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内部海を持つ地球型惑星の 生命居住可能性
井田研究室 08-03510 上田 翔士
研究背景 ハビタブルな地球型惑星が存在するのか
・系外地球型惑星
・浮遊惑星
(例) ・海惑星 ・地熱で氷の内側が溶けてできた海 (内部海)
Artwork by Robert Hurt
Illustration courtesy Lynette Cook
Tajika (2008)では内部海
を持つ系外地球型惑星について考察
“ハビタブル” ⇒・ 液体の水が存在 ・ 水と岩石が接している(ミネラル供給)
Tajika (2008) 惑星形成から46億年後に内部海を持つ系外地球型惑星について考察
4地球質量以上なら惑星軌道・ルミノシティに関わらず、内部海持つ ⇒ハビタブルゾーンが大きく拡がるのではないか
内側: 暴走温室 (Kasting, 1988; Nakajima et al., 1992) 外側: CO₂雲出現 (Kasting et al., 1993)
中心星からの距離
中心星のルミノシティ
海惑星のHZ
Tajika (2008) を改変
黒線: 惑星質量に応じた内部海を持てる境界
本研究 ・重力による圧縮の影響を考慮した半径-質量の関係式 (Valencia et al., 2006) ・単位体積当たりの放射性熱源の量 地球の0.1 - 10倍 表面の水量の割合 地球の0.1 - 100倍 ⇒“高圧氷”の影響を考慮
Tajika (2008) (a) 惑星半径と惑星質量の関係に重力による圧縮の影響なし
(b) 単位体積当たりの放射性熱源の量、惑星表面の水量の割合が地球と等しい
研究目的
系外・浮遊地球型惑星が内部海を持つ条件を求める
高圧氷とは
・惑星半径と質量の関係 ・表面の水の量の変化
⇒表面の水の厚さが増す
内部海と岩石の間に高圧氷 ⇒液体の水と岩石の接触なし
高圧下において相転移し液体の水よりも密度が大きくなった氷
H₂Oの相図
内部海
研究手法
惑星表面へ放出 マントルの温度進化 放射性熱源による放出
結果①(中心星がある場合)
内部海をもつ (氷1-液体の水)
内部海の底に高圧氷
内部海をもつ (氷1-液体の水)
46億年、1AU、放射性熱源比1倍 46億年、1AU、表面水量比1倍
10
10
10
10
1 1
1 1 100 0.1 0.1 0.1
0.1
惑星質量
/地球質量
惑星質量
/地球質量
表面水量比/地球水量比 放射性熱源/地球放射性熱源 0.5 8
地球質量の惑星 0.5-8倍の水 ⇒内部海
8倍以上 ⇒高圧氷生じる
0.4
地球質量の惑星 地球の0.4倍以上の放射性熱源
⇒内部海
氷のみ 氷のみ
結果②(浮遊惑星の場合) 46億年、放射性熱源比1倍 46億年、表面水量比1倍
内部海の底に高圧氷
内部海をもつ (氷1-液体の水)
10
1
惑星質量
/地球質量
0.1 0.1 1 10 100
表面水量比/地球水量比 2 8
10
1
内部海をもつ (氷1-液体の水)
惑星質量
/地球質量
0.1
0.1 1 10 放射性熱源/地球放射性熱源
地球質量の惑星 2-8倍の水 ⇒内部海
中心星ありの場合より制約強 適切な量(1桁以下の幅)必要
2
地球質量の惑星 2倍以上 ⇒内部海
中心星ありの場合より制約強 ある値以上の量必要
氷のみ 氷のみ
結果③(表面の水の量の変化)
10
1
0.1
惑星質量
/地球質量
中心星からの距離 (AU) 0 40 20
白: 氷のみ 赤: 内部海もつ 緑: 底に高圧氷 青: 海惑星
放射性熱源1倍 表面水量比 0.5倍 1倍 2倍 10倍
結果③(表面の水の量の変化)
10
1
0.1
惑星質量
/地球質量
中心星からの距離 (AU) 0 40 20
白: 氷のみ 赤: 内部海もつ 緑: 底に高圧氷 青: 海惑星
放射性熱源1倍 表面水量比 0.5倍 1倍 2倍 10倍
結果③(表面の水の量の変化)
10
1
0.1
惑星質量
/地球質量
中心星からの距離 (AU) 0 40 20
白: 氷のみ 赤: 内部海もつ 緑: 底に高圧氷 青: 海惑星
放射性熱源1倍 表面水量比 0.5倍 1倍 2倍 10倍
結果③(表面の水の量の変化) 放射性熱源1倍 表面水量比 0.5倍 1倍 2倍 10倍
10
1
0.1
惑星質量
/地球質量
中心星からの距離 (AU) 0 40 20
白: 氷のみ 赤: 内部海もつ 緑: 底に高圧氷 青: 海惑星
単純に表面の水が多ければ良いわけではない ⇒適切な量の水が必要
まとめ ・系外・浮遊地球型惑星がハビタブルな内部海を持つ 条件を求めた
・Tajika (2008)の手法を応用し、内部海を持つ条件 に対する放射性熱源・表面の水量の依存性も 調べた
・内部海の底に高圧氷が生じることを考慮 ・惑星質量に応じた適切な量の水が表面に必要
・惑星質量に応じたある値以上の放射性熱源が必要
・浮遊惑星は制約が強まる