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東芝における“経営変革運動(MI)”                      -企業文化変革への取り組みとその成果-              東芝シグマコンサルティング(株)

代表取締役社長 山崎 洋

 ただ今ご紹介にあずかりました東芝シグマコンサルティングの山崎でございます。 本日は、東芝におけるシックスシグマを基本としました経営変革運動についてその取り組み並びに成果につきご紹介したいと思います。

 1997年当時より、東芝をとりまく厳しい経営環境に鑑み、将来を見据えた経営変革を実施する必要性を考え、3つの変革を柱とした経営変革を推進することといたしました。(2)

そのひとつが経営の仕組みの改善でございまして、分権化、分社化を進めるものでございます。ご存知のとおり現在10のインハウスカンパニー制を採用しています。二つ目が事業の構造改革でございます。事業の集中と選択を推進し、箱物の商売からより付加価値のあるサービス業へと軸足をシフトさせていくことを狙いとしています。三つ目が企業文化・風土の変革でございまして、シックスシグマを採用し仕事の仕方を変えていこうというものです。この企業文化・風土の改革を全ての改革のベースとなるものと位置づけ、経営変革(マネージメントイノベーション)運動、略してMI運動と位置づけて推進するものとしたものです。本日はこのMI運動の概要とそこで用いられているMI手法及び諸施策に

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ついてご紹介したいと考えます。

 ここに示しているのはMI手法の全体系であります。企業としてのビジョンを達成し業績を回復するための経営戦略を示すとともに経営戦略を達成するための課題を明確化する手法である東芝版経営管理手法と、その管理手法に基づき重要な課題のドリルダウンによって細分化された課題を解決するための具体的二つのシックスシグマ手法から構成しております。(4)

細分化された課題はプロジェクト活動にて二つの手法の活用により解決され、それらを積み上げることによって大きな経営の革新、ビジョンの達成につなげるというものです。この問題解決手法のひとつはDMAIC手法と呼ばれるものでシックスシグマの基本手法であります。既存のプロセスの修復ともいえるもので、現在のプロセスにおける無駄の部分、不良な部分を改善し、そのプロセスが持っている本来の品質レベルまで改善することにより、無駄にかかっているコスト等を削減しようというものです。本手法については米国のシックスシグマアカデミーよりライセンスを受けております。もう1つの手法が東芝版DFSS(デザイン・フォー・シックスシグマ)というもので、東芝ではDFACE(ディーフェース)と呼称しております。これは既存のプロセスでは満足されず抜本的にプロセスを改善したい、あるいは新しい商品などを開発し新しい価値をお客様に提供したいというような課題に適用する手法です。スタンフォード大学と共同で開発を進めてきたものでございます。

 東芝では、1998年10月よりトップランナーとして社内各社からの公募により62名のブラックベルト教育をまずスタートいたしました。30名はアリゾナにて、32名は日本でシックスシグマアカデミーよりプロ

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ジェクト持参によるOJTでの講義をうけました。その結果成果を確信できましたので、1994年4月MI2001として東芝全社にて展開することとしました。本運動は一応、2001年度をめどの推進するものとして、2000年4月には東芝グループ全社への展開を進め、MI2001の最終年度となる2001年度には業績とリンクさせる仕組みつくりや本運動を日常の活動に常態化させるべく運動を展開させてきました。その結果成果が得られたものの本当の意味での常態化や業績回復には更なる促進が必要との判断よりMI-PhaseⅡとして更に2年間の活動推進を行っています。

 MI運動の推進の基本方針は次のとおりです。(5)

まずトップダウンで推進することです。トップ自らが経営戦略を描き、業績向上に向けた課題をきちっとおとしこみ、プロジェクトを推進する意識が必要です。次に全員参加の運動とすることです。全社員が全て同じ方向を向き、経営の変革に向けチャレンジすることが重要です。トップによって指摘された課題を具体的に解決していくのはプロジェクト活動によってです。このプロジェクト活動の成果を積み上げ、より上位の課題を解決することによって、経営の変革が可能になるのです。そのプロジェクトを進めていく手法がシックスシグマ手法であります。そしてそのシックスシグマ手法を良く理解して十分活用できるようにするため、徹底した教育プログラムが用意されています。

また、これまで東芝では色々な全社運動が行われてきました。MI運動を推進するにあたり、そのような運動は全てこのMI運動に統合することとしました。また新たな運動が始まるのかというような嫌悪感や拒絶感をもたないように、全ての運動の良い手法はそのままMI運動のひとつの解決手法として生かすものとして、全社運動はMI運動ひとつとすることにし

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ました。QCサークル等の小集団活動、TP運動しかりです。こうすることによって全社員がMI運動一つにまい進することができるということになります。

 次にMI運動の推進体制についてご紹介いたします。(6)

 この図の左側に示しているのが皆様ご存知の通常のライン組織です。東芝の場合、コーポレート社長の下にカンパニー社長がおり、その下に事業部長あるいは事業場長などの事業責任者がおります。この事業部長あるいは事業場長がシックスシグマではチャンピオンと呼ばれ、シックスシグマの推進並びに成果責任を負っております。東芝MI運動におきましてもチャンピオンとして運動の展開・推進及びプロジェクトの成果責任をおっております。その下に部長、個別プロジェクトを実践するプロジェクトリーダーがおります。このラインの組織とは別にスタッフ組織として点線で囲んである組織がMI関連の組織であります。各カンパニー社長の下にカンパニー社長の意向を受け、MI運動全体を推進統括する責任者として経営変革統括責任者(エクゼクティブクオリティリーダー:EQL)を1人おいています。このEQLとチャンピオンにて実質的にMI活動を進めるものとなります。すなわちチャンピオンの責任の下にこの変革を進めると。その責任はチャンピオン自らが成果の責任をとるという形で、業務の中でこれを取り込んでいくという形にしてございます。 この経営変革上席エキスパート、マスターブラックに相当するものはこの事業部、あるいは事業場長、この下に1人、ないしは2人という具合についております。そしてその下に経営変革エキスパートがついており、クオリティエキスパートと呼んでございます。これがブラックベルトに相当します。実際にシックスシグマのプロジェクトをやる場合に、この者が指導者になります。この者が指導者になってチャンピオン、あるいはSQE

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と相談して、起こしましたプロジェクト、これをその下のプロジェクトリーダーが実質的に推進していくわけですけども、それを指導して、最後まで成果として上げるまでこのクオリティエキスパートが面倒を見るというような体制になってございます。 因みに、いま東芝の中ではこの経営変革上席エキスパートといわれのものが 300名以上、それからクオリィエキスパート、ブラックベルト相当、これに相当する者が3000名ぐらいいま育ってきております。それらがプロジェクトを回しているという形で進めてございます。

やはり、これは文化風土の変革で経営の変革だということで、経営者自らがこれをきちっと理解して取り組んでいかなければいけないということで、このシックスシグマ、MIの教育はトップ、すなわち、上流から行うという形で進めてきております。因みに、経営者、エグゼクティブ、役員から始まりまして、その後先ほどありました事業部長、事業場長いったチャンピオン。そして経営変革の専任者、そしてプロジェクトリーダーと、こんな順番で教育を進めていくという形になってございます。

われわれはこのシックスシグマの手法を米国のシックスシグマアカデミーというところから導入しました。皆さんもこのシックスシグマの起源というのをご存じだと思うんですけども、モトローラーで始めたもので、そのモトローラーのときにモトローラーの中でこのシックスシグマを始めたマイケル・ハリー博士がつくったのがこのシックスシグマアカデミーというところでございます。GEウェルチ会長からの紹介もございまして、そこからわれわれシックスシグマを導入しました。

最初に始めたのは98年です。98年の10月ですね。役員から始めました。まず役員26名全員3日間カンヅメにしてシックスシグマアカデミーから先生を呼んできまして、それで教育を始めました。その後チャンピオンの教育。チャンピオンは5日間に及ぶ教育をやりました。実際に自分で統計のソフトを使っていただいて、そして体験していただくというような教育も含めてですけども、5日間の教育をやっていただいた。その後4カ月間にトップランナー部門の実際のマスターブラックベルト、ブラックベルト、これの教育を行いました。後でちょっと経緯が出てまいりますけども、最初62名、われわれトップランナーとして教育を受けました。この教育は結構おもしろくて、自分でプロジェクトを持ってon-the-jobでトレーニングを受けるのです。そして自分のプロジェクトを推進し、実行しながら教育を受けていく。その教育が4カ月で終わるのですけども、終わったときにひとつのプロジェクトが仕上がって、自分はその成果も享受する、というふうなやり方でこの教育が終わりました。そして、その教育が終わったらこの人たちが先生になって今度プロジェクトを推進していく。そしてこの先生あるいはEQL、こういったところが次のSQE、QEを生み出しながらどんどんネズミ算的に広がりを持たせることができるというような仕組みになってございます。

これがそのときの風景でございます。ここに当時の、西室社長、佐藤会

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長とかが写っておりますけども、こういう形で会長、社長自ら3日間パソコンを使いながらカンヅメになって教育を受けました。

こちらはヨーロッパでチャンピオン教育をやった風景でございますけども、われわれ現在国内だけではなくて海外の現法も含めて、それからグループ会社も含めてこの運動を進めておるところでございます。

 次に経緯でございます。まず98年10月トップランナー。このとき62名でスタートしたのですけども、半分30名がアメリカのアリゾナのところに行きまして、向こうでダイレクトの英語で講義を受けました。残りの32名が日本で向こうから先生を呼んで通訳をつけて講義を受けたという形になっております。 まず62名、これが核となりまして、プロジェクトを持っていってやりました。そこでひとつのプロジェクトが大体、やはりうまくしたもので、シックスシグマアカデミーによると17万ドルぐらいひとつのプロジェクトで成果が出るはずだというように言われまして、本当かなと思いながらプロジェクト持ってやりましたところ、この62名で大体1プロジェクト当たり ほぼ2000万ぐらいの成果が出ました。それを受けて、「あっ、この手法というのは本当に使える手法なのだ」ということを西室も含めて理解いたしまして、「じゃあこれは全社でやろう」ということで、99年、先ほどの3つの改革のベースとなる改革をこの手法でつくっていこう。そして企業の文化風土、シックスシグマを使ってデータードリブン、トップダウンで物事を進めていく、全員参加でやっていく、このように文化風土を変えていく変革を全社でやっていこうというのを99年度からスタートしました。そして全員で手法を理解をしながら進めていく。そして2000年には今度グループ会社、ここまで広げてございます。東芝いま17万人のグループ会社ございますけども、そのグループ会社、ほとんどがいま進めておるところでございます。

そして2001年まで3年間でグループまで展開し、この運動を常態化に持っていこうと考えています。われわれ当初この運動を始めたときにMI2001というのを標語にしました。2001年まで3年間でこの運動をわれわれ自身の中に身につけていくのだということにしました。われわれこのシックスシグマをGEから紹介されて、そしてシックスシグマアカデミーから導入して進めた。そのときにGEはこのシックスシグマで経営品質を変えるところまで持っていくのに5年かかった。5年でやるのだ、という話をわれわれ聞きました。そのときに当時の社長の西室は、「GEが5年でできるのだったら東芝は3年でやろうじゃないか」というようなことがありまして、それでMI2001、3年でこの運動を定着させるんだという形で持ってきました。Phase2という形で後2年間、さらに加速度的に進めているところでございます。

 少しここでちょっとお時間いただいて、シックスシグマの二つの手法。先ほど問題を明確化した後二つの手法で解決を図っていくのだというお話をいたしましたけど、この二つの手法を具体的にどういうふうにやるの

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か、どういうものなのかというのを少し紹介させていただこうかな、と思っております。(10)

 ひとつは、ここにもありますように、DMAIC手法、D e f i n e ,Measure, Analyze, Improve, Controlと五つのステップを踏んで、現状のプロセスの持っている無駄を排除してコスト削減を図り、そして無駄なプロセスを排除することによって現在このプロセスがもっているポテンシャル能力まで回復することによって改善を図っていく、品質を上げていこうというプロセスの改善、品質の改善を図るものでございます。それからもうひとつの手法がDFACE手法。これはDefine, Focus, Analyze,Creative, Evalueという五つのステップでもって改善を図っていく手法でございます。こちらはこの既存のプロセスじゃなくて全く新しいプロセス、プロセスを抜本的に変える、あるいは新しい商品みたいなものをつくる、新しい価値を生み出す。そういったものに役立つ手法です。この2つの手法でもってわれわれ競争力を強化させていくという形にしてございます。これについて簡単にご紹介をしたいと思います。

まずここで皆さんにご理解していただきたいのが、CTQという言葉でございます。(8)

これがシックスシグマの用語で、しょうちゅう出てくる用語でございます。Critical to Quality 品質に影響を与える課題と。それでこの場合われわれは品質と呼んでいますけど、経営品質に影響を与える重要な課題ということです。これをわれわれCTQという形で定義してございます。従いまして、いかにこのCTQを選んできて、そのCTQをこの2つの手法で解決するかというのがエッセンスになっており、CTQをどう選定するかというのが非常に重要になってございます。このCTQは品質の改善

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といいましても歩留りを改善するとかそういったものだけじゃなくて製造現場の改善だけじゃなくて、例えばここにありますようになお客さまのレスポンスとかコミュニケーション、こういったものを改善するとか、オンタイムデリバリーで時間を短縮するとか、いろんな品質の改善がございます。そういった経営にかかわる全ての品質がこれに含まれるというふうにご理解いただければと思います。

 それからもうひとつ、やはりシックスシグマの用語にCOPQいうのがございます。Cost Of Poor Qualityと呼んでございます。品質が低いことよって無駄なコストがかかっている。そのことをCOPQと呼んでございます。(11)

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 因みに、例えば現在の企業の品質レベル、これが3レベルぐらいだとします。3といいますと 100万分の大体 6千から1万とか、そういったものに相当しますけども、そういった3シグマぐらいの品質レベルですと、これGEがうたっている図でございますけども、売上高の15%ぐらいに無駄がある。従ってこの品質を上げてあげる。 例えば6シグマぐらいに上げることによって10%ぐらい売上高を改善することができる。この改善は無駄を削減することですからダイレクトに利益の方に効いてくるということで、無駄を削減してコストを下げていく。あるいは無駄なプロセスをなくすることよって余計なコストを下げていく。そういうことによってこれだけ改善ができると言っています。これがシックスシグマアカデミーの評価では売上の20%を超えるのだ、というような言い方をされます。ですからこれを決定的にシックスシグマで潰すことによって大きな利益を生むことができるのがシックスシグマの効果でございます。(12)

シックスシグマ、ここに書いてありますけども事業経営の中で起こるミスやエラー、欠陥品の発生確率を 100万分の3.4 のレベルにすることを目標に継続的な経営品質改革活動を推進することであります。従ってこういった欠陥を減少させることによって経営品質を向上させて、そしてお客さまの満足を改善することによってわれわれにリターンが戻ってくるという改善活動になってございます。その中にはお客さまの満足度を上げるのは当然ながら製品品質もありますがそのほかサービスもあります。それからデリバリータイムもあります。そういったものを全て改善することによってお客さまが満足する。そしてわれわれに利益が上がるという形になってございます。 ここにも書いてありますように、経営の品質、製品サービスの品質だけではなくて経営システムそのものの質を含むものだという形になっており

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ます。

シックスシグマのレベルというのはどんなものかということですが、普通の会社と書いてありますけども、いわゆる一般の品質がある程度いい会社といわれているところで3から4シグマぐらいだというところになってございます。それを6シグマ、ここにきますと飛行機の安全性、飛行機事故が起こる確率ぐらいとなってございますけども、そのぐらいまで品質レベルを上げてやるということを目標にしようというような活動になっております。シックスシグマ、100万分の3.4 。 ただこの中で数学、統計に強い方がいらっしゃるかと思うのですけども、「違うよ、シックスシグマは10億分の2だよ」というふうに言われる方がおられるかと思います。確かに数学的には統計で用いられるシックスシグマというのは10億分の2でございます。ただここでは長期的な効果といったものを考えまして、そこには短期的なものと長期的なものの間にほぼ大体 1.5シグマぐらいのシフトがあるだろうということで、その1.5シグマをもう勘案した形で入れています。従って短期的に見るとこれは 4.5シグマになまりすけども、それをわれわれロングタイムの 1.5シグマを加味いたしまして、6シグマイコール100万分の 3.4ということで、このレベルを目標に品質をあげていこうじゃないかということで進めているものでございます。

これが先ほどありましたモトローラでシックスシグマを創案しましたマイケル・ハリー博士の言った言葉でございます。(13)

皆さんは本とかで見たことがあるかとは思いますけども、「知っていることを数字で表すことができなければ、それを十分に理解することはできない。もし十分に理解していなければ、それを管理することはできない。もしそれを管理できなければ偶然のなすがままになるしかない」、というこ

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とで、きっちりとデータでものを見ていく。そして数字で表して、それをきちっと分析して解決を図る。そしてそれをきちっと管理していくということが重要である、と言っております。

これがDMAIC法のステップになります。(14)

ここにありますようにDMAIC(ディーエムエーアイシー)という形で改善を図っていくステップになってございます。まずきちっと解決すべきビジネス課題すなわちCTQが何なのだ、ということでそれをきちっと定義する。そしてそれがきちっと定義できましたら、次メジャーの段階でそれを数値的に表す。その課題の持っているディフェクト、それは何なのだと、何を目的にどこまでをターゲットにしなければいけないのか。それはどのデータで分析するのか。その課題の持っているディフェクトの尺度は何なんなのか、といったそういうもので係数化をここできっちりと図ります。そしてそのターゲットは何なのかというものをきちっとここで評価しておきます。そして次にこのターゲットを解決するための現在の持っているプロセス、その能力はどこまでなのか。そしてそのターゲットを改善するための本当の解決すべき要因はどういった要因が考えられるのか、その要因をきちっと分析するというふうにしています。 ここにちょっと書いてありますけども、Y=f(X)のこのシックスシグマはこのYを改善するための要因となるXを見つけていく。これがシックスシグマのやり方です。従って表面的にやれる問題があったときにそれをモグラ叩き的に解決するのではなくて、その本質となっているものは何であるかと。その本質をデータできちっと分析して、そしてそれが持っているプロセスのどこに無駄があって、そのプロセスのどこまで改善できるのというものを見ながらこのXを見つけていくというのがこのシックスシグマのやり方です。そし

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てインプルーブの段階でこのいろんな考えられるXの中で、本当に効く要因の最適値を見つけだす。そのための改善策を検討する。それができましたら、コントロールの段階でその改善策を維持していく方法をきちっと確認してさらにそれを改善策でどれだけ成果としてコスト削減ができたか。あるいは利益の方に還元できたか。そういったものを換算するというやり方になってございます。これがステップでございます。例えばわれわれも総務の受付で電話を回すときの時間でお客さんにどれだけ待たせてしまうか。その待たす時間をどれだけ改善するか。あるいは総務の効率をどれだけ上げるか。それから病院の待ち時間をどれだけ改善するか。そういった、いままでですとなかなか数字的なものに表すことができないところもやはりこの手法を使って数字でディフェクトをきちっと定義して、そしてそのプロセスを見てそこを改善するという形で成果に結び付けてきております。

そのときに非常に武器になるのがやはり統計分析で、これを結構使いますので、ここではミニタブという汎用の統計ツールをわれわれは推奨して使っています。これはエクセル等でデータを入れまして、それをこちらに移すことによっていろんなグラフが簡単に出てきます。統計の細かい理論とかそういうのを知らなくても非常にデータをきちっとさえ並べられればこういった分析を簡単にできる。こういったソフトがございますので、これを最大限活用して進めております。

 このMIプロジェクトでございますけども、いままでこれに類するものとしてTPとかQCサークルとかTQCとかいろいろとやってきましたが、どうしても製造関係、現場関係に集中しやすかった。今回このMI、シックスシグマ入れることによってここにありますようにサービス関連、スタッフ関連部門、営業関連、設計関連、こういったところにも大きくこ

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れを使うことができる、活用することができるということが分かりました。

 次に、もうひとつの手法であるDFACE、これについてご説明したいと思います。(16)

これがDFACEのコンセプトでございますけども、これは大きく分けまして、DMAICは既存のプロセス、もう出来上がっているプロセスをどう改善するかということでしたが、これは新たに商品を企画する、新たに価値を生み出すというところで、もっと上流に逆上ったところからスタートしようというもので、商品企画から開発設計まで一貫してスルーしてできるプロセスを提供しています。商品企画ですから、ベースはやはりお客さまの声、お客さまのニーズ、こういったものを取り込んでいきまして、それをいかにしてわれわれモノとしこれを生み出していかなければならない、あるいはサービスとして生み出していかなければならないということで、それをわれわれ仕様に落とし込んで、その重要の仕様をどうやってお客さまの声から取り出していくか、生み出していくか。これが1つのキーワードになっています。このEMと書いてございますのがEngineeringMetrics 。工学的仕様でございます。この中の重要な仕様をベースに開発設計の段階で最適化を図っていく。その最適化を図るときにロバスト性を考慮して、最適化を図っていくという、こういった商品企画から開発設計まで、この一貫の流れをわれわれプロダクトの視点から提供しています。そしてこの手法をタスクリスクの観点から、より合理的により後戻りのないような仕事のやり方でこれを進めていけるように、プロセスの観点からこれをサポートする。こういう観点の手法も提供してございます。

では、なぜわれわれこういった設計上流、商品企画から設計まで、こういったところのプロセスを新たにつくってやらなきゃいけないかと、こう

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いった手法を採り入れなければいけないかというこでございますけども、皆さんこういった図を見たことがあるかと思うんですけども、横軸はライフサイクル、例えば製品のライフサイクルを描いてございます。企画からコンセプト、詳細設計そして生産からマーケットに出していくサイクルを。縦軸がそのときにかかるコスト、あるいは売上を示しています。 では実際にものを企画して製品化し、商品として売り出す。そういったときに実際に費用はどこで発生するかということがございます。一番多く発生するのはやはり材料を仕入れてものをつくって量産化して出すというここですね。この量産化、生産のところで実際の注入資金というのはかかります。しかしこの注入資金にかかるコストがではどこで決まるのかと。コストの高ですね。ここで決まるわけではない。むしろこのときの設計の善し悪しでかかるコストが決まってくる。従って投入コストがどこで決まるかというのは設計の善し悪しで決まるわけです、ほとんどですね。しかしこれはコストはそうかもしれないけども、では売上はどこで決まるんだろうかということで考えますと、売上はもっと前だと。この企画の段階でお客さまのニーズに合致した企画ができるかどうか。そういった商品企画ができるかどうかで本当の意味での利益というものは決まってしまうんだ。もう利益の8割はここできまるんだと。だから商品企画をいかにお客さんのニーズにマッチしたものにするかということが重要なんだと。そしてかかるコストはこの設計の段階でいかにコストを削減したオプティマイズが設計ができるかと、これが重要なんだということで、先ほどありましたこの商品企画から開発設計、この一連の流れは非常に重要だということでございます。

DFACEの具体的なやり方でごさいますけども、これはざっくり書いてございます。大きくこういう流れでございます。(17)

お客さまの声。これから製品の品質、製品に要求される品質を特定して、それからベストコンセプトを選んで、そのベストコンセプトを描くための

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最適なパラメータ、これを設計するんだ。そしてロバスト的なものを考えていく。そしてできあがったものを本当にそうであるかということをまたフィードバックをかけるという形にしてございます。

そのときの主要な考え方でございますけども、お客さまにとってやはり魅力ある、競争力のあるものをつくりあげていくという手法としてわれわれ品質機能展開、QFD、こういったものを中心に。それからここにもありますけども、お客さまのやはり満足という中には魅力的なものを、魅力品質を上げるというのもあるんですけども、当たり前品質をきっちりお客さまに提供するということで、それにつきましてはお客さまの不満につながらないようにしっかりFMEA(フェーリア・モード・エフェクト・アナリシス)、これはいろいろなものがあるのですけども、これを活用してそしてコンセプトとしてまとめていくという形にしてございます。

 更にDFACEをサポートするいろんな手法を提供してございます。 例えば一番最初、お客さまの声を聞く前に、何のために、誰に向かってやるのか。どこのマーケットでそれをやるのか。そういったプロジェクトの定義ですね。そしてそれから本当のお客さまは誰なのだというものを、お客さまの声を聞くためには本当のお客さまというのを確認しなければいけません。その本当のお客さまを確認するためにカスタマー・バリュー・チェーン・アナリシスとか、いろんな手法を用意してございます。これらのほとんどの手法はスタンフォード大学と一緒に開発をしてきました。そしてこういったところからきちっと分析を踏まえてお客さまの本当の声をとる。それをベースにQFDを使って、そしてそれを仕様に落とし込んでいく。そしてその仕様から部品に展開する。その部品もお客さまのその部品に対するお客さまのワース、お客さまがどれだけそれに価値を見いだしているか。それと実際にかかるコストと比べて、余計なところにコストをかけすぎていないかというコストワース分析。こういうようなものを踏まえましてわれわれ最後、製品のコンセプトをまとめているというふうにしてございます。

 こういったDFACEの手法でございますけども、ここにありますように、われわれの中のセミコンダクター、部品材料ですね、部材のところにそれを生かしていく。それから本日紹介させてもらっていますこのパソコンですね。この商品企画、それから携帯電話、そういったものの商品企画にも全てこのDFACEの手法を生かしている。あるいは開発設計のロバストを考える。そしてパラメータの最適化を考えていくといった意味ではコンバインドサイクル、ガスタービンの羽の最適化とか、そういったところまでこの手法を使っている。あらゆる分野にわれわれこのDFACEというものを使ってございます。 設計部門、それから商品企画部門、サービス部門、プロセス革新部門などに使ってございます。

 いままでお話しさせていただきました2つの手法、これを用いましてわれわれ98年、トップランナーから進めてきました。しかし、シックスシ

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グマを導入してきましたが、なかなか実際の業績向上にはつながらないというのがこの2年ぐらいやった段階で出てきました。 皆さんもよくお聞きになるのじゃないかなと思うんすけども、「シックスシグマはやってみたけどもどうも金食い虫でなかなか成果に結びつかない」というお話を聞いたことがあるかなと思います。やはりわれわれもこの2つの手法をベースにプロジェクト活動を進めてきました。ところがなかなか思ったほど業績という目で見たときに、それとリンクしてこないというのがありました。この段階でどうしてだろうということでいろいろと議論しながら理由と原因を考えてきました。そこでわれわれ気がついて改善したのがここに書いてあるところでございます。従ってこれからお話しさせていただくところは、従来シックスシグマの本とかでは出て来なかった、実際にわれわれ試行錯誤で悩んで作りあげてきたところだということで見ていただきたいと思います。

 まず、手法としてはDMAICもDFACEも非常にすばらしい。プロジェクトひとつひとつはそれで解決できるのですけども、やはり業績となかなかリンクしないということで、そのために業績とリンクした課題の明確化、いかに業績と課題とつなぎつけるか。そしてその業績にこの成果を結び付ける。そのためにCTQ(クリティカルツークオリティ)をいかにしてプロジェクトに落とし込んでくるか。そこが非常に重要だろうということで、まずそこをきちっと体系化することにしました。

 それと、そのCTQであるプロジェクトがやはり全体最適になっていないといけないということで、個々の小さなプロジェクトに下ろし込むだけではやはり無理があるだろうということで、大きなひとつの課題にくくって、その全体最適の中で小さなプロジェクトに分けて推進していくという、メガプロジェクトという全体最適を考えた考え方を進めていかなければいけないのではないかということで、われわれこのメガプロジェクトということで展開を推進していった。 それから、やはり自分たちがいま本当にどこまでこの改革が進んでいるのだろうかというそういう評価をできていかないと、なかなか自分たちのやった成果意識というものが持てないんじゃないかということで、定着化の評価指標、こういうものを入れました。それからやはり自分たちがやっている、そしてそのモチベーションを持っていくためにも経営トップの理念とわれわれ実際にプロジェクトをやる者とが意識が同じでなければいかんということで、そういったトップによるフォローとコミュニケーション、これが非常に意識を持つ上でも重要だということで、これも入れました。

それから実際にやるのは従業員です。その従業員のモチベーションが上がらないとなかなか進まないということで、この従業員の推進に向けたモチベーション、これをいかに上げてやるかが重要である、ということに気がつきました。そして3年目からこれを改善したものを推進してございます。それを残りでご紹介させていただきたいと思います。

まずこの業績向上につながる仕組みづくりでございますけども、われわ

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れこういう体系をつくりました。(9)

この左側にあるのが中計でございます。皆さんのところも当然つくられていると思うんですけども、その中計からMIでやらなければならないビジョン、中計達成のための大きなビジョンをまずここで持ってくる。その大きなビジョンにそのカンパニーに応じたベンチマーク、競争相手がいまどのようなものになっているか、世の中の動向はどうなのか、そういったベンチマーク、それからお客さまの声、この三つを踏まえてカンパニーの大きなCTQをまずつくります。その大きなCTQから今度は事業部、事業場、こういったところに合わせたCTQのドリルダウンをつくります。その中にはここにお客さんに関する部門、オペレーションに関する部門、それから経営戦略、経営資産、こういったものに関する法律に関するもの、いろんなものがあるでしょう。こういった事業部、事業場に合わせてCTQを取り入れてブレイクダウンします。それをさらにブレイクダウして小さなプロジェクトに落とし込んでいきます。その落とし込んだものを、これを解決することによって上のCTQを解決する。このCTQが解決されればこのさらに上のものが解決される。そういう形でこの上位のCTQが達成されていきます。そしてその成果をこの中計に反映させていくという仕組みにしました。そしてその反映の程度を見て次の中計のローリングをするという形でこれを回す。中計とMIとをリンクさせた形で進めるというふうにしました。その具体的なCTQドリルダウンの絵がこういった形になります。先ほどありましたコーポレートのCTQからカンパニーのCTQに下ろして、そのカンパニーのCTQから事業部、事業場のCTQにドリルダウンするという形です。その中で1つの事業部だけでは解決できない大きなもの、あるいは1つの部門では解決できないもの、そういった部門間をまたがる、事業部間をまたがるものをメガプロジェクトと呼びまして、このメガプロジェクトで解決を図る。そして大きな全体サ

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イクル的な考え方でそれを図っていくというふうにしてございます。 このメガプロジェクトでございますけども、全体最適を図ることによって中計とMIとを整合させる。それから事業戦略とを結びつけさせる。そしてきちっと世界トップクラスとベンチマーキングする。お客さまの声を反映させる。そして部門を横断したクロスファンクショナルチームでこれを取り組んでいくという形にしてございます。

 では具体的にどんなものがこのメガプロジェクトとしてやったとかと。ひとつは、これ売上債券回収メガプロジェクトです。売上債権を回収するには、ひとつこれが出来ますといろんなところで使えます。従ってこれは全社的な問題だということで、これは業務部、あるいは財務、こういったところが中心になりまして、どうやったら債券回収を確実にできるかというプロジェクトをしたものでございます。 それからこれは半導体のところでございますけども、トータル工期、これを短縮する。お客さまからの受注から納入まで、いかにして工期を短縮するかという、これも半導体全体の問題という形で取り上げたものです。 それからこれはパソコンでございますけども、米国でいかにしてノートPCを拡販するかということで、製販をスルーした一体のメガプロジェクトでこれを推進したというものでございます。

これはいま自分たちがどれだけ、どこまで進んでいるんだろうかという常態等を自己評価するための指標でございます。皆さんハーバード大学のコッター教授というのはご存じかと思うのですけども、ハーバードビジネスレビューによりますとコッター教授の『変革の8段階』という指標がございます。その指標に則りまして、いま自分たちはどこまで変革が進んでいるかというのを、その変革の8段階に応じてわれわれポイント制で評価していこうというものです。 さらにお客さまの満足度ということで、こういったダッシュボードを使いまして、業界の標準はどこだ。ベンチマークすべき相手はいまどこにいる。それに対していま自分たちのところの位置づけはどうなのか。こういったベンチマークダッシュボード、こういうものを使いながらわれわれ自己評価してございます。 そしてコミュニケーション、トップとのコミュニケーションでございます。われわれは改善を図るときに目で追えるところの問題をどうしても図ってしまう、あるいはこういう手法を皆さんに提供して、やってくださいということでそれを全社で展開しようとするんですが、やはり中には暗黙知として、どうも何をやりたいんだかよく分からないと、トップは何を考えているんだろうと、よく分からないからまあ形だけ整えておこうじゃないか。そういうような風土というのはどうしても出てくる。やはりこういった暗黙知をそのままにしておいてはいけないということで、これをきちっと形式知というか、表に出させて、そしてディスカッションをしてお互いに理解をしてこういうものを推進してもらおうということで、風土改革、これの一貫としてコミュニケーションを重視しようじゃないかと考え、われわれ経営トップに事業場、カンパニーなどを随時フォローしてもらっています。そのときに若手技術者との交流会、あるいは経営層とのディスカッション、そういったものを多く用いまして、そして随時コミュ

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ニケーションを図って意識変革を進めてまいっているところでございます。

そのひとつとしてトップフォロー。これはカンパニーのフォローでございますけども、こういった仕組みでやっております。このフォローの仕組みは岡村社長と、それからわれわれ推進する方の推進本部、本部長、この2名とカンパニーの方の社長と経営変革統括責任者、この2名。これだけでディスカッションをやるのですね。そのときに何をもってディスカッションするかというと、先ほどのCTQドリルダウンです。CTQドリルダウンと変革の8段階。こういったところで、いまどこまで自分たちは何を目的にどこまで進んでいるか。これから何をしようとしているのかというところを理解する。従って、カンパニーのトップ、自らがそういった理解をしていないといけないということでこれを進めているものでございます。 その他、ベストプラクティス発表会というようなものでモチベーション、こういった発表会を随時起こしまして、実際にやっているもののモチベーションを上げてさせてございます。 成果でございますけども、例えば2002年度は約4万プロジェクト行われてございます。今年2003年度は4万を超える42,000のプロジェクトが年間走るという予定にしてございます。

 手法としまして、トップランナーで始めてからDMAIC、DFACEを。そしてなかなかうまくいかないということで、CTQドリルダウンとメガプロジェクトのやり方を。これを入れることによって非常に大きくわれわれも改善をしていく、この運動を推進していくということができました。いまこれの集大成としてタイムトゥマーケットナンバーワン活動、すなわち全てのマーケットに対する商品の提供を早くしよう、半減しようということでリードタイム短縮を第一にいまこの運動を展開してございます。 さらに常態化もあともう一歩だと。そしてこの定着がもう一歩だということでさらにこれを推進するという形で、あと2年間、われわれPhase 2という形でこの運動を進めていくということにしてございます。 最初われわれこの運動をスタートしたときでございますけども、やはりDMAICを使いまして無駄をいかに排除するか。現状をもってプロセスをいかに改善するかというところに注力してまいりました。しかしそれもだんだん数が増えていくことよってさちってくるということで、いまはむしろ新しい価値提案、新しい商品の企画、新しいサービスの提供、そういった価値創造型の方にわれわれ少しずつシフトして改善を図っていくということを目標にいま進めてございます。 最後まとめでございますけども、われわれが進めている改善のベースになっているシックスシグマ。最初はわれわれもなかなか業績に結びつかない、どうしてだろうということで考えましたけども、われわれなりの工夫をしていくことによってこのシックスシグマの手法を最大限生かしていくという形ができるようになりました。そうやってみますとやはりこの手法は非常に有効性を持っているのじゃないかな、と思っていますし、改善ツールとして非常に有効だと考えています。

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 ひとつはこれは方法論です。5つのステップに従ってやっていくという方法論でございます。従って、しかもそれをプロセスで見ていこうということでございますので、どの仕事でもどの分野でも必ずプロセスがあって、必ずこのステップでできるということで、全ての部門に適用可能だということです。全社これを使って課題解決を図ることができる。そして課題解決をプロジェクトでやっていきますということで、短期決戦で手頃の大きさでこれを1つずつ解決し、それを積み重ねることによって改善を図っていくことができる。 このCTQですけども、お客の声に基づいてトップダウンでテーマを選定していってプロジェクトに落としこむ。それから専任者による実行と指導がある。われわれはブラックベルト、マスターブラックベルトに相当するものを数多く育てました。この者たちによる指導、教育、これでもってプロジェクトを推進していくということで、プロジェクトが確実に推進される。それから各ステップにおいて豊富なツールが用意されている。統計におきましてはミニタブという強い味方がある。そしてこれを徹底した教育で身につけさせるということで、この方法論とツールの正しい使い方を徹底的に教育する。 あときょうは時間の都合で紹介できませんでしたけども、このプロジェクトを集中管理するITツールも用意してございます。 最後、このMI運動。MIは利益創出活動そのものだと。そしてお客さまの声VOC、それからベンチマークからきちっとしたCTQドリルダウンとロールアップ、これが重要だと。やはりここの課題をいかにして見つけてきて選定して、それを業績に反映する。この仕組みが非常に重要だろうと考えています。プロジェクトの実行はまずCOPQ、どこに無駄があるか。そういったものから始まります。実行はDMAIC手法、あるいはDFACE手法で。このDFACE手法、これは非常に新しい価値創造に有効なものだ、と理解しています。そしてこの個々のプロジェクトを有機

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的につなげて全体最適に向けたメガプロジェクト、これを推進することによって非常に大きく利益に直結することができる、と考えています。そしてこういったものをやることによってMIの常態化、MIの定着による風土改革が加速できるものと考えています。 いま現在マスターブラックベルト、ブラックベルトで育ったものがわれわれの中の工場長、あるいは事業部長、こういったものになってきております。従ってMI、シックスシグマのマインドを持っているものがわれわれの核となって、あらゆるところの核となってきております。そういったものが今度自分のところでまた推進することによりどんどん定着に向けて進めていけるんじゃないかな、と考えてございます。

 以上でわれわれのMI、どうやって経営変革を進めてきたかということをご紹介させていただきました。どれだけ皆さま方に参考になったか分かりませんけども、いままでシックスシグマというのを皆さんもいろいろなところで聞かれたかと思うんですけども、シックスシグマはやりはそれだけでやろうとするとなかなか難しいところがございます。やはりいろんな自分のところに合わせた、自分のところの風土、やり方、そういったものに合わせたカスタマイズをすることによって非常に有効なものにしていけるのじゃないかな、と考えます。

 因みに最後に一言だけ宣伝をさせていただければ、このMI手法をわれわれ企業の皆さま方にご提供させていただきますので、もしご興味のある方がおられましたら、皆さま方のレジメの最後にも書かせていただいておりますが当社の問合せ先を載せております。またホームページのURLも乗せてございますので、それは一度見ていただければと思います。あるいは私どものところに連絡いただければ、どんなことでも結構ですので、お問い合わせいただければお答えをさせていただきたい、と思っております。ぜひよろしくお願いいたします。

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 以上で私の講演を終わらせていただきました。どうもご静聴ありがとうございました。(拍手)                -- 終了 --


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