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2016.12.7 @PARADISE AIR kakeruasano.com 社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に- 社会包摂のためのデザイン 歩くことを起点に 浅野 翔 デザインリサーチャー DESIGN FOR SOCIAL INCLUSION AT THE STANDING POINTO OF MOBILITY KAKERU ASANO, Design Researcher

社会包摂のためのデザイン -歩くことを起点に- |DESIGN FOR SOCIAL INCLUSION AT THE STANDING POINTO OF MOBILITY

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社会包摂のためのデザイン 歩くことを起点に

浅野 翔 デザインリサーチャー

DESIGN FOR SOCIAL INCLUSIONAT THE STANDING POINTO OF MOBILITY

KAKERU ASANO, Design Researcher

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浅野 翔(あさのかける)

 1987年生まれ。2011年京都工芸繊維大学工芸科学部造形工学課程 建築コー

ス卒業後、2014年同大学院 工芸科学研究科デザイン経営工学専攻 修了。同

年、名古屋を拠点にデザインリサーチャー、サービスデザイナーとして活動

を始める。

 「愛知県で伝統工芸の中に障がいのある人の働く場所をつくる」Good Job!

プロジェクトなど領域横断するプロジェクトのディレクター、関係と環境を

デザインするARIMATSU PORTAL; PROJECTを共催、DESIGNEASTプロジェ

クトマネージャーなど。

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医療福祉とまちづくり

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日本の人口推移と推計

3,500

7,000

10,500

14,000

8001000

12001400

16001650

17001750

18001850

19001950

20002050

2100

備考:国土交通省「国土の長期展望」(2011年)をもとに作成。2010年以前の人口:総務省「国勢調査」、国土庁「日本列島における人口分布の長期時系列分析」(1974年)それ以降の人口:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」

鎌倉幕府成立 1192年 757万人

江戸幕府成立 1603年

1,227万人

明治維新 1868年

3,300万人

2050年(中位推計) 9,708万人

6845年(中位推計) 4,959万人

終戦 1945年

7,199万人

2010年 12,806万人

(万人)

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社会保障費などの推移

20

40

60

80

100

120

1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010 2016

56.7

53

41.2

24

10.5

0.90.50.1

37.9

32.9

26

18.4

10.72.11.51

23.719.3

11.153.60.60.30.1

(兆円)

資料:国立社会保障・人口問題研究所「平成23年度社会保障費用統計」、2012年度,2013年度、2014年度(予算ベース)は厚生労働省推計、2014年度の国民所得額は「平成26年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度(平成26年1月24日閣議決定)」 (注)図中の数値は、1950,1960,1970,1980,1990,2000及び2010並びに2014年度(予算ベース)の社会保障給付費(兆円)である。

(予算ベース)

年金

医療

福祉その他

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資料:「都市再生:健康・医療・福祉のまちづくりの推進 - 国土交通省」

http://www.mlit.go.jp/toshi/toshi_machi_tk_000055.html

健康・医療・福祉のまちづくりの推進ガイドライン

11..更更ななるる超超高高齢齢化化をを迎迎ええるる都都市市政政策策のの課課題題① 高齢者等が安心 暮 す が 難 なる社会

22..健健康康・・医医療療・・福福祉祉政政策策ににおおけけるる取取組組① 地域における医療 介護体制の見直し

平平成成2266年年 88月月 11日日 ままちちづづくくりり推推進進課課・・都都市市計計画画課課・・街街路路交交通通施施設設課課

① 高齢者等が安心して暮らすことが困難となる社会・ 2055年には人口が約3割減少、総人口の約4割は65歳以上の高齢者

・ 徒歩圏内に生鮮食料品店がない高齢者単独世帯数が約2.5倍に増加

② 更に低下する地域の活力社会参加の場の減少による地域交流 地域活動の停滞

③ 厳しさを増す都市経営・ 2025年には社会保障に係る公費負担分は1.5倍増の約60兆円

・ 社会資本(国土交通省所管)の維持管理費は20年間で約1.3~1.5倍増加

④ 健康・医療・福祉施策との施策連携の不足・ 8割以上の地方公共団体において政策連携の必

① 地域における医療・介護体制の見直し・ 2025年を目途に医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供される「地域包括ケアシステム」の実現(概ね30分以内に必要なサービスが提供される日常生活圏域)

② 医療費適正化の推進・ 若い時からの生活習慣病の予防対策、入院期間の短縮対策

③ 「健康日本21(第二次)」を中心とした健康づくりの推進日常生活における歩数の増加(約1 200 1 500歩の増加) 運動習慣者の割合の

優先施策の立案や関係者間の取組意識を・ 首長を中心に 都市部局

((11)) 推推進進体体制制

① 住民の健康意識を高め 運動

((33)) 必必要要なな55つつのの取取組組 ((55)) パパッッケケーージジにによよるる取取組組

・ 社会参加の場の減少による地域交流、地域活動の停滞・ 特に大都市においては地縁によるコミュニティ関係が薄く、高い孤立化リスク

8割以上の地方公共団体において政策連携の必要性を認識しているものの、共同して提案した計画は、全体の1割程度

33..「「健健康康・・医医療療・・福福祉祉のの

((44)) 「「診診断断」」のの実実施施

・日常生活における歩数の増加(約1,200~1,500歩の増加)、運動習慣者の割合の増加(約10%増加)、住民が運動しやすいまちづくり・環境整備に取り組む自治体数の増加(47都道府県とする)

44..取取組組効効果果ののチチェェッッ

・ 多くの市民が自立的に、また必要に応じて地域の支援

・ 優先施策の立案や関係者間の取組意識を高めるため、自都市の分析・評価(「診断」)が有効

・ 首長を中心に、都市部局、住宅部局、健康部局、医療部局、福祉部局等の横断的な組織体制づくり(データ共有、計画連携、住民との合意形成等)

・ 道路管理者、交通管理者、

① 住民の健康意識を高め、運動習慣を身につける社会環境の改善を通じた市民意識等の向上

② コミュニティ活動への参加を高め、地域を支えるコミュニティ活動活性化を図る

・ 「診断」を踏まえて5つの取組については、優先順位を定め、必要な施策の組み合わせを工夫

・ 地域や関係者とのコミュニケ シ ンを重ねながら 多

よよるる取取組組

指指標標例例 診診断断のの視視点点 指指標標 デデーータタ全全国国平平均均

都市の 市街地の 市街地の DID面積率 3.4%

ままちちづづくくりり」」のの推推進進

果果ののチチ ッッククとと取取組組内内容容のの改改善善

・ 定期的な実応じて地域の支援を得て、より活動的に暮らせるまちづくり

・ 日常生活圏域等における必要な機能(①健康機能 ②医 必要な対策検討の前に「現

((22)) 「「現現状状」」・・「「将将来来」」のの把把握握及及びび「「見見ええるる化化」」

交通事業者、NPO、新たなコミュニティ等との連携

の活性化を図る高齢者のコミュニティ活動への参加等生きがいの創出、多様な主体の連携、コミュニティ活動の拠点づくり、コミュニティビジネスの活用

③ 日常生活圏域・徒歩圏域に都

ケーションを重ねながら、多世代の交流等が高まるよう施策間の連携を高め、一体的なパッケージとして取り組むことが大切

図:都市・地域診断による評価イメージ

基礎的状況を診断する指標

現況・形状 コンパクト度 DID人口比率 67.3%

高齢者の生活と健康状況

高齢化進展度

65歳以上の人口の割合

22.8%

健康寿命 健康寿命 男70.4歳女73.6歳

都市経営の 財政力 財政力指数

・ 定期的な実

態把握を継

続的に行い、

市民や地域

と連携した必

要な取組の(①健康機能、②医療機能、③福祉機能、④交流機能、⑤商業機能、⑥公共公益機能)の確保や、歩行空間、公共交通ネットワークの

・必要な対策検討の前に「現

状」・「将来」の把握を実施高齢者等の暮らし、必要な都市機能の配置状況、地域の交通環境等

・分析結果の「見える化」による 関係者間の意識共有

市機能を計画的に確保する計画的に確保することが望ましい都市機能と機能確保の考え方、都市機能を計画的に確保する際の方策

④ 街歩きを促す歩行空間を形成

評価イメージ都市経営の状況

財政力 財政力指数 0.49

施策の取り組み状況を診断する指標

住民の健康意識、運動習慣

健康意識 健康習慣実践者の割合 39.4%

コミュニティ活動の活性化

コミュニティ活動

人口1万人あたりのコミュニティ活動団体数

8.3

【取組効果の事例】

改善

共交通ネットワ クの充実等を一体的に取り組む都市構造のコンパクト化の推進

・ 都市政策の取組に当たって、健康・医療・福祉の視点か

よる、関係者間の意識共有する歩行ネットワークの構築、世代を超えて利用される歩行空間づくり、歩行をサポートするモビリティ等の活用、歩行を促す仕掛けづくり

⑤ 公共交通の利用環境を高める

図:取組施策パッケージ化のイメージ

①健康意識・運動習慣②コミュニティ活動の活性化③都市機能の計画的確保④歩行空間⑤公共交通利用環境

化 活動団体数

都市機能の計画的な確保

健康機能 徒歩圏内に公園がない住宅の割合

38.8%

医療機能 徒歩圏内に医療機関がない住宅の割合

39.3%

(年間の医療費抑制効果)=歩行数の増加した住民数

×1日当たりの歩数増加量

円/歩療 福祉の視点から必要な事業や施策へと大きく舵を切っていくことが必要

図:A市における都市公園分布・バスルートと要介護・要支援認定者の割合※町丁字界、都市公園、バスルート、要介護要支援のデータの重ね図を作成

⑤ 公共交通の利用環境を高める公共交通のサービス水準の向上、地域のコミュニティ等が主体となった交通サービスの提供、公共交通の待合空間等の整備

街歩きを促す歩行空間

歩行空間整備率

歩道整備率道路植栽率

14.3%9.7%

公共交通の利用環境

公共交通のサービス水準

公共交通利便性の高いエリアの住宅の割合

67.0%

× 0.061円/歩× 365日

出典:筑波大学久野研究室

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22..健健康康・・医医療療・・福福祉祉政政策策ににおおけけるる取取組組① 地域における医療 介護体制の見直し① 地域における医療・介護体制の見直し・ 2025年を目途に医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供される「地域包括ケアシステム」の実現(概ね30分以内に必要なサービスが提供される日常生活圏域)

② 医療費適正化の推進・ 若い時からの生活習慣病の予防対策、入院期間の短縮対策

③ 「健康日本21(第二次)」を中心とした健康づくりの推進日常生活における歩数の増加(約1 200 1 500歩の増加) 運動習慣者の割合の・日常生活における歩数の増加(約1,200~1,500歩の増加)、運動習慣者の割合の増加(約10%増加)、住民が運動しやすいまちづくり・環境整備に取り組む自治体数の増加(47都道府県とする)

〈地域包括ケアシステム〉

最期まで住み慣れたまちで医療福祉や生活支援を受けられる仕組み

→日常の生活圏内(30分圏内)におけるサービス充実を目指す

〈健康日本21(第二次)〉

H25から10年間にかけて、 国民の健康増進を総合的に推進するための基本的な方針

→日常的な運動(歩数)の増大や運動習慣

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県別平均歩数における生活習慣病死亡者数(10万対)

500

600

700

800

900

1,000

1,100

1,200

6,000 6,500 7,000 7,500 8,000 8,500

全国平均

秋田県

長崎県

和歌山県青森県

山形県

北海道

宮城県

高知県

岩手県

広島県

鹿児島県

新潟県

静岡県

沖縄県 神奈川県

東京都

岐阜県

千葉県埼玉県

滋賀県

福島県

兵庫県

(死亡者数)

(歩数)

資料:厚生労働省「平成24年国民健康・栄養調査」、平成10年~平成14年人口動態保健所・市区町村別統計(人口動態統計特殊報告) 、平成16年人口動態調査、平成15年地域保健医療基礎統計(厚生労働省大臣官房統計情報部編)、平成27年度社会教育調査中間報告 美術博物館数

美術館数が全国平均より少ない都道府県 美術館数が全国平均より多い都道府県

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医療費と運動の関係

資料:e-wellnessシステムによる医療費抑制効果 | つくばウエルネスリサーチ, http://www.twr.jp/results/conclusion/conclusion02/

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日本の人口推移と推計

3,500

7,000

10,500

14,000

8001000

12001400

16001650

17001750

18001850

19001950

20002050

2100

備考:国土交通省「国土の長期展望」(2011年)をもとに作成。2010年以前の人口:総務省「国勢調査」、国土庁「日本列島における人口分布の長期時系列分析」(1974年)それ以降の人口:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」

鎌倉幕府成立 1192年 757万人

江戸幕府成立 1603年

1,227万人

明治維新 1868年

3,300万人

終戦 1945年

7,199万人

(万人)

2050年(中位推計) 9,708万人

6845年(中位推計) 4,959万人

2010年 12,806万人

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コンパクトシティの共通概念 ①過度な車依存による環境問題や都心空洞化の解決策 ②高い居住密度 ③用途や居住者の多様性 ④車より歩行者を優先するヒューマンスケールな都市空間 ⑤地域の自然や歴史・文化を生かした都市固有の魅力 ⑥環境との共生 ⑦地域に密着した経済 ⑧自動車より公共交通、歩行者、自転車に焦点を当てた交通体系

資料:健康増進のライフスタイル形成支援・連携方策に関する調査報告書, 厚生労働省健康局 静岡県袋井市

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ニューアーバニズムの特徴 ①過度な成長の抑制とバランスの取れた発展 ②地区内におけるバランスのとれた就住の融合 ③多様なニーズに応えた住宅タイプの供給 ④多様な交流機会と豊かなパブリックライフ ⑤歩行圏内での適度な用途の複合 ⑥車より歩行者を優先するヒューマンスケールのまち ⑦まちのアクティビティ空間としての街路 ⑧環境にやさしい公共交通システム ⑨自然環境の保護と生態系の保全

資料:健康増進のライフスタイル形成支援・連携方策に関する調査報告書, 厚生労働省健康局 静岡県袋井市

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アーバンビレッジの特徴 ①複合用途による開発 ②地区内における就住のバランス ③地区の広さ約 4,0ha(600m×600m) ④地区内のどこにいくにも歩いて 10 分程度 ⑤地区内の多様な活動や施設を支えるのに十分な人工規模(3,000~5,000 人) ⑥歩行者に優しい環境

資料:健康増進のライフスタイル形成支援・連携方策に関する調査報告書, 厚生労働省健康局 静岡県袋井市

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歩行者の権利に関する欧州憲章 (1988)より一部抜粋 第1条 歩行者は、健康的な環境で生活を営み、かつ身体的・精神的な安寧が適切に保障された公共空間がもたらす快適さを、満喫する権利を有する。 第2条 歩行者は、自動車のためでなく人間の必要のために整備された、都市または集落に居住し、歩行や自転車による移動距離内で、生活の利便性を享受する権利を有する。 第3条 子ども、高齢者、および障害者は、都市において容易に社会参加の機会が得られ、彼らの有する不利(弱点)を増大する場でないように求める権利を有する …

資料:健康増進のライフスタイル形成支援・連携方策に関する調査報告書, 厚生労働省健康局 静岡県袋井市

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社会包摂とデザイン

インクルーシブデザインのはじまり

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ヨーロッパ アメリカ

ユーザー パートナー(リードユーザー) 被験者

デザイン手法 インクルーシブデザイン ユニバーサルデザイン

キーワード 対等・多様性 平等・同化・標準化

きっかけ 戦災復興からくる公平さの主張 戦災者による権利主張

運動ノーマライゼーション

デザインフォーオールADA法

1960年代以降の包摂するデザイン運動

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包摂するデザインの歴史

年代 テーマ キーワード

1960-70sデザイン方法論の模索

(大量生産による民主化)

誰のためのデザイン

なぜデザインが必要なのか

1980-90s共創の仕組みが確立

(マスカスタマイゼーション)

誰とデザインするのか

どのようにデザインをするのか

2000-サービスやシステムへの展開

(パーソナライズ)

どのようにスケールアウトするの

か、ネットワークするか

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インクルーシブデザインのはじまり

欧州連合の拡大

多様性・寛容性の重視、経済的貢献度の最大化を目指す

「ニーズのためのデザイン」会議 (1976)

製品からユーザー、生産者から消費者へ変化

英国王立芸術大学 (RCA)による「デザインエイジ (1991)」

・選択の自由と権利・高齢者の自立と尊厳

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インクルーシブデザインのはじまり

ヘレンハムリン・リサーチセンター(1999)の研究テーマ

エイジ デザインエイジプログラムの継承

ワーク オフィスや家の移動中に関して、仕事とコミュニケーションのパターンの変化をサポートすること

モビリティ より動きやすく自由なアクセスを可能にすること

ケア 自立した生活を支えるヘルスケアとリハビリ

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 HHCのインクルーシブデザインプロセス

EXPLORE

課題探求

FOCUS

テーマの発見

DEVELOP

開発

DELIVER

反映・提供

UNDERSTAND

CONTEXT

DESIGN

RESEARCH

DISCOVER

NEEDS

MAP

INSIGHT

TRANSLATE

BRIEFS

SCENARIO

BUILDING

USER

FEEDBACK

RESOUCE

BUILDING

資料:『INNOVATING WITH PEOPLE THE BUSINESS OF INCLUSIVE DESIGN』pp42-43より作成

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インクルーシブデザインとは、

個人の差異を認め、多様性を包摂するデザインを目指す手法

→社会的包摂の理念に則り、排除の要因をデザインする側にあ

ると考え、そのプロセスにユーザーを巻き込みソフト・ハード

の両面を含めたインクルーシブな環境をデザインする

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経済産業省におけるデザインの広がり

狭義のデザインあるコンセプトや想いを具現化するための造形行為

とそのディレクション

広義のデザインあるコンセプトや想いを具現化するための計画・設

計行為とそのディレクション

資料:デザイン導入の効果測定等に関する調査研究 平成18年

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デザイン領域の拡張

システム

プロダクト

サービス

法律

経済・インフラ

都市計画・建築

サービスデザイン・コミュニティデザイン

エンジニアリング・インラクションデザイン

ユーザエクスペリエンス・人間中心設計

プロダクト・グラフィック・ファッションなど

Design Wars | I think ∴ I design

https://ithinkidesign.wordpress.com/2013/03/26/design-wars/より作成

デザインする

次元の上位化

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インクルーシブデザインにおける メタ次元的展開

障害者や高齢者のための特別な製品 ↓

リードユーザーと開発した一般的な消費財 ↓

リードユーザーと生産するための道具の開発 ↓

持続的に社会参画するための環境創生

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社会福祉法人 養護老人ホーム S

デザインリサーチプロジェクト

w/ 柴田木綿子 (建築家)

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プロジェクト概要:暮らし方と働き方

目的:養護老人ホームの建て替えにあたり、利用者がどの

ような暮らしをし、スタッフがどのような働き方をしてい

るのかを相互理解するために実施

内容:スタッフと利用者が、どこで(場所)何を持って

(道具)どのように(経験と価値観)働いているのか、暮

らしているのか定性的調査とレポート提出

実施期間:2015年2月から2015年5月まで

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行く能力があるけれど不安

で行きたくない

行事で太鼓の演奏があるとそれに向かって一生懸命練習

暖房完備なので季節感をわ

かられない

いろんな寮から人が集まる

ような場所

調査①ビデオインタビュー

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<道心寮2階廊下にて> U 普段寝てるでしょ、運動不足になるんです。 浅野 いつもはお一人で散歩したりとか。 U そうです、大概おやつ食べたくらいですね。エレベーターでした降りてお庭をグルっと回ったりするんです。 浅野 この眺めのいい部屋はいきますか。 U 行かないわ、そこは私らの部屋じゃあらへん。

<玄関そばの本棚、玄関にて> U 文庫本があるので推理小説を借りたり、返して、表に出てそこをうろついて桜が咲く前からいつ咲くかなってここにいてたらここの面会の人が話しかけられます。

U 行ってみたい場所は今はどっこもないけどね。前はそこの裏参道から本堂まで上がっていったよ。もうそんなん望まれへんし。

1階 2階

道心寮

道心寮

戒光寮

戒光寮

宝珠寮

元気農園

デイサービス

Uさんの軌跡Kさんの軌跡

調査②建築探訪(インタビューツアー)

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2016.12.7 @PARADISE AIR

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7:00

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18:00

談話室 トイレ(道)トイレ(戒) 1階居室 2階居室 職員室 食堂 洗面風呂 宝珠

昼休憩

ハンドベル

浴室掃除

入浴介助

朝食

入浴準備

昼食

洗濯

カラオケ

おやつ

道心トイレ→戒光トイレ

Mさんの軌跡Aさんの軌跡

調査③行動観察 (シャドーイング)

利用者の寄り道スポットとなる談話室

スタッフの多様な談話室の利用法

短距離の連続移動と場所付き介護

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調査④フォトエスノグラフィー

即興的な対応シリーズ

小さな工夫を施設内に散りばめ、

アクセスと処理能力を高めてる

堆積・埋没シリーズ

パッドや薬といった最低限管理するもの

を新たに加えていくので管理が難しく

なっている。

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デザインリサーチプロジェクトでの気付き

①DIYがあっちこっちに!

スタッフは小さな創意工夫を積み重ね、施設内のさまざまなすき間に

散りばめることで介助に対応できるようにしている

②不安を解消するすき間がない!?

長い時間の中で利用者の持ち物やスタッフの創意工夫が堆積されたすき間

からあふれることで日々の生活やサービスの実施に不安を引き起こしてい

る。「もう入れる場所がなくなってるよ~」

③第三の居場所でリラックス!

利用者は趣味を起点に、プライベートな場所と公的な場所の間を往来のな

かで、どちらにも属さない自分らしく過ごせる居場所を見出している。

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有松での取り組み

ARIMATSU PORTAL; PROJECT

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ARIMATSU PORTAL; PROJECTの活動目的

• 主体的に活動する人と有松の入り口を築くこと

• 多様なひとびとが有松で活躍できる関係を築くこと

• 持続可能な環境を有松に構築すること

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PORTAL; LABORATORY「有松をうばえ」展2016年11月

12日[土]-13日[日]

有松から「松」をうばえ

有松から「重伝建」をうばえ

有松から「山田薬局」をうばえ

有松から「山田薬局」をうばえ

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ごえんの投票 #01 の結果報告

質問:わたしが有松でしたいことは… 期間:2016年6月4日[土]-7月31日[日]、総評:108票

働きたい

14紹介したい

16

暮らしたい

39

遊びたい

39

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ごえんの投票 #02 経過報告

質問:わたしが山田薬局でやるならば… 期間:2016年11月12日[土]から2週間、経過投票数:147票

宿泊・居住

28

展示・案内

30雑貨店

39

飲食店

50

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ごえんの投票からの考察

• 産業から暮らしのまち・有松へ構造変化している→ より良い暮らしを指標にまちへ働きかける

• 遊びたい欲求を満足するコンテンツが足りていない→ 働きたい人を見つけて、目的地づくりを行う

• 現代の暮らし対して建物(家賃・維持費)が大きすぎる→ シェアハウス/オフィス/店舗の複合型へ

• ニーズの割に有松を紹介できる人がいない→ 独立した家守事業やまちづくり会社が求められている

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ごえんの投票からの仮説

『なぜ/どのように有松で観光産業をするのか』ではない。

まちの構造が変化(産業→暮らし)している中で、

どのような暮らしを私たちは実行していくのか。

これからの暮らしを実行することで何を獲得するのか。

〈山田薬局の活用方針の提案〉

歩いて楽しいまちの暮らしを考え、

活動のサポート、実行/体験するまちラボ

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社会を包摂するためのデザインに向けて

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社会を包摂するためのデザイン手法

①プロセスの公開と調査への参画から意識を高める

 調査に参加してもらい、自分たちで言語化を図る

②分断された社会課題を統合する合意形成の場の提供

 経営↔管理↔運営↔利用者の議論と調整

③歩くことに期待する効果と事業の立ち位置を明らかにする

 歩く目的地や動機の創出、エリア/事業のブランディング

④事業や政策ヴィジョンの明確にアウトリーチする

 適切な情報発信を通じてコミュニケーションを描く