DaVinci Dailies using ASC-CDL
富士フイルム Image Processing System IS-100 は、ACES規格に準じたカラープロセッシングをおこなうハードウェアです。主に以下の機能を有します。
1. 富士フイルム独自技術によるIDT(Input Device Transform)を用いた、異なるカメラ機種間の色を同一にするためのカラーマネージメント機能
2. デジタルシネマカメラの映像信号に対して、RRT( Reference Rendering Transform)や富士フイルムのポジ・ネガフィルムの特性を付加するフィルムエミュレーション機能
3. デジタルシネマカメラの映像信号に対する、プライマリ( ASC-CDL )及びセカンダリによるリアルタイムカラーグレーディング機能
4. カラーマネージメント、フィルムエミュレーション、カラーグレーディングで用いた画像処理パラメータのエクスポート機能
これらの機能を適切に組み合わせることで、撮影現場での作成したルックをポストプロダクションで用いる様々なソフトウェアで共有することできます。本章では、IS-100からエクスポートされたASC-CDLのパラメータとLUTを、DaVinci Resolve で共有してデイリーズ(オフライン素材)を作成するワークフローについて解説します。
✴IS-100のVersionは1.21.24.03Kで検証しています
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IS-100からのLUTエクスポート
1.DaVinci用のLUTエクスポート
✓ IS-100のiPadコントローラのMain画面で、“ LUT Export ”を選択(図1)
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図1 IS-100の設定画面
✓ Exportウインドウ上で、IS-100 本体にUSBメモリを接続する
✓ Exportウインドウで、 下記の設定でエクスポート(図2)
-LUT Format: DaVinci
-Colorspace: Rec709(DaVinciと接続したモニタのカラースペースを選択)
-Gamma: 2.2(DaVinciと接続したモニタのガンマを選択)
-WhitePoint: D65(DaVinciと接続したモニタのホワイトポイントを選択)
-Source Data Range: Full(0-1023)
-Destination Data Range: Full(0-1023)
-CDL Parameter: Separate from InputLUT
-LUT FileName Setting: Setting1
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図2 Export機能の詳細設定
エクスポートLUTの読み込み設定
1. DaVinciへのLUTのインポート
✓ IS-100からエクスポートしたDaVinci用LUT(.cube)を下記のディレクトリにコピー
➡ Mac: Library/Application Support/Blackmagic Design/DaVinci Resolve/LUT/
➡ Windows: C:\ProgramData\Blackmagic Design\DaVinci Resolve\Support\LUT
➡ Linux: /home/resolve/LUT
✓ DaVinciの “ Project Settings ”を開いた後、“ Look Up Tables->Timeline Lookup
Tables->3D Input Lookup Table ”に移動して、 “ Update Lists ”をクリック
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図1 LUTディレクトリのアップデート
2. LUTの適用
✓ DaVinciの “ Project Settings ”を開いた後、“ Look Up Tables->Timeline Lookup
Tables->3D Input Lookup Table ”に移動して、IS−100からエクスポートしたインプットLUTを選択
✴インプットLUTの例:xxxxx_xx_xxxxxxxx_In_FullIn_DaVinci.cube
✓ DaVinciの “ Project Settings ”を開いた後、“ Look Up Tables->Timeline Lookup
Tables->3D Output Lookup Table ” に移動して、IS−100からエクスポートしたアウトプットLUTを選択
✴アウトプットLUTの例:xxxxx_xx_xxxxxxxx_Out_FullOut_DaVinci.cube
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図2 インプットLUTの設定
図3 アウトプットLUTの設定
DaVinciの環境設定
1.ColorScienceの決定
✓ DaVinciの “Project Settings”を開いた後、“ Master Project Settings->Timeline Format-
>Color science is: ”に移動して、”DaVinci YRGB”を選択(図1)
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図1 カラーサイエンスの選択
✓ DaVinciの “ Project Settings ”を開いた後、 “ General Options->Luminance mixer de-
faults to zero ”のチェックボックスを有効(図2)
✓ DaVinciの “ Project Settings ”の、 “ Master Project Settings->Conform Options->Use
Timecode ”の “ Assist using reel names from the: ”のチェックボックスを有効にした後、“ Embedding in source clip file ”の チェックボックスを有効(図3)
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図2 Luminance Mixerの設定
図3 Dailiesのリール名補助
オンライン素材のコンフォーム
1.フレームレートの設定
✓ DaVinciの “Project Settings”を開いた後、“ Master Project Settings->Timeline Format-
> ”と “ Master Project Settings->Conform Options->Calculate timecode at ”に移動してフレームレートを設定(図1・2)
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図1 タイムラインのフレームレート設定
図2 コンフォームのフレームレート設定
2.オンライン素材のインジェスト
✓ “ Mediaタブ ”の “ Library ”パネルに表示させたオンライン素材(RAWやDPX連番など)を、“ Media Pool ”パネルにドラッグアンドドロップ
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図3 オンライン素材のインジェスト
3.EDLによるコンフォーム
✓ “ Conformタブ ”の “ Timelinesパネル ”で右クリック “ Import->AAF EDL XML ”選択し、IS-100からエクスポートしたEDL ファイルを読み込む
✴EDLファイルの例: XXXXXXXX_XXXXXX_XXXX_DaVinci.edl
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図4 EDLファイルの読み込み
CDL(Color Decision List)の適用
1.ColorTraceによるEDLファイルの読み込み
✓ “Conform”タブの “Timeline” パネル上にコンフォームされたタイムラインを選択して、右クリック “ ColorTrace->ColorTrace from CDL ”を選択(図1)
✓ ポップアップした “ Select EDL File ”ウインドウ上で、IS−100からエクスポートしたEDL ファイル選択
✓ 続けてポップアップした “ Select CDL File ”ウインドウ上で、キャンセルボタンを押す
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図1 ColorTraceによるCDLの適用
2.CDLパラメータの適用
✓ ポップアップした“ ColorTrace with CDL ”ウインドウで、“ Automatic タブ” のCopy
Gradesボタンをクリックして、Closeボタンを押す(図2)
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図2 ColorTraceによるCDLの適用
3.CDLパラメータの確認
✓ “ Color ”タブ左下の “ Color Wheels ”で “ Lum Mix ”が “ 0 ”になっていることを確認
✓ “ Color ”タブのタイムライン上のクリップを選択し、“ Color Wheels ”内の “ Lift,
Gamma, Gain, Saturation ”がクリップ毎に変化していることを確認(図3)
✴IS-100 からエクスポートしたEDLファイルに記述されているCDLパラメータと、実際にDaVinci上で表示されるCDLパラメータは異なりますが、それぞれの処理結果は同一です
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図3 CDL適用結果の確認