日本原電の経理的基礎東電は日本原電を支援できるのか?
国際環境NGO FoE Japan(エフ・オー・イー・ジャパン)
みつた・かんな
満田夏花
2018年12月12日
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経理的基礎とは?
原子炉等規制法第四十三条の三の六 原子力規制委員会は、前条第一項の許可の申請があつた場合においては、その申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。
• 二 その者に発電用原子炉を設置するために必要な技術的能力及び経理的基礎があること。
• 三 その者に重大事故の発生及び拡大の防止に必要な措置を実施するために必要な技術的能力その他の発電用原子炉の運転を適確に遂行するに足りる技術的能力があること。
• 四 発電用原子炉施設の位置、構造及び設備が核燃料物質若しくは核燃料物質によつて汚染された物又は発電用原子炉による災害の防止上支障がないものとして原子力規制委員会規則で定める基準に適合するものであること。
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原子力規制委員会は…
申請者は、本件申請に係る重大事故等対処設備他設置工事に要する資金については、自己資金及び借入金により調達する計画としている。申請者における総工事資金の調達実績、その調達に係る自己資金及び外部資金の状況、工事に要する資金の額、調達計画等から、工事に要する資金の調達は可能と判断した。このことから、申請者には本件申請に係る発電用原子炉施設を設置変更するために必要な経理的基礎があると認められる。
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当期純利益(百万円)
平均17億円の黒字
平均25億円の赤字
日本原電の純利益の推移(百万円)
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金森先生のご指摘
•売上高は低下、他電力と比べて最低。純利益は乱高下、資産の割に売り上げが非常に少ない
•建設仮勘定が異常に大きい(1660億円)資産性はあるのか。敦賀3,4号機? 原電の純資産は1,562億円。→資産性がないということになると債務超過に。
•繰延税金資産*(589億円)の純資産に占める割合が異常に大きい~資産性はあるのか? *繰延税金資産とは、払い過ぎている税金が将来還付されることを前提に、その相当額を資産として計上したもの
立命館大学の金森絵里先生(会計学)2018年5月23日講演より 5
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各社から日本原電への電気料金の推移
東電 関電 中部 北陸 東北
単位:100万円 520億円
東京電力
東海第二原発からの発電はゼロ
2011~2017年度、東電から原電への支払総額は3,228億円
日本原電の有価証券報告書をもとにFoE Japan作成 6
日本原電 有価証券報告書より
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原電は、自己資金または銀行からの借り入れで安全対策
費をまかなうことができない
→規制委が「債務保証」を要求
日本原電 適合性審査提出資料より8
「電気料金前払、債務保証等によって弊社に支援資金する意向を有している旨、書面をもってご説明いただきたく・・・」
原電は、債務保証をつけてもらっても銀行から安全対策費全額を借りることができない?
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今後、貴社から十分な説明及び情報の提示がなされることを前提として、工事計画認可後に債務保証等により、資金支援を行う意向があることを表明いたします。
なお、本文書は・・・何ら法的拘束力ある約諾を行うものではないことを申し添えます。
東北電
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本文書は・・・何ら法的拘束力ある約諾を行うものではなく、弊社における最終的な決定については、弊社内での総合的な検討結果を踏まえて判断することになる旨、ご了解賜りますようお願い申し上げます。
工事計画認可取得後に資金支援を行う意向があることを表明いたします。→「債務保証」とは書いていない
東電
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東電の日本原電支援の理由
「しっかりとした競争力のある電源を調達してお客様にお届けして、それで収益を上げる」
日本原電としては、東海第二の電気を高く設定せざるをえない
「安価」に電気を調達すれば、日本原電の収益は悪化する 12
東京電力
福島第一原発事故の対策費として、国が交付国債により東電に貸しつけている資金は13.5兆円
左図:朝日新聞「東電への貸付額13.5兆円、さらに増加も 検査院指摘」( 2018年3月24日)
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国が東電に交付した資金の回収は?• 回収期間は19~34年要する
• 支払い利息:約1439~2182億円(国が負担)
• 東電の負担:25.5%~45.1%(他は、国による資金交付、他の原子力事業者による負担金、東電株式売却)会計検査院「東京電力株式会社に係る原子力損害の賠償に関する国の支援等の実施状況に関する会計検査の結果についての報告書」(平成30年3月)
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ふつうの感覚では…
「東海第二原発の再稼働のために資金支援をするのであれば、原発事故被害者の賠償にあてるべき!」
ということになる
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