現実とxR体験を繋ぐUX設計: 借景、⾝体性、速度空間
株式会社デジタルガレージDGLabテクノロジスト藤村憲之2020年12⽉10⽇のxRKaigiでは、動画を含めたプレゼンテーションをさせていただきましたが、本資料では、⾳楽の著作権上の理由から、動画を取り除いています。
わたしはどこから来たか
norifujimura.com
街の経験を作る norifujimura.com2000-現代美術、空間演出、プロダクトデザイン
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現在:今⽇の内容
dglab.com 2018-xRチーム:UX設計、実装
現実とxR体験を繋ぐUX設計
現実とヴァーチャル空間を繋ぐ体験の設計
xR的体験の発想の起源
• VR:ブラッドベリ”草原“• 1950
xR的体験の発想の起源
• AR: The Master Key• 1901
⼈はそもそもxR的発想を持っている
技術はそれを可能にする
1部:借景 SOUND ARTELLIGENCE2部:⾝体性 Reactmeter3部:速度空間 withコロナでの⾳のAR
1部:借景 SOUND ARTELLIGENCE
J-Waveとの2018年のプロジェクト
⾳楽の歴史は、いつでも、どこでもリアルに、を指向してきたが、その逆の⽅向に豊かさが眠っていないか?
ある場所だけで聞こえる⾳楽がある
ミッション:xRを使った新しいビジネスの開発
様々なプロトタイプを毎週作って⾒せに(聴かせに)いった
⾳のAR 最初のデモ
(プレゼンテーションでは動画でした)ふたつの音楽が、ARKitを使ったアプリ上で、空間のある位置に浮かんでいるように見え、聞こえるデモです。
坂本⿓⼀さんが興味を持ってくれた
「その場所に⾏かなければ曲が聴けないというところが逆に⾯⽩い」
ディレクターから、場所と関連する坂本⽒の楽曲の提案。8曲を六本⽊ヒルズに配置する⾳のAR企画がスタート
8th wallのようなWebARプラットフォームが充実していない頃3DoF(⾓度センサーベース)のWebARを開発
場所と楽曲の特性を⽣かしたAR体験の設計⽅針が課題になった
①メトロハット六本⽊ヒルズの⼊り⼝なので「the land song」(『Chazm』)
②ママン(蜘蛛のオブジェ)⽼若男⼥最もアクセスが多いと予想されるポイントなので「Energy Flow」(『BTTB』Remaster)
③森タワー屋上⿃をデジタルアートで実際の空の中にARで⾶ばす
と⾯⽩そう。「hibari」(『out of noise』)
④⽑利池池を眺めながらちょっと落ち着けるように「aqua」『/05』
⑤⽑利庭園⾚穂浪⼠切腹の地でもありますので絶望感も漂う「andata」(『async』)
⑥けやき坂歩道にあるアート作品を眺めながら「walker」(『async』)
⑦J-WAVEけやき坂スタジオ実はルイ・ヴィトンの⽬の前。J-WAVEは33階にありますし「+33」(『/04』)
⑧ツタヤ前映画のことにも思いをはせながら・・。「Bibo no aozora」『/04』
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1⾳声ガイド
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⾳声ガイド
⾳声ガイド
場所と楽曲を⽣かしたARをどう設計するか?
課題の解決 借景東アジアの庭園設計で使われるデザイン技法17世紀の中国の論⽂にすでにある
AR的発想の起源を探す中で、技術の不⾜を補う演出を得ようとした。星座、花⽕、⾹による空間の演出、借景
その場所にしかない特徴、⽂脈を最⼤限に⽣かして演出をする
GPSの誤差や揺れに耐えるコンテンツ⾬、雪、星が降り注ぐ空間
降り注ぐ空間
https://www.flickr.com/photos/mfp/3092303232/ Wikimedia: Tedikara_no_himaturi_natu_2.JPG
借景+⾳+タップ
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Genkyuen03s3000.jpg
元々は造園のテクニック
空を借景に
タップすると⾶⾏機雲や
流れ星が流れる
QRコードから誘導するWebAR⼀回性の体験。アプリのダウンロードで観客をスムーズに招くことはできない
QRコードから誘導できる、3DoFのWebARの開発
その場所に降り積もる⾳楽
その場所に降り積もる⾳楽
• GPSの精度をカバーするデザインコンセプト
• あるエリア(直径10m程度)に⼊ると、AR体験が可能になる
• 歩いているとエリアに⼊ったことに気づかない ⾳によるお知らせ
⾳によるお知らせ
Aqua:池
⽔⾯に⽯を投げ⼊れるアクションの実装
Hibari:タワー周囲と上空の空間動物の群れのシミュレーションアルゴリズムを使い、⾒飽きない⾃然な動きを
GPSデータを使い、空と地上で⾒え⽅を変えた
Andata: ⾚穂浪⼠切腹の場所
秋の始めなのに紅葉がみれる地⾯に降り積もる動きが重要5分間で落ち葉の種類と⾵の様⼦が変わってゆくシーン設計曲想の変化にシンクロして変わる
+33: 伝統のブランドに捧げられた曲
鏡⾯を場所依存で作る360度カメラで事前に現地で撮影した映像で鏡⾯を作成
⽩鍵だけで成⽴する曲。曲調とFFT解析結果から動きを作り、打鍵のリズムに合わせた。
得られたものストーリー性のあるARビジュアルが⼈を⻑く滞在させる
空間性のあるインタラクションが⼈を動き回らせる
得られたもの観客たちからのフィードバック
SNSから
観客の⾏動で変わってゆく世界。
ユーザインタラクションを反映するARなどが今後の課題
⾳のARとは何か
ここでしか聞けない⾳があるということがその場所に⼈を集め、滞在させる
2019札幌でのSEKAI NO OWARIプロモーション企画J-Waveの番組企画に繋がる
2020withコロナ>3部へつながります。
2部:⾝体性Reactmeter
⼤型サイネージへ参加するときに、⾝体性の設計が重要になる
• 渋⾕PARCOオフィス構想の中で⼤型サイネージの活⽤のチャンスが出てきた
• 携帯アプリやARを通じた参加性を提案• 画⾯の上に⾃分の⾝体が情報化されるプロセスをわかりやすくデザインする課題が⾒えてきた
国内外の数百⼈のビジネスイベントでの利⽤実績多数あり
1⽇のイベントで10回程度利⽤。
会場の参加者からの意⾒を吸い上げて場を活性化するツール
必要なのはスクリーンと参加者の携帯だけ。
質問アナウンス
投票
結果発表
2020 March COVID-19がやってきた
• 社内のビジネスイベントは延期• ⾳のARのプロジェクトも停⽌
• ⼈が集まらない、⼈を集めない企画としてのインタラクティブデジタルサイネージ、AR企画が求められるようになった。
SharedVR空間内でのインタラクティブサイネージ
SharedVR空間内でのインタラクティブサイネージ
SharedVR空間内での⽴体サイネージと⾝体性の設計が課題リアル+SharedVRを繋いだハイブリッド投票も提案中
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Throwing_the_beanbags_in!_(1514271205).jpg
SharedVR空間内での⽴体サイネージと⾝体性の設計が課題リアル+SharedVRを繋いだハイブリッド投票も提案中
3部:速度空間 withコロナでの⾳のAR
J-Waveの番組 Shibuya Designでの利⽤
SoundMap Shibuya
2020 March COVID-19がやってきた• ⼈を集める企画が成り⽴たなくなってきた• 渋⾕の街を⾳で紹介!なんて、気楽にはできない。
• 観客が、⾃分のいる場所とその周辺でそれぞれに楽しめる⾳のARを開発したい
⾃分の家の周り1kmの⽣活を楽しめる⾳のAR
渋⾕に遠くからきてもらうのではなく誰もが⾝の回りで楽しめる⾳のARを
https://www.flickr.com/photos/jpovey/
ある速度で⾛っている⼈たちの間ではじめて⾒えてくる空間
• 写真家Mike Mandelさんによる写真集 People in cars( 1970年)をみると、写真家⾃⾝が⾞に乗ってハイウェイを⾛ることで初めて⾒えてくる、併⾛する⾞に乗った⼈々の姿が⾒えてきます。
• 家の近くを⾛るたくさんのランナーを思い返し、⾛る⼈々の間で共有できる空間の設計をしてみようと思いました。それぞれの⼈たちが、それぞれの居場所を⾛ることで⾒えてくる空間です。
• (この写真は Mike Mandelさんのものではなく、Jeffrey Grospe さんが Unsplashに掲載したものです)
ランナーのための⾳のAR シナリオ例
• ランニングの間、良いペースで⾛ると聞こえてくるあのスターの声。
• ⼀緒に5kmを⾛りきる。• 坂道で脱落すると、ゆるく⾛る芸⼈のトークに切り替わる。
• もっと先へ、もっと⾛り込んでゆくと、あのアスリートの息遣いが聞こえてくる。
• 現在開発中です!
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Kokyo-jogger.jpg
まとめ
xR技術の前から連綿と⼈間の歴史の中に続く、xR的発想を探し出せ今⽬の前にある技術の発想から⾶び出すべきむしろ、技術の不⾜をUX発想と設計でカバーすべき
⼈はそもそもxR的発想を持っている
技術はそれを可能にする
ありがとうごさいました!これからも応援よろしくお願いします。
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