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OpenStreetMap ワークショップ in 名古屋 #5 01132013 OSMFJ/奈良女子大学人文科学系 西村雄一郎 [email protected] twitter id: nissyyu http://www.facebook.com/yuichiro.nishimura 大学地理教育とOSM 1 13115日火曜日

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第5回OpenStreetMapワークショップ東海での報告です.

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OpenStreetMap ワークショップ in 名古屋 #501132013

OSMFJ/奈良女子大学人文科学系西村雄一郎

[email protected] id: nissyyu

http://www.facebook.com/yuichiro.nishimura

大学地理教育とOSM

113年1月15日火曜日

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• 1.GISと社会• 2.大学地理教育とOSM

• 3.今後の課題

内容

313年1月15日火曜日

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• 氏名 : 西村雄一郎 (Yuichiro Nishimura)

• 専門:地理学

• 職業 : 2010年奈良女子大学で大学生・大学院生に地理学にかかわる教育を行っています(文学部人文社会学科地域環境学コース).それまでは,愛知工業大学地域防災研究センターやそこでつくられた大学ベンチャー企業,その前は京都の総合地球環境学研究所と,任期付きの仕事を渡り歩いていました.

自己紹介

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1.GISと社会

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GISと社会• 1990年代以降の英語圏を中心とするGISと地理学との対話の中から生まれてきたクリティカルGIS(critical GIS):若林・西村(2010:地理学評論83-1総説:「GISと社会」をめぐる諸問題

• 参加型GIS(PGIS) の実践,フェミニスト地理学との関連から新たな方法論として提起された質的GIS,科学技術社会論(STS)からみたGIS と社会との関わり,監視とプライバシーをめぐる法的・倫理的問題,地図の批判的検討などに関する研究が進展

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GISと社会• GISは一部の専門家のものではなくなる→だれでも,その気になれば,GISを使える時代に

• こうした新たにGISを使い出した人々:Neogeographer(ネオジオグラファー)

• そうした人々による自発的な地理情報の収集や分析はVGI(Volunteered geographic information:ボランタリーな地理情報)と呼ばれる(瀬戸2010)

• 状況によってはカウンターマッピングと呼ばれる,政府や大企業が行う地図作成もしくは情報の非公開に対抗して,自分たちにとっての現実を訴えるためにマッピングが行われる場合も

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日本における議論• 近年,日本でもその現状を踏まえ, GISと社会に関わる諸問題についての議論が開始(日本地理学会「GISと社会研究グループ」(2012

~2013年度))

• →日本地理学会(3/29-31立正大学)シンポジウム『参加型GIS

の現状と課題』開催813年1月15日火曜日

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2.大学地理教育とOSM

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Neogeographer時代の地理・GIS教育

• 奈良女子大学文学部地域環境学コースでの地理教育

• ほとんどの学生は地理業界・GIS業界に就職するわけではない.長引く不況もあり公務員志望者も増加→商用ソフトウェアの使い方を学習するより,社会に出て,地理情報の分析が必要になったときに,すぐに使えるソフトウェアやデータがあることを思い出してもらう

• オープンな地理データ :OpenStreetMap

• フリー・オープンソフトウェア のGIS:FOSS4G

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そもそも大学地理教育って…• 近年のGISと地理教育を巡る話題

• 中高などでのGISGIS必修化と「防災教育」に関わる単元が盛り込まれた新しい学習指導要領(中学社会科・高校地理歴史科)

• 大学のカリキュラムには実習授業などあるが,その内容は自由→学習指導要領のようなものはない(日本地理学会における地域調査士資格に関わる科目としてGISが挙げられているが,地域調査士資格取得のための科目要件が大学講義の標準というわけではない)

• 結局は個々の教員の研究・教育に関わる経験や方針に内容が大きく左右されている

ある意味やりたい放題?!1113年1月15日火曜日

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大学の地理教育上の意義

• 「無料」のデータを単に閲覧・利用:受動的な消費者

• オープンデータの生産者として実践してもらうことで,地理的データとは何なのかをデータを作成しながら理解

• データの利用や所有に関する法的な問題やプライバシーの問題などについても考える機会

• GISデータとしての利用可能性:既存データがないところで,OSMを経由した地図作成も可能

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大学の地理教育上の意義• 個人の課題作成・提出従来の実習と異なる

• 実習の作業経過公開.受講者内のコラボレーション作業,OSMコミュニティのサポート.受講生・大学・一般社会で共有可能なデータ作成

• 個人の成果をアカウントごとに把握可能

• 授業を通じた社会貢献活動の可能性:クライシスマッピング(大規模災害地マッピング)・地域活動とリンクして貢献可能な人材の育成

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奈良でのOSM活動の意義• 奈良

• 「国際観光都市」

• 商用含む自由に利用可能な地図の必要

• 多言語対応の地図必要

• これまでのイベントなどでも,自由に使える地図の不備が指摘(奈良アートプロムナード2010の例.パンフレットなど地図が作成されておらず,どこに何が展示されているのか分からない)

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実習授業でのOSM• 奈良女子大学文学部人文社会学科地域環境学コースでの講義中にOSMの地図作成実施

• 2010-12年 地域環境学実習

• 受講者数:地域環境学コース2回生・3回生+他コースの学生(毎年10名前後)

• 2010:OSM関西のマッピングエキスパートである清野さんを特別講師に迎える(2回)

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OSMwikiの活用• http://wiki.openstreetmap.org/

wiki/JA:Narajochiikanjisshu

• (OSM関西のページからリンクされています)

• アカウントの作成/GPS

ログのアップロード方法/地図の編集方法/主に使用されるタグ/関連する写真などを掲載

• 初心者向けのチュートリアルページも活用

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3年間の進歩

• マッピング内容

• 1年目:大学キャンパスマップの作成

• 2年目:大学の最寄り駅である近鉄奈良と大学の間の地域を中心にマッピング

• 3年目:大学の北側の地域をマッピング

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• 2010年はキャンパスマップ( キャンパス内の道路+標識・看板など地物の情報をノートに記録)

• GPSログは7名でキャンパス内を分担1813年1月15日火曜日

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1913年1月15日火曜日

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2013年1月15日火曜日

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2011年は外へ!

2113年1月15日火曜日

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2213年1月15日火曜日

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• 2013 大学北側の近年まちおこしの活動が行われている「奈良きたまち」地域をマッピング

• 既存の地図にないような地域の特徴を表すことができないか?

2313年1月15日火曜日

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3年間の進歩• マッピング方法

• 1年目:GPSログ+フィールドワーク

• 2年目: GPSログ+衛星画像によるアームチェアマッピング+フィールドワーク

• 3年目:GPSログ+衛星画像によるアームチェアマッピング+フィールドワーク(WalkingPapersの利用)

• →GPSの使用方法もフィールドワークの方法と同時に学習

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衛星画像を用いたアームチェアマッピング

• 2010年12月よりOSMでMicrosoft bing衛星画像の利用可能に

• 衛星画像をトレースして、データを作成することが容易になった

• 建物形状などはGPSでのマッピングをしなくてもよくなった・・・?

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•→雲でみえない(2011)2613年1月15日火曜日

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•→今年は見えるように Thank you, Steve!!2713年1月15日火曜日

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3年間の進歩

• 利用ツール

• 1年目:GPS(Garmin Foretrex 101)+JOSM

• 2年目:GPS(Garmin Foretrex 101, Foretrex

301)+JOSM

• 3年目: GPS(Garmin etrex 10)+JOSM

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なぜかカクカクに→Foretrex 101がGPSログの小数点以下最後の1桁を記録していない

Garmin GPSmap 60CSx

Garmin Foretrex 1012913年1月15日火曜日

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新GPSの導入• Garmin Foretrex 301(英語版)

• Garmin Foretrex101の後継機種→下一桁がオミットされる仕様ではなくなった(大きな改善点)

• USBで直接接続・GPXでログが自動保存:ログをデータ保存する際にGPS babelをかまさなくてもよくなる

• ロガーじゃだめ?:ディスプレイで取得データ表示できたり精度や捕捉している衛星が表示される方が教育上好ましい

• 1トラック20000ポイント(1秒ログだと2時間弱しかもたない)の制約は存在

• etrex 10(英語版)

• が Foretrex 301 よりもかなり安価になったため,こちらに利用をシフト

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成果と課題• これまでにあまり地理情報に触れた経験が少ない初心者を1から教えるのにはかなり時間が必要

• 地理的な視点を養うのに重要→フィールドワーク

• 地物とは何かを学習→記録の仕方に個人差:何を現地で見たらいいのか.見ようと思っていないと何も見えない.

• 逆に記録しないものなどをはっきりさせることも重要(個人宅の情報や私有地で入れない場所など)

3113年1月15日火曜日

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成果と課題• Potlatch2 or JOSM?: Potlatch2 web上ですぐにデータを動かせてしまうのが逆にこわいとの意見・JOSMはインストールしなくてもJAVAのwebスタートでどのパソコンからも使えるので特に問題にならなかった

• 大学の情報処理センターでの実習:個別IPが割り振られているため,ダウンロードやアップロードに関わる問題はとくに起こらなかった

• むしろ,同じ地域で共有作業を行う際の問題が大きい.保存したデータがエラーでアップロードできなくなっていやになる→新しいデータをダウンロードしてそれに自分のデータを追加してアップロードし直す:手助け必要

• Bingによるアームチェアマッピングは,自分の実家の近くなどさまざまな場所で試しに行ったりして楽しむ

• GPSログやアカウントの作成などについてはプライバシーに留意しながら

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3.今後の課題

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OSMを用いた大学地理教育の課題• カリキュラム

• OSMの何をどれだけどのように教えたらいいか

• 90分という時間単位で教えるためにどうしたらよいか

• 中高の新学習要領の下で学んだ学生に対して何をするか

• 施設や機器とOSM(大学教育向けに何が必要か)

• ソフトウェアやツールは何を用いるべきか?コラボ作業にとって望ましい形は?

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OSMを用いた大学地理教育の課題• 社会連携・地域貢献

• 大学での知識や技術の習得を社会人になって以降もいかに継続・発展していけるか

• 社会人向けにどうアプローチしていったらよいか.

• 小中高校教育に対していかにアプローチ可能か

• 運営組織としての大学にとってのメリットは何か?利用をどう促していくべきか

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SotM2012でも

• FOSS4G Advent Calendar 2012

• nao.t

• 「ジオで夢をつかむ」

• https://www.facebook.com/nao.tamura.73/posts/502585739786110

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OSMを用いた大学地理教育の課題

• 本学「なら学プロジェクト」(http://www.nara-

wu.ac.jp/bungaku/nara/)との関わり

• 学内での講習会などの実施(他コース・他学科・他学部でも地理情報の分析に関心のある人)

• オープンキャンパスなどでのプロモーション

• OSMローカルコミュニティとの連携を深める

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ローカルコミュニティの重要性

• 地物の変化:地元の人々が最もよく状況を分かっている

• 地図の必要性:ローカルなさまざまな活動の中から起こってくる(→車いすマップ)

• OSMの地図化が進んでいる地域:OSMのローカルコミュニティが盛んな地域

• 日本国内でOSMの活動が盛んな地域の一つが関西地区→OSM関西

日時:2011年2月 11日(金・祝)12日(土)会場:奈良女子大学S棟1階S122教室(アクセス:http://www.nara-wu.ac.jp/bungaku/sges/access.html)・11日(金・祝) 10:00-12:00 OpenStreetMap 概論  (基本概念/データ取得と編集の基礎) 13:00-15:00 OSMとGPS 15:30-17:30 OSMエディタ対抗戦    <懇親会>・12日(土) 10:00-12:00 アームチェアマッピング最前線(1) 13:00-15:00 アームチェアマッピング最前線(2) 15:30-16:30 OSMの様々な活用方法・各自の取り組み報告

参加無料・どなたでも参加できます(筆記用具・クリップボード・デジカメ持参,ノートパソコン原則持参(ない場合はお知らせください.数台の貸出ができます),また当日使用するGPSを会場で貸出します.)参加申込:下記メールアドレスに氏名・所属・ノートパソコンやGPSの有無を連絡してください参加申込・問い合わせ先〒630-8506 奈良市北魚屋西町 奈良女子大学文学部 人文社会学科地域環境学コース 西村雄一郎 e-mail: [email protected] tel: 0742-20-3325 

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学習と実践の間に• Yahoo! Japan提供のアルプス地図データのインポートが進展

• 地図のインポートが完了すれば,OSMのデータ密度や質はさらに向上

• 一方でGPS+フィールドワークをすること,新しく地図をつくることの楽しさを初学者に感じてもらいたい

悩ましい・・・

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• Google Mapsのデータ貧弱

奈良県山間地域の地図

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山間地域の既存のデジタル地図サービス• Google Maps含むゼンリンデジタルデータに詳細地図(等高線や建築物の外形などが入っている:zoomレベル17)が収録されていない地域の存在(紙地図のゼンリン住宅地図には県内すべての市町村が掲載されている)

• 本来:地図マスターデータベース>出版物という関係のようですが,実際には出版物>デジタル地図データ

• ナビ用のデータは道路以外の情報が省略されている→インターネット公開されているゼンリンデータはナビ用の地図? http://geofuse.georepublic.net:80/geofuse/showtheme?

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詳細地図なし

詳細地図あり

4113年1月15日火曜日

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• Yahoo! Japan/Alps: 道路データ(インポート)

• Bing 衛星画像 (トレース)

– 災害発生時十津川では低解像度画像

• 国土地理院1:25,000地形図(WMSトレース)

– 建物形状トレース

– 建物や道路省略ありアームチェアマッピング中心

地図の作成

4213年1月15日火曜日

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課題• 地元の人々によるマッピングが行われていない

• OSMの利点や便利さを知ってもらう必要あり・パブリシティの不足

• 観光マッピングでの活用

• 防災教育での活用(古い集落や熊野古道は尾根筋に立地)

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地域で何をする?• 2012/12/3関西G空間フォーラム in 奈良で 『大学教育におけるOSM・FOSS4Gの活用と展開』として報告

• 会場はスーツもしくは作業服姿のプロプライエタリ系のGISもしくは測量業界の方ばかり…

• 例の動画も含むさまざまなネタを準備したが全く笑いは無し…

奈良の壁は厚い...orz

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however…

• 新しい出会いもいくつか

• 奈良でのOSMやFOSS4Gの拡大に向けた奈良大学碓井先生の力強いサポート

• 十津川で地元の人とOSMできるようになるかもしれない(まだ未定ですが)…

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