「ポリマーセメントモルタル吹付けによる巻き立て耐震補強工法(SRS工法)」 (NETIS:QS-070007-A)
株式会社さとうべネック
Seismic Retrofit of Existing RC pier used mortar for Shotcreat
RC巻立て工法 鋼板巻立て工法 連続繊維巻立て工法
コンクリート
補強鉄筋
アンカー定着
根巻きコンクリート
補強鋼板
根巻きコンクリート
軸方向・周方向シート
コスト18,000円/m
2
○65,000円/m
2
△80,000円/m
2
×
工期やや長い
△最も長い
×やや短い
○
断面増加大きい
×やや少ない
△少ない
○
コスト18,000円/m
2
○65,000円/m
2
△80,000円/m
2
×
工期やや長い
△最も長い
×やや短い
○
断面増加大きい
×やや少ない
△少ない
○
巻立て厚の増加に伴い
① 河積阻害率・建築限界を侵害
② 自重の増加による基礎の負担増加
コンクリートに代わり
ポリマーセメントモルタル(PCM)を用いる
ことで巻立て厚を低減させる工法
従来の既設RC橋脚の耐震補強工法
1
・コンクリートを充填するための鉄筋のあき、かぶりから最小で250mm程度の増厚が必要である。
特 徴
250mm
工法比較
2
主鉄筋D22,帯鉄筋D16
・付着特性に優れる特殊PCMを用いるため、補強筋をコンクリート表面に接触配置できる。
・中性化速度がコンクリートの1/5以下のモルタルを使用するためかぶり厚を低減できる。
・総巻立て厚を約1/5程度に低減することが可能となる。
特 徴
250mm
工法比較
3
54mm
主鉄筋D22,帯鉄筋D16
・付着特性に優れる特殊PCMを用いるため、補強筋をコンクリート表面に接触配置できる。
・軽量・高強度で耐食性に優れるFRPグリッドはクロスラミネート構造で同一平面上に補強筋を配置できる。
・総巻立て厚を約1/10以下に低減することが可能となる。
特 徴
250mm
工法比較
4
19mm
主筋,帯筋:CR13ctc100
特 徴
●高強度・軽量
(強度:鉄筋の約5倍、比重:鉄筋の約1/5)
●耐食性に優れる
●格子交差部が、クロスラミネート構造で施工厚が薄い
●様々な形状の成型が可能。
●鉄筋コンクリートの設計手法に準拠
CFRPグリッド(略称:グリッド)
●高強度の炭素繊維を樹脂に含浸させ、格子状に成形したもの
●補強量に応じて筋の太さ、間隔を選定可能
CFRPグリッドとは
一度に施工できる範囲が狭く、工期が長期化
施工速度が遅いため、非経済的
左官工の技量に左右されやすく、品質の均一化が困難
左官工法
問 題 点
吹付け工法(SRS工法)を提案
吹付け工法
短時間で広範囲の安定した施工
施工速度が速く、経済性に優れる
熟練左官工でなくても均一な施工が可能
従来は、コテ塗りによる左官工法
PCM巻立て工法の施工方法
6
実証実験H18~(九州大学大学院 )
-80
-60
-40
-20
0
20
40
60
80
-200 -150 -100 -50 0 50 100 150 200水平変位 δ (mm)
水平力
P (
kN)
実験値
設計値
7
実証実験H18(九州大学大学院 )
変位 (mm)
実験値 設計値 実験値 実験値
*設計値は材料試験値を用いて計算
供試体 仕様
降伏 最大荷重(kN) 塑性率
エネルギー吸収能
(kN・m)
荷重 (kN)
No.1無補強
25.3 23.6 21.5 27.3 5.9 4.9
No.2基部定着+高強度PCM
52.2 52.9 19.7 64.3 5.8 12.1
No.3基部非定着+高強度PCM
36.0 30.2 19.0 37.6 6.4 7.1
No.4基部定着+低弾性PCM
37.4 51.5 14.5 65.9 9.2 14.4
No.5基部非定着+低弾性PCM
38.7 29.1 21.4 38.7 5.5 8.7
No.6基部定着+CFシート
53.2 52.9 23.4 66.1 4.3 11.0
No.7基部非定着+CFグリッド
35.0 30.2 20.7 35.0 4.7 6.28
実証実験H19(九州大学大学院 )
9
10
施 工 事 例 の ご 紹 介
11
施工:事前調査
事前調査では既設コンクリート構造物の設計図書を調査し,必要に応じ非破壊検査等も行い,コンクリート強度,配置されている鉄筋等を把握する。
また,既設コンクリート構造物のひび割れ状況,遊離石灰と錆汁の有無,鉄筋の腐食状況等,損傷の程度を把握し,必要に応じ,ひび割れ注入や断面修復,部分打ち替え等の対策を実施する。
・躯体のひびわれ、うき、ジャンカ等
・構造寸法(橋脚高、幅、厚さ) ・軸方向既設鉄筋の段落し位置
・潮待作業の場合の潮汐時間
段落し位置
12
施工:下地処理工
下地処理はブラスト工法(吸塵型や超高圧洗浄型等)によるケレン工を実施し,油脂等の汚れや脆弱層,セメントペーストの除去を行い,健全面を露出させる。
13
施工:下地処理工
建築限界・河積阻害率が問題となる橋脚の場合には巻立てによる橋脚幅の増加を抑えるために,既設コンクリートのかぶり部分を取り除くことも可能である。
国土交通省九州地方整備局 佐伯河川国道事務所発注 番匠大橋耐震補強工事
下地処理 立会
14
施工:コンクリート削孔工
地震時保有水平耐力の向上を目的として,既設RC橋脚基部にアンカー孔を削孔し,軸方向鉄筋をエポキシ樹脂充填により定着する。
アンカーの径はφ(軸方向鉄筋径)+10mmとし,定着長は20φとする。既設の鉄筋を傷つ
けないように,設計図書や鉄筋探査機等で十分に調査した後,アンカー削孔をおこなうこととする。
削孔長検測
15
施工:コンクリート削孔工
軸方向鉄筋の定着を行う場合は,アンカー削孔後の孔内を十分に清掃し,乾いた状態であることを確認した後,エポキシ樹脂を充填する。
エポキシ樹脂硬化確認
16
施工:補強材取付け工
補強材の取り付けは,既設コンクリートと補強材の間にできる限り隙間が生じないよう取付け金具と固定アンカーで堅固に取付ける。
17
施工:フレア溶接工
対象構造物が,十分な靱性補強効果(横拘束効果)を得られるように,補強部の横拘束鉄筋は継手長10φ(φ:鉄筋径)でフレアー溶接を行うこととする。なお,フレアー溶接継手の施工は「鉄筋溶接継手指針」に従うこととする。
継手長確認
18
施工:素地調整工
現在,SRS工法に使用されているPCMには,各種PCMごとに所定の素地調整工として,異なったポリマー樹脂のプライマー塗布が行われている。PCMごとに適切な素地調整を
行うことにより所定の付着強度を得ることができ,ドライアウトの防止にもなる。従って,使用するPCMに適した材料で素地調整工を選定し実施することとした。
プライマー配合確認
19
施工:ポリマーセメントモルタル(PCM)の練混ぜ
(1)PCMの配合は,材料毎に決定された所定の配合を用いるものとする。
(2)巻立てに使用するPCMの練り混ぜを行う場合,使用するモルタルごとに決められた
材料投入順序,ミキサ能力,練り混ぜ時間等所定の練り混ぜ方法を行い,十分な練り
混ぜを行う必要がある。
PCM配合確認
20
施工:練混ぜ時の品質管理
PCMは,所定配合を適切な練り混ぜ方法により行うことにより,所用の流動性,ポンプ圧
送性,厚付け性,良好な強度発現が得られる。このことから練り混ぜを開始する時点および配合変更時にPCM配合及び流動性状,PCM温度,外気温等を確認し硬化前品質を
管理することとした。なお,流動性状はポンパビリティーに大きく影響を及ぼすことから,フロー試験や,その他の方法により事前に確認しなければならない。
フロー試験 温度管理
21
施工:吹付け増厚工
(1)PCMは補強材表面まで吹付け,コテ押えによる充填工及び表面の平滑化を図る。
(2)1回の吹付け厚さが最大吹付け厚さを超えるような場合には,2層以上に積層して施工する。
(3)夏期および冬季の施工は,コンクリート標準示方書「施工編」に準拠し,施工を実施する。
鉄筋背面への充填 1層目吹付け
22
施工:吹付け増厚工
冬季や風の吹き込む施工箇所および直射日光の当たる施工箇所はモルタル表面が乾燥し,プラスティックひび割れや乾燥収縮ひび割れが生じやすい。そのためこれらの施工箇所ではひび割れが発生しないよう十分注意し,必要に応じ,被膜養生等による適切な養生を実施する必要がある。
コテ仕上げ 2層目吹付け
23
施工:強度管理
PCMの強度は,施工面積10.0m3に1回の頻度で,圧縮・付着強度試験を実施する。
試 験 名 称 基 準 値 規 格
圧 縮 試 験 30.0 N/mm2 以上 JIS A 1108 JIS A 1171
付 着 試 験 1.5 N/mm2 以上 建研式
付着試験 圧縮試験
24
出来形管理は面積と厚さを計測し出来形検査とする。厚さは,既設コンクリート構造物に設置した検測ピン等のガイドを目安として施工を行い,100m2毎に設置した検測孔の深さを計測することによって行う。
管 理 内 容 規 格 値 測 定 方 法
施 工 厚 設 計 厚 以 上
検測ピン等を約15㎡に1ヶ所設置
検測孔を100㎡に1ヶ所設置
施工:出来型管理
25
ポリマーセメントモルタルの吹付け工法の監理には、適切な施工法、施工
管理に関する専門知識が必要です。吹付け協会では、専門知識を習得し
た監理技術者を試験により認定し、これらの監理技術者による施工監理
を行うことにより、適切な補修・補強対策を行うことに努めています。
吹付け監理技術者認定制度
吹付け工法は、ノズルマンの経験や技能が鉄筋背面への充填等の品質
に大きく影響します。吹付け協会では、ノズルマン技能検定試験を行い、
試験に合格したノズルマンを認定し、その技能者で施工を行うことにより、
品質の確保に努めています。
吹付けノズルマン技能試験
26
SRS工法の特徴
補強筋を 接触配置可能
特殊ポリマーセメント モルタル吹付け
補強筋を既設橋脚面に接触配置し、所定のかぶりを確保するまで特殊ポリマーセメントモルタルを吹き付けることで既設橋脚と一体化し耐震性能を向上させる工法であり、巻立て厚をRC巻立て工法の約1/5程度に抑えることが可能
既設橋脚のかぶりコンクリートをハツリ取り、河積阻害率の増大をさらに低減させることも可能
RC巻立て工法は、断面増加に伴う自重の増加のため、橋脚基礎の補強を行わなければならない場合があるが、橋脚基礎への負担も低減する事が可能
ポリマーセメントモルタル(サーブ15D)