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A. Asano, Kansai Univ. 2013年度秋学期 統計学 浅野 晃 関西大学総合情報学部 不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布

2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

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関西大学総合情報学部 2013年度秋学期 統計学 第13回/「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」 担当・浅野晃 2013/12/19

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2013年度秋学期 統計学

浅野 晃 関西大学総合情報学部

不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布

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ちょっと前回までの復習

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正規分布の場合の区間推定例題

母集団(受験者全体)

母平均μ

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2013年度秋学期 統計学

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正規分布の場合の区間推定例題

母集団(受験者全体)

母平均μ 母平均μの95%信頼区間が知りたい

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正規分布の場合の区間推定例題 標本X1, ... Xnをとりだす

サイズn母集団(受験者全体)

母平均μ 母平均μの95%信頼区間が知りたい

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niv.

正規分布の場合の区間推定例題 標本X1, ... Xnをとりだす

サイズn母集団(受験者全体)

母平均μ 母平均μの95%信頼区間が知りたい

標本平均 X

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niv.

正規分布の場合の区間推定例題 標本X1, ... Xnをとりだす

サイズn母集団(受験者全体)

母平均μ 母平均μの95%信頼区間が知りたい正規分布

と仮定する

標本平均 X

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, Kan

sai U

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正規分布の場合の区間推定例題 標本X1, ... Xnをとりだす

サイズn母集団(受験者全体)

母平均μ 母平均μの95%信頼区間が知りたい正規分布

と仮定する

母分散σ2がわかっているものとする

標本平均 X

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正規分布の場合の区間推定例題 標本X1, ... Xnをとりだす

サイズn母集団(受験者全体)

母平均μ 母平均μの95%信頼区間が知りたい正規分布

と仮定する

母分散σ2がわかっているものとする(説明の都合です)

標本平均 X

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区間推定の考え方データをいくつか抽出して標本平均

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区間推定の考え方データをいくつか抽出して標本平均

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区間推定の考え方データをいくつか抽出して標本平均

X

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区間推定の考え方データをいくつか抽出して標本平均仮に,何度も抽出したとすると

X

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区間推定の考え方データをいくつか抽出して標本平均仮に,何度も抽出したとすると

X

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区間推定の考え方データをいくつか抽出して標本平均仮に,何度も抽出したとすると

XX

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区間推定の考え方データをいくつか抽出して標本平均仮に,何度も抽出したとすると

XX

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区間推定の考え方データをいくつか抽出して標本平均仮に,何度も抽出したとすると

XX

X

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区間推定の考え方データをいくつか抽出して標本平均仮に,何度も抽出したとすると

XX

X

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区間推定の考え方データをいくつか抽出して標本平均仮に,何度も抽出したとすると

XX

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区間推定の考え方データをいくつか抽出して標本平均仮に,何度も抽出したとすると

母平均(実際にはわからない)

XX

XX

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区間推定の考え方データをいくつか抽出して標本平均仮に,何度も抽出したとすると

母平均(実際にはわからない)のまわりにばらついている

XX

XX

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区間推定の考え方データをいくつか抽出して標本平均仮に,何度も抽出したとすると

母平均(実際にはわからない)のまわりにばらついている

標本平均の期待値=母平均

XX

XX

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区間推定の考え方データをいくつか抽出して標本平均

データ1個よりばらつきが小さくなる

仮に,何度も抽出したとすると

母平均(実際にはわからない)のまわりにばらついている

標本平均の期待値=母平均

XX

XX

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区間推定の考え方データをいくつか抽出して標本平均

データ1個よりばらつきが小さくなる

仮に,何度も抽出したとすると

母平均(実際にはわからない)のまわりにばらついている

標本平均の期待値=母平均

標本平均の分散=母分散÷標本サイズ

XX

XX

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区間推定の考え方標本平均の左右に区間をつける

XX

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区間推定の考え方標本平均の左右に区間をつける

XX

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区間推定の考え方標本平均の左右に区間をつける

XX

XX

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区間推定の考え方標本平均の左右に区間をつける

XX

XX

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区間推定の考え方標本平均の左右に区間をつける

XX

XX

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区間推定の考え方標本平均の左右に区間をつける

母平均

XX

XX

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区間推定の考え方標本平均の左右に区間をつける

母平均

XX

XX

(実際にはわからない)

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区間推定の考え方標本平均の左右に区間をつける

区間は母平均を

母平均

XX

XX

(実際にはわからない)

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区間推定の考え方標本平均の左右に区間をつける

区間は母平均を

母平均

XX

XX

含む

(実際にはわからない)

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区間推定の考え方標本平均の左右に区間をつける

区間は母平均を

母平均

XX

XX

含む

含む

(実際にはわからない)

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区間推定の考え方標本平均の左右に区間をつける

区間は母平均を

母平均

XX

XX

含む

含む

含まない

(実際にはわからない)

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区間推定の考え方標本平均の左右に区間をつける

区間は母平均を

母平均

XX

XX

含む

含む

含まない

含む

(実際にはわからない)

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区間推定の考え方標本平均の左右に区間をつける

区間は母平均を

母平均

どの回の区間が母平均を含むか・含まないかはわからないが

XX

XX

含む

含む

含まない

含む

(実際にはわからない)

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区間推定の考え方標本平均の左右に区間をつける

区間は母平均を

母平均

どの回の区間が母平均を含むか・含まないかはわからないが

確率95%で母平均を含むように区間を設定できる

XX

XX

含む

含む

含まない

含む

(実際にはわからない)

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信頼区間区間は母平均を

母平均

XX

XX

含む

含む含まない含む

(実際にはわからない)

確率95%で母平均を含むように計算した区間だから,その1回も含むと信じる

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信頼区間区間は母平均を

母平均

XX

XX

含む

含む含まない含む

(実際にはわからない)

確率95%で母平均を含むように計算した区間だから,その1回も含むと信じる

母平均の[信頼係数]95%の[信頼区間] という

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信頼区間区間は母平均を

母平均

XX

XX

含む

含む含まない含む

(実際にはわからない)

確率95%で母平均を含むように計算した区間だから,その1回も含むと信じる

母平均の[信頼係数]95%の[信頼区間] という([95%信頼区間])

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不偏分散

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正規分布の場合の区間推定例題 標本X1, ... Xnをとりだす

サイズn母集団(受験者全体)

母平均μ 母平均μの95%信頼区間が知りたい正規分布

と仮定する

標本平均 X

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正規分布の場合の区間推定例題 標本X1, ... Xnをとりだす

サイズn母集団(受験者全体)

母平均μ 母平均μの95%信頼区間が知りたい正規分布

と仮定する

母分散σ2がわかっているものとする

標本平均 X

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正規分布の場合の区間推定例題 標本X1, ... Xnをとりだす

サイズn母集団(受験者全体)

母平均μ 母平均μの95%信頼区間が知りたい正規分布

と仮定する

母分散σ2がわかっているものとする(説明の都合です)

標本平均 X

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母分散は,ふつうはわからない母集団のすべてのデータは調べていないし,母平均もわからない(わからないから,いま推定しようとしている)

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母分散は,ふつうはわからない

それなのに,母分散がわかるはずがない

母集団のすべてのデータは調べていないし,母平均もわからない(わからないから,いま推定しようとしている)

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母分散は,ふつうはわからない

それなのに,母分散がわかるはずがない

母集団のすべてのデータは調べていないし,母平均もわからない(わからないから,いま推定しようとしている)

母分散の「代用品」を,標本を使って計算できないか。

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標本を使って分散を計算分散=(偏差)2の平均

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標本を使って分散を計算分散=(偏差)2の平均

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標本を使って分散を計算分散=(偏差)2の平均

(データ)ー(データの平均)

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標本を使って分散を計算

標本を使って分散を計算する。

分散=(偏差)2の平均(データ)ー(データの平均)

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標本を使って分散を計算

標本を使って分散を計算する。

分散=(偏差)2の平均(データ)ー(データの平均)

データ: 標本X1, ... Xn

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標本を使って分散を計算

標本を使って分散を計算する。

分散=(偏差)2の平均(データ)ー(データの平均)

データ: 標本X1, ... Xnデータの平均:

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標本を使って分散を計算

標本を使って分散を計算する。

分散=(偏差)2の平均(データ)ー(データの平均)

データ: 標本X1, ... Xnデータの平均: 本当は母平均だが,

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標本を使って分散を計算

標本を使って分散を計算する。

分散=(偏差)2の平均(データ)ー(データの平均)

データ: 標本X1, ... Xn

わからないので標本平均 X で代用

データの平均: 本当は母平均だが,

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標本を使って分散を計算標本を使った分散

2013年度秋学期 統計学 第13回不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散と t分布

前回の講義で,母集団の度数分布(母集団分布)が正規分布であるときに,母集団分布の平均(母平均)の区間推定を行う方法を説明しました。このとき,母集団分布の分散(母分散)があらかじめわかっているものとして,推定の方法を説明しました。

しかし,母集団分布の平均が不明なのに母集団分布の分散がわかっているというのは,どう考えてもヘンです。母平均が不明ならば,母分散も不明なのが普通でしょう。そこで今回は,母分散も不明なときに,標本から計算される値である「不偏分散」を用いて母平均の推定を行う方法と,そのために用いる「t 分布」という確率分布について説明します。

不偏分散

上で述べたように「母平均が未知なのに母分散が既知」というのは現実にはありえないことで,実際には母平均が未知なら母分散も未知のはずです。つまり「不確かな測定は,その不確かさも不確か」というわけです。

そこで,未知の母分散のかわりに,標本から推定した分散を使って,母平均を推測することを考えます。分散は「(各データの,期待値(平均)からのへだたり)の2乗の,そのまた期待値(平均)」ですから,これに対応して「(各標本の,標本平均からのへだたり)の2乗の,そのまた平均」を考えます。これを不偏分散(不偏標本分散)といい,標本サイズを n,標本をX1, X2, . . . , Xn,標本平均を X̄ とするとき,不偏分散 s2は

s2 =1

n! 1

!(X1 ! X̄)2 + (X2 ! X̄)2 + · · ·+ (Xn ! X̄)2

"(1)

S2 =1

n

!(X1 ! X̄)2 + (X2 ! X̄)2 + · · ·+ (Xn ! X̄)2

"(2)

となります。標本サイズの nそのものではなく,n! 1で割ることに注意してください。

不偏分散は,その期待値が母分散に等しくなるように調整された分散です1。同じ母集団から何度もくりかえし標本を取り出して,そのつど不偏分散の値を計算したとすると,取り出される標本は毎回異なるので,不偏分散の値も毎回違います。毎回違いますが,その期待値は母分散と同じ,というものです。なぜ,nではなく n! 1で割るのでしょうか? それを直観的に理解するために,図 1をみてみましょう。図 1では標本サイズを2つ(2つしか標本をとらない)とします。母分散は,各データと母平均とのへだたりの2乗の平均です。これに対して,標本サイズ n(この場合は 2)で割った標本分散は,標本と標本平均とのへだたりの2乗の平均になっています。2つの標本がどちらも母平均から偏ってへだたっていても,標本平均はつねに2つの標本の中間にあります。ですから,「標本と標本平均とのへだたり」は「標本と母平均とのへだたり」よりは小さくなります。この違いを調整するために,nではなく n! 1で割っているのです2。

1このことを,「不偏分散は母分散の不偏推定量である」といいます。2なぜ n! 1で調整するのかは,私の「解析応用」(2012年度秋学期)第12回で説明しています。

浅野 晃/統計学(2013 年度秋学期) 第13回 (2013. 12. 19) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

本当にこれでいいの?

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標本を使って分散を計算標本を使った分散

2013年度秋学期 統計学 第13回不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散と t分布

前回の講義で,母集団の度数分布(母集団分布)が正規分布であるときに,母集団分布の平均(母平均)の区間推定を行う方法を説明しました。このとき,母集団分布の分散(母分散)があらかじめわかっているものとして,推定の方法を説明しました。

しかし,母集団分布の平均が不明なのに母集団分布の分散がわかっているというのは,どう考えてもヘンです。母平均が不明ならば,母分散も不明なのが普通でしょう。そこで今回は,母分散も不明なときに,標本から計算される値である「不偏分散」を用いて母平均の推定を行う方法と,そのために用いる「t 分布」という確率分布について説明します。

不偏分散

上で述べたように「母平均が未知なのに母分散が既知」というのは現実にはありえないことで,実際には母平均が未知なら母分散も未知のはずです。つまり「不確かな測定は,その不確かさも不確か」というわけです。

そこで,未知の母分散のかわりに,標本から推定した分散を使って,母平均を推測することを考えます。分散は「(各データの,期待値(平均)からのへだたり)の2乗の,そのまた期待値(平均)」ですから,これに対応して「(各標本の,標本平均からのへだたり)の2乗の,そのまた平均」を考えます。これを不偏分散(不偏標本分散)といい,標本サイズを n,標本をX1, X2, . . . , Xn,標本平均を X̄ とするとき,不偏分散 s2は

s2 =1

n! 1

!(X1 ! X̄)2 + (X2 ! X̄)2 + · · ·+ (Xn ! X̄)2

"(1)

S2 =1

n

!(X1 ! X̄)2 + (X2 ! X̄)2 + · · ·+ (Xn ! X̄)2

"(2)

となります。標本サイズの nそのものではなく,n! 1で割ることに注意してください。

不偏分散は,その期待値が母分散に等しくなるように調整された分散です1。同じ母集団から何度もくりかえし標本を取り出して,そのつど不偏分散の値を計算したとすると,取り出される標本は毎回異なるので,不偏分散の値も毎回違います。毎回違いますが,その期待値は母分散と同じ,というものです。なぜ,nではなく n! 1で割るのでしょうか? それを直観的に理解するために,図 1をみてみましょう。図 1では標本サイズを2つ(2つしか標本をとらない)とします。母分散は,各データと母平均とのへだたりの2乗の平均です。これに対して,標本サイズ n(この場合は 2)で割った標本分散は,標本と標本平均とのへだたりの2乗の平均になっています。2つの標本がどちらも母平均から偏ってへだたっていても,標本平均はつねに2つの標本の中間にあります。ですから,「標本と標本平均とのへだたり」は「標本と母平均とのへだたり」よりは小さくなります。この違いを調整するために,nではなく n! 1で割っているのです2。

1このことを,「不偏分散は母分散の不偏推定量である」といいます。2なぜ n! 1で調整するのかは,私の「解析応用」(2012年度秋学期)第12回で説明しています。

浅野 晃/統計学(2013 年度秋学期) 第13回 (2013. 12. 19) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

本当にこれでいいの?

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

標本を使って分散を計算

標本サイズで割る

標本を使った分散

2013年度秋学期 統計学 第13回不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散と t分布

前回の講義で,母集団の度数分布(母集団分布)が正規分布であるときに,母集団分布の平均(母平均)の区間推定を行う方法を説明しました。このとき,母集団分布の分散(母分散)があらかじめわかっているものとして,推定の方法を説明しました。

しかし,母集団分布の平均が不明なのに母集団分布の分散がわかっているというのは,どう考えてもヘンです。母平均が不明ならば,母分散も不明なのが普通でしょう。そこで今回は,母分散も不明なときに,標本から計算される値である「不偏分散」を用いて母平均の推定を行う方法と,そのために用いる「t 分布」という確率分布について説明します。

不偏分散

上で述べたように「母平均が未知なのに母分散が既知」というのは現実にはありえないことで,実際には母平均が未知なら母分散も未知のはずです。つまり「不確かな測定は,その不確かさも不確か」というわけです。

そこで,未知の母分散のかわりに,標本から推定した分散を使って,母平均を推測することを考えます。分散は「(各データの,期待値(平均)からのへだたり)の2乗の,そのまた期待値(平均)」ですから,これに対応して「(各標本の,標本平均からのへだたり)の2乗の,そのまた平均」を考えます。これを不偏分散(不偏標本分散)といい,標本サイズを n,標本をX1, X2, . . . , Xn,標本平均を X̄ とするとき,不偏分散 s2は

s2 =1

n! 1

!(X1 ! X̄)2 + (X2 ! X̄)2 + · · ·+ (Xn ! X̄)2

"(1)

S2 =1

n

!(X1 ! X̄)2 + (X2 ! X̄)2 + · · ·+ (Xn ! X̄)2

"(2)

となります。標本サイズの nそのものではなく,n! 1で割ることに注意してください。

不偏分散は,その期待値が母分散に等しくなるように調整された分散です1。同じ母集団から何度もくりかえし標本を取り出して,そのつど不偏分散の値を計算したとすると,取り出される標本は毎回異なるので,不偏分散の値も毎回違います。毎回違いますが,その期待値は母分散と同じ,というものです。なぜ,nではなく n! 1で割るのでしょうか? それを直観的に理解するために,図 1をみてみましょう。図 1では標本サイズを2つ(2つしか標本をとらない)とします。母分散は,各データと母平均とのへだたりの2乗の平均です。これに対して,標本サイズ n(この場合は 2)で割った標本分散は,標本と標本平均とのへだたりの2乗の平均になっています。2つの標本がどちらも母平均から偏ってへだたっていても,標本平均はつねに2つの標本の中間にあります。ですから,「標本と標本平均とのへだたり」は「標本と母平均とのへだたり」よりは小さくなります。この違いを調整するために,nではなく n! 1で割っているのです2。

1このことを,「不偏分散は母分散の不偏推定量である」といいます。2なぜ n! 1で調整するのかは,私の「解析応用」(2012年度秋学期)第12回で説明しています。

浅野 晃/統計学(2013 年度秋学期) 第13回 (2013. 12. 19) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

本当にこれでいいの?

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

標本を使って分散を計算

標本サイズで割る

標本を使った分散

2013年度秋学期 統計学 第13回不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散と t分布

前回の講義で,母集団の度数分布(母集団分布)が正規分布であるときに,母集団分布の平均(母平均)の区間推定を行う方法を説明しました。このとき,母集団分布の分散(母分散)があらかじめわかっているものとして,推定の方法を説明しました。

しかし,母集団分布の平均が不明なのに母集団分布の分散がわかっているというのは,どう考えてもヘンです。母平均が不明ならば,母分散も不明なのが普通でしょう。そこで今回は,母分散も不明なときに,標本から計算される値である「不偏分散」を用いて母平均の推定を行う方法と,そのために用いる「t 分布」という確率分布について説明します。

不偏分散

上で述べたように「母平均が未知なのに母分散が既知」というのは現実にはありえないことで,実際には母平均が未知なら母分散も未知のはずです。つまり「不確かな測定は,その不確かさも不確か」というわけです。

そこで,未知の母分散のかわりに,標本から推定した分散を使って,母平均を推測することを考えます。分散は「(各データの,期待値(平均)からのへだたり)の2乗の,そのまた期待値(平均)」ですから,これに対応して「(各標本の,標本平均からのへだたり)の2乗の,そのまた平均」を考えます。これを不偏分散(不偏標本分散)といい,標本サイズを n,標本をX1, X2, . . . , Xn,標本平均を X̄ とするとき,不偏分散 s2は

s2 =1

n! 1

!(X1 ! X̄)2 + (X2 ! X̄)2 + · · ·+ (Xn ! X̄)2

"(1)

S2 =1

n

!(X1 ! X̄)2 + (X2 ! X̄)2 + · · ·+ (Xn ! X̄)2

"(2)

となります。標本サイズの nそのものではなく,n! 1で割ることに注意してください。

不偏分散は,その期待値が母分散に等しくなるように調整された分散です1。同じ母集団から何度もくりかえし標本を取り出して,そのつど不偏分散の値を計算したとすると,取り出される標本は毎回異なるので,不偏分散の値も毎回違います。毎回違いますが,その期待値は母分散と同じ,というものです。なぜ,nではなく n! 1で割るのでしょうか? それを直観的に理解するために,図 1をみてみましょう。図 1では標本サイズを2つ(2つしか標本をとらない)とします。母分散は,各データと母平均とのへだたりの2乗の平均です。これに対して,標本サイズ n(この場合は 2)で割った標本分散は,標本と標本平均とのへだたりの2乗の平均になっています。2つの標本がどちらも母平均から偏ってへだたっていても,標本平均はつねに2つの標本の中間にあります。ですから,「標本と標本平均とのへだたり」は「標本と母平均とのへだたり」よりは小さくなります。この違いを調整するために,nではなく n! 1で割っているのです2。

1このことを,「不偏分散は母分散の不偏推定量である」といいます。2なぜ n! 1で調整するのかは,私の「解析応用」(2012年度秋学期)第12回で説明しています。

浅野 晃/統計学(2013 年度秋学期) 第13回 (2013. 12. 19) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

分散=(偏差)2の平均だから当然だけど…

本当にこれでいいの?

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

標本平均を用いた偏差標本サイズ n=2 とする 標本は X1, X2

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

標本平均を用いた偏差標本サイズ n=2 とする 標本は X1, X2

Page 65: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

標本平均を用いた偏差標本サイズ n=2 とする 標本は X1, X2

X1

Page 66: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

標本平均を用いた偏差標本サイズ n=2 とする 標本は X1, X2

X1 X2

Page 67: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

標本平均を用いた偏差標本サイズ n=2 とする 標本は X1, X2

X1 X2

母平均

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

標本平均を用いた偏差標本サイズ n=2 とする 標本は X1, X2

X1 X2

母平均

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

標本平均を用いた偏差標本サイズ n=2 とする 標本は X1, X2

X1母平均との隔たり(偏差)

X2

母平均

Page 70: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

標本平均を用いた偏差標本サイズ n=2 とする 標本は X1, X2

XX1母平均との隔たり(偏差)

X2

母平均

Page 71: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

標本平均を用いた偏差標本サイズ n=2 とする 標本は X1, X2

XX1母平均との隔たり(偏差)

X2

母平均

Page 72: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

標本平均を用いた偏差標本サイズ n=2 とする 標本は X1, X2

XX1母平均との隔たり(偏差)

X2標本平均との隔たり

母平均

Page 73: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

標本平均を用いた偏差標本サイズ n=2 とする 標本は X1, X2

XX1母平均との隔たり(偏差)

X2標本平均との隔たり

母平均

Page 74: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

標本平均を用いた偏差標本サイズ n=2 とする 標本は X1, X2

XX1母平均との隔たり(偏差)

X1

X2標本平均との隔たり

母平均

Page 75: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

標本平均を用いた偏差標本サイズ n=2 とする 標本は X1, X2

XX1

X2

母平均との隔たり(偏差)

X1

X2標本平均との隔たり

母平均

Page 76: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

標本平均を用いた偏差標本サイズ n=2 とする 標本は X1, X2

XX1

X2

母平均との隔たり(偏差)

X1

X2標本平均との隔たり

母平均

Page 77: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

標本平均を用いた偏差標本サイズ n=2 とする 標本は X1, X2

XX1

X2

母平均との隔たり(偏差)

X1

X2

X

標本平均との隔たり

母平均

Page 78: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

標本平均を用いた偏差標本サイズ n=2 とする 標本は X1, X2

XX1

X2

母平均との隔たり(偏差)

X1

X2

X

標本平均との隔たり

母平均

Page 79: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

標本平均を用いた偏差標本サイズ n=2 とする 標本は X1, X2

XX1

X2

母平均との隔たり(偏差)

X1

X2

X

標本平均との隔たり

母平均

Page 80: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

標本平均を用いた偏差標本サイズ n=2 とする 標本は X1, X2

XX1

X2

母平均との隔たり(偏差)

X1

X2

X

標本平均との隔たり

X1

母平均

Page 81: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

標本平均を用いた偏差標本サイズ n=2 とする 標本は X1, X2

XX1

X2

母平均との隔たり(偏差)

X1

X2

X

標本平均との隔たり

X2X1

母平均

Page 82: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

標本平均を用いた偏差標本サイズ n=2 とする 標本は X1, X2

XX1

X2

母平均との隔たり(偏差)

X1

X2

X

標本平均との隔たり

X2X1

母平均

Page 83: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

標本平均を用いた偏差標本サイズ n=2 とする 標本は X1, X2

XX1

X2

母平均との隔たり(偏差)

X1

X2

X

標本平均との隔たり

X2X1 X

母平均

Page 84: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

標本平均を用いた偏差標本サイズ n=2 とする 標本は X1, X2

XX1

X2

母平均との隔たり(偏差)

X1

X2

X

標本平均との隔たり

X2X1 X

母平均

Page 85: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

標本平均を用いた偏差標本サイズ n=2 とする 標本は X1, X2

XX1

X2

母平均との隔たり(偏差)

X1

X2

X

標本平均との隔たり

X2X1 X

標本平均との隔たりのほうがたいてい小さい

母平均

Page 86: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

標本平均を用いた偏差別の説明 母集団の

度数分布

Page 87: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

標本平均を用いた偏差別の説明 母集団の

度数分布

Page 88: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

標本平均を用いた偏差別の説明 母集団の

度数分布

X

Page 89: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

標本平均を用いた偏差別の説明 母集団の

度数分布

これなら「標本平均との隔たり」と「母平均との隔たり」はかわらない

X

Page 90: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

標本平均を用いた偏差別の説明 母集団の

度数分布

これなら「標本平均との隔たり」と「母平均との隔たり」はかわらない

X

Page 91: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

標本平均を用いた偏差別の説明 母集団の

度数分布

これなら「標本平均との隔たり」と「母平均との隔たり」はかわらない

X

X

Page 92: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

標本平均を用いた偏差別の説明 母集団の

度数分布

これなら「標本平均との隔たり」と「母平均との隔たり」はかわらない

X

こんなふうに偏っていると「標本平均との隔たり」のほうが小さい X

Page 93: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

不偏分散

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

不偏分散母平均との隔たりよりも標本平均との隔たりのほうがたいてい小さい

Page 95: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

不偏分散母平均との隔たりよりも標本平均との隔たりのほうがたいてい小さい標本平均との隔たりを使って分散を計算すると,母分散よりもたいてい小さめになる

Page 96: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

不偏分散母平均との隔たりよりも標本平均との隔たりのほうがたいてい小さい標本平均との隔たりを使って分散を計算すると,母分散よりもたいてい小さめになる

では,計算のときに少し大きめにしておけば?

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

不偏分散計算のときに少し大きめにする

「不偏」とは?

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

不偏分散計算のときに少し大きめにする

2013年度秋学期 統計学 第13回不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散と t分布

前回の講義で,母集団の度数分布(母集団分布)が正規分布であるときに,母集団分布の平均(母平均)の区間推定を行う方法を説明しました。このとき,母集団分布の分散(母分散)があらかじめわかっているものとして,推定の方法を説明しました。

しかし,母集団分布の平均が不明なのに母集団分布の分散がわかっているというのは,どう考えてもヘンです。母平均が不明ならば,母分散も不明なのが普通でしょう。そこで今回は,母分散も不明なときに,標本から計算される値である「不偏分散」を用いて母平均の推定を行う方法と,そのために用いる「t 分布」という確率分布について説明します。

不偏分散

上で述べたように「母平均が未知なのに母分散が既知」というのは現実にはありえないことで,実際には母平均が未知なら母分散も未知のはずです。つまり「不確かな測定は,その不確かさも不確か」というわけです。

そこで,未知の母分散のかわりに,標本から推定した分散を使って,母平均を推測することを考えます。分散は「(各データの,期待値(平均)からのへだたり)の2乗の,そのまた期待値(平均)」ですから,これに対応して「(各標本の,標本平均からのへだたり)の2乗の,そのまた平均」を考えます。これを不偏分散(不偏標本分散)といい,標本サイズを n,標本をX1, X2, . . . , Xn,標本平均を X̄ とするとき,不偏分散 s2は

s2 =1

n! 1

!(X1 ! X̄)2 + (X2 ! X̄)2 + · · ·+ (Xn ! X̄)2

"(1)

S2 =1

n

!(X1 ! X̄)2 + (X2 ! X̄)2 + · · ·+ (Xn ! X̄)2

"(2)

となります。標本サイズの nそのものではなく,n! 1で割ることに注意してください。

不偏分散は,その期待値が母分散に等しくなるように調整された分散です1。同じ母集団から何度もくりかえし標本を取り出して,そのつど不偏分散の値を計算したとすると,取り出される標本は毎回異なるので,不偏分散の値も毎回違います。毎回違いますが,その期待値は母分散と同じ,というものです。なぜ,nではなく n! 1で割るのでしょうか? それを直観的に理解するために,図 1をみてみましょう。図 1では標本サイズを2つ(2つしか標本をとらない)とします。母分散は,各データと母平均とのへだたりの2乗の平均です。これに対して,標本サイズ n(この場合は 2)で割った標本分散は,標本と標本平均とのへだたりの2乗の平均になっています。2つの標本がどちらも母平均から偏ってへだたっていても,標本平均はつねに2つの標本の中間にあります。ですから,「標本と標本平均とのへだたり」は「標本と母平均とのへだたり」よりは小さくなります。この違いを調整するために,nではなく n! 1で割っているのです2。

1このことを,「不偏分散は母分散の不偏推定量である」といいます。2なぜ n! 1で調整するのかは,私の「解析応用」(2012年度秋学期)第12回で説明しています。

浅野 晃/統計学(2013 年度秋学期) 第13回 (2013. 12. 19) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

「不偏」とは?

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

不偏分散計算のときに少し大きめにする

2013年度秋学期 統計学 第13回不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散と t分布

前回の講義で,母集団の度数分布(母集団分布)が正規分布であるときに,母集団分布の平均(母平均)の区間推定を行う方法を説明しました。このとき,母集団分布の分散(母分散)があらかじめわかっているものとして,推定の方法を説明しました。

しかし,母集団分布の平均が不明なのに母集団分布の分散がわかっているというのは,どう考えてもヘンです。母平均が不明ならば,母分散も不明なのが普通でしょう。そこで今回は,母分散も不明なときに,標本から計算される値である「不偏分散」を用いて母平均の推定を行う方法と,そのために用いる「t 分布」という確率分布について説明します。

不偏分散

上で述べたように「母平均が未知なのに母分散が既知」というのは現実にはありえないことで,実際には母平均が未知なら母分散も未知のはずです。つまり「不確かな測定は,その不確かさも不確か」というわけです。

そこで,未知の母分散のかわりに,標本から推定した分散を使って,母平均を推測することを考えます。分散は「(各データの,期待値(平均)からのへだたり)の2乗の,そのまた期待値(平均)」ですから,これに対応して「(各標本の,標本平均からのへだたり)の2乗の,そのまた平均」を考えます。これを不偏分散(不偏標本分散)といい,標本サイズを n,標本をX1, X2, . . . , Xn,標本平均を X̄ とするとき,不偏分散 s2は

s2 =1

n! 1

!(X1 ! X̄)2 + (X2 ! X̄)2 + · · ·+ (Xn ! X̄)2

"(1)

S2 =1

n

!(X1 ! X̄)2 + (X2 ! X̄)2 + · · ·+ (Xn ! X̄)2

"(2)

となります。標本サイズの nそのものではなく,n! 1で割ることに注意してください。

不偏分散は,その期待値が母分散に等しくなるように調整された分散です1。同じ母集団から何度もくりかえし標本を取り出して,そのつど不偏分散の値を計算したとすると,取り出される標本は毎回異なるので,不偏分散の値も毎回違います。毎回違いますが,その期待値は母分散と同じ,というものです。なぜ,nではなく n! 1で割るのでしょうか? それを直観的に理解するために,図 1をみてみましょう。図 1では標本サイズを2つ(2つしか標本をとらない)とします。母分散は,各データと母平均とのへだたりの2乗の平均です。これに対して,標本サイズ n(この場合は 2)で割った標本分散は,標本と標本平均とのへだたりの2乗の平均になっています。2つの標本がどちらも母平均から偏ってへだたっていても,標本平均はつねに2つの標本の中間にあります。ですから,「標本と標本平均とのへだたり」は「標本と母平均とのへだたり」よりは小さくなります。この違いを調整するために,nではなく n! 1で割っているのです2。

1このことを,「不偏分散は母分散の不偏推定量である」といいます。2なぜ n! 1で調整するのかは,私の「解析応用」(2012年度秋学期)第12回で説明しています。

浅野 晃/統計学(2013 年度秋学期) 第13回 (2013. 12. 19) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

「不偏」とは?

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

不偏分散計算のときに少し大きめにする

2013年度秋学期 統計学 第13回不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散と t分布

前回の講義で,母集団の度数分布(母集団分布)が正規分布であるときに,母集団分布の平均(母平均)の区間推定を行う方法を説明しました。このとき,母集団分布の分散(母分散)があらかじめわかっているものとして,推定の方法を説明しました。

しかし,母集団分布の平均が不明なのに母集団分布の分散がわかっているというのは,どう考えてもヘンです。母平均が不明ならば,母分散も不明なのが普通でしょう。そこで今回は,母分散も不明なときに,標本から計算される値である「不偏分散」を用いて母平均の推定を行う方法と,そのために用いる「t 分布」という確率分布について説明します。

不偏分散

上で述べたように「母平均が未知なのに母分散が既知」というのは現実にはありえないことで,実際には母平均が未知なら母分散も未知のはずです。つまり「不確かな測定は,その不確かさも不確か」というわけです。

そこで,未知の母分散のかわりに,標本から推定した分散を使って,母平均を推測することを考えます。分散は「(各データの,期待値(平均)からのへだたり)の2乗の,そのまた期待値(平均)」ですから,これに対応して「(各標本の,標本平均からのへだたり)の2乗の,そのまた平均」を考えます。これを不偏分散(不偏標本分散)といい,標本サイズを n,標本をX1, X2, . . . , Xn,標本平均を X̄ とするとき,不偏分散 s2は

s2 =1

n! 1

!(X1 ! X̄)2 + (X2 ! X̄)2 + · · ·+ (Xn ! X̄)2

"(1)

S2 =1

n

!(X1 ! X̄)2 + (X2 ! X̄)2 + · · ·+ (Xn ! X̄)2

"(2)

となります。標本サイズの nそのものではなく,n! 1で割ることに注意してください。

不偏分散は,その期待値が母分散に等しくなるように調整された分散です1。同じ母集団から何度もくりかえし標本を取り出して,そのつど不偏分散の値を計算したとすると,取り出される標本は毎回異なるので,不偏分散の値も毎回違います。毎回違いますが,その期待値は母分散と同じ,というものです。なぜ,nではなく n! 1で割るのでしょうか? それを直観的に理解するために,図 1をみてみましょう。図 1では標本サイズを2つ(2つしか標本をとらない)とします。母分散は,各データと母平均とのへだたりの2乗の平均です。これに対して,標本サイズ n(この場合は 2)で割った標本分散は,標本と標本平均とのへだたりの2乗の平均になっています。2つの標本がどちらも母平均から偏ってへだたっていても,標本平均はつねに2つの標本の中間にあります。ですから,「標本と標本平均とのへだたり」は「標本と母平均とのへだたり」よりは小さくなります。この違いを調整するために,nではなく n! 1で割っているのです2。

1このことを,「不偏分散は母分散の不偏推定量である」といいます。2なぜ n! 1で調整するのかは,私の「解析応用」(2012年度秋学期)第12回で説明しています。

浅野 晃/統計学(2013 年度秋学期) 第13回 (2013. 12. 19) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

(標本サイズ - 1)で割る

「不偏」とは?

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

不偏分散計算のときに少し大きめにする

2013年度秋学期 統計学 第13回不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散と t分布

前回の講義で,母集団の度数分布(母集団分布)が正規分布であるときに,母集団分布の平均(母平均)の区間推定を行う方法を説明しました。このとき,母集団分布の分散(母分散)があらかじめわかっているものとして,推定の方法を説明しました。

しかし,母集団分布の平均が不明なのに母集団分布の分散がわかっているというのは,どう考えてもヘンです。母平均が不明ならば,母分散も不明なのが普通でしょう。そこで今回は,母分散も不明なときに,標本から計算される値である「不偏分散」を用いて母平均の推定を行う方法と,そのために用いる「t 分布」という確率分布について説明します。

不偏分散

上で述べたように「母平均が未知なのに母分散が既知」というのは現実にはありえないことで,実際には母平均が未知なら母分散も未知のはずです。つまり「不確かな測定は,その不確かさも不確か」というわけです。

そこで,未知の母分散のかわりに,標本から推定した分散を使って,母平均を推測することを考えます。分散は「(各データの,期待値(平均)からのへだたり)の2乗の,そのまた期待値(平均)」ですから,これに対応して「(各標本の,標本平均からのへだたり)の2乗の,そのまた平均」を考えます。これを不偏分散(不偏標本分散)といい,標本サイズを n,標本をX1, X2, . . . , Xn,標本平均を X̄ とするとき,不偏分散 s2は

s2 =1

n! 1

!(X1 ! X̄)2 + (X2 ! X̄)2 + · · ·+ (Xn ! X̄)2

"(1)

S2 =1

n

!(X1 ! X̄)2 + (X2 ! X̄)2 + · · ·+ (Xn ! X̄)2

"(2)

となります。標本サイズの nそのものではなく,n! 1で割ることに注意してください。

不偏分散は,その期待値が母分散に等しくなるように調整された分散です1。同じ母集団から何度もくりかえし標本を取り出して,そのつど不偏分散の値を計算したとすると,取り出される標本は毎回異なるので,不偏分散の値も毎回違います。毎回違いますが,その期待値は母分散と同じ,というものです。なぜ,nではなく n! 1で割るのでしょうか? それを直観的に理解するために,図 1をみてみましょう。図 1では標本サイズを2つ(2つしか標本をとらない)とします。母分散は,各データと母平均とのへだたりの2乗の平均です。これに対して,標本サイズ n(この場合は 2)で割った標本分散は,標本と標本平均とのへだたりの2乗の平均になっています。2つの標本がどちらも母平均から偏ってへだたっていても,標本平均はつねに2つの標本の中間にあります。ですから,「標本と標本平均とのへだたり」は「標本と母平均とのへだたり」よりは小さくなります。この違いを調整するために,nではなく n! 1で割っているのです2。

1このことを,「不偏分散は母分散の不偏推定量である」といいます。2なぜ n! 1で調整するのかは,私の「解析応用」(2012年度秋学期)第12回で説明しています。

浅野 晃/統計学(2013 年度秋学期) 第13回 (2013. 12. 19) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

(標本サイズ - 1)で割る

これを不偏分散(不偏標本分散)といい,母分散の代用に用いる

「不偏」とは?

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2013年度秋学期 統計学

A. A

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, Kan

sai U

niv.

「不偏」とは?

「不偏」とは「えこひいきしない」こと

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

「不偏」とは?標本平均との隔たりを使って分散を計算すると,母分散よりもたいてい小さめになる

「不偏」とは「えこひいきしない」こと

Page 104: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

「不偏」とは?

計算のときに少し大きめにすると?

標本平均との隔たりを使って分散を計算すると,母分散よりもたいてい小さめになる

「不偏」とは「えこひいきしない」こと

Page 105: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

「不偏」とは?

計算のときに少し大きめにすると?

標本平均との隔たりを使って分散を計算すると,母分散よりもたいてい小さめになる

母分散と一致するわけではないが母分散より大きくも小さくも平等にはずれる

「不偏」とは「えこひいきしない」こと

Page 106: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

Page 107: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

不偏分散を用いた区間推定

Page 108: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

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, Kan

sai U

niv.

正規分布の場合の区間推定例題 標本X1, ... Xnをとりだす

サイズn母集団(受験者全体)

母平均μ 母平均μの95%信頼区間が知りたい正規分布

と仮定する

標本平均 X

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

正規分布の場合の区間推定例題 標本X1, ... Xnをとりだす

サイズn母集団(受験者全体)

母平均μ 母平均μの95%信頼区間が知りたい正規分布

と仮定する

母分散σ2がわかっているものとする

標本平均 X

Page 110: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

正規分布の場合の区間推定例題 標本X1, ... Xnをとりだす

サイズn母集団(受験者全体)

母平均μ 母平均μの95%信頼区間が知りたい正規分布

と仮定する

母分散σ2がわかっているものとする(説明の都合です)

標本平均 X

Page 111: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

正規分布の場合の区間推定考え方

標本は,母集団分布と同じ確率分布にしたがう

Page 112: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

正規分布の場合の区間推定考え方

標本は,母集団分布と同じ確率分布にしたがう

Page 113: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

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, Kan

sai U

niv.

正規分布の場合の区間推定考え方

標本は,母集団分布と同じ確率分布にしたがう 正規分布N(μ, σ2)

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

正規分布の場合の区間推定考え方

標本は,母集団分布と同じ確率分布にしたがう 正規分布N(μ, σ2)

標本平均は,やはり正規分布にしたがうが,分散が1/nになる

Page 115: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

正規分布の場合の区間推定考え方

標本は,母集団分布と同じ確率分布にしたがう 正規分布N(μ, σ2)

標本平均は,やはり正規分布にしたがうが,分散が1/nになる

Page 116: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

正規分布の場合の区間推定考え方

標本は,母集団分布と同じ確率分布にしたがう 正規分布N(μ, σ2)

標本平均は,やはり正規分布にしたがうが,分散が1/nになる

Page 117: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

正規分布の場合の区間推定考え方

標本は,母集団分布と同じ確率分布にしたがう 正規分布N(μ, σ2)

標本平均は,やはり正規分布にしたがうが,分散が1/nになる [性質2]

Page 118: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

正規分布の場合の区間推定考え方

標本は,母集団分布と同じ確率分布にしたがう 正規分布N(μ, σ2)

標本平均は,やはり正規分布にしたがうが,分散が1/nになる

正規分布N(μ, σ2/n)[性質2]

Page 119: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

正規分布の場合の区間推定考え方標本は,母集団分布と同じ確率分布にしたがう

正規分布N(μ, σ2)

標本平均は,やはり正規分布にしたがうが,分散が1/nになる 正規分布N(μ, σ2/n)[性質2]

X

Page 120: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

正規分布の場合の区間推定考え方標本は,母集団分布と同じ確率分布にしたがう

正規分布N(μ, σ2)

標本平均は,やはり正規分布にしたがうが,分散が1/nになる 正規分布N(μ, σ2/n)[性質2]

正規分布の[性質1]により

X

Page 121: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

正規分布の場合の区間推定考え方標本は,母集団分布と同じ確率分布にしたがう

正規分布N(μ, σ2)

標本平均は,やはり正規分布にしたがうが,分散が1/nになる 正規分布N(μ, σ2/n)[性質2]

正規分布の[性質1]により

X

いまから推定する母平均を µとし,母分散(こちらはすでにわかっているものとされています)を !2

とします。そうすると,母集団分布は平均 µ,分散 !2の正規分布,すなわちN(µ,!2)となります。このとき,標本は無作為抽出されていますから,標本は確率変数で,母集団分布と同じ確率分布にしたがいます。すなわち,n人からなる標本のそれぞれの確率分布もまたN(µ,!2)です。

このとき,標本平均 X̄ は,n人からなる標本をX1, . . . , Xn で表すと,(X1 + · · · + Xn)/nで表されます。

ここで,第11回の講義で述べた「正規分布の性質2(正規分布の再生性)」,すなわち

X1, ..., Xn が独立で,いずれも正規分布 N(µ,!2)にしたがうならば,それらの平均 (X1 +

...+Xn)/nはN(µ,!2/n)にしたがう

を用いると,n人からなる標本はこの性質の X1, ..., Xn にあてはまっていますから,「標本平均 X̄ はN(µ,!2/n)にしたがう」ことがわかります。

さらに,Z =

X̄ ! µ!!2/n

(1)

という値を計算すると,第11回の講義で述べた「正規分布の性質1」から,Zは標準正規分布N(0, 1)

にしたがうことがわかります。

そこで,「Z が入っている確率が 95%である区間」はどういうものか考えてみましょう。第5回の講義の「連続型確率分布」のところで説明したように,Z がある区間に入る確率は,標準正規分布の確率密度関数のグラフの下の,その区間に対応する部分の面積になります。この部分の面積が全体の 95%になるように,左右対称に Z の区間をとることにし,図 3(a)のように表します。このときの Z の区間の両端を!uと uとすると,Z がこの区間に入る確率すなわち P (!u ! Z ! u) = 0.95となります。このとき,図 3(b)のように,P (Z " u) = 0.025となります。P (Z " u) = 0.025となる uは,正規分布の数表から求めることができます。数表によると,u = 1.96のとき,P (Z " 1.96) = 0.024998 " 0.025であることがわかります。すなわち,P (!1.96 ! Z ! 1.96) = 0.95ということがわかります。

ところで,(1)式の関係を P (!1.96 ! Z ! 1.96) = 0.95に用いると,

P (!1.96 ! X̄ ! µ!!2/n

! 1.96) = 0.95 (2)

という関係があることがわかります。ここで,今知りたいのは母集団の平均 µの範囲ですから,(2)式を µの範囲に書き換えると

P (X̄ ! 1.96!

!2/n ! µ ! X̄ + 1.96!

!2/n) = 0.95 (3)

という関係が得られます。この範囲が,µの 95%信頼区間となります。この問題では,標本平均 X̄ = 50,母集団の分散 !2 = 25ですから,これらの数値を (3)式に入れると,求める 95%信頼区間は「46.9以上53.1以下」となります。「46.9以上 53.1以下」という区間を,数学では [46.9, 53.1]と書きます。

「95%信頼区間」の真の意味

前節で,母平均µの区間推定の結果を「求める 95%信頼区間は『46.9以上 53.1以下』」と書き,P (46.9 !µ ! 53.1)とは書きませんでした。それは,この書き方は間違いだからです。

浅野 晃/統計学(2013 年度秋学期) 第12回 (2013. 12. 12) http://racco.mikeneko.jp/  3/5 ページ

は標準正規分布にしたがう

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

正規分布の場合の区間推定考え方標本は,母集団分布と同じ確率分布にしたがう

正規分布N(μ, σ2)

標本平均は,やはり正規分布にしたがうが,分散が1/nになる 正規分布N(μ, σ2/n)[性質2]

正規分布の[性質1]により

X

いまから推定する母平均を µとし,母分散(こちらはすでにわかっているものとされています)を !2

とします。そうすると,母集団分布は平均 µ,分散 !2の正規分布,すなわちN(µ,!2)となります。このとき,標本は無作為抽出されていますから,標本は確率変数で,母集団分布と同じ確率分布にしたがいます。すなわち,n人からなる標本のそれぞれの確率分布もまたN(µ,!2)です。

このとき,標本平均 X̄ は,n人からなる標本をX1, . . . , Xn で表すと,(X1 + · · · + Xn)/nで表されます。

ここで,第11回の講義で述べた「正規分布の性質2(正規分布の再生性)」,すなわち

X1, ..., Xn が独立で,いずれも正規分布 N(µ,!2)にしたがうならば,それらの平均 (X1 +

...+Xn)/nはN(µ,!2/n)にしたがう

を用いると,n人からなる標本はこの性質の X1, ..., Xn にあてはまっていますから,「標本平均 X̄ はN(µ,!2/n)にしたがう」ことがわかります。

さらに,Z =

X̄ ! µ!!2/n

(1)

という値を計算すると,第11回の講義で述べた「正規分布の性質1」から,Zは標準正規分布N(0, 1)

にしたがうことがわかります。

そこで,「Z が入っている確率が 95%である区間」はどういうものか考えてみましょう。第5回の講義の「連続型確率分布」のところで説明したように,Z がある区間に入る確率は,標準正規分布の確率密度関数のグラフの下の,その区間に対応する部分の面積になります。この部分の面積が全体の 95%になるように,左右対称に Z の区間をとることにし,図 3(a)のように表します。このときの Z の区間の両端を!uと uとすると,Z がこの区間に入る確率すなわち P (!u ! Z ! u) = 0.95となります。このとき,図 3(b)のように,P (Z " u) = 0.025となります。P (Z " u) = 0.025となる uは,正規分布の数表から求めることができます。数表によると,u = 1.96のとき,P (Z " 1.96) = 0.024998 " 0.025であることがわかります。すなわち,P (!1.96 ! Z ! 1.96) = 0.95ということがわかります。

ところで,(1)式の関係を P (!1.96 ! Z ! 1.96) = 0.95に用いると,

P (!1.96 ! X̄ ! µ!!2/n

! 1.96) = 0.95 (2)

という関係があることがわかります。ここで,今知りたいのは母集団の平均 µの範囲ですから,(2)式を µの範囲に書き換えると

P (X̄ ! 1.96!

!2/n ! µ ! X̄ + 1.96!

!2/n) = 0.95 (3)

という関係が得られます。この範囲が,µの 95%信頼区間となります。この問題では,標本平均 X̄ = 50,母集団の分散 !2 = 25ですから,これらの数値を (3)式に入れると,求める 95%信頼区間は「46.9以上53.1以下」となります。「46.9以上 53.1以下」という区間を,数学では [46.9, 53.1]と書きます。

「95%信頼区間」の真の意味

前節で,母平均µの区間推定の結果を「求める 95%信頼区間は『46.9以上 53.1以下』」と書き,P (46.9 !µ ! 53.1)とは書きませんでした。それは,この書き方は間違いだからです。

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は標準正規分布にしたがう

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

正規分布の場合の区間推定考え方標本は,母集団分布と同じ確率分布にしたがう

正規分布N(μ, σ2)

標本平均は,やはり正規分布にしたがうが,分散が1/nになる 正規分布N(μ, σ2/n)[性質2]

正規分布の[性質1]により

X

いまから推定する母平均を µとし,母分散(こちらはすでにわかっているものとされています)を !2

とします。そうすると,母集団分布は平均 µ,分散 !2の正規分布,すなわちN(µ,!2)となります。このとき,標本は無作為抽出されていますから,標本は確率変数で,母集団分布と同じ確率分布にしたがいます。すなわち,n人からなる標本のそれぞれの確率分布もまたN(µ,!2)です。

このとき,標本平均 X̄ は,n人からなる標本をX1, . . . , Xn で表すと,(X1 + · · · + Xn)/nで表されます。

ここで,第11回の講義で述べた「正規分布の性質2(正規分布の再生性)」,すなわち

X1, ..., Xn が独立で,いずれも正規分布 N(µ,!2)にしたがうならば,それらの平均 (X1 +

...+Xn)/nはN(µ,!2/n)にしたがう

を用いると,n人からなる標本はこの性質の X1, ..., Xn にあてはまっていますから,「標本平均 X̄ はN(µ,!2/n)にしたがう」ことがわかります。

さらに,Z =

X̄ ! µ!!2/n

(1)

という値を計算すると,第11回の講義で述べた「正規分布の性質1」から,Zは標準正規分布N(0, 1)

にしたがうことがわかります。

そこで,「Z が入っている確率が 95%である区間」はどういうものか考えてみましょう。第5回の講義の「連続型確率分布」のところで説明したように,Z がある区間に入る確率は,標準正規分布の確率密度関数のグラフの下の,その区間に対応する部分の面積になります。この部分の面積が全体の 95%になるように,左右対称に Z の区間をとることにし,図 3(a)のように表します。このときの Z の区間の両端を!uと uとすると,Z がこの区間に入る確率すなわち P (!u ! Z ! u) = 0.95となります。このとき,図 3(b)のように,P (Z " u) = 0.025となります。P (Z " u) = 0.025となる uは,正規分布の数表から求めることができます。数表によると,u = 1.96のとき,P (Z " 1.96) = 0.024998 " 0.025であることがわかります。すなわち,P (!1.96 ! Z ! 1.96) = 0.95ということがわかります。

ところで,(1)式の関係を P (!1.96 ! Z ! 1.96) = 0.95に用いると,

P (!1.96 ! X̄ ! µ!!2/n

! 1.96) = 0.95 (2)

という関係があることがわかります。ここで,今知りたいのは母集団の平均 µの範囲ですから,(2)式を µの範囲に書き換えると

P (X̄ ! 1.96!

!2/n ! µ ! X̄ + 1.96!

!2/n) = 0.95 (3)

という関係が得られます。この範囲が,µの 95%信頼区間となります。この問題では,標本平均 X̄ = 50,母集団の分散 !2 = 25ですから,これらの数値を (3)式に入れると,求める 95%信頼区間は「46.9以上53.1以下」となります。「46.9以上 53.1以下」という区間を,数学では [46.9, 53.1]と書きます。

「95%信頼区間」の真の意味

前節で,母平均µの区間推定の結果を「求める 95%信頼区間は『46.9以上 53.1以下』」と書き,P (46.9 !µ ! 53.1)とは書きませんでした。それは,この書き方は間違いだからです。

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は標準正規分布にしたがう

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

正規分布の場合の区間推定考え方標本は,母集団分布と同じ確率分布にしたがう

正規分布N(μ, σ2)

標本平均は,やはり正規分布にしたがうが,分散が1/nになる 正規分布N(μ, σ2/n)[性質2]

正規分布の[性質1]により

X

いまから推定する母平均を µとし,母分散(こちらはすでにわかっているものとされています)を !2

とします。そうすると,母集団分布は平均 µ,分散 !2の正規分布,すなわちN(µ,!2)となります。このとき,標本は無作為抽出されていますから,標本は確率変数で,母集団分布と同じ確率分布にしたがいます。すなわち,n人からなる標本のそれぞれの確率分布もまたN(µ,!2)です。

このとき,標本平均 X̄ は,n人からなる標本をX1, . . . , Xn で表すと,(X1 + · · · + Xn)/nで表されます。

ここで,第11回の講義で述べた「正規分布の性質2(正規分布の再生性)」,すなわち

X1, ..., Xn が独立で,いずれも正規分布 N(µ,!2)にしたがうならば,それらの平均 (X1 +

...+Xn)/nはN(µ,!2/n)にしたがう

を用いると,n人からなる標本はこの性質の X1, ..., Xn にあてはまっていますから,「標本平均 X̄ はN(µ,!2/n)にしたがう」ことがわかります。

さらに,Z =

X̄ ! µ!!2/n

(1)

という値を計算すると,第11回の講義で述べた「正規分布の性質1」から,Zは標準正規分布N(0, 1)

にしたがうことがわかります。

そこで,「Z が入っている確率が 95%である区間」はどういうものか考えてみましょう。第5回の講義の「連続型確率分布」のところで説明したように,Z がある区間に入る確率は,標準正規分布の確率密度関数のグラフの下の,その区間に対応する部分の面積になります。この部分の面積が全体の 95%になるように,左右対称に Z の区間をとることにし,図 3(a)のように表します。このときの Z の区間の両端を!uと uとすると,Z がこの区間に入る確率すなわち P (!u ! Z ! u) = 0.95となります。このとき,図 3(b)のように,P (Z " u) = 0.025となります。P (Z " u) = 0.025となる uは,正規分布の数表から求めることができます。数表によると,u = 1.96のとき,P (Z " 1.96) = 0.024998 " 0.025であることがわかります。すなわち,P (!1.96 ! Z ! 1.96) = 0.95ということがわかります。

ところで,(1)式の関係を P (!1.96 ! Z ! 1.96) = 0.95に用いると,

P (!1.96 ! X̄ ! µ!!2/n

! 1.96) = 0.95 (2)

という関係があることがわかります。ここで,今知りたいのは母集団の平均 µの範囲ですから,(2)式を µの範囲に書き換えると

P (X̄ ! 1.96!

!2/n ! µ ! X̄ + 1.96!

!2/n) = 0.95 (3)

という関係が得られます。この範囲が,µの 95%信頼区間となります。この問題では,標本平均 X̄ = 50,母集団の分散 !2 = 25ですから,これらの数値を (3)式に入れると,求める 95%信頼区間は「46.9以上53.1以下」となります。「46.9以上 53.1以下」という区間を,数学では [46.9, 53.1]と書きます。

「95%信頼区間」の真の意味

前節で,母平均µの区間推定の結果を「求める 95%信頼区間は『46.9以上 53.1以下』」と書き,P (46.9 !µ ! 53.1)とは書きませんでした。それは,この書き方は間違いだからです。

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は標準正規分布にしたがう

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

正規分布の場合の区間推定考え方標本は,母集団分布と同じ確率分布にしたがう

正規分布N(μ, σ2)

標本平均は,やはり正規分布にしたがうが,分散が1/nになる 正規分布N(μ, σ2/n)[性質2]

正規分布の[性質1]により

X

いまから推定する母平均を µとし,母分散(こちらはすでにわかっているものとされています)を !2

とします。そうすると,母集団分布は平均 µ,分散 !2の正規分布,すなわちN(µ,!2)となります。このとき,標本は無作為抽出されていますから,標本は確率変数で,母集団分布と同じ確率分布にしたがいます。すなわち,n人からなる標本のそれぞれの確率分布もまたN(µ,!2)です。

このとき,標本平均 X̄ は,n人からなる標本をX1, . . . , Xn で表すと,(X1 + · · · + Xn)/nで表されます。

ここで,第11回の講義で述べた「正規分布の性質2(正規分布の再生性)」,すなわち

X1, ..., Xn が独立で,いずれも正規分布 N(µ,!2)にしたがうならば,それらの平均 (X1 +

...+Xn)/nはN(µ,!2/n)にしたがう

を用いると,n人からなる標本はこの性質の X1, ..., Xn にあてはまっていますから,「標本平均 X̄ はN(µ,!2/n)にしたがう」ことがわかります。

さらに,Z =

X̄ ! µ!!2/n

(1)

という値を計算すると,第11回の講義で述べた「正規分布の性質1」から,Zは標準正規分布N(0, 1)

にしたがうことがわかります。

そこで,「Z が入っている確率が 95%である区間」はどういうものか考えてみましょう。第5回の講義の「連続型確率分布」のところで説明したように,Z がある区間に入る確率は,標準正規分布の確率密度関数のグラフの下の,その区間に対応する部分の面積になります。この部分の面積が全体の 95%になるように,左右対称に Z の区間をとることにし,図 3(a)のように表します。このときの Z の区間の両端を!uと uとすると,Z がこの区間に入る確率すなわち P (!u ! Z ! u) = 0.95となります。このとき,図 3(b)のように,P (Z " u) = 0.025となります。P (Z " u) = 0.025となる uは,正規分布の数表から求めることができます。数表によると,u = 1.96のとき,P (Z " 1.96) = 0.024998 " 0.025であることがわかります。すなわち,P (!1.96 ! Z ! 1.96) = 0.95ということがわかります。

ところで,(1)式の関係を P (!1.96 ! Z ! 1.96) = 0.95に用いると,

P (!1.96 ! X̄ ! µ!!2/n

! 1.96) = 0.95 (2)

という関係があることがわかります。ここで,今知りたいのは母集団の平均 µの範囲ですから,(2)式を µの範囲に書き換えると

P (X̄ ! 1.96!

!2/n ! µ ! X̄ + 1.96!

!2/n) = 0.95 (3)

という関係が得られます。この範囲が,µの 95%信頼区間となります。この問題では,標本平均 X̄ = 50,母集団の分散 !2 = 25ですから,これらの数値を (3)式に入れると,求める 95%信頼区間は「46.9以上53.1以下」となります。「46.9以上 53.1以下」という区間を,数学では [46.9, 53.1]と書きます。

「95%信頼区間」の真の意味

前節で,母平均µの区間推定の結果を「求める 95%信頼区間は『46.9以上 53.1以下』」と書き,P (46.9 !µ ! 53.1)とは書きませんでした。それは,この書き方は間違いだからです。

浅野 晃/統計学(2013 年度秋学期) 第12回 (2013. 12. 12) http://racco.mikeneko.jp/  3/5 ページ

は標準正規分布にしたがうN(0, 1)

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

母分散はわからない

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

母分散はわからない

いまから推定する母平均を µとし,母分散(こちらはすでにわかっているものとされています)を !2

とします。そうすると,母集団分布は平均 µ,分散 !2の正規分布,すなわちN(µ,!2)となります。このとき,標本は無作為抽出されていますから,標本は確率変数で,母集団分布と同じ確率分布にしたがいます。すなわち,n人からなる標本のそれぞれの確率分布もまたN(µ,!2)です。

このとき,標本平均 X̄ は,n人からなる標本をX1, . . . , Xn で表すと,(X1 + · · · + Xn)/nで表されます。

ここで,第11回の講義で述べた「正規分布の性質2(正規分布の再生性)」,すなわち

X1, ..., Xn が独立で,いずれも正規分布 N(µ,!2)にしたがうならば,それらの平均 (X1 +

...+Xn)/nはN(µ,!2/n)にしたがう

を用いると,n人からなる標本はこの性質の X1, ..., Xn にあてはまっていますから,「標本平均 X̄ はN(µ,!2/n)にしたがう」ことがわかります。

さらに,Z =

X̄ ! µ!!2/n

(1)

という値を計算すると,第11回の講義で述べた「正規分布の性質1」から,Zは標準正規分布N(0, 1)

にしたがうことがわかります。

そこで,「Z が入っている確率が 95%である区間」はどういうものか考えてみましょう。第5回の講義の「連続型確率分布」のところで説明したように,Z がある区間に入る確率は,標準正規分布の確率密度関数のグラフの下の,その区間に対応する部分の面積になります。この部分の面積が全体の 95%になるように,左右対称に Z の区間をとることにし,図 3(a)のように表します。このときの Z の区間の両端を!uと uとすると,Z がこの区間に入る確率すなわち P (!u ! Z ! u) = 0.95となります。このとき,図 3(b)のように,P (Z " u) = 0.025となります。P (Z " u) = 0.025となる uは,正規分布の数表から求めることができます。数表によると,u = 1.96のとき,P (Z " 1.96) = 0.024998 " 0.025であることがわかります。すなわち,P (!1.96 ! Z ! 1.96) = 0.95ということがわかります。

ところで,(1)式の関係を P (!1.96 ! Z ! 1.96) = 0.95に用いると,

P (!1.96 ! X̄ ! µ!!2/n

! 1.96) = 0.95 (2)

という関係があることがわかります。ここで,今知りたいのは母集団の平均 µの範囲ですから,(2)式を µの範囲に書き換えると

P (X̄ ! 1.96!

!2/n ! µ ! X̄ + 1.96!

!2/n) = 0.95 (3)

という関係が得られます。この範囲が,µの 95%信頼区間となります。この問題では,標本平均 X̄ = 50,母集団の分散 !2 = 25ですから,これらの数値を (3)式に入れると,求める 95%信頼区間は「46.9以上53.1以下」となります。「46.9以上 53.1以下」という区間を,数学では [46.9, 53.1]と書きます。

「95%信頼区間」の真の意味

前節で,母平均µの区間推定の結果を「求める 95%信頼区間は『46.9以上 53.1以下』」と書き,P (46.9 !µ ! 53.1)とは書きませんでした。それは,この書き方は間違いだからです。

浅野 晃/統計学(2013 年度秋学期) 第12回 (2013. 12. 12) http://racco.mikeneko.jp/  3/5 ページ

は標準正規分布にしたがうN(0, 1)

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

母分散はわからない

いまから推定する母平均を µとし,母分散(こちらはすでにわかっているものとされています)を !2

とします。そうすると,母集団分布は平均 µ,分散 !2の正規分布,すなわちN(µ,!2)となります。このとき,標本は無作為抽出されていますから,標本は確率変数で,母集団分布と同じ確率分布にしたがいます。すなわち,n人からなる標本のそれぞれの確率分布もまたN(µ,!2)です。

このとき,標本平均 X̄ は,n人からなる標本をX1, . . . , Xn で表すと,(X1 + · · · + Xn)/nで表されます。

ここで,第11回の講義で述べた「正規分布の性質2(正規分布の再生性)」,すなわち

X1, ..., Xn が独立で,いずれも正規分布 N(µ,!2)にしたがうならば,それらの平均 (X1 +

...+Xn)/nはN(µ,!2/n)にしたがう

を用いると,n人からなる標本はこの性質の X1, ..., Xn にあてはまっていますから,「標本平均 X̄ はN(µ,!2/n)にしたがう」ことがわかります。

さらに,Z =

X̄ ! µ!!2/n

(1)

という値を計算すると,第11回の講義で述べた「正規分布の性質1」から,Zは標準正規分布N(0, 1)

にしたがうことがわかります。

そこで,「Z が入っている確率が 95%である区間」はどういうものか考えてみましょう。第5回の講義の「連続型確率分布」のところで説明したように,Z がある区間に入る確率は,標準正規分布の確率密度関数のグラフの下の,その区間に対応する部分の面積になります。この部分の面積が全体の 95%になるように,左右対称に Z の区間をとることにし,図 3(a)のように表します。このときの Z の区間の両端を!uと uとすると,Z がこの区間に入る確率すなわち P (!u ! Z ! u) = 0.95となります。このとき,図 3(b)のように,P (Z " u) = 0.025となります。P (Z " u) = 0.025となる uは,正規分布の数表から求めることができます。数表によると,u = 1.96のとき,P (Z " 1.96) = 0.024998 " 0.025であることがわかります。すなわち,P (!1.96 ! Z ! 1.96) = 0.95ということがわかります。

ところで,(1)式の関係を P (!1.96 ! Z ! 1.96) = 0.95に用いると,

P (!1.96 ! X̄ ! µ!!2/n

! 1.96) = 0.95 (2)

という関係があることがわかります。ここで,今知りたいのは母集団の平均 µの範囲ですから,(2)式を µの範囲に書き換えると

P (X̄ ! 1.96!

!2/n ! µ ! X̄ + 1.96!

!2/n) = 0.95 (3)

という関係が得られます。この範囲が,µの 95%信頼区間となります。この問題では,標本平均 X̄ = 50,母集団の分散 !2 = 25ですから,これらの数値を (3)式に入れると,求める 95%信頼区間は「46.9以上53.1以下」となります。「46.9以上 53.1以下」という区間を,数学では [46.9, 53.1]と書きます。

「95%信頼区間」の真の意味

前節で,母平均µの区間推定の結果を「求める 95%信頼区間は『46.9以上 53.1以下』」と書き,P (46.9 !µ ! 53.1)とは書きませんでした。それは,この書き方は間違いだからです。

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は標準正規分布にしたがうN(0, 1)

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

母分散はわからない

いまから推定する母平均を µとし,母分散(こちらはすでにわかっているものとされています)を !2

とします。そうすると,母集団分布は平均 µ,分散 !2の正規分布,すなわちN(µ,!2)となります。このとき,標本は無作為抽出されていますから,標本は確率変数で,母集団分布と同じ確率分布にしたがいます。すなわち,n人からなる標本のそれぞれの確率分布もまたN(µ,!2)です。

このとき,標本平均 X̄ は,n人からなる標本をX1, . . . , Xn で表すと,(X1 + · · · + Xn)/nで表されます。

ここで,第11回の講義で述べた「正規分布の性質2(正規分布の再生性)」,すなわち

X1, ..., Xn が独立で,いずれも正規分布 N(µ,!2)にしたがうならば,それらの平均 (X1 +

...+Xn)/nはN(µ,!2/n)にしたがう

を用いると,n人からなる標本はこの性質の X1, ..., Xn にあてはまっていますから,「標本平均 X̄ はN(µ,!2/n)にしたがう」ことがわかります。

さらに,Z =

X̄ ! µ!!2/n

(1)

という値を計算すると,第11回の講義で述べた「正規分布の性質1」から,Zは標準正規分布N(0, 1)

にしたがうことがわかります。

そこで,「Z が入っている確率が 95%である区間」はどういうものか考えてみましょう。第5回の講義の「連続型確率分布」のところで説明したように,Z がある区間に入る確率は,標準正規分布の確率密度関数のグラフの下の,その区間に対応する部分の面積になります。この部分の面積が全体の 95%になるように,左右対称に Z の区間をとることにし,図 3(a)のように表します。このときの Z の区間の両端を!uと uとすると,Z がこの区間に入る確率すなわち P (!u ! Z ! u) = 0.95となります。このとき,図 3(b)のように,P (Z " u) = 0.025となります。P (Z " u) = 0.025となる uは,正規分布の数表から求めることができます。数表によると,u = 1.96のとき,P (Z " 1.96) = 0.024998 " 0.025であることがわかります。すなわち,P (!1.96 ! Z ! 1.96) = 0.95ということがわかります。

ところで,(1)式の関係を P (!1.96 ! Z ! 1.96) = 0.95に用いると,

P (!1.96 ! X̄ ! µ!!2/n

! 1.96) = 0.95 (2)

という関係があることがわかります。ここで,今知りたいのは母集団の平均 µの範囲ですから,(2)式を µの範囲に書き換えると

P (X̄ ! 1.96!

!2/n ! µ ! X̄ + 1.96!

!2/n) = 0.95 (3)

という関係が得られます。この範囲が,µの 95%信頼区間となります。この問題では,標本平均 X̄ = 50,母集団の分散 !2 = 25ですから,これらの数値を (3)式に入れると,求める 95%信頼区間は「46.9以上53.1以下」となります。「46.9以上 53.1以下」という区間を,数学では [46.9, 53.1]と書きます。

「95%信頼区間」の真の意味

前節で,母平均µの区間推定の結果を「求める 95%信頼区間は『46.9以上 53.1以下』」と書き,P (46.9 !µ ! 53.1)とは書きませんでした。それは,この書き方は間違いだからです。

浅野 晃/統計学(2013 年度秋学期) 第12回 (2013. 12. 12) http://racco.mikeneko.jp/  3/5 ページ

は標準正規分布にしたがうN(0, 1)

本当は母分散はわからない

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

母分散はわからない

いまから推定する母平均を µとし,母分散(こちらはすでにわかっているものとされています)を !2

とします。そうすると,母集団分布は平均 µ,分散 !2の正規分布,すなわちN(µ,!2)となります。このとき,標本は無作為抽出されていますから,標本は確率変数で,母集団分布と同じ確率分布にしたがいます。すなわち,n人からなる標本のそれぞれの確率分布もまたN(µ,!2)です。

このとき,標本平均 X̄ は,n人からなる標本をX1, . . . , Xn で表すと,(X1 + · · · + Xn)/nで表されます。

ここで,第11回の講義で述べた「正規分布の性質2(正規分布の再生性)」,すなわち

X1, ..., Xn が独立で,いずれも正規分布 N(µ,!2)にしたがうならば,それらの平均 (X1 +

...+Xn)/nはN(µ,!2/n)にしたがう

を用いると,n人からなる標本はこの性質の X1, ..., Xn にあてはまっていますから,「標本平均 X̄ はN(µ,!2/n)にしたがう」ことがわかります。

さらに,Z =

X̄ ! µ!!2/n

(1)

という値を計算すると,第11回の講義で述べた「正規分布の性質1」から,Zは標準正規分布N(0, 1)

にしたがうことがわかります。

そこで,「Z が入っている確率が 95%である区間」はどういうものか考えてみましょう。第5回の講義の「連続型確率分布」のところで説明したように,Z がある区間に入る確率は,標準正規分布の確率密度関数のグラフの下の,その区間に対応する部分の面積になります。この部分の面積が全体の 95%になるように,左右対称に Z の区間をとることにし,図 3(a)のように表します。このときの Z の区間の両端を!uと uとすると,Z がこの区間に入る確率すなわち P (!u ! Z ! u) = 0.95となります。このとき,図 3(b)のように,P (Z " u) = 0.025となります。P (Z " u) = 0.025となる uは,正規分布の数表から求めることができます。数表によると,u = 1.96のとき,P (Z " 1.96) = 0.024998 " 0.025であることがわかります。すなわち,P (!1.96 ! Z ! 1.96) = 0.95ということがわかります。

ところで,(1)式の関係を P (!1.96 ! Z ! 1.96) = 0.95に用いると,

P (!1.96 ! X̄ ! µ!!2/n

! 1.96) = 0.95 (2)

という関係があることがわかります。ここで,今知りたいのは母集団の平均 µの範囲ですから,(2)式を µの範囲に書き換えると

P (X̄ ! 1.96!

!2/n ! µ ! X̄ + 1.96!

!2/n) = 0.95 (3)

という関係が得られます。この範囲が,µの 95%信頼区間となります。この問題では,標本平均 X̄ = 50,母集団の分散 !2 = 25ですから,これらの数値を (3)式に入れると,求める 95%信頼区間は「46.9以上53.1以下」となります。「46.9以上 53.1以下」という区間を,数学では [46.9, 53.1]と書きます。

「95%信頼区間」の真の意味

前節で,母平均µの区間推定の結果を「求める 95%信頼区間は『46.9以上 53.1以下』」と書き,P (46.9 !µ ! 53.1)とは書きませんでした。それは,この書き方は間違いだからです。

浅野 晃/統計学(2013 年度秋学期) 第12回 (2013. 12. 12) http://racco.mikeneko.jp/  3/5 ページ

は標準正規分布にしたがうN(0, 1)

本当は母分散はわからない

不偏分散で代用する

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

母分散はわからない

いまから推定する母平均を µとし,母分散(こちらはすでにわかっているものとされています)を !2

とします。そうすると,母集団分布は平均 µ,分散 !2の正規分布,すなわちN(µ,!2)となります。このとき,標本は無作為抽出されていますから,標本は確率変数で,母集団分布と同じ確率分布にしたがいます。すなわち,n人からなる標本のそれぞれの確率分布もまたN(µ,!2)です。

このとき,標本平均 X̄ は,n人からなる標本をX1, . . . , Xn で表すと,(X1 + · · · + Xn)/nで表されます。

ここで,第11回の講義で述べた「正規分布の性質2(正規分布の再生性)」,すなわち

X1, ..., Xn が独立で,いずれも正規分布 N(µ,!2)にしたがうならば,それらの平均 (X1 +

...+Xn)/nはN(µ,!2/n)にしたがう

を用いると,n人からなる標本はこの性質の X1, ..., Xn にあてはまっていますから,「標本平均 X̄ はN(µ,!2/n)にしたがう」ことがわかります。

さらに,Z =

X̄ ! µ!!2/n

(1)

という値を計算すると,第11回の講義で述べた「正規分布の性質1」から,Zは標準正規分布N(0, 1)

にしたがうことがわかります。

そこで,「Z が入っている確率が 95%である区間」はどういうものか考えてみましょう。第5回の講義の「連続型確率分布」のところで説明したように,Z がある区間に入る確率は,標準正規分布の確率密度関数のグラフの下の,その区間に対応する部分の面積になります。この部分の面積が全体の 95%になるように,左右対称に Z の区間をとることにし,図 3(a)のように表します。このときの Z の区間の両端を!uと uとすると,Z がこの区間に入る確率すなわち P (!u ! Z ! u) = 0.95となります。このとき,図 3(b)のように,P (Z " u) = 0.025となります。P (Z " u) = 0.025となる uは,正規分布の数表から求めることができます。数表によると,u = 1.96のとき,P (Z " 1.96) = 0.024998 " 0.025であることがわかります。すなわち,P (!1.96 ! Z ! 1.96) = 0.95ということがわかります。

ところで,(1)式の関係を P (!1.96 ! Z ! 1.96) = 0.95に用いると,

P (!1.96 ! X̄ ! µ!!2/n

! 1.96) = 0.95 (2)

という関係があることがわかります。ここで,今知りたいのは母集団の平均 µの範囲ですから,(2)式を µの範囲に書き換えると

P (X̄ ! 1.96!

!2/n ! µ ! X̄ + 1.96!

!2/n) = 0.95 (3)

という関係が得られます。この範囲が,µの 95%信頼区間となります。この問題では,標本平均 X̄ = 50,母集団の分散 !2 = 25ですから,これらの数値を (3)式に入れると,求める 95%信頼区間は「46.9以上53.1以下」となります。「46.9以上 53.1以下」という区間を,数学では [46.9, 53.1]と書きます。

「95%信頼区間」の真の意味

前節で,母平均µの区間推定の結果を「求める 95%信頼区間は『46.9以上 53.1以下』」と書き,P (46.9 !µ ! 53.1)とは書きませんでした。それは,この書き方は間違いだからです。

浅野 晃/統計学(2013 年度秋学期) 第12回 (2013. 12. 12) http://racco.mikeneko.jp/  3/5 ページ

は標準正規分布にしたがうN(0, 1)

本当は母分散はわからない

不偏分散で代用する

X1 X2

母平均

...

X

標本平均とのへだたりの和は,母平均とのへだたりの和よりもたいてい小さい

2つの標本の値の、

さまざまな可能性

X1 X2X

X1 X2X

母平均とのへだたり標本平均とのへだたり

図 1: なぜ n! 1で割るのか?

t分布と区間推定

前回の例で,母集団分布が母平均 µ,母分散 !2の正規分布で,そこから n個の標本を取り出したときの標本平均が X̄ であるとき,

Z =X̄ ! µ!!2/n

(3)

とおくと,Z は標準正規分布N(0, 1)にしたがうことを説明しました。これまでの例では,Z のこの性質を用いて,母平均 µの区間推定を行いました。

では,母分散 !2が不明であるとしましょう。このとき,(3)式には µと !2の2つの未知の量があるので,µの区間推定ができません。そこで,母分散 !2を,標本から計算される不偏分散 s2でおきかえた

t =X̄ ! µ!s2/n

(4)

というものを考えます。この tを t統計量といいます。Zは標準正規分布にしたがいますが,tはどのような分布にしたがうでしょうか?

この t統計量がしたがう確率分布は,標準正規分布ではなく,自由度 n! 1の t分布(スチューデントの t分布)という確率分布で,これを t(n! 1)と書きます。t分布の確率密度関数は標準正規分布とよく似ており,t = 0を中心とした左右対称の形になっています。

t分布を用いると,母分散が不明の場合でも,標準正規分布の場合と同様に母平均の信頼区間を求めることができます。次の問題を考えてみましょう。

ある試験の点数の分布は正規分布であるとします。この試験の受験者から 10人の標本を無作為抽出して,この 10人の点数を平均したところ 50点で,またこの 10人の点数の不偏分散が 52でした。このとき,受験者全体の平均点の 95%信頼区間を求めてください。

自由度 n! 1の t分布において,t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以上になる確率が 0.025であるような値」(「2.5パーセント点」といいます)とし,!t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以下になる確率が

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

母分散はわからない

いまから推定する母平均を µとし,母分散(こちらはすでにわかっているものとされています)を !2

とします。そうすると,母集団分布は平均 µ,分散 !2の正規分布,すなわちN(µ,!2)となります。このとき,標本は無作為抽出されていますから,標本は確率変数で,母集団分布と同じ確率分布にしたがいます。すなわち,n人からなる標本のそれぞれの確率分布もまたN(µ,!2)です。

このとき,標本平均 X̄ は,n人からなる標本をX1, . . . , Xn で表すと,(X1 + · · · + Xn)/nで表されます。

ここで,第11回の講義で述べた「正規分布の性質2(正規分布の再生性)」,すなわち

X1, ..., Xn が独立で,いずれも正規分布 N(µ,!2)にしたがうならば,それらの平均 (X1 +

...+Xn)/nはN(µ,!2/n)にしたがう

を用いると,n人からなる標本はこの性質の X1, ..., Xn にあてはまっていますから,「標本平均 X̄ はN(µ,!2/n)にしたがう」ことがわかります。

さらに,Z =

X̄ ! µ!!2/n

(1)

という値を計算すると,第11回の講義で述べた「正規分布の性質1」から,Zは標準正規分布N(0, 1)

にしたがうことがわかります。

そこで,「Z が入っている確率が 95%である区間」はどういうものか考えてみましょう。第5回の講義の「連続型確率分布」のところで説明したように,Z がある区間に入る確率は,標準正規分布の確率密度関数のグラフの下の,その区間に対応する部分の面積になります。この部分の面積が全体の 95%になるように,左右対称に Z の区間をとることにし,図 3(a)のように表します。このときの Z の区間の両端を!uと uとすると,Z がこの区間に入る確率すなわち P (!u ! Z ! u) = 0.95となります。このとき,図 3(b)のように,P (Z " u) = 0.025となります。P (Z " u) = 0.025となる uは,正規分布の数表から求めることができます。数表によると,u = 1.96のとき,P (Z " 1.96) = 0.024998 " 0.025であることがわかります。すなわち,P (!1.96 ! Z ! 1.96) = 0.95ということがわかります。

ところで,(1)式の関係を P (!1.96 ! Z ! 1.96) = 0.95に用いると,

P (!1.96 ! X̄ ! µ!!2/n

! 1.96) = 0.95 (2)

という関係があることがわかります。ここで,今知りたいのは母集団の平均 µの範囲ですから,(2)式を µの範囲に書き換えると

P (X̄ ! 1.96!

!2/n ! µ ! X̄ + 1.96!

!2/n) = 0.95 (3)

という関係が得られます。この範囲が,µの 95%信頼区間となります。この問題では,標本平均 X̄ = 50,母集団の分散 !2 = 25ですから,これらの数値を (3)式に入れると,求める 95%信頼区間は「46.9以上53.1以下」となります。「46.9以上 53.1以下」という区間を,数学では [46.9, 53.1]と書きます。

「95%信頼区間」の真の意味

前節で,母平均µの区間推定の結果を「求める 95%信頼区間は『46.9以上 53.1以下』」と書き,P (46.9 !µ ! 53.1)とは書きませんでした。それは,この書き方は間違いだからです。

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は標準正規分布にしたがうN(0, 1)

本当は母分散はわからない

不偏分散で代用する

X1 X2

母平均

...

X

標本平均とのへだたりの和は,母平均とのへだたりの和よりもたいてい小さい

2つの標本の値の、

さまざまな可能性

X1 X2X

X1 X2X

母平均とのへだたり標本平均とのへだたり

図 1: なぜ n! 1で割るのか?

t分布と区間推定

前回の例で,母集団分布が母平均 µ,母分散 !2の正規分布で,そこから n個の標本を取り出したときの標本平均が X̄ であるとき,

Z =X̄ ! µ!!2/n

(3)

とおくと,Z は標準正規分布N(0, 1)にしたがうことを説明しました。これまでの例では,Z のこの性質を用いて,母平均 µの区間推定を行いました。

では,母分散 !2が不明であるとしましょう。このとき,(3)式には µと !2の2つの未知の量があるので,µの区間推定ができません。そこで,母分散 !2を,標本から計算される不偏分散 s2でおきかえた

t =X̄ ! µ!s2/n

(4)

というものを考えます。この tを t統計量といいます。Zは標準正規分布にしたがいますが,tはどのような分布にしたがうでしょうか?

この t統計量がしたがう確率分布は,標準正規分布ではなく,自由度 n! 1の t分布(スチューデントの t分布)という確率分布で,これを t(n! 1)と書きます。t分布の確率密度関数は標準正規分布とよく似ており,t = 0を中心とした左右対称の形になっています。

t分布を用いると,母分散が不明の場合でも,標準正規分布の場合と同様に母平均の信頼区間を求めることができます。次の問題を考えてみましょう。

ある試験の点数の分布は正規分布であるとします。この試験の受験者から 10人の標本を無作為抽出して,この 10人の点数を平均したところ 50点で,またこの 10人の点数の不偏分散が 52でした。このとき,受験者全体の平均点の 95%信頼区間を求めてください。

自由度 n! 1の t分布において,t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以上になる確率が 0.025であるような値」(「2.5パーセント点」といいます)とし,!t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以下になる確率が

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

母分散はわからない

いまから推定する母平均を µとし,母分散(こちらはすでにわかっているものとされています)を !2

とします。そうすると,母集団分布は平均 µ,分散 !2の正規分布,すなわちN(µ,!2)となります。このとき,標本は無作為抽出されていますから,標本は確率変数で,母集団分布と同じ確率分布にしたがいます。すなわち,n人からなる標本のそれぞれの確率分布もまたN(µ,!2)です。

このとき,標本平均 X̄ は,n人からなる標本をX1, . . . , Xn で表すと,(X1 + · · · + Xn)/nで表されます。

ここで,第11回の講義で述べた「正規分布の性質2(正規分布の再生性)」,すなわち

X1, ..., Xn が独立で,いずれも正規分布 N(µ,!2)にしたがうならば,それらの平均 (X1 +

...+Xn)/nはN(µ,!2/n)にしたがう

を用いると,n人からなる標本はこの性質の X1, ..., Xn にあてはまっていますから,「標本平均 X̄ はN(µ,!2/n)にしたがう」ことがわかります。

さらに,Z =

X̄ ! µ!!2/n

(1)

という値を計算すると,第11回の講義で述べた「正規分布の性質1」から,Zは標準正規分布N(0, 1)

にしたがうことがわかります。

そこで,「Z が入っている確率が 95%である区間」はどういうものか考えてみましょう。第5回の講義の「連続型確率分布」のところで説明したように,Z がある区間に入る確率は,標準正規分布の確率密度関数のグラフの下の,その区間に対応する部分の面積になります。この部分の面積が全体の 95%になるように,左右対称に Z の区間をとることにし,図 3(a)のように表します。このときの Z の区間の両端を!uと uとすると,Z がこの区間に入る確率すなわち P (!u ! Z ! u) = 0.95となります。このとき,図 3(b)のように,P (Z " u) = 0.025となります。P (Z " u) = 0.025となる uは,正規分布の数表から求めることができます。数表によると,u = 1.96のとき,P (Z " 1.96) = 0.024998 " 0.025であることがわかります。すなわち,P (!1.96 ! Z ! 1.96) = 0.95ということがわかります。

ところで,(1)式の関係を P (!1.96 ! Z ! 1.96) = 0.95に用いると,

P (!1.96 ! X̄ ! µ!!2/n

! 1.96) = 0.95 (2)

という関係があることがわかります。ここで,今知りたいのは母集団の平均 µの範囲ですから,(2)式を µの範囲に書き換えると

P (X̄ ! 1.96!

!2/n ! µ ! X̄ + 1.96!

!2/n) = 0.95 (3)

という関係が得られます。この範囲が,µの 95%信頼区間となります。この問題では,標本平均 X̄ = 50,母集団の分散 !2 = 25ですから,これらの数値を (3)式に入れると,求める 95%信頼区間は「46.9以上53.1以下」となります。「46.9以上 53.1以下」という区間を,数学では [46.9, 53.1]と書きます。

「95%信頼区間」の真の意味

前節で,母平均µの区間推定の結果を「求める 95%信頼区間は『46.9以上 53.1以下』」と書き,P (46.9 !µ ! 53.1)とは書きませんでした。それは,この書き方は間違いだからです。

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は標準正規分布にしたがうN(0, 1)

本当は母分散はわからない

不偏分散で代用する

X1 X2

母平均

...

X

標本平均とのへだたりの和は,母平均とのへだたりの和よりもたいてい小さい

2つの標本の値の、

さまざまな可能性

X1 X2X

X1 X2X

母平均とのへだたり標本平均とのへだたり

図 1: なぜ n! 1で割るのか?

t分布と区間推定

前回の例で,母集団分布が母平均 µ,母分散 !2の正規分布で,そこから n個の標本を取り出したときの標本平均が X̄ であるとき,

Z =X̄ ! µ!!2/n

(3)

とおくと,Z は標準正規分布N(0, 1)にしたがうことを説明しました。これまでの例では,Z のこの性質を用いて,母平均 µの区間推定を行いました。

では,母分散 !2が不明であるとしましょう。このとき,(3)式には µと !2の2つの未知の量があるので,µの区間推定ができません。そこで,母分散 !2を,標本から計算される不偏分散 s2でおきかえた

t =X̄ ! µ!s2/n

(4)

というものを考えます。この tを t統計量といいます。Zは標準正規分布にしたがいますが,tはどのような分布にしたがうでしょうか?

この t統計量がしたがう確率分布は,標準正規分布ではなく,自由度 n! 1の t分布(スチューデントの t分布)という確率分布で,これを t(n! 1)と書きます。t分布の確率密度関数は標準正規分布とよく似ており,t = 0を中心とした左右対称の形になっています。

t分布を用いると,母分散が不明の場合でも,標準正規分布の場合と同様に母平均の信頼区間を求めることができます。次の問題を考えてみましょう。

ある試験の点数の分布は正規分布であるとします。この試験の受験者から 10人の標本を無作為抽出して,この 10人の点数を平均したところ 50点で,またこの 10人の点数の不偏分散が 52でした。このとき,受験者全体の平均点の 95%信頼区間を求めてください。

自由度 n! 1の t分布において,t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以上になる確率が 0.025であるような値」(「2.5パーセント点」といいます)とし,!t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以下になる確率が

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不偏分散

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

母分散はわからない

いまから推定する母平均を µとし,母分散(こちらはすでにわかっているものとされています)を !2

とします。そうすると,母集団分布は平均 µ,分散 !2の正規分布,すなわちN(µ,!2)となります。このとき,標本は無作為抽出されていますから,標本は確率変数で,母集団分布と同じ確率分布にしたがいます。すなわち,n人からなる標本のそれぞれの確率分布もまたN(µ,!2)です。

このとき,標本平均 X̄ は,n人からなる標本をX1, . . . , Xn で表すと,(X1 + · · · + Xn)/nで表されます。

ここで,第11回の講義で述べた「正規分布の性質2(正規分布の再生性)」,すなわち

X1, ..., Xn が独立で,いずれも正規分布 N(µ,!2)にしたがうならば,それらの平均 (X1 +

...+Xn)/nはN(µ,!2/n)にしたがう

を用いると,n人からなる標本はこの性質の X1, ..., Xn にあてはまっていますから,「標本平均 X̄ はN(µ,!2/n)にしたがう」ことがわかります。

さらに,Z =

X̄ ! µ!!2/n

(1)

という値を計算すると,第11回の講義で述べた「正規分布の性質1」から,Zは標準正規分布N(0, 1)

にしたがうことがわかります。

そこで,「Z が入っている確率が 95%である区間」はどういうものか考えてみましょう。第5回の講義の「連続型確率分布」のところで説明したように,Z がある区間に入る確率は,標準正規分布の確率密度関数のグラフの下の,その区間に対応する部分の面積になります。この部分の面積が全体の 95%になるように,左右対称に Z の区間をとることにし,図 3(a)のように表します。このときの Z の区間の両端を!uと uとすると,Z がこの区間に入る確率すなわち P (!u ! Z ! u) = 0.95となります。このとき,図 3(b)のように,P (Z " u) = 0.025となります。P (Z " u) = 0.025となる uは,正規分布の数表から求めることができます。数表によると,u = 1.96のとき,P (Z " 1.96) = 0.024998 " 0.025であることがわかります。すなわち,P (!1.96 ! Z ! 1.96) = 0.95ということがわかります。

ところで,(1)式の関係を P (!1.96 ! Z ! 1.96) = 0.95に用いると,

P (!1.96 ! X̄ ! µ!!2/n

! 1.96) = 0.95 (2)

という関係があることがわかります。ここで,今知りたいのは母集団の平均 µの範囲ですから,(2)式を µの範囲に書き換えると

P (X̄ ! 1.96!

!2/n ! µ ! X̄ + 1.96!

!2/n) = 0.95 (3)

という関係が得られます。この範囲が,µの 95%信頼区間となります。この問題では,標本平均 X̄ = 50,母集団の分散 !2 = 25ですから,これらの数値を (3)式に入れると,求める 95%信頼区間は「46.9以上53.1以下」となります。「46.9以上 53.1以下」という区間を,数学では [46.9, 53.1]と書きます。

「95%信頼区間」の真の意味

前節で,母平均µの区間推定の結果を「求める 95%信頼区間は『46.9以上 53.1以下』」と書き,P (46.9 !µ ! 53.1)とは書きませんでした。それは,この書き方は間違いだからです。

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は標準正規分布にしたがうN(0, 1)

本当は母分散はわからない

不偏分散で代用する

X1 X2

母平均

...

X

標本平均とのへだたりの和は,母平均とのへだたりの和よりもたいてい小さい

2つの標本の値の、

さまざまな可能性

X1 X2X

X1 X2X

母平均とのへだたり標本平均とのへだたり

図 1: なぜ n! 1で割るのか?

t分布と区間推定

前回の例で,母集団分布が母平均 µ,母分散 !2の正規分布で,そこから n個の標本を取り出したときの標本平均が X̄ であるとき,

Z =X̄ ! µ!!2/n

(3)

とおくと,Z は標準正規分布N(0, 1)にしたがうことを説明しました。これまでの例では,Z のこの性質を用いて,母平均 µの区間推定を行いました。

では,母分散 !2が不明であるとしましょう。このとき,(3)式には µと !2の2つの未知の量があるので,µの区間推定ができません。そこで,母分散 !2を,標本から計算される不偏分散 s2でおきかえた

t =X̄ ! µ!s2/n

(4)

というものを考えます。この tを t統計量といいます。Zは標準正規分布にしたがいますが,tはどのような分布にしたがうでしょうか?

この t統計量がしたがう確率分布は,標準正規分布ではなく,自由度 n! 1の t分布(スチューデントの t分布)という確率分布で,これを t(n! 1)と書きます。t分布の確率密度関数は標準正規分布とよく似ており,t = 0を中心とした左右対称の形になっています。

t分布を用いると,母分散が不明の場合でも,標準正規分布の場合と同様に母平均の信頼区間を求めることができます。次の問題を考えてみましょう。

ある試験の点数の分布は正規分布であるとします。この試験の受験者から 10人の標本を無作為抽出して,この 10人の点数を平均したところ 50点で,またこの 10人の点数の不偏分散が 52でした。このとき,受験者全体の平均点の 95%信頼区間を求めてください。

自由度 n! 1の t分布において,t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以上になる確率が 0.025であるような値」(「2.5パーセント点」といいます)とし,!t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以下になる確率が

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不偏分散

何分布にしたがう?

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t分布

X1 X2

母平均

...

X

標本平均とのへだたりの和は,母平均とのへだたりの和よりもたいてい小さい

2つの標本の値の、

さまざまな可能性

X1 X2X

X1 X2X

母平均とのへだたり標本平均とのへだたり

図 1: なぜ n! 1で割るのか?

t分布と区間推定

前回の例で,母集団分布が母平均 µ,母分散 !2の正規分布で,そこから n個の標本を取り出したときの標本平均が X̄ であるとき,

Z =X̄ ! µ!!2/n

(3)

とおくと,Z は標準正規分布N(0, 1)にしたがうことを説明しました。これまでの例では,Z のこの性質を用いて,母平均 µの区間推定を行いました。

では,母分散 !2が不明であるとしましょう。このとき,(3)式には µと !2の2つの未知の量があるので,µの区間推定ができません。そこで,母分散 !2を,標本から計算される不偏分散 s2でおきかえた

t =X̄ ! µ!s2/n

(4)

というものを考えます。この tを t統計量といいます。Zは標準正規分布にしたがいますが,tはどのような分布にしたがうでしょうか?

この t統計量がしたがう確率分布は,標準正規分布ではなく,自由度 n! 1の t分布(スチューデントの t分布)という確率分布で,これを t(n! 1)と書きます。t分布の確率密度関数は標準正規分布とよく似ており,t = 0を中心とした左右対称の形になっています。

t分布を用いると,母分散が不明の場合でも,標準正規分布の場合と同様に母平均の信頼区間を求めることができます。次の問題を考えてみましょう。

ある試験の点数の分布は正規分布であるとします。この試験の受験者から 10人の標本を無作為抽出して,この 10人の点数を平均したところ 50点で,またこの 10人の点数の不偏分散が 52でした。このとき,受験者全体の平均点の 95%信頼区間を求めてください。

自由度 n! 1の t分布において,t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以上になる確率が 0.025であるような値」(「2.5パーセント点」といいます)とし,!t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以下になる確率が

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t統計量

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t分布

X1 X2

母平均

...

X

標本平均とのへだたりの和は,母平均とのへだたりの和よりもたいてい小さい

2つの標本の値の、

さまざまな可能性

X1 X2X

X1 X2X

母平均とのへだたり標本平均とのへだたり

図 1: なぜ n! 1で割るのか?

t分布と区間推定

前回の例で,母集団分布が母平均 µ,母分散 !2の正規分布で,そこから n個の標本を取り出したときの標本平均が X̄ であるとき,

Z =X̄ ! µ!!2/n

(3)

とおくと,Z は標準正規分布N(0, 1)にしたがうことを説明しました。これまでの例では,Z のこの性質を用いて,母平均 µの区間推定を行いました。

では,母分散 !2が不明であるとしましょう。このとき,(3)式には µと !2の2つの未知の量があるので,µの区間推定ができません。そこで,母分散 !2を,標本から計算される不偏分散 s2でおきかえた

t =X̄ ! µ!s2/n

(4)

というものを考えます。この tを t統計量といいます。Zは標準正規分布にしたがいますが,tはどのような分布にしたがうでしょうか?

この t統計量がしたがう確率分布は,標準正規分布ではなく,自由度 n! 1の t分布(スチューデントの t分布)という確率分布で,これを t(n! 1)と書きます。t分布の確率密度関数は標準正規分布とよく似ており,t = 0を中心とした左右対称の形になっています。

t分布を用いると,母分散が不明の場合でも,標準正規分布の場合と同様に母平均の信頼区間を求めることができます。次の問題を考えてみましょう。

ある試験の点数の分布は正規分布であるとします。この試験の受験者から 10人の標本を無作為抽出して,この 10人の点数を平均したところ 50点で,またこの 10人の点数の不偏分散が 52でした。このとき,受験者全体の平均点の 95%信頼区間を求めてください。

自由度 n! 1の t分布において,t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以上になる確率が 0.025であるような値」(「2.5パーセント点」といいます)とし,!t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以下になる確率が

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t統計量

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t分布

X1 X2

母平均

...

X

標本平均とのへだたりの和は,母平均とのへだたりの和よりもたいてい小さい

2つの標本の値の、

さまざまな可能性

X1 X2X

X1 X2X

母平均とのへだたり標本平均とのへだたり

図 1: なぜ n! 1で割るのか?

t分布と区間推定

前回の例で,母集団分布が母平均 µ,母分散 !2の正規分布で,そこから n個の標本を取り出したときの標本平均が X̄ であるとき,

Z =X̄ ! µ!!2/n

(3)

とおくと,Z は標準正規分布N(0, 1)にしたがうことを説明しました。これまでの例では,Z のこの性質を用いて,母平均 µの区間推定を行いました。

では,母分散 !2が不明であるとしましょう。このとき,(3)式には µと !2の2つの未知の量があるので,µの区間推定ができません。そこで,母分散 !2を,標本から計算される不偏分散 s2でおきかえた

t =X̄ ! µ!s2/n

(4)

というものを考えます。この tを t統計量といいます。Zは標準正規分布にしたがいますが,tはどのような分布にしたがうでしょうか?

この t統計量がしたがう確率分布は,標準正規分布ではなく,自由度 n! 1の t分布(スチューデントの t分布)という確率分布で,これを t(n! 1)と書きます。t分布の確率密度関数は標準正規分布とよく似ており,t = 0を中心とした左右対称の形になっています。

t分布を用いると,母分散が不明の場合でも,標準正規分布の場合と同様に母平均の信頼区間を求めることができます。次の問題を考えてみましょう。

ある試験の点数の分布は正規分布であるとします。この試験の受験者から 10人の標本を無作為抽出して,この 10人の点数を平均したところ 50点で,またこの 10人の点数の不偏分散が 52でした。このとき,受験者全体の平均点の 95%信頼区間を求めてください。

自由度 n! 1の t分布において,t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以上になる確率が 0.025であるような値」(「2.5パーセント点」といいます)とし,!t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以下になる確率が

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自由度(n-1)のt分布にしたがう

t統計量

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t分布

t(n-1)

X1 X2

母平均

...

X

標本平均とのへだたりの和は,母平均とのへだたりの和よりもたいてい小さい

2つの標本の値の、

さまざまな可能性

X1 X2X

X1 X2X

母平均とのへだたり標本平均とのへだたり

図 1: なぜ n! 1で割るのか?

t分布と区間推定

前回の例で,母集団分布が母平均 µ,母分散 !2の正規分布で,そこから n個の標本を取り出したときの標本平均が X̄ であるとき,

Z =X̄ ! µ!!2/n

(3)

とおくと,Z は標準正規分布N(0, 1)にしたがうことを説明しました。これまでの例では,Z のこの性質を用いて,母平均 µの区間推定を行いました。

では,母分散 !2が不明であるとしましょう。このとき,(3)式には µと !2の2つの未知の量があるので,µの区間推定ができません。そこで,母分散 !2を,標本から計算される不偏分散 s2でおきかえた

t =X̄ ! µ!s2/n

(4)

というものを考えます。この tを t統計量といいます。Zは標準正規分布にしたがいますが,tはどのような分布にしたがうでしょうか?

この t統計量がしたがう確率分布は,標準正規分布ではなく,自由度 n! 1の t分布(スチューデントの t分布)という確率分布で,これを t(n! 1)と書きます。t分布の確率密度関数は標準正規分布とよく似ており,t = 0を中心とした左右対称の形になっています。

t分布を用いると,母分散が不明の場合でも,標準正規分布の場合と同様に母平均の信頼区間を求めることができます。次の問題を考えてみましょう。

ある試験の点数の分布は正規分布であるとします。この試験の受験者から 10人の標本を無作為抽出して,この 10人の点数を平均したところ 50点で,またこの 10人の点数の不偏分散が 52でした。このとき,受験者全体の平均点の 95%信頼区間を求めてください。

自由度 n! 1の t分布において,t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以上になる確率が 0.025であるような値」(「2.5パーセント点」といいます)とし,!t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以下になる確率が

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自由度(n-1)のt分布にしたがう

t統計量

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t分布

t(n-1)

X1 X2

母平均

...

X

標本平均とのへだたりの和は,母平均とのへだたりの和よりもたいてい小さい

2つの標本の値の、

さまざまな可能性

X1 X2X

X1 X2X

母平均とのへだたり標本平均とのへだたり

図 1: なぜ n! 1で割るのか?

t分布と区間推定

前回の例で,母集団分布が母平均 µ,母分散 !2の正規分布で,そこから n個の標本を取り出したときの標本平均が X̄ であるとき,

Z =X̄ ! µ!!2/n

(3)

とおくと,Z は標準正規分布N(0, 1)にしたがうことを説明しました。これまでの例では,Z のこの性質を用いて,母平均 µの区間推定を行いました。

では,母分散 !2が不明であるとしましょう。このとき,(3)式には µと !2の2つの未知の量があるので,µの区間推定ができません。そこで,母分散 !2を,標本から計算される不偏分散 s2でおきかえた

t =X̄ ! µ!s2/n

(4)

というものを考えます。この tを t統計量といいます。Zは標準正規分布にしたがいますが,tはどのような分布にしたがうでしょうか?

この t統計量がしたがう確率分布は,標準正規分布ではなく,自由度 n! 1の t分布(スチューデントの t分布)という確率分布で,これを t(n! 1)と書きます。t分布の確率密度関数は標準正規分布とよく似ており,t = 0を中心とした左右対称の形になっています。

t分布を用いると,母分散が不明の場合でも,標準正規分布の場合と同様に母平均の信頼区間を求めることができます。次の問題を考えてみましょう。

ある試験の点数の分布は正規分布であるとします。この試験の受験者から 10人の標本を無作為抽出して,この 10人の点数を平均したところ 50点で,またこの 10人の点数の不偏分散が 52でした。このとき,受験者全体の平均点の 95%信頼区間を求めてください。

自由度 n! 1の t分布において,t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以上になる確率が 0.025であるような値」(「2.5パーセント点」といいます)とし,!t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以下になる確率が

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自由度(n-1)のt分布にしたがう

t統計量

(「スチューデントのt分布」という)

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t分布

t(n-1)

X1 X2

母平均

...

X

標本平均とのへだたりの和は,母平均とのへだたりの和よりもたいてい小さい

2つの標本の値の、

さまざまな可能性

X1 X2X

X1 X2X

母平均とのへだたり標本平均とのへだたり

図 1: なぜ n! 1で割るのか?

t分布と区間推定

前回の例で,母集団分布が母平均 µ,母分散 !2の正規分布で,そこから n個の標本を取り出したときの標本平均が X̄ であるとき,

Z =X̄ ! µ!!2/n

(3)

とおくと,Z は標準正規分布N(0, 1)にしたがうことを説明しました。これまでの例では,Z のこの性質を用いて,母平均 µの区間推定を行いました。

では,母分散 !2が不明であるとしましょう。このとき,(3)式には µと !2の2つの未知の量があるので,µの区間推定ができません。そこで,母分散 !2を,標本から計算される不偏分散 s2でおきかえた

t =X̄ ! µ!s2/n

(4)

というものを考えます。この tを t統計量といいます。Zは標準正規分布にしたがいますが,tはどのような分布にしたがうでしょうか?

この t統計量がしたがう確率分布は,標準正規分布ではなく,自由度 n! 1の t分布(スチューデントの t分布)という確率分布で,これを t(n! 1)と書きます。t分布の確率密度関数は標準正規分布とよく似ており,t = 0を中心とした左右対称の形になっています。

t分布を用いると,母分散が不明の場合でも,標準正規分布の場合と同様に母平均の信頼区間を求めることができます。次の問題を考えてみましょう。

ある試験の点数の分布は正規分布であるとします。この試験の受験者から 10人の標本を無作為抽出して,この 10人の点数を平均したところ 50点で,またこの 10人の点数の不偏分散が 52でした。このとき,受験者全体の平均点の 95%信頼区間を求めてください。

自由度 n! 1の t分布において,t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以上になる確率が 0.025であるような値」(「2.5パーセント点」といいます)とし,!t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以下になる確率が

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自由度(n-1)のt分布にしたがう

t統計量

(「スチューデントのt分布」という)

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t分布

t(n-1)

X1 X2

母平均

...

X

標本平均とのへだたりの和は,母平均とのへだたりの和よりもたいてい小さい

2つの標本の値の、

さまざまな可能性

X1 X2X

X1 X2X

母平均とのへだたり標本平均とのへだたり

図 1: なぜ n! 1で割るのか?

t分布と区間推定

前回の例で,母集団分布が母平均 µ,母分散 !2の正規分布で,そこから n個の標本を取り出したときの標本平均が X̄ であるとき,

Z =X̄ ! µ!!2/n

(3)

とおくと,Z は標準正規分布N(0, 1)にしたがうことを説明しました。これまでの例では,Z のこの性質を用いて,母平均 µの区間推定を行いました。

では,母分散 !2が不明であるとしましょう。このとき,(3)式には µと !2の2つの未知の量があるので,µの区間推定ができません。そこで,母分散 !2を,標本から計算される不偏分散 s2でおきかえた

t =X̄ ! µ!s2/n

(4)

というものを考えます。この tを t統計量といいます。Zは標準正規分布にしたがいますが,tはどのような分布にしたがうでしょうか?

この t統計量がしたがう確率分布は,標準正規分布ではなく,自由度 n! 1の t分布(スチューデントの t分布)という確率分布で,これを t(n! 1)と書きます。t分布の確率密度関数は標準正規分布とよく似ており,t = 0を中心とした左右対称の形になっています。

t分布を用いると,母分散が不明の場合でも,標準正規分布の場合と同様に母平均の信頼区間を求めることができます。次の問題を考えてみましょう。

ある試験の点数の分布は正規分布であるとします。この試験の受験者から 10人の標本を無作為抽出して,この 10人の点数を平均したところ 50点で,またこの 10人の点数の不偏分散が 52でした。このとき,受験者全体の平均点の 95%信頼区間を求めてください。

自由度 n! 1の t分布において,t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以上になる確率が 0.025であるような値」(「2.5パーセント点」といいます)とし,!t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以下になる確率が

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自由度(n-1)のt分布にしたがう

t統計量

(「スチューデントのt分布」という)発見者ウィリアム・ゴセットのペンネーム

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

この例題は標本X1, ... Xnをとりだすサイズn母集団

(受験者全体)

母平均μ 母平均μの95%信頼区間が知りたい正規分布

と仮定する

標本平均 X

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

この例題は標本X1, ... Xnをとりだすサイズn母集団

(受験者全体)

母平均μ 母平均μの95%信頼区間が知りたい正規分布

と仮定する

母分散σ2がわか

標本平均 X

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

この例題は標本X1, ... Xnをとりだすサイズn母集団

(受験者全体)

母平均μ 母平均μの95%信頼区間が知りたい正規分布

と仮定する

母分散σ2がわか

標本平均 X

らないので,

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

この例題は標本X1, ... Xnをとりだすサイズn母集団

(受験者全体)

母平均μ 母平均μの95%信頼区間が知りたい正規分布

と仮定する

母分散σ2がわか

標本平均 X

らないので,不偏分散s2で代用

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t0

t分布を用いた区間推定は自由度(n-1)のt分布にしたがう

X1 X2

母平均

...

X

標本平均とのへだたりの和は,母平均とのへだたりの和よりもたいてい小さい

2つの標本の値の、

さまざまな可能性

X1 X2X

X1 X2X

母平均とのへだたり標本平均とのへだたり

図 1: なぜ n! 1で割るのか?

t分布と区間推定

前回の例で,母集団分布が母平均 µ,母分散 !2の正規分布で,そこから n個の標本を取り出したときの標本平均が X̄ であるとき,

Z =X̄ ! µ!!2/n

(3)

とおくと,Z は標準正規分布N(0, 1)にしたがうことを説明しました。これまでの例では,Z のこの性質を用いて,母平均 µの区間推定を行いました。

では,母分散 !2が不明であるとしましょう。このとき,(3)式には µと !2の2つの未知の量があるので,µの区間推定ができません。そこで,母分散 !2を,標本から計算される不偏分散 s2でおきかえた

t =X̄ ! µ!s2/n

(4)

というものを考えます。この tを t統計量といいます。Zは標準正規分布にしたがいますが,tはどのような分布にしたがうでしょうか?

この t統計量がしたがう確率分布は,標準正規分布ではなく,自由度 n! 1の t分布(スチューデントの t分布)という確率分布で,これを t(n! 1)と書きます。t分布の確率密度関数は標準正規分布とよく似ており,t = 0を中心とした左右対称の形になっています。

t分布を用いると,母分散が不明の場合でも,標準正規分布の場合と同様に母平均の信頼区間を求めることができます。次の問題を考えてみましょう。

ある試験の点数の分布は正規分布であるとします。この試験の受験者から 10人の標本を無作為抽出して,この 10人の点数を平均したところ 50点で,またこの 10人の点数の不偏分散が 52でした。このとき,受験者全体の平均点の 95%信頼区間を求めてください。

自由度 n! 1の t分布において,t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以上になる確率が 0.025であるような値」(「2.5パーセント点」といいます)とし,!t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以下になる確率が

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t(n-1)

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t0

t分布を用いた区間推定は自由度(n-1)のt分布にしたがう

t(n-1)の確率密度関数

X1 X2

母平均

...

X

標本平均とのへだたりの和は,母平均とのへだたりの和よりもたいてい小さい

2つの標本の値の、

さまざまな可能性

X1 X2X

X1 X2X

母平均とのへだたり標本平均とのへだたり

図 1: なぜ n! 1で割るのか?

t分布と区間推定

前回の例で,母集団分布が母平均 µ,母分散 !2の正規分布で,そこから n個の標本を取り出したときの標本平均が X̄ であるとき,

Z =X̄ ! µ!!2/n

(3)

とおくと,Z は標準正規分布N(0, 1)にしたがうことを説明しました。これまでの例では,Z のこの性質を用いて,母平均 µの区間推定を行いました。

では,母分散 !2が不明であるとしましょう。このとき,(3)式には µと !2の2つの未知の量があるので,µの区間推定ができません。そこで,母分散 !2を,標本から計算される不偏分散 s2でおきかえた

t =X̄ ! µ!s2/n

(4)

というものを考えます。この tを t統計量といいます。Zは標準正規分布にしたがいますが,tはどのような分布にしたがうでしょうか?

この t統計量がしたがう確率分布は,標準正規分布ではなく,自由度 n! 1の t分布(スチューデントの t分布)という確率分布で,これを t(n! 1)と書きます。t分布の確率密度関数は標準正規分布とよく似ており,t = 0を中心とした左右対称の形になっています。

t分布を用いると,母分散が不明の場合でも,標準正規分布の場合と同様に母平均の信頼区間を求めることができます。次の問題を考えてみましょう。

ある試験の点数の分布は正規分布であるとします。この試験の受験者から 10人の標本を無作為抽出して,この 10人の点数を平均したところ 50点で,またこの 10人の点数の不偏分散が 52でした。このとき,受験者全体の平均点の 95%信頼区間を求めてください。

自由度 n! 1の t分布において,t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以上になる確率が 0.025であるような値」(「2.5パーセント点」といいます)とし,!t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以下になる確率が

浅野 晃/統計学(2013 年度秋学期) 第13回 (2013. 12. 19) http://racco.mikeneko.jp/  2/3 ページ

t(n-1)

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t0

t分布を用いた区間推定は自由度(n-1)のt分布にしたがう

t(n-1)の確率密度関数

X1 X2

母平均

...

X

標本平均とのへだたりの和は,母平均とのへだたりの和よりもたいてい小さい

2つの標本の値の、

さまざまな可能性

X1 X2X

X1 X2X

母平均とのへだたり標本平均とのへだたり

図 1: なぜ n! 1で割るのか?

t分布と区間推定

前回の例で,母集団分布が母平均 µ,母分散 !2の正規分布で,そこから n個の標本を取り出したときの標本平均が X̄ であるとき,

Z =X̄ ! µ!!2/n

(3)

とおくと,Z は標準正規分布N(0, 1)にしたがうことを説明しました。これまでの例では,Z のこの性質を用いて,母平均 µの区間推定を行いました。

では,母分散 !2が不明であるとしましょう。このとき,(3)式には µと !2の2つの未知の量があるので,µの区間推定ができません。そこで,母分散 !2を,標本から計算される不偏分散 s2でおきかえた

t =X̄ ! µ!s2/n

(4)

というものを考えます。この tを t統計量といいます。Zは標準正規分布にしたがいますが,tはどのような分布にしたがうでしょうか?

この t統計量がしたがう確率分布は,標準正規分布ではなく,自由度 n! 1の t分布(スチューデントの t分布)という確率分布で,これを t(n! 1)と書きます。t分布の確率密度関数は標準正規分布とよく似ており,t = 0を中心とした左右対称の形になっています。

t分布を用いると,母分散が不明の場合でも,標準正規分布の場合と同様に母平均の信頼区間を求めることができます。次の問題を考えてみましょう。

ある試験の点数の分布は正規分布であるとします。この試験の受験者から 10人の標本を無作為抽出して,この 10人の点数を平均したところ 50点で,またこの 10人の点数の不偏分散が 52でした。このとき,受験者全体の平均点の 95%信頼区間を求めてください。

自由度 n! 1の t分布において,t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以上になる確率が 0.025であるような値」(「2.5パーセント点」といいます)とし,!t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以下になる確率が

浅野 晃/統計学(2013 年度秋学期) 第13回 (2013. 12. 19) http://racco.mikeneko.jp/  2/3 ページ

t(n-1)

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t0

t分布を用いた区間推定

この区間に入っている確率=95%とすると

は自由度(n-1)のt分布にしたがう

t(n-1)の確率密度関数

X1 X2

母平均

...

X

標本平均とのへだたりの和は,母平均とのへだたりの和よりもたいてい小さい

2つの標本の値の、

さまざまな可能性

X1 X2X

X1 X2X

母平均とのへだたり標本平均とのへだたり

図 1: なぜ n! 1で割るのか?

t分布と区間推定

前回の例で,母集団分布が母平均 µ,母分散 !2の正規分布で,そこから n個の標本を取り出したときの標本平均が X̄ であるとき,

Z =X̄ ! µ!!2/n

(3)

とおくと,Z は標準正規分布N(0, 1)にしたがうことを説明しました。これまでの例では,Z のこの性質を用いて,母平均 µの区間推定を行いました。

では,母分散 !2が不明であるとしましょう。このとき,(3)式には µと !2の2つの未知の量があるので,µの区間推定ができません。そこで,母分散 !2を,標本から計算される不偏分散 s2でおきかえた

t =X̄ ! µ!s2/n

(4)

というものを考えます。この tを t統計量といいます。Zは標準正規分布にしたがいますが,tはどのような分布にしたがうでしょうか?

この t統計量がしたがう確率分布は,標準正規分布ではなく,自由度 n! 1の t分布(スチューデントの t分布)という確率分布で,これを t(n! 1)と書きます。t分布の確率密度関数は標準正規分布とよく似ており,t = 0を中心とした左右対称の形になっています。

t分布を用いると,母分散が不明の場合でも,標準正規分布の場合と同様に母平均の信頼区間を求めることができます。次の問題を考えてみましょう。

ある試験の点数の分布は正規分布であるとします。この試験の受験者から 10人の標本を無作為抽出して,この 10人の点数を平均したところ 50点で,またこの 10人の点数の不偏分散が 52でした。このとき,受験者全体の平均点の 95%信頼区間を求めてください。

自由度 n! 1の t分布において,t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以上になる確率が 0.025であるような値」(「2.5パーセント点」といいます)とし,!t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以下になる確率が

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X1 X2

母平均

...

X

標本平均とのへだたりの和は,母平均とのへだたりの和よりもたいてい小さい

2つの標本の値の、

さまざまな可能性

X1 X2X

X1 X2X

母平均とのへだたり標本平均とのへだたり

図 1: なぜ n! 1で割るのか?

t分布と区間推定

前回の例で,母集団分布が母平均 µ,母分散 !2の正規分布で,そこから n個の標本を取り出したときの標本平均が X̄ であるとき,

Z =X̄ ! µ!!2/n

(3)

とおくと,Z は標準正規分布N(0, 1)にしたがうことを説明しました。これまでの例では,Z のこの性質を用いて,母平均 µの区間推定を行いました。

では,母分散 !2が不明であるとしましょう。このとき,(3)式には µと !2の2つの未知の量があるので,µの区間推定ができません。そこで,母分散 !2を,標本から計算される不偏分散 s2でおきかえた

t =X̄ ! µ!s2/n

(4)

というものを考えます。この tを t統計量といいます。Zは標準正規分布にしたがいますが,tはどのような分布にしたがうでしょうか?

この t統計量がしたがう確率分布は,標準正規分布ではなく,自由度 n! 1の t分布(スチューデントの t分布)という確率分布で,これを t(n! 1)と書きます。t分布の確率密度関数は標準正規分布とよく似ており,t = 0を中心とした左右対称の形になっています。

t分布を用いると,母分散が不明の場合でも,標準正規分布の場合と同様に母平均の信頼区間を求めることができます。次の問題を考えてみましょう。

ある試験の点数の分布は正規分布であるとします。この試験の受験者から 10人の標本を無作為抽出して,この 10人の点数を平均したところ 50点で,またこの 10人の点数の不偏分散が 52でした。このとき,受験者全体の平均点の 95%信頼区間を求めてください。

自由度 n! 1の t分布において,t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以上になる確率が 0.025であるような値」(「2.5パーセント点」といいます)とし,!t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以下になる確率が

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t(n-1)

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t0

t分布を用いた区間推定

この区間に入っている確率=95%とすると

は自由度(n-1)のt分布にしたがう

t(n-1)の確率密度関数

面積=95%

X1 X2

母平均

...

X

標本平均とのへだたりの和は,母平均とのへだたりの和よりもたいてい小さい

2つの標本の値の、

さまざまな可能性

X1 X2X

X1 X2X

母平均とのへだたり標本平均とのへだたり

図 1: なぜ n! 1で割るのか?

t分布と区間推定

前回の例で,母集団分布が母平均 µ,母分散 !2の正規分布で,そこから n個の標本を取り出したときの標本平均が X̄ であるとき,

Z =X̄ ! µ!!2/n

(3)

とおくと,Z は標準正規分布N(0, 1)にしたがうことを説明しました。これまでの例では,Z のこの性質を用いて,母平均 µの区間推定を行いました。

では,母分散 !2が不明であるとしましょう。このとき,(3)式には µと !2の2つの未知の量があるので,µの区間推定ができません。そこで,母分散 !2を,標本から計算される不偏分散 s2でおきかえた

t =X̄ ! µ!s2/n

(4)

というものを考えます。この tを t統計量といいます。Zは標準正規分布にしたがいますが,tはどのような分布にしたがうでしょうか?

この t統計量がしたがう確率分布は,標準正規分布ではなく,自由度 n! 1の t分布(スチューデントの t分布)という確率分布で,これを t(n! 1)と書きます。t分布の確率密度関数は標準正規分布とよく似ており,t = 0を中心とした左右対称の形になっています。

t分布を用いると,母分散が不明の場合でも,標準正規分布の場合と同様に母平均の信頼区間を求めることができます。次の問題を考えてみましょう。

ある試験の点数の分布は正規分布であるとします。この試験の受験者から 10人の標本を無作為抽出して,この 10人の点数を平均したところ 50点で,またこの 10人の点数の不偏分散が 52でした。このとき,受験者全体の平均点の 95%信頼区間を求めてください。

自由度 n! 1の t分布において,t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以上になる確率が 0.025であるような値」(「2.5パーセント点」といいます)とし,!t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以下になる確率が

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X1 X2

母平均

...

X

標本平均とのへだたりの和は,母平均とのへだたりの和よりもたいてい小さい

2つの標本の値の、

さまざまな可能性

X1 X2X

X1 X2X

母平均とのへだたり標本平均とのへだたり

図 1: なぜ n! 1で割るのか?

t分布と区間推定

前回の例で,母集団分布が母平均 µ,母分散 !2の正規分布で,そこから n個の標本を取り出したときの標本平均が X̄ であるとき,

Z =X̄ ! µ!!2/n

(3)

とおくと,Z は標準正規分布N(0, 1)にしたがうことを説明しました。これまでの例では,Z のこの性質を用いて,母平均 µの区間推定を行いました。

では,母分散 !2が不明であるとしましょう。このとき,(3)式には µと !2の2つの未知の量があるので,µの区間推定ができません。そこで,母分散 !2を,標本から計算される不偏分散 s2でおきかえた

t =X̄ ! µ!s2/n

(4)

というものを考えます。この tを t統計量といいます。Zは標準正規分布にしたがいますが,tはどのような分布にしたがうでしょうか?

この t統計量がしたがう確率分布は,標準正規分布ではなく,自由度 n! 1の t分布(スチューデントの t分布)という確率分布で,これを t(n! 1)と書きます。t分布の確率密度関数は標準正規分布とよく似ており,t = 0を中心とした左右対称の形になっています。

t分布を用いると,母分散が不明の場合でも,標準正規分布の場合と同様に母平均の信頼区間を求めることができます。次の問題を考えてみましょう。

ある試験の点数の分布は正規分布であるとします。この試験の受験者から 10人の標本を無作為抽出して,この 10人の点数を平均したところ 50点で,またこの 10人の点数の不偏分散が 52でした。このとき,受験者全体の平均点の 95%信頼区間を求めてください。

自由度 n! 1の t分布において,t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以上になる確率が 0.025であるような値」(「2.5パーセント点」といいます)とし,!t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以下になる確率が

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t(n-1)

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t0

t分布を用いた区間推定

この区間に入っている確率=95%とすると

は自由度(n-1)のt分布にしたがう

t(n-1)の確率密度関数

面積=95%

境界の値はいくら?

X1 X2

母平均

...

X

標本平均とのへだたりの和は,母平均とのへだたりの和よりもたいてい小さい

2つの標本の値の、

さまざまな可能性

X1 X2X

X1 X2X

母平均とのへだたり標本平均とのへだたり

図 1: なぜ n! 1で割るのか?

t分布と区間推定

前回の例で,母集団分布が母平均 µ,母分散 !2の正規分布で,そこから n個の標本を取り出したときの標本平均が X̄ であるとき,

Z =X̄ ! µ!!2/n

(3)

とおくと,Z は標準正規分布N(0, 1)にしたがうことを説明しました。これまでの例では,Z のこの性質を用いて,母平均 µの区間推定を行いました。

では,母分散 !2が不明であるとしましょう。このとき,(3)式には µと !2の2つの未知の量があるので,µの区間推定ができません。そこで,母分散 !2を,標本から計算される不偏分散 s2でおきかえた

t =X̄ ! µ!s2/n

(4)

というものを考えます。この tを t統計量といいます。Zは標準正規分布にしたがいますが,tはどのような分布にしたがうでしょうか?

この t統計量がしたがう確率分布は,標準正規分布ではなく,自由度 n! 1の t分布(スチューデントの t分布)という確率分布で,これを t(n! 1)と書きます。t分布の確率密度関数は標準正規分布とよく似ており,t = 0を中心とした左右対称の形になっています。

t分布を用いると,母分散が不明の場合でも,標準正規分布の場合と同様に母平均の信頼区間を求めることができます。次の問題を考えてみましょう。

ある試験の点数の分布は正規分布であるとします。この試験の受験者から 10人の標本を無作為抽出して,この 10人の点数を平均したところ 50点で,またこの 10人の点数の不偏分散が 52でした。このとき,受験者全体の平均点の 95%信頼区間を求めてください。

自由度 n! 1の t分布において,t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以上になる確率が 0.025であるような値」(「2.5パーセント点」といいます)とし,!t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以下になる確率が

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X1 X2

母平均

...

X

標本平均とのへだたりの和は,母平均とのへだたりの和よりもたいてい小さい

2つの標本の値の、

さまざまな可能性

X1 X2X

X1 X2X

母平均とのへだたり標本平均とのへだたり

図 1: なぜ n! 1で割るのか?

t分布と区間推定

前回の例で,母集団分布が母平均 µ,母分散 !2の正規分布で,そこから n個の標本を取り出したときの標本平均が X̄ であるとき,

Z =X̄ ! µ!!2/n

(3)

とおくと,Z は標準正規分布N(0, 1)にしたがうことを説明しました。これまでの例では,Z のこの性質を用いて,母平均 µの区間推定を行いました。

では,母分散 !2が不明であるとしましょう。このとき,(3)式には µと !2の2つの未知の量があるので,µの区間推定ができません。そこで,母分散 !2を,標本から計算される不偏分散 s2でおきかえた

t =X̄ ! µ!s2/n

(4)

というものを考えます。この tを t統計量といいます。Zは標準正規分布にしたがいますが,tはどのような分布にしたがうでしょうか?

この t統計量がしたがう確率分布は,標準正規分布ではなく,自由度 n! 1の t分布(スチューデントの t分布)という確率分布で,これを t(n! 1)と書きます。t分布の確率密度関数は標準正規分布とよく似ており,t = 0を中心とした左右対称の形になっています。

t分布を用いると,母分散が不明の場合でも,標準正規分布の場合と同様に母平均の信頼区間を求めることができます。次の問題を考えてみましょう。

ある試験の点数の分布は正規分布であるとします。この試験の受験者から 10人の標本を無作為抽出して,この 10人の点数を平均したところ 50点で,またこの 10人の点数の不偏分散が 52でした。このとき,受験者全体の平均点の 95%信頼区間を求めてください。

自由度 n! 1の t分布において,t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以上になる確率が 0.025であるような値」(「2.5パーセント点」といいます)とし,!t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以下になる確率が

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t(n-1)

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A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t0

t0

t分布を用いた区間推定面積=95%

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

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t0

t0

t分布を用いた区間推定面積=95%

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A. A

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t分布を用いた区間推定面積=95%

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t0

t0

t分布を用いた区間推定面積=95%

面積=2.5%(左右で5%)

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t0

t0

t分布を用いた区間推定面積=95%

面積=2.5%(左右で5%)

境界の値は自由度によってちがうので

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2013年度秋学期 統計学

A. A

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, Kan

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t0

t0

t分布を用いた区間推定面積=95%

面積=2.5%(左右で5%)

境界の値は自由度によってちがうのでt0.025(n-1)としておく

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t0

t0

t分布を用いた区間推定面積=95%

面積=2.5%(左右で5%)

境界の値は自由度によってちがうのでt0.025(n-1)としておく[上側2.5%点]という

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A. A

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, Kan

sai U

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t0

t分布を用いた区間推定

t(n-1)

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A. A

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, Kan

sai U

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t分布を用いた区間推定

t(n-1)

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A. A

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, Kan

sai U

niv.

t0

t分布を用いた区間推定

この区間に入っている確率=95%が

X1 X2

母平均

...

X

標本平均とのへだたりの和は,母平均とのへだたりの和よりもたいてい小さい

2つの標本の値の、

さまざまな可能性

X1 X2X

X1 X2X

母平均とのへだたり標本平均とのへだたり

図 1: なぜ n! 1で割るのか?

t分布と区間推定

前回の例で,母集団分布が母平均 µ,母分散 !2の正規分布で,そこから n個の標本を取り出したときの標本平均が X̄ であるとき,

Z =X̄ ! µ!!2/n

(3)

とおくと,Z は標準正規分布N(0, 1)にしたがうことを説明しました。これまでの例では,Z のこの性質を用いて,母平均 µの区間推定を行いました。

では,母分散 !2が不明であるとしましょう。このとき,(3)式には µと !2の2つの未知の量があるので,µの区間推定ができません。そこで,母分散 !2を,標本から計算される不偏分散 s2でおきかえた

t =X̄ ! µ!s2/n

(4)

というものを考えます。この tを t統計量といいます。Zは標準正規分布にしたがいますが,tはどのような分布にしたがうでしょうか?

この t統計量がしたがう確率分布は,標準正規分布ではなく,自由度 n! 1の t分布(スチューデントの t分布)という確率分布で,これを t(n! 1)と書きます。t分布の確率密度関数は標準正規分布とよく似ており,t = 0を中心とした左右対称の形になっています。

t分布を用いると,母分散が不明の場合でも,標準正規分布の場合と同様に母平均の信頼区間を求めることができます。次の問題を考えてみましょう。

ある試験の点数の分布は正規分布であるとします。この試験の受験者から 10人の標本を無作為抽出して,この 10人の点数を平均したところ 50点で,またこの 10人の点数の不偏分散が 52でした。このとき,受験者全体の平均点の 95%信頼区間を求めてください。

自由度 n! 1の t分布において,t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以上になる確率が 0.025であるような値」(「2.5パーセント点」といいます)とし,!t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以下になる確率が

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t(n-1)

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t0

t分布を用いた区間推定

この区間に入っている確率=95%が

面積=95%

X1 X2

母平均

...

X

標本平均とのへだたりの和は,母平均とのへだたりの和よりもたいてい小さい

2つの標本の値の、

さまざまな可能性

X1 X2X

X1 X2X

母平均とのへだたり標本平均とのへだたり

図 1: なぜ n! 1で割るのか?

t分布と区間推定

前回の例で,母集団分布が母平均 µ,母分散 !2の正規分布で,そこから n個の標本を取り出したときの標本平均が X̄ であるとき,

Z =X̄ ! µ!!2/n

(3)

とおくと,Z は標準正規分布N(0, 1)にしたがうことを説明しました。これまでの例では,Z のこの性質を用いて,母平均 µの区間推定を行いました。

では,母分散 !2が不明であるとしましょう。このとき,(3)式には µと !2の2つの未知の量があるので,µの区間推定ができません。そこで,母分散 !2を,標本から計算される不偏分散 s2でおきかえた

t =X̄ ! µ!s2/n

(4)

というものを考えます。この tを t統計量といいます。Zは標準正規分布にしたがいますが,tはどのような分布にしたがうでしょうか?

この t統計量がしたがう確率分布は,標準正規分布ではなく,自由度 n! 1の t分布(スチューデントの t分布)という確率分布で,これを t(n! 1)と書きます。t分布の確率密度関数は標準正規分布とよく似ており,t = 0を中心とした左右対称の形になっています。

t分布を用いると,母分散が不明の場合でも,標準正規分布の場合と同様に母平均の信頼区間を求めることができます。次の問題を考えてみましょう。

ある試験の点数の分布は正規分布であるとします。この試験の受験者から 10人の標本を無作為抽出して,この 10人の点数を平均したところ 50点で,またこの 10人の点数の不偏分散が 52でした。このとき,受験者全体の平均点の 95%信頼区間を求めてください。

自由度 n! 1の t分布において,t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以上になる確率が 0.025であるような値」(「2.5パーセント点」といいます)とし,!t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以下になる確率が

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t(n-1)

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A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t0

t分布を用いた区間推定

この区間に入っている確率=95%が

面積=95%

X1 X2

母平均

...

X

標本平均とのへだたりの和は,母平均とのへだたりの和よりもたいてい小さい

2つの標本の値の、

さまざまな可能性

X1 X2X

X1 X2X

母平均とのへだたり標本平均とのへだたり

図 1: なぜ n! 1で割るのか?

t分布と区間推定

前回の例で,母集団分布が母平均 µ,母分散 !2の正規分布で,そこから n個の標本を取り出したときの標本平均が X̄ であるとき,

Z =X̄ ! µ!!2/n

(3)

とおくと,Z は標準正規分布N(0, 1)にしたがうことを説明しました。これまでの例では,Z のこの性質を用いて,母平均 µの区間推定を行いました。

では,母分散 !2が不明であるとしましょう。このとき,(3)式には µと !2の2つの未知の量があるので,µの区間推定ができません。そこで,母分散 !2を,標本から計算される不偏分散 s2でおきかえた

t =X̄ ! µ!s2/n

(4)

というものを考えます。この tを t統計量といいます。Zは標準正規分布にしたがいますが,tはどのような分布にしたがうでしょうか?

この t統計量がしたがう確率分布は,標準正規分布ではなく,自由度 n! 1の t分布(スチューデントの t分布)という確率分布で,これを t(n! 1)と書きます。t分布の確率密度関数は標準正規分布とよく似ており,t = 0を中心とした左右対称の形になっています。

t分布を用いると,母分散が不明の場合でも,標準正規分布の場合と同様に母平均の信頼区間を求めることができます。次の問題を考えてみましょう。

ある試験の点数の分布は正規分布であるとします。この試験の受験者から 10人の標本を無作為抽出して,この 10人の点数を平均したところ 50点で,またこの 10人の点数の不偏分散が 52でした。このとき,受験者全体の平均点の 95%信頼区間を求めてください。

自由度 n! 1の t分布において,t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以上になる確率が 0.025であるような値」(「2.5パーセント点」といいます)とし,!t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以下になる確率が

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A. A

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, Kan

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niv.

t0

t分布を用いた区間推定

この区間に入っている確率=95%が

面積=95%

X1 X2

母平均

...

X

標本平均とのへだたりの和は,母平均とのへだたりの和よりもたいてい小さい

2つの標本の値の、

さまざまな可能性

X1 X2X

X1 X2X

母平均とのへだたり標本平均とのへだたり

図 1: なぜ n! 1で割るのか?

t分布と区間推定

前回の例で,母集団分布が母平均 µ,母分散 !2の正規分布で,そこから n個の標本を取り出したときの標本平均が X̄ であるとき,

Z =X̄ ! µ!!2/n

(3)

とおくと,Z は標準正規分布N(0, 1)にしたがうことを説明しました。これまでの例では,Z のこの性質を用いて,母平均 µの区間推定を行いました。

では,母分散 !2が不明であるとしましょう。このとき,(3)式には µと !2の2つの未知の量があるので,µの区間推定ができません。そこで,母分散 !2を,標本から計算される不偏分散 s2でおきかえた

t =X̄ ! µ!s2/n

(4)

というものを考えます。この tを t統計量といいます。Zは標準正規分布にしたがいますが,tはどのような分布にしたがうでしょうか?

この t統計量がしたがう確率分布は,標準正規分布ではなく,自由度 n! 1の t分布(スチューデントの t分布)という確率分布で,これを t(n! 1)と書きます。t分布の確率密度関数は標準正規分布とよく似ており,t = 0を中心とした左右対称の形になっています。

t分布を用いると,母分散が不明の場合でも,標準正規分布の場合と同様に母平均の信頼区間を求めることができます。次の問題を考えてみましょう。

ある試験の点数の分布は正規分布であるとします。この試験の受験者から 10人の標本を無作為抽出して,この 10人の点数を平均したところ 50点で,またこの 10人の点数の不偏分散が 52でした。このとき,受験者全体の平均点の 95%信頼区間を求めてください。

自由度 n! 1の t分布において,t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以上になる確率が 0.025であるような値」(「2.5パーセント点」といいます)とし,!t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以下になる確率が

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t0.025(n-1)

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A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t0

t分布を用いた区間推定

この区間に入っている確率=95%が

面積=95%

X1 X2

母平均

...

X

標本平均とのへだたりの和は,母平均とのへだたりの和よりもたいてい小さい

2つの標本の値の、

さまざまな可能性

X1 X2X

X1 X2X

母平均とのへだたり標本平均とのへだたり

図 1: なぜ n! 1で割るのか?

t分布と区間推定

前回の例で,母集団分布が母平均 µ,母分散 !2の正規分布で,そこから n個の標本を取り出したときの標本平均が X̄ であるとき,

Z =X̄ ! µ!!2/n

(3)

とおくと,Z は標準正規分布N(0, 1)にしたがうことを説明しました。これまでの例では,Z のこの性質を用いて,母平均 µの区間推定を行いました。

では,母分散 !2が不明であるとしましょう。このとき,(3)式には µと !2の2つの未知の量があるので,µの区間推定ができません。そこで,母分散 !2を,標本から計算される不偏分散 s2でおきかえた

t =X̄ ! µ!s2/n

(4)

というものを考えます。この tを t統計量といいます。Zは標準正規分布にしたがいますが,tはどのような分布にしたがうでしょうか?

この t統計量がしたがう確率分布は,標準正規分布ではなく,自由度 n! 1の t分布(スチューデントの t分布)という確率分布で,これを t(n! 1)と書きます。t分布の確率密度関数は標準正規分布とよく似ており,t = 0を中心とした左右対称の形になっています。

t分布を用いると,母分散が不明の場合でも,標準正規分布の場合と同様に母平均の信頼区間を求めることができます。次の問題を考えてみましょう。

ある試験の点数の分布は正規分布であるとします。この試験の受験者から 10人の標本を無作為抽出して,この 10人の点数を平均したところ 50点で,またこの 10人の点数の不偏分散が 52でした。このとき,受験者全体の平均点の 95%信頼区間を求めてください。

自由度 n! 1の t分布において,t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以上になる確率が 0.025であるような値」(「2.5パーセント点」といいます)とし,!t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以下になる確率が

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t0.025(n-1)-t0.025(n-1)

t(n-1)

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t分布を用いた区間推定が -t0.025(n-1) と t0.025(n-1) の間に入っている確率が95%

X1 X2

母平均

...

X

標本平均とのへだたりの和は,母平均とのへだたりの和よりもたいてい小さい

2つの標本の値の、

さまざまな可能性

X1 X2X

X1 X2X

母平均とのへだたり標本平均とのへだたり

図 1: なぜ n! 1で割るのか?

t分布と区間推定

前回の例で,母集団分布が母平均 µ,母分散 !2の正規分布で,そこから n個の標本を取り出したときの標本平均が X̄ であるとき,

Z =X̄ ! µ!!2/n

(3)

とおくと,Z は標準正規分布N(0, 1)にしたがうことを説明しました。これまでの例では,Z のこの性質を用いて,母平均 µの区間推定を行いました。

では,母分散 !2が不明であるとしましょう。このとき,(3)式には µと !2の2つの未知の量があるので,µの区間推定ができません。そこで,母分散 !2を,標本から計算される不偏分散 s2でおきかえた

t =X̄ ! µ!s2/n

(4)

というものを考えます。この tを t統計量といいます。Zは標準正規分布にしたがいますが,tはどのような分布にしたがうでしょうか?

この t統計量がしたがう確率分布は,標準正規分布ではなく,自由度 n! 1の t分布(スチューデントの t分布)という確率分布で,これを t(n! 1)と書きます。t分布の確率密度関数は標準正規分布とよく似ており,t = 0を中心とした左右対称の形になっています。

t分布を用いると,母分散が不明の場合でも,標準正規分布の場合と同様に母平均の信頼区間を求めることができます。次の問題を考えてみましょう。

ある試験の点数の分布は正規分布であるとします。この試験の受験者から 10人の標本を無作為抽出して,この 10人の点数を平均したところ 50点で,またこの 10人の点数の不偏分散が 52でした。このとき,受験者全体の平均点の 95%信頼区間を求めてください。

自由度 n! 1の t分布において,t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以上になる確率が 0.025であるような値」(「2.5パーセント点」といいます)とし,!t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以下になる確率が

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t分布を用いた区間推定

式で書くと

が -t0.025(n-1) と t0.025(n-1) の間に入っている確率が95%

X1 X2

母平均

...

X

標本平均とのへだたりの和は,母平均とのへだたりの和よりもたいてい小さい

2つの標本の値の、

さまざまな可能性

X1 X2X

X1 X2X

母平均とのへだたり標本平均とのへだたり

図 1: なぜ n! 1で割るのか?

t分布と区間推定

前回の例で,母集団分布が母平均 µ,母分散 !2の正規分布で,そこから n個の標本を取り出したときの標本平均が X̄ であるとき,

Z =X̄ ! µ!!2/n

(3)

とおくと,Z は標準正規分布N(0, 1)にしたがうことを説明しました。これまでの例では,Z のこの性質を用いて,母平均 µの区間推定を行いました。

では,母分散 !2が不明であるとしましょう。このとき,(3)式には µと !2の2つの未知の量があるので,µの区間推定ができません。そこで,母分散 !2を,標本から計算される不偏分散 s2でおきかえた

t =X̄ ! µ!s2/n

(4)

というものを考えます。この tを t統計量といいます。Zは標準正規分布にしたがいますが,tはどのような分布にしたがうでしょうか?

この t統計量がしたがう確率分布は,標準正規分布ではなく,自由度 n! 1の t分布(スチューデントの t分布)という確率分布で,これを t(n! 1)と書きます。t分布の確率密度関数は標準正規分布とよく似ており,t = 0を中心とした左右対称の形になっています。

t分布を用いると,母分散が不明の場合でも,標準正規分布の場合と同様に母平均の信頼区間を求めることができます。次の問題を考えてみましょう。

ある試験の点数の分布は正規分布であるとします。この試験の受験者から 10人の標本を無作為抽出して,この 10人の点数を平均したところ 50点で,またこの 10人の点数の不偏分散が 52でした。このとき,受験者全体の平均点の 95%信頼区間を求めてください。

自由度 n! 1の t分布において,t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以上になる確率が 0.025であるような値」(「2.5パーセント点」といいます)とし,!t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以下になる確率が

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t分布を用いた区間推定

式で書くと

が -t0.025(n-1) と t0.025(n-1) の間に入っている確率が95%

X1 X2

母平均

...

X

標本平均とのへだたりの和は,母平均とのへだたりの和よりもたいてい小さい

2つの標本の値の、

さまざまな可能性

X1 X2X

X1 X2X

母平均とのへだたり標本平均とのへだたり

図 1: なぜ n! 1で割るのか?

t分布と区間推定

前回の例で,母集団分布が母平均 µ,母分散 !2の正規分布で,そこから n個の標本を取り出したときの標本平均が X̄ であるとき,

Z =X̄ ! µ!!2/n

(3)

とおくと,Z は標準正規分布N(0, 1)にしたがうことを説明しました。これまでの例では,Z のこの性質を用いて,母平均 µの区間推定を行いました。

では,母分散 !2が不明であるとしましょう。このとき,(3)式には µと !2の2つの未知の量があるので,µの区間推定ができません。そこで,母分散 !2を,標本から計算される不偏分散 s2でおきかえた

t =X̄ ! µ!s2/n

(4)

というものを考えます。この tを t統計量といいます。Zは標準正規分布にしたがいますが,tはどのような分布にしたがうでしょうか?

この t統計量がしたがう確率分布は,標準正規分布ではなく,自由度 n! 1の t分布(スチューデントの t分布)という確率分布で,これを t(n! 1)と書きます。t分布の確率密度関数は標準正規分布とよく似ており,t = 0を中心とした左右対称の形になっています。

t分布を用いると,母分散が不明の場合でも,標準正規分布の場合と同様に母平均の信頼区間を求めることができます。次の問題を考えてみましょう。

ある試験の点数の分布は正規分布であるとします。この試験の受験者から 10人の標本を無作為抽出して,この 10人の点数を平均したところ 50点で,またこの 10人の点数の不偏分散が 52でした。このとき,受験者全体の平均点の 95%信頼区間を求めてください。

自由度 n! 1の t分布において,t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以上になる確率が 0.025であるような値」(「2.5パーセント点」といいます)とし,!t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以下になる確率が

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t0 t

0.025(n –1)

P(–t0.025

(n –1) ! t ! t0.025

(n –1)) = 0.95

–t0.025

(n –1)

確率密度

P(t " t0.025

(n –1)) = 0.025P(t ! –t0.025

(n –1)) = 0.025

tが入る確率95%の区間

図 2: t分布と区間推定

0.025であるような値」とすると

P

!!t0.025(n! 1) ! X̄ ! µ"

s2/n! t0.025(n! 1)

#= 0.95 (5)

が成り立ちます(図 2)。この式から,

P

!X̄ ! t0.025(n! 1)

$s2

n! µ ! X̄ + t0.025(n! 1)

$s2

n

#= 0.95 (6)

となりますから,µの 95%信頼区間は (6)式のかっこ内の範囲となります。

t!(!),すなわち自由度 !の 100"パーセント点の値を知るには,一緒に配布した数表(t分布表)を利用することができます。数表では,各自由度 !(縦軸)と定数 "(横軸)に対して,t!(!)が縦 !・横 "の交点の値を読むことで求められます。この問題の場合,標本平均 X̄ = 50,不偏分散 s2 = 25で,数表から t0.025(10! 1) = 2.262ですから,µの 95%信頼区間は「46.4(点)以上 53.6(点)以下」となります。

前回の例のように,母分散が 25とわかっているときには,µの 95%信頼区間は「46.9(点)以上 53.1

(点)以下」でしたから,今回の場合の方が信頼区間が広くなっています。信頼区間が広いということは,推定が不確かであることを意味しています。これは,不偏分散は母分散そのものではなく,母分散を推定した値であるため,不偏分散にはすでに不確かさが入っているためです。

今日の演習

ある薬品 X の1グラムあたりに含まれる物質 Y の量を 10 回測定すると,測定値の平均は 1.0(ミリグラム),不偏分散は 0.1((ミリグラム)2)でした。測定値は真の含有量を平均値とする正規分布にしたがって分布し,また各測定値はそれらから無作為抽出された標本とみなせるとします。このとき,「Xの1グラムあたりに含まれる物質Yの量」を信頼係数 95%で区間推定してください。

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t分布を用いた区間推定

式で書くと

が -t0.025(n-1) と t0.025(n-1) の間に入っている確率が95%

μの式に直すと

X1 X2

母平均

...

X

標本平均とのへだたりの和は,母平均とのへだたりの和よりもたいてい小さい

2つの標本の値の、

さまざまな可能性

X1 X2X

X1 X2X

母平均とのへだたり標本平均とのへだたり

図 1: なぜ n! 1で割るのか?

t分布と区間推定

前回の例で,母集団分布が母平均 µ,母分散 !2の正規分布で,そこから n個の標本を取り出したときの標本平均が X̄ であるとき,

Z =X̄ ! µ!!2/n

(3)

とおくと,Z は標準正規分布N(0, 1)にしたがうことを説明しました。これまでの例では,Z のこの性質を用いて,母平均 µの区間推定を行いました。

では,母分散 !2が不明であるとしましょう。このとき,(3)式には µと !2の2つの未知の量があるので,µの区間推定ができません。そこで,母分散 !2を,標本から計算される不偏分散 s2でおきかえた

t =X̄ ! µ!s2/n

(4)

というものを考えます。この tを t統計量といいます。Zは標準正規分布にしたがいますが,tはどのような分布にしたがうでしょうか?

この t統計量がしたがう確率分布は,標準正規分布ではなく,自由度 n! 1の t分布(スチューデントの t分布)という確率分布で,これを t(n! 1)と書きます。t分布の確率密度関数は標準正規分布とよく似ており,t = 0を中心とした左右対称の形になっています。

t分布を用いると,母分散が不明の場合でも,標準正規分布の場合と同様に母平均の信頼区間を求めることができます。次の問題を考えてみましょう。

ある試験の点数の分布は正規分布であるとします。この試験の受験者から 10人の標本を無作為抽出して,この 10人の点数を平均したところ 50点で,またこの 10人の点数の不偏分散が 52でした。このとき,受験者全体の平均点の 95%信頼区間を求めてください。

自由度 n! 1の t分布において,t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以上になる確率が 0.025であるような値」(「2.5パーセント点」といいます)とし,!t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以下になる確率が

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t0 t

0.025(n –1)

P(–t0.025

(n –1) ! t ! t0.025

(n –1)) = 0.95

–t0.025

(n –1)

確率密度

P(t " t0.025

(n –1)) = 0.025P(t ! –t0.025

(n –1)) = 0.025

tが入る確率95%の区間

図 2: t分布と区間推定

0.025であるような値」とすると

P

!!t0.025(n! 1) ! X̄ ! µ"

s2/n! t0.025(n! 1)

#= 0.95 (5)

が成り立ちます(図 2)。この式から,

P

!X̄ ! t0.025(n! 1)

$s2

n! µ ! X̄ + t0.025(n! 1)

$s2

n

#= 0.95 (6)

となりますから,µの 95%信頼区間は (6)式のかっこ内の範囲となります。

t!(!),すなわち自由度 !の 100"パーセント点の値を知るには,一緒に配布した数表(t分布表)を利用することができます。数表では,各自由度 !(縦軸)と定数 "(横軸)に対して,t!(!)が縦 !・横 "の交点の値を読むことで求められます。この問題の場合,標本平均 X̄ = 50,不偏分散 s2 = 25で,数表から t0.025(10! 1) = 2.262ですから,µの 95%信頼区間は「46.4(点)以上 53.6(点)以下」となります。

前回の例のように,母分散が 25とわかっているときには,µの 95%信頼区間は「46.9(点)以上 53.1

(点)以下」でしたから,今回の場合の方が信頼区間が広くなっています。信頼区間が広いということは,推定が不確かであることを意味しています。これは,不偏分散は母分散そのものではなく,母分散を推定した値であるため,不偏分散にはすでに不確かさが入っているためです。

今日の演習

ある薬品 X の1グラムあたりに含まれる物質 Y の量を 10 回測定すると,測定値の平均は 1.0(ミリグラム),不偏分散は 0.1((ミリグラム)2)でした。測定値は真の含有量を平均値とする正規分布にしたがって分布し,また各測定値はそれらから無作為抽出された標本とみなせるとします。このとき,「Xの1グラムあたりに含まれる物質Yの量」を信頼係数 95%で区間推定してください。

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t分布を用いた区間推定

式で書くと

が -t0.025(n-1) と t0.025(n-1) の間に入っている確率が95%

μの式に直すと

X1 X2

母平均

...

X

標本平均とのへだたりの和は,母平均とのへだたりの和よりもたいてい小さい

2つの標本の値の、

さまざまな可能性

X1 X2X

X1 X2X

母平均とのへだたり標本平均とのへだたり

図 1: なぜ n! 1で割るのか?

t分布と区間推定

前回の例で,母集団分布が母平均 µ,母分散 !2の正規分布で,そこから n個の標本を取り出したときの標本平均が X̄ であるとき,

Z =X̄ ! µ!!2/n

(3)

とおくと,Z は標準正規分布N(0, 1)にしたがうことを説明しました。これまでの例では,Z のこの性質を用いて,母平均 µの区間推定を行いました。

では,母分散 !2が不明であるとしましょう。このとき,(3)式には µと !2の2つの未知の量があるので,µの区間推定ができません。そこで,母分散 !2を,標本から計算される不偏分散 s2でおきかえた

t =X̄ ! µ!s2/n

(4)

というものを考えます。この tを t統計量といいます。Zは標準正規分布にしたがいますが,tはどのような分布にしたがうでしょうか?

この t統計量がしたがう確率分布は,標準正規分布ではなく,自由度 n! 1の t分布(スチューデントの t分布)という確率分布で,これを t(n! 1)と書きます。t分布の確率密度関数は標準正規分布とよく似ており,t = 0を中心とした左右対称の形になっています。

t分布を用いると,母分散が不明の場合でも,標準正規分布の場合と同様に母平均の信頼区間を求めることができます。次の問題を考えてみましょう。

ある試験の点数の分布は正規分布であるとします。この試験の受験者から 10人の標本を無作為抽出して,この 10人の点数を平均したところ 50点で,またこの 10人の点数の不偏分散が 52でした。このとき,受験者全体の平均点の 95%信頼区間を求めてください。

自由度 n! 1の t分布において,t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以上になる確率が 0.025であるような値」(「2.5パーセント点」といいます)とし,!t0.025(n! 1)を「t統計量がその値以下になる確率が

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t0 t

0.025(n –1)

P(–t0.025

(n –1) ! t ! t0.025

(n –1)) = 0.95

–t0.025

(n –1)

確率密度

P(t " t0.025

(n –1)) = 0.025P(t ! –t0.025

(n –1)) = 0.025

tが入る確率95%の区間

図 2: t分布と区間推定

0.025であるような値」とすると

P

!!t0.025(n! 1) ! X̄ ! µ"

s2/n! t0.025(n! 1)

#= 0.95 (5)

が成り立ちます(図 2)。この式から,

P

!X̄ ! t0.025(n! 1)

$s2

n! µ ! X̄ + t0.025(n! 1)

$s2

n

#= 0.95 (6)

となりますから,µの 95%信頼区間は (6)式のかっこ内の範囲となります。

t!(!),すなわち自由度 !の 100"パーセント点の値を知るには,一緒に配布した数表(t分布表)を利用することができます。数表では,各自由度 !(縦軸)と定数 "(横軸)に対して,t!(!)が縦 !・横 "の交点の値を読むことで求められます。この問題の場合,標本平均 X̄ = 50,不偏分散 s2 = 25で,数表から t0.025(10! 1) = 2.262ですから,µの 95%信頼区間は「46.4(点)以上 53.6(点)以下」となります。

前回の例のように,母分散が 25とわかっているときには,µの 95%信頼区間は「46.9(点)以上 53.1

(点)以下」でしたから,今回の場合の方が信頼区間が広くなっています。信頼区間が広いということは,推定が不確かであることを意味しています。これは,不偏分散は母分散そのものではなく,母分散を推定した値であるため,不偏分散にはすでに不確かさが入っているためです。

今日の演習

ある薬品 X の1グラムあたりに含まれる物質 Y の量を 10 回測定すると,測定値の平均は 1.0(ミリグラム),不偏分散は 0.1((ミリグラム)2)でした。測定値は真の含有量を平均値とする正規分布にしたがって分布し,また各測定値はそれらから無作為抽出された標本とみなせるとします。このとき,「Xの1グラムあたりに含まれる物質Yの量」を信頼係数 95%で区間推定してください。

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t0 t

0.025(n –1)

P(–t0.025

(n –1) ! t ! t0.025

(n –1)) = 0.95

–t0.025

(n –1)

確率密度

P(t " t0.025

(n –1)) = 0.025P(t ! –t0.025

(n –1)) = 0.025

tが入る確率95%の区間

図 2: t分布と区間推定

0.025であるような値」とすると

P

!!t0.025(n! 1) ! X̄ ! µ"

s2/n! t0.025(n! 1)

#= 0.95 (5)

が成り立ちます(図 2)。この式から,

P

!X̄ ! t0.025(n! 1)

$s2

n! µ ! X̄ + t0.025(n! 1)

$s2

n

#= 0.95 (6)

となりますから,µの 95%信頼区間は (6)式のかっこ内の範囲となります。

t!(!),すなわち自由度 !の 100"パーセント点の値を知るには,一緒に配布した数表(t分布表)を利用することができます。数表では,各自由度 !(縦軸)と定数 "(横軸)に対して,t!(!)が縦 !・横 "の交点の値を読むことで求められます。この問題の場合,標本平均 X̄ = 50,不偏分散 s2 = 25で,数表から t0.025(10! 1) = 2.262ですから,µの 95%信頼区間は「46.4(点)以上 53.6(点)以下」となります。

前回の例のように,母分散が 25とわかっているときには,µの 95%信頼区間は「46.9(点)以上 53.1

(点)以下」でしたから,今回の場合の方が信頼区間が広くなっています。信頼区間が広いということは,推定が不確かであることを意味しています。これは,不偏分散は母分散そのものではなく,母分散を推定した値であるため,不偏分散にはすでに不確かさが入っているためです。

今日の演習

ある薬品 X の1グラムあたりに含まれる物質 Y の量を 10 回測定すると,測定値の平均は 1.0(ミリグラム),不偏分散は 0.1((ミリグラム)2)でした。測定値は真の含有量を平均値とする正規分布にしたがって分布し,また各測定値はそれらから無作為抽出された標本とみなせるとします。このとき,「Xの1グラムあたりに含まれる物質Yの量」を信頼係数 95%で区間推定してください。

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A. A

sano

, Kan

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niv.

t分布を用いた区間推定

t0 t

0.025(n –1)

P(–t0.025

(n –1) ! t ! t0.025

(n –1)) = 0.95

–t0.025

(n –1)

確率密度

P(t " t0.025

(n –1)) = 0.025P(t ! –t0.025

(n –1)) = 0.025

tが入る確率95%の区間

図 2: t分布と区間推定

0.025であるような値」とすると

P

!!t0.025(n! 1) ! X̄ ! µ"

s2/n! t0.025(n! 1)

#= 0.95 (5)

が成り立ちます(図 2)。この式から,

P

!X̄ ! t0.025(n! 1)

$s2

n! µ ! X̄ + t0.025(n! 1)

$s2

n

#= 0.95 (6)

となりますから,µの 95%信頼区間は (6)式のかっこ内の範囲となります。

t!(!),すなわち自由度 !の 100"パーセント点の値を知るには,一緒に配布した数表(t分布表)を利用することができます。数表では,各自由度 !(縦軸)と定数 "(横軸)に対して,t!(!)が縦 !・横 "の交点の値を読むことで求められます。この問題の場合,標本平均 X̄ = 50,不偏分散 s2 = 25で,数表から t0.025(10! 1) = 2.262ですから,µの 95%信頼区間は「46.4(点)以上 53.6(点)以下」となります。

前回の例のように,母分散が 25とわかっているときには,µの 95%信頼区間は「46.9(点)以上 53.1

(点)以下」でしたから,今回の場合の方が信頼区間が広くなっています。信頼区間が広いということは,推定が不確かであることを意味しています。これは,不偏分散は母分散そのものではなく,母分散を推定した値であるため,不偏分散にはすでに不確かさが入っているためです。

今日の演習

ある薬品 X の1グラムあたりに含まれる物質 Y の量を 10 回測定すると,測定値の平均は 1.0(ミリグラム),不偏分散は 0.1((ミリグラム)2)でした。測定値は真の含有量を平均値とする正規分布にしたがって分布し,また各測定値はそれらから無作為抽出された標本とみなせるとします。このとき,「Xの1グラムあたりに含まれる物質Yの量」を信頼係数 95%で区間推定してください。

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t分布を用いた区間推定

μの95%信頼区間の下限

t0 t

0.025(n –1)

P(–t0.025

(n –1) ! t ! t0.025

(n –1)) = 0.95

–t0.025

(n –1)

確率密度

P(t " t0.025

(n –1)) = 0.025P(t ! –t0.025

(n –1)) = 0.025

tが入る確率95%の区間

図 2: t分布と区間推定

0.025であるような値」とすると

P

!!t0.025(n! 1) ! X̄ ! µ"

s2/n! t0.025(n! 1)

#= 0.95 (5)

が成り立ちます(図 2)。この式から,

P

!X̄ ! t0.025(n! 1)

$s2

n! µ ! X̄ + t0.025(n! 1)

$s2

n

#= 0.95 (6)

となりますから,µの 95%信頼区間は (6)式のかっこ内の範囲となります。

t!(!),すなわち自由度 !の 100"パーセント点の値を知るには,一緒に配布した数表(t分布表)を利用することができます。数表では,各自由度 !(縦軸)と定数 "(横軸)に対して,t!(!)が縦 !・横 "の交点の値を読むことで求められます。この問題の場合,標本平均 X̄ = 50,不偏分散 s2 = 25で,数表から t0.025(10! 1) = 2.262ですから,µの 95%信頼区間は「46.4(点)以上 53.6(点)以下」となります。

前回の例のように,母分散が 25とわかっているときには,µの 95%信頼区間は「46.9(点)以上 53.1

(点)以下」でしたから,今回の場合の方が信頼区間が広くなっています。信頼区間が広いということは,推定が不確かであることを意味しています。これは,不偏分散は母分散そのものではなく,母分散を推定した値であるため,不偏分散にはすでに不確かさが入っているためです。

今日の演習

ある薬品 X の1グラムあたりに含まれる物質 Y の量を 10 回測定すると,測定値の平均は 1.0(ミリグラム),不偏分散は 0.1((ミリグラム)2)でした。測定値は真の含有量を平均値とする正規分布にしたがって分布し,また各測定値はそれらから無作為抽出された標本とみなせるとします。このとき,「Xの1グラムあたりに含まれる物質Yの量」を信頼係数 95%で区間推定してください。

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t分布を用いた区間推定

μの95%信頼区間の下限

μの95%信頼区間の上限

t0 t

0.025(n –1)

P(–t0.025

(n –1) ! t ! t0.025

(n –1)) = 0.95

–t0.025

(n –1)

確率密度

P(t " t0.025

(n –1)) = 0.025P(t ! –t0.025

(n –1)) = 0.025

tが入る確率95%の区間

図 2: t分布と区間推定

0.025であるような値」とすると

P

!!t0.025(n! 1) ! X̄ ! µ"

s2/n! t0.025(n! 1)

#= 0.95 (5)

が成り立ちます(図 2)。この式から,

P

!X̄ ! t0.025(n! 1)

$s2

n! µ ! X̄ + t0.025(n! 1)

$s2

n

#= 0.95 (6)

となりますから,µの 95%信頼区間は (6)式のかっこ内の範囲となります。

t!(!),すなわち自由度 !の 100"パーセント点の値を知るには,一緒に配布した数表(t分布表)を利用することができます。数表では,各自由度 !(縦軸)と定数 "(横軸)に対して,t!(!)が縦 !・横 "の交点の値を読むことで求められます。この問題の場合,標本平均 X̄ = 50,不偏分散 s2 = 25で,数表から t0.025(10! 1) = 2.262ですから,µの 95%信頼区間は「46.4(点)以上 53.6(点)以下」となります。

前回の例のように,母分散が 25とわかっているときには,µの 95%信頼区間は「46.9(点)以上 53.1

(点)以下」でしたから,今回の場合の方が信頼区間が広くなっています。信頼区間が広いということは,推定が不確かであることを意味しています。これは,不偏分散は母分散そのものではなく,母分散を推定した値であるため,不偏分散にはすでに不確かさが入っているためです。

今日の演習

ある薬品 X の1グラムあたりに含まれる物質 Y の量を 10 回測定すると,測定値の平均は 1.0(ミリグラム),不偏分散は 0.1((ミリグラム)2)でした。測定値は真の含有量を平均値とする正規分布にしたがって分布し,また各測定値はそれらから無作為抽出された標本とみなせるとします。このとき,「Xの1グラムあたりに含まれる物質Yの量」を信頼係数 95%で区間推定してください。

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t分布を用いた区間推定

μの95%信頼区間の下限

μの95%信頼区間の上限

例題では

t0 t

0.025(n –1)

P(–t0.025

(n –1) ! t ! t0.025

(n –1)) = 0.95

–t0.025

(n –1)

確率密度

P(t " t0.025

(n –1)) = 0.025P(t ! –t0.025

(n –1)) = 0.025

tが入る確率95%の区間

図 2: t分布と区間推定

0.025であるような値」とすると

P

!!t0.025(n! 1) ! X̄ ! µ"

s2/n! t0.025(n! 1)

#= 0.95 (5)

が成り立ちます(図 2)。この式から,

P

!X̄ ! t0.025(n! 1)

$s2

n! µ ! X̄ + t0.025(n! 1)

$s2

n

#= 0.95 (6)

となりますから,µの 95%信頼区間は (6)式のかっこ内の範囲となります。

t!(!),すなわち自由度 !の 100"パーセント点の値を知るには,一緒に配布した数表(t分布表)を利用することができます。数表では,各自由度 !(縦軸)と定数 "(横軸)に対して,t!(!)が縦 !・横 "の交点の値を読むことで求められます。この問題の場合,標本平均 X̄ = 50,不偏分散 s2 = 25で,数表から t0.025(10! 1) = 2.262ですから,µの 95%信頼区間は「46.4(点)以上 53.6(点)以下」となります。

前回の例のように,母分散が 25とわかっているときには,µの 95%信頼区間は「46.9(点)以上 53.1

(点)以下」でしたから,今回の場合の方が信頼区間が広くなっています。信頼区間が広いということは,推定が不確かであることを意味しています。これは,不偏分散は母分散そのものではなく,母分散を推定した値であるため,不偏分散にはすでに不確かさが入っているためです。

今日の演習

ある薬品 X の1グラムあたりに含まれる物質 Y の量を 10 回測定すると,測定値の平均は 1.0(ミリグラム),不偏分散は 0.1((ミリグラム)2)でした。測定値は真の含有量を平均値とする正規分布にしたがって分布し,また各測定値はそれらから無作為抽出された標本とみなせるとします。このとき,「Xの1グラムあたりに含まれる物質Yの量」を信頼係数 95%で区間推定してください。

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t分布を用いた区間推定

μの95%信頼区間の下限

μの95%信頼区間の上限

例題では標本平均=50

t0 t

0.025(n –1)

P(–t0.025

(n –1) ! t ! t0.025

(n –1)) = 0.95

–t0.025

(n –1)

確率密度

P(t " t0.025

(n –1)) = 0.025P(t ! –t0.025

(n –1)) = 0.025

tが入る確率95%の区間

図 2: t分布と区間推定

0.025であるような値」とすると

P

!!t0.025(n! 1) ! X̄ ! µ"

s2/n! t0.025(n! 1)

#= 0.95 (5)

が成り立ちます(図 2)。この式から,

P

!X̄ ! t0.025(n! 1)

$s2

n! µ ! X̄ + t0.025(n! 1)

$s2

n

#= 0.95 (6)

となりますから,µの 95%信頼区間は (6)式のかっこ内の範囲となります。

t!(!),すなわち自由度 !の 100"パーセント点の値を知るには,一緒に配布した数表(t分布表)を利用することができます。数表では,各自由度 !(縦軸)と定数 "(横軸)に対して,t!(!)が縦 !・横 "の交点の値を読むことで求められます。この問題の場合,標本平均 X̄ = 50,不偏分散 s2 = 25で,数表から t0.025(10! 1) = 2.262ですから,µの 95%信頼区間は「46.4(点)以上 53.6(点)以下」となります。

前回の例のように,母分散が 25とわかっているときには,µの 95%信頼区間は「46.9(点)以上 53.1

(点)以下」でしたから,今回の場合の方が信頼区間が広くなっています。信頼区間が広いということは,推定が不確かであることを意味しています。これは,不偏分散は母分散そのものではなく,母分散を推定した値であるため,不偏分散にはすでに不確かさが入っているためです。

今日の演習

ある薬品 X の1グラムあたりに含まれる物質 Y の量を 10 回測定すると,測定値の平均は 1.0(ミリグラム),不偏分散は 0.1((ミリグラム)2)でした。測定値は真の含有量を平均値とする正規分布にしたがって分布し,また各測定値はそれらから無作為抽出された標本とみなせるとします。このとき,「Xの1グラムあたりに含まれる物質Yの量」を信頼係数 95%で区間推定してください。

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t分布を用いた区間推定

μの95%信頼区間の下限

μの95%信頼区間の上限

例題では標本平均=50 不偏分散=25

t0 t

0.025(n –1)

P(–t0.025

(n –1) ! t ! t0.025

(n –1)) = 0.95

–t0.025

(n –1)

確率密度

P(t " t0.025

(n –1)) = 0.025P(t ! –t0.025

(n –1)) = 0.025

tが入る確率95%の区間

図 2: t分布と区間推定

0.025であるような値」とすると

P

!!t0.025(n! 1) ! X̄ ! µ"

s2/n! t0.025(n! 1)

#= 0.95 (5)

が成り立ちます(図 2)。この式から,

P

!X̄ ! t0.025(n! 1)

$s2

n! µ ! X̄ + t0.025(n! 1)

$s2

n

#= 0.95 (6)

となりますから,µの 95%信頼区間は (6)式のかっこ内の範囲となります。

t!(!),すなわち自由度 !の 100"パーセント点の値を知るには,一緒に配布した数表(t分布表)を利用することができます。数表では,各自由度 !(縦軸)と定数 "(横軸)に対して,t!(!)が縦 !・横 "の交点の値を読むことで求められます。この問題の場合,標本平均 X̄ = 50,不偏分散 s2 = 25で,数表から t0.025(10! 1) = 2.262ですから,µの 95%信頼区間は「46.4(点)以上 53.6(点)以下」となります。

前回の例のように,母分散が 25とわかっているときには,µの 95%信頼区間は「46.9(点)以上 53.1

(点)以下」でしたから,今回の場合の方が信頼区間が広くなっています。信頼区間が広いということは,推定が不確かであることを意味しています。これは,不偏分散は母分散そのものではなく,母分散を推定した値であるため,不偏分散にはすでに不確かさが入っているためです。

今日の演習

ある薬品 X の1グラムあたりに含まれる物質 Y の量を 10 回測定すると,測定値の平均は 1.0(ミリグラム),不偏分散は 0.1((ミリグラム)2)でした。測定値は真の含有量を平均値とする正規分布にしたがって分布し,また各測定値はそれらから無作為抽出された標本とみなせるとします。このとき,「Xの1グラムあたりに含まれる物質Yの量」を信頼係数 95%で区間推定してください。

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t分布を用いた区間推定

μの95%信頼区間の下限

μの95%信頼区間の上限

例題では標本平均=50 不偏分散=25 標本サイズ=10

t0 t

0.025(n –1)

P(–t0.025

(n –1) ! t ! t0.025

(n –1)) = 0.95

–t0.025

(n –1)

確率密度

P(t " t0.025

(n –1)) = 0.025P(t ! –t0.025

(n –1)) = 0.025

tが入る確率95%の区間

図 2: t分布と区間推定

0.025であるような値」とすると

P

!!t0.025(n! 1) ! X̄ ! µ"

s2/n! t0.025(n! 1)

#= 0.95 (5)

が成り立ちます(図 2)。この式から,

P

!X̄ ! t0.025(n! 1)

$s2

n! µ ! X̄ + t0.025(n! 1)

$s2

n

#= 0.95 (6)

となりますから,µの 95%信頼区間は (6)式のかっこ内の範囲となります。

t!(!),すなわち自由度 !の 100"パーセント点の値を知るには,一緒に配布した数表(t分布表)を利用することができます。数表では,各自由度 !(縦軸)と定数 "(横軸)に対して,t!(!)が縦 !・横 "の交点の値を読むことで求められます。この問題の場合,標本平均 X̄ = 50,不偏分散 s2 = 25で,数表から t0.025(10! 1) = 2.262ですから,µの 95%信頼区間は「46.4(点)以上 53.6(点)以下」となります。

前回の例のように,母分散が 25とわかっているときには,µの 95%信頼区間は「46.9(点)以上 53.1

(点)以下」でしたから,今回の場合の方が信頼区間が広くなっています。信頼区間が広いということは,推定が不確かであることを意味しています。これは,不偏分散は母分散そのものではなく,母分散を推定した値であるため,不偏分散にはすでに不確かさが入っているためです。

今日の演習

ある薬品 X の1グラムあたりに含まれる物質 Y の量を 10 回測定すると,測定値の平均は 1.0(ミリグラム),不偏分散は 0.1((ミリグラム)2)でした。測定値は真の含有量を平均値とする正規分布にしたがって分布し,また各測定値はそれらから無作為抽出された標本とみなせるとします。このとき,「Xの1グラムあたりに含まれる物質Yの量」を信頼係数 95%で区間推定してください。

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t分布を用いた区間推定

μの95%信頼区間の下限

μの95%信頼区間の上限

例題では標本平均=50 不偏分散=25 標本サイズ=10

上側2.5%点 t0.025(n-1) は?

t0 t

0.025(n –1)

P(–t0.025

(n –1) ! t ! t0.025

(n –1)) = 0.95

–t0.025

(n –1)

確率密度

P(t " t0.025

(n –1)) = 0.025P(t ! –t0.025

(n –1)) = 0.025

tが入る確率95%の区間

図 2: t分布と区間推定

0.025であるような値」とすると

P

!!t0.025(n! 1) ! X̄ ! µ"

s2/n! t0.025(n! 1)

#= 0.95 (5)

が成り立ちます(図 2)。この式から,

P

!X̄ ! t0.025(n! 1)

$s2

n! µ ! X̄ + t0.025(n! 1)

$s2

n

#= 0.95 (6)

となりますから,µの 95%信頼区間は (6)式のかっこ内の範囲となります。

t!(!),すなわち自由度 !の 100"パーセント点の値を知るには,一緒に配布した数表(t分布表)を利用することができます。数表では,各自由度 !(縦軸)と定数 "(横軸)に対して,t!(!)が縦 !・横 "の交点の値を読むことで求められます。この問題の場合,標本平均 X̄ = 50,不偏分散 s2 = 25で,数表から t0.025(10! 1) = 2.262ですから,µの 95%信頼区間は「46.4(点)以上 53.6(点)以下」となります。

前回の例のように,母分散が 25とわかっているときには,µの 95%信頼区間は「46.9(点)以上 53.1

(点)以下」でしたから,今回の場合の方が信頼区間が広くなっています。信頼区間が広いということは,推定が不確かであることを意味しています。これは,不偏分散は母分散そのものではなく,母分散を推定した値であるため,不偏分散にはすでに不確かさが入っているためです。

今日の演習

ある薬品 X の1グラムあたりに含まれる物質 Y の量を 10 回測定すると,測定値の平均は 1.0(ミリグラム),不偏分散は 0.1((ミリグラム)2)でした。測定値は真の含有量を平均値とする正規分布にしたがって分布し,また各測定値はそれらから無作為抽出された標本とみなせるとします。このとき,「Xの1グラムあたりに含まれる物質Yの量」を信頼係数 95%で区間推定してください。

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t0

t分布表

面積=2.5%

t0.025(n-1)

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t0

t分布表

面積=2.5%

t0.025(n-1)

0.40 0.30 0.25 0.20 0.15 0.10 0.05 0.025 0.01 0.005

1 0.3249 0.7265 1.0000 1.3764 1.9626 3.0777 6.3138 12.7062 31.8205 63.6567

2 0.2887 0.6172 0.8165 1.0607 1.3862 1.8856 2.9200 4.3027 6.9646 9.9248

3 0.2767 0.5844 0.7649 0.9785 1.2498 1.6377 2.3534 3.1824 4.5407 5.8409

4 0.2707 0.5686 0.7407 0.9410 1.1896 1.5332 2.1318 2.7764 3.7469 4.6041

5 0.2672 0.5594 0.7267 0.9195 1.1558 1.4759 2.0150 2.5706 3.3649 4.0321

6 0.2648 0.5534 0.7176 0.9057 1.1342 1.4398 1.9432 2.4469 3.1427 3.7074

7 0.2632 0.5491 0.7111 0.8960 1.1192 1.4149 1.8946 2.3646 2.9980 3.4995

8 0.2619 0.5459 0.7064 0.8889 1.1081 1.3968 1.8595 2.3060 2.8965 3.3554

9 0.2610 0.5435 0.7027 0.8834 1.0997 1.3830 1.8331 2.2622 2.8214 3.2498

10 0.2602 0.5415 0.6998 0.8791 1.0931 1.3722 1.8125 2.2281 2.7638 3.1693

11 0.2596 0.5399 0.6974 0.8755 1.0877 1.3634 1.7959 2.2010 2.7181 3.1058

12 0.2590 0.5386 0.6955 0.8726 1.0832 1.3562 1.7823 2.1788 2.6810 3.0545

13 0.2586 0.5375 0.6938 0.8702 1.0795 1.3502 1.7709 2.1604 2.6503 3.0123

14 0.2582 0.5366 0.6924 0.8681 1.0763 1.3450 1.7613 2.1448 2.6245 2.9768

15 0.2579 0.5357 0.6912 0.8662 1.0735 1.3406 1.7531 2.1314 2.6025 2.9467

16 0.2576 0.5350 0.6901 0.8647 1.0711 1.3368 1.7459 2.1199 2.5835 2.9208

17 0.2573 0.5344 0.6892 0.8633 1.0690 1.3334 1.7396 2.1098 2.5669 2.8982

18 0.2571 0.5338 0.6884 0.8620 1.0672 1.3304 1.7341 2.1009 2.5524 2.8784

19 0.2569 0.5333 0.6876 0.8610 1.0655 1.3277 1.7291 2.0930 2.5395 2.8609

20 0.2567 0.5329 0.6870 0.8600 1.0640 1.3253 1.7247 2.0860 2.5280 2.8453

21 0.2566 0.5325 0.6864 0.8591 1.0627 1.3232 1.7207 2.0796 2.5176 2.8314

22 0.2564 0.5321 0.6858 0.8583 1.0614 1.3212 1.7171 2.0739 2.5083 2.8188

23 0.2563 0.5317 0.6853 0.8575 1.0603 1.3195 1.7139 2.0687 2.4999 2.8073

24 0.2562 0.5314 0.6848 0.8569 1.0593 1.3178 1.7109 2.0639 2.4922 2.7969

25 0.2561 0.5312 0.6844 0.8562 1.0584 1.3163 1.7081 2.0595 2.4851 2.7874

26 0.2560 0.5309 0.6840 0.8557 1.0575 1.3150 1.7056 2.0555 2.4786 2.7787

27 0.2559 0.5306 0.6837 0.8551 1.0567 1.3137 1.7033 2.0518 2.4727 2.7707

28 0.2558 0.5304 0.6834 0.8546 1.0560 1.3125 1.7011 2.0484 2.4671 2.7633

29 0.2557 0.5302 0.6830 0.8542 1.0553 1.3114 1.6991 2.0452 2.4620 2.7564

30 0.2556 0.5300 0.6828 0.8538 1.0547 1.3104 1.6973 2.0423 2.4573 2.7500

31 0.2555 0.5298 0.6825 0.8534 1.0541 1.3095 1.6955 2.0395 2.4528 2.7440

32 0.2555 0.5297 0.6822 0.8530 1.0535 1.3086 1.6939 2.0369 2.4487 2.7385

33 0.2554 0.5295 0.6820 0.8526 1.0530 1.3077 1.6924 2.0345 2.4448 2.7333

34 0.2553 0.5294 0.6818 0.8523 1.0525 1.3070 1.6909 2.0322 2.4411 2.7284

35 0.2553 0.5292 0.6816 0.8520 1.0520 1.3062 1.6896 2.0301 2.4377 2.7238

36 0.2552 0.5291 0.6814 0.8517 1.0516 1.3055 1.6883 2.0281 2.4345 2.7195

37 0.2552 0.5289 0.6812 0.8514 1.0512 1.3049 1.6871 2.0262 2.4314 2.7154

38 0.2551 0.5288 0.6810 0.8512 1.0508 1.3042 1.6860 2.0244 2.4286 2.7116

39 0.2551 0.5287 0.6808 0.8509 1.0504 1.3036 1.6849 2.0227 2.4258 2.7079

0.2533 0.5244 0.6745 0.8416 1.0364 1.2816 1.6449 1.9600 2.3263 2.5758

※ Microsoft Excel 2004 for Mac で,TINV関数を使って作成.     2005. 11. 18  浅野 晃

t分布表(自由度 の100 パーセント点 t ( ))

自由度

Page 181: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t0

t分布表

面積=2.5%

パーセントの値

t0.025(n-1)

0.40 0.30 0.25 0.20 0.15 0.10 0.05 0.025 0.01 0.005

1 0.3249 0.7265 1.0000 1.3764 1.9626 3.0777 6.3138 12.7062 31.8205 63.6567

2 0.2887 0.6172 0.8165 1.0607 1.3862 1.8856 2.9200 4.3027 6.9646 9.9248

3 0.2767 0.5844 0.7649 0.9785 1.2498 1.6377 2.3534 3.1824 4.5407 5.8409

4 0.2707 0.5686 0.7407 0.9410 1.1896 1.5332 2.1318 2.7764 3.7469 4.6041

5 0.2672 0.5594 0.7267 0.9195 1.1558 1.4759 2.0150 2.5706 3.3649 4.0321

6 0.2648 0.5534 0.7176 0.9057 1.1342 1.4398 1.9432 2.4469 3.1427 3.7074

7 0.2632 0.5491 0.7111 0.8960 1.1192 1.4149 1.8946 2.3646 2.9980 3.4995

8 0.2619 0.5459 0.7064 0.8889 1.1081 1.3968 1.8595 2.3060 2.8965 3.3554

9 0.2610 0.5435 0.7027 0.8834 1.0997 1.3830 1.8331 2.2622 2.8214 3.2498

10 0.2602 0.5415 0.6998 0.8791 1.0931 1.3722 1.8125 2.2281 2.7638 3.1693

11 0.2596 0.5399 0.6974 0.8755 1.0877 1.3634 1.7959 2.2010 2.7181 3.1058

12 0.2590 0.5386 0.6955 0.8726 1.0832 1.3562 1.7823 2.1788 2.6810 3.0545

13 0.2586 0.5375 0.6938 0.8702 1.0795 1.3502 1.7709 2.1604 2.6503 3.0123

14 0.2582 0.5366 0.6924 0.8681 1.0763 1.3450 1.7613 2.1448 2.6245 2.9768

15 0.2579 0.5357 0.6912 0.8662 1.0735 1.3406 1.7531 2.1314 2.6025 2.9467

16 0.2576 0.5350 0.6901 0.8647 1.0711 1.3368 1.7459 2.1199 2.5835 2.9208

17 0.2573 0.5344 0.6892 0.8633 1.0690 1.3334 1.7396 2.1098 2.5669 2.8982

18 0.2571 0.5338 0.6884 0.8620 1.0672 1.3304 1.7341 2.1009 2.5524 2.8784

19 0.2569 0.5333 0.6876 0.8610 1.0655 1.3277 1.7291 2.0930 2.5395 2.8609

20 0.2567 0.5329 0.6870 0.8600 1.0640 1.3253 1.7247 2.0860 2.5280 2.8453

21 0.2566 0.5325 0.6864 0.8591 1.0627 1.3232 1.7207 2.0796 2.5176 2.8314

22 0.2564 0.5321 0.6858 0.8583 1.0614 1.3212 1.7171 2.0739 2.5083 2.8188

23 0.2563 0.5317 0.6853 0.8575 1.0603 1.3195 1.7139 2.0687 2.4999 2.8073

24 0.2562 0.5314 0.6848 0.8569 1.0593 1.3178 1.7109 2.0639 2.4922 2.7969

25 0.2561 0.5312 0.6844 0.8562 1.0584 1.3163 1.7081 2.0595 2.4851 2.7874

26 0.2560 0.5309 0.6840 0.8557 1.0575 1.3150 1.7056 2.0555 2.4786 2.7787

27 0.2559 0.5306 0.6837 0.8551 1.0567 1.3137 1.7033 2.0518 2.4727 2.7707

28 0.2558 0.5304 0.6834 0.8546 1.0560 1.3125 1.7011 2.0484 2.4671 2.7633

29 0.2557 0.5302 0.6830 0.8542 1.0553 1.3114 1.6991 2.0452 2.4620 2.7564

30 0.2556 0.5300 0.6828 0.8538 1.0547 1.3104 1.6973 2.0423 2.4573 2.7500

31 0.2555 0.5298 0.6825 0.8534 1.0541 1.3095 1.6955 2.0395 2.4528 2.7440

32 0.2555 0.5297 0.6822 0.8530 1.0535 1.3086 1.6939 2.0369 2.4487 2.7385

33 0.2554 0.5295 0.6820 0.8526 1.0530 1.3077 1.6924 2.0345 2.4448 2.7333

34 0.2553 0.5294 0.6818 0.8523 1.0525 1.3070 1.6909 2.0322 2.4411 2.7284

35 0.2553 0.5292 0.6816 0.8520 1.0520 1.3062 1.6896 2.0301 2.4377 2.7238

36 0.2552 0.5291 0.6814 0.8517 1.0516 1.3055 1.6883 2.0281 2.4345 2.7195

37 0.2552 0.5289 0.6812 0.8514 1.0512 1.3049 1.6871 2.0262 2.4314 2.7154

38 0.2551 0.5288 0.6810 0.8512 1.0508 1.3042 1.6860 2.0244 2.4286 2.7116

39 0.2551 0.5287 0.6808 0.8509 1.0504 1.3036 1.6849 2.0227 2.4258 2.7079

0.2533 0.5244 0.6745 0.8416 1.0364 1.2816 1.6449 1.9600 2.3263 2.5758

※ Microsoft Excel 2004 for Mac で,TINV関数を使って作成.     2005. 11. 18  浅野 晃

t分布表(自由度 の100 パーセント点 t ( ))

自由度

Page 182: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t0

t分布表

面積=2.5%

パーセントの値

例題では n-1 = 9

t0.025(n-1)

0.40 0.30 0.25 0.20 0.15 0.10 0.05 0.025 0.01 0.005

1 0.3249 0.7265 1.0000 1.3764 1.9626 3.0777 6.3138 12.7062 31.8205 63.6567

2 0.2887 0.6172 0.8165 1.0607 1.3862 1.8856 2.9200 4.3027 6.9646 9.9248

3 0.2767 0.5844 0.7649 0.9785 1.2498 1.6377 2.3534 3.1824 4.5407 5.8409

4 0.2707 0.5686 0.7407 0.9410 1.1896 1.5332 2.1318 2.7764 3.7469 4.6041

5 0.2672 0.5594 0.7267 0.9195 1.1558 1.4759 2.0150 2.5706 3.3649 4.0321

6 0.2648 0.5534 0.7176 0.9057 1.1342 1.4398 1.9432 2.4469 3.1427 3.7074

7 0.2632 0.5491 0.7111 0.8960 1.1192 1.4149 1.8946 2.3646 2.9980 3.4995

8 0.2619 0.5459 0.7064 0.8889 1.1081 1.3968 1.8595 2.3060 2.8965 3.3554

9 0.2610 0.5435 0.7027 0.8834 1.0997 1.3830 1.8331 2.2622 2.8214 3.2498

10 0.2602 0.5415 0.6998 0.8791 1.0931 1.3722 1.8125 2.2281 2.7638 3.1693

11 0.2596 0.5399 0.6974 0.8755 1.0877 1.3634 1.7959 2.2010 2.7181 3.1058

12 0.2590 0.5386 0.6955 0.8726 1.0832 1.3562 1.7823 2.1788 2.6810 3.0545

13 0.2586 0.5375 0.6938 0.8702 1.0795 1.3502 1.7709 2.1604 2.6503 3.0123

14 0.2582 0.5366 0.6924 0.8681 1.0763 1.3450 1.7613 2.1448 2.6245 2.9768

15 0.2579 0.5357 0.6912 0.8662 1.0735 1.3406 1.7531 2.1314 2.6025 2.9467

16 0.2576 0.5350 0.6901 0.8647 1.0711 1.3368 1.7459 2.1199 2.5835 2.9208

17 0.2573 0.5344 0.6892 0.8633 1.0690 1.3334 1.7396 2.1098 2.5669 2.8982

18 0.2571 0.5338 0.6884 0.8620 1.0672 1.3304 1.7341 2.1009 2.5524 2.8784

19 0.2569 0.5333 0.6876 0.8610 1.0655 1.3277 1.7291 2.0930 2.5395 2.8609

20 0.2567 0.5329 0.6870 0.8600 1.0640 1.3253 1.7247 2.0860 2.5280 2.8453

21 0.2566 0.5325 0.6864 0.8591 1.0627 1.3232 1.7207 2.0796 2.5176 2.8314

22 0.2564 0.5321 0.6858 0.8583 1.0614 1.3212 1.7171 2.0739 2.5083 2.8188

23 0.2563 0.5317 0.6853 0.8575 1.0603 1.3195 1.7139 2.0687 2.4999 2.8073

24 0.2562 0.5314 0.6848 0.8569 1.0593 1.3178 1.7109 2.0639 2.4922 2.7969

25 0.2561 0.5312 0.6844 0.8562 1.0584 1.3163 1.7081 2.0595 2.4851 2.7874

26 0.2560 0.5309 0.6840 0.8557 1.0575 1.3150 1.7056 2.0555 2.4786 2.7787

27 0.2559 0.5306 0.6837 0.8551 1.0567 1.3137 1.7033 2.0518 2.4727 2.7707

28 0.2558 0.5304 0.6834 0.8546 1.0560 1.3125 1.7011 2.0484 2.4671 2.7633

29 0.2557 0.5302 0.6830 0.8542 1.0553 1.3114 1.6991 2.0452 2.4620 2.7564

30 0.2556 0.5300 0.6828 0.8538 1.0547 1.3104 1.6973 2.0423 2.4573 2.7500

31 0.2555 0.5298 0.6825 0.8534 1.0541 1.3095 1.6955 2.0395 2.4528 2.7440

32 0.2555 0.5297 0.6822 0.8530 1.0535 1.3086 1.6939 2.0369 2.4487 2.7385

33 0.2554 0.5295 0.6820 0.8526 1.0530 1.3077 1.6924 2.0345 2.4448 2.7333

34 0.2553 0.5294 0.6818 0.8523 1.0525 1.3070 1.6909 2.0322 2.4411 2.7284

35 0.2553 0.5292 0.6816 0.8520 1.0520 1.3062 1.6896 2.0301 2.4377 2.7238

36 0.2552 0.5291 0.6814 0.8517 1.0516 1.3055 1.6883 2.0281 2.4345 2.7195

37 0.2552 0.5289 0.6812 0.8514 1.0512 1.3049 1.6871 2.0262 2.4314 2.7154

38 0.2551 0.5288 0.6810 0.8512 1.0508 1.3042 1.6860 2.0244 2.4286 2.7116

39 0.2551 0.5287 0.6808 0.8509 1.0504 1.3036 1.6849 2.0227 2.4258 2.7079

0.2533 0.5244 0.6745 0.8416 1.0364 1.2816 1.6449 1.9600 2.3263 2.5758

※ Microsoft Excel 2004 for Mac で,TINV関数を使って作成.     2005. 11. 18  浅野 晃

t分布表(自由度 の100 パーセント点 t ( ))

自由度

Page 183: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t0

t分布表

面積=2.5%

パーセントの値

例題では n-1 = 9

0.025

t0.025(n-1)

0.40 0.30 0.25 0.20 0.15 0.10 0.05 0.025 0.01 0.005

1 0.3249 0.7265 1.0000 1.3764 1.9626 3.0777 6.3138 12.7062 31.8205 63.6567

2 0.2887 0.6172 0.8165 1.0607 1.3862 1.8856 2.9200 4.3027 6.9646 9.9248

3 0.2767 0.5844 0.7649 0.9785 1.2498 1.6377 2.3534 3.1824 4.5407 5.8409

4 0.2707 0.5686 0.7407 0.9410 1.1896 1.5332 2.1318 2.7764 3.7469 4.6041

5 0.2672 0.5594 0.7267 0.9195 1.1558 1.4759 2.0150 2.5706 3.3649 4.0321

6 0.2648 0.5534 0.7176 0.9057 1.1342 1.4398 1.9432 2.4469 3.1427 3.7074

7 0.2632 0.5491 0.7111 0.8960 1.1192 1.4149 1.8946 2.3646 2.9980 3.4995

8 0.2619 0.5459 0.7064 0.8889 1.1081 1.3968 1.8595 2.3060 2.8965 3.3554

9 0.2610 0.5435 0.7027 0.8834 1.0997 1.3830 1.8331 2.2622 2.8214 3.2498

10 0.2602 0.5415 0.6998 0.8791 1.0931 1.3722 1.8125 2.2281 2.7638 3.1693

11 0.2596 0.5399 0.6974 0.8755 1.0877 1.3634 1.7959 2.2010 2.7181 3.1058

12 0.2590 0.5386 0.6955 0.8726 1.0832 1.3562 1.7823 2.1788 2.6810 3.0545

13 0.2586 0.5375 0.6938 0.8702 1.0795 1.3502 1.7709 2.1604 2.6503 3.0123

14 0.2582 0.5366 0.6924 0.8681 1.0763 1.3450 1.7613 2.1448 2.6245 2.9768

15 0.2579 0.5357 0.6912 0.8662 1.0735 1.3406 1.7531 2.1314 2.6025 2.9467

16 0.2576 0.5350 0.6901 0.8647 1.0711 1.3368 1.7459 2.1199 2.5835 2.9208

17 0.2573 0.5344 0.6892 0.8633 1.0690 1.3334 1.7396 2.1098 2.5669 2.8982

18 0.2571 0.5338 0.6884 0.8620 1.0672 1.3304 1.7341 2.1009 2.5524 2.8784

19 0.2569 0.5333 0.6876 0.8610 1.0655 1.3277 1.7291 2.0930 2.5395 2.8609

20 0.2567 0.5329 0.6870 0.8600 1.0640 1.3253 1.7247 2.0860 2.5280 2.8453

21 0.2566 0.5325 0.6864 0.8591 1.0627 1.3232 1.7207 2.0796 2.5176 2.8314

22 0.2564 0.5321 0.6858 0.8583 1.0614 1.3212 1.7171 2.0739 2.5083 2.8188

23 0.2563 0.5317 0.6853 0.8575 1.0603 1.3195 1.7139 2.0687 2.4999 2.8073

24 0.2562 0.5314 0.6848 0.8569 1.0593 1.3178 1.7109 2.0639 2.4922 2.7969

25 0.2561 0.5312 0.6844 0.8562 1.0584 1.3163 1.7081 2.0595 2.4851 2.7874

26 0.2560 0.5309 0.6840 0.8557 1.0575 1.3150 1.7056 2.0555 2.4786 2.7787

27 0.2559 0.5306 0.6837 0.8551 1.0567 1.3137 1.7033 2.0518 2.4727 2.7707

28 0.2558 0.5304 0.6834 0.8546 1.0560 1.3125 1.7011 2.0484 2.4671 2.7633

29 0.2557 0.5302 0.6830 0.8542 1.0553 1.3114 1.6991 2.0452 2.4620 2.7564

30 0.2556 0.5300 0.6828 0.8538 1.0547 1.3104 1.6973 2.0423 2.4573 2.7500

31 0.2555 0.5298 0.6825 0.8534 1.0541 1.3095 1.6955 2.0395 2.4528 2.7440

32 0.2555 0.5297 0.6822 0.8530 1.0535 1.3086 1.6939 2.0369 2.4487 2.7385

33 0.2554 0.5295 0.6820 0.8526 1.0530 1.3077 1.6924 2.0345 2.4448 2.7333

34 0.2553 0.5294 0.6818 0.8523 1.0525 1.3070 1.6909 2.0322 2.4411 2.7284

35 0.2553 0.5292 0.6816 0.8520 1.0520 1.3062 1.6896 2.0301 2.4377 2.7238

36 0.2552 0.5291 0.6814 0.8517 1.0516 1.3055 1.6883 2.0281 2.4345 2.7195

37 0.2552 0.5289 0.6812 0.8514 1.0512 1.3049 1.6871 2.0262 2.4314 2.7154

38 0.2551 0.5288 0.6810 0.8512 1.0508 1.3042 1.6860 2.0244 2.4286 2.7116

39 0.2551 0.5287 0.6808 0.8509 1.0504 1.3036 1.6849 2.0227 2.4258 2.7079

0.2533 0.5244 0.6745 0.8416 1.0364 1.2816 1.6449 1.9600 2.3263 2.5758

※ Microsoft Excel 2004 for Mac で,TINV関数を使って作成.     2005. 11. 18  浅野 晃

t分布表(自由度 の100 パーセント点 t ( ))

自由度

Page 184: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t0

t分布表

面積=2.5%

パーセントの値

例題では n-1 = 9

0.025

t0.025(9)=2.262

t0.025(n-1)

0.40 0.30 0.25 0.20 0.15 0.10 0.05 0.025 0.01 0.005

1 0.3249 0.7265 1.0000 1.3764 1.9626 3.0777 6.3138 12.7062 31.8205 63.6567

2 0.2887 0.6172 0.8165 1.0607 1.3862 1.8856 2.9200 4.3027 6.9646 9.9248

3 0.2767 0.5844 0.7649 0.9785 1.2498 1.6377 2.3534 3.1824 4.5407 5.8409

4 0.2707 0.5686 0.7407 0.9410 1.1896 1.5332 2.1318 2.7764 3.7469 4.6041

5 0.2672 0.5594 0.7267 0.9195 1.1558 1.4759 2.0150 2.5706 3.3649 4.0321

6 0.2648 0.5534 0.7176 0.9057 1.1342 1.4398 1.9432 2.4469 3.1427 3.7074

7 0.2632 0.5491 0.7111 0.8960 1.1192 1.4149 1.8946 2.3646 2.9980 3.4995

8 0.2619 0.5459 0.7064 0.8889 1.1081 1.3968 1.8595 2.3060 2.8965 3.3554

9 0.2610 0.5435 0.7027 0.8834 1.0997 1.3830 1.8331 2.2622 2.8214 3.2498

10 0.2602 0.5415 0.6998 0.8791 1.0931 1.3722 1.8125 2.2281 2.7638 3.1693

11 0.2596 0.5399 0.6974 0.8755 1.0877 1.3634 1.7959 2.2010 2.7181 3.1058

12 0.2590 0.5386 0.6955 0.8726 1.0832 1.3562 1.7823 2.1788 2.6810 3.0545

13 0.2586 0.5375 0.6938 0.8702 1.0795 1.3502 1.7709 2.1604 2.6503 3.0123

14 0.2582 0.5366 0.6924 0.8681 1.0763 1.3450 1.7613 2.1448 2.6245 2.9768

15 0.2579 0.5357 0.6912 0.8662 1.0735 1.3406 1.7531 2.1314 2.6025 2.9467

16 0.2576 0.5350 0.6901 0.8647 1.0711 1.3368 1.7459 2.1199 2.5835 2.9208

17 0.2573 0.5344 0.6892 0.8633 1.0690 1.3334 1.7396 2.1098 2.5669 2.8982

18 0.2571 0.5338 0.6884 0.8620 1.0672 1.3304 1.7341 2.1009 2.5524 2.8784

19 0.2569 0.5333 0.6876 0.8610 1.0655 1.3277 1.7291 2.0930 2.5395 2.8609

20 0.2567 0.5329 0.6870 0.8600 1.0640 1.3253 1.7247 2.0860 2.5280 2.8453

21 0.2566 0.5325 0.6864 0.8591 1.0627 1.3232 1.7207 2.0796 2.5176 2.8314

22 0.2564 0.5321 0.6858 0.8583 1.0614 1.3212 1.7171 2.0739 2.5083 2.8188

23 0.2563 0.5317 0.6853 0.8575 1.0603 1.3195 1.7139 2.0687 2.4999 2.8073

24 0.2562 0.5314 0.6848 0.8569 1.0593 1.3178 1.7109 2.0639 2.4922 2.7969

25 0.2561 0.5312 0.6844 0.8562 1.0584 1.3163 1.7081 2.0595 2.4851 2.7874

26 0.2560 0.5309 0.6840 0.8557 1.0575 1.3150 1.7056 2.0555 2.4786 2.7787

27 0.2559 0.5306 0.6837 0.8551 1.0567 1.3137 1.7033 2.0518 2.4727 2.7707

28 0.2558 0.5304 0.6834 0.8546 1.0560 1.3125 1.7011 2.0484 2.4671 2.7633

29 0.2557 0.5302 0.6830 0.8542 1.0553 1.3114 1.6991 2.0452 2.4620 2.7564

30 0.2556 0.5300 0.6828 0.8538 1.0547 1.3104 1.6973 2.0423 2.4573 2.7500

31 0.2555 0.5298 0.6825 0.8534 1.0541 1.3095 1.6955 2.0395 2.4528 2.7440

32 0.2555 0.5297 0.6822 0.8530 1.0535 1.3086 1.6939 2.0369 2.4487 2.7385

33 0.2554 0.5295 0.6820 0.8526 1.0530 1.3077 1.6924 2.0345 2.4448 2.7333

34 0.2553 0.5294 0.6818 0.8523 1.0525 1.3070 1.6909 2.0322 2.4411 2.7284

35 0.2553 0.5292 0.6816 0.8520 1.0520 1.3062 1.6896 2.0301 2.4377 2.7238

36 0.2552 0.5291 0.6814 0.8517 1.0516 1.3055 1.6883 2.0281 2.4345 2.7195

37 0.2552 0.5289 0.6812 0.8514 1.0512 1.3049 1.6871 2.0262 2.4314 2.7154

38 0.2551 0.5288 0.6810 0.8512 1.0508 1.3042 1.6860 2.0244 2.4286 2.7116

39 0.2551 0.5287 0.6808 0.8509 1.0504 1.3036 1.6849 2.0227 2.4258 2.7079

0.2533 0.5244 0.6745 0.8416 1.0364 1.2816 1.6449 1.9600 2.3263 2.5758

※ Microsoft Excel 2004 for Mac で,TINV関数を使って作成.     2005. 11. 18  浅野 晃

t分布表(自由度 の100 パーセント点 t ( ))

自由度

Page 185: 2013年度秋学期 統計学 第13回「不確かな測定の不確かさを測る ― 不偏分散とt分布」

2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t0

t分布表

面積=2.5%

パーセントの値

例題では n-1 = 9

0.025

t0.025(9)=2.262

t0.025(n-1)

0.40 0.30 0.25 0.20 0.15 0.10 0.05 0.025 0.01 0.005

1 0.3249 0.7265 1.0000 1.3764 1.9626 3.0777 6.3138 12.7062 31.8205 63.6567

2 0.2887 0.6172 0.8165 1.0607 1.3862 1.8856 2.9200 4.3027 6.9646 9.9248

3 0.2767 0.5844 0.7649 0.9785 1.2498 1.6377 2.3534 3.1824 4.5407 5.8409

4 0.2707 0.5686 0.7407 0.9410 1.1896 1.5332 2.1318 2.7764 3.7469 4.6041

5 0.2672 0.5594 0.7267 0.9195 1.1558 1.4759 2.0150 2.5706 3.3649 4.0321

6 0.2648 0.5534 0.7176 0.9057 1.1342 1.4398 1.9432 2.4469 3.1427 3.7074

7 0.2632 0.5491 0.7111 0.8960 1.1192 1.4149 1.8946 2.3646 2.9980 3.4995

8 0.2619 0.5459 0.7064 0.8889 1.1081 1.3968 1.8595 2.3060 2.8965 3.3554

9 0.2610 0.5435 0.7027 0.8834 1.0997 1.3830 1.8331 2.2622 2.8214 3.2498

10 0.2602 0.5415 0.6998 0.8791 1.0931 1.3722 1.8125 2.2281 2.7638 3.1693

11 0.2596 0.5399 0.6974 0.8755 1.0877 1.3634 1.7959 2.2010 2.7181 3.1058

12 0.2590 0.5386 0.6955 0.8726 1.0832 1.3562 1.7823 2.1788 2.6810 3.0545

13 0.2586 0.5375 0.6938 0.8702 1.0795 1.3502 1.7709 2.1604 2.6503 3.0123

14 0.2582 0.5366 0.6924 0.8681 1.0763 1.3450 1.7613 2.1448 2.6245 2.9768

15 0.2579 0.5357 0.6912 0.8662 1.0735 1.3406 1.7531 2.1314 2.6025 2.9467

16 0.2576 0.5350 0.6901 0.8647 1.0711 1.3368 1.7459 2.1199 2.5835 2.9208

17 0.2573 0.5344 0.6892 0.8633 1.0690 1.3334 1.7396 2.1098 2.5669 2.8982

18 0.2571 0.5338 0.6884 0.8620 1.0672 1.3304 1.7341 2.1009 2.5524 2.8784

19 0.2569 0.5333 0.6876 0.8610 1.0655 1.3277 1.7291 2.0930 2.5395 2.8609

20 0.2567 0.5329 0.6870 0.8600 1.0640 1.3253 1.7247 2.0860 2.5280 2.8453

21 0.2566 0.5325 0.6864 0.8591 1.0627 1.3232 1.7207 2.0796 2.5176 2.8314

22 0.2564 0.5321 0.6858 0.8583 1.0614 1.3212 1.7171 2.0739 2.5083 2.8188

23 0.2563 0.5317 0.6853 0.8575 1.0603 1.3195 1.7139 2.0687 2.4999 2.8073

24 0.2562 0.5314 0.6848 0.8569 1.0593 1.3178 1.7109 2.0639 2.4922 2.7969

25 0.2561 0.5312 0.6844 0.8562 1.0584 1.3163 1.7081 2.0595 2.4851 2.7874

26 0.2560 0.5309 0.6840 0.8557 1.0575 1.3150 1.7056 2.0555 2.4786 2.7787

27 0.2559 0.5306 0.6837 0.8551 1.0567 1.3137 1.7033 2.0518 2.4727 2.7707

28 0.2558 0.5304 0.6834 0.8546 1.0560 1.3125 1.7011 2.0484 2.4671 2.7633

29 0.2557 0.5302 0.6830 0.8542 1.0553 1.3114 1.6991 2.0452 2.4620 2.7564

30 0.2556 0.5300 0.6828 0.8538 1.0547 1.3104 1.6973 2.0423 2.4573 2.7500

31 0.2555 0.5298 0.6825 0.8534 1.0541 1.3095 1.6955 2.0395 2.4528 2.7440

32 0.2555 0.5297 0.6822 0.8530 1.0535 1.3086 1.6939 2.0369 2.4487 2.7385

33 0.2554 0.5295 0.6820 0.8526 1.0530 1.3077 1.6924 2.0345 2.4448 2.7333

34 0.2553 0.5294 0.6818 0.8523 1.0525 1.3070 1.6909 2.0322 2.4411 2.7284

35 0.2553 0.5292 0.6816 0.8520 1.0520 1.3062 1.6896 2.0301 2.4377 2.7238

36 0.2552 0.5291 0.6814 0.8517 1.0516 1.3055 1.6883 2.0281 2.4345 2.7195

37 0.2552 0.5289 0.6812 0.8514 1.0512 1.3049 1.6871 2.0262 2.4314 2.7154

38 0.2551 0.5288 0.6810 0.8512 1.0508 1.3042 1.6860 2.0244 2.4286 2.7116

39 0.2551 0.5287 0.6808 0.8509 1.0504 1.3036 1.6849 2.0227 2.4258 2.7079

0.2533 0.5244 0.6745 0.8416 1.0364 1.2816 1.6449 1.9600 2.3263 2.5758

※ Microsoft Excel 2004 for Mac で,TINV関数を使って作成.     2005. 11. 18  浅野 晃

t分布表(自由度 の100 パーセント点 t ( ))

自由度

自由度

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t分布を用いた区間推定

t0 t

0.025(n –1)

P(–t0.025

(n –1) ! t ! t0.025

(n –1)) = 0.95

–t0.025

(n –1)

確率密度

P(t " t0.025

(n –1)) = 0.025P(t ! –t0.025

(n –1)) = 0.025

tが入る確率95%の区間

図 2: t分布と区間推定

0.025であるような値」とすると

P

!!t0.025(n! 1) ! X̄ ! µ"

s2/n! t0.025(n! 1)

#= 0.95 (5)

が成り立ちます(図 2)。この式から,

P

!X̄ ! t0.025(n! 1)

$s2

n! µ ! X̄ + t0.025(n! 1)

$s2

n

#= 0.95 (6)

となりますから,µの 95%信頼区間は (6)式のかっこ内の範囲となります。

t!(!),すなわち自由度 !の 100"パーセント点の値を知るには,一緒に配布した数表(t分布表)を利用することができます。数表では,各自由度 !(縦軸)と定数 "(横軸)に対して,t!(!)が縦 !・横 "の交点の値を読むことで求められます。この問題の場合,標本平均 X̄ = 50,不偏分散 s2 = 25で,数表から t0.025(10! 1) = 2.262ですから,µの 95%信頼区間は「46.4(点)以上 53.6(点)以下」となります。

前回の例のように,母分散が 25とわかっているときには,µの 95%信頼区間は「46.9(点)以上 53.1

(点)以下」でしたから,今回の場合の方が信頼区間が広くなっています。信頼区間が広いということは,推定が不確かであることを意味しています。これは,不偏分散は母分散そのものではなく,母分散を推定した値であるため,不偏分散にはすでに不確かさが入っているためです。

今日の演習

ある薬品 X の1グラムあたりに含まれる物質 Y の量を 10 回測定すると,測定値の平均は 1.0(ミリグラム),不偏分散は 0.1((ミリグラム)2)でした。測定値は真の含有量を平均値とする正規分布にしたがって分布し,また各測定値はそれらから無作為抽出された標本とみなせるとします。このとき,「Xの1グラムあたりに含まれる物質Yの量」を信頼係数 95%で区間推定してください。

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t分布を用いた区間推定

μの95%信頼区間の下限

t0 t

0.025(n –1)

P(–t0.025

(n –1) ! t ! t0.025

(n –1)) = 0.95

–t0.025

(n –1)

確率密度

P(t " t0.025

(n –1)) = 0.025P(t ! –t0.025

(n –1)) = 0.025

tが入る確率95%の区間

図 2: t分布と区間推定

0.025であるような値」とすると

P

!!t0.025(n! 1) ! X̄ ! µ"

s2/n! t0.025(n! 1)

#= 0.95 (5)

が成り立ちます(図 2)。この式から,

P

!X̄ ! t0.025(n! 1)

$s2

n! µ ! X̄ + t0.025(n! 1)

$s2

n

#= 0.95 (6)

となりますから,µの 95%信頼区間は (6)式のかっこ内の範囲となります。

t!(!),すなわち自由度 !の 100"パーセント点の値を知るには,一緒に配布した数表(t分布表)を利用することができます。数表では,各自由度 !(縦軸)と定数 "(横軸)に対して,t!(!)が縦 !・横 "の交点の値を読むことで求められます。この問題の場合,標本平均 X̄ = 50,不偏分散 s2 = 25で,数表から t0.025(10! 1) = 2.262ですから,µの 95%信頼区間は「46.4(点)以上 53.6(点)以下」となります。

前回の例のように,母分散が 25とわかっているときには,µの 95%信頼区間は「46.9(点)以上 53.1

(点)以下」でしたから,今回の場合の方が信頼区間が広くなっています。信頼区間が広いということは,推定が不確かであることを意味しています。これは,不偏分散は母分散そのものではなく,母分散を推定した値であるため,不偏分散にはすでに不確かさが入っているためです。

今日の演習

ある薬品 X の1グラムあたりに含まれる物質 Y の量を 10 回測定すると,測定値の平均は 1.0(ミリグラム),不偏分散は 0.1((ミリグラム)2)でした。測定値は真の含有量を平均値とする正規分布にしたがって分布し,また各測定値はそれらから無作為抽出された標本とみなせるとします。このとき,「Xの1グラムあたりに含まれる物質Yの量」を信頼係数 95%で区間推定してください。

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t分布を用いた区間推定

μの95%信頼区間の下限

μの95%信頼区間の上限

t0 t

0.025(n –1)

P(–t0.025

(n –1) ! t ! t0.025

(n –1)) = 0.95

–t0.025

(n –1)

確率密度

P(t " t0.025

(n –1)) = 0.025P(t ! –t0.025

(n –1)) = 0.025

tが入る確率95%の区間

図 2: t分布と区間推定

0.025であるような値」とすると

P

!!t0.025(n! 1) ! X̄ ! µ"

s2/n! t0.025(n! 1)

#= 0.95 (5)

が成り立ちます(図 2)。この式から,

P

!X̄ ! t0.025(n! 1)

$s2

n! µ ! X̄ + t0.025(n! 1)

$s2

n

#= 0.95 (6)

となりますから,µの 95%信頼区間は (6)式のかっこ内の範囲となります。

t!(!),すなわち自由度 !の 100"パーセント点の値を知るには,一緒に配布した数表(t分布表)を利用することができます。数表では,各自由度 !(縦軸)と定数 "(横軸)に対して,t!(!)が縦 !・横 "の交点の値を読むことで求められます。この問題の場合,標本平均 X̄ = 50,不偏分散 s2 = 25で,数表から t0.025(10! 1) = 2.262ですから,µの 95%信頼区間は「46.4(点)以上 53.6(点)以下」となります。

前回の例のように,母分散が 25とわかっているときには,µの 95%信頼区間は「46.9(点)以上 53.1

(点)以下」でしたから,今回の場合の方が信頼区間が広くなっています。信頼区間が広いということは,推定が不確かであることを意味しています。これは,不偏分散は母分散そのものではなく,母分散を推定した値であるため,不偏分散にはすでに不確かさが入っているためです。

今日の演習

ある薬品 X の1グラムあたりに含まれる物質 Y の量を 10 回測定すると,測定値の平均は 1.0(ミリグラム),不偏分散は 0.1((ミリグラム)2)でした。測定値は真の含有量を平均値とする正規分布にしたがって分布し,また各測定値はそれらから無作為抽出された標本とみなせるとします。このとき,「Xの1グラムあたりに含まれる物質Yの量」を信頼係数 95%で区間推定してください。

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t分布を用いた区間推定

μの95%信頼区間の下限

μの95%信頼区間の上限

例題では

t0 t

0.025(n –1)

P(–t0.025

(n –1) ! t ! t0.025

(n –1)) = 0.95

–t0.025

(n –1)

確率密度

P(t " t0.025

(n –1)) = 0.025P(t ! –t0.025

(n –1)) = 0.025

tが入る確率95%の区間

図 2: t分布と区間推定

0.025であるような値」とすると

P

!!t0.025(n! 1) ! X̄ ! µ"

s2/n! t0.025(n! 1)

#= 0.95 (5)

が成り立ちます(図 2)。この式から,

P

!X̄ ! t0.025(n! 1)

$s2

n! µ ! X̄ + t0.025(n! 1)

$s2

n

#= 0.95 (6)

となりますから,µの 95%信頼区間は (6)式のかっこ内の範囲となります。

t!(!),すなわち自由度 !の 100"パーセント点の値を知るには,一緒に配布した数表(t分布表)を利用することができます。数表では,各自由度 !(縦軸)と定数 "(横軸)に対して,t!(!)が縦 !・横 "の交点の値を読むことで求められます。この問題の場合,標本平均 X̄ = 50,不偏分散 s2 = 25で,数表から t0.025(10! 1) = 2.262ですから,µの 95%信頼区間は「46.4(点)以上 53.6(点)以下」となります。

前回の例のように,母分散が 25とわかっているときには,µの 95%信頼区間は「46.9(点)以上 53.1

(点)以下」でしたから,今回の場合の方が信頼区間が広くなっています。信頼区間が広いということは,推定が不確かであることを意味しています。これは,不偏分散は母分散そのものではなく,母分散を推定した値であるため,不偏分散にはすでに不確かさが入っているためです。

今日の演習

ある薬品 X の1グラムあたりに含まれる物質 Y の量を 10 回測定すると,測定値の平均は 1.0(ミリグラム),不偏分散は 0.1((ミリグラム)2)でした。測定値は真の含有量を平均値とする正規分布にしたがって分布し,また各測定値はそれらから無作為抽出された標本とみなせるとします。このとき,「Xの1グラムあたりに含まれる物質Yの量」を信頼係数 95%で区間推定してください。

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t分布を用いた区間推定

μの95%信頼区間の下限

μの95%信頼区間の上限

例題では

標本平均=50

t0 t

0.025(n –1)

P(–t0.025

(n –1) ! t ! t0.025

(n –1)) = 0.95

–t0.025

(n –1)

確率密度

P(t " t0.025

(n –1)) = 0.025P(t ! –t0.025

(n –1)) = 0.025

tが入る確率95%の区間

図 2: t分布と区間推定

0.025であるような値」とすると

P

!!t0.025(n! 1) ! X̄ ! µ"

s2/n! t0.025(n! 1)

#= 0.95 (5)

が成り立ちます(図 2)。この式から,

P

!X̄ ! t0.025(n! 1)

$s2

n! µ ! X̄ + t0.025(n! 1)

$s2

n

#= 0.95 (6)

となりますから,µの 95%信頼区間は (6)式のかっこ内の範囲となります。

t!(!),すなわち自由度 !の 100"パーセント点の値を知るには,一緒に配布した数表(t分布表)を利用することができます。数表では,各自由度 !(縦軸)と定数 "(横軸)に対して,t!(!)が縦 !・横 "の交点の値を読むことで求められます。この問題の場合,標本平均 X̄ = 50,不偏分散 s2 = 25で,数表から t0.025(10! 1) = 2.262ですから,µの 95%信頼区間は「46.4(点)以上 53.6(点)以下」となります。

前回の例のように,母分散が 25とわかっているときには,µの 95%信頼区間は「46.9(点)以上 53.1

(点)以下」でしたから,今回の場合の方が信頼区間が広くなっています。信頼区間が広いということは,推定が不確かであることを意味しています。これは,不偏分散は母分散そのものではなく,母分散を推定した値であるため,不偏分散にはすでに不確かさが入っているためです。

今日の演習

ある薬品 X の1グラムあたりに含まれる物質 Y の量を 10 回測定すると,測定値の平均は 1.0(ミリグラム),不偏分散は 0.1((ミリグラム)2)でした。測定値は真の含有量を平均値とする正規分布にしたがって分布し,また各測定値はそれらから無作為抽出された標本とみなせるとします。このとき,「Xの1グラムあたりに含まれる物質Yの量」を信頼係数 95%で区間推定してください。

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t分布を用いた区間推定

μの95%信頼区間の下限

μの95%信頼区間の上限

例題では

標本平均=50 不偏分散=25

t0 t

0.025(n –1)

P(–t0.025

(n –1) ! t ! t0.025

(n –1)) = 0.95

–t0.025

(n –1)

確率密度

P(t " t0.025

(n –1)) = 0.025P(t ! –t0.025

(n –1)) = 0.025

tが入る確率95%の区間

図 2: t分布と区間推定

0.025であるような値」とすると

P

!!t0.025(n! 1) ! X̄ ! µ"

s2/n! t0.025(n! 1)

#= 0.95 (5)

が成り立ちます(図 2)。この式から,

P

!X̄ ! t0.025(n! 1)

$s2

n! µ ! X̄ + t0.025(n! 1)

$s2

n

#= 0.95 (6)

となりますから,µの 95%信頼区間は (6)式のかっこ内の範囲となります。

t!(!),すなわち自由度 !の 100"パーセント点の値を知るには,一緒に配布した数表(t分布表)を利用することができます。数表では,各自由度 !(縦軸)と定数 "(横軸)に対して,t!(!)が縦 !・横 "の交点の値を読むことで求められます。この問題の場合,標本平均 X̄ = 50,不偏分散 s2 = 25で,数表から t0.025(10! 1) = 2.262ですから,µの 95%信頼区間は「46.4(点)以上 53.6(点)以下」となります。

前回の例のように,母分散が 25とわかっているときには,µの 95%信頼区間は「46.9(点)以上 53.1

(点)以下」でしたから,今回の場合の方が信頼区間が広くなっています。信頼区間が広いということは,推定が不確かであることを意味しています。これは,不偏分散は母分散そのものではなく,母分散を推定した値であるため,不偏分散にはすでに不確かさが入っているためです。

今日の演習

ある薬品 X の1グラムあたりに含まれる物質 Y の量を 10 回測定すると,測定値の平均は 1.0(ミリグラム),不偏分散は 0.1((ミリグラム)2)でした。測定値は真の含有量を平均値とする正規分布にしたがって分布し,また各測定値はそれらから無作為抽出された標本とみなせるとします。このとき,「Xの1グラムあたりに含まれる物質Yの量」を信頼係数 95%で区間推定してください。

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t分布を用いた区間推定

μの95%信頼区間の下限

μの95%信頼区間の上限

例題では

標本平均=50 不偏分散=25 標本サイズ=10

t0 t

0.025(n –1)

P(–t0.025

(n –1) ! t ! t0.025

(n –1)) = 0.95

–t0.025

(n –1)

確率密度

P(t " t0.025

(n –1)) = 0.025P(t ! –t0.025

(n –1)) = 0.025

tが入る確率95%の区間

図 2: t分布と区間推定

0.025であるような値」とすると

P

!!t0.025(n! 1) ! X̄ ! µ"

s2/n! t0.025(n! 1)

#= 0.95 (5)

が成り立ちます(図 2)。この式から,

P

!X̄ ! t0.025(n! 1)

$s2

n! µ ! X̄ + t0.025(n! 1)

$s2

n

#= 0.95 (6)

となりますから,µの 95%信頼区間は (6)式のかっこ内の範囲となります。

t!(!),すなわち自由度 !の 100"パーセント点の値を知るには,一緒に配布した数表(t分布表)を利用することができます。数表では,各自由度 !(縦軸)と定数 "(横軸)に対して,t!(!)が縦 !・横 "の交点の値を読むことで求められます。この問題の場合,標本平均 X̄ = 50,不偏分散 s2 = 25で,数表から t0.025(10! 1) = 2.262ですから,µの 95%信頼区間は「46.4(点)以上 53.6(点)以下」となります。

前回の例のように,母分散が 25とわかっているときには,µの 95%信頼区間は「46.9(点)以上 53.1

(点)以下」でしたから,今回の場合の方が信頼区間が広くなっています。信頼区間が広いということは,推定が不確かであることを意味しています。これは,不偏分散は母分散そのものではなく,母分散を推定した値であるため,不偏分散にはすでに不確かさが入っているためです。

今日の演習

ある薬品 X の1グラムあたりに含まれる物質 Y の量を 10 回測定すると,測定値の平均は 1.0(ミリグラム),不偏分散は 0.1((ミリグラム)2)でした。測定値は真の含有量を平均値とする正規分布にしたがって分布し,また各測定値はそれらから無作為抽出された標本とみなせるとします。このとき,「Xの1グラムあたりに含まれる物質Yの量」を信頼係数 95%で区間推定してください。

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t分布を用いた区間推定

μの95%信頼区間の下限

μの95%信頼区間の上限

例題では

標本平均=50 不偏分散=25 標本サイズ=10

t0 t

0.025(n –1)

P(–t0.025

(n –1) ! t ! t0.025

(n –1)) = 0.95

–t0.025

(n –1)

確率密度

P(t " t0.025

(n –1)) = 0.025P(t ! –t0.025

(n –1)) = 0.025

tが入る確率95%の区間

図 2: t分布と区間推定

0.025であるような値」とすると

P

!!t0.025(n! 1) ! X̄ ! µ"

s2/n! t0.025(n! 1)

#= 0.95 (5)

が成り立ちます(図 2)。この式から,

P

!X̄ ! t0.025(n! 1)

$s2

n! µ ! X̄ + t0.025(n! 1)

$s2

n

#= 0.95 (6)

となりますから,µの 95%信頼区間は (6)式のかっこ内の範囲となります。

t!(!),すなわち自由度 !の 100"パーセント点の値を知るには,一緒に配布した数表(t分布表)を利用することができます。数表では,各自由度 !(縦軸)と定数 "(横軸)に対して,t!(!)が縦 !・横 "の交点の値を読むことで求められます。この問題の場合,標本平均 X̄ = 50,不偏分散 s2 = 25で,数表から t0.025(10! 1) = 2.262ですから,µの 95%信頼区間は「46.4(点)以上 53.6(点)以下」となります。

前回の例のように,母分散が 25とわかっているときには,µの 95%信頼区間は「46.9(点)以上 53.1

(点)以下」でしたから,今回の場合の方が信頼区間が広くなっています。信頼区間が広いということは,推定が不確かであることを意味しています。これは,不偏分散は母分散そのものではなく,母分散を推定した値であるため,不偏分散にはすでに不確かさが入っているためです。

今日の演習

ある薬品 X の1グラムあたりに含まれる物質 Y の量を 10 回測定すると,測定値の平均は 1.0(ミリグラム),不偏分散は 0.1((ミリグラム)2)でした。測定値は真の含有量を平均値とする正規分布にしたがって分布し,また各測定値はそれらから無作為抽出された標本とみなせるとします。このとき,「Xの1グラムあたりに含まれる物質Yの量」を信頼係数 95%で区間推定してください。

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A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t分布を用いた区間推定

μの95%信頼区間の下限

μの95%信頼区間の上限

例題では

標本平均=50 不偏分散=25 標本サイズ=10

t0 t

0.025(n –1)

P(–t0.025

(n –1) ! t ! t0.025

(n –1)) = 0.95

–t0.025

(n –1)

確率密度

P(t " t0.025

(n –1)) = 0.025P(t ! –t0.025

(n –1)) = 0.025

tが入る確率95%の区間

図 2: t分布と区間推定

0.025であるような値」とすると

P

!!t0.025(n! 1) ! X̄ ! µ"

s2/n! t0.025(n! 1)

#= 0.95 (5)

が成り立ちます(図 2)。この式から,

P

!X̄ ! t0.025(n! 1)

$s2

n! µ ! X̄ + t0.025(n! 1)

$s2

n

#= 0.95 (6)

となりますから,µの 95%信頼区間は (6)式のかっこ内の範囲となります。

t!(!),すなわち自由度 !の 100"パーセント点の値を知るには,一緒に配布した数表(t分布表)を利用することができます。数表では,各自由度 !(縦軸)と定数 "(横軸)に対して,t!(!)が縦 !・横 "の交点の値を読むことで求められます。この問題の場合,標本平均 X̄ = 50,不偏分散 s2 = 25で,数表から t0.025(10! 1) = 2.262ですから,µの 95%信頼区間は「46.4(点)以上 53.6(点)以下」となります。

前回の例のように,母分散が 25とわかっているときには,µの 95%信頼区間は「46.9(点)以上 53.1

(点)以下」でしたから,今回の場合の方が信頼区間が広くなっています。信頼区間が広いということは,推定が不確かであることを意味しています。これは,不偏分散は母分散そのものではなく,母分散を推定した値であるため,不偏分散にはすでに不確かさが入っているためです。

今日の演習

ある薬品 X の1グラムあたりに含まれる物質 Y の量を 10 回測定すると,測定値の平均は 1.0(ミリグラム),不偏分散は 0.1((ミリグラム)2)でした。測定値は真の含有量を平均値とする正規分布にしたがって分布し,また各測定値はそれらから無作為抽出された標本とみなせるとします。このとき,「Xの1グラムあたりに含まれる物質Yの量」を信頼係数 95%で区間推定してください。

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t0.025(10-1)=2.262

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A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

t分布を用いた区間推定

μの95%信頼区間の下限

μの95%信頼区間の上限

例題では

標本平均=50 不偏分散=25 標本サイズ=10

t0 t

0.025(n –1)

P(–t0.025

(n –1) ! t ! t0.025

(n –1)) = 0.95

–t0.025

(n –1)

確率密度

P(t " t0.025

(n –1)) = 0.025P(t ! –t0.025

(n –1)) = 0.025

tが入る確率95%の区間

図 2: t分布と区間推定

0.025であるような値」とすると

P

!!t0.025(n! 1) ! X̄ ! µ"

s2/n! t0.025(n! 1)

#= 0.95 (5)

が成り立ちます(図 2)。この式から,

P

!X̄ ! t0.025(n! 1)

$s2

n! µ ! X̄ + t0.025(n! 1)

$s2

n

#= 0.95 (6)

となりますから,µの 95%信頼区間は (6)式のかっこ内の範囲となります。

t!(!),すなわち自由度 !の 100"パーセント点の値を知るには,一緒に配布した数表(t分布表)を利用することができます。数表では,各自由度 !(縦軸)と定数 "(横軸)に対して,t!(!)が縦 !・横 "の交点の値を読むことで求められます。この問題の場合,標本平均 X̄ = 50,不偏分散 s2 = 25で,数表から t0.025(10! 1) = 2.262ですから,µの 95%信頼区間は「46.4(点)以上 53.6(点)以下」となります。

前回の例のように,母分散が 25とわかっているときには,µの 95%信頼区間は「46.9(点)以上 53.1

(点)以下」でしたから,今回の場合の方が信頼区間が広くなっています。信頼区間が広いということは,推定が不確かであることを意味しています。これは,不偏分散は母分散そのものではなく,母分散を推定した値であるため,不偏分散にはすでに不確かさが入っているためです。

今日の演習

ある薬品 X の1グラムあたりに含まれる物質 Y の量を 10 回測定すると,測定値の平均は 1.0(ミリグラム),不偏分散は 0.1((ミリグラム)2)でした。測定値は真の含有量を平均値とする正規分布にしたがって分布し,また各測定値はそれらから無作為抽出された標本とみなせるとします。このとき,「Xの1グラムあたりに含まれる物質Yの量」を信頼係数 95%で区間推定してください。

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t0.025(10-1)=2.262

計算すると,例題の答は 「46.4以上53.6以下」( [46.4, 53.6] )

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

前回の例題と比較どちらも標本平均=50標本サイズ=10

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

前回の例題と比較どちらも標本平均=50標本サイズ=10

母分散=25 のとき

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

前回の例題と比較どちらも標本平均=50標本サイズ=10

母分散=25 のとき

母平均の95%信頼区間は[46.9, 53.1]

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A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

前回の例題と比較どちらも標本平均=50標本サイズ=10

母分散=25 のとき

母平均の95%信頼区間は[46.9, 53.1]

[46.4, 53.6]

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A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

前回の例題と比較どちらも標本平均=50

不偏分散=25 のとき

標本サイズ=10

母分散=25 のとき

母平均の95%信頼区間は[46.9, 53.1]

[46.4, 53.6]

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

前回の例題と比較

不偏分散は,母分散の推定量なので,不確か

どちらも標本平均=50

不偏分散=25 のとき

標本サイズ=10

母分散=25 のとき

母平均の95%信頼区間は[46.9, 53.1]

[46.4, 53.6]

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2013年度秋学期 統計学

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

前回の例題と比較

不偏分散は,母分散の推定量なので,不確か

どちらも標本平均=50

不偏分散=25 のとき

標本サイズ=10

母分散=25 のとき

母平均の95%信頼区間は[46.9, 53.1]

[46.4, 53.6]

→信頼区間が広い