長時間保育実施に当たって
~ 預かり・延長保育の基本的な考え方~
平成26年度 デイリー・プランニング研修
平成26年6月6日(金)
秋田県教育庁 幼保推進課
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デイリー・プランニングとは…
Daily … 毎日の、日々の、日単位の
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Planning … 計画の立案
デイリー・プログラムとは違うの?
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デイリー・プランニング 本県独自のネーミング
「 全ての園児が登園して始まる教育・保育時間(つま
り、保育課程・教育課程)の前後に子供を預かるために、時間を延ばした 部分だけ を見るのではなく、」
子どもの登園後、始まりから終わりまでの1日を通して、1日の流れとして、子どもの過ごし方に配慮した教育・保育活動となるように計画・立案することが大切であるという考え
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「預かり保育」「延長保育」の位置付け
第1章 総則 第3
幼稚園は、地域の実態や保護者の要請によ
り教育課程に係る教育時間の終了後等に希
望するものを対象に行う教育活動
幼稚園教育要領
子育て支援 預かり保育
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学校教育法24条
幼児期の教育に関する各般の問題につき、保護
者及び地域住民その他の関係者からの相談に応じ、
必要な情報の提供及び助言を行うなど、家庭及び
地域における幼児期の教育の支援に努めるものと
する。
5
学校教育法25条
幼稚園の教育課程その他の保育内容に関する
事項は、第22条及び23条の規定に従い、文部科
学大臣が定める。
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第1章 第3節
教育課程に係る教育時間の終了後等に行う教育活動など
幼稚園は、地域の実態や保護者の要請により教育課程に係る教育時間の終了後等に希望する者を対象に行う教育活動について、学校教育法第22条及び第23条並びにこの章の第1に示す幼稚園教育の基本を踏まえ実施すること。また、幼稚園の目的の達成に資するため、幼児の生活全体が豊かなものとなるよう家庭や地域における幼児期の教育の支援に努めること。
ここでの教育活動が、幼稚園で行われる教育活動全体として貫かれ、一貫性があること
幼稚園教育要領
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幼稚園教育要領
第3章 第2
教育課程に係る教育時間の終了後等に行う教育活動などの留意事項
1 地域の実態や保護者の要請により、教育課程
に係る教育時間の終了後等に希望する者を対象
に行う教育活動については、幼児の心身の負担
に配慮すること。また、以下の点にも留意すること。
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第3章 第2
教育課程に係る教育時間の終了後等に行う教育活動などの留意事項
【留意事項①】
教育課程に基づく活動を考慮し、幼児期にふさわ
しい無理のないものとなるようにすること。その際、
教育課程に基づく活動を担当する教師と緊密な連
携を図るようにすること。
幼稚園教育要領
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幼稚園教育要領
第3章 第2
教育課程に係る教育時間の終了後等に行う教育活動などの留意事項
【留意事項②】
家庭や地域での幼児の生活も考慮し、教育課程
に係る教育時間の終了後等に行う教育活動の計画
を作成するようにすること。その際、地域の様々な資
源を活用しつつ、多様な体験ができるようにすること。
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幼稚園教育要領
第3章 第2
教育課程に係る教育時間の終了後等に行う教育活動などの留意事項
【留意事項③】
家庭との緊密な連携を図るようにすること。その
際、情報交換の機会を設けたりするなど、保護者
が、幼稚園と共に幼児を育てるという意識が高ま
るようにようにすること。
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幼稚園教育要領
第3章 第2
教育課程に係る教育時間の終了後等に行う教育活動などの留意事項
【留意事項④】
地域の実態や保護者の事情とともに幼児の生活
のリズムを踏まえつつ、例えば実施日数や時間な
どについて、弾力的な運用に配慮すること。
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幼稚園教育要領
第3章 第2
教育課程に係る教育時間の終了後等に行う教育活動などの留意事項
【留意事項⑤】
適切な指導体制を整備した上で、幼稚園の教師
の責任と指導の下に行うようにすること。
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保育所保育指針
第4章 保育の計画及び評価
1ー(3) 指導計画の作成上、特に配慮すべき事項
長時間にわたる保育については、子どもの発達過程、生活のリズム及び心身の状態に十分配慮して、保育の内容や方法、職員の協力体制、家庭との連携などを指導計画に位置付けること。
「長時間にわたる保育」として
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保育所保育指針
第6章 保護者に対する支援
2ー(3)保育所に入所している子どもの保護者に対する支援
保育所において、保護者の仕事と子育ての両立を支援するため、通常の保育に加えて、保育時間の延長、休日、夜間の保育、病児・病後児に対する保育など多様な保育を実施する場合には、保護者の状況に配慮するとともに、子どもの福祉が尊重されるよう努めること。
「延長保育」として
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長時間保育の「ねらい」
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こんな子に…
幼児の姿
預かり・延長で大事にしたいこと 育てたいこと
長時間保育を進める上で…
・園全体の教育目標が達成されるよう、教育課
程との関連を考慮して作成する必要がある。
(第3章 留意事項(2))
・長時間にわたる保育については、子どもの発達段階、
生活のリズム及び心身の状態に十分配慮して、保育
の内容や方法、職員の協力体制、家庭との連携など
を指導計画に位置づけること。
(保育指針第4章1(3)イ) 16
園の教育目標を確認しましょう。
保育内容の計画においては
① 家庭において経験できるような…
② 異年齢保育の場合、発達に留意して…
③ 気力・体力を考慮して…
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0 6AM 正午 6PM
在園時間…
留意事項①
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・幼児期にふさわしい無理のないもの… ・緊密な連携を図る…
• 基本的に安息を重視するが、日中の活動が継続できるようにする。
(子どものしたい遊びができるように配慮)
・全ての在園児が、「預かり保育の場にくれば安心・楽
しい」と感じられるように、保育室の環境をあまり変
化させない。
・ゆったりと過ごさせる機能と「路地裏」的な自由で冒
険的な遊びの場を作り出す機能とを備える。
・異年齢交流ができるようにする。
・部屋の広さに配慮
【教育・保育課程に基づく活動を担当する教師との連携】
・保育日誌を作成し、預かり保育の実施状況を園全体で把握す
る。
・主任・園長が、教育課程内の保育中に幼児たちの活動の様子
を参観し、実態に応じた預かり保育にしていく。
・担任から預かり保育担当者に、口頭またはノートに記入して知
らせる。
・預かり保育担当者が教育時間内の保育を参観し、園の教育
方針等を理解するとともに、幼児の実態、育てたい幼児像を共
通理解する。
・学期始めに「預かり保育連絡会議」を実施し、預かり保育のあり
方や今後の支援方法を話し合う。
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留意事項②
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・家庭や地域での幼児の生活も考慮 ・地域の様々な資源を活用、多様な体験
・自分の部屋のおもちゃ・絵本などを持ってくる。
・子どものこだわりの遊びやものの情報提供。
・家庭生活に必要な電気器具を配備。
・家庭的なおやつにする。(一緒に手作りなど)
・畳コーナー、カーペットコーナーを設ける。
・教育時間内の保育室にある教材とは違うぬいぐるみ
やパズル、ままごとセット、ブロックなどを置き、帰宅
後の気分になれるようにする。
・家庭での生活スケジュールはほぼ同じであるから、
一日の生活の流れを作成している。
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・図書館で本を借りたり、近くの公園であそんだり、公
共施設を利用している。
・地域ボランティアや高齢者に活動に参加してもらって
いる。
・生涯学習施設での催し物に参加する。
・○○狩りなど、レクリエーション的な行事を計画して
いる。
・保護者ボランティアを組織し、活動してもらう。
・預かり保育ならではの時間・少人数等を生かした活
動を取り入れる。
・一定期間の連続した活動への参加、月1回の繰り返
しの中での経験などをプログラムする。
• 卒園した中高生や幼稚園教諭、保育士志望の学生に手伝ってもらう。
• 四季の自然の中での体験や伝承遊びを取り入れる。
• 十分にスキンシップを図るように心がける。
• 製作活動などにじっくりと時間をかけ、一緒につくったりして個に応じた援助をする。
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留意事項③
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・家庭との緊密な連携を… ・保護者が、園と共に幼児を育てるとい う意識を…
・子どもの送迎時に、直接言葉を交わす。
・園だよりや預かりだよりで様子を伝え、理解と協力を
求める。
・保育を公開して親子で一緒に遊ぶ場を提供し、「共
有・共感」の心を育む。
・ホームページを作成し、ビジュアル面でも情報提供す
る。
・定期的にアンケートを実施し、共通理解を図る。
・長期休業中の昼食はお弁当にしてもらう。
・預かりの保育室に子育て支援のリーフレットを置く。
留意事項④
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・地域の実態や保護者の事情を踏まえ ・幼児の生活リズムを踏まえ
・通常の教育・保育時間開始の前 (1~2時間)
・通常の教育・保育時間終了の後 (~18:30、
19:00頃まで)
・長期休業中の実施
・土曜日の実施
・日曜日の実施
・農繁期
子どもはいつでも 親を待っていま す!
留意事項⑤
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・適切な指導体制を整備 ※幼稚園の教師の責任と指導の下に
・教諭・保育士がローテーションで担当
+ 保育指導員、サポーター
・預かり保育専任の教諭・保育士
(必要に応じて教育課程に基づく活動を担当する教
諭・保育士)
・園長も含む教諭・保育士でローテーション
補助者として
幼稚園教諭経験者
保育所保育士経験者
幼稚園教諭経験者
地域の育児経験者
【幼児の育ち】
• 少人数かつ家庭的雰囲気の中で、自己発揮ができるようになった。
• 担任と預かり保育担当者との連携により、幼児が落ち着いて活動できるようになった。
• 異年齢との交流により、人間関係が広がり、思いやりの気持ちが育まれたりした。
• 担任以外の保育者や地域の人々との交流を通していろいろな人とのかかわり方を学ぶことができた。
• 家庭で一人で過ごす幼児にとっては、多様な遊び・人と触れ合う機会の提供となった。
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預かり保育の成果と課題等 (文部科学省幼児教育課における調査研究事業等より)
【保護者】
・保護者がリフレッシュすることにより、心のゆとりが生
まれ、子どもの姿に目を向けるきっかけとなった。
・預かり保育を利用した保護者が、卒園後、ボランティ
アとして預かり保育に協力するようになった。
・ボランティアの協力を知り、地域で子育てをするとい
う意識が向上した。
・ボランティアから、「地域で出会ったときに子どもや親
たちがあいさつしてくれる。」と聞き、預かり保育を通
して幼児と地域の人々との交流が深まった。
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【幼児への対応】
・人数が多い場合、限られた担当者で一人一人の生
活リズムや家庭での生活の仕方を把握し、それに合
わせることが困難である。
・人数によって不安になったり、家庭的雰囲気作りに
困難をきたしたりする。
【保護者への対応】
・幼児の心身の負担等について十分に伝わらないこと
がある。
・園と共に幼児を育てるという意識が高まるようにする
ことが必要であるが、難しい。
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【活動の工夫】
・長時間保育のねらいを明確にし、活動を工夫する必
要がある。
・教育・保育課程に係る教育・保育時間との関連を図
る必要がある。
・異年齢児保育のため、年齢に応じた活動を計画する
ことが難しい。
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長時間保育の計画を作成の参考にしてください。
気をつけていただきたいことは…
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① 情報の共有 (その日の様子、健康のこと等…)
② 教職員間の連携 (ホウレンソウ)
③ 危機管理
(ヒヤリハットの事例を共有して…)
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「預かり」「延長」、利用者ってだれ?
希望する者 ニーズ
利用者は本来、ぼくたち!
利用者は本来、わたしたち!
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保育の質の向上
単に保護者本意のニーズとしてではなく…
発 達 生 活 適 応
長時間保育についてみんなで考えましょう
まずは長期的計画(年間指導計画等)と短期的計画(デイリープログラム等)を整えましょう
今後はさらに、乳幼児理解に焦点を当てながら、長時間保育の望ましい在り方について学び合いましょう
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