揚重シミュレーションシステム(BLS)の進化
(株)テクノスター ユーザー会2012
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ユニバーサル造船株式会社 基本設計部 構造設計室
三浦 康史
発表内容
BLSについて
開発の背景
応力解析
モデリング機能
今後の予定
まとめ
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BLSについて
揚重とは? 1. 製品を製作する過程で、クレーンで吊り上げた
製品の単位(ブロック)を徐々に結合しながら 完成させていく・・・このブロックを吊り上げる 作業を総称して揚重(ようじゅう)と呼んでいる。
2. 揚重は、搬出・反転・起立・総組・搭載などの 様々な作業ステージで行われる。
3. 揚重の計画は、安全確保のために綿密な 検討と精度が要求され、一つ間違えると 重大な事故につながる可能性がある。
4. 工場によってクレーンを始めとする 設備の違いがあり、揚重計画者は、 それらの情報に応じた検討をする必要がある。
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BLS : Block Lifting Simulation System
2010年度に開発し、テクノスター社ユーザ会2010で発表
ICCAS 2011でも発表
USC社内でも活用中。不安定現象の確認など一定の成果
今後、共同販売をする方針
旧バージョンの紹介(動画によるデモ)
デモ1
シミュレーション準備
デモ2
不安定吊り確認
デモ3
不安定吊り改善
BLSについて
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BLSについて
BLSの価値
3次元船殻モデル(USCの場合、AVEVA Marineでモデル構築) を有効活用出来る
今まで出来ていなかった動的シミュレーションが出来る
現象・プロセスが目に見える形となるため、若手エンジニア
の経験不足を補うとともに技術伝承にも繋がる
フロントローディング: 3次元設計システムを上流で使用すれば、揚重に関する リスクを上流で排除できる
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開発の背景
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BLSユーザのコメント ・強度の解析を行えないか? (強度の確認まで行って初めて、 安全に吊れると言える) ・吊りピースを可視化できないか?
発表者の思惑(設計の立場) ・3D CADをもっと活用してもらおう ・将来的に揚重計画者が強度checkもやってくれると楽ができる…
BLSの進化 (新機能の追加開発)
開発の背景
応力解析に関する機能追加
解析姿勢の選択機能
FEMモデルの作成機能
TSV-Preのメッシング機能を使用、AVEVA Marine I/F 開発のノウハウ
ソルバー対応
TSV-Dynamisを内蔵。ワンプッシュ操作で計算実行(NASTRANでも対応可能)
ポストプロセッシング対応
TNPを内蔵
モデリングに関する機能追加
吊りピース
補強
イコライザー
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新機能一覧
応力解析 フローチャート
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動的シミュレーション
解析姿勢選択 (サブケース作成)
解析モデル作成 (メッシング)
ソルバー計算 (TSV-Dynamis)
ポスト処理
補強 揚重作業 実行可 評価
応力解析
OK NO
応力解析 (例題)モデル詳細
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AVEVA Marine モデル
応力解析 (例題)従来の揚重計画
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応力解析 (例題)従来の揚重計画
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応力解析 (例題) BLSによる揚重計画
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動的シミュレーションモデル
応力解析モデル
解析モデル作成 (メッシング)
応力解析 (例題) BLSによる揚重計画
1. 応力解析用のFEMモデル(形状・荷重条件)は、 動的シミュレーション用BLSモデルから自動作成
2. 解析姿勢に関しては、シビアレストな状態の選択がポイント
動画から姿勢を選択
時系列結果から、張力等が最大となる姿勢を選択
等間隔のタイムステップを設定し、姿勢を選択
3. メッシュ品質に関しては、CADの出来具合にもよる
品質向上は今後も継続
品質把握のため、応力解析結果の検証作業を実施
強度解析用モデルを加工し、FEMモデル作成 ⇒ その応力解析結果をBLS応力解析結果と比較 13
応力解析のポイント
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応力解析 (例題) BLSによる揚重計画
BLS応力解析の結果
ミーゼス応力 [MPa (N/mm2)] ロッド軸応力[MPa (N/mm2)]
揚重用モデル(BLS) 強度解析用モデル(別途作成)
比較
応力解析 (例題) BLSによる揚重計画
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応力解析結果の検証① 検証フロー
加工(切り出し)
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応力解析 (例題) BLSによる揚重計画
応力解析結果の検証② 揚重用モデル VS 強度解析用モデル(ミーゼス応力)
揚重用モデル 強度解析モデル
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応力解析 (例題) BLSによる揚重計画
応力解析結果の検証③ 揚重用モデル VS 強度解析用モデル(ロッド軸応力)
揚重用モデル 強度解析モデル
応力解析 (例題) BLSによる揚重計画
揚重用モデルと強度解析用モデルの比較において、 応力値が同じではない
3次元船殻モデルからFEMモデルを作成した場合、 メッシュのクオリティが低いことが原因
現状では、設計者がメッシュ形状もチェックしながら、 評価する必要あり(現場部門で使う機能に至っていない)
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応力解析結果の検証④ 考察
モデリング機能 吊りピース
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吊りピースライブラリ
各種吊りピースの追加(剛体要素モデル)
モデリング機能 補強(ピラー追加)
補強ライブラリ H形鋼の追加
(ビーム要素モデル) 20
フック点・吊り点 設定 : 仮位置
動的シミュレーション :釣合い位置
イコライザー定義
モデリング機能 イコライザー定義
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今後の予定
BLS応力解析機能の検証継続
BLSの使い勝手向上
新規機能追加(エンジニア育成向け)
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今後の予定
新規機能追加例(時系列グラフ作成→解析姿勢選択)
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まとめ
2年前に開発完了したBLSだが、ユーザ要望から 応力解析機能など新機能を追加開発した。
応力解析機能に関しては、揚重計画者自身が結果を評価するのは 現状難しく、設計者による確認が不可欠。
揚重計画者自身が、可か不可かの判別が出来るツールを目指す。 一方、業務の中で使われながら育っていくツールとなることを期待。
今後もBLSは進化していく。
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