線形解析だとココが困る!非線形解析が必要な理由とは ~特徴、適用範囲、解析事例など~
© 2015 CYBERNET SYSTEMS CO.,LTD. All Rights Reserved. 2
アジェンダ • はじめに
• 線形構造と非線形構造の違い
• 線形構造と非線形構造の特徴
• 非線形性の分類
‐ 大変形
‐ 非線形材料
‐ 接触
• ANSYS対応プロダクト
• まとめ
© 2015 CYBERNET SYSTEMS CO.,LTD. All Rights Reserved. 3
はじめに
• 現在、線形構造解析に取り組まれている方、および非線形構造解析を今後検討されている方を対象としております。
• 線形構造解析と非線形構造解析の特徴と適用範囲について解説します。
• ANSYSにおける非線形構造解析の事例をご紹介します。
© 2015 CYBERNET SYSTEMS CO.,LTD. All Rights Reserved. 4
線形構造、非線形構造の違い 線形構造
• 荷重Fと変位量Uの関係が比例
• 構造物の剛性Kが一定
– {F} = [K]・{U}
⇒ 荷重が2倍になれば、変位量も 2倍になる関係
非線形構造
• 荷重Fと変位量Uの関係が比例しない
• 構造物の剛性Kが一定ではない
– {F} = [Kt(U)]・{U}
⇒ 荷重が2倍になっても、変位量が 必ずしも2倍にならない関係
変形が小さいときは線形
非線形
構造物の剛性を変化させる要因がある
© 2015 CYBERNET SYSTEMS CO.,LTD. All Rights Reserved. 5
線形構造、非線形構造の特徴
線形構造解析 非線形構造解析
メリット ・計算コストが小さい ・安定して計算が解ける
・結果の精度が良い
デメリット
・線形領域を超えると結果精度が悪くなる
・解けない現象がある
・計算コストが大きい ・計算が不安定になる場合があり、計算結果が得られる保証はない ⇒収束計算を必要とする
例えば・・・ 離れている物体の接触 塑性加工
構造物の剛性が大きく変化する現象
© 2015 CYBERNET SYSTEMS CO.,LTD. All Rights Reserved. 6
非線形性の分類 剛性Kの変化を伴う代表的な3つの非線形性
• 大変形
⇒大きな変形(ひずみ)を伴う現象
• 非線形材料
⇒金属材料による弾塑性、ゴム材料による超弾性など
• 接触
⇒アセンブリ製品の接触状態、衝突による接触
ラバーブーツの変形 パイプ曲げ加工 落下・衝突
© 2015 CYBERNET SYSTEMS CO.,LTD. All Rights Reserved. 7
大変形とは • 変形が大きくなるに従い、構造物が持つ幾何剛性が変化する この現象を表現するには大変形解析が必要となる
実変形が目視で確認できるほど大きい
目視で確認できるくらい大きな歪みが生じる現象をモデル化したい
ゴム材料や塑性材料を考慮したい
離れている物体間の接触を解きたい
設定メニュー
非線形材料や接触と組み合わせて使用するケースが多い
ストレススティフニング(張力効果)を考慮したい
© 2015 CYBERNET SYSTEMS CO.,LTD. All Rights Reserved. 8
大変形とは • 大変形がOFFの場合
– 大きな変形や回転は扱えない
– 接触の滑りは微小なものに限られる
– 離れていたものが接触する計算は行えない
– 滑りが微小であったり、(接触していたものが)離れる場合でも、 大きな変形や回転を伴うものは扱えない
大変形がOFFでも上記の計算が出来てしまう場合があるが、解析結果は適切でない
© 2015 CYBERNET SYSTEMS CO.,LTD. All Rights Reserved. 9
大変形 事例1
9
力荷重[N]
固定面 荷重[N] 大変形ON 大変形OFF
200
40 評価点 Y方向変位
非線形解析 線形解析 力荷重40[N]から変位結果の差が顕著になる
力‐変位 結果
実機(予想)
© 2015 CYBERNET SYSTEMS CO.,LTD. All Rights Reserved. 10
大変形 事例2
10
強制回転[°]
固定面
回転[°] 大変形ON 大変形OFF
90
6
線形解析では、回転量が増加するに伴い異常な変形を示す 非線形解析 線形解析
© 2015 CYBERNET SYSTEMS CO.,LTD. All Rights Reserved. 11
非線形材料とは • 線形材料は、応力(σ)とひずみ(ε)が比例関係にあり、その傾きはヤング率(E)である
• 非線形材料は、応力とひずみの関係が一定の比例関係にならない
E
σ
ε 線形材料
σ
ε 非線形材料
ひずみ量(ε)が大きくなると 応力とひずみの傾きが変化する
ゴムやプラスチックの材料を扱いたい
傾きがヤング率
塑性加工をモデル化したい
塑性材料
超弾性材料
粘弾性材料
クリープ材料
・・・
非線形材料の例
© 2015 CYBERNET SYSTEMS CO.,LTD. All Rights Reserved. 12
非線形材料-塑性 • 降伏点を超えた後の応力とひずみの非線形の関係を表現できる
• 金属加工(圧延、絞り加工、金属によるプレス成型)で用いられることが多い
ロールによる金属板の圧延加工解析 塑性材料を定義した金属板に対してロールを 押しつけた圧延加工の解析事例。 降伏点を超えると発生する塑性ひずみを計算できる
ロール
金属板
応力-ひずみ曲線 初期状態 解析後の塑性ひずみ分布
降伏点
プレス成型
© 2014 CYBERNET SYSTEMS CO.,LTD. All Rights Reserved. 12
・
© 2015 CYBERNET SYSTEMS CO.,LTD. All Rights Reserved. 13
非線形材料-塑性
© 2009 CYBERNET SYSTEMS CO.,LTD. All Rights Reserved.
13
• 応力とひずみの曲線を二直線近似または多直線近似で表す
– 二直線等方硬化則 / 多直線等方硬化則
– 二直線移動硬化則 / 多直線移動硬化則
二直線応力-ひずみ曲線 © 2014 CYBERNET SYSTEMS CO.,LTD. All Rights Reserved. 13
多直線応力-ひずみ曲線
エンジニアリング データメニュー
・ ・
© 2015 CYBERNET SYSTEMS CO.,LTD. All Rights Reserved. 14
非線形材料-塑性 事例1 • V字プレス加工 相当塑性ひずみ結果
塑性材料 線形材料
非線形解析 線形解析
線形材料では塑性ひずみを計算出来ない
© 2015 CYBERNET SYSTEMS CO.,LTD. All Rights Reserved. 15
非線形材料-超弾性 • ゴム状材料(エラストマー)のように非常に大きな弾性変形を表現することができる
• 超弾性材料の代表としてゴム材が挙げられる
ゴム管 金属管
クランプ(ヒンジジョイント付き)
ゴム管の応力分布 初期状態
タイヤ 免震ゴム ガスケット
ゴム管のクランプ解析 超弾性材料を定義したゴム管に対して、 金属管を差し込んだ後で、さらにクランプ で締め付けた解析事例
© 2015 CYBERNET SYSTEMS CO.,LTD. All Rights Reserved. 16
非線形材料-超弾性 • 弾性ひずみでありながら、応力-ひずみ曲線は強い非線形性を示す
• 超弾性材料を定義する場合は、大変形を必ず考慮する必要がある
• 超弾性材料モデルは以下が利用できる
– Mooner-Rivlin
– Neo-Hookean
– Ogden
– Auuda-Boyce
– Gent
– Blatz-Ko
– 多項式
– Yeoh
– 応答関数
– 拡張チューブ
– マリンス効果 エンジニアリング データメニュー
© 2009 CYBERNET SYSTEMS CO.,LTD. All Rights Reserved.
16 ゴムの応力-ひずみ曲線
大きなひずみ領域を 計算したい場合は、 ゴムのS-S特性が必要
σ
ε
© 2015 CYBERNET SYSTEMS CO.,LTD. All Rights Reserved. 17
非線形材料-超弾性 超弾性カーブフィッティング
• 以下の試験データにより超弾性モデル定数を自動的に算出できる
– 単軸引張/圧縮試験(公称応力-公称ひずみ)
– 等方2軸引張/圧縮試験(公称応力-公称ひずみ)
– せん断引張/圧縮試験(公称応力-公称ひずみ)
– 体験試験(体積比-静水圧)
• 全ての試験データを入手し、フィッティングを行えば理想的だが、試験データがないものは入力せずにフィッティングを行える。
エンジニアリングデータメニュー
© 2015 CYBERNET SYSTEMS CO.,LTD. All Rights Reserved. 18
接触とは 接触面間の状態によって、線形接触と非線形接触に分類される
線形接触
• 接触面が変化しない
– 面間が完全に結合されている
– 接触していた面が微小に滑る
⇒ 接触面間の剛性が変化しないので線形解析として取り扱える
非線形接触
• 接触面が変化する
– 接触していなかった面同士が接触する
– 接触していた面が離れる
– 接触していた面が滑る
⇒ 接触面間の剛性が変化するので非線形解析を行なう必要がある
© 2015 CYBERNET SYSTEMS CO.,LTD. All Rights Reserved. 19
接触タイプ
接触タイプ
滑り※1
分離※2 摩擦
ボンド × × -
分離しない
○ × -
ラフ × ○ ∞
摩擦なし ○ ○ ゼロ
摩擦あり ○ ○ 任意
※1 大変形OFF:滑りは微小なものに限られる 大変形ON:大きな滑りも扱える ※2 大変形OFF:離れていた物体が接触する解析は扱えない 大変形ON:離れていた物体が接触する解析も扱える
• ANSYS Workbench Mechanicalでは以下の特徴を持つ5種類の接触タイプが用意されている
線形接触
非線形接触
© 2015 CYBERNET SYSTEMS CO.,LTD. All Rights Reserved. 20
接触タイプの違い
※ スケール倍表示
接触 条件
ボンド 分離しない
摩擦なし ラフ
© 2015 CYBERNET SYSTEMS CO.,LTD. All Rights Reserved. 21
接触 事例1
固定接片
可動接片
ノブ
線形解析では、ノブと可動接片の接触がすり抜けてしまう
• スライドスイッチ
部品間接触は”摩擦なし”を定義
大変形ON 大変形OFF
非線形解析 線形解析
© 2015 CYBERNET SYSTEMS CO.,LTD. All Rights Reserved. 22
接触 事例2
マット
人体(腰部)
体重
【参考】河内まき子,持丸正明,岩澤洋,三谷誠二(2000):日本人人体寸法データベース1997-98,通商産業省工業技術院くらしとJISセンター.
人体がマットに沈み込むに従い、圧力分布が変化する ⇒接触領域の変化
• マットの圧力分布解析
人体‐マット接触は”摩擦なし”を定義
マットの圧力分布
© 2015 CYBERNET SYSTEMS CO.,LTD. All Rights Reserved. 23
ANSYS対応プロダクト • ANSYSの構造解析プロダクト
プロダクト 線形構造解析 大変形 材料非線形 接触
Mechanical 〇 〇 〇 〇
Structural 〇 〇 〇 〇
Professional NLS 〇 〇 ▲*2 〇
Professional NLT 〇 ▲*1 ▲*3
DesignSpace 〇 ▲*4
*1 シェルのみ対応(ソリッドが混在する場合は非対応)
*2 2直線近似塑性モデル、一部の超弾性モデル、その他一部の材料モデルのみ対応
*3 ボンド、分離なし、ラフ、摩擦なしのみ対応。ソリッドが混在する場合は、大きな滑り、離れていた物体間の接触は非対応
*4 ボンド、分離なし、ラフ、摩擦なしのみ対応。大きな滑り、離れていた物体間の接触は非対応
○ 対応 ▲ 一部対応
© 2015 CYBERNET SYSTEMS CO.,LTD. All Rights Reserved. 24
まとめ • 線形構造解析では解けない事象や、より詳細なモデル化は 非線形解析が必要となります。
• ANSYSは、非線形性に代表される大変形、非線形材料、接触の機能が搭載されており、より実現象に近い解析モデルを作成することが出来ます
• 線形構造解析、非線形構造解析は評価目的に応じて使い分けることが重要となります
© 2015 CYBERNET SYSTEMS CO.,LTD. All Rights Reserved. 25
お問合せ
サイバネットシステム株式会社 メカニカルCAE事業部
東 京 : (03) 5297-3081
大 阪 : (06) 6940-3630
名古屋 : (052) 219-5190
e-mail : [email protected]
web : http://www.cybernet.co.jp/ansys/