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反応工学Reaction Engineering
講義時間(場所):火曜2限(8-1A)・木曜2限(S-2A)
担当 :山村
2
コアシェル粒子の合成
シェル:生成物Cの殻B
A+bB→生成物C(反応速度r)
CA0
CAiA
コア:未反応の成分B
time
3
未反応核モデル (Un-reacted Core Model)成分
A濃度
R
ri
生成物層ZnO
未反応核ZnS
濃度境界層(物質移動係数kc)
原料成分A(O2) (成分B
モル濃度CB)
0AC
0AC
AiC
0
コアーシェル界面での反応速度kCAi
(反応速度定数k,
1次反応の場合)
4
未反応核モデル(1)
未反応核(成分B)の物質収支をとる。
モル数の変化DnB 反応量( rBViDt )=
t
Bi
tt
BitiBttiBB CrCrVCVCn
D
D
D
33
3
4
3
4
半径ri
体積Vi
モル濃度CB
(一定)
左辺は
iBt
Bi
tt
Bi
Vrt
CrCr
D
D
33
3
4
3
4
代入してDtで除すと
Dt→0として
iB
iB
Vrdt
rCd
3
3
4
5
未反応核モデル(2)
AB brr
)1(42
iAi
iB Vbrdt
drrC
代入すれば
A+bB→生成物(反応速度r)なら よりbrrrr BA ,
dt
drr
dt
dr
dr
dX
dt
dX
dt
dr
rX
ii
i
i
i
i
23
3
3
)
とおくと(補
6
未反応核モデル(3)
一方、境界層内の成分Aの移動速度W2(mol/s)は
)(4 0
2
2 AiAc CCkRW
[m2][m/s][mol/m3]=[mol/s]
1次反応の場合、表面での成分Aのモル濃度をCAiとすると未反応核表面での成分Aの消滅速度は
Aii kCrW 2
1 4
[m2][m/s][mol/m3]=[mol/s]
原料ガス(成分A)の物質収支をとる。
モル数の変化DnA 反応量( rAViDt )=
)( WVrdt
dniA
A
7
)2()()/(1)/(1
411
4
122
0
220 iA
ic
A
ic
A VrkrkR
CWW
krkRC
未反応核モデル(4)
整理すると
(例)反応速度が遅い場合 1/(ri2k)>>1/(R2kc)
krCkr
CVr iA
i
AiA
2
02
0 4)/(1
4
反応速度は
定常状態ではこの2つは等しいので
WWW 21
変形すれば
kr
WC
kR
WCC
i
Ai
c
AiA 2204
,4
8
未反応核モデル(5)
(2)を(1)に代入すれば
R
r
kR
r
kkkbC
RCt
tC
bC
k
R
k
Rr
kkR
r
dtC
bCdr
kkR
r
krkR
Cb
dt
drrC
ii
ccA
B
B
A
c
i
c
i
t
B
Ac
r
R c
i
ic
AiiB
i
1
3
11
3
1
3
1
3
1
)/(1)/(1
44
3
0
0
2
3
0
0
2
2
22
02
9
未反応核モデル:QUIZ成分
A濃度
R
ri
0AC
0
0AC
a b
反応速度が非常に遅い場合の濃度分布はどちらか?
10
未反応核モデル(6)
R
r
bkC
RC
R
r
kkbC
RCt i
A
Bi
A
B 111
00
特別な場合(1)反応が非常に遅く反応律速 1/k>>1/kc
3
0
3
0
133
1
3
1
R
r
Cbk
RC
R
r
kkbC
RCt i
Ac
Bi
ccA
B
(2)拡散が非常に遅く境界層内の拡散律速 1/k<<1/kc
11
未反応核モデル(7)
R
r
bkC
RC
R
r
kkbC
RCt i
A
Bi
A
B 111
00
反応律速の場合
未反応核が消滅する時間t*は、ri=0を代入して
0
*
A
B
bkC
RCt
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コア・シェル型無機粒子の合成実験
ガス入口
ガス出口
サンプル(R=8.5mm)
天秤
電気炉(900K)
3O2 +2ZnS→2ZnO+2SO2
ZnS
ZnO
半径riのZnS
質量変化からコアのサイズ(ri)を決定
時間t
1 -
(rc/R
)3
1
反応律速(低温)時の理論線
(半径R)
拡散律速(高温)時の理論線実測値
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ZnSをri=0.46mmまで管型反応器で酸化
処理量はv0=4.8 m3/h
管型反応器の体積V[m3]を決定せよ。
反応速度定数は
管型反応器を用いたZnS粒子の酸化(1)
2ZnS+3O2→2ZnO+2SO2
ZnO
ZnS
smk /018.0
2mm 0.92mm
0.54mm
14min)3.11(675
1
46.01)1250(
st
管型反応器を用いたZnS粒子の酸化(2)
smkmmolC
mmolCmmRb
A
B
/018.0,/8.2
,/42000,1,3
2
3
0
3
未反応核が消滅する時間は
未反応核モデルを適用する
min)8.20(1250)8.2)(018.0)(3/2(
)001.0)(42000(
0
* sbkC
RCt
A
B
ri=0.46mmとなるのに必要な時間 は
R
r
bkC
RCt i
A
B 10
に代入すれば
15
管型反応器を用いたZnS粒子の酸化(3)
v0=4.8m3/h=1.33×10-3 m3/sなので
33 90.0)1033.1)(675( mV
管型反応器ではτ=V/v0が反応時間に等しいから
sv
V675
0
1本の管型反応器なら
4.5m
ZnS
R=1mm
ZnO ZnS
ri=0.46mm
50cm 4.8m3/h
体積0.90m3
1616
ミッション:
□ 単一反応、複合反応の反応速度を記述をすることができる□ 定常状態近似により反応速度式を導出することができる□ 律速段階近似により反応速度式を導出することができる□ 連続槽型反応器の設計方程式を導出することができる□ 回分反応器の設計方程式を導出することができる□ 管型反応器の設計方程式を導出することができる□ 自触媒反応器の最適設計ができる□ 回分ラボ実験データから実スケールの反応器体積を求めることができる□ 回分反応器を用いた簡単なバイオリアクターの設計ができる□ 回分反応器を用いた逐次並列反応の設計計算を行うことができる□ 非等温反応器の安定操作条件を算出することができる□ 晶析反応器の設計計算を行うことができる□ 未反応核モデルを用いて管型反応器内の粒子反応を設計できる
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コアシェル型Fe/Fe3O4複合粒子の生成プロセス report 12 氏名
半径R=10mmの球形Fe3O4粒子を高温・大流量の水素雰囲気で還元すると4H2(成分A、gas)+Fe3O4 (成分B)3Fe+ 4H2O (反応速度r)で表される反応が生じ、内側に未反応Fe3O4、外側にFeを持つコアシェル型複合粒子ができる。このサンプルを取り出して切断し、異なる反応時刻tにおけるFe3O4とFeとの界面の半径位置riを測定したところ、下表を得た。このデータから半径ri=5mmの未反応Fe3O4コアを持つ複合粒子を生成するのに必要な反応時間を求めたい。次の問いに答えよ。ただし反応により粒子径は変化せず未反応核モデルが成り立つ。
[問1]成分A、成分Bの反応速度をそれぞれrA[mol/(m3s)], rB[mol/(m3s)]
とする。rB=(1/4)rAであることを示せ。
[問2]未反応核(Fe3O4、成分B)について物質収支をとると式(1)が成り立つ。
ただしCB(mol/m3、一定)は成分Bのモル濃度、Vi[m3]は未反応核の体積、
t[s]は時間である。rAViが反応速度定数k[m/s]、球表面の物質移動係数
kc[m/s]と成分Aのモル濃度CA0[mol/m3]を用いて式(2)で表されるとき、式
(1)を積分すれば時間と界面半径位置riの関係が式(3)で表されることを示
せ。
[問3]この反応は成分Aの球表面への拡散速度に比べて非常に速いので
k>>kcと考えることができる。このとき式(3)は次のように書けることを示せ。
[問4]上表のデータと問3の結果から4CBR/(3kcCA0)の平均値を求めよ。
[問5]上の結果を用いて半径ri=5mmの未反応Fe3O4コアを持つ複合粒子
を生成するのに必要な反応時間を求めよ。
37.743.80.10][
300020000][
mmr
st
i
)3(11
13
14
),2()/(1)/(1
4),1(/
3
4
3
0
22
03
R
r
kR
r
kC
RCt
krkR
CVrVrdtrCd
ii
cA
B
ic
A
iAiBiB
)4(13
43
0
R
r
Ck
RCt i
Ac
B
0
3 4996
0 4 / (3 )
(4) 2000 3000
4 4371
i B c A
s
t r R C R k C
s s
s
問
(注) では であり の値に関係なく
式 が成立するから、 と のデータのみ用いればよい
問