DCF法による株式価値算出
- 算出結果の概要 -
平成21年1月29日
【小研究会】
M&A統計情報
資料 1
1
1.DCF法による株式価値算出
-分析の概要
95年
(2)非製造業
(1)+(2)
(1)製造業
06年
対象
08年07年05年04年
<分析の目的>
市場価格(時価総額)とキャッシュフローベースの評価手法に基づいて計算された企業価値(理論価格)を算出し、両者がどれだけ乖離しているのか、また、その関係にどのような特徴がみられるのか等について比較検証する。
2時点比較を行った前年度の分析結果では、理論価格と市場価格の乖離が95年に比して07年では乖離が縮小されていることが確認された。
そこで今年度の分析では、対象とする業種を非製造業まで広げるとともに、期間を04-08年の連続する5時点で算出することにより、企業価値指標としての有用性や課題等について更なる検証を試みた。
<対象範囲>
業種
- 東証第1部の製造業、非製造業
- 前回分析時は製造業のみ
期間
- 04年-08年の5時点
- 前回分析時は95年と07年の2時点
(前年度の分析対象)
今年度の分析対象
<分析手法>
簡易DCF法
企業価値を、「将来のキャッシュフローの期待値を必要収益率(資本コスト)で割り引いた現在価値」と捉えて算出する方法
⇒ 概念図を次頁に記載
2
1.DCF法による株式価値算出-本分析で用いた簡易DCF法
将来FCFの算定資本コスト
(割引率)の算定非事業用資産
の算定
今期
FCF
来期
FCF継続価値 事業用
資産価値
非事業用資産
企業価値・・・
有利子負債
少数株主持分
株主価値
有利子負債、少数株主持分の控除
株主価値
FCF = 税引後営業利益 + 減価償却費– 運転資本投資額-設備投資額
資本コスト = 株式コスト×株式比率 +負債コスト×負債比率
非事業用資産 = 現預金+保有有価証券+遊休土地、等
簡易DCF法の算出フロー
3
1.DCF法による株式価値算出
-算出の前提
会社四季報2004年~2008年夏号
会社四季報2004年~2008年夏号
設備投資予想
前期末値を日経ニーズより採取売上(前期)
前期末値を日経ニーズより採取受取手形・売掛金(前期)
減価償却費予想
会社四季報2007年夏号売上予想(今期、来期)
支払手形・買掛金(前期)
使用データ
日経ニーズより6~8月の月中平均を3で除した株式時価総額
前期末値を日経ニーズより採取少数株主持分
会社四季報2007年夏号営業利益予想
前期末の「短期借入金、CP、1年内返済の長期借入金、1年内償還の社債・転換社債、社債・転換社債、
長期借入金、非連結子会社関連会社長期借入金」を日経ニーズより採取し合計有利子負債(前期)
10年物事業債金利をベースに試算負債コスト
ファクター
業種別株価指数とTopix60ヶ月より回帰分析にて算出(対象期間:03/10-08/10)
過去35年間の「株式投資収益率」、「リスクフリーレート」より試算
10年物国債金利をベースに試算
業種別株価指数とTopix60ヶ月より回帰分析にて算出(対象期間:02/9-07/6)
マーケットリスクプレミアム
リスク・フリーレート
β値
棚卸資産合計(前期)
非事業用資産(前期) 前期末の「現預金、有価証券、投資有価証券」を日経ニーズより採取し合計
今回前回(08/3)
4
2.算出結果~ 全サンプル 時系列推移
363社(製造業)
149社(非製造業)
512社全企業数
製造業、非製造業を含む全企業を対象に算出した結果、以下の特徴がみられる。
期間全体を通じ、理論値(DCF株式価値)が株式時価総額を上回っている。
DCF株式価値は株式時価総額より変動が小さい。
⇒ 08年は時価総額が急減する一方、理論値の減少は僅か
166,468177,935 180,432
199,479
184,702
104,198114,677
150,994
171,657
128,631
0
50,000
100,000
150,000
200,000
250,000
2004 2005 2006 2007 2008
株式時価総額(10億円) DCF株式価値(10億円)
5
2.算出結果~ 全サンプル 散布図による比較
2008年 2007年
R2 = 0.9001
1
10
100
1,000
10,000
1 10 100 1,000 10,000
株式時価総額
DC
F株
式価
値
R2 = 0.85
1
10
100
1,000
10,000
1 10 100 1,000 10,000
株式時価総額
DC
F株
式価
値
2006年
R2 = 0.7415
1
10
100
1,000
10,000
1 10 100 1,000 10,000
株式時価総額
DC
F株
式価
値
2005年
R2 = 0.7414
1
10
100
1,000
10,000
1 10 100 1,000 10,000
株式時価総額
DC
F株
式価
値
2004年
R2 = 0.7109
1
10
100
1,000
10,000
1 10 100 1,000 10,000
株式時価総額
DC
F株
式価
値
DCF株式価値と時価総額に関する企業ごと(全企業)の散布図
6
2.算出結果~ 製造業 時系列推移
363社企業数
製造業を対象にした算出結果は、全企業と同様、以下の特徴がみられる。
期間全体を通じ、理論値(DCF株式価値)が株式時価総額を上回っている。
DCF株式価値は株式時価総額より変動が小さい。
- 04-07年にかけて時価総額と理論値の差は縮小傾向にある
- 08年は時価総額が急減する一方、理論値の減少は僅か
71,808
79,875
90,06695,144
108,417 109,903
129,799123,396
106,137
122,225
0
20,000
40,000
60,000
80,000
100,000
120,000
140,000
2004 2005 2006 2007 2008
株式時価総額(10億円) DCF株式価値(10億円)
7
2.算出結果~ 製造業 散布図比較
2008年 2007年 2006年
2005年 2004年
R2 = 0.9305
1
10
100
1,000
10,000
1 10 100 1,000 10,000
株式時価総額
DC
F株
式価
値
R2 = 0.9135
1
10
100
1,000
10,000
1 10 100 1,000 10,000
株式時価総額
DC
F株
式価
値
R2 = 0.8922
1
10
100
1,000
10,000
1 10 100 1,000 10,000
株式時価総額
DC
F株
式価
値
R2 = 0.8733
1
10
100
1,000
10,000
1,000 10,000 100,000 1,000,000 10,000,000
株式時価総額
DCF株
式価
値
R2 = 0.9059
1
10
100
1,000
10,000
1 10 100 1,000 10,000
株式時価総額
DCF株
式価
値
DCF株式価値と時価総額に関する企業ごと(製造業)の散布図
8
2.算出結果~ 製造業 業種別乖離率
乖離率(時価総額/DCF株式価値)の比較
-80% -60% -40% -20% 0% 20% 40% 60% 80%
金属製品
機械
化学
医薬品
パルプ・紙
その他製品
ゴム製品
ガラス・土石製品
製造業全体
2004
2005
2006
2007
2008
-80% -60% -40% -20% 0% 20% 40% 60% 80%
輸送用機器
非鉄金属
電気機器
鉄鋼
繊維製品
石油・石炭製品
精密機器
食料品
2004
2005
2006
2007
2008
理論値と時価総額について業種別に比較したところ、以下の業種で大きな乖離がみられた。
(時価総額<理論値となった業種)
• パルプ・紙
• 石油・石炭製品
• 鉄鋼
(時価総額>理論値となった業種)
• 電気機器
9
2.算出結果~ 製造業 業種別比較
ガラス・土石製品 ゴム製品 その他製品
パルプ・紙 医薬品 化学
時系列にみた時価総額と理論値の比較
1,556
2,056
2,526
1,709
2,229
2,746
3,150
3,681
2,809
3,902
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
3,500
4,000
4,500
2004 2005 2006 2007 2008
株式時価総額(10億円) DCF株式価値(10億円)
2,2012,334
1,946
2,724
2,9433,138
3,5323,344
2,363
2,827
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
3,500
4,000
2004 2005 2006 2007 2008
株式時価総額(10億円) DCF株式価値(10億円)
2,3462,489
2,599
3,168
3,499 3,483 3,4753,677
3,2163,114
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
3,500
4,000
2004 2005 2006 2007 2008
株式時価総額(10億円) DCF株式価値(10億円)
1,2261,071 1,089
2,623
2,345
1,990
1,145
1,4361,304
1,187
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
2004 2005 2006 2007 2008
株式時価総額(10億円) DCF株式価値(10億円)
8,0908,972
9,98810,29011,170
12,191
15,585
13,723
11,61612,186
0
2,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
14,000
16,000
18,000
2004 2005 2006 2007 2008
株式時価総額(10億円) DCF株式価値(10億円)
11,072
12,331 12,388
14,893
16,85117,796
18,33317,646
16,02016,639
0
2,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
14,000
16,000
18,000
20,000
2004 2005 2006 2007 2008
株式時価総額(10億円) DCF株式価値(10億円)
10
2.算出結果~ 製造業 業種別比較
機械 金属製品 食料品
精密機器 石油・石炭製品 繊維製品
5,055
6,031
7,484
5,084
6,138
7,390
8,471
9,232
8,613
10,425
0
2,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
2004 2005 2006 2007 2008
株式時価総額(10億円) DCF株式価値(10億円)
1,584 1,535
1,365
1,6251,576
1,805
2,170
1,8971,937 1,899
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
2004 2005 2006 2007 2008
株式時価総額(10億円) DCF株式価値(10億円)
5,8396,157
7,382
9,386
10,1409,761 9,881 9,773
7,6897,930
0
2,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
2004 2005 2006 2007 2008
株式時価総額(10億円) DCF株式価値(10億円)
1,3281,454
2,641
1,469
1,780 1,739
2,9833,061
2,188
3,304
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
3,500
2004 2005 2006 2007 2008
株式時価総額(10億円) DCF株式価値(10億円)
2,648
3,3482,983
3,407
6,142
5,6265,934
5,203
3,833
4,468
0
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
6,000
7,000
2004 2005 2006 2007 2008
株式時価総額(10億円) DCF株式価値(10億円)
2,087
2,3722,220
3,122
3,512
3,850 3,829
3,5453,555 3,530
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
3,500
4,000
4,500
2004 2005 2006 2007 2008
株式時価総額(10億円) DCF株式価値(10億円)
11
2.算出結果~ 製造業 業種別比較
鉄鋼 電気機器 非鉄金属
輸送用機器
3,523
4,679
9,070
6,248
10,860 10,71911,321
10,392
7,998
13,054
0
2,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
14,000
2004 2005 2006 2007 2008
株式時価総額(10億円) DCF株式価値(10億円)
6,301
6,994 6,839
4,627
6,135 5,944
8,511
7,425
9,281
10,119
0
2,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
2004 2005 2006 2007 2008
株式時価総額(10億円) DCF株式価値(10億円)
2,415
2,741
3,270
2,067
2,7212,869
3,944 4,0394,195
5,241
0
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
6,000
2004 2005 2006 2007 2008
株式時価総額(10億円) DCF株式価値(10億円)
13,04813,712
14,440
21,164
18,595
16,161
25,630
22,267
17,456
19,978
0
5,000
10,000
15,000
20,000
25,000
30,000
2004 2005 2006 2007 2008
株式時価総額(10億円) DCF株式価値(10億円)
12
2.算出結果~ 非製造業 時系列推移
149社企業数
非製造業を対象にした算出結果では、以下の特徴がみられる。
期間全体を通じ、理論値(DCF株式価値)が株式時価総額を上回っている。
⇒ 製造業以上に顕著に出ている
DCF株式価値は株式時価総額より変動が小さい。
-08年は時価総額が急減する一方、理論値の減少は僅か
32,39134,802
44,857
49,432
38,565
71,32569,518 70,529 69,680
61,306
0
10,000
20,000
30,000
40,000
50,000
60,000
70,000
80,000
2004 2005 2006 2007 2008
株式時価総額(10億円) DCF株式価値(10億円)
13
2.算出結果~ 非製造業 散布図比較
2008年 2007年 2006年
2005年 2004年
R2 = 0.8919
1
10
100
1,000
10,000
1 10 100 1,000 10,000
株式時価総額
DC
F株
式価
値
R2 = 0.8219
1
10
100
1,000
10,000
1 10 100 1,000 10,000
株式時価総額
DC
F株
式価
値
R2 = 0.7718
1
10
100
1,000
10,000
1 10 100 1,000 10,000
株式時価総額
DC
F株
式価
値
R2 = 0.8166
1
10
100
1,000
10,000
1 10 100 1,000 10,000
株式時価総額
DC
F株
式価
値
R2 = 0.7342
1
10
100
1,000
10,000
1 10 100 1,000 10,000
株式時価総額
DC
F株
式価
値
DCF株式価値と時価総額に関する企業ごと(非製造業)の散布図
14
2.算出結果~ 非製造業 業種別乖離率
-80% -60% -40% -20% 0% 20% 40% 60% 80%
小売業
建設業・鉱業
海運業・空運業
卸売業
サービス業
非製造業全体
2004
2005
2006
2007
2008
-80% -60% -40% -20% 0% 20% 40% 60% 80%
陸運業
不動産業
電気・ガス業
倉庫・運輸関連業
水産・農林業
情報・通信業2004
2005
2006
2007
2008
乖離率(時価総額/DCF株式価値)の比較
理論値と時価総額について業種別に比較したところ、以下の業種で大きな乖離がみられた。
(時価総額<理論値となった業種)
• 建設・鉱業
• 電気ガス業
• 不動産業
(時価総額>理論値となった業種)
• 情報・通信業
15
2.算出結果~ 非製造業 業種別
サービス業 卸売業 海運業・空運業
建設業・鉱業 小売業 情報・通信業
1,717
1,942
2,2952,219
1,890
1,756
2,0812,186
2,2702,356
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
2004 2005 2006 2007 2008
株式時価総額(10億円) DCF株式価値(10億円)
1,501
1,804
2,3882,529
2,064
1,549
1,842
2,095
2,640
3,013
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
3,500
2004 2005 2006 2007 2008
株式時価総額(10億円) DCF株式価値(10億円)
2,300
2,747
3,188
5,671
4,493
4,105
5,677
4,421
4,755
6,430
0
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
6,000
7,000
2004 2005 2006 2007 2008
株式時価総額(10億円) DCF株式価値(10億円)
1,818
2,108
2,483 2,496
1,508
3,643
3,384
3,8954,006
3,705
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
3,500
4,000
4,500
2004 2005 2006 2007 2008
株式時価総額(10億円) DCF株式価値(10億円)
3,9714,207
6,1385,918
3,985
4,6274,866
5,382
6,432
5,751
0
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
6,000
7,000
2004 2005 2006 2007 2008
株式時価総額(10億円) DCF株式価値(10億円)
3,421 3,416
4,381
5,096
3,7853,619
3,402 3,321
4,2884,548
0
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
6,000
2004 2005 2006 2007 2008
株式時価総額(10億円) DCF株式価値(10億円)
16
2.算出結果~ 非製造業 業種別
水産・農林業 倉庫・運輸関連業 電気・ガス業
不動産業 陸運業
172
221
274
303
230
293
352
244
312
224
0
50
100
150
200
250
300
350
400
2004 2005 2006 2007 2008
株式時価総額(10億円) DCF株式価値(10億円)
324
396
569
624
417
490 505
616
688659
0
100
200
300
400
500
600
700
800
2004 2005 2006 2007 2008
株式時価総額(10億円) DCF株式価値(10億円)
7,1188,156
9,50710,233
8,551
31,835
27,200 27,703
22,812
12,463
0
5,000
10,000
15,000
20,000
25,000
30,000
35,000
2004 2005 2006 2007 2008
株式時価総額(10億円) DCF株式価値(10億円)
669
852
1,542
1,711
685
1,275
1,582
1,764
1,8891,797
0
200
400
600
800
1,000
1,200
1,400
1,600
1,800
2,000
2004 2005 2006 2007 2008
株式時価総額(10億円) DCF株式価値(10億円)
9,381 8,953
12,09012,632
10,958
18,13218,628 18,902
19,58920,359
0
5,000
10,000
15,000
20,000
25,000
2004 2005 2006 2007 2008
株式時価総額(10億円) DCF株式価値(10億円)
17
2.分析結果~ 感応度分析
DCF値の構成ファクターを変動させた場合のDCF値の変化をみる感応度分析を行った。
予想営業利益を10%以上低下させた場合、時価総額の水準に概ね近い値なる。
リスクプレミアムを+250bp(水準は7.5%)以上増加させた場合、時価総額の水準に概ね近い値となる。
20,000
40,000
60,000
80,000
100,000
120,000
140,000
160,000
180,000
200,000
予想営業利益±10% 予想営業利益±50% リスクプレミアム±50bp リスクプレミアム±250bp 負債コスト±50bp
元DCF値
時価総額
製造業_08年
0
20,000
40,000
60,000
80,000
100,000
120,000
予想営業利益±10% 予想営業利益±50% リスクプレミアム±50bp リスクプレミアム±250bp 負債コスト±50bp
元DCF値
時価総額
非製造業_08年
構成ファクターの数値を変化させる
(例) 売上高成長率が●%から●%に変化リスクプレミアムを●%から●%に変化、等
変化させた構成ファクターによって、DCF値がどれだけ変化するのか検証する
<感応度分析とは>
<構成ファクターの変化>
(1)予想営業利益±10%
(2)予想営業利益±20%
(3)リスクプレミアム±50bp
(4)リスクプレミアム±250bp
(5)負債コスト±50bp
18
2.分析結果~ 感応度分析(参考図)
04-08年の各企業の営業利益に関する平均からの乖離
0.0%
2.0%
4.0%
6.0%
8.0%
10.0%
12.0%
14.0%
16.0%
5%未
満
5%-10%
10%-15%
15%-20%
20%-25%
25%-30%
30%-35%
35%-40%
40%-45%
45%-50%
50%-55%
55%-60%
60%-65%
65%-70%
70%以
上
0.0%
2.0%
4.0%
6.0%
8.0%
10.0%
12.0%
14.0%
-5%以
上
-10%<-5%
-15%<-10%
-20%<-15%
-25%<-20%
-30%<-25%
-35%<-30%
-40%<-35%
-45%<-40%
-50%<-45%
-55%<-50%
-60%<-55%
-65%<-60%
-70%<-65%
-70%以
下
平均値と最大値の乖離率(製造業) 平均値と最小値の乖離率(製造業)
時価総額=DCF値と仮定した場合のリスクプレミアムの逆算値
0%
5%
10%
15%
20%
25%
1%未
満
1%-3
%
3%-5
%
5%-7
%
7%-9
%9%
-11%
11%-
13%
13%-
15%
15%-
17%
17%-
19%
19%-
21%
21%-
23%
23%以
上
0%
5%
10%
15%
20%
25%
1%未
満
1%-3
%
3%-5
%
5%-7
%
7%-9
%9%
-11%
11%-
13%
13%-
15%
15%-
17%
17%-
19%
19%-
21%
21%-
23%
23%以
上
2008年(製造業) 2004年(製造業)
19
3.分析から得られた示唆及び課題
<算出結果の特徴>
時価総額とDCF株式価値の大小関係
⇒ 全般に、時価総額<DCF株式価値 という傾向がみられる。推計期間の株式リスクプレミアムが過去35年間の平均より相当高かったか、利益見通しに下方バイアスがあった可能性。
時価総額とDCF株式価値の乖離度
• 乖離度は、マーケット上昇局面で縮小、下落局面で拡大という傾向がみられる。
• 製造業より非製造業で大きな乖離がられ、さらに非製造業では業種別にばらつきがみられる。
• 縮小傾向にあったものの、2008年度は急拡大。
• DCF株式価値の時価総額への説明力が、全産業ベース、製造業では推計期間中一貫して改善しており、市場の透明性・効率性が改善していることを示す可能性がある。
株式時価総額に比べてDCF株式価値の変動性は小さい
⇒ 株式時価総額の動きには需給関係など個々の企業価値以外の変動要素が含まれるのに対し、DCF株式価値には企業固有の要素がより強く反映されている可能性がある。
20
3.分析から得られた示唆及び課題
<今後の課題>
以上の分析は、株価の理論値が実際の株価を予測する能力を相当程度有しており、このような理論値の統計が株式市場の動向を評価する上で重要な統計となりうることを示している。
わが国の株式市場において個人投資家が果たす役割が大きくなってきているところ、情報の集約化を効率的に行なっている本統計は、個人投資家の投資行動をサポートし、経済効率性の観点からも一定の役割を果たすことが期待できる。
株式市場への介入、もしくは個別企業への公的資金投入などが検討されているところ、経済財政・金融政策に対しても重要な役割を果たせると考えられる。
以上から、引き続き理論値に関するデータの整備を図っていくことが望まれる。
昨年度の分析で今後の課題として取り上げた項目(ばらつき、業種の拡大、時系列の整備)のうち、時系列、業種別の分析については進んだところ、ばらつき(時価総額とDCF株式価値の乖離)の原因分析については今回は感応度分析に留まっており、引き続き課題。
国際比較を行い、わが国の株式市場における企業評価の特徴とその変化について分析することも意義があると考えられる。