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小学校 学校図書館を活用した授業例【とよなかスタンダード】解説編
H27年度使用の教科書を参考に、各学年の読書・学習支援として国語科と、調べ(探究型)学習
支援として社会科を中心に学校図書館を利活用した授業の実践計画例を作成しました。これは一例
です。児童の学習状況、学習計画の中で「図書の時間」の有効活用に向けた学校司書との図書館の
利用相談の参考になればと思っています。実際の現場で活用していただき、さらに使いやすく改良・
追加をしていきたいと思っていますので、先生方のご意見をいただければ嬉しいです。
「図書の時間」は好きな本、読みたい本を読める時間として大切です。読書で想像力を育み感性を
磨くこと、文章を読む力をつけることができます。しかし、貴重な授業としての時間でもあります。
各教科学習に「図書の時間」を活用し、子どもたちの自ら学ぶ力をつけ、伸ばし、生きる力を育て
る授業をしてみませんか。学校図書館は先生の授業づくりと子どもたちの学びを支援しています!
教科・学習内容に沿った授業例
1学期:<入門期>学校に慣れることが目標の1年生。図書館利用も連休明けくらいに
なるでしょうか。図書館オリエンテーションで図書館の使い方の話を学校司書さ
んから聞いてルールを知って読書を楽しみます。
*ひらがな学習:ひらがなを読めてこそ読書につながります。「図書の時間」はとても貴重。
○「あ」(習った字)がつく絵本を読もう!(題名の一部に入っている…等アレンジ)
・頭文字にするときは、班ごとに文字を変えて取り組めば絵本の棚の混雑なく本を選ぶ
ことができます。字を覚えることが苦手な子も友達と一緒に探すことができます。
○自由読書も、ひと工夫!
・読み終わった絵本のタイトルの文字数が一番多かった人が今日の「あたり!」とすれば
算数の学習につながります。もちろん「あたり」の発表は「図書の時間」の最後に!
2学期:はじめての調べ学習
○「いろいろなのりものについてしらべてみよう」
・単元「いろいろなふね」で説明文の構成を学習します。その構成に沿って他の乗り物
について説明文を書きます。図書館の資料を使って初めての調べ学習ができます。
・学校司書に関連本を集めてもらってもいいし、図書館で自由に探させながら、「みんな
同じ棚から借りてるね~」と図書館の分類を意識させることも学びの一つになります。
○「ものがたりをよもう」
・単元「おとうとねずみチロ」で主人公チロの気持ちを読み取るなどの学習で物語の世界
1ねんせい
2
にひたります。物語の登場人物の好きなところを友達に紹介しあう活動で物語をじっくり
読み込むことになります。「図書の時間」に図書館でお気に入りの物語(絵本)に出会え
るといいです。
・「ねずみ」が出てくる物語を並行読書してみることで、チロとはちがう「ねずみ」の物
語を読んでチロと比べたりするのも面白いです。
3学期:読むことを楽しむ
○「むかしばなしってどんなはなし?」
・日本の昔話を一つ選んで読みます。図書館には、日本の昔話だけではなく世界の昔話も
あります。そこに気が付いたり、興味を持てたら「昔話」という狭いジャンルの中で広が
りを持たせることもできます。
・2年生の「かさかじぞう」につながる「昔話」経験となります。昔から語り継がれる、
お父さん、お母さんも知っている「昔話」を楽しみます。
1学期:国語科教科書「としょかんへ行こう」では図書館利用教育の学習が入っています。図書
館オリエンテーションで分類の話と分類ごとに本棚が並んでいることの話を図書館司書
から聞くと学習とつながります。
○図鑑を使ってみよう!
・生活科で見つけた草花や虫のことを調べるときに使えるのが図鑑です。図鑑の便利な
使い方については学校司書から説明してもらうこともできるでしょう。一度調べて名前
がわかったら次に調べるとき(同じページを開くとき)「なまえ」を手掛かりに図鑑を開
きますが「目次」「さくいん」を使うと便利なことを「図書の時間」に学びます。
資料利用指導編(図鑑)参照
○としょかんはこんなところだよ!1年生に教えてあげよう!
・1年生と一緒に学校探検をするときに図書館も案内してみよう。そのためには図書館の
ことをもっとよく知ろう。「図書の時間」学校司書さんから図書館のヒミツを教えてもら
ったり、図書館の棚と本の種類にはヒミツがあるなど学習したことを1年生への案内のと
きに説明します。
2学期:発見することの楽しさを!
○神話、伝承のお話を読んでみよう!
・昔からつたわる神々の話、言い伝えのお話を読み比べ、似ている、違った見解など比較
読みを並行読書すると面白さや不思議さを感じられます。読んだお話の内容を伝え合う活
動で友達の読んだ話を読んでみたいなど交換読書をしてみるのもいいです。
2年生
昔話とおとぎ話って
ちがうのかな?!
3
○どうぶつ調べをしてわかったことからクイズを作ろう!
・単元「ビーバーの大工事」の学習後、他の動物の特徴や生態について調べ、発見したこ
とをもとにクイズを作ります。作るときには1学期の復習で「図鑑」を使ったり、少し広
げて関連書、専門書も使い、自分だけの発見を探します。クイズを出し合って答えて終わ
りでなく友達が作ったクイズの答えを図書館の資料で調べて答えを見つけることで出題
に使った資料と違う資料から答えを導き出したり、新たな情報が見つかったりするなど 1
つの資料では情報量が限られることや様々な資料を活用することの大切さに気付くこと
ができます。
○むかしばなしを聞こう!読もう!むかし遊びをしよう!
・単元「かさこじぞう」の学習後、「むかしむかしあるところに…」ではじまる昔話の
表現の仕方、話の面白さ、教訓など並行読書で読み比べ、お気に入りの部分や内容を友達
に伝える学習になります。「読む→話す→聞く」サイクルです。もちろん話すためには何
を伝えるかを一度紙に書いて整理するので「書く」学習にもなります。
3学期:調べてわかったことを伝えよう!
○おもちゃを作ろう、作ってみよう
・単元「おもちゃ教室をひらこう」では手作りのおもちゃの作り方を作り手に説明する活
動です。手作りできるおもちゃについて「図書の時間」に図書館で調べ、実際作って作り
方がわかれば自分の言葉で相手にわかるように作り方を説明できるように順序をふまえ
た説明の仕方を身につけます。算数の時間でも使う「まず」「次に」などを上手に使って
説明します。
1学期:理科・社会科が登場します。調べたりまとめたりする機会が増えてきます。国語科教
科書「図書館へ行こう」では分類番号、ラベルの見方の学習が入っています。絵本から
読み物へ、9類以外の本へと読書を広げます。
○国語辞典のひみつを知ろう!国語辞典を使って調べてみよう!
・国語辞典の使い方について「図書の時間」に図書館で人数分揃った国語辞典で学習し
ます。「つめ」「柱」の便利な使い方を含めて学習し引き方を知ると「辞典」と名のつく
ものは同じように使えるので発展性があります。あえてそのことに触れず次回の百科事
典の使い方の学習の中で子どもたち自身が気づくといいです。
⇒資料利用指導編(国語辞典)参照
○図書館にはどのくらいの本がある?
・算数「大きな数」の学習導入を「図書の時間」にして本を数えます。また、学習中盤
でただ計算練習をするのでなく、棚ごと(分類ごと)の本を数えて計算していく活動で
必然性をもって計算練習をすることもできます。3ケタ、4ケタの足し算をみんなで取
り組むことができます。
3年生
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こんなことも 算数「わりざん」導入に絵本を使う!
できますよ~ →学校図書館活用データベースで検索!!
○カイコ・アオムシの観察~百科事典の使い方
・国語単元「調べて書こうわたしのレポート」でも使えるので百科事典の使い方を学習
します。国語辞典の使い方と似ているところを見つけられるでしょうか。調べるものの
頭文字により巻が分かれているところが違うところ。上手に使って色々調べます。
何について調べるかテーマを絞ったり、どの本で調べたのかの記録(奥付)の仕方につ
いて理科の「カイコ・アオムシ」調べを題材に調べ学習の基本を学習します。
⇒資料利用指導編(百科事典)参照
○慣用句調べ
・体の一部分が登場することが多い慣用句。体のどの部位を使ったものが多いでしょうか。
「図書の時間」に調べてみてください。慣用句辞典、百科事典をフルに使って調べるなど
3年生で辞典名人になれます。
2学期:国語、社会ともに調べてまとめる活動が増えてきます。百科事典と関連資料、分類を
意識して本を探したり、選んだりします。調べたことは「新聞」などにまとめる活動に
なりますので、新聞の特徴を知る学習も取り入れるといいです。
○働く犬調べ
・単元「はたらく犬について調べよう」の学習後の盲導犬以外のはたらく犬について調
べまとめる活動になります。学校司書は支援ライブラリーや公共図書館から関連資料を
集め提供します。「図書の時間」を使って調べ、盲導犬との違い、似ている部分など比較
しながらまとめることで、違った書きぶりのレポートを作成することができます。
○やってみよう!ビブリオバトル
・単元「世界の物語を紹介しよう」の学習と並行で世界の国々、地域の物語を読み、友
達に紹介をする活動にします。バトルというよりも紹介しあって「どの本が読みたくな
ったか」を聞き合う活動にしてもいいと思います。
3学期:国語と社会の学習で町(地域)調べの学習があります。
○町(住んでいる地域)のお祭り調べ
・国語科と社会科と連動させて「図書の時間」を使って調べ学習をすることができます。
地域のことについては資料が限られてしまいますが、日本各地のお祭り調べに広げるこ
とや、お祭りの由来を調べるなど深く調べることもできます。
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1学期:社会見学などで見てきたことをまとめるときに資料を使ったり、見学事前学習で調べ
学習したことを実際の見学先で質問するなど、調べ学習の機会が増えてきます。教科書
で学ぶことにプラスαした学習を「図書の時間」にします。
○漢字辞典の使い方を知ろう
・辞典シリーズの集大成。使い方について「図書の時間」にみんなで同じ辞典を使って
引き方を学習し、自分の名前の漢字の由来を調べるなど興味をもって取り組めます。
資料利用指導編(漢字辞典)参照
○統計資料の見方
・算数でグラフの見方、読み方を学習します。「図書の時間」にいろいろなグラフの載っ
ている資料を探し、グラフを見たり、読んだりする活動をしてみると活きた学習になりま
す。算数で学習したことが社会科の学習に活きます。
○ゴミについて、水について調べ新聞にまとめよう
・社会見学でゴミ処理場や上下水道局に出かけることもあるでしょう。事前学習、事後学
習の一つとして子どもたち自身で暮らしの中のゴミや水について知りたいこと、わからな
いことを見出しテーマを絞って調べる学習をします。事前学習では、知りたいことについ
て本や資料を使って調べ、解決できなかったことを見学や説明を聞くことで解決する。事
後学習では見学したことや説明を聞いた中で、初めて知ったこと、大事だと思ったこと等
みんなに伝えたいことを本や資料で確認し参考にしながらまとめます。新聞形式でまとめ
るときには「見出し」「小見出し」など実際の新聞の構成を「子ども新聞」などを参考に
簡単に学習することもできます。教科書にも新聞の構成を学ぶページがあります。
○ことわざ・故事成語調べ
・ことわざや故事成語は短い言葉や表現の中に込められた先人の知恵や戒めです。「いろ
はかるた」になっているなど耳にする経験は多くありますが、正しい意味を知る機会とな
ります。オリジナルのことわざを作ったり、「かるた」にしたりと様々な学習活動ができ
ます。
2学期:物事を比較しながら調べ、説明する学習をします。
○国語科単元:暮らしの中の和と洋を調べよう
・教科書の中で比較されている内容の他にも生活の中にも「和」と「洋」があります。
教科書の書き方にならって説明する文章を書く前に、自分の書く内容について調べ、比
較するポイントを整理します。
難しい
言葉は
国語辞典
で調べ
る!!
4年生
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○社会科単元:安全な暮らしを守る
・社会科の学習で消防署、警察署の見学をすることもあります。事前・事後学習の調べ
学習や、他にも暮らしを守る施設、仕組みがあることに目を向けて調べる学習もできま
す。
防災という視点でも発展学習ができます。阪神淡路大震災、東日本大震災なども合わせ
て学習する機会にもなります。
○読書会を開こう(並行読書・ビブリオバトル・リテラチャーサークル)
・単元「世界一美しい村」の関連本(続編)の並行読書や、テーマを決めてそのテーマ
に関連する本をそれぞれが読み、その内容について紹介しあうビブリオバトルや、グル
ープで 1 冊の関連本を、役割を決めて少しずつ読み進めるリテラチャーサークルなどを
取り入れて読書会をするなど様々な方法で取り組めます。
3学期:調べ学習の基礎をかため、高学年につなげる。
○国語科単元:「目的や形式に合わせて書こう」
・社会科の大阪府の交通や産業について調べる学習と合わせてポスターなどにまとめて
書く学習につなげることができます。総合的な学習の時間としても取り組めます。ポス
ターで伝えたいことをどのように表現すればよいか、レイアウトは?と考えると図工の
学習にもなります。
1学期:国語教科書「図書館へ行こう」では NDC 分類について学習します。図書の時間に分類
を決めていろいろな本を読んでみると読書の幅を広げることになります。
林間学舎に出かける学年でもあり、行き先について調べたり、キャンプファイヤーのス
タンツなどのネタを調べることもありそうです。
○新聞を読んでみよう!いくつかの新聞を読み比べてみよう
・国語科単元「書き手の意図を考えながら新聞を読もう」では記事と写真との関係に注
意しながら新聞記事を読み比べ、書き手の意図を読み取る学習になります。実際にいく
つか新聞各社の一面を読み比べるなど情報発信源となる新聞の情報の伝え方を学ぶこと
ができます。「図書の時間」に持ち寄った新聞を読み比べたり、記事構成、文章構成を学
ぶ機会になります。
○気候の違いと人々の暮らしについて調べよう
・社会科単元「さまざまな土地の暮らし」で暖かい沖縄県と寒い北海道の暮らしの違い
について「図書の時間」に調べ学習をします。グループごとにテーマを設定して発表し
5年生
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合い、互いの学びを共有する活動ができます。発表という形でプレゼンテーションの学
習もできます。テーマは「住居」「学校生活」「食生活」「行事」「気候ならではの町づく
り」などそれぞれのテーマで気候に関連させながら、項目として特徴や工夫、問題点に
ついて整理することができます。
○米調べ
・社会科単元「米作りのさかんな地域」の学習の中で「米」についても調べる活動がで
きます。個人でもグループでも「米」にまつわる知りたいこと、調べたいことからテー
マを決めて調べ、まとめる学習ができます。テーマの例としては「米の品種と育て方」「米
づくりの工程」「米作りの歴史」「無農薬の米づくり」「米農家の現状と課題」など。発表
会を開きみんなで質問し合えるといい学習になります。
2学期:調べたことについて自分の考え、意見を持ち、自分の言葉で書くなどの表現ができるよ
うにします
○国語科単元:資料を生かして考えたことを書こう
・同時期に社会科単元「水産業のさかんな地域」があり関連させて学習する総合学習の
一環としても取り組めます。水産業に関する資料から情報を読み取るなどできます。グ
ラフの読み取りでは算数のグラフの学習を簡単に先行学習(割合の学習とかね合うので
厳しい?)をしておくと、グラフから水産業に関わる情報を読み取り、整理することも
できます。(3学期:○算数科単元「帯グラフ・円グラフ」→「グラフの読み方、比べ方
の練習」
・興味のある事柄について「図書の時間」に資料を集めておいて文章を整理し、ポスタ
ーを作成します。図書利用指導として「年鑑」の使い方を学習に組み込むこともできま
す。
○国語科単元:和の文化について調べよう
・「和の文化を受けつぐー和菓子をさぐる」と並行して調べたい「和の文化」を考え、「図
書の時間」に関連する本、資料を探し、教科書の文章構成を参考に情報を整理して説明
内容、発表の構成を考えます。
3学期:情報の取り扱いなどを意識し必要な情報を正しく活用することを学習します。
○国語科単元:伝記を読んで感想文を書こう
・「手塚治虫」の伝記の読み取りと並行して他の人物の伝記を個々が読み、人物の生き方
について考え感想文に書く活動をします。伝記は分類では「2類」ですがスポーツ選手
など興味をもった人物の生き方、考え方にふれる機会にもなります。
○情報の正しい伝え方とその手段
・社会科単元「わたしたちのくらしを支える情報」で新聞、テレビなど情報を発信する
インター
ネット
(PC)と
の併用
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産業と人々のくらしとの関わりを学習します。図書館の本や資料も情報源となるもので
す。その利用の仕方、著作権について合わせて学ぶ機会にもなると思います。今まで調
べ学習で使った資料の出所を記載することの意味を再確認します。
国語科単元「わたしたちとメディアとの関わりについて考えよう」と連動させ総合的に学
ぶこともできます。社会科と国語科で同時進行的に学習をすると学びを深めたり、「図書
の時間」を含めて授業時数の調整ができます。
○国語科単元:伝えよう委員会活動
・リーフレットとは…「宣伝や広告、案内や説明のために、1 枚の紙に文や絵図をまと
めたもの」です。図書館には参考(見本)になる資料があります。「図書の時間」に見て
その特徴などを捉え、リーフレットづくりに役立てます。委員会活動を伝えるリーフレ
ットづくり以外に次の単元の「森林のおくりもの」を読み、社会科の「環境とわたした
ちのくらし」で森林を守る仕事などと関連させて環境問題について調べたことをリーフ
レットにすると総合的な学習として取り組むこともできます。
1学期:国語科教科書「図書館へ行こう」では、NDC分類が学校図書館の分類法だけではなく全
国のほとんどの図書館が同じ分類であることを学習し、地域の図書館の利用やその他の
施設について紹介されています。また、読書アルバムを作る等様々な種類の本を読むこ
とをすすめています。
○大昔の人々のくらし調べ
・社会科単元「大昔のくらしと国の統一」で縄文時代(古代)の人々のくらしを様々な切
り口(テーマ)から調べる学習をします。調べるテーマを「住居」「食べ物」「生活」「衣
服」などグループで調べて発表するなど共有学習をします。縄文時代~弥生時代へと時代
の移り変わりによりそれぞれどのように変化するかを比較するのもいいと思います。
○新聞を読んでみよう、新聞の投書欄を読み比べてみよう
・国語科単元:「新聞の投書を読んで意見を書こう」では書き手の表現の工夫を読み取る
学習です。5年生で「新聞記事の書き手の意図を読み取る」学習をしています。今回は、
新聞には読者の意見を載せている投書欄を読み比べながら自分の意見の伝え方を学習し
ます。新聞の中の社説やコラムの中にも意見を伝えるための工夫がないか、自分の興味の
ある記事について自分の意見を書いてみることで読んで書く学習になります。
○平和について 戦争について 調べよう
・修学旅行の前後に広島、戦争、平和に関する調べ学習を総合学習の一環でします。テー
マを個人、グループで設定して新聞(壁新聞)にまとめたり、パワーポイントを使っての
6年生
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発表などにつながります。国語科で、自分の意見を伝えることについて学びました。調べ
てわかったこと、知ったことをただ発表するのではなく、そこから何を感じ何を考えたか
まで表現できるようにします。2学期の国語科単元「資料を生かして呼びかけよう」の学
習と絡め、自分の意見が効果的に伝わるように資料を活用して書くことを目標に取り組む
ことができます。
2学期:様々な資料から、また、文学作品を読むことから自分の意見や考えを伝える学習が多く
あります。プレゼンテーションの方法についても学習します。調べてまとめて発表する
という探究型学習の集大成です。
○図書館にある資料を参考に自分の意見をまとめよう 著作権に注意しよう
・国語科単元「町の未来をえがこう」では町づくりに関する本や資料を並行読書し情報収
集し最終的にプレゼンテーションにて発表をします。資料を提示しながらグループで協力
して自分たちの考えを伝えます。資料などの情報の取り扱い方、著作権についても
改めて学習する機会になります。
○本を読んですいせんしよう
・国語科「ヒロシマのうた」と並行して平和・戦争に関連した本を読み、本の内容につい
て感想や印象に残った言葉や文章などをカードにまとめ、友達に本を推薦する活動をしま
す。ビブリオバトル形式で行うと推薦するときにどのように伝えれば効果的で自分の本を
選んでもらえるかなど考える活動になります。
3学期:積み上げた6年間の学習を今後に活かす
○卒業文集づくり
・文集のテーマで将来について書くときの職業調べ等で「図書の時間」を使うことができ
ます。
○社会科単元:「わたしたちのくらしと政治」
・政治の働き、仕組み、税金の役割など教科書で学ぶ中で疑問やもっと知りたいことなど
個々で調べレポート作成をしたり、グループでテーマ(先生は、子どもたちに学ばせたい
ことをテーマに選んでおく)に分かれて調べ、まとめてそれぞれのテーマについてグルー
プのメンバーが先生役となり他のみんなに説明する(教える)活動を入れると学び合い活
動をすることができます。政治用語など難しい言葉もあり、国語辞典や百科事典でおさえ
ながらみんながわかるように説明することを意識してテーマについてまとめていきます。
先生はテーマごとにキーワードやおさえるポイントについて指導する、また、補足説明す
る役を担います。
○社会科単元:「世界の中の日本とわたしたち」
・国際連合、国際交流や協力について学習します。国や地域について調べ学習する活動を
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することができます。「図書の時間」に図書館にある資料を使いますが、世界は動いてい
ます。最新情報に関してはインターネット等併用します。
小学校 図書館での学び ~利用指導編~
<図書館オリエンテーション>
図書館の使い方【学校司書】
・各学校の図書館の使い方について学校図書館専任職員(以下、学校司書)が1学期の最初の図
書の時間にお話します。
内容:貸出・返却のしかたや図書館での過ごし方などの「きまり」(ルール・おやくそく)
図書館のひみつ【学校司書・担任】
・分類(NDC)、図書館マップ、ラベルについて図書館の本の並び方にも「きまり」(ひみつ)が
あることを学年に応じて学習します。この内容は国語科教科書の「図書館へ行こう」と関連さ
せ学校司書と一緒に学習をすすめます。
内容:①分類(NDC 日本十進分類法)について
1年生:こくご「ほんがたくさん」では本がたくさんある図書館を知ります。
絵本を中心に説明。絵本は「E」マークのラベルで絵本の棚(コーナー)に並ん
でいることを学びます。
2年生:国語「としょかんへ行こう」ではおはなしの本:9類、うさぎのこと(自然科
学):4類を中心にいろいろな本があることにふれられています。
分類(数字)ごとに本が整理されていることを学びます。(NDCの歌)
3年生:国語「図書館へ行こう」では本の内容によって分けて並べてあること(0類~
9類のうち0・4・9類中心)を学びますが、NDC分類表記を「本のなかま分
け」としている。
0:総記・百科じてんなど 1:どうとく・しゅうきょう
2:れきし・地いきのこと 3:社会のしくみ
4:しぜん・天気・生き物 5:きかい・のり物・かんきょう
6:いろいろなしごと 7:図工・体いく・音楽
8:言葉 9:文学
4年生:国語「図書館へ行こう」では図書館の本は十のグループに分けて並べられ、ラ
ベルの3ケタ表示の一番左の数字がグループを表してあること、本を探すとき
の手がかりにすることを学習します。
0:総記・百科事典など 1:哲学・道徳・宗教
2:歴史・地理・伝記 3:社会科学 913
4:自然科学 5:技術・工業・家庭 ホ
6:産業・交通・通信 7:芸術・体育
ラベル
11
8:言語 9:文学
5年生:国語「図書館へ行こう」で図書館の本は、日本十進分類法(NDC)によって分
けられ整理され、ラベルに内容の分類や著者名等の情報を示す請求記号が書か
れていて本を探す手がかりになることを学びます。
ラベルに表示された請求記号(3ケタの分類記号、著者名の頭文字などの図書
記号)について説明されている。
分類記号 例)4(自然科学)―8(動物)―9(哺乳類)
図書記号 動物の本でも種類によって他の棚にあることにもふれられている。
請求記号 (動物が出てくる物語→9文学)
6年生:国語「図書館へ行こう」では探している本が学校図書館にないときには地域の
図書館も活用すること、どの図書館でも「日本十進分類法(NDC)」で本を整
理していることについて記されています。また、調べたり実物を見て考えたり
するために役立つ施設(歴史資料館、科学館、美術館)が紹介されています。
②図書館マップについて
分類ごとに図書館の本が整理されており、図書館のどこの棚がどの分類の本棚かを
示す案内地図が各学校の図書館にはあります。読みたい本が何類の本かがわかれば図
書館マップで棚の位置を調べて本を探せること低学年から知っておきたいことです。
③ラベルについて
5年生の国語の「図書館へ行こう」で学習しますが、借りた本を返すときの手がか
りになるのがラベルの請求記号です。学年に応じて、分類とラベルの表示の関係や
本棚との関係について「図書の時間」に学習します。
本のひみつを知ろう
・本を大切にして欲しいことを伝えたり、本の構造を知ることで利用指導に活かせます。
・本には私たちの体と同じように各部に名前があります。本に親しみを持たせることができます。
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ミ
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(本の各部の名称 図にある番号くらいを紹介するとよい)
1.天(てん) 2.地(ち) 3.小口(こぐち) 4.のど 5.喉布(のどぬの) 6.はなぎれ
7.表紙(ひょうし) 8.折り返し(おりかえし) 9.角(かど) 10.見返し(みかえし)
11.扉(とびら) 12.標題紙(ひょうだいし) 13.ジャケット 14.帯紙(おびがみ)
15.チリ 16.背(せ) 17.折込み(おりこみ) 18.折れ込み(おれこみ) 19.白ページ
20.平(ひら) 21背文字(せもじ) 22.前書(まえがき) 23.後書(あとがき)24.前づけ
<資料利用指導>【学校司書・担任】
・学年に応じて図鑑、百科事典、国語辞典、漢字辞典、年鑑の使い方を学習します。
①図鑑【学校図書館支援ライブラリー所蔵 図鑑セット(魚、動物、植物、虫)使用】
2年生の2学期の国語科「動物調べ~クイズを作ろう」で図鑑を活用して調べ学習があります。
その前に、生活科で観察した植物を調べることもあります。図鑑の上手な使い方を学習して
自分で調べる力をつけておくと学習がスムーズに進められます。
<めあて>
・「さくいん」「もくじ」を使って調べることができる。(1~2年)
・「さく引」「目次」を使って調べ、必要な部分を正しく抜き出すことができる。(2~3年)
・調べたことを要約して書くことができる。(3年~)
②百科事典【学校図書館・学校図書館支援ライブラリー所蔵 ポプラディア(旧版・新版)使用】
わからないこと、知りたいことを調べる時に最初に活用できるのが百科事典です。使い方は図
鑑と似ていますが調べる内容の頭文字で巻ごとに分かれています。
<めあて>
・調べたい事柄のある巻を選び「さくいん」「目次」「つめ」「はしら」を使って調べることができ
る。(2年~3年)
・調べた事柄について説明している部分を書き出すことができる。(2~3年)
・調べた事柄について必要な部分を要約して書くことができる。(3年~6年)
・奥付の意味、引用のルールを理解して書き記すことができる。(4年~6年)
③国語辞典(3年)漢和辞典(4年)【学校図書館所蔵 辞典利用1クラス分使用】
国語科の学習単元にそれぞれの使い方の学習があります。図書館には同じ辞典が揃っている
ので、クラス全員で使い方を学習してから、それぞれが持っている国語辞典を使えるようにな
れば良いです。学校の辞典と自分の辞典を比較してみるのも面白いです。図鑑や百科事典を使
いこなせていれば国語辞典の使い方は簡単に理解できる。漢和辞典においては部首や総画数で
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引くことを新たに学習します。
④地図
3年生の社会では地図記号や地域の地図にふれる。4年生の社会から地図帳を活用する。
図書館の資料の中で多くの地図に出会う。地図に興味関心を抱かせるために色々な描かれ方を
した地図を図書館で探してみる。
また、縮尺など算数の学習にいろいろな地図を見てみるのも面白いです。
⑤年鑑
5年生~6年生、中学生でも統計資料などを見る時に使用するのが年鑑。年鑑の種類や特性、
構成(統計編と学習編)などを理解し、キーワードを決めて目次や索引を使って調べる学習に
します。調べたい事柄をキーワードを決めて探すのはインターネット検索でも活用します。調
べる項目にたどりつくためのキーワードを考える活動にもなります。
<めあて>
・キーワードを決めて索引や目次で探すことができる。
・出典を確認し、必要な情報であるか、正しい情報であるかを確かめることができる。
⑥新聞
最近、家庭で新聞を取っていないところも多いようですが、国語の教科書の中で新聞の記事
の掲載のしかた(4年生)、記事の読み比べ(5年生)、投書欄の読み比べ(6年生)が取りあ
げられています。本物の新聞(子ども新聞)を見て学ぶ機会を学校図書館で経験させます。
新聞の記事をどこから読めばいいのか、詠むときのコツ(必要な情報を、必要な情報量で読
む)について説明する機会とします。合わせてテレビやインターネットなどメディアの取り扱
い、特徴などを学ぶ機会にしても良い。どの情報が早いか、正確か、信頼できるかなど比較す
る学習に取り組むこともできます。
図書館には様々な学習に使うことのできる資料があります。その資料をどのように使うのかを
知らないと使えません。子どもたちの発達段階、理解度に合わせて「本・資料の使い方」を知り、
使えるように繰り返し学ぶことが大切です。
国語科の教科書の中で資料の利用指導については学習内容として組みこまれています。子ども
たちが自分で本や資料を使って学習する「技」を身につけることは、自ら学ぶ力をつけること
につながります。
小学校6年間で身につけた「自ら学ぶ力」は中学、高校、大学…生涯の学習に通じる基礎とな
るのです。
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<著作権と情報カード>【担任・学校司書】
著作権
調べる学習は情報活用の実践力を育成する場であり、その前提として求められるのが著作権に
ついての理解である。他人の考えと区別して自分の考えを述べることができるようになる。
著作権は、人がものを創りだしたときに自動的に生まれるものである。子どもたち一人一人の
作品にも、それぞれ著作権があり、それを侵害してはならないことを伝えておきたい。
東京書籍 新しい国語 指導書「読書指導のてびき」より
「読書指導のてびき」には、児童に説明できるような説明用プリント例が掲載されています。
5年生の社会科で情報社会についての単元や6年生の国語科で著作権についての学習が教科書で
とりあげられていますが、調べ学習の機会は1年生からあります。学年の子どもたちの理解度に
あわせて著作権について考えたり、情報カードに資料の情報を記録する意味と合わせて学習でき
るようにします。
学年別 情報カード記載内容例
低学年 中学年 高学年
本の表紙(裏表紙)を見て~
・調べた内容(絵・文)
★全文を正しく抜き書きする
(できる)
・使った本の題名
・調べたページ
奥付の見方を知る~
・調べた内容(文)
★必要な情報を選んで抜き書
きする(できる)
★内容を要約して書く
・本(資料)の題名(著名)
・調べたページ
・著者名
・発行所、出版社
・発行年
インターネットの正しい使い方
を知る~
★信用できるサイトを選ぶ
★情報モラルを守る
・本(資料)の題名(著名)
・調べたページ
・著者名
・発行所、出版社
・発行年
・ホームページアドレス
・サイト名
・アクセスした日
情報カード(例) No( )
調べること(テーマ)
ページ
書名 著者名 発行所・出版社 発行年
15
<調べ学習の進め方>
調べ学習をする前に、先生方自身もしっかり計画立てて必要な資料の準備など学校図書館司書に
相談します。子どもたちに「調べ学習の基礎」が身についているかも確認した上ですすめていき
ます。 (東京書籍 新しい国語 指導書「読書指導のてびき」より)
★調べ学習の基礎
①調べる内容についての本を探せる力…書架配置・NDC分類
②探した本(参考図書)を使える力 …目次・索引、語の上位概念の理解
③書いている内容を理解する力 …・単語の連なりを文章として読める(理解する)
・複数の資料を比較しながら読める
④文章を書く力 …調べてわかったことを整理して書く、自分の考えたこ
とを自分の言葉で書く
★調べ学習の進め方
STEP1:テーマを決める…「なぜ?」「もっと知りたい」と思うことをテーマにする。
キーワードを出して関連付け(イメージマップ)しながら絞り
込んでいく
STEP2:計画をたてる …調べたいことを書きだし、どのようにまとめるか、グループで
調べるときは役割をどうするか、どのような形にまとめるか。
STEP3:情報を集める …情報カードに出典を記入・記録する。本や新聞、人から聞く、
インターネットを活用する。
STEP4:情報を選ぶ …必要な情報を選び、内容を正しく読み取り要約したり、引用す
る。
STEP5:整理しまとめる…まとめ方例として
①題名(テーマ)②調べようと思った理由③本文(調べる前の
予想・調べ方・わかったこと)④まとめ(調べてわかったこと・
自分の考え・感想)⑤参考資料一覧
<「本はともだち」~読書活動をすすめるコラム~>【担任】
教科書にある「本はともだち」には、各学年での発達段階と学習内容に応じて読書の幅を広げる
ことができるように工夫されたページがあります。
「図書の時間」を自由読書とするときに合わせて活用すると国語科の学習の一環となります。
⇒「とよなかスタンダード」1年~3年編の表 右端「本はともだち」欄参照
【引用・参考資料】
・東京書籍 新しい国語 指導書 「読書指導のてびき」
・東京書籍 新しい国語 教科書 1年~6年
・学校図書館活用データベース <授業記録><ブックリスト>