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J N A / 日 本 看 護 協 会

日本看護協会機関誌

Journal of the JapaneseNursing Association

020■会長の手帳 坂本 すが

021■副会長活動ダイジェスト 菊池 令子、大久保 清子、真田 弘美

022■専務理事からのワークリポート 井伊 久美子

024■常任理事のマンスリー通信 洪 愛子、齋藤 訓子、福井 トシ子、中板 育美、川本 利恵子、勝又 浜子

026■TOPICS2015年度(第16回) 国際看護師協会(ICN)アジア・ワークフォース・フォーラムへの参加報告 小村 由香

028■TOPICS新たな会員情報管理体制について 伊藤 雄介

064■都道府県看護協会事業だより鹿児島県 原田 ケイ子

065 ■看護研修学校の窓から第46回(平成27年度)日本看護学会学術集会 開催報告 眞弓 浩子、橋目 智子、佐々木 理恵、久々宇 悦子、山口 ひろみ、渋谷 美香

071■ICNの動き 鈴木 恵巨

058■平成27年度 日本看護協会教育計画 他060■今からでも間に合う! 平成27年度 日本看護協会教育計画061■2016年度労働と看護の質向上のためのデータベース(DiNQL)事業 参加病院募集062■第47回(2016年度)日本看護学会学術集会演題登録のお知らせ 他063■2015年認定看護師・認定看護管理者 認定更新審査・再認定審査 結果

J N A i n f o r m a t i o m

066■第46回日本看護学会―看護管理―学術集会が福岡県で開催068■第46回日本看護学会―急性期看護―学術集会が愛媛県で開催070■第5回「看護職賠償責任保険制度研修会」開催

067■第46回日本看護学会―精神看護―学術集会が大阪府で開催069■第46回日本看護学会―在宅看護―学術集会が愛知県で開催

J N A N E W S

032 ■ [解説]診療報酬改定による病床機能の変化―地域包括ケア病棟を中心に 髙島 尚子

038 ■ [報告1 急性期病棟からの転換] 地域包括ケア病棟転換に当たっての病院全体の体制構築と職員教育 上田 孝子、和氣 浩子

043 ■ [報告2 亜急性期病棟からの転換] 疾病構造の変化と重症度の上昇を受け個別性を重視した退院支援・退院調整に 両角 直子

047 ■ [報告3 回復期リハビリテーション病棟からの転換] 地域包括ケア病棟への転換で安全な医療を提供し在宅復帰を支援 野月 千春、川合 美穂子

051 ■ [報告4 医療療養病床からの転換] 地域包括ケア病棟運営で大切なのはベッドコントロールと看護力の強化 白川 悦子

056 ■ [インタビュー]地域包括ケア病棟を持つ病院は地域包括ケアシステム構築への参画を 仲井 培雄

特集 1地域包括ケア病棟の現状と課題

JANUARY 2016Volume 68 / Number 1

1

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本誌『看護』2014年 1 月号から、日本看護協会ホームページ内の「会員ダイレクト」で協会の重点政策・事業を取り上げる「特集1」や連載「TOPICS」など一部のページが見られるようになりました。閲覧するためには、日本看護協会ホームページのトップページにある会員ログインボタンをクリックし、「会員ダイレクト」に登録してください。

078 ●[概論]

近年の若者の特徴と早期離職を防ぐ支援のあり方 砂見 緩子

082 ●[報告1 新卒新人を育てる]

“現代っ子”のよい面に着目し「できていることを認めて褒める」 藤田 幸恵

085 ●[報告2 ブランクのある新人を育てる]

オーダーメードの教育プログラムと“承認”“傾聴”の姿勢で支援する 小林 ゆかり

088 ●[報告3 他職種の経験を持つ新人を育てる]

経験・意欲・メンタルの強さを生かすサポートを 木村 恭子

100●看護職が健康的に働き続けるための「ワークショップ」③(最終回) 医療現場におけるワークショップの効果 〜看護師を対象に開催して〜 森茂 亮一、相馬 真貴子

短期連載

S P E C I A L I N T E R V I E W

074● 香りとタッチングで心身の緊張を緩ませるアロマセラピーを看護ケアに取り入れる! 所澤 いづみ

特集 2 多様化する“新人看護師”へのかかわり方

連載

003●GRAPH 〜国民の健康をまもる保健師Presents〜 コラボが生みだす健康づくり 未来へのチカラ2015 対話スキルでケアの質を上げる 2年目看護師を対象とした「コミュニケーションセミナー」 国立精神・神経医療研究センター病院(東京都小平市)

072 ●WHONEWS 聖路加国際大学 WHO 看護開発協力センター

092●みっちゃんの気になる“ことのは”(10) 2050年の世界 中島 美津子

094●医療行政なるほど塾 次期診療報酬改定に向け中医協が入院医療を議論 7対1病棟と地域包括ケア病棟の動向は 「社会保険旬報」編集部

096●医療安全TOPICS(64) 「医療事故・訴訟等関連情報」月報(7〜9月)から 平林 明美

098●このひと月 大日方 公男

コラム

103 ●Information

104 ●日本訪問看護財団からの お知らせ

109●「看護」FAXご注文票

110 ●読者FAXシート

111 ●今月のおすすめBOOKS+

112●次号予告/編集後記

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特集

地域包括ケア病棟の現状と課題

 2014年度診療報酬改定では、2025年の医

療・介護提供体制を見すえて入院基本料が見直

され「急性期治療を終えた患者の受け入れ」「在

宅復帰支援」「在宅療養患者の緊急時の受け入

れ」等の機能を持つ“地域包括ケア病棟”が創設

されました。特集1では、入院医療等における

実態調査の結果から、病床機能転換の動向や、

地域包括ケア病棟届出医療機関の特徴、入院患

者像などについて解説。さらに、地域包括ケア

病棟を開設した病院の事例報告から、その現状

と課題を示し、これからの看護・看護管理のあ

り方について考えます。

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地域包括ケア病棟の現状と課題特集 1

038 看護 2016. 1

地域包括ケア病棟転換に当たっての病院全体の体制構築と職員教育

報告 1 急性期病棟からの転換

総合病院三原赤十字病院看護部長/認定看護管理者

総合病院三原赤十字病院看護部長/認定看護管理者

上田 孝子 和氣 浩子

 三原赤十字病院では、入院基本料7対1の算定

要件を満たすことが難しくなり、必要とされる医

療機能を検討した結果、1つの急性期病棟を地域

包括ケア病棟(46床)に転換しました。本稿では、

病棟機能の変化に合わせた異動や職員教育などの

取り組みについてご報告いただきます。

 三原赤十字病院(以下:当院)は、広島県東部

の尾三二次保健医療圏に位置している中小規模の

公的医療機関です(図1)。三原市の人口は市町

村合併時の2005年は10万人を超えていましたが、

現在は約9.8万人。高齢化率は32.9%と全国平均

より高く入院患者の高齢化が進んでいます。尾三

二次保健医療圏はベッド過剰地域であり、2025

年に向けて地域医療構想の検討が行われています。

転換に当たっての病院・看護部の対策

 当院は2008年から入院基本料7対1を取得し一

般急性期病院としての役割を担ってきました。し

かし、2013年10月に産婦人科医師の撤退のため

分娩中止となり病院機能が変わりました。

 2014年度診療報酬改定では平均在院日数の計

算方法の変更がありました。「特定除外制度の見

直し」「短期滞在手術基本料3の拡大」により、入

院基本料7対1の算定要件とされている「平均在

総合病院三原赤十字病院概要(2015年3月現在)病床数 226床(うち地域包括ケア病床46床)診療科 19科看護職員数 198人入院基本料 10対1(一般)・10対1(地域包括)平均在院日数 14日(一般)・34日(地域包括)※病床稼働率 85.0%(一般)・83.4%(地域包括)※在宅復帰率 96.9%(一般)・92.8%(地域包括)※

【図1】広島県二次保健医療圏

※2014年度実績

備北二次保健医療圏

福山・府中保健医療圏

尾三二次保健医療圏

広島二次保健医療圏

広島西二次保健医療圏

呉二次保健医療圏

広島中央保健医療圏

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報告1 急性期病棟からの転換地域包括ケア病棟転換に当たっての

病院全体の体制構築と職員教育

Vol. 68 No. 1 039

院日数18日以内」は厳しくなり、何らかの対策を

とる必要がありました。また、「一般病棟用の重

症度・看護必要度」についても、名称変更があり、

評価項目等が見直されたことにより、15%以上

を保つことが大きな課題となりました。

 このように診療報酬改定に伴い当院が受ける影

響と医療機能についての分析を行い、今後の方針

を決定するために検討会を週1回開催することと

なりました。検討会メンバーは、看護部(看護部

長・看護副部長・病棟看護師長)、総務課、医事課、

リハビリ課、地域医療連携課(看護師長・MSW)

の13人。2014年3月から地域包括ケア病棟の設

置に向けて具体的な検討を開始しました。

 まず検討したのは、①入院基本料7対1算定継

続のための具体策について、②地域包括ケア病棟

の運用について、③退院支援の取り組みについて

でした。具体的には、一般病棟と地域包括ケア病

棟のシミュレーションを行い、タイムスケジュー

ルに沿ってデータ収集を行いながら病院の方向性

を決めていくこととなりました(表1)。

 地域包括ケア病棟への入室基準を①DPC入院

期間Ⅱ、②60日以内の在宅復帰が可能、③重症度、

医療・看護必要度のAB両項目を満たさないとし

て、これに当てはまる患者をリストアップして1

週間に2回の判定会議を行いました。

 シミュレーションの中で明らかになったことは、

地域包括ケア病棟へ入室する対象者は「内科疾患、

整形外科手術後、脳卒中連携パスの患者などで

ADLの自立度が低い」「約8割が担送か護送を必

要とするなど、なんらかの支援を必要としてい

る」ということでした。その中で、生活の質を保

ちながら医療を提供するには、医療施設内のサー

ビス提供体制を整える必要性があると考え、介護

福祉士の採用を提案。2015年4月に地域包括ケア

病棟で2人の介護福祉士を採用しました。

 次に、看護師の配置と異動については、①退院

支援を行うことができる人材の育成、②整形外科

看護経験者の配置、③新人看護師はテクニカルラ

ダー*を卒後2年以内に取得できる部署へ異動、

を計画しました。

 病棟機能は①急性期後の患者の受け入れ、②在

宅患者急変時の受け入れ、③在宅復帰支援である

* 厚生労働省のクニカルラダーを当院用に変更した看護技術チェック

【表1】地域包括ケア病棟設置までの対策

2014年2月 3月 4月 5月 6月 7〜8月 9月 10月

病院 病棟再編検討

地域包括ケア病棟開設決定

職員への説明会開催(地域包括ケア病棟設置について)

・管理会議において病棟6階を地域包括ケア病棟に決定

・7対1(4病棟)+地域包括ケア病棟(1病棟)

・職員への説明会開催(地域包括ケア病棟運用について)

・介護福祉士の採用決定(2015年4月)

届出

地域包括ケア病棟運用開始

検討会 1回/週開催 体制検討 ・シミュレーション実施

・判定会議開始(2回/週)

・シミュレーションの結果を受けて改めて病棟再編について検討

・地域包括ケア病棟への入室基準作成

・実績づくり

看護部 退院支援チーム発足・ベッドコントロール担当(看護副部長)

・看護配置検討

看護師の異動検討

一般病棟※新基準による重症度、医療・看護必要度評価

・患者移動・看護師配置変更

地域包括ケア病棟

※新基準による重症度、医療・看護必要度評価

※新基準チェック

・患者移動・看護師配置変更

訪問看護師と同行訪問

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112 看護 2016. 1

編 集 後 記

日本看護協会 機関誌 Vol. 68 No. 1 January 2016

2016

1

発行・発売: 2015年12月20日

発 行 所:(株)日本看護協会出版会

東京都渋谷区神宮前5 - 8 - 2 日本看護協会ビル4階

Tel.0436 - 23 - 3271(コールセンター:ご注文)

振替00190 - 8 -168557

東京都文京区関口2- 3 -1

Tel.03 - 5319- 8017(編集直通)

発 行 人: 井部俊子

編 集 長: 濵田拓男

編 集 者: 米丸未央子・古川美穂子・工藤菜乃

編集委員: 井伊久美子・和田幸恵・長田晋一・伊藤雄介(日本看護協会)

D T P : 今村陽子

表紙イラスト: 平岡瞳  

表紙デザイン: 新井田清輝

本文デザイン: 手塚久美子(mono)・新井田清輝

印   刷: 三報社印刷株式会社

定   価: 本体1,400円+税

●2015年もあっという間に過ぎ去りました。12月に入ると、その速度が一気に早まるように思うのは私だけでしょうか。看護職である読者の中には、クリスマスや新年を、職場で迎える方も少なくないと思います。どうぞよい御歳をお迎えください。皆さまにとって2016年が素晴らしい年になることを! 願ってやみません。   (工藤)

●特集2のテーマは「新人看護師」。ふと、社会人1年目だったときを思い出しました。配属先の上司は同期の間で「女帝」と呼んでいた、自分にも部下にも厳しいことで有名な方。当時は、部内の張り詰めた空気感、ビシバシ飛んでくる指示に息苦しさも感じましたが、今では懐かしい記憶。女帝、どうしているかなあ……。      (古川)

●若手の介護福祉士が地域を巻き込んで始めた活動「未来をつくるkaigoカフェ」(本誌2015年6月臨増号もご参照)の記念イベントを取材。“健康寿命”をテーマに行政保健師・管理栄養士・歯科医師・放課後等デイサービスに取り組む介護職等々のユニークな活動を伺いました。詳細は小社『コミュニティケア』1月号に掲載予定です。 (米丸)

●今月は特集1の担当だった上に取材記事の執筆が多く、てんてこ舞いでした(表現が昭和チック……)。さて地域包括ケア病棟、「亜急性期病棟の名前の書き換え」くらいの認識の人もいるのではないでしょうか。特集をお読みいただければ、この病棟ができた意味と、地域包括ケアにおける病院の立ち位置がわかると思います。  (濵田)

次 号 予 告

2月号

※予告内容は変更になる場合があります。

特集 1

「助産実践能力習熟段階」活用への期待 助産師が主体的に必要な能力を獲得するために、助産関連5団体による「助産実践能力習熟段階(CLoCMiP)レベルⅢの認証制度が創設されました。特集1では助産師がさらに質の高いケアを提供していくためのCLoCMiPについて、各施設の立場から活用状況や助産師が認証された後の展望を紹介していただきます。

特集 2

セカンドキャリアを考える―豊かな知識と経験を生かす 平均寿命が80歳を超えた日本では、定年後も社会に貢献する「セカンドキャリア」に期待が寄せられています。中でもベテラン看護職への期待は大きく、その存在がさまざまな場面で求められています。特集2では、病院勤務の第一線を終えた後、知識と経験を生かして働く先輩たちの活躍を紹介します。

11月臨時増刊号

好評発売中

 1998年に創設された「認定看護管理者」。現在までに約2700人が誕生しており、幅広い活躍が明らかになっています。臨時増刊号では、28人の認定看護管理者に人材育成・WLB・病床管理・地域連携など、さまざまなテーマで現場改革に取り組んだ事例を報告していただきます。

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1月20日発行・発売


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