌションを提䟛

ストレヌゞ・コントロヌラに仮想化機胜を実装

 日立補䜜所は、倧芏暡から小・䞭芏暡たでのストレヌ

ゞ補品をそろえ、幅広いナヌザヌ局に向けお提䟛しお

いる。なかでも、゚ンタヌプラむズ向けの「Hitach i

Universal Storage Platform VUSP V」「同VM」

は、先進的な仮想化機胜を採甚するなど同瀟のストレ

ヌゞ・ラむンアップの顔ずも蚀える存圚になっおいる。

 仮想化ずいう芖点で芋た堎合のUSP V/VMの最

倧の特城は、ストレヌゞ・コントロヌラに仮想化機胜を実

装するずいうアプロヌチをずっおいるずころだ。ストレヌゞ

仮想化機胜は、SAN内に配眮されるスむッチやアプラ

むアンス・サヌバに実装されるこずも倚いが、ストレヌゞ・

コントロヌラに実装するずいう同瀟のアプロヌチを採甚し

たほうが、より高い信頌性やデヌタ保護胜力を埗られ

るこずになるずいう。

 同瀟 RAIDシステム事業郚 事業䌁画本郚 補品䌁

画郚長の島田朗䌞氏は、その理由を「アプラむアンス・

サヌバやスむッチは、デヌタを䞭継するものだが、ストレ

ヌゞ・コントロヌラはデヌタを受け取っお栌玍するずいう

凊理を行うため、もずもずハヌドりェア、゜フトりェアの䞡

面で、より高い信頌性を実珟するように蚭蚈されおい

るからだ」ず説明する。

 以䞋では、USP V/VMが搭茉する仮想化機胜の

うち、「ストレヌゞ・デバむスの仮想化」「ボリュヌム容量

の仮想化」「仮想プラむベヌト・ストレヌゞ」の3぀に぀い

お解説する。

ストレヌゞ・デバむスの仮想化 ストレヌゞ・デバむスの仮想化ずは、耇数の倖郚ストレ

ヌゞをUSP V/VMに接続し、1぀の論理ボリュヌムず

しお構成する機胜である。しかも、接続する倖郚ストレ

ヌゞは、どんなベンダヌのどんな機皮であっおもよい。

 ぀たり、このストレヌゞ・デバむスの仮想化を実装した

USP V/VMを採甚すれば、ベンダヌ機皮を問わず

瀟内ストレヌゞを䞀元運甚するこずができるわけだ。た

た、日立の旧モデルや他瀟のストレヌゞでもUSP V/

VMの先進的な機胜が利甚できるようになるずいうメリッ

トもある。島田氏は、「ストレヌゞ・デバむスの仮想化は、

日立が取り組むストレヌゞ仮想化の柱ずなるものだ」ず、

この機胜の優䜍性を匷調する。

ボリュヌム容量の仮想化 ボリュヌム容量の仮想化ずは、サヌバに割り圓おるス

トレヌゞ容量を、ストレヌゞ・ハヌドりェアの物理容量にず

らわれずに蚭定可胜にする機胜であり、䞀般的にはシ

ン・プロビゞョニングず呌ばれる。日立補䜜所 RAIDシステム事業郚 事業䌁画本郚 補品䌁画郚長の島田朗䌞氏

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61February 2009 Computerworld

ストレヌゞデヌタ保護の戊略ず実践特別䌁画 1

61February 2009 Computerworld

ストレヌゞデヌタ保護の戊略ず実践特別䌁画 1

 「䌁業で䜿われおいるストレヌゞの䞭身を分析しおみ

るず、実際にデヌタが入っおいる領域は党䜓の34割

にすぎない。だが、残りの領域もすでに割り圓おられお

いるため、ほかの業務で䜿うこずができない。ボリュヌム

容量の仮想化を利甚すれば、こうした状況を改善する

こずができる」島田氏

 たた、USP V/VMでは、仮想化したボリュヌムのレ

プリケヌションリモヌト・コピヌが可胜になっおいる。こう

した凊理をサヌバ偎で行うのは難しく、「ストレヌゞ偎に

仮想化機胜を実装したからこそ可胜になったこず」島

田氏だず蚀える。

仮想プラむベヌト・ストレヌゞ 仮想プラむベヌト・ストレヌゞずは、ディスク、キャッシュ、

接続ポヌトを持぀仮想ストレヌゞ・ハヌドりェアを提䟛す

る機胜である。ボリュヌム容量の仮想化ず混同しそうだ

が、それずはたた別の機胜であり、むしろサヌバ・ハヌド

りェアのLPAR論理パヌティションのような抂念だず

考えればよいだろう。

 この機胜により、郚門ごずに専甚ハヌドりェアを甚意

するのに近い環境を提䟛できるため、ストレヌゞを利甚

する業務間での性胜干枉が防げ、QoSQuality of

Service管理を実珟するこずができる。

 「セキュリティや課金の点から、仮想ボリュヌムによる

運甚が適しおいないナヌザヌもいる。そうしたナヌザヌ

のニヌズに応じるために、仮想プラむベヌト・ストレヌゞを

甚意した」島田氏

仮想化ずハヌドの省電力化でストレヌゞをグリヌン化

 日立は、二酞化炭玠排出量を5幎間で33䞇トン削

枛する「Harmonious Greenプラン」に取り組んでおり、

その䞭でデヌタセンタヌに぀いおは、2012幎たでに消

費電力を2007幎比で最倧50削枛するずいう目暙を

掲げおいる。このグリヌンITの分野ではサヌバの仮想

化が泚目されおいるが、ストレヌゞのグリヌン化においお

も、仮想化がポむントになるずされる。仮想化を行えば、

ディスクに遊䌑領域があるにもかかわらずストレヌゞを買

い足しお䜙分な電力を消費するずいった無駄を回避す

るこずができるからである。

 日立では、䞊述したように、USP V/VMでストレヌゞ

の仮想化に取り組んでいるが、同時にストレヌゞ・ハヌド

りェアの省電力化も進めおいる。甚途に応じお、ファむ

バ・チャネルFCディスクに比べお容量圓たりの消費

電力が小さいSATAディスクを採甚したりしおいるのも、

その1぀の䟋だ。同瀟によるず、SATAディスクを䜿え

ば、消費電力をバックアップ甚途の堎合で27、アヌ

カむブ甚途の堎合で21も削枛できるずいう。

 このほか、ミッドレンゞ・ストレヌゞ「Hitachi Adaptable

Modular Storage」シリヌズには、MAIDMassive

Arrays of Inactive Disks機胜を搭茉しおいる。こ

れは、䞀定期間アクセスのないディスク矀の回転を停

止するこずで、消費電力を削枛する機胜だ。

 「ミッドレンゞ・ストレヌゞでは、垞時䜿うデヌタが限定

される傟向が匷い。そのため、MAID機胜を採甚すれ

ば、利甚䟡倀に応じたデヌタ保管が可胜になり、電力

コストを削枛するこずができるのだ」島田氏

ストレヌゞの仮想化でデヌタ・ラむフサむクル管理も楜に

 デヌタ・ラむフサむクル管理を実珟するための最も䞀

般的な手法は、ストレヌゞの階局化だ。日立もこの手法

の䞋、䟡栌性胜比の異なるストレヌゞ矀の䞭から、重

芁床やアクセス数に応じお最適なデバむスを遞んでデ

ヌタを配眮し、時間の経過に合わせお再配眮を行うず

いうアプロヌチを採甚しおいる。

 そしお、実はこのアプロヌチを実珟するうえでも仮想

化が重芁な圹割を果たしおいるのである。ずいうのも、

時間の経過に合わせおデヌタを移動したあずも、サヌ

バから移動前ず倉わらないやり方でアクセスできるよう

にするためには、仮想化技術が欠かせないからだ。

 このように、日立のストレヌゞ事業においおは、デヌ

タ・ラむフサむクル管理も含めお「仮想化が重芁なキヌ・

ファクタヌになっおいる」島田氏のである。

Hitachi Universal Storage Platform V

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62 Computerworld February 2009

゚ンタヌプラむズ垂堎に新颚を吹き蟌む

オヌプン゜ヌスずいう蚀葉が単なる流行語のように扱われおいたのは、もはや過去の話である。今日、オヌプン゜ヌス・゜フトりェアの䌁業利甚は圓たり前ずなり、䌁業コンピュヌティングの効率向䞊やコスト削枛ずいった面でオヌプン゜ヌスは重芁な圹割を果たすようになった。か぀おは、オヌプン゜ヌスが業務利甚に堪えうるかどうかずいうこずが議論の的になったが、今ではその代わりに、自瀟の課題を解決するうえでどのオヌプン゜ヌス・゜フトりェアを遞ぶべきかに、倚くの䌁業が頭を悩たせるようになっおいる。本䌁画では、そうした悩みを解決する䞀助ずすべく、泚目すべきオヌプン゜ヌス・゜フトりェアの開発に取り組む10瀟を玹介する。いずれも蚭立から日は浅いが、オヌプン゜ヌスを歊噚に、新たな䌁業コンピュヌティング領域でチャレンゞを続けおいる䌁業ばかりだ。ぜひ参考にしおいただきたい。

ゞョン・フォンタナ NETWORKWORLD米囜版

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63February 2009 Computerworld

泚目する理由

 キックファむアの「Kickfire Analytics Appliance」は、オヌプン゜ヌスのデヌタベヌスずしお名高い「MySQL」のク゚リ凊理を高速化する機胜を備えた分析アプラむアンスである。 キックファむアによるず、このアプラむアンスが搭茉する「SQL凊理専甚チップ」は業界最速の凊理速床を発揮する。たた、デヌタ・りェアハりゞングやリポヌティングなど、MySQL単独では利甚できない機胜を搭茉しおいる点も匷みだずしおいる。

䌚瀟蚭立の背景

 キックファむアの蚭立者たちはかねおから、珟圚䞻流をなしおいるノむマン型コンピュヌタのアヌキテクチャは、巚倧なデヌタ・ボリュヌムを効率的に凊理するのには適し

おいないず考えおいた。そこで、そうした凊理を実行する際の操䜜手順を簡玠化し、同時にパフォヌマンスを最倧化できる道を探し求めた。その結果、たどり぀いたキヌ・テクノロゞヌが、MySQLをベヌスずしたオヌプン・アヌキテクチャだった。

瀟名の由来

 “Kickstart”ず“Fire”の2぀の単語を組み合わせお瀟名ずした。この瀟名には、デヌタベヌス垂堎に新颚を吹き蟌みたいずいう気抂が蟌められおいる。

CEOのバックグラりンド

 CEO兌瀟長を務めおいるのは、同瀟蚭立者の1人であるラゞ・シェラバッディ氏。同氏は以前、ストレヌゞ・ネットワヌキング機噚ベンダヌであるサネラシステムズを蚭立し、そのCEOを務めおいたサネラシステム

ズは2003幎にマクデヌタに買収された。たた、サン・マむクロシステムズに圚籍䞭は、UltraSPARC Ⅲiプロセッサのアヌキテクトを務めた経隓もある。

資金

 アクセル・パヌトナヌズ、グレむロック・パヌトナヌズ、ザ・メむフィヌルド・ファンド、ピナクル・ベンチャヌずいったベンチャヌ・キャピタルVCから、シリヌズA投資ラりンドで1,075䞇ドル、シリヌズ B投資ラりンドで2,000䞇ドルの出資を受けおいる。

導入ナヌザヌ

 今のずころ、Kickfire Analytics Appli anceはベヌタ版の段階だが、すでにマヌケティング䌚瀟や通信事業者、SaaSプロバむダヌ、小売業、メディア、政府機関などで導入されおいる。

キックファむア

蚭立●2006幎6月所圚地●米囜カリフォルニア州サンタクララURL●http://www.kickfire.com/事業内容●MySQLを搭茉した分析アプラむアンス「Kickfire Analytics Appliance」の開発

独自のノりハりを取り入れた分析アプラむアンスを提䟛

泚目する理由

 マヌケットセテラは、金融機関向けのシステムにオヌプン゜ヌスを適甚するこずに成功した。その成果ずなる「Marke tce te ra Trading Platform」は、アプリケヌションを柔軟か぀迅速に展開するこずが可胜なトレヌディング・プラットフォヌムで、同瀟では金融機関に倚倧なコスト・メリットをもたらすず自信を芋せおいる。

䌚瀟蚭立の背景

 蚭立者のグラハム・ミラヌ氏ずトリ・クズネッツ氏の2人は、以前は゜フトりェア開発者ずしお共にヘッゞファンドに勀務しおいた。圓時、䞡氏はトレヌディング・システムの開

発担圓だったこずから、トレヌディングのアルゎリズムにも粟通しおいたずいう。その埌、䞡氏は考案したアルゎリズムを基に、オヌプン゜ヌスの Marke t ce t e r a T r ad i ng Platformを開発し、関連サヌビスの提䟛にも本腰を入れおいる。

瀟名の由来

 “Market”ず“Etcetera”を組み合わせお瀟名ずした。この瀟名に぀いお同瀟は、「気の利いた蚀葉遊び」ず述べおいる。

CEOのバックグラりンド

 蚭立者のミラヌ氏がCEOを務めおいる。同氏は、スタンフォヌド倧孊で人工知胜の研究に携わり、コンピュヌタ・サむ゚ンスの修

士号を取埗した埌に、金融業界および゜フトりェア業界に10幎以䞊圚籍。珟職の盎前は、ニュヌペヌクに拠点を眮くヘッゞファンドに所属し、電子トレヌディング戊略担圓のディレクタヌを務めおいた。たた、ゞェヌン・ストリヌト・キャピタルでは、いく぀もの商甚トレヌディング・システムの開発に携わった。

資金

 2008幎1月にシェスタ・ベンチャヌから400䞇ドルの出資を受けおいる。

導入ナヌザヌ

 さたざたな芏暡のヘッゞファンドず投資銀行がMarketcetera Trading Platformを導入しおいる。

マヌケットセテラ

蚭立●2005幎所圚地●米囜サンフランシスコおよびニュヌペヌクURL●http://www.marketcetera.com/事業内容●金融業界向けトレヌディング・システム「Marketcetera Trading Platform」の開発

金融機関のトレヌディング業務向けのオヌプン゜ヌスを開発

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64 Computerworld February 2009

泚目する理由

 ゜ナタむプが提䟛するJava開発者向け゜フトりェアは、「Visual Studio」や「.NET Framework」に比肩するず蚀っおも過蚀ではない。200䞇件以䞊のダりンロヌド数を誇るプロゞェクト管理ツヌル「Maven」ず、M a v e n 向けのリポゞトリ管 理ツヌル

「Nexus」、およびMavenず「Eclipse」を連携させるEclipseプラグむン「m2eclipse」を組み合わせお提䟛しおいる。

䌚瀟蚭立の背景

 Mavenが広く普及したこずで、サポヌト付きの堅牢な開発ツヌルぞのニヌズが生たれたず゜ナタむプは芋おおり、そのニヌズに着目したこずが同瀟蚭立の契機ずなった。

瀟名の由来

 ゜ナタむプずいう瀟名は、ヒンディヌ語で「金」を意味する“゜ナ”ず、ラテン語で「モデル」を意味する“タむプ”の2぀の蚀葉を組み合わせたものだ。

CEOのバックグラりンド

 ゜ナタむプの蚭立者ゞェむ゜ン・ノァン・ゞル氏がCEOを務め、CTO最高技術責任者も兌任しおいる。 ゞル氏は、オヌプン゜ヌスずプロプラむ゚タリの䞡方の䞖界で10幎以䞊の゚ンタヌプラむズ・゜フトりェア開発経隓を有しおいる。゜ナタむプを蚭立する前は、ペリアプトずいう䌁業を蚭立し、フォヌチュン500䌁業を含む倚くの顧客に゜フトりェア・むンフラ構

築サヌビスを提䟛しおいた。たた、゜フト開発䌚瀟コンピュセンスでITアヌキテクトを務めおいた経隓もある。そのほか、オヌプン゜ヌス開発プロゞェクトを円滑に進めるためのリポゞトリ・サむト「Codehaus」の立ち䞊げにも加わった。

資金

 個人資金のみで、VCからの資金調達は行っおいない。

導入ナヌザヌ

 ゜ナタむプが開発した゜フトりェアは、これたで200䞇件以䞊ダりンロヌドされ、幅広い局の䌁業・組織で利甚されおいる。その䞭には倚くのフォヌチュン2000䌁業が含たれおいるずいう。

゜ナタむプ

蚭立●2007幎所圚地●米囜カリフォルニア州パロアルトURL●http://www.sonatype.com/事業内容●オヌプン゜ヌスのプロゞェクト管理ツヌル「Maven」をより䜿いやすくする゜フトりェアの開発

堅牢なJava開発むンフラをオヌプン゜ヌスで実珟

泚目する理由

 ビアッタは、x86プロセッサずそのマルチコア・テクノロゞヌにオヌプン゜ヌスずコミュニティの力を組み合わせ、それを事業の基盀ずしおいる䌚瀟だ。同瀟補のルヌティングセキュリティ・アプラむアンスは、ブランチ・オフィスからサヌビス・プロバむダヌたで、さたざたな芏暡の組織に察応する。

䌚瀟蚭立の背景

 蚭立者は、シスコシステムズずパノラマ・キャピタルに勀務経隓があるアラン・レむンワンド氏。同氏は、カリフォルニア州立倧孊バヌクレヌ校の囜際コンピュヌタ科孊研究所で進められおいたオヌプン゜ヌス・ルヌタの開発プロゞェクトからヒントを埗お、ビアッタを蚭立した。

瀟名の由来

 “ビアッタ”ずいう蚀葉は、サンスクリット語で“オヌプン”を意味しおいる。

CEOのバックグラりンド

 CEOのケリヌ・ヘレル氏はビアッタに入瀟する前、モンタビスタ・゜フトりェアでストラテゞック・オペレヌション郚門のシニア・バむスプレゞデントを務めおいた。その前は、Webホスティング・アプラむアンスを開発しおいたコバルト・ネットワヌクスのマヌケティング担圓バむスプレゞデントだった。 同氏は、キャッシュフロヌ、オラクル、NCR、テラデヌタ、ATTずいった䌁業に勀務しおいた経隓もある。ワシントン州立倧孊でマヌケティングを専攻し、コヌネル倧孊で経営孊の修士号を取埗しおいる。

資金

 ビアッタは2007幎4月のシリヌズB投資ラりンドで1,850䞇ドルの資金を埗た。出資者には、パノラマ・キャピタル、コムキャスト・むンタラクティブ・キャピタル、コムベンチャヌ、アロヌパス・ベンチャヌ・パヌトナヌズずいったVCが名を連ねおいる。

導入ナヌザヌ

 無料版の「Commun i t y E d i t i o n Software」のダりンロヌド数はすでに20䞇を超えた。ダりンロヌドした䌁業の業皮は、航空宇宙産業、防衛、教育、金融サヌビス、政府機関など倚岐にわたる。たた、有料版も倧芏暡䌁業やサヌビス・プロバむダヌ、政府機関をはじめ、さたざたな業皮・芏暡のナヌザヌに利甚されおいる。

ビアッタ

蚭立●2005幎所圚地●米囜カリフォルニア州ベルモントURL●http://www.vyatta.com/事業内容●オヌプン゜ヌスのルヌタファむアりォヌルVPN゜フトぞの商甚サポヌトの提䟛

オヌプン゜ヌス・ルヌタの商甚サポヌトを提䟛

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65February 2009 Computerworld

泚目する理由

 アンタングルの狙いどおり、同瀟が開発したオヌプン゜ヌスのネットワヌク・セキュリティ・ツヌルは小・䞭芏暡䌁業SMBに適しおいる。スパム、スパむりェア、りむルス、アドりェアなどからシステムを防埡する機胜ずずもに、コンテンツ・フィルタリング機胜も備えおいる。

䌚瀟蚭立の背景

 アンタングルは、ダヌク・モリス氏ずゞョン・アヌノィン氏が3幎の歳月をかけお開発した゜フトりェアを広く提䟛するべく蚭立された。同瀟によれば、この゜フトりェアは、アプリケヌション賌入にかかるコストの削枛ず、オヌプン゜ヌス実装時の困難さの解消ずいう2぀のメリットを䞡立させおいる。䞡氏は数

倚くのオヌプン゜ヌスを掻甚しおおり、自分たちが曞いたコヌドに぀いおも、95をオヌプン゜ヌスずしお公開しおいる。

瀟名の由来

 アンタングルずいう瀟名は、「SMBのためにITの耇雑性を克服する」ずいう同瀟のミッションに由来する。

CEOのバックグラりンド

 CEOのボブ・りォルタヌ氏は、アナポリスの海軍兵孊校を卒業し、プリンストン倧孊のグッゲンハむム・フェロヌずいう経歎を持぀。興味深いこずに、同氏はか぀おF/A-18ホヌネット戊闘機のパむロットだったこずもある。 りォルタヌ氏は、アプリケヌション・セキュリティ補品を開発するテロスずいう䌚瀟を蚭

立し、その埌同瀟をシトリックス・システムズに売华した。たた、セキュラント、リナックスケア、むンフォミックス・゜フトりェア、レッドブリック・システムズずいった䌁業で圹員や管理職の経隓も有しおいる。

資金

 2぀の投資ラりンドを通じお1,850䞇ドルの資金を調達した。出資者は、CMEAベンチャヌずラスティック・キャニオン・パヌトナヌズである。

導入ナヌザヌ

 同瀟の補品は、ゞェネシス・フィゞシャンズ・グルヌプ、ビショップ・ケリヌ高等孊校、フランクリン・アカデミヌ、ゞョヌゞア倧孊、メむン州埓業員協䌚など、玄5,000に䞊る䌁業・組織で利甚されおいる。

アンタングル

蚭立●2007幎所圚地●米囜カリフォルニア州サンマテオURL●http://www.untangle.com/事業内容●商甚補品に匕けをずらないオヌプン゜ヌスのゲヌトりェむ・セキュリティ・゜フトの提䟛

ITの耇雑さを解消するSMB向けセキュリティ・゜フトを提䟛

泚目する理由

 クムラネットは、Linuxカヌネル暙準の仮想化技術「KVMKernel-based Virtual Machine」を䞻軞に゜フトりェア事業を展開しおきた䌁業である。そんな同瀟は2008幎9月、倧手Linuxベンダヌのレッドハットに1億700䞇ドルで買収された。 KVMベヌスの「SolidICE」は、OSやアプリケヌションを含むディスク・むメヌゞをクラむアントPCに配信するデスクトップ仮想化゜リュヌションを提䟛する。たた、さたざたなデスクトップOSに察応しおおり、接続プロトコルや管理機胜も搭茉しおいる。

䌚瀟蚭立の背景

 クムラネットのビゞネスは、KVMを開発し

オヌプン゜ヌスずしお公開するこずからスタヌトした。KVMの特城は、むンテルやAMD補のCPUが有する先進的な機胜を掻甚し、Linuxカヌネルのスケゞュヌリング機胜やメモリ管理機胜を仮想化向けに最適化しおいるずころだ。

瀟名の由来

 クムラネットずいう瀟名は、むスラ゚ルのクムランQumran掞穎矀にちなんで名づけられた。なお、クムラン掞穎矀は「死海文曞」が発芋された堎所である。

CEOのバックグラりンド

 CEOだったベニヌ・シュナむダヌ氏は、シスコシステムズ、アムダヌル、日立補䜜所、IDT、サン・マむクロシステムズ、スリヌコム

などで䞊玚管理職や゚ンゞニアリング経営戊略のコンサルタントなどを務めおきた。倧孊時代はテクニオンむスラ゚ル工科倧孊でコンピュヌタ工孊を専攻し、サンタクララ倧孊で゚ンゞニアリング・マネゞメントの修士号を取埗しおいる。

資金

 レッドハットに買収される前は、セコむア・キャピタルずノヌり゚スト・ベンチャヌ・パヌトナヌズから出資を受けおいた。

導入ナヌザヌ

 むスラ゚ルの民間機軍甚機メヌカヌであるむスラ゚ル・゚アロスペヌス・むンダストリヌズのほか、フォヌブスのグロヌバル2000に属する数瀟の顧客を抱えおいる。

クムラネット

蚭立●2005幎所圚地●米囜カリフォルニア州サニヌベヌルURL●http://www.qumranet.com/事業内容●デスクトップ仮想化゜フトを提䟛しおいたが、2008幎9月、レッドハットに買収された

KVMをベヌスにデスクトップ仮想化゜フト「SolidICE」を開発

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66 Computerworld February 2009

泚目する理由

 スナップロゞックは、SaaSSoftware as a Serviceのデヌタず、ファむアりォヌルの背埌にある瀟内システムアプリケヌションのデヌタを統合する゜フトりェア「Snap Logic」の開発元ずしお知られる䌁業だ。統合に甚いるコンポヌネント「snap-together」のほか、Webブラりザ・ベヌスのデヌタ統合蚭蚈ツヌル「SnapLogic Designer」も提䟛しおいる。最近では、SnapLogicに

「Salesforce」および「SugarCRM」を統合するための機胜も远加した。

䌚瀟蚭立の背景

 むンフォマティカでCEOを務めおいたゎヌ

ラブ・ディロン氏ず、同瀟の顧客サヌビス担圓ディレクタヌだったマむク・ピタロ氏が、スナップロゞックの蚭立者である。䞡氏は、倧芏暡䌁業を䞭心にデヌタ統合ぞのニヌズが高たっおいるこずに着目し、オヌプン゜ヌスのデヌタ統合ツヌル開発に着手した。

瀟名の由来

 スナップロゞックずいう瀟名は、Snap Logic Designerの倧きな特城ず蚀える操䜜性からヒントを埗おいる。このツヌルは、Webブラりザ・ベヌスのグラフィカルなむンタフェヌスを採甚しおおり、ドラッグドロップ操䜜でデヌタ統合の方法や経路を定矩するこずができる。

CEOのバックグラりンド

 CEOのクリス・マリノ氏はこれたで数倚くの新興䌁業に出資し、それらの䌁業でアドバむザヌを務めおきた人物である。たた、ロヌドバランサ・ベンダヌのレゟナンテを蚭立し、CEOを務めた。

資金

 シリヌズA投資ラりンドにおいお、ディロン・キャピタルから250䞇ドルの出資を受けおいる。

導入ナヌザヌ

 スナップロゞックが公匏に明らかにしおいる顧客䌁業は、KQEDパブリック・ブロヌドキャスティングの1瀟だけである。

スナップロゞック

蚭立●2006幎所圚地●米囜カリフォルニア州サンマテオURL●http://www.snaplogic.com/事業内容●SaaSず瀟内システムずのデヌタ統合を可胜にするフレヌムワヌクの提䟛

SaaSず瀟内システムのデヌタ統合をオヌプン゜ヌスで実珟

泚目する理由

 分散環境が圓たり前のように存圚する今日、散圚するデヌタの統合は䌁業にずっお重芁な課題である。XAりェアは、プロプラむ゚タリな商甚デヌタ統合゜フトりェアず同レベルの機胜を、オヌプン゜ヌス・ベヌスのプラットフォヌム「XAware」によっお実珟した。

䌚瀟蚭立の背景

 XAwareの開発や関連特蚱の取埗を手䌝っおいたカヌスタン・ノァンダヌスルむス氏が、2000幎3月からフルタむムでXAwareのために働き始めたこずが、同瀟蚭立の契機ずなった。

瀟名の由来

 XAりェアずいう名称は、異なるコンピュヌタ間でもデヌタの読み曞きや転送を可胜にするXMLぞの称賛の蚌しだずいう。

CEOのバックグラりンド

 同瀟CEOのティム・ハヌノェむ氏はか぀お、金融゜リュヌションなどを手がけるS1ずいう䌁業に勀務しおおり、セヌルスおよびマヌケティング担圓のシニア・バむスプレゞデントだった。たた、シンク゚ストでは瀟長およびCOO最高執行責任者を務めおいる。フロリダ倧孊で金融分野の経営管理孊を孊び、米囜海兵隊の士官ずしお4幎間勀務した経隓も持぀。

資金

 3 回の投資ラりンドを通じ、トヌタルで2,640䞇ドルの資金を調達した。盎近では、ブむスプリング・キャピタルから740䞇ドルの出資を受けおいる。そのほか、GMTキャピタル、シヌケル・ベンチャヌ、ITUベンチャヌ、BMJPがXAりェアぞの出資者ずしお名を連ねおいる。

導入ナヌザヌ

 アクサ、ING、FINRAThe Financial Industry Regulatory Authority、ゞェンワヌス・ファむナンシャル、シノブス、ノヌスロップ・グラマン、ハむアヌ・ア・ヒヌロヌずいった䌁業・組織が同瀟の顧客である。

XAりェア

蚭立●2007幎11月XAware開発プロゞェクトの開始時期所圚地●米囜コロラド州コロラドスプリングスURL●http://www.xaware.org/事業内容●コンポゞット・デヌタ統合゜フトりェア「XAware」の提䟛

商甚ツヌルず同レベルのデヌタ統合機胜をオヌプン゜ヌスで提䟛

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67February 2009 Computerworld

泚目する理由

 アキアは、「Drupal」ディストリビュヌションを初めお商甚化した䌁業である。Drupalは、オヌプン゜ヌスの CMSCon t en t Management Systemずしお急速に人気を集め、そのダりンロヌド件数は200䞇を超えおいる。

䌚瀟蚭立の背景

 アキアの共同蚭立者の1人であるドリス・バむタヌト氏は、アントワヌプ倧孊内の孊生掲瀺板アプリケヌションに䜿甚する目的で、2001幎にDrupalを開発した。その埌、倚くのナヌザヌがDrupalのサポヌトを必芁ずしおいるこずに気づき、ゞェむ・バト゜ン氏ずずもにアキアを蚭立した。

瀟名の由来

 第2次䞖界倧戊で掻躍したナバホ・コヌ

ド・トヌカヌ米軍が通信内容を秘匿するために利甚したナバホ語のネヌティブ・スピヌカヌのコヌド・ブック暗号解読衚を芋るず、

「発芋する」ずいう内容を䌝えるために、ナバホ語で「点」を意味する「a-kwe-eh」ずいう蚀葉が甚いられおいる。アキアずいう瀟名はここからヒントを埗た。アキアでは、Webを

“発芋のプロセス”だず考えおいる。CEOのバックグラりンド

 珟圚は、バト゜ン氏がCEO、バむタヌト氏がCTO最高技術責任者を務めおいる。バト゜ン氏にずっお、アキアは蚭立に携わった2番目のテクノロゞヌ䌁業であり、たたオヌプン゜ヌスの商甚利甚ずいう点でも2回目の取り組みに圓たる。ちなみに、同氏が最初に取り組んだオヌプン゜ヌス䌁業は、IP-PBX゜フトを開発するピングテル珟

圚はノヌテルネットワヌクス傘䞋であった。資金

 ノヌス・ブリッゞ・ベンチャヌ・パヌトナヌズ、シグマ・パヌトナヌズ、オラむリヌ・アルファテック・ベンチャヌなどから出資を受けおいる。

導入ナヌザヌ

 本皿執筆時点でアキアの補品はベヌタ版であり、䞀般的に利甚できるようになるのは2008幎の秋ごろの芋蟌みである。 Drupalは珟圚、ワヌナヌ・ブラザヌズ・レコヌド、音楜情報を提䟛する「MyPlay」、科孊技術情報誌「Popular Science」、米囜発のニュヌスを厳遞しお提䟛する「The Onion」、囜際的な人暩団䜓アムネスティ・むンタヌナショナルなどのWebサむトで利甚されおいる。

アキア 

蚭立●2007幎所圚地●米囜マサチュヌセッツ州アンドオヌバヌURL●http://www.acquia.com/事業内容●オヌプン゜ヌスの゜ヌシャル・パブリッシング・システム「Drupal」のサポヌト・サヌビス

人気のオヌプン゜ヌスCMS「Drupal」が歊噚

泚目する理由

 オヌプンモコで驚かされるのは、“オヌプン”な姿勢に培しおいるずころである。䟋えば、ナヌザヌ自身が携垯電話のケヌスを開けお内郚にアクセスするこずさえ掚奚しおいる。 「Neo FreeRunner」は基本的に携垯電話端末だが、ナヌザヌ自ら開発したアプリケヌションやコミュニティの成果物をむンストヌルするこずで、オリゞナルずはたったく異なるモバむル・デバむスに倉貌させるこずができる。同瀟は以前から゜フトりェアの゜ヌスコヌドず筺䜓蚭蚈図を公開しおいるほか、最近ではNeo FreeRunnerず「Openmoko Neo 1973」の回路図も公開した。

䌚瀟蚭立の背景

 オヌプンモコのCEOは、゚レクトロニクスに粟通した゜フトりェア・゚ンゞニア、ショヌン・モスプルツ氏である。同氏によるず、自由にカスタマむズできない携垯電話機に䞍満を抱いたこずが、同瀟蚭立のきっかけずなった。

瀟名の由来

 “オヌプン”は新たな䟡倀を奜きなかたちで远加できる自由を意味し、“モコ”は「Mobile

“K”ommunikations」の略である。この“K”は、同瀟プラットフォヌムの原動力ずなった゜フトりェアの開発を支揎したハッカヌ・コミュニティぞの敬意を衚しおいる。

CEOのバックグラりンド

 モスプルツ氏はサンディ゚ゎで育ち、PCやマザヌボヌドを補造するF I CF i r s t International Computerでプロゞェクト・リヌダヌを経隓した。䞭囜語に堪胜で、モバむル垂堎を熟知しおいたため、オヌプンモコのCEOに任呜された。

資金

 オヌプンモコはFICの100子䌚瀟である。

導入ナヌザヌ

 䌁業ナヌザヌず非開瀺契玄を結んでおり、詳现は䞍明だが、倚くの開発者がオヌプンモコ補品のナヌザヌだず芋られる。

オヌプンモコ

蚭立●2006幎3月所圚地●台湟台北垂URL●http://www.openmoko.com/事業内容●オヌプン゜ヌス・゜フトを搭茉した携垯電話の開発。先ごろ「Neo FreeRunner」の提䟛も開始した

“オヌプン”に培しおデバむスの回路図も公開

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Computerworld February 200968

RFIDタグセンサヌ情報の“ハブ”を目指す「ID情報統合技術」RFIDタグセンサヌのデヌタを扱うアプリに共通基盀を提䟛

近い将来実珟するであろうナビキタス環境においお、膚倧な皮類のRFIDタグセンサヌず業務アプリケヌションを぀なぐための基盀ずしお期埅されるのが「サヌビス提䟛基盀SDP」である。このSDPに盞圓する「ID情報統合技術」を富士通研究所が開発、2008幎9月に詊䜜システムず合わせお発衚した。本皿では、RFIDタグセンサヌぞのアクセス方法やデヌタ圢匏を抜象化するSDPず、その実装モデルずも蚀えるID情報統合技術に぀いお解説する。

山口 孊

ナビキタス環境に必芁な「サヌビス提䟛基盀SDP」

 来るべきナビキタスの䞖界。そこでは、あらゆるモノが

“コミュニケヌション胜力”を備え、デヌタを発信する。

個々のモノに取り付ける無線ICタグRFIDタグRadio

Frequency IDentificationや、枩床䜍眮などを枬

るセンサヌ、あるいは映像解析などの技術により、モノ

自身の属性やモノの眮かれた環境・状態のデヌタが発

信されるこずになるわけだ。

 そしお、発信されたデヌタを、ZigBeeなどのセンサ

ヌ・ネットワヌクやIPネットワヌクを通じお収集し、デヌタ

ベヌスに蚘録された詳现なデヌタも合わせお個々のモ

ノに関連づけ、凊理を行うのが業務アプリケヌションの

仕事ずなる。こうした業務アプリケヌションは、䟋えば、

食品の生産移動履歎デヌタに基づく「トレヌサビリテ

ィ・アプリケヌション」、埓業員のスキル・デヌタや䜍眮デ

ヌタに基づく「埓業員最適配眮アプリケヌション」、店舗

内のカメラ画像解析デヌタず商品配眮デヌタによる「顧

客導線管理アプリケヌション」ずいったかたちで登堎し

始めおいる。

 だが、珟状では、このようなアプリケヌションは個別

に存圚する“垂盎統合システム”でしかない。RFIDタ

グやセンサヌごずにアクセス方匏プロトコルや出力デ

ヌタ圢匏が異なっおおり、暙準化された仕様が存圚し

ないためだ。

 その結果、業務アプリケヌションは特定のRFIDタグ

やセンサヌを取り扱うためのコヌドを甚意しなければな

らなくなるため、開発効率やコヌド再利甚性の䜎䞋が

懞念されおいる。さらに、アプリケヌションの開発偎に

は、RFIDタグやセンサヌに関する技術知識も求められ

るようになった。

 そこで、こうした問題を解決するべく考案されたの

が、業務アプリケヌションずRFIDセンサヌずのやり取

りを仲介する共通プラットフォヌムである。個々のRFID

タグセンサヌの特性アクセス方法や出力デヌタ圢

匏の違いを吞収隠蔜し、アプリケヌション偎からの

“芋た目”を同じにするずいうのが、共通プラットフォヌム

の圹割だ。これにより、個々のRFIDタグセンサヌの

特性に応じた凊理を業務アプリケヌション偎で行う必芁

がなくなり、開発生産性や収集デヌタの利甚効率が向

䞊するこずになる。

 このような共通プラットフォヌムの有力候補の1぀に

「サヌビス提䟛基盀SDPService Delivery Plat

form」がある。「SDP」ずいう蚀葉は、䞀般的には

NGN次䞖代通信網䞊に構築される電話系サヌビス

のプラットフォヌムを指す蚀葉ずしお䜿われるこずが倚い

が、ここでのSDPは「ネットワヌクず業務アプリケヌション

間のレむダ」ずいう、より広範な抂念を指す。もちろん、

利甚できるネットワヌク基盀もNGNだけに限られるわけ

ではない。

 SDPは、ネットワヌクIPトランスポヌト局ず業務アプ

リケヌション間のやり取りを仲介する「ハブ」の圹割を果

たす図1。RFIDタグやセンサヌが取埗した物理デヌ

タ生デヌタは、ネットワヌクを介しおSDPに集玄され

る。そうしたデヌタを、SDPは䞀定のロゞックで倉換

加工したうえで、デヌタベヌスに蓄積する。䟋えば、あ

るモノに関連する耇数のデヌタが論理的に結合された

り、デヌタそのものを扱いやすい圢に加工したりする凊

理が行われるわけだ。

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February 2009 Computerworld 69

 䞀方、業務アプリケヌションのほうでは、統䞀された

むンタフェヌスを通じおSDPにアクセスし、デヌタを取り

出せばよい。SDPのむンタフェヌスやデヌタ圢匏は統

䞀圢匏ずなっおいるので、耇数のアプリケヌションで共

通しお利甚できる。

3階局アヌキテクチャの䞋、収集した物理デヌタを抜象化

 このようなSDPの実装ずしお、富士通研究所が開

発・詊䜜し、2008幎9月に発衚したのが「ID情報統合

技術仮称」である。詊䜜システムは食品のトレヌサビ

リティ・システムを想定しおいるが、それに限らずあらゆ

る甚途に適甚可胜だ。

 ID情報統合技術は3階局のアヌキテクチャで構成

されおいる70ペヌゞの図2。

 センサヌ偎に䜍眮する「デヌタ収集」レむダは、RFID

タグやセンサヌから送られおきたデヌタを共通圢匏に倉

換するための局である。センサヌごずに甚意された「プロ

トコル・アダプタ」が、アクセス方法やデヌタ圢匏の違い

を吞収する。仕様が公開されおいるセンサヌであれば、

メヌカヌ以倖の゚ンゞニアでもプロトコル・アダプタを䜜

成するこずができる。

 共通圢匏に倉換されたデヌタは、「デヌタ蓄積・統

合」レむダ内の「プレれンス」ず呌ばれる属性集合リレヌ

ショナル・デヌタベヌスの“テヌブル”に盞圓に栌玍さ

れる。その埌、プレれンスのデヌタは「プロファむル」ず

「プレファレンス」ずいう2぀の属性集合のデヌタず結合

され、1぀の論理的な実䜓ずしおたずめ䞊げられる論

理IDが1぀割り圓おられる。

 ちなみに、これら3぀の属性集合は曎新頻床に応じ

お分類されおいる。具䜓的には、リアルタむムに倉化す

る枩床や䜍眮などの情報はプレれンス、物流経路や売

り堎ずいった頻繁には倉化しない情報はプレファレンス、

たったく倉化しない品名や産地ずいった固定情報はプ

ロファむルに分類される。

 これは、属性集合を1぀にたずめるず、デヌタ曎新の

オヌバヌヘッドが倧きくなり、センサヌの数が増えた堎合

に察凊しきれなくなるための措眮だ。さらに、プレれンス

のリアルタむム・デヌタが曎新されたずき、むベント発生を

怜出しお通知するのも、デヌタ蓄積・統合レむダの圹目

である。

 最埌の「論理デヌタ加工」レむダは、蓄積された各

皮デヌタを、業務アプリケヌションが利甚しやすい圢匏

に加工する圹割を負う。䟋えば、あるモノに察しお、ア

プリケヌションがその珟圚䜍眮を問い合わせたずしよう。

そのモノが茞送䞭だった堎合、モノに付随するRFIDタ

グの「トラックに積茉䞭」ずいうデヌタよりも、トラックの

GPSシステムから埗られた珟圚䜍眮デヌタのほうが、

アプリケヌションにずっおは䟿利なはずだ。

トレヌサビリティアプリケヌション

埓業員最適配眮アプリケヌション

顧客導線管理アプリケヌション

サヌビス䞖界

実䞖界

SDPサヌビス提䟛基盀

IPトランスポヌト

ID情報統合技術

珟堎情報の利甚論理デヌタ

珟堎情報の収集物理デヌタ

枩床 䜍眮 経路 人数 傷み 性別 幎霢 品名 産地 スキル 売り堎皮別

図1サヌビス提䟛基盀SDPの基本的な考え方。RFIDタグやセンサヌから収集した物理デヌタを集玄蓄積し、そのデヌタぞの共通アクセス・むンタフェヌスをアプリケヌションに提䟛する

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Computerworld February 200970

 このように、リレヌション集合“トラックAは荷物001を

積茉しおいる”ずいった論理実䜓間の関係を管理ず

加工ルヌル条件匏を䜿っお、デヌタの凊理を行うの

が、論理デヌタ加工レむダである。このレむダには、枩

床倉化などの履歎デヌタを必芁ずする業務アプリケヌシ

ョン向けに「ヒストリヌ」ず呌ばれる集合も甚意されおい

る。

業務アプリケヌションの開発工数を2060も削枛

 このID情報統合技術を掻甚すれば、RFIDタグや

センサヌを利甚する業務アプリケヌションの開発生産性

は飛躍的に向䞊するはずだ。各皮デヌタを参照する

際は、暙準化されたWebサヌビス・プロトコルを䜿っお

参照すればよく、そこで受け枡されるデヌタはXML圢

匏に加工されおいるため、アプリケヌション偎のデヌタ

凊理にも暙準的な手法が利甚できる。ちなみに、富士

通研究所では、ID情報統合技術の採甚により、業務

アプリケヌション開発工数を最倧で60削枛できるず芋

蟌んでいる。

 たた、ID情報統合技術はむベント通知の仕組みも備

えおいるため、ハヌドりェア・リ゜ヌスの浪費を抑える効

果も期埅できる。アプリケヌション偎からポヌリング定期

的な問い合わせを繰り返す必芁がなくなるからだ。

 もちろん、経営の芖点からは、RFIDやセンサヌの情

報を柔軟に掻甚した、新しいサヌビスやビゞネス・モデ

ルを創出できる点が評䟡されるこずになろう。

 ID情報統合技術は今埌、瀟内倖での実蚌実隓が

2010幎ごろたで続き、おそらくその埌は暙準化を目指

す方向に進むだろう。

 富士通はこれたで「IMPPInstant Messaging and

Presence Protocol」や「SIMPLESIP for

Instant Messaging for Presence Leveraging

Extensions」ずいったプレれンス仕様の暙準化掻動

に積極的に関䞎しおきおおり、ID情報統合技術の開

発にも、そうした掻動で埗られた技術やノりハりが生か

されおいる。それゆえ、ID情報統合技術には、IMPP

やSIMPLEを拡匵する汎甚的な暙準仕様ずなるこず

が期埅されおいるのである。

リレヌション

ヒストリヌ

論理デヌタ加工 論理ID枩床危険地域傷み経路奜み産地生産者

デヌタ蓄積・統合

加工ルヌル加工

ルヌル

ID情報の統合化 むベント怜出・通知

プロファむル論理ID䜓系

プレファレンス論理ID䜓系

プレれンス物理ID䜓系

抜象床

論理デヌタ

物理デヌタ

プロトコル・アダプタ

デヌタ収集

センサヌID枩床

枩床センサヌ

タグIDリヌダID

RFIDタグ

カメラID映像

カメラ

物理IDず論理IDの察応

属性ず栌玍堎所の察応

プロトコル・アダプタ

プロトコル・アダプタ

ID単䜍での栌玍・統合

論理ID枩床䜍眮傷み経路奜み産地生産者

共通フォヌマットぞの倉換

物理ID枩床䜍眮傷み

抜象デヌタぞの倉換

関係管理デヌタ加工ルヌル実行゚ンゞン

物理ID枩床䜍眮傷み リアルタむムな倉化怜出

アプリケヌション アプリケヌション アプリケヌション

むベント条件・ルヌル蚭定 参照・曎新 むベント通知

図2今回詊䜜されたID情報統合技術のアヌキテクチャ。センサヌからのプレれンス・デヌタはプロトコル・アダプタで共通圢匏に倉換され、同じ実䜓ず関連するプレファレンスプロファむル・デヌタず統合されたのちに、ひずたずたりの論理的実䜓ずしお業務アプリケヌションに提䟛される

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72 Computerworld February 2009

Webを掻甚したマヌケティングでシェアを拡倧する

ゲヌム機メヌカヌ

 A瀟は、䞖界䞭で倧きなシェアを獲埗しおいる倧手

ゲヌム機メヌカヌだ。垂堎ぞの参入は1980幎代埌半

からず埌発であったが、鷲ワシのキャラクタヌが匷烈

なスピヌドでステヌゞを疟走するアクション・ゲヌムが爆

発的な人気を集め、䞀躍、垂堎シェアのトップ争いに

名を連ねる倧手メヌカヌぞず成長を遂げた。「ゲヌムは

゜フトだ。ハヌドは単なる道具だ」ずの持論を掲げお業

界をリヌドするカリスマ瀟長の䞋、A瀟はクリ゚むティブ

な事業展開を掚し進めおきた。

 A瀟はたた、垂堎に参入した圓初からマヌケティング

掻動に力を入れおおり、特にWebを䜿ったマヌケティ

ング戊略にはたけおいた。䟋えば、他瀟に先駆けお、

ナヌザヌ本人やゲヌムずWebコンテンツずの間でむンタ

ラクティブ性を持たせるこずにチャレンゞしおきおおり、ゲ

ヌムの内容や結果ずWebコンテンツずを連動させたり

するこずによっお、ゲヌム機単䜓では提䟛できない倚

様なサヌビスをナヌザヌに提䟛しおきた。そしお、そん

なマヌケティング掻動が、ここ数幎の間にようやく実を

結びかけおいた。

 か぀お、1990幎代前半に“マルチメディア”ずいう

蚀葉がブヌムになったこずがあったが、その実態は、非

垞にお粗末なものでしかなかった。実は、A瀟もゲヌム

機に通信モデムを搭茉し、テレビ局ず接続させるこず

で、ナヌザヌが蚘録したハむスコアやゲヌム・キャラクタ

ヌの情報などを亀換するずいう番組にチャレンゞしたこ

ずがある。だが圓時、䞀般家庭の通信むンフラは今ず

は比べものにならないほど貧匱であり、通信コストも高

かった。それに、ナヌザヌ自身もたださほどむンタラクティ

ブ性を求めおいなかったこずもあっお、A瀟のその詊み

は、ずおも成功したずは蚀い難い結果に終わった。

 だが、ADSLの普及に端を発する䞀般家庭のむン

タヌネット環境の倧幅な改善により、A瀟のこうした戊

略は埐々にナヌザヌの支持を集めるようになっおきた。

筆者は、セキュリティ・コンサルタントずしお、これたで数々のむンシデントを目の圓たりにしおきた。本連茉は、そんな筆者が経隓したこずのあるむンシデントを基に、事件発生から解決に至るたでの過皋を“迫真のストヌリヌ”で玹介するものだ。もっずも、取り扱う事柄の性質䞊、事実をありのたたの姿で公開するこずはできない。そのため、ここで玹介する内容は、あくたでもフィクションの圢態をずっおいるが、むンシデント察応に関しおは可胜なかぎりリアリティを远求した぀もりである。どうか、その蟺の事情をご理解の䞊、ご愛読いただければ幞いである。

山矜 六

キャンペヌン・サむトで顧客情報が倧量挏掩

バグによるむンシデントを迅速か぀的確な察応で乗り越えたゲヌム機メヌカヌ

今回の登堎人物

●䞋田・・・A瀟の人気ゲヌム機の広報担圓者。ITぞの造詣も深い

●倧泉・・・A瀟のWebサむト・システム担圓者。䞋田ずのタッグで

人気Webサむトを切り盛りしおいる

●原・・・・・システム・むンテグレヌタヌB瀟のA瀟担圓。

第2回

むンシデント発生

Webを利甚した巧みなマヌケティング戊略

などにより、飛ぶ鳥を萜ずす勢いで業瞟を

拡倧しおきた倧手ゲヌム機メヌカヌA瀟。だ

が、新たにリリヌスしたキャンペヌン・サむト

のプログラムにバグがあったため、リリヌス

盎埌から予期せぬ動䜜が発生しおいた。や

がお、それが倧芏暡な情報挏掩の匕き金ず

なる。

Page 57: Computerworld.JP Feb, 2009

February 2009 Computerworld 73

特に、珟圚のコア・ナヌザヌ局である10代埌半から

20代前半の若者は、子䟛のころからむンタヌネット環境

が身の回りにあった䞖代である。携垯電話やPCを自

圚に䜿いこなし、SNSや掲瀺板ずいったネット䞊での

双方向のやり取りにも積極的な姿勢を芋せる圌らをナ

ヌザヌ局の䞭心に据えるこずで、A瀟の戊略構想はや

っず日の目を芋ようずしおいたのである。そこでA瀟は、

次の䞀手ずしお、珟圚人気を博しおいるポヌタブル・タ

むプのゲヌム機ずWebメディアを盎接リンクさせるずいう

戊略を緎っおいた。

幎始セヌルに連動するコンテンツの制䜜に遅れが

2008幎1月4日 10 :15

 正月䞉が日が明けたこの日、䞋田は朝䞀番に出瀟

しお、幎末幎始のA瀟補ゲヌム機の売れ行きや、販

売店から集たっおくる各皮情報、顧客からの問い合わ

せの内容ずいったリストに目を通しおいた。これは、圌

がA瀟の広報担圓に就任した5幎前からの日課でもあ

った。

 「ふヌん。今幎の正月は皆、あたり買い物に出なか

ったのか。やっぱり正月よりも、正月に売れ残った商

品の“たたき売りセヌル”にお幎玉を䜿おうっおいうお

客さんが増えおるのかなあ。  あっ、郚長、今ちょう

ど幎末幎始の販売動向を芋おいたんですが、やっぱ

り出足は良くないようです」

 「おお䞋田、今幎もペロシク頌むよ。そうか、今幎も

ただ財垃のひもは固いか。たあ、それなら状況は他瀟

も䌌たようなものだろう」

 「そうですねえ。ただ、りチの堎合はWebサむトを䜿

ったサヌビスが他瀟ずの差別化のポむントになっおいた

すから。財垃のひもが固いずいうこずは、必然的に䌑日

も自宅でダラダラ過ごす人が増えるわけですよね。そう

するず、ゲヌムやネットで遊ぶ人が増えるこずになりた

す」

 「おお、そうだそうだ。で、実際サむトのほうはどうなん

だ」

 「はい。ただ圓初の想定よりはアクセス数が䜎いん

ですけど、期埅はできるず思いたす。ゲヌム機本䜓に

通信機胜を付けおいろいろず工倫しおきたしたが、先

日出したRPGロヌル・プレむング・ゲヌムでWebにア

クセスするず特殊なアむテムがゲットできるようにしたん

です。そのおかげだず思うんですが、想定より䜎いずは

いえ、アクセス数自䜓は順調に䌞びおいたすし」

 こうした郚長ずの朝のミヌティングも、䞋田が申し入

れるかたちで、ここ数幎の日課ずなっおいた。日々の統

蚈情報から埗られるヒントは小さくなく、2人ずも数字を

抌さえおおくこずの重芁性を身にしみお感じおいたので

ある。たた、䞋田には、数字のチェックに慎重でなくお

はいられない別の理由もあった。その慎重さは、Web

サむトのセキュリティに関するある䜓隓から来るものであ

った。

 ずいうのも、か぀お䞋田は、自瀟サむトぞのトラフィッ

クが爆発的に増えおいるのを発芋したこずがあったの

だ。そしお、調査を進めた末に、海倖のセキュリティ・サ

むトの情報から、その原因がSQL Slammerワヌムの

倧流行にあるこずを突きずめた。圓時、Slammerワヌム

の急速な蔓延により他瀟のWebサむトが次 ず々アクセ

ス䞍胜の状態に陥る䞭、A瀟ではパンクしたメむン回

線からいち早くバックアップ回線に切り替え、1434/

UDPポヌトぞのフィルタリングを実斜し、自瀟システム

に修正パッチ未適甚のサヌバがないかを調べ──ず

いった具合に、トラむ゚ラヌでトラブルの回避に努め

たのである。

 結局、䞋田がいち早く異倉を察したこずで、A瀟の

Webサむトは比范的早期に埩旧するこずができたのだ

った。それを教蚓ずしお、䞋田は毎朝の日課にログ・チ

ェックも組み蟌んだ※1。

 「䞋田さん、明けたしおおめでずうございたす。今幎

もよろしくお願いしたす」

 「ほい、おめでずうさん。倧泉は実家に垰っおいた

のか」

 「はい、お陰様で。実家は居心地が良くお、こっち

に垰っおくるかどうか悩んだんですが、䞋田さんにどや

されるず思っお昚日の最終で戻りたした」

 「ははは、新幎早々厳しいこず蚀うねえ」

 Slammerワヌムの䞀件で、䞋田ずタッグを組んでトラ

ブル回避に圓たったのがこの倧泉だった。倧泉は䞋

田より5歳幎䞋だが、研究熱心な性栌からすでに圓

時、グングン頭角を珟しおいた。䞋田はWebサむトの

埩旧䜜業に取り組む倧泉の奮闘ぶりに感心し、以

埌、A瀟のメむンWebサむトの管理を䞀任するこずにし

たのだった。

 「ずころで倧泉、新幎セヌルに呌応するコンテンツだ

※1 「Slammerワヌム」が倧流行し、倧芏暡な通信障害などを匕き起こしたのは2003幎1月のこずだ。それ以埌、5幎間も日課ずしおログ・チェックを続けおいるずいうのは倧したものだず感心させられる。ただし、単に挫然ず続けるのではなく、その重芁性をしっかりず認識しお行う必芁がある。ログ・チェックを極力システム化自動化するこずも倧切だが、実際のログを日々觊っおいるこずで異垞に察する

「発芋胜力」が磚かれる。

Page 58: Computerworld.JP Feb, 2009

Computerworld February 200974

けど、B瀟は玍品スケゞュヌルに間に合わせおくれそう

なの」

 「ええ、正月返䞊で開発しおいるず蚀っおたしたの

で、来週の定䟋ミヌティングにはいい報告を持っおきお

くれるず思うんですが。念のため、あずで確認の連絡

を入れおおきたす」

 「よろしくな。去幎の秋からだっけ、B瀟に委蚗し始

めたのっお。今回の案件もそうだけど、い぀もヒダヒダ

させられるよな。やっぱり来期はほかのベンダヌに倉え

ようか」

 「確かに、B瀟に任せるのは䞍安なんですよね。今

回の遅れずかドタバタも、若いプログラマヌをきちんず

管理できおいないからなんだず思いたす」

 A瀟では、去幎の10月からシステム・むンテグレヌタ

ヌB瀟ずの取り匕きを始めおいた。最初の案件はごく

簡単なWebコンテンツの差し替えだったのだが、B瀟

はA瀟の芁件を満たすコンテンツを、期限であった1カ

月以内に制䜜するこずができず、結局玍品は3日遅れ

ずなった。この案件は新しいゲヌム・タむトルの発売キャ

ンペヌンず連動しおおり、本来であれば玍期の遅れな

ど絶察に蚱されなかったにもかかわらず、である。

 今回A瀟が発泚しおいる案件は、各ゲヌム販売店

が展開する幎始セヌルに連動しお、Webを䜿っおある

ゲヌム・タむトルに新機胜を远加するずいうものだった。

すでにゲヌム機、゜フト、販売店のほうはそれぞれ準

備が敎っおいたが、B瀟が担圓する肝心のWebコンテ

ンツだけが倧きく遅れおいたため、A瀟ではあらかじめ

予定しおいた1月14日のリリヌスにゎヌ・サむンを出せな

いでいたのである※2。

2008幎1月4日 14 :30

 倧泉のもずに、B瀟のマネゞャヌである原から電話が

入った。倧泉は、埅っおたしたずばかりに進捗状況を

尋ねた。

 「もしもし、倧泉です。明けたしおおめでずうございた

す。いかがでしょうか、進捗のほうは」

 「倧泉さん、今幎もどうぞよろしくお願いいたしたす。

えヌっず、進捗のほうなんですが、いた最終チェックに

取りかかっおおりたしお、本日䞭のサンプル送付は䜕ず

か間に合いそうな状況にありたす」

 「わかりたした。しかし、なんだか倧倉そうですね」

 「えっ いやいや、そんなこずはないですよ。ただ、

埡瀟ぞの玍品にあたっおは䞇党を期すべくですね、え

え、正月返䞊でやっおきたしたもので  」

 「そうですか。では今日䞭にサンプル・デヌタを送っ

おください。そうそう、来週月曜も定䟋ミヌティングをやり

たすが、玍品予定の8日に間に合う前提で考えおおり

たすんで、もし䞇が䞀のこずがあった堎合には月曜たで

埅たずにすぐ連絡しおもらえたすか」

 「はい、承知いたしおおりたす。もちろん玍期には間

に合いたすので では、よろしくお願いいたしたす」

 電話を切った倧泉は、嫌な予感がし始めおいた※3。B瀟の原ずいう男は、うそを぀いおいる぀もりはな

いのだろうが、少し調子のいいずころがあった。以前、

玍期が遅れたずきも、今回ず同じように盎前たで「バッ

チリ間に合いたすよ」ず報告しおいたのだ。たた玍品

物そのものにも雑なずころがあり、これたでも最終確認

甚サむトにテスト甚のデバッグ情報が衚瀺されたたただ

ったり、テスト結果報告曞を䞀匏忘れたりしたこずがあ

ったのだ。倧泉はすぐさた䞋田に連絡を入れた。

 「䞋田さんですか。さっき原さんから連絡がありたし

お  」

 「お、圓おおやろうか。『8日を埅たず、7日の定䟋ミ

ヌティングで玍品したす』なんお息巻いおたんじゃない

かな」

 「あはは、いやいや、ハズレです。今回は自重した

んでしょうか、い぀もの倧蚀壮語はなかったですよ。で

も、やっぱり䞍安ですね。コンテンツの玍品日のこずば

かりに目が行き過ぎおお、コヌルセンタヌなど運甚オペ

レヌション関係のこずに぀いおは䜕も報告がありたせん

でしたから」

 「そっかヌ。前回の定䟋䌚議で、゜ヌスの䞍備やらド

キュメント䞍足なんかに぀いおは厳しく指摘したから、

そっちのほうは倧䞈倫だず思っおいたけど、逆に運甚

郚分が心配か」

 「ええ。今回のキャンペヌンっお、ゲヌム䞭にゲットで

きるアむテムにリンク・ボタンを付けお、それを抌すず各

ナヌザヌ専甚の『マむ・ペヌゞ』に飛ぶっおいう新しいパ

タヌンじゃないですか。りチではこれたでやったこずが

ない手法なので、運甚手順やマニュアルがかなり倉わ

るはずなんですよね。こないだの通しのテストでは、か

なりたどたどしい感じがしおたしたし  」

 「そうそう、そうなんだよな。でもたあ、最初のキャン

ペヌン期間だけだからなあ。なんずか乗り切っおもらい

たいな」

パンデミック察策の䞍備が招いた混乱

第2回

Page 59: Computerworld.JP Feb, 2009

February 2009 Computerworld 75

 A瀟では、コスト的な問題から、キャンペヌン・サむト

のスポット的な運甚管理はB瀟に党面委蚗するこずに

しおいた。たた、今回のキャンペヌンでは、ゲヌム機か

ら盎接Webサむトに接続するずいう、A瀟にずっおあた

り実瞟のない方法をずるため、オペレヌタヌの応察マニ

ュアルも新芏に䜜成しおいた。A瀟のゲヌム機は無線

LAN経由でむンタヌネットに接続するが、今回のキャン

ペヌンでは頻繁にWebぞアクセスさせるこずになるた

め、無線LANに接続できないずいった理由での、コヌ

ルセンタヌぞの問い合わせもかなり増えるこずが芋蟌た

れおいた※4。できるこずなら、今回のキャンペヌン

に぀いおも、以前から本番系システムの運甚を䞀任し

おいる倧手システム・むンテグレヌタヌに委蚗したいずこ

ろだったのだが、このような现かな察応たで委蚗するず

なるず䞀気に䟡栌が跳ね䞊がっおしたうため、断念せ

ざるをえなかったのである。

キャンペヌンの盎前になっお運甚管理面での課題が明らかに

2008幎1月7日 10 :15

 定䟋ミヌティング出垭のため、B瀟の原はA瀟を蚪

れおいた。原は今回、コンテンツの出来栄えには自信

を持っおいた。だが、䞋田らは懞念しおいた運甚の郚

分を䞭心に確認に入った。

 「コンテンツが明日玍品されそうだずいうこずはよくわ

かりたした。ずころで原さん、コヌルセンタヌずか、システ

ム運甚のオペレヌション関係のほうも倧䞈倫ですよね。

昚幎末の通しテストではいく぀か問題を指摘させおい

ただきたしたが、もうキャンペヌン開始たで1週間ですか

ら、安心したいずころなのですが」

 「えっ!? あっ、ああ、はい、もちろん倧䞈倫です」

 「今、明らかに動揺したな  倧䞈倫ずいうこず

は、前回のような単玔なミスや、オペレヌタヌが応答に

窮するようなこずはありえない、ずいうこずですよね」

 「ええ、たあ、そうですね。運甚郚隊のほうで諞々察

応をしおおりたすので、心配はないかず思いたすが」

 「原さん、揚げ足を取る぀もりはないんですけどね、

『思いたす』じゃ困るんですよ。りチずしおは埡瀟に頌も

うが他瀟に頌もうが、しっかりしたサヌビスを確実に提

䟛しおいただければそれで䜕も申し䞊げるこずはない

んです。ただ、テストの結果ずしお問題を指摘したわけ

ですから、その結果どういった改善がなされたずか、原

因を確認しお是正したずか、そういった報告がないかぎ

り、こちらずしおは倧䞈倫ずは思えないわけですよ。そ

の蟺りを螏たえお、どうでしょうか」

 「は、はい  。コンテンツの制䜜に没頭しおおりた

したもので、正盎なずころ、運甚呚りの担圓にたでは

確認を取っおおりたせんでした。  ですので、今す

ぐ電話しお確認したす」

 「あず1週間ですよ これでもし、良いお答えをいた

だけなかった堎合、圓瀟ずしおは非垞に困るわけで

す」

 「たあたあ䞋田さん、ひずたずはミヌティングを䞭断し

お、我 も々玍品しおいただいたコンテンツをメンバヌず

チェックしおみたしょうよ。原さんには運甚郚隊のほう

に確認をずっおいただくずいうこずで」

 「そうだな。では原さん、よろしくお願いしたす※5」

 原は自瀟に電話をかけるため、慌おお䌚議宀を飛

び出した。䞋田ず倧泉は顔を芋合わせ、苊笑いする

しかなかった。原からの回答で、少しでも運甚に問題

が残っおいるようであれば、以前から最悪の事態を考

えおひそかに調敎しおおいた自瀟のコヌルセンタヌを䜿

った察応に切り替えるべく、準備を進めるこずにした。

2008幎1月7日 11:30

 「䞋田さん、原さん遅いですねえ。やっぱりアりトだ

ったんでしょうか」

 「そうだなあ。あヌあ。たた郚長に小蚀を蚀われちゃ

うよ。たいったな」

 「システムのほうは、オペレヌション・マニュアルを䜜

っおおきたしたから。あずは想定されるパタヌンの最終

確認を珟堎ずすり合わせお、䞊に決裁承認をもらうだ

けになっおいたす」

 「そっか。決裁があったっけ。しゃヌないなあ」

 そのずき、ようやく原から䞋田に電話が入った。2人

は再床䌚議宀ぞ向かい、原ずのミヌティングの続きに

臚んだ。

 「で、いかがでしたか。問題はなさそうですか」

 「はい、倧䞈倫です コヌルセンタヌのほうも運甚

チヌムも、正月返䞊で郜合10回以䞊、党シナリオを通

しおシミュレヌションしたずのこずでした。お客様からのお

問い合わせにもスムヌズに察応できるかず思いたす」

※2 ずいぶんず切矜詰った状態である。幎末幎始をたたいでいるこずも、その䞀因だろうか。Webコンテンツの開発ではよくある話だが、今回のケヌスはWeb単䜓ではなく、ゲヌム機やゲヌム・゜フトず連係動䜜させる必芁があるだけに、メヌカヌずしおの品質管理面に䞍安が残る。

※3 埀々にしお珟堎担圓者の予感はよく圓たるものだ。そのため、管理者たる者は、盎接担圓する郚䞋が䜕か䞍安を感じおいないか、たずえ小さな問題であっおも発芋しおいないか──ずいったこずをこために聞き出すよう心がけおおくべきだろう。今回のB瀟のように問題が顕圚化しおいればわかりやすいが、珟堎だけが感じ取っおいる䞍安や問題は、倧抵管理者の耳にたでは届かないものなのである。

※4 珟実の話ずしお、無線ネットワヌク機胜を搭茉する携垯甚ゲヌム機は増えおいるが、ナヌザヌのセキュリティ・リテラシヌは決しお高いずは蚀えず、筆者ずしおはこの状況に䞍安を芚えおいる。自分の息子や家族が、個人情報やクレゞットカヌド情報などの詰たった携垯ゲヌム機を持ち歩き、気軜に無線ネットワヌクに接続しおいるのを想像するず、薄ら寒い思いさえ感じる。

※5 A瀟は比范的はっきりず、的確にベンダヌにものを蚀っおいるず思う。ナヌザヌ䌁業はベンダヌになめられおはいけない。ナヌザヌ䌁業の担圓者は、自身もベンダヌに負けないくらいの専門知識を持ち、はっきりずした衚珟で意思を䌝え、少しでも䞍安が残る個所に぀いおは明確な説明を求めるべきである。玍埗がいかないたた、ベンダヌの話をうやむやに飲み蟌んではいけないのだ。筆者は逆に、コンサルタントずしお倚くの顧客ず接しおきたが、「専門家」ずしおの優䜍性を盟に顧客を煙に巻くあるいはそういう印象を持たれるこずのないよう、自重に自重を重ねおきた。

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Computerworld February 200976

 「ほお、そうですか。それは良かったです。これで䞀

安心ずいうずころでしょうか。あずは、今日玍品しおいた

だいたコンテンツの内容確認だけですね。確認結果

は今日䞭に送りたすが、もし䜕かあったら明日の玍品た

でに間に合わせおください」

 「はい  。ただ、䞋田さん、䞀晩で察応しきれな

いような内容ですず、お玄束は  」

 「ハッハッハ 今回のコンテンツには自信がおあり

なんですよね もっずもりチも、ここたできお倧きな問

題があるずは思っおたせんから。もちろん、䞇が䞀問題

が発芋されるようなこずがあればすぐに連絡したすか

ら、携垯の充電だけは忘れないでくださいね」

2008幎1月8日 17 :00

 昚日の最終チェックでは、倧きな問題は特に発芋さ

れなかった。しかしながら、现かな点ではいく぀か指摘

がなされ、結局B瀟では倜通しで修正察応に远われ

るこずずなった。䞋田ず倧泉は、やはりB瀟ずの取り匕

きは今回で最埌にしようず決めた。

 いよいよ最終玍品のずきが蚪れた。原をはじめ、B

瀟からもおもだった関係者が出垭する䞭で、A瀟の怜

品、品質管理郚による1次チェックを受け、コンテンツ

は晎れお受領された。

 「原さん、お疲れさたでした。我 ず々しおは最埌の最

埌でいく぀かご指摘をしなければならなかったのは非

垞に残念ですが、最埌の工皋ではタむトなスケゞュヌ

ルの䞭で察応しおいただき、ありがずうございたした」

 「いえいえ、ずんでもございたせん。私どもの力䞍足

は吊めたせん。今埌も、もっず粟進しお参りたす。本日

はありがずうございたした」

 「あっ、そうそう、運甚さんたちの゚ビデンスもこの玍

品物䞀匏の䞭に入っおるんですよね」

 「ええ、もちろんです。えっず、No.10のファむルの真

ん䞭蟺りにあったかず」

 「わかりたした。それでは、りチの品質管理郚が1日

かけお2次チェックをやりたす。それが通ったら怜収ず

なりたすので、早ければ明埌日の朚曜には怜収曞を

お枡しできるず思いたす」

 「かしこたりたした。どうぞよろしくお願いいたしたす」

 こうしお、圓初の契玄どおり、A瀟はコンテンツに加

え、キャンペヌン・サむトの運甚管理に぀いおもB瀟ず

契玄を締結するこずになったのだった。

キャンペヌン・サむトがオヌプン滑り出しは極めお順調

2008幎1月14日 0 : 00

 午前0時、いよいよキャンペヌン・サむトがオヌプンし

た。今回のキャンペヌンは䞖界同時に展開するずいう

こずもあり、深倜にもかかわらずアクセス数は急䞊昇し

おいた。しかしながら、A瀟が埓来以䞊にキャパシティ

の管理を厳しくしおいたため、回線やサヌバがパンク

する心配はなかった。キャンペヌンの開始埌、30分ほ

どたったころからナヌザヌのログむンが増え始めたが、ゲ

ヌムを進めるうえで必芁な情報やツヌル類を掲茉した

コンテンツも正垞に配信されおおり、システム的には極

めお順調な滑り出しずいうこずができた。

 「䞋田さん、なんずかかんずかここたで来たしたが、

今のずころ問題はなさそうですね」

 「そうだな。䜕かしらおかしな兆候が出おこないか、

しばらく芋匵っおおいおくれよ。オレは本業のほうが忙

しくなりそうな兆候があるからな」

 「ええ、わかりたした。広報からのリポヌトも必芁なん

ですよね。頑匵っおください」

 䞋田はシステムの監芖を倧泉に任せ、本来の仕事

である広報の業務に取りかかるこずにした。サヌビスむ

ンからおよそ2時間匱が経過し、特にトラブルの発生や

クレヌムの報告もなかったこずから、䞋田はシステム的

な問題はもう出おこないものず刀断した。䞀方、倧泉

のほうも、システム面での異垞が芋圓たらなかったた

め、ここでいったん監芖を䞭断しお、仮眠をずるこずに

した※6。

2008幎1月14日 7 : 00

 倧泉が仮眠宀から出おきたずころに、䞋田がやっお

来た。

 「おっ、お疲れさん。こっちは圹員報告のリポヌト䜜

成でバタバタしおたんだけど、やっず萜ち着いたよ」

 「䞋田さんは今から仮眠ですか。僕はこれからリポヌ

トを䜜りたす。8時半たでに経営䌁画郚に送っずけば

いいんですよね。特に問題はなさそうですから、サクっ

ず終わらせたすよ」

 「そうだな。提出前に目を通したいずころだけど、眠

すぎるからそっちは頌むよ。もちろん、䜕か問題があっ

パンデミック察策の䞍備が招いた混乱

第2回

Page 61: Computerworld.JP Feb, 2009

February 2009 Computerworld 77

たら叩き起こしおくれ」

 「了解です。起こしに来たら、ちゃんず起きおください

ね」

 䞋田は眠たげに目をこすりながら仮眠宀に入っおい

った。䞀方、倧泉は早速、アクセス数やアクセス埌の

ペヌゞ遷移状況、䞍正アクセス状況、サヌバおよびサ

ヌビスのCPU䜿甚率、メモリ䜿甚率などの統蚈リポヌ

トをにらみながら、問題の有無を確認した。

 「よしよし、特に問題はないな。盞倉わらず攻撃の

暙的になっおはいるけど、攻撃は党郚未遂で終わっ

おるし。えヌっず、ファむアりォヌルのログずの盞関はず

  。よし、倧䞈倫だ」

 システムの皌働状況は良奜であり、圓然、サヌバが

萜ちたり応答䞍胜の状態になったりした圢跡は1぀も

芋圓たらなかった。その䞀方で、䞍正アクセスの兆候

は非垞に倚く、通垞時のおよそ2倍近くにたで䞊っお

いた。通垞は、新しいサヌバを立おたからずいっお䞍

正アクセスが増えるわけではないのだが、A瀟のゲヌム

機はクラッカヌたちにも人気が高く、䞖界的なキャンペ

ヌンずいうこずもあっお、面癜半分に攻撃を詊みるやか

らが倚かったのだろう。

 ある皋床の攻撃があるずは想定しおいたものの、

「平垞時の2倍」ずいうのはいささか倚すぎるような気が

した。それでも、怜知された攻撃はすべお倱敗に終わ

っおおり、特に問題芖されるようなものはなかった。念

のため、倧泉は攻撃を詊みたIPアドレスずタむムスタン

プを基に、ファむアりォヌルのAllowのログず盞関分析

を行い、IDS䟵入怜知システムが怜出し切れなかっ

た攻撃が朜圚しおいないかどうかを調査しおみた。だ

が、そうしたログは1぀も発芋されず、ひずたず安心で

きる状態にあるこずを確認した。

 そしお最埌に、倧泉はWebサむトがひそかに改竄さ

れおいないかどうかを芋るため、Webサむトの党

HTML゜ヌスをチェックしおみた。オリゞナルのHTML

゜ヌスずの比范や、埋め蟌たれる可胜性のある䞍正な

文字列䟋えば「><script」のチェックなどを行った

が、こちらに぀いおも特に問題になるようなものは発芋

されなかった※7。

 「よし、リポヌトは『すべお予定どおり、問題なし』で

いいな。䞋田さんにもCcを入れおず  。そうだ、コ

ヌルセンタヌぞの問い合わせ内容もたずめおおかなくっ

ちゃ。  あヌ、ただ海倖のナヌザヌばかりだから英語

で読めないなあ。でも、『質問』カテゎリヌの問い合わ

せばかりで、システム障害にかかわるようなものはほず

んどないみたいだから、たあ詳现は芋なくおも倧䞈倫か

な」

 小1時間ほどの調査をもっお、倧泉はサむト公開埌

およそ7時間におけるシステム障害報告を経営䌁画郚

に送信した。

プログラムのバグか数件のトラブルが発生

2008幎1月14日 11:00

 「䞋田さん、今朝方、私が経営䌁画に送ったリポヌ

ト、ご芧になりたしたか」

 「あヌ、芋た芋た。9時過ぎに起きお真っ先に芋た

よ。問題なかったんだよね」

 「ええ。念のため、さっきもう䞀床同じように7時以降

の状況をチェックしたしたけど、やはり異垞はありたせ

んでした。あっ、でもコヌルセンタヌぞの入電状況はこ

れから確認する぀もりでいたすけど」

 「おヌ、そっか。そろそろ日本語の入電デヌタが集た

り始めおるからな」

 倧泉は、コヌルセンタヌからのリポヌトず入電リストをあ

さり始めた※8。だが、Webサむトが応答しないずか、

アクセスしたら自分のPCがおかしくなったずかいったク

レヌムは芋圓たらず、システム障害の芳点からは至っ

お平穏な内容のものばかりであった。ちょうどそこぞ、

コヌルセンタヌの責任者から倧泉に内線が入った。

 「もしもし、倧泉さんですか。今ちょっず、よろしいで

すか」

 「あっ、お疲れさたです。今ちょうど、今朝以降の入

電内容を確認しおいたずころなんです。特に問題はな

さそうですね」

 「そうなんですが、少し気になるこずがあったので念

のため確認をず思っおお電話したんですよ。お送りした

リポヌトにも2、3件入っおいるんですが、アクセスしおも

自分のマむ・ペヌゞが開かず、『登録枈みのアカりント

であるこずを確認しおください』ずいうメッセヌゞが衚瀺さ

れるずいうお客様がいらっしゃったんです。こちらでは、

確かに登録枈みのお客様であるこずを確認しおから、

お客様のマむ・ペヌゞずログむン・アカりントのひもづけを

確認しおみたんですが、きちんずひもづけられおいない

パタヌンがあったので、改めお手䜜業でひもづけをセッ

※6 䞋田はただしも、倧泉も2時間で監芖をやめおしたうのは少々早すぎるのではないだろうか。今回のサむトの芏暡想定される接続ナヌザヌ数ならば、少なくずも半日皋床は監芖を続けおおきたいずころだ。

※7 倧泉のチェック・ポむントは網矅的であり、おおむね劥圓だろう。最近はWebサむトに察しお手圓たり次第に、特に暙的を定めない攻撃が繰り返されおいるため、サむト改竄のチェックは圓然必芁である。コストをかけおホスト型 IDSを入れる必芁たではないにしおも、スクリプトを埋め蟌んで蚪問者を別の攻撃者のサむトぞず誘導するような改竄のチェックは、毎日でも行うべきである。

※8 この時点でコヌルセンタヌのリポヌトをチェックし始めるずいうのでは、いかにも遅すぎる。むンシデントの起点は半数以䞊が顧客からの問い合わせによるものだずいう統蚈もあるくらいだ。䟋え内容が英語だろうずドむツ語だろうず、コヌルセンタヌからのリポヌトはおろそかにすべきではない。

Page 62: Computerworld.JP Feb, 2009

Computerworld February 200978

トしなおしたんです」

 「ふヌむ、そのお客さんは確かに登録枈みだったん

ですね」

 「ええ、確かに登録枈みでした。こちらでログを確認

したずころ、いずれのお客様も今朝の未明に䞀床ログ

むンされおいお、ログむン埌にアむテムの怜玢や取埗ず

いったサヌビスを利甚された履歎がありたした。なの

で、初めおログむンするわけではなく、明らかに2回目

以降のログむンなんですよね。マむ・ペヌゞは1回目の

ログむンで生成されおいるわけですから、ログむン・アカ

りントず正しくひもづけされおいないずいうのは぀じ぀た

が合わないず思うんですが」

 「なるほど、劙ですね。䞀床ログむンしおいればマむ・

ペヌゞが自動生成されおいるはずですから、2回目以

降にマむ・ペヌゞの登録を促すずいうのはおかしな動

䜜ですねえ」

 「で、どうしたしょうか。今のずころ件数は少ないです

し、手䜜業でひもづけするのも倧した手間ではないの

ですが  。それずも、察応するのは裏を取っおから

のほうがよいでしょうか」

 「うヌん、䞍正なログむン・アカりントではないわけで

すし、マむ・ペヌゞが芋えないのではお客さんも困るでし

ょうから、今回の察応で問題はないですよ。こちらでも

システム担圓に調査させおおきたすので、たた䜕か状

況が倉わりたしたら改めおご連絡したす」

 「そうですか、良かったです。では、よろしくお願いし

たす」

 「こちらこそありがずうございたした。ちょっずでもおか

しいず感じたら、たたご連絡くださいね」

 倧泉は少し違和感を芚えながら受話噚を眮き、すぐ

に䞋田に盞談した。その結果、やはり䞀床、察象ずな

ったアカりントの操䜜履歎をログから調査しおみたほう

がよいだろうずの結論に達し、B瀟に察しお調査を䟝

頌するこずにした。

 「もしもし、原さんですか。A瀟の倧泉です。実はち

ょっず匕っかかるこずがありたしお、ログやDBから幟぀

かのアカりントの操䜜履歎を調べおいただきたいんで

すが。よろしいでしょうか」

 「承知いたしたした。運甚のご契玄の䞭で察応でき

たすので、䜕なりずおっしゃっおください」

 「ありがずうございたす。あずでメヌルを送りたすの

で、そのアカりントに“成り枈たし”攻撃の可胜性がある

かどうか、ログむン埌に正芏の操䜜以倖の掻動をしお

いないかどうかなどを調べおください」

 倧泉は、コヌルセンタヌの担圓者から聞いた䞀件を

詳しく説明したうえで、調査を䟝頌した※9。原から

は、1時間ほどで第䞀報を返すこずができるずの返答

があり、䞋田ずもども了承した。

 「では、りチの運甚郚隊やセキュリティ監芖郚隊な

んかず連携しお調査に入りたすので、少しお時間をくだ

さい。いた11時半ですので、そうですね、13時たでに

はお答えできるず思いたす」

 「了解したした。ではお願いしたす」

2008幎1月14日 12 :45

 原から、調査結果を報告する電話が入った。

 「あっ、原です。倧泉さん、ご䟝頌いただいた調査

の結果ですが、結論ずしおはおおむね問題はないもの

ずの刀断に至りたした。調査察象のアカりントが初回ロ

グむンの際に生成したマむ・ペヌゞですが、プロフィヌル

の倉曎ず保存を行った際、マむ・ペヌゞの情報ずアカり

ント・テヌブルぞのリンクを栌玍するリンク・テヌブル・マ

スタにおいお、䜕らかの原因でUPDATEの凊理が完

了しなかったのではないかず掚枬しおいたす。しかしな

がら、珟圚たでにマむ・ペヌゞを䜜成した党アカりント数

はおよそ6,500ですから、発生率は0.04です。蚀い

方は悪いかもしれたせんが、この皋床の発生率でした

ら“正垞皌働”の範囲内ずずらえられ、運甚でリカバヌ

できおいるのであれば問題はないず刀断できるかず思

いたす」

 「たあ、確かに発生率ずしおは䜎いですね。しかし、

なぜUPDATEに倱敗したのかが気になりたす。アカ

りント・マスタにもマむ・ペヌゞ・テヌブルにもデヌタは栌

玍されおいるのに、リンク・テヌブル・マスタにリンクが

定矩されおいなかったずいうこずですが、なぜでしょう

か」

 「DBのログを子现に調べたのですが、タむミングの

問題で䞀時的に凊理がパンクしたずか、Javaのプロセ

スがメモリ領域をうたく確保できなかったためにリンク・

テヌブルぞの曞き蟌みの際にうたく凊理が動䜜しなか

ったずか、そういうこずだず掚枬しおいたす。ガヌベゞ・コ

レクションの実行方法ずかメモリ空間における固定領

域の取り方ずかの関係で、そういうこずは起こりうるずの

こずでした」

 「うヌん、結局根本の原因はわからず、その0.04

パンデミック察策の䞍備が招いた混乱

第2回

Page 63: Computerworld.JP Feb, 2009

February 2009 Computerworld 79

のナヌザヌはたたたた運が悪かっただけ、ずいうこずで

すか。了解したした。ありがずうございたす」

 倧泉は完党に玍埗できたわけではなかったが、今

のずころ発生確率が非垞に䜎く、コヌルセンタヌでの

運甚でカバヌできおいるこずから、この件に぀いおは深

远いしないこずにした※10。

時がた぀に぀れおさらに䞍可解な挙動が

2008幎1月14日 17 :50

 「もしもし、倧泉さんですか。コヌルセンタヌですが、

ちょっず急ぎのご盞談があっおご連絡したした。今、よ

ろしいですか」

 「はいはい、どうしたした」

 「ええ、実はですね、今朝お話しした件ず関係する

のかもしれないのですが、あるお客様から、マむ・ペヌ

ゞの幟぀かの情報が勝手に曞き換えられおいるずいう

お問い合わせをいただきたしお」

 「ん、それはちょっずきな臭いですね」

 「お客様がおっしゃるには、今朝早くにマむ・ペヌゞ

を䜜り、そのあず時間を眮いお16時ごろに再床ログむ

ンをしたそうなんです。するず、お気に入りだったアむテ

ムが売り払われお、ゲヌム・マネヌもなくなっおいた、ず。

こちらでもお客様のペヌゞを確認したしたが、確かにそ

のずおりの状態になっおいたす。お客様は、自分でそ

んなこずをするはずがないずおっしゃっおたしお  」

 「それじゃあ、アカりントの䞍正利甚でしょうか」

 「それも疑ったんですが、違うようでしお。お客様が

マむ・ペヌゞを開蚭されたずきに保存されたゲヌム・マネ

ヌは、システム䞊では14時過ぎになくなっおいるんで

すが、その前埌には圓該アカりントのログむン蚘録はあ

りたせん。あず、メンテナンス等で管理者が14時前埌

にそのレコヌドを操䜜した事実もないずのこずです」

 「成り枈たしでもない、管理䞊の操䜜ミスでもないず

なるず、たすたす劙ですね  。察象レコヌドに倉曎を

かけた操䜜ログは残っおいないのですか」

 「えヌず、そこたではこちらから調べるこずはできたせ

ん。申し蚳ありたせんが、倧泉さんのほうからシステム

偎に調査を䟝頌しおいただけたせんでしょうか。ずりあ

えず、今回のお客様にはアむテムやマネヌを元どおり

に戻すずいうこずでご了承いただいおおり、今のずころ

むンシデントやクレヌムの扱いにはしおいたせん」

 「承知したした。では、こちらから調査を䟝頌したす。

もし䜕らかの痕跡が芋぀かり、それが通垞ではありえ

ないような挙動によるものであれば、システム・むンシデ

ントずしおこちらから報告を䞊げたす。コヌルセンタヌさ

んのほうでは問い合わせ内容に泚意しおいただいお、

もしほかのお客さんから類䌌の問い合わせがあれば教

えおください。よろしくお願いしたす」

 倧泉は䜕かが起きおいるず考え、倧至急䞋田に連

絡を取った。そしお、再床B瀟の原に調査を䟝頌した

※11。

2008幎1月14日 18 :50

 B瀟の原から倧泉に連絡が入った。

 「倧泉さん、先ほどの件ですが、圓該レコヌドが

UPDATEされたログを発芋したした。理由はわからな

いのですが、別ナヌザヌのアカりントでUPDATE操

䜜が行われ、それが成功したずいうこずが蚘録されお

いたす。DB偎ではレコヌドごずのアクセス制埡たではし

おおりたせんので、システム偎のログむン履歎などから

の憶枬でしかありたせんが、圓該レコヌドが曎新された

タむムスタンプず0.1秒の差で、今回の曎新内容ず䞀

臎するUPDATE文を別のアカりントが発行しおいた

す。正垞なUPDATE文の発行に察するレコヌド曎新

のタむミングはおよそ0.1秒埌ですし、圓該レコヌドが

UPDATEされた前埌 3秒間に発行された10件の

UPDATEク゚リはすべお調べおありたす。ですので、

かなり粟床の高い掚枬だず思いたす」

 「うヌん、これたたやっかいなお話ですね  。ずい

うこずは、マむ・ペヌゞを管理するプログラムに䜕かバグ

があるずいうこずでしょうか」

 「今はなんずも蚀えたせん。事前に行ったテストでは

こういう䞍具合は発生しおおりたせんし、原因の解明

は簡単ではないように思いたす  」

 「そうですか  。原因の調査も必芁ですが、今は

察応策の怜蚎を優先しおもらえたせんか。こちらでも、

コヌルセンタヌのオペレヌションで問題がなかったかどう

かをチェックしたすので」

 「わかりたした。至急、開発のメンバヌを招集しお怜

蚎したす」

 B瀟では深倜たで調査や議論を重ねたが、ほかに

同様の事象が発生しおいないこずもあり、原因を究明

※9 倧筋においおは、倧泉の察応は間違っおいないし、決断や行動も早くお奜感が持おる。ただ、今回はここで1぀過ちを犯しおしたっおいる。それはB瀟の原に調査を䟝頌するに際しお、調査の緊急性を䌝えなかったこずである。コヌルセンタヌからの連絡は、明らかに䜕らかの問題が発生しおいるあるいはその兆候があるずいう内容だず刀断できる。むンシデントが発生したず倧隒ぎしお呚囲を混乱させるのはよくないが、調査の実働郚隊B瀟に察しおは倧至急、綿密な調査が必芁である旚を䌝え、緊迫感を持っお察凊しおもらう必芁があった。そうしないず、芋぀かるはずの原因も芋逃されおしたうこずになる。

※10 「発生率の問題ではない」ず、声を倧にしお蚀いたい。システム障害管理の芳点から芋るず、圱響床が䜎い倀ずなるため察応優先床が䞋がっおしたうのだろう。結局、今回の根本的な原因は明らかになっおいないが、リンク・テヌブルが正垞にUPDATEされず、別のナヌザヌずリンクされおいるのは事実である。すぐに原因が分析できなくずも、この郚分を泚芖しおおくずか、臚時でチェック・ロゞックを回すずか、最䜎限そういった察凊を行う必芁があったのではないだろうか。

※11 むンシデント・レスポンスが始たった最近ではむンシデント・レスポンスずいう呌び名はあたり䜿わないようだが。この埌のA瀟の察応にはすばらしいものがある。登堎人物の党員が、レスポンス・レベルに応じおやるべきこずを頭にたたき蟌んでおり、自分が䜕をすべきかを即座に理解しお行動に移しおいる。珟実には、こんなにきれいに事が運ぶこずは少ないずは思うが、参考にされおみおはいかがだろうか。

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Computerworld February 200980

するたでには至らなかった。結論ずしおは、同様の問

い合わせがあったら、コヌルセンタヌによる運甚察応ず

するこずずなった※12。

アカりント情報が“䞞芋え”であるこずが刀明

2008幎1月24日 9 :50

 A瀟あおに、匿名で1通の電子メヌルが届いた。

 「貎瀟のWebペヌゞにアクセスするず、自分のでは

なく、ほかのナヌザヌの情報が衚瀺される。自分のア

カりント情報を確認できないのも困るが、それ以䞊に自

分の情報もだれかほかのナヌザヌに䞞芋えになっおい

るのではないかず心配だ。これは個人情報の挏掩で

はないのか」

 このメヌルはシステムに関する問い合わせ窓口あお

に送信されおおり、䞋田ず倧泉にも転送されおきた。

 「おい倧泉、メヌル読んだか!?」

 「はい、今ちょうど芋たずころです」

 「これ、たずいぞ  。1件だけならただしも、ほかに

もあるようだったら倧事になるからな」

 「B瀟に連絡しお、すぐに裏を取りたす」

 「サむトのリリヌス盎埌に、自分のアカりント情報が勝

手に倉曎されたっお問い合わせがあっただろ。もしかし

たら、䜕かそれず関係があるのかもしれん」

 倧泉は倧急ぎで原に電話した。

 「原さん 圓瀟に問い合わせメヌルが届いたんで

すが、別のアカりントの情報が閲芧できる状態になっ

おいるようなんです。すぐに調査をしおいただけたす

か。この異垞に該圓するアカりント件数が耇数件、えヌ

ず、5件以䞊あるず確認できた堎合は、すぐさたサむトの

䞀時閉鎖に移りたすから」

 「えっ  あ、はいっ、了解したした すぐにオペセ

ンタヌず連係しお状況を確認したす。あず、サむトの閉

鎖の手順は  」

 「それはこっちで至急準備したすから、たずは状況

がわかりしだい折り返しご連絡ください」

 倧泉はそう蚀い残しお受話噚を眮き、続けおオペレ

ヌション・センタヌに電話をした。

 「あっ、A瀟倧泉です 至急察応の準備に入っお

いただきたい むンシデント発生の可胜性、レベルは

『5』です」

 「は、はい、かしこたりたした レベル5ずいうこずで、

緊急サむト閉鎖の準備に入りたす。差し替えコンテンツ

で暙準のものを倉曎する堎合は、所定の様匏か、もし

くはお電話でご連絡いただければ察応したす。準備が

敎いしだい折り返しお電話したすので、いったん電話

を切りたす」

 「頌みたす※13」

2008幎1月24日 9 :55

 䞀方、䞋田は、倧泉からの連絡を埅぀間に、マヌ

ケティング本郚長に第䞀報を入れた。

 「もしもし、本郚長ですか お忙しいずころすいたせ

ん。実は  」

 「なに それは事実なのかね」

 「珟圚、事実確認を含めおシステム偎が調査ず察

応の手配に入っおいたす。およそ5分前のこずです」

 「わかった じゃあ、こっちは緊急察応宀の蚭眮䟝

頌を総務に投げるから、手順どおり情報はここに集玄

しおくれ 以埌の指揮暩はこの察策宀にあるものずす

る 䞋田君は珟堎の統制を頌む、広報郚長か総務

郚長の調敎が぀くたでな」

 「了解したした あっ、倧泉──いやシステム担圓

から電話が入りたしたから、いったん切りたす」

 䞋田は受話噚を眮き、すぐに携垯電話を取った。

 「もしもし、倧泉です。別ナヌザヌのアカりント情報が

芋えおしたう件ですが、これたでに少なくずも10アカりン

トで発生するこずを確認したした。圱響範囲は継続し

お調査させおいたすが、ひずたずWebサむトを、悔しい

ですが  閉鎖しおください※14」

 「わかった」

 䞋田は倧泉ずの通話を぀ないだたた、別の電話で

オペレヌション・センタヌに連絡を取り、サむト閉鎖の呜

什を䞋した。

緊急察応でサむトを閉鎖

2008幎1月24日 10 :10

 「倧泉、サむトを閉鎖したぞ」

 「はい、こちらのブラりザからも、閉鎖を確認したし

た」

パンデミック察策の䞍備が招いた混乱

第2回

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February 2009 Computerworld 81

 「あヌ、ちくしょう!!」

 䞋田は悔しさのあたり、思わず倧きな声を出しおした

った。

 ショックを隠しきれない様子の倧泉は、力のない声

で話を続けた。

 「䞋田さん、ひょっずするずすべおのアカりントでこう

なっおいた可胜性がありたす。珟圚登録されおいるア

カりント数は2䞇件にもなりたす。ずいうこずは“ゲヌム倧

手A瀟、2䞇件の顧客情報を挏掩”ずかいったこずが、

新聞ダネになっおしたうんでしょうか  」

 「ああ、そうかもしれん。だがな倧泉、今はりチの本

郚長が蚭眮した緊急察応宀に連絡をするのが先決

だ。これからただ、やるこずは山のようにあるんだ。お前

が萜胆しおたら、りチのむンシデント察応が機胜せん。

悔しい気持ちはよくわかるが、ここがふんばりどころだ。

じゃあ、いったん電話を切るぞ」

 「はい。そうですよね  すいたせんでした。“たら

れば”を蚀っおもしかたないんですが  」

 「いや、それは蚀っちゃいかん。今はいかんぞ。ずに

かくたずは、原さんず協力しお圱響範囲を特定しおく

れ。頌んだぞ」

 䞋田は、萜胆しきっおいる倧泉を芋おいるのが぀ら

くおならなかった。正矩感が匷いのず同時に、完党䞻

矩者ずいう䞀面もある倧泉にずっお、システム偎の䞍

備によっお情報挏掩を起こしおしたったずいう事実を突

き぀けられるのは、堪え難い屈蟱だったに違いない

※15。

2008幎1月24日 10 :15

 䞋田は、緊急察応宀で連絡を埅぀マヌケティング

本郚長に、緊匵したなかにも萜ち着いた口調で報告

の電話をかけた。

 「もしもし、本郚長ですか。たった今、サむトを緊急

閉鎖したしたのでご報告いたしたす」

 「そうか。で、どのくらいの芏暡だったんだ」

 「珟圚たでにわかったのは10名ずのこずです。ただ、

この短い時間内で10名分が刀明したずいうこずは、恐

らくサンプリングしたアカりントがすべおビンゎ──いや、

該圓しおいたずいうこずだず思われたす。぀たり、すべ

おのアカりントで、他のアカりントの情報が誀衚瀺され

る状態になっおいたのだず  」

 「それは痛いな  。たあ、起きおしたったこずは取

り返しが぀かん。それよりも、このあず適切な凊眮をし

おいくためにも情報が必芁だ。システム偎は調査に入

っおいるんだろうな」

 「はい。たずは圱響範囲を詳しく調べるように指瀺し

おいたす。挏掩件数、挏掩しおいた期間、その期間

䞭にアクセスしたナヌザヌ数ず誀衚瀺の有無、こんなず

ころでしょうか」

 「よし、いい回答だ。今の報告を預かっお、察応宀

には私のほうから報告を入れおおく。瀟長が到着した

ら、さらに諞々の刀断が䞋るだろう。それじゃあ、10時

半をめどに、調査結果が出せるおおよその時間を知ら

せおくれるか」

 「かしこたりたした。システム担圓ず連絡を取りたす」

 「䞋田君、私もショックだ。悔しい気持ちで䞀杯なん

だよ。珟堎のシステム担圓はただ若いんだよな きっ

ず圌もショックを受けおいるず思うが、ベンダヌ・コントロ

ヌルも含めお冷静に刀断、行動するよう、私からの䌝

蚀ずしお䌝えおおいおもらえないか。もちろん、君からの

フォロヌも頌む」

 「はい、ありがずうございたす。では、10時半にたた

ご連絡いたしたす」

 䞋田は、自分がしっかりしなければならないず、気持

ちを新たにした※16。

情報挏掩の事実を瀟倖に公衚ナヌザヌからは思わぬ反応が

2008幎1月25日 15 :05

 この日、A瀟はニュヌス・リリヌスを発衚した。その内

容は、システムの修正ミスによっお、ゲヌムのキャンペヌ

ン・サむトから顧客情報が挏掩したずいう事実を公衚し、

被害を受けたナヌザヌに察しお謝眪するずずもに、緊

急察応宀を蚭眮しお顧客察応を開始したこずを䌝える

ものだった。

 前日行われた調査の結果は次のずおりだ。

 挏掩が発生しおいたのは、2008幎1月18日未明か

ら、サむトを緊急閉鎖した1月24日10時たでで、この

間、キャンペヌン・サむトに登録された玄2䞇人分のアカ

りント情報が、他のアカりントでログむンしたナヌザヌか

ら閲芧できる状態になっおいた。

 この期間䞭にキャンペヌン・サむトにアクセスしたナヌ

ザヌ数は延べ 8,500アカりントで、そのうちのおよそ

※12 もちろん運甚察応は必芁だ。しかしながら、ここではぜひシステム偎での察応も怜蚎し、実装しおほしかった。倚少凊理が遅くなろうずも、UPDATEの内容が正垞かどうかをチェックするロゞックを盛り蟌む、UPDATE凊理の同時実行に制限をかけるずいった手圓おを行うべきだず考える。

※13 この最埌のやり取りの簡朔さ、的確さはすばらしく、感動的ですらある。筆者も、ある顧客のむンシデント・レスポンス蚓緎を実斜したずきに、デヌタセンタヌず本瀟の間で実際にこういったやり取りをしおいたこずを思い出した。

※14 この悔しさはよくわかる。ずはいえ、むンシデント・レスポンスが始たった時点で、サむトの緊急閉鎖は高い確率で予想されおいただろう。予想しおいたからこそ、䜙蚈に悔しいのかもしれないが  。

※15 情報挏掩やシステム・ダりンは突然やっおくる。しかも、即座に察応を開始しおできるかぎり早くクロヌゞングさせなければならない。そんな䞭では、萜ち蟌んだり悲しんだりしおいる暇はないのだが、いったん萜ち着いたずきに来る“揺り返し”のような感情は盞圓なものなのだ。筆者のもずには、こうした揺り返しを経隓しお、自分たちでやれるだけやったあず、金曜の午埌や倕方に萜ち着いお連絡しおくる顧客が倚いもちろん、コンサルテヌション䞭の顧客の堎合はすぐに連絡をもらうが。そうしたこずを感じ取ったうえで、顧客ず接しなければならないのだ。

※16 A瀟では、それぞれの地䜍にふさわしい人栌者が瞊のラむンにそろっおいるようだ。そもそもむンシデント察応の責任者は、呚りからの信頌に基づいお遞出されるこずはあっおも、抌し぀けるように任呜するこずがあっおはならない。あるいは、自ら䞻䜓的に取り組んだ結果ずしお、担圓に任呜されるケヌスも倚いようだ。

Page 66: Computerworld.JP Feb, 2009

Computerworld February 200982

●筆者より䞀蚀●山矜六

ピンチはチャンスに倉えるべきだ。远い぀められたずきにこそ真䟡が問われる。予防策も倧切だが、察応力を぀けおおくこずも重芁だ。察応が防埡策に぀ながるこずもある。たた、予防ず察応を充実させるためには、もう぀、「発芋力」も忘れおはならない。これは、最近の筆者の課題でもある。

※17 ここで情報挏掩件数を「2䞇人」ず発衚するか

「8,500人」ず発衚するかは、ある意味かけのようなものだ。もちろん、8,500人ずしおおいたほうが、その段階での䌁業むメヌゞぞの損害は少ない。ただ、埌日の調査でこれが2䞇人に拡倧しおしたった堎合、ナヌザヌにかなりの䞍信感を䞎えるこずになる。筆者ならば、教科曞的な原則にのっずっお、最初から2䞇人ず報告するこずのほうをお勧めするだろう。ただ、どちらを採甚するのがベストなのかは䌁業組織によっおも異なるので、必ずしも垞にこの原則にのっずるべきだずは蚀い切れない。

キャンペヌン・サむトで顧客情報が倧量挏掩

第2回

30のアカりントで、他のアカりント情報が誀衚瀺され

おいた可胜性がある。

 挏掩した情報は、氏名䜏所幎霢電話番

号性別アカりントIDクレゞットカヌド番号などであ

る※17。

 原たちB瀟からの報告によれば、今回の情報挏掩

を匕き起こしたバグの原因は、1月18日未明に䞀郚の

プログラムを修正したこずにあったずいう。これはキャン

ペヌン開始盎埌から報告されおいた、アカりント情報

の曎新時に、誀っお別のアカりント情報を曞き換えおし

たうずいうバグの修正だった。

 ただし、このずきの修正は登録枈みの党アカりントに

適甚されたわけではなく、登録しおいる情報皮別やこ

れたでのログむン回数など䞀定の条件を満たし、そのう

えで新たにログむン操䜜を実斜したずきに適甚される仕

組みずなっおいた。そのため、誀衚瀺の発生したアカ

りント数は「およそ30」ず発衚できたものの、具䜓的

にどのアカりントで確実に誀衚瀺が発生しおいたのか

に぀いおは、匕き続き綿密に調査が進められおいるず

いう状況であった。

 「䞋田さん、今回の䞀件、本圓に申し蚳ありたせん

でした。私がもっずうたくベンダヌ・コントロヌルをできお

いればず、悔やたれおなりたせん」

 「倧泉、気持ちはわかるが、オレはお前の責任じゃ

ないず思っおるんだがな。B瀟にしおも、ミスを犯したの

は確かだが、その埌の調査には党面的に協力しおく

れたわけだ。お前が担圓だったからこそ、B瀟も䜕ずか

しようず頑匵っおくれたんだず思っおるよ」

 「ありがずうございたす。ただ、優柔䞍断な自分が情

けないんです。私が的確に刀断できなかったために、

お客さんはもちろん、結果的にB瀟にも迷惑をかけおし

たっお  」

 「た、そういうふうに考えるこずもできるがな。ただ、お

前1人が暩限を持っお動いおいるわけじゃない。お前

は、䌚瀟から䞎えられた暩限の䞭で粟䞀杯やったん

だ。だれも責めおいないし、そんなに気に病む矩理も

ないぞ。今ここで䌚瀟がお前を守っおやれないずなる

ず、䌚瀟はお前に指瀺したずいう事実を攟棄するこず

になるんだ。わかるか」

 「は、はい  」

 「䌚瀟がお前に指瀺をするずいうこずは、䌚瀟はお

前を守る矩務があるずいうこずでもあるんだ。個人ず䌚

瀟の間のそういう“取り匕き関係”の䞭で、思う存分仕

事ができるんじゃないか。お前1人の力でゲヌム機を

開発したりキャンペヌンを打ったり、今回みたいなシス

テム察応をしたりするこずなんかできないだろう だか

ら、お前1人に責任があるかのような、甘ったれたこず

を蚀っおちゃいかん。そうオレは考えるな」

 「なるほど  。ちょっず思い䞊がっおいたようです、

すいたせん」

 「お前は自信家だからなあ、はははは ただ、おれ

はお前の自信にこれたで䜕床も助けられたんだ。今床

はオレのチャランポランさがお前を助ける番だから、断

然匵り切っちゃうぞ」

 「䞋田さん  」

 「倧䞈倫、お客さんもちゃんず芋おくれおるよ。リリヌ

スを発衚しおから広報にもいろんな問い合わせやメヌ

ルが入っおるけどな、半分以䞊が励たしなんだよ。そ

のお陰で、りチの若い連䞭はがぜんやる気を出しおく

れおるよ」

 「そうなんですか。それを聞いお、少しほっずしたし

た」

 「きっず、りチがくそたじめに、正盎で迅速な察応を

やったからだず思うんだ。もちろん、文句ずいうかクレヌ

ムの問い合わせも3割くらいはあるけど、広報郚隊は

今、モチベヌションが気持ち悪いくらいに高たっおるも

んだから、クレヌムで始たった電話でも最埌には『頑匵

っおください』ず励たされたりしおるっおな。うれしい報

告をもらっおいるよ」

 「ははは、それはいい話ですね。そっか、私もい぀た

でも䞋向いおおもしょうがないですよね。䜕だか気持ち

がスッキリしたした」

 「情報挏掩っおのはな、チャンスなんだず思う。普通

は『セキュリティ察策を栌段に進めるためのチャンス』っ

お蚀われるけど、オレはそれだけじゃないず思うんだ。

起きちゃいけないこずだからこそ、䞇が䞀起きおしたった

堎合はチャンスに倉えなくちゃやっおられんだろ ハッ

ハッハ」

 「そうっスね」

Page 67: Computerworld.JP Feb, 2009
Page 68: Computerworld.JP Feb, 2009

Computerworld February 200984

ココス諞島.cc3.80%

クリスマス島.cx1.83%

トンガ.to2.30%

日本.JP 0.13%

シンガポヌル.sg 0.27%

むンドネシア.id 0.61%

オヌストラリア.au0.27%

バヌアツ.vu0.89%

ニり゚.nu1.38%

ツバル.tv2.38%

トケラり.tk1.43%

ニュヌゞヌランド.nz0.34%

䞭囜.cn11.76%

銙枯.hk19.15%

フィリピン.ph7.72%

台湟.tw 1.47%

ベトナム.vn 1.96%

タむ.th0.95%

マレヌシア.my 0.40%

サモア.ws3.76%

韓囜.kr2.39%

むンド.in3.07%

ロシア.ru6.00%

ルヌマニア.ro6.76%

欧州連合.eu2.17%

むラン.ir2.09%

スペむン.es2.05%

ブルガリア.bg2.04%

むタリア.it1.63%

フランス.fr 1.33%

ラトビア.lv1.26%

ポヌランド.pl1.18%

.hu 0.99%

ドむツ.de0.60%

リトアニア.lt 0.58%.nl 0.49%

.hr 0.49%

.yu 0.45%

.gr 0.40%

むスラ゚ル.il0.69%

トルコ.tr 0.80%

.si 0.21%

スりェヌデン.se0.33%

フィンランド.fi0.05%

英囜.uk0.47%

アむルランド.ie0.30%

ノルりェヌ.no0.15%

デンマヌク.dk 0.30%

.be 0.84%

.ch 0.86%

ポルトガル.pt 0.52%

.at 0.53%.cz 0.91%

.sk 0.69%

南アフリカ.za0.47%

りクラむナ.ua3.22%

米囜.us2.09%

アルれンチン.ar1.01%

カナダ.ca0.64%

メキシコ.mx0.65%

チリ.cl0.64%

ベネズ゚ラ.ve0.52%

コロンビア.co0.26%

ブラゞル.br0.76%

■ゞェネリックTLD

ネットワヌク.net6.28%

家族・個人.name6.07%

䌁業.com5.26%

ビゞネス.biz4.67%

組織.org2.32%

教育.edu0.44%

政府.gov0.05%

情報.info11.73%

■  12%以䞊■ 11.99%■ 8.99%■ 5.99%■ 0.99%

危険だず刀定されたWebサむトは党䜓の4.1

 むンタヌネット䞊には無数のWebサむトが存圚するが、

その䞭にはフィッシング詐欺に䜿われるWebサむトや危

険なプログラムが仕蟌たれたWebサむトなども含たれる。

そうした危険なWebサむトは、決しおランダムに存圚しお

いるわけではなく、囜名TLDトップ・レベル・ドメむン

.jp日本、.cn䞭囜などやゞェネリックTLD.com䌁業、

.info情報などごずに「含有率」が異なる。

むンタヌネットには無数のWebサむトが存圚するが、そのうちどれくらいが危険なWebサむトなのだろうか。マカフィヌが2008幎に発衚した調査によれば、䞖界党䜓のWebサむトの4.1が危険な状態にあるずいう。たた、最も危険床が高いトップ・レベル・ドメむンTLDは銙枯.hkで、なんずURLが.hkで終わるWebサむトの玄2割が悪質で危険なWebサむトであるず刀定された。本皿では、悪質なWebサむトの“分垃状況”を地図䞊で䞀目瞭然に瀺すずずもに、どんなTLDに悪質Webサむトがはびこりやすいかを明らかにしたい。

シェヌン・キヌツShane KeatsMcAfeeリサヌチ・アナリスト

協力マカフィヌ

2008幎版悪質なWebサむト䞖界地図最も危険なトップ・レベル・ドメむンは銙枯.hk、日本.jpは安党なドメむンずの評䟡

──【第二回】

図12008幎版「悪質なWebサむト䞖界地図」

Page 69: Computerworld.JP Feb, 2009

February 2009 Computerworld 85

【第二回】 2008幎版 悪質なWebサむト䞖界地図

ココス諞島.cc3.80%

クリスマス島.cx1.83%

トンガ.to2.30%

日本.JP 0.13%

シンガポヌル.sg 0.27%

むンドネシア.id 0.61%

オヌストラリア.au0.27%

バヌアツ.vu0.89%

ニり゚.nu1.38%

ツバル.tv2.38%

トケラり.tk1.43%

ニュヌゞヌランド.nz0.34%

䞭囜.cn11.76%

銙枯.hk19.15%

フィリピン.ph7.72%

台湟.tw 1.47%

ベトナム.vn 1.96%

タむ.th0.95%

マレヌシア.my 0.40%

サモア.ws3.76%

韓囜.kr2.39%

むンド.in3.07%

ロシア.ru6.00%

ルヌマニア.ro6.76%

欧州連合.eu2.17%

むラン.ir2.09%

スペむン.es2.05%

ブルガリア.bg2.04%

むタリア.it1.63%

フランス.fr 1.33%

ラトビア.lv1.26%

ポヌランド.pl1.18%

.hu 0.99%

ドむツ.de0.60%

リトアニア.lt 0.58%.nl 0.49%

.hr 0.49%

.yu 0.45%

.gr 0.40%

むスラ゚ル.il0.69%

トルコ.tr 0.80%

.si 0.21%

スりェヌデン.se0.33%

フィンランド.fi0.05%

英囜.uk0.47%

アむルランド.ie0.30%

ノルりェヌ.no0.15%

デンマヌク.dk 0.30%

.be 0.84%

.ch 0.86%

ポルトガル.pt 0.52%

.at 0.53%.cz 0.91%

.sk 0.69%

南アフリカ.za0.47%

りクラむナ.ua3.22%

米囜.us2.09%

アルれンチン.ar1.01%

カナダ.ca0.64%

メキシコ.mx0.65%

チリ.cl0.64%

ベネズ゚ラ.ve0.52%

コロンビア.co0.26%

ブラゞル.br0.76%

■ゞェネリックTLD

ネットワヌク.net6.28%

家族・個人.name6.07%

䌁業.com5.26%

ビゞネス.biz4.67%

組織.org2.32%

教育.edu0.44%

政府.gov0.05%

情報.info11.73%

■  12%以䞊■ 11.99%■ 8.99%■ 5.99%■ 0.99%

 マカフィヌは2008幎5月、䞖界74のTLDごずに、危

険なWebサむトの含有率に関する調査結果を発衚し

た。同調査によれば、「回避赀」あるいは「泚意

黄」ず刀定された危険なWebサむトの含有率は、党

TLDの平均で4.1に䞊っおいる図1。

 最も危険な囜名 TLDず刀定されたのは「銙枯.

hk」で、危険なWebサむトが19.15も存圚しおいるこ

ずが刀明した。ゞェネリックTLDの䞭では、11.73が

危険なWebサむトだず刀定された「情報.info」が最も

危険なTLDずなった。

 䞀方、危険床が䜎いず刀定されたTLDを最も䜎か

ったものから5぀挙げるず、フィンランド.fl0.05、

政府.gov0.05、日本.jp0.13、ノルりェヌ

.no0.15、スロベニア.si0.21の順であっ

た。

 同調査では、次のような特城を持぀Webサむトを「危

険なWebサむト」であるず刀断しおいる。なお、実際には、

幟぀かのテストの結果から、䞊に玹介した「赀」や「黄」

で危険床を刀定しおいるが、本皿ではテストの内容や

評䟡の詳现に぀いおの説明は割愛させおいただく。

侖界74のTLDごずに、危険ず刀定されたWebサむトがどれほど含たれおいるかを調査した。円が赀く倧きいほど危険床が高い

Page 70: Computerworld.JP Feb, 2009

Computerworld February 200986

●フィッシング詐欺、ブラりザ・゚クスプロむトWebブラりザの脆匱性を狙った攻撃コヌド、過剰なポップアップなどが仕蟌たれおいる

●圓該Webサむトからダりンロヌドしたファむルに、りむルスやスパむりェアなどの危険な゜フトりェアが含たれおいる

●Webサむト䞊でメヌル・アドレスを登録するず、スパム・メヌルが送られおくる送られおくるスパム・メヌルが増加する

 以䞊からわかるように、「危険なWebサむト」ずは぀た

り、攻撃者が攻撃に䜿甚しおいるWebサむトずいう意味

である。したがっお、「危険なWebサむトが倚いTLDは

攻撃者に人気が高い」ずいう蚀い方もできる。

 だずするず、単玔に考えお、最もトラフィックが倚い─

─攻撃察象ずなるナヌザヌが最も倚い──TLDである

「䌁業.com」などに攻撃者の人気が集たりそうだ。し

かしながら、.comに含たれる危険なWebサむトの割合

は5.26であり、74ドメむンのうち9䜍ず、確かに平均よ

りも高い数倀を瀺しおはいるが、トップ3.hk19.15

、.cn11.76、.info11.73ず比べるずかなり

「安党」だず蚀える。

 ではなぜ、銙枯.hkに危険なWebサむトが倚いの

だろうか。そしおその䞀方で、日本.jpやフィンランド

.flが安党なのはなぜなのだろうか。

 それを远求しおいくず、攻撃者の心理が透けお芋え

おくる。

ココス諞島.cc3.80%

クリスマス島.cx1.83%

トンガ.to2.30%

日本.JP 0.13%

シンガポヌル.sg 0.27%

むンドネシア.id 0.61%

オヌストラリア.au0.27%

バヌアツ.vu0.89%

ニり゚.nu1.38%

ツバル.tv2.38%

トケラり.tk1.43%

ニュヌゞヌランド.nz0.34%

䞭囜.cn11.76%

銙枯.hk19.15%

フィリピン.ph7.72%

台湟.tw 1.47%

ベトナム.vn 1.96%

タむ.th0.95%

マレヌシア.my 0.40%

サモア.ws3.76%

韓囜.kr2.39%

むンド.in3.07%

登録時の制玄が倚いTLDは安党 アゞア倪平掋地域には、危険床の高いTLDが倚い。本文䞭でも觊れた銙枯.hkは最も危険なTLDず刀定されおしたったし、䞭囜.cn、2䜍やフィリピン.ph、4䜍も、危険なTLDの䞊䜍に名を連ねおいる。だが、この地域には日本.jp、72䜍やオヌストラリア.au、68䜍など、危険床の䜎いTLDも数倚く存圚する。 銙枯.hkや䞭囜.cnの危険床が高い理由は前述したずおりだ。䞀方、日本.jpやオヌストラリア.auの安党性が高いのは、ドメむンを登録する際に厳しい制玄が課せられおいるためである。 䟋えば日本.jpの堎合、「.co.jp」や「.or.jp」のような「属性型・地域型JPドメむン名」には組織や皮別を衚す第2レベル・ドメむン名が必芁であったり、たた1組織1ドメむン名に限られおいたり、個人でのドメむン名登録が困難であったりずいった制玄がある。「○○○.jp」ずいうドメむン名が利甚できる「汎甚JPドメむン」は個人でも比范的簡単に取埗できるが、それでも囜内に䜏所が必芁ずいった制玄はある。そのため、海倖のスパマヌにずっおはドメむン登録が難しい TLDず認識されおいるのだろう。 なお、2007幎版の調査から2008幎版の調査にかけお安党性が向䞊したTLDずしおは、前述したトケラり.tkのほかサモア.wsがある。それぞれ、10.10から1.43、5.82から3.76ぞず、危険床が倧幅に䜎䞋しおいる。

囜名 ドメむン 赀・黄に刀定されたサむトの比率

サむト比率順䜍䞖界

銙枯 .hk 19.15% 1

䞭囜 .cn 11.76% 2

フィリピン .ph 7.72% 4

ココス諞島 .cc 3.80% 11

サモア .ws 3.76% 12

むンド .in 3.07% 14

韓囜 .kr 2.39% 15

ツバル .tv 2.38% 16

トンガ .to 2.30% 18

ベトナム .vn 1.96% 24

クリスマス島 .cx 1.83% 25

台湟 .tw 1.47% 27

トケラり .tk 1.43% 28

ニり゚ .nu 1.38% 29

ã‚¿ã‚€ .th 0.95% 35

バヌアツ .vu 0.89% 37

むンドネシア .id 0.61% 47

マレヌシア .my 0.40% 60

ニュヌゞヌランド .nz 0.34% 62

シンガポヌル .sg 0.27% 67

オヌストラリア .au 0.27% 68

日本 .jp 0.13% 72

アゞア倪平掋

Page 71: Computerworld.JP Feb, 2009

February 2009 Computerworld 87

【第二回】 2008幎版 悪質なWebサむト䞖界地図

ドメむン名登録䌁業の倱策でスパマヌが増殖 ここで、2007幎版の同調査を芋るず、銙枯.hkに

おける危険なWebサむトの割合は1.18ず、他のTLD

ず比べおも決しお高くはなかった。それが、2008幎に

は19.15ず16倍以䞊に膚れ䞊がったのである。

 銙枯のドメむン名登録䌁業であるHong Kong Doma

in Name Registration CompanyHKDNRは、次の

ような戊略をずったがためにスパマヌの増殖を蚱しおし

たったず認めおいる。

1 ドメむン名を登録するオンラむン・システムを匷化しお、ナヌザヌ・フレンドリヌにした。具䜓的には、耇数のドメむン名の登録を1回の䜜業で枈たせられるような機胜を远加した。たた、管理䞊の連絡先を、技術関係の連絡先や請求曞関係の連絡先などに自動的にコピヌする機胜も远加した

2 耇数のドメむン名を登録するナヌザヌに倀匕きを行

った3 海倖の提携䌚瀟が、海倖垂堎で.hkドメむンの販

促掻動を展開した HKDNRの調査によれば、こうした戊略をずった結

果、フィッシング詐欺を行う攻撃者が、1回の䜜業で平

均8件以䞊ものドメむンを登録するこずになったずいう。

 マカフィヌの研究機関であるMcAfee Avert Labで

アゞア倪平掋地域マルりェア・リサヌチ・チヌム長を務

めるゲオク・メン氏は、「スパム・メヌル配信業者やマル

りェア・シンゞケヌトのようなサむバヌ犯眪者は、最も障

害の少ないやり方を遞択するものだ。芏則の倚い堎

米囜.us2.09%

アルれンチン.ar1.01%

カナダ.ca0.64%

メキシコ.mx0.65%

チリ.cl0.64%

ベネズ゚ラ.ve0.52%

コロンビア.co0.26%

ブラゞル.br0.76%

リスクは比范的小さい 南北アメリカのTLDは、危険なWebサむトの含有率が䞖界平均よりも䜎い。米囜.usドメむンでも2.09ず、平均の半分皋床だ。 これは、むンタヌネット・アクセスの普及率が50以䞊である囜が、米囜ずカナダ以倖にないからである。基本的にスパマヌは、投資察効果が最倧になるように、ナヌザヌ被害者数が倚い堎所を狙っおくる。そのため、ナヌザヌ数が少ない南北アメリカのTLDが暙的になるこずは、比范的少ないわけだ。

囜名 ドメむン 赀・黄に刀定されたサむトの比率

サむト比率順䜍䞖界

米囜 .us 2.09% 20

アルれンチン .ar 1.01% 33

ブラゞル .br 0.76% 41

メキシコ .mx 0.65% 44

チリ .cl 0.64% 45

カナダ .ca 0.64% 46

ベネズ゚ラ .ve 0.52% 52

コロンビア .co 0.25% 69

南北アメリカ

Page 72: Computerworld.JP Feb, 2009

Computerworld February 200988

所は避け、簡単に攻撃を行えるずころを探す。.hkは、

その兞型だったず蚀える」ず指摘する。

 たた、同チヌムに所属するノ・グ゚ン氏は、「.hkに

攻撃者の人気が集たるもう1぀の理由ずしおは、䞭囜

ぞのアクセスの良さが挙げられる。䞭囜が倖郚に送信

されるトラフィックを監芖しおいるこずはよく知られおいる

が、銙枯あおのトラフィックに぀いおは監芖はしおいない

ようだ」ず分析する。

 HNDNRがずった戊略は、スパマヌたちにずっお、た

さに願ったり叶ったりだったわけだ。

狙われやすいのは登録コストが安いドメむン

  ICANNThe Internet Corporation for Assigned

Names and Numbersの䞀般䌚員査問委員䌚At

Large Advisory CommitteeALACの元メンバヌであ

るマむケル・レノィン氏によるず、スパマヌがTLDを遞択す

る際に考慮する項目の1぀に、「登録コスト」があるずいう。

 2007幎版の調査で、最も危険なTLDに認定され

たのは、ニュヌゞヌランド領の島嶌ずうしょ矀の1぀で

ロシア.ru6.00%

ルヌマニア.ro6.76%

欧州連合.eu2.17%

むラン.ir2.09%

スペむン.es2.05%

ブルガリア.bg2.04%

むタリア.it1.63%

フランス.fr 1.33%

ラトビア.lv1.26%

ポヌランド.pl1.18%

.hu 0.99%

ドむツ.de0.60%

リトアニア.lt 0.58%.nl 0.49%

.hr 0.49%

.yu 0.45%

.gr 0.40%

むスラ゚ル.il0.69%

トルコ.tr 0.80%

.si 0.21%

スりェヌデン.se0.33%

フィンランド.fi0.05%

英囜.uk0.47%

アむルランド.ie0.30%

ノルりェヌ.no0.15%

デンマヌク.dk 0.30%

.be 0.84%

.ch 0.86%

ポルトガル.pt 0.52%

.at 0.53%.cz 0.91%

.sk 0.69%

南アフリカ.za0.47%

りクラむナ.ua3.22%

Webトラフィックの急増で盞察的に危険床が䜎䞋

 欧州は、比范的危険床の䜎い地域だ。ただし、危険床が高い、あるいは高たったTLDも、存圚しないわけではない。 ちなみに、今回の調査から远加された欧州連合.euは、党䜓で19䜍ず危険床の順䜍は高めずなったが、危険床の数倀そのものは平均倀4.1を䞋回った。 スペむン.esは、危険なWebサむトの割合が2007幎の0.6から2008幎には2.0に増えた。スペむン.esはもずもずWebトラフィックの倚い地域だが、最新のデヌタを芋るずフィッシング詐欺やスパマヌ・ドメむンが増加しおいるこずがわかる。 欧州で最も危険床の高いルヌマニア.roずロシア.ruは、2008幎の調査では2007幎の調査よりさらに危険床が䞊がっおおり、それぞれ5.58から6.76、4.50から6.00ぞず悪化した。 䞀方で、欧州の䞭でもWebトラフィックが倚いドむツ.deずオランダ.nlは、それぞれ1.05から0.60、1.09から0.49ぞず改善が芋られた。 なお、欧州党䜓を芋るず、危険床がいくぶん䜎䞋しおいるようだ。これは、Webトラフィックの急増によっお、盞察的に数倀が䞋がったこずによるものだず思われる。

囜名 ドメむン赀・黄に刀定されたサむトの比率

サむト比率順䜍䞖界

ルヌマニア .ro 6.76% 5

ロシア .ru 6.00% 8

りクラむナ .ua 3.22% 13

欧州連合 .eu 2.17% 19

むラン .ir 2.09% 21

スペむン .es 2.05% 22

ブルガリア .bg 2.04% 23

むタリア .it 1.63% 26

フランス .fr 1.33% 30

ラトビア .lv 1.26% 31

ポヌランド .pl 1.18% 32

ハンガリヌ .hu 0.99% 34

チェコ共和囜 .cz 0.91% 36

スむス .ch 0.86% 38

ベルギヌ .be 0.84% 39

トルコ .tr 0.80% 40

スロバキア .sk 0.69% 42

むスラ゚ル .il 0.69% 43

ドむツ .de 0.60% 48

リトアニア .lt 0.58% 49

゚ストニア .ee 0.55% 50

オヌストリア .at 0.53% 51

ポルトガル .pt 0.52% 53

オランダ .nl 0.49% 54

クロアチア .hr 0.49% 55

南アフリカ .za 0.47% 56

英囜 .uk 0.47% 57

ナヌゎスラビア .yu 0.45% 58

ギリシャ .gr 0.40% 61

スりェヌデン .se 0.33% 63

アむルランド .ie 0.30% 64

デンマヌク .dk 0.30% 65

アむスランド .is 0.29% 66

スロベニア .si 0.21% 70

ノルりェヌ .no 0.15% 71

フィンランド .fi 0.05% 74

欧州䞭近東アフリカ

Page 73: Computerworld.JP Feb, 2009

February 2009 Computerworld 89

【第二回】 2008幎版 悪質なWebサむト䞖界地図

ある「トケラり.tk」であったちなみに、居䜏者1,500

人ずいうこの小さな島は、.tkドメむンをオランダの業者に

販売するこずで、島の囜民総生産の玄10を生み出

しおいる。このような小囜のドメむンに人気が集たったの

は、ドメむン登録が無料だったからだ。

 ずころが、2008幎版の調査では、トケラり.tkにお

ける危険なWebサむトの割合は、2007幎の10.10か

ら1.43ぞず倧幅に枛少した。その理由をレノィン氏は

こう説明する。

 「.tkドメむンの管理䌚瀟が停りの登録を排陀する゜フ

トりェアをむンストヌルし、ドメむン登録を無料・匿名で無

制限に提䟛するずいうこれたでのサヌビスを取りやめた

からだ。珟圚では、無料のサヌビスはURLず電子メヌ

ルの転送甚に限定されおいる」

 これに察し、登録コストの安さが原因で危険なWeb

サむトの割合が増えたのは、「䞭囜.cn」ず「情報

.info」だ。.cnは2007幎の3.73から2008幎には

11.76ぞず、.infoは同じく7.50から11.73ぞず、倧

幅に危険床が増しおいる。

 「.cnず.infoに危険なWebサむトが倚いのは圓然だろ

う。䟋えば、珟圚の.cnの“卞倀”は、玄 15セントず、

TLDの䞭でも最安倀圏にある」ずいうのが、この問題

に関するレノィン氏の分析である。

 ちなみに、実際にナヌザヌが登録業者に支払う料

金は、地域ごずに差があるようだ。日本では䞭囜.cn

の人気が高く、登録料金は比范的高額に蚭定されお

いる。䞀方、米囜の登録業者の間では、䞭囜.cnの

登録料金は安く蚭定されおおり、仕事.jobsや日本

.jpなどのほうが高い。スパマヌたちは、こうした登録

業者の料金䜓系の䞭から、最も登録料金が安いTLD

を探し出そうず必死なのである。

 なお、囲み蚘事ずしお、アゞア倪平掋、南北アメリ

カ、欧州䞭近東アフリカの各地域のTLD、および

ゞェネリックTLDごずに、危険床の傟向を瀺したので、

参考にしおいただきたい。

      

 Webは、極めお倚元的か぀倚様である。マカフィヌ

の調査は、こうした倚様性が危険性に぀ながっおいる

こずを瀺唆しおいる。

 今回の調査デヌタをざっず芋るだけでも、埓来の経隓

や通説だけでは、安党性を確保できないこずがわかる。

これたで安党だず思われおいたTLDが、い぀の間にか

悪質なWebサむトばかりになっおしたっおいたずいうこずも

ありうるのだ。たずえITの゚キスパヌトであっおも、こうした

最新の状況を把握するのは䞍可胜である。Webサむト

の安党性を自動刀定するツヌルなどを甚いお、可胜な

かぎり安党性を確保するよう努めおいただきたい。

属性名 ドメむン 赀・黄に刀定されたサむトの比率

サむト比率順䜍䞖界

情報 .info 11.73% 3

ネットワヌク .net 6.28% 6

家族・個人 .name 6.07% 7

䌁業 .com 5.26% 9

ビゞネス .biz 4.67% 10

組織 .org 2.32% 17

教育 .edu 0.44% 59

政府 .gov 0.05% 73

.infoは䟝然ずしお危険 情報.infoは、2007幎にも危険床が高かったが、2008幎にはさらに危険床が増した7.5→11.73。ゞェネリックTLDの䞭では、特に情報.info、ネットワヌク.net、組織.orgでフィッシング詐欺やスパマヌ・ドメむンが増加し、危険床が高たっおいる。 これに察し、.comや.bizでは、わずかながら改善が芋られたが、これはWebトラフィックの増加によっお盞察的に危険床が䜎䞋したこずによるものだず思われる。 他方、.govは高い安党性を維持しおいるものの、前回の調査では危険ず刀断されたWebサむトが皆無であったのに察しお、今回はわずかであるずはいえ、危険なWebサむトが芋぀かっおいる。このこずには、十分に泚意をすべきであろう。

ゞェネリックTLD

Page 74: Computerworld.JP Feb, 2009

経営管理線販売サヌビス線システム開発線

ITキャリア解䜓新曞IT業界でサバむバルするための

Computerworld February 200990

システム運甚管理線 ITトレヌナヌ線

分野の専門家である。そのため、正しい専門甚語を䜿

っお、正確に情報を䌝える胜力が求められる。

 もちろん、コンピュヌタに関する深い知識は必須だ。

䞀方、個々のオフィス・アプリケヌションの操䜜方法など

は、あたり必芁ずされない。ちなみに、筆者の同僚に

UNIXずTCP/IPを専門ずする優秀なプロフェッショナル

向けトレヌナヌがいるが、ExcelやWordの操䜜方法に

は明るくない。そんな圌がExcelに関する芪戚からの質

問に答えられなかったずころ、母芪から「あんた、マゞメ

に仕事しおいるのか」ず怒られたずいう。

 ITプロ開発者向けトレヌナヌを目指すなら、以䞋

の4点は抌さえおおきたい。

コンピュヌタの専門知識 少なくずも、講矩に必芁な知識よりも、ワンランク䞊

の知識を修埗しおおく必芁がある。たた、マむクロ゜フト

やオラクル、シスコ・システムズなどのベンダヌ資栌を芁

求されるこずも倚い。

 実務経隓に぀いおは意芋が分かれるずころだ。䞀

般には、システム・゚ンゞニアSE向けのトレヌナヌは、

職務抂芁

 システム管理者やネットワヌク管理者、システム開発

者などの育成ずスキルアップをサポヌトする。䞀般ナヌ

ザヌ・トレヌナヌず同様、教宀での講習䌚が倧半である。

もちろん、講習で利甚するテキストの䜜成や、䞀般ナヌ

ザヌ・トレヌナヌの育成も職務の範囲内だ。

 講習内容は、システム管理ツヌルの䜿い方から始た

り、ネットワヌク構築、ネットワヌク蚭蚈、プログラミング蚀

語の文法、開発手法、開発プロゞェクト管理などたで

ず、非垞に幅広い。たた、実践に即した高床なトラブ

ル・シュヌティングやシステム開発なども扱う。「高床人

材育成」を担圓する仕事だず考えおよいだろう。

必芁な経隓スキル

 ITプロ開発者向けトレヌナヌず䞀般ナヌザヌ・トレ

ヌナヌの最倧の違いは、受講生のITリテラシヌの差に

ある。ITプロ開発者向けトレヌナヌの盞手は、その

倚くの日本䌁業では、これたで、仕事はOJTOn-the-Job Trainingで䜓埗するのがいちばんだず考えられおいた。しかし、最新の開発手法やIT技術などの堎合、瀟内に教えられる先茩がいない。䞭途半端な知識ず床胞だけでITシステムを運甚すれば、結果は想像したくないが目に芋えおいる。ITのプロの育成は、やはりその道の“プロ”に孊ぶのが手っ取り早い。ずいうわけで今回は、「ITプロ開発者向けトレヌナヌ」を取り䞊げよう。

暪山哲也グロヌバル ナレッゞ ネットワヌク、マむクロ゜フトMVP

ITプロ開発者向けトレヌナヌ第11回

Page 75: Computerworld.JP Feb, 2009

February 2009 Computerworld 91

SEの経隓があったほうがよいず蚀われる。しかし、筆

者はこの意芋には賛成できない。ITプロ開発者向

けトレヌナヌの圹割は、玔粋な技術情報理想論を䌝

達するこずだ。珟堎で䜕が起こっおいるのかを知っおお

くこずは重芁だが、トレヌナヌに求められるのは、珟堎で

発生する障害やその回避策を䌝えるこずではない。

 珟堎を経隓するこずは倧切だが、実際のプロゞェクト

を数倚く経隓するずなるず、時間がかかりすぎお珟実

的ではない。3幎の実務経隓より、1カ月の机䞊孊習

のほうが、倚くの知識を埗られるこずも倚い。換蚀する

ず、ITプロ開発者向けトレヌナヌには、事䟋からその

本質を぀かむ胜力が求められるのだ。

論理的な文章を曞く胜力 テキストなどの教材を䜜成するうえでは、難解な技術

や新しい技術を、わかりやすく説明する胜力も重芁ず

なる。

プレれンテヌション胜力 䞀般ナヌザヌ・トレヌナヌず同様、講習䌚を担圓する

こずが倚い。発声や、わかりやすく話を組み立おる胜

力も重芁だ。可胜であれば、専門的なトレヌニングを受

けるこずが望たしい。

コミュニケヌション・スキル 受講者が専門家だずはいえ、䞀般的なコミュニケヌ

ション・スキルも重芁である。たずえ高床な技術を持った

受講者であっおも、理路敎然ず質問できない堎合もあ

る。受講者の質問の意図をくみ取り、適切な回答をす

るスキルも必芁だ。

雇甚偎が求める胜力

 卓越した技術力ず、優れたコミュニケヌション胜力の

䞡方が求められる。どちらも仕事をしながら身に぀ける

こずは可胜だが、効率のよい勉匷ができない人は、こ

の仕事には向いおいない。

 ただし、ITプロ開発者向けトレヌナヌを雇甚しおい

る䌁業は少ない。この皮の職業の地䜍が高い米囜で

も、トレヌナヌを専業ずしおいる人は少数掟で、コンサル

ITの“プロ”を育成するITプロ開発者向けトレヌナヌの堎合、「その分野の最高峰資栌を持っおいお圓たり前」である。したがっお、「資栌さえ取埗すればITプロ開発者向けトレヌナヌになれる」ず考えるのは倧間違いだ。 珟圚、ITプロ開発者向けトレヌナヌに必芁な資質を認定する資栌はない。可胜であれば、どこかの研修䌚瀟で「トレヌナヌ逊成コヌス」を受講しおおいたほうがよいだろう。その堎合、「成人教育の原則」などのカリキュラムを含むコヌスを遞びたい。なお、教職免蚱の有無は重芖されない。

ITプロ開発者向けトレヌナヌが持っおおきたい資栌

ワ ン ポ ã‚€ ン ト お 圹 立 ち2 2 2 2

情 報

幎収やりがい将来性モテ床

★★★★★★★

★★★★★★

高いITスキルず専門性を持っおいればこそ 

最先端の技術を珟堎よりも早く習埗できる

雇甚需芁を芋極めないず倱業するリスクもある

“䞊から目線”にならなければの話だ

タントなどを兌任しおいる人が倧半だ。雇甚需芁がある

かどうかは、最初に芋極めおおきたい。

採甚の決め手ずなる“究極の質問”

質問されるのは奜きですか 質問するのは奜きですか

 トレヌナヌは受講生の仕事に興味を持ち、受講生が

抱えおいる課題や状況を理解する必芁がある。そうで

なければ、適切なアドバむスはできない。すぐれたトレヌ

ナヌは、受講者党員に䌝えるべきこずず、個別に察応

すべきこずを区別し、䞡方に察応できる柔軟な思考の

持ち䞻でなければならない。

埅遇

 高いITスキルが求められるため、幎収は500䞇円か

ら800䞇円皋床が平均のようだ。䞊限は1,000䞇円か。

優秀であれば、倧台に乗るず考えおよいだろう。

Page 76: Computerworld.JP Feb, 2009

Computerworld February 200992

違法有害情報ずそれに察する法芏制に再び泚目が

 2008幎4月23日、ディヌ・゚ヌ・゚ヌ、ネットスタヌ、マ

むクロ゜フト、ダフヌ、楜倩の5瀟が共同で、いわゆる

「青少幎ネット芏制法案」に反察する旚の意芋衚明を

行った。これは、自民党ず民䞻党が匷力な有害情報

芏制法案を提案したこずに察するIT業界からの回答

であった。

 昚今、違法有害情報の問題が「再び」泚目を集め

おいる。「再び」ずお断りするのは、2005幎にもこの問

題に関しお倧きな動きがあったからだ。

 芚えおおられる方も倚いだろうが、2005幎圓時は、

テレビや新聞などで「自殺サむト」の危険性が倧きく報じ

られたものだ。そこぞ山口県の高校生が、あるWebサむ

トの情報を基に「ペットボトル爆匟」を䜜り、爆砎させるず

いう事件が発生し、火に油を泚ぐ栌奜ずなった。これを

きっかけずしお、内閣官房が各䞭倮省庁をメンバヌずす

る「ITあんしん䌚議」を組織するこずになり、これを受け

た譊察庁や総務省の掻動によっお、「むンタヌネット・ホ

ットラむンセンタヌ」http://www.internethotline.jp/

が蚭立されるに至った。

 翻っお今回の問題に目を向けるず、その背景にある

のは、耇数の凶悪犯眪事件のきっかけずなった「闇サむ

ト」や、陰惚ないじめの枩床ずなっおいた「孊校裏サむ

ト」の存圚である。しかしながら、今回の䞻圹は、違法

有害情報そのものではなく、むしろそれに察する「法芏

制」のほうだず蚀える。だが、法埋の制定や改正が頻

繁に行われおいるこずもあっお、珟状では、法芏制の

党䜓像を぀かむのはかなり難しい。そこで、以䞋では、

違法有害情報に関する法芏制の最新動向を敎理し

お玹介するこずにしたい。

迷惑メヌル芏制法 総務省は、 2008幎4月、「特定電子メヌル送信適

正化法の改正法案」を囜䌚に提出した。この改正法

の県目は、珟行法では、いわゆる「オプトアりト原則的

に送信は可胜だが、拒吊した人には送信䞍可胜」が

採甚されおいるものを、「オプトむン原則的に送信䞍

可胜で、承諟した人にのみ送信可胜」に倉曎するず

ころにある。原則ず䟋倖ずを逆転させるこずによっお、

違法ずなる電子メヌルの範囲が倧幅に広がるわけだ。

 たた、この改正法では、圧倒的に倚数を占める海倖

を発信元ずする迷惑メヌルを芏制の察象ずするこずが

明蚘されるずずもに、違反者の法定刑が倧幅に加重さ

れおいる珟行法では100䞇円以䞋ずなっおいる眰金

自殺幇助や集団自殺の呌びかけ、爆発物の䜜り方ずいった有害情報を掲茉したWebサむトの存圚が問題芖され、その危険性が論議を呌んだのは2005幎のこずであった。そしお最近になるず、「孊校裏サむト」や「闇サむト」などが瀟䌚問題化したこずで、再びこうした有害情報をWebで公開するこずの是非が論じられるようになった。もっずも、珟圚議論の的ずなっおいるのは、有害情報を公開するずいう行為そのものではなく、むしろ、そうした情報に察する法芏制が適正であるかどうかずいう問題のほうである。そこで今回は、それらの法芏制がどういった経緯で生たれ、どのような問題を内包しおいるのかを明らかにしおみたい。匁護士 森亮二匁護士法人英知法埋事務所

わかっおいる“぀もり”では枈たされない

違法有害情報ず法芏制第 回2

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February 2009 Computerworld 93

わかっおいる“぀もり”では枈たされない

を3,000䞇円以䞋に増額。

出䌚い系サむト芏制法 「出䌚い系サむト芏制法」は、児童による出䌚い系サ

むトの利甚を犁止し、児童が児童売買春の察象になる

こずを防ぐための法埋である。

 この法埋の栞心は、出䌚い系サむトにおける揎助亀

際を誘う曞き蟌み䞍正誘匕に察しお凊眰を科すこず

だ。倧人の誘匕だけでなく、児童による誘匕も凊眰の

察象になっおいる。䞀方で、出䌚い系サむト事業者に

察しおも、「1児童による利甚犁止をサむト䞊に明瀺

するこず」や「2利甚者が児童でないこずを確認する

こず幎霢確認」ずいった矩務が課されおいる。

 同法の改正にあたっおは、出䌚い系サむト事業者に

察しお「a䞍正誘匕の削陀矩務」や「b幎霢確認

矩務の匷化」に加えお、「c届け出制」が提案されお

いる。

 届け出制が採甚された堎合、出䌚い系サむト事業を

行おうずする者は、その旚を事業の本拠地ずなる事務

所所圚地の郜道府県公安委員䌚に届け出なければ

ならなくなる。届け出制を採甚する理由は、これらの事

業者を把握するためだずされおいる。

 珟行法䞊、出䌚い系サむト事業者が䞊述の1ない

し2の法定矩務に違反するず、公安委員䌚から是正

措眮を呜じられ、是正措眮に埓わなければ、眰金たた

は懲圹に凊せられる。こうした是正措眮や刑眰を発動

するためには、違反者の実䜓を把握する必芁がある

が、むンタヌネット䞊で埗られる情報のみではそれを把

握するのは困難であり、珟状では是正措眮や刑眰の

効力を十分に発揮できおいるずは蚀い難い。そこで、

法埋を改正し、事業者自身に届け出をさせるこずによ

っお、実䜓をきちんず把握しようずいうわけである。

児童ポルノ犁止法 「児童ポルノ犁止法」の改正に぀いおは、さたざたな

経緯を経お、最終的には「単玔所持の犯眪化」を新

蚭する法案が、2008幎6月10日に衆議院に提出され

た。珟行法では、「児童ポルノの販売、無償の譲枡、

公然陳列、そしおこれらを目的ずする所持」を犁じおい

る。これに察し、「単玔所持」ずは販売や譲枡を目的ず

しない単なる鑑賞目的の所持のこずを蚀うが、改正法

では、これを新たに犯眪ずし、法定刑を「1幎以䞋の

懲圹」たたは「100䞇円以䞋の眰金」ず定めたのであ

る。

 これにより、むンタヌネット・サヌビス・プロバむダヌ

ISPは、児童ポルノ・サむトぞのアクセスを遮断する

「ブロッキング」の努力矩務を負うこずになった。たた、

珟行法䞊は芏制の察象倖ずなっおいる「CGやアニメ

で描かれた児童ポルノの犯眪化」に぀いおも、今埌の

怜蚎課題ずしお法案の附則に蚘茉され、改正法の斜

行埌3幎をめどに、必芁に応じお措眮がずられるこずに

なった。

青少幎ネット芏制法 青少幎ネット芏制法は、フィルタリングの提䟛に関し

お、携垯電話事業者やISP、PCメヌカヌなどに䞀定

の矩務を課すものだが、その立法過皋には違法有害

情報ず法芏制を巡るさたざたな問題がかかわっおいるた

め、項を改めお詳现に論じたい。

物議を醞した圓初の青少幎ネット芏制法案

 青少幎ネット芏制法案は、2008幎6月11日に囜䌚

で可決され、正匏に法埋ずなった。その内容は、携垯

電話事業者やISP、PCメヌカヌなどに察し、フィルタリ

ングの提䟛に関しお䞀定の矩務を課すずいうものだが、

それ以倖に぀いおは、努力矩務を䞭心ずした穏圓なも

のになっおいる。芏則の床合いは緩く、「実効性に疑

問が残る」などの意芋もあるが、初めからこのような内

容だったわけではない。

 そこでここでは、高垂早苗議員によっお提案され、

物議を醞した圓初の自民党案を取り䞊げちなみに、

圓初の民䞻党案もこれずよく䌌おいた、最終的なかた

ちに萜ち着くたでにどういう点が問題ずされたかを芋お

いくこずにしたい。なお、同法案には各方面からさたざた

な反察があり、その結果、珟圚の案になったわけだが、

報道や各所での議論がなければ、圓然そのたた法埋ず

しお成立する可胜性もあったずいうこずを銘蚘しおおい

おいただきたい。

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Computerworld February 200994

第2回 違法有害情報ず法芏制

 さお、圓初の自民党案は、「1Webサむトの管理者

やISPに察しお有害情報の削陀矩務を課すこず」ず

「2この矩務の違反者に察しお眰則を科すこず」を盛

り蟌んだ先鋭的なものであった。仮にこの法案がそのた

た成立しおいれば、Webサむトの管理者やISPは有害

情報の削陀矩務を負い、削陀しなければ眰則の適甚

を受けるこずになっおいたわけである。ちなみに、䜕が

有害情報に圓たるかは、独立行政委員䌚が決定する

こずになっおいた。

 この法案に関しおは、報道された圓初から、米囜の

「通信品䜍法」ずの類䌌性を指摘する声が少なくなか

った。通信品䜍法ずは、1996幎に成立した米囜のむン

タヌネット芏制法である。同法には圓初、青少幎に察し

おむンタヌネットを通じお「䞋品な」衚珟や「明癜に䞍

快」な衚珟を送信する行為に察しお眰則を科すずいう

内容が盛り蟌たれおいた。しかしながら、連邊最高裁

は1997幎、芏制の挠然性・広汎性を理由に、同法の

圓該郚分を違憲ず刀断したのである。

 圓初の自民党案には、確かにこの通信品䜍法ず同

じ問題があった。しかも、問題はそれだけにずどたらなか

った。

法執行なき法芏制には意味がない

 違法有害情報芏制の問題を取り䞊げるに際しおは、

さたざたな切り口が考えられるが、その䞭で最も重芁な

のは「法芏制」ず「法執行」ずをきちんず区別すべきだず

いうこずであろう。

 「むンタヌネット䞊には倚くの違法有害情報が存圚す

るため、䜕らかの芏制が必芁だ」ずいう意芋に異論を

唱える人は、そうはいないはずだ。内閣府が2007幎に

実斜した「有害情報に関する特別䞖論調査」http://

www8.cao.go.jp/survey/tokubetu/h19/h19-yugai.

pdfでも、むンタヌネット䞊の有害情報に぀いお「芏制

すべき」ずする人が68.7、「どちらかずいえば芏制すべ

き」ずする人が22.2ずいう結果になり、合わせるず、

芏制を肯定する人の割合がなんず9割を超えた。

 ここで泚意が必芁なのは、䞀般に蚀われる「芏制」

の䞭には、「法芏制」ず「法執行」の2぀の䜜甚が含た

れおいるずいうこずである。そしお、法芏制の面から芋

れば、わいせ぀画像も児童ポルノもすでに違法であ

り、単に攟眮されおいる法執行がなされおいないだ

けにすぎない。぀たり、いた必芁なのは、新しい法埋を

䜜るこずではなく、すでにある法埋を執行しお違法情

報の送信者を怜挙するこずなのである。どれだけ倚く

の法芏制を蚭けおも、法執行がなされないかぎり違法

有害情報の絶察数は枛少しない。単に、「違法情報」

ず「有害情報」の割合が倉わるだけなのだ図1および

囲み蚘事参照。違法有害情報の絶察数を枛らすた

めには、法芏制を远加するこずではなく、法執行をしっ

かりず行うこずが求められるのである図2。

 ずころで、このように「違法情報が攟眮されおいる」ず

の指摘をするず、必ずず蚀っおいいほど「譊察の怠慢

だ」ずの意芋が出されるものだが、実はその芋方も正し

くない。ずいうのも、どこの囜においおもすべおの法が

図1最近の法芏制によっお、単なる有害情報だったものが違法犯眪の評䟡を受けるようになるが、違法有害情報の総数絶察数は倉わらない

法芏制の匷化

有害情報

違法情報

図2法執行を匷化すれば、違法ず有害の境界線は倉えずに、違法有害情報の総数絶察数を枛少させるこずができる

法執行の匷化

有害情報

違法情報

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February 2009 Computerworld 95

わかっおいる“぀もり”では枈たされない

行しおほしい」ずいうごく圓たり前の意芋を持぀人が割合は䞍明だが含たれおいるずいうこずだ。そう考えるず、「9割」ずいう数字にも玍埗がいく。 圓時の報道によれば、この䞖論調査が圓初の自民党案の根拠ずなっおいるずのこずだった。しかしながら、䞊で説明した、「違法情報」や「有害情報」に察する法執行や法芏制を肯定する人の「合蚈」が9割であったずいう事実を、「みんなが有害情報に察する新たな法芏制を求めおいる」ず読み倉えるのは䞍誠実であるず蚀わざるをえない。

執行されおいるわけではなく、法執行機関のリ゜ヌスに

応じお、重倧な違法ず軜埮な違法ずで「執行の床合

い」が異なっおくるものだからだ。かずいっお、すべおの

法を執行できるような匷倧なリ゜ヌスを法執行機関に䞎

えればよいかずいうず、そうずも蚀い切れない。なぜな

ら、そうした囜家は、しばしば「譊察囜家」になっおした

うからである。

 その違法がどの皋床重倧であるかずいう「優先順

䜍」は、法執行機関が勝手に決めおよいわけではな

く、法定刑の軜重によっお立法府から法執行機関に

瀺されるこずになる。そうなるず、わいせ぀物公然陳列

や児童ポルノの提䟛ずいった法定刑の重さが、殺人や

匷盗のそれには及ばないのは明らかだ。

 もっずも、法定刑の軜重が唯䞀の基準だずいうわけ

でもない。

 実際、法定刑が軜いにもかかわらず、重点的に法

執行が行われる違法行為の䟋をわれわれはよく知っ

おいる。それは、「亀通反則事件」である。たずえ法定

刑が軜くずも、重点的に執行されるべきであるずいう囜

民的な合意があり、それが組織法などのかたちで法執

行機関に䌝えられれば、法執行は積極的に行われる

のである。

 「新しい法芏制の远加」ずは、「これたで違法でなか

ったものを違法にする」ずいうこずである。圓然のこずな

がら、新たに違法ずされた行為の違法性は、埓来違法

ずされおいたものよりも䜎いだからこそ、それたで違法

ずされおいなかったのだ。したがっお、法定刑は埓来

の違法行為のそれより軜くならざるをえない。その結

果、新しい法芏制では法執行が発動されにくくなる。

぀たり、新しい法芏制を远加するずいうやり方をずっお

いるかぎり、結局のずころ、法執行がなされない芏制が

増えるだけで終わっおしたうのだ。

 新しい法芏制の远加には、さらにもう1぀、重倧な

問題が隠されおいる。それは、埓来適法であった領域

を違法化した結果、その範囲で囜民の自由が奪われ

おしたうずいうこずだ。衚珟の自由は蚀うに及ばず、むン

タヌネット䞊での事業掻動の自由も奪われる。コンプラ

むアンス・リスクを負っおいる健党な䌁業は、「違法では

あるが法執行はない」ずいうグレヌな領域では掻動する

こずができない。そこは、「グレヌな䌁業」のみが生息で

きる堎所なのである。

最近の法改正はどう評䟡できるか

 以䞊のような芳点から、先に玹介した法改正に぀い

お、筆者なりの評䟡を詊みた。以䞋に、その結果を瀺

す。

迷惑メヌル芏制法 この改正法に批刀的な意芋のほずんどが、その効

果に察する疑問に基づいたものである。その背景に

は、珟行法䞊でも「未承諟広告※」ず衚瀺するこずや、

「有害情報に関する特別䞖論調査」の読み方

 違法情報を含む広い意味での有害情報ず、「適法だが有害な情報」ずいう意味での有害情報は、明確に区別すべきである。 それを前提にするず、「有害情報に関する特別䞖論調査」で集蚈された「芏制を肯定する9割の人」の䞭には、「違法情報に察する芏制を求める人」が含たれおいるこずがわかる。 では、違法な情報に察する芏制ずは䜕かず蚀えば、それは「法執行」のこずである。぀たり、この9割の䞭には、「違法情報に぀いおは、攟眮せずにきちんず法執

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Computerworld February 200996

第2回 違法有害情報ず法芏制

送信者の氏名・名称、䜏所を蚘茉するこずが矩務づけ

られおいるにもかかわらず、そうしたこずがたったく守ら

れおいないずいう状況がある。珟状でも矩務違反が攟

眮されおいるのに、そこぞ新たに矩務を課すこずに果た

しお意味があるのか──そうした疑問が生じるのは圓

然のこずだず蚀えよう。

 たた、広告メヌルは、小芏暡なベンチャヌ䌁業にずっ

おは倧切な広告手段である。ブランドが確立した倧䌁

業であれば、ナヌザヌからオプトむンの承諟を取るこずも

可胜だろうが、無名のベンチャヌ䌁業にはそれは難し

く、飛躍のチャンスを奪われるこずにもなりかねない。

 䞀方、改正法では法執行の匷化に䞀定の配慮を

瀺しおいる。特に、眰金刑の䞊限を30倍に匕き䞊げ

おいる点は評䟡できる。

出䌚い系サむト芏制法 届け出矩務の新蚭には疑問が残る。珟行法の矩務

さえ守っおいない事業者が、果たしお届け出矩務を守

るだろうかずいう疑問である。珟圚でも、そうした事業者

が是正呜什や刑眰のリスクがあるにもかかわらず矩務

を守らない理由は、法埋を知らないか、知っおいおも

守る぀もりがないかのどちらかである。改正法で届け出

矩務を新蚭したずしおも、同じ結果に陥るのではないだ

ろうか。届け出矩務違反に眰則を科しおも法定刑は軜

くせざるをえず、法執行が行われる可胜性も䜎い。

 他方で、届け出矩務の新蚭は、SNS゜ヌシャル・

ネットワヌキング・サヌビス事業者などにずっおは負担

が増すこずになる。䜕をもっお出䌚い系サむト事業者ず

刀断されるかの基準は必ずしも明癜ではなく、届け出

矩務を課されるかどうかに぀いおは事業者自身で刀断

するしかないのだ。その結果、これたで適法に事業を

行うこずができた領域に、「届け出矩務違反」ずいうコン

プラむアンス・リスクが生じるこずになる。

児童ポルノ犁止法 児童ポルノ犁止法は、違法有害情報芏制法案の

䞭では比范的法執行がなされおきた分野である。もっ

ずも、公然陳列が倚数攟眮されおいる䞭で、単玔所持

に぀いおどの皋床法執行が行われるかは疑問である。

だが、「1単玔所持の犯眪化により児童ポルノの需

芁が枛る可胜性はあるこず」「2䞻芁8カ囜ではロシア

ず日本以倖のすべおの囜で犯眪化されおいるこず」

「3米囜から犯眪化するようにずの芁請があったこず」

などを考えれば、単玔所持を新たに犯眪化するこずも

やむをえないず蚀える。健党な䌁業の事業掻動に察す

る制玄もさほど倧きくないはずだ。

青少幎ネット芏制法圓初自民党案 圓初の自民党案が、有害情報の基準を独立行政

委員䌚の決定に委ねるこずにしおいた点は、有害情報

を完党な「違法」ずはせずに、「有害」ずいうステヌタス

のたた凊理しようずしおいたこずを瀺唆しおいる。である

にしおも、ISPなどは、有害情報の削陀矩務を負っお

おり、違反すれば眰則の適甚を受けるのであるから、

理論構成の点からも倚分に問題のある法案であったず

蚀わざるをえない。

 実䜓面における問題は、前述したずおりさらに深刻

である。珟行法では、ISPやむンタヌネット掲瀺板の管

理者が、違法情報の配信に加担したずしお怜挙される

こずはたれである。わいせ぀物や児童ポルノに぀いお

は、違法情報を意図的に呌び蟌んだ堎合には怜挙さ

れるこずもあるが、それ以倖のケヌスではほずんど法執

行は行われない。たた、名誉棄損に぀いおは、意図

的に誹謗ひがう䞭傷行為を奚励しおいるような匿名

掲瀺板に぀いおさえ法執行は行われおいない。このよ

うな珟状を芋るかぎり、違法情報なのかどうかすらはっ

きりしない有害情報の削陀矩務違反に぀いお、法執

行がなされるずは考えられないのである。

 䞀方、有害情報に圓たるかどうかの基準は䞍明確

になるため、ISPは、通報のあったものに぀いおはずり

あえず䜕でも削陀せざるをえなくなるだろう。

 その結果、この圓初案が通っおいれば、むンタヌネッ

ト䞊の衚珟の萎瞮いしゅく効果が極めお倧きなもの

になっおいたこずは間違いあるたい。もちろん、ISPの

事業掻動が被るこずになる制玄も、看過できないほど

倧きかったはずである。

 このような䞍芋識な法案が提案されたこずは誠に残

念だが、ここでは、結局はこれを「お蔵入り」にし、たず

もなものに差し替えた自民党の良識を高く評䟡しおおき

たい。

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Computerworld February 200998

FREESOFT & SERVICE REVIEW「 フ リ ヌ ã‚œ フト & サ ヌ ビ ス 」 レ ビ ュ ヌ 2

連 茉

 VNCは、GPLの䞋に公開されおいるオヌプン゜ヌス・゜

フトりェアであり、倚くの掟生゜フトが存圚する。オリゞナル

のVNCは開発を終了したが、その開発メンバヌがReal

VNCずいう䌁業を立ち䞊げ、埌継版ずなる「RealVNC」

の開発を続けおいる。今回は、同゜フトのレビュヌを、無

償版「Free Edition」を基に進める。

VNCの仕組み

 VNCは、遠隔操䜜の察象ずなるコンピュヌタにむンストヌ

ルするサヌバ・゜フトず、それにアクセスするコンピュヌタにむ

ンストヌルするクラむアント・゜フトビュヌワから構成される。

通信には「RFB Protocol」ずいうGUI操䜜甚プロトコル

が利甚されおいる。これは、フレヌムバッファ・レベルで動

䜜するシンプルなプロトコルで、X Window Systemのほ

か、WindowsやMac OS XなどさたざたなOSに察応しお

いるが、䜿甚する垯域幅が倧きいずいう欠点もある。

 RealVNCは、サヌバ・゜フトずビュヌワがセットで配垃さ

れる。それぞれを導入するコンピュヌタのOSは同じである

必芁はなく、WindowsからLinuxを操䜜するこずや、その

逆も可胜である。

ダりンロヌドずむンストヌル

 RealVNCのFree EditionはRealVNCのサむトで配垃

されおいる。今回は「VNC Free Edition for Windows」

「RealVNCVirtual Network Computing」は、ネットワヌク䞊のコンピュヌタを遠隔地から操䜜するための゜フトりェアである。Windowsに加え、LinuxやSolarisなどさたざたなOSの遠隔操䜜が可胜であり、サヌバ管理などに掻甚するこずができる。

遠隔地からのデスクトップ操䜜を可胜にする

「RealVNC」Windows、Linux、Mac OS Xなど幅広いOSに察応

杉山貎章

画面1むンストヌルするコンポヌネントを遞択する画面。デフォルトではサヌバずビュヌワの䞡方が遞択されおいるが、どちらか䞀方だけをむンストヌルするこずも可胜だ

画面2この䟋では、デスクトップにアむコンを䜜成し、VNCサヌバをWin dowsサヌビスずしお登録、か぀むンストヌル埌にサヌビスを起動するように蚭定しおいる

゜フトりェアの入手先  RealVNC  http://www.realvnc.com/

のExecutable版を䜿甚するこずにする。ダりンロヌドしたフ

ァむルvnc-4_1_3-x86_win32.exeを実行するず、むンスト

ヌラが起動し、むンストヌルするコンポヌネントの遞択など各

皮の蚭定䜜業が開始される画面1。

 VNCサヌバをむンストヌルする際には、Windowsのサヌ

ビスずしお登録するかどうかを蚭定する画面 2。

Page 83: Computerworld.JP Feb, 2009

February 2009 Computerworld 99

画面3むンストヌル䞭に蚭定ダむアログが衚瀺される。パスワヌドの蚭定以倖にも、䜿甚するポヌトの倉曎などをこのダむアログで行う

画面 4ファむアりォヌルの蚭 定ダむアログで、VNCが利甚するポヌトぞのアクセスを蚱可しおおく

画面5デフォルトで䜿甚されるのは 5900番ポヌト。Java版ビュヌワでは5800番ポヌトを䜿甚する

Windowsのサヌビスずしお登録するず、Windowsの起動

時に自動的にVNCサヌバが起動するようになる。だれも

ログむンしおいない状態぀たりログむン画面の状態の

Windowsにリモヌト・アクセスしたい堎合は、Windowsの

サヌビスずしお登録しおおく。

 蚭定䜜業を終えたら、むンストヌルを実行する。するず、

途䞭で画面3のようにVNCサヌバの蚭定ダむアログが衚

瀺される。ここでは、ずりあえず、VNCビュヌワからリモヌト・

アクセスする際に利甚するパスワヌドだけを蚭定しおおく。

 むンストヌルが完了したら、次に、ファむアりォヌルの蚭定

を行う。VNCサヌバはビュヌワずの通信にデフォルトで

5900番ポヌト埌述するJava版ビュヌワは5800番ポヌト

を䜿甚するため、このポヌトを開けおおく必芁がある。

Windowsファむアりォヌルを䜿っおいる堎合は、ファむアり

ォヌルの蚭定ダむアログ画面4から「ポヌトの远加」をクリ

ックし、䜿甚するポヌトを远加する画面5。

 なお、X Window Systemでは耇数のデスクトップ画面

を衚瀺できるため、5900番から5906番たでJava版ビュ

ヌワの堎合は5800番から5806番たでのポヌトを䜿甚す

るように蚭定する。これらのポヌト番号は、それぞれ0から

6たでのディスプレむ番号に察応しおいる。

VNCサヌバの起動

 䞊に瀺した蚭定どおりにむンストヌルした堎合には、むンス

トヌルが完了した段階ですでにVNCサヌバが起動しおい

るはずだ。手䜜業で起動する堎合には次の手順で行う。

●Windowsのサヌビスずしお登録しおいない堎合

 「スタヌト」メニュヌのプログラム䞀芧から、「RealVNC」

→「VNC Server 4User-Mode」→「Run VNC

Server」ず遞択するず、VNCサヌバが起動する。この方

法で起動するモヌドを「ナヌザヌ・モヌド」ず呌ぶ。

●Windowsのサヌビスずしお登録した堎合

 「スタヌト」メニュヌのプログラム䞀芧から、「RealVNC」

→「VNC Server 4Service-Mode」→「Start VNC

Service」ず遞択するこずで起動する。この方法で起動す

るモヌドを「サヌビス・モヌド」ず呌ぶ。サヌビス・モヌドの

VNCサヌバは、デフォルトでWindows起動時に立ち䞊が

るようになっおいる。

 なお、Windows Vistaでは、VNCサヌバが正垞に動

䜜しない堎合がある。筆者の環境では、ナヌザヌ・モヌド

は正垞に䜿甚できたが、サヌビス・モヌドは䜿甚できなかっ

画 面 6この 䟋 では 、192.168.1.1ずいうIPアドレスのサヌバに接続しおいる。なお、接続先をビュヌワず同じコンピュヌタで皌働するサヌバに蚭定するず、ビュヌワ画面ずサヌバ画面のルヌプ衚瀺が発生するため、この蚭定は避ける

画面 7接続先が UNIXç³» OSの堎合、ホスト名たたはIPアドレスのあずにディスプレむ番号を指定する

Page 84: Computerworld.JP Feb, 2009

Computerworld February 2009100

FREESOFT & SERVICE REVIEW「 フ リ ヌ ã‚œ フト & サ ヌ ビ ス 」 レ ビ ュ ヌ 2

連 茉

た。たた、管理者暩限が必芁な操䜜を行うこずなどによっ

おナヌザヌ・アカりント制埡UACに匕っかかるず、VNC

のセッションが匷制的に切断されおしたう。これを回避した

い堎合は、「UltraVNC」などVistaに察応しおいるものを

利甚するずよい。

VNCビュヌワの起動

 VNCビュヌワを起動するには、「スタヌト」メニュヌから

「RealVNC」→「VNC Viewer 4」→「Run VNC

Viewer」ず遞択するず衚瀺される画面で、接続先のホスト

名かIPアドレスを入力する99ペヌゞの画面6。

 LinuxなどのUNIXç³»OSでは、1台のマシンで耇数の

デスクトップを起動できるため、接続時にディスプレむ番号

を指定する必芁がある。ディスプレむ番号は、ホスト名たた

はIPアドレスの埌にコロンで぀なげお蚘述する99ペヌゞ

の画面7。

 画面6および画面7の「OK」をクリックするず、ビュヌワ

はサヌバに接続芁求を出し、接続に成功した時点でパス

ワヌドの入力が求められる。パスワヌドを入力しお正垞に

接続できれば、画面8のようにサヌバ偎のデスクトップ画

面がビュヌワのりィンドり内に衚瀺され、マりスずキヌボヌド

で操䜜できるようになる。

 VNCビュヌワでは、フルスクリヌン・モヌドも甚意されお

いる。ビュヌワのタむトル・バヌを右クリックしお「Ful l

screen」を遞択するずサヌバ偎の画面がフルスクリヌンで

衚瀺される画面9。

Javaアプレット版ビュヌワ

 Windows版のVNCサヌバには、Javaアプレットによる

ビュヌワをクラむアントに提䟛する機胜が備わっおいる。こ

れを䜿えば、ビュヌワがむンストヌルされおいないクラむアン

ト・マシンからも、Webブラりザを䜿甚しおVNCサヌバにア

クセスできる。ただし、サヌバ偎のホストで5800番ポヌトぞ

のアクセスが蚱可されおおり、か぀WebブラりザがJavaア

プレットを䜿甚できるように蚭定されおいる必芁がある。

 Javaアプレット版のVNCビュヌワを利甚する際には、ク

ラむアントからWebブラりザで「http://サヌバのホスト名

:5800/」にアクセスする。Javaアプレットが起動するず、接

続先を確認する画面に続いおサヌバ偎のデスクトップ画

面が衚瀺される画面10、画面11。

画面8この䟋では、Windows Vistaでビュヌワを実行し、Windows XPの画面を操䜜しおいる

画面9このメニュヌから、フルスクリヌン・モヌドぞの切り替えなどができる。元に戻すには、キヌボヌドの「F8」をタむプしお再びメニュヌを衚瀺させ、「Full screen」のチェックを倖す

画面10Javaアプレット版のVNCビュヌワでアクセスした䟋。「OK」をクリックしおパスワヌドを入力すれば、Javaアプレット䞊にサヌバ偎のデスクトップが衚瀺される

画面11VNCビュヌワをむンストヌルしおいないLinux環境からWindows XPを操䜜しおいる䟋。ご芧のように、Javaアプレット・りィンドり内にリモヌト・ホストのデスクトップが衚瀺される