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放射線の測定と除染 こどもと妊婦を守るには 東京大学教授 アイソトープ総合センター長 医学博士 児玉龍彦

0903南相馬市講演 児玉龍彦-2

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放射線の測定と除染

こどもと妊婦を守るには

東京大学教授 アイソトープ総合センター長

医学博士 児玉龍彦

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放射性物質から放射線がでる

放射性物質

ガンマ線

中性子線

ベクレル測定難しい

ガイガーカウンターが感度いい

シンチレーションカウンターが感度いい

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放射性ヨウ素と放射性セシウムが問題時間がたつと放射性活性は落ちる

ヨウ素131 8日で半分 16日で4分の一

セシウム137 30年で半分 60年で4分の一

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外部被曝と内部被曝

• 外部被曝は外から 放射線の影響は距離があるとどんどん小さくなる。距離の二乗に反比例するので距離が10倍になると影響が百分の一。

• 内部被曝は深刻 放射性ヨウ素は甲状腺などずっと同じ場所で放射線をだす。

• 熱い炭に手をかざす(外部被曝)のと、それを口にいれる(内部被曝)の違い。

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内部被曝は遺伝子を2段階で傷つけがんを生み出す

放射性物質

放射線はDNAの切断をひきおこすが、二重螺旋は安定で、分裂期に一本になっているときれやすく感受性が高い。

妊婦の胎児、こども

増殖のさかんな細胞:髪の毛、白血球、腸管上皮

遺伝子が一つ変異するだけでは、がん化しない。最初は増殖性の変化であり、それに転移しても死ななくなる変異がおこり、がんになる。

正常 ポリープや良性腫瘍 がん

放射線 10−30年

5

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放射性ヨウ素は牛乳に濃縮されて、飲んだ子どものRET遺伝子が変異する。これだけではがんにならず、もう一つの遺伝子が5−10年で変異すると小児甲状腺がんになる。

甲状腺がん 0−20歳

放射性ヨウ素131チェルノブイリで小児の甲状腺がんの増加を証明するの

に20年かかった(4000人発症、15人死亡)

ソ連崩壊後、賠償責任のからむロシアの学者が統計に異議をとなえアメリカ、日本の研究者も懐疑的だった。しかし、1986年から増加し、2004年頃に無くなったことに

より、チェルノブイリ以外の原因はありえないとされた。

WHOで承認:2005

半減期8日で放射性ヨウ素はすぐ減尐した

6

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染色体7番の切断とコピー数増加

RET遺伝子の

活性化

第3、第4の

遺伝子変異

、チェルノブイリで被曝したこどもの甲状腺がん細胞(点線)

我々の細胞は遺伝子を父と母からもらい2コピー(緑)が普通。

ところが放射線で染色体の7番のq11領域(赤)が3コピーに増える。

アメリカ学士院会報 2011年6月 Ungerほか

パリンドローム増幅

7番3コピー RET遺伝子 その他の遺伝子

汚染地区こども あり あり あり

非汚染地区 なし あり あり

腫瘍の性質 増殖 増殖 がん

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様々な統計は、生涯での被曝が100ミリシーベルトを超えるとがんの発生率が増えることを示している。

だが浪江、飯館では、3月12日から24日午前0時までで、これを越える被曝がSPEEDIで予測された。

なぜか、SPEEDIの予測

は、3月23日(この積算)まで原子力安全委員会から発表されなかった。

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セシウム137

• 1940年代以前の自然に存在せず、ウラン235の分裂により、原爆と原発で人為的に作られる。

• これは食品の年代鑑定にも用いられ、ジェファーソンボトル事件では、19世紀ワインというのが偽物であることを証明した。

• 強いガンマ線をだし、ブラジルのゴイアニア市で廃棄医療機器から光る金属として線源が持ち出され、250が被曝、4人が死亡した。

• 半減期が30年で、日本の土壌では、土の流出を考慮しても、半分になるのに17年かかり、福島の土壌汚染で一番の問題になる。

9

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チェルノブイリの汚染地域では膀胱の前がん病変が15年後からほぼ全員に

ウクライナでは、30Ci/平方キロでは強制退去、5−30Ciが高濃度、0.5−5Ciが中間

的で、それ以下は低線量区域とされている。膀胱がんは百万人あたり26.2人(86年)から43.3人(01年)に65%増加している。国の化学物質の毒性を調べる機関のバイオアッセイ研究所の福島所長らは、高線量の地域住民の膀胱の100例以上の組織検査で、ほぼ前例に増殖性変化がみられることを報告している。

Urinary bladder carcinogenesis induced by chronic exposure to persistent low-dose ionizing radiation after Chernobyl accident.Romanenko A, Kakehashi A, Morimura K, Wanibuchi H, Wei M, Vozianov A, Fukushima S.Carcinogenesis. 2009 Nov;30(11):1821-31. Epub 2009 Jul 30. 他9報

10

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セシウムは粘土にくっつく

CsOx微粒子

エアロゾル

可溶化Cs+

Cs+ 粘土鉱物に吸着

移行

地下水

地表水K+, NH4+

*土壌中の分配

•イオン交換態: 10%

•有機物との結合: 20%

•粘土鉱物との強固結合: 70%

2:1型層状ケイ酸塩の層間にトラップされる

吸着能

K+<NH4+<<Cs+

通常、下層への移動は遅い

年間1cm以下

チェルノブイリの例では7年後で10cm以内に78-99%残留

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粒子の呼称 粒径 (mm) 鉱物 有機物の状態

礫 >2 一次鉱物 粗大有機物

粗砂 0.2-2 一次鉱物 粗大有機物

細砂 0.02-0.2 一次鉱物 粗大有機物

シルト 0.002-0.02 一次+二次 有機無機複合体

粘土 <0.002 二次鉱物 有機無機複合体

国際法による土壌の粒径区分土壌団粒 青山正和 農文協 2010 P25 表1より引用

セシウムはこの粘土に強固に結合し、下水系で汚泥に集まる

粘土はケイ素の四面体構造とアルミニウムの八面体層が重なった一つの構造が層状に重なった構造を特徴とする。

セシウム(左図左上)は、Na(右上)やMg(左下)と比べてこの構造に強く取り込まれ長い期間地表面(10cm以内)に留まる。(東邦大理学部山岸研)http://www.lab.toho-u.ac.jp/sci/chem/sakutai/research/copy_of_clay_yamagishi.ht

ml)Cs と Na,Mgの結合比較図

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• Cs除去剤としてのゼオライト① ゼオライトの性質

アルミノケイ酸塩のなかで結晶構造中に比較的大きな空隙を持つ50種類以上の鉱物の総称で、新規合成物も多数製造されている

SiO2骨格の一部のSiがAlに置換→結晶格子全体が負に帯電。そのため微細孔内にカチオンを含み、電荷バランスを取る。このサイトがイオン交換を行う。空隙の大きさと分子、イオン半径が一致したものへの吸着能が高い

また担体としては空隙構造の一部を官能基で修飾して特異な性質を付与

Cs+

② Cs除去への応用

*吸着メカニズム

空隙サイズを調整しCs+への選択性をあげてイオン交換で吸着(粘土と違い可逆反応)

担体としての性質を利用して、Cs吸着材であるヘキサシアノ鉄塩、りんモリブデン酸アンモニウム等を担持させて吸着

*放射性核種吸着材として有利な点

骨格が頑強で放射線の照射に強い為、非常に長い期間保持に耐える

吸着したゼオライトは焼成、ホットプレス等で空孔を容易に塞ぐ事が出来、外界への放射性核種の再溶出を防ぐ事が出来る。

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稲わらはケイ酸に富んでいるセシウム集積との関連?

• 日本の最重要植物であるイネは大量のケイ酸を吸収する栄養生理的特性をもっている。手が切れる葉っぱはシリカが多いといわれる。

• 玄米には多いが、白米になると尐なくなる。

高橋英一 作物にとってケイ酸とは何か 農文協 2007 P37

SiO2含有率%で表示。CNPKは40年間ケイ酸を含む堆肥で農耕。

• イナワラ堆肥はケイ酸供給源である。セシウムが強い結合を示したのに関連あるかもしれない。

イネCNPK イネNPK コムギCNPK コムギNPK

ワラ 13.31 10.91 1.99 1.32

モミ 2.78 1.98 0 0

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内部被曝を防ぐには食品と水の検査

• 牛乳、肉牛のセシウム汚染は牛のエサから。

• 原爆20個分以上(セシウムでは168個分)の放出で東日本どこでも濃縮の可能性。

• 東京、千葉のこどもにも尿中に放射性セシウムが検出されている

→ 食材を測定するしかない。

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南相馬市の検査室:進む体制整備

• 土壌と水と食品の検査を行う。

• 土壌はNaIシンチレーターで。

• 水と食品はゲルマニウム半導体検知器で行う(時間がかかる)

• 千代田テクノルという専門企業が受託して測定に責任をおう。

• 東大のアイソトープセンターのトップの専門家の野川憲夫博士をアドバイザーとして協力。

• 機械が搬入されつつあり準備でき次第開所式を行いスタートする。

• これからは

(1)農協などにライン型のイメージング計測器、

(2)学校などいろいろな施設で簡易型の食品測定器

(3)さまざまなところで簡易線量計

をおくのが大事となる。

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イメージングを基礎とした食品検査システムの検討

①重量計

②CCDカメラ③ガンマカメラ

横から見た図

上から見た図

ベルトコンベア 試料

トレイ遮蔽材

コリメータ

シンチレータ

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南相馬での測定と除染

市長、教育長とご相談の上、測定と除染に協力している。

南相馬市の放射性物質による汚染は、学校、園ごとに異なる結果なので、測定結果をみてほしい。

除染には緊急除染と長期的除染がある。緊急除染はこどものまわりの法制物質の量を緊急に減らす事が目標である。

長期的除染は、市と業者が中心となり土壌の入れ替えなど、大規模になる。

測定 緊急除染 恒久除染

住民主導の計画立案

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南相馬市の小学校・中学校・幼稚園・保育園

鹿島幼稚園

上真野幼稚園

上真野小学校

かみまの保育園

かしま保育園

八沢小学校

八沢幼稚園

鹿島小学校

真野幼稚園

真野小学校

高平小学校

高平幼稚園

石神第一小学校

石神第一幼稚園

さくらい保育園あずま保育園

なかまち保育園

大甕幼稚園大甕小学校太田小学校

太田幼稚園

鳩原幼稚園

鳩原小学校

金房幼稚園金房小学校

小高幼稚園

小高小学校

おだか保育園

福浦幼稚園

福浦小学校

20km

30km 石神第二小学校石神第二幼稚園

小高中学校

原町第二中学校

原町第一中学校原町第三中学校

石神中学校

鹿島中学校

A1

A2

19

B

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測定への協力

• 保育園、幼稚園、学校、公園、病院などの測定に協力する。

• 東大アイソトープ総合センターと新潟大アイソトープセンターの専門家が協力する。(本日も新潟大のセンターから内藤センター長、泉川准教授、後藤准教授、公衆衛生の菖蒲川助教が参加してくださっています。)

• 次第に個別の家庭、事業所の測定への協力も教育委員会で調整して順次行っていく。

• 20km圏の内側も先週から調査を開始し、除染計画をたてていく。

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空からの探索

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B。線量の最も高い石神第二幼稚園 計測日時:H23.7.9 15時 機種:SC-007

1.2

1.7

ブランコ下1.3/2.7

鉄棒1.3/1.8

1.3

1.5

1.2

1.8

1.2

1.8

1.3

2.2

0.9

1.3

1.1

2.3

1.0~1.2室内中央

上向き地上2m:0.6

下向き地上50cm:0.4

屋根ゴミ:3.8 屋上排水口ゴミ:33

1.2

1.6

1.2

1.9滑り台1.1

地表:左3.2 右6.5砂場

1.22.0

裏倉庫雤だれ跡:6

<凡例>

黒字:地上1m

赤字:地表

単位はμSv/h

1.3

1.5

1.2

2.5

1.3

1.6

上向き地上2m:0.25(中央)

下向き地上50cm:0.15

上向き地上2m:0.25(中央)

:0.45(窓際)

下向き地上50cm:0.1

上向き地上2m:0.3(中央):0.35(窓際)

下向き地上50cm:0.2

屋根:0.6/ 0.7

屋上排水口ゴミ:9

屋上排水口ゴミ:6

0.9

1.2

1.3

2.1

駐車場側溝1.1/10

0.9

1.3

最悪

22

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23

110618 福島周辺線量調査鹿島小学校

① ②

③ ④ ⑤ ⑥⑦ ⑧

⑨ ⑩ ⑪ ⑫ ⑬

110618 AlokaTCS-161 Time Const.3 range:1uSV/h

測定地点測定値(uSV/h)

1.雤どい排水口 0.69

2.雤どい排水口 0.9

3.雤どい直結側溝 2.1

4.雤どい直結側溝 3.2

5.雤どい直結側溝 2.7

6.雤どい直結側溝 2.7

7.雤どい排水口 1.2

8.雤どい直結側溝 2.5

9.雤どい直結側溝 1.9

10.雤どい直結側溝(フタあり) 0.68

11.雤どい直結側溝(フタあり) 0.7

12.雤どい直結側溝 2.4

13.雤どい直結側溝 2

鹿島中学校 プレハブ校舎直接建設はだめ。プレハブ 室内 0.7-0.9uSV/h : パーソナルカウンタプレハブ 室外 1.2uSV/h

建物脇10cm土を掘った状態 : 0.49uSV/h

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20km圏鳩原幼稚園 空間 1.03 µSv/h (1m)

2.4µSv/h 1.05µSv/h

4.30µSv/h

(側溝)

54µSv/h

(植木鉢)

1.36µSv/h

2.52µSv/h2.50µSv/h2.50µSv/h

2.29µSv/h

2.45µSv/h

(芝生)

2.04µSv/h

12.3µSv/h

(スベリ台)

室内測定結果

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1:

0.45 (up)

0.60 (down)2: 0.70

(すべり台)

3: 0.70 µSv/h

4: 0.95 µSv/h 5: 0.53 µSv/h 6: 0.52 µSv/h

7: 0.66 µSv/h

8: 0.55 µSv/h

9: 0.56 µSv/h

20km圏市立福浦幼稚園 除染で室内年1ミリ以下にできる

10: 0.43 µSv/h

11: 0.90 µSv/h

室内測定結果

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緊急除染の注意

「まてないみせ」 内部被曝さけるために

• 土ホコリはマスクで• 手につかないように手袋で• 側溝など汚泥につくときは洗える長靴で• 作業中は飲食禁止• かわりに途中で手を洗って水分補給• 線量計が必須 高い汚染物は専門家呼ぶ

26

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雤樋0.6μ 洗浄後 0.2μ

2011.7.27 27

中学校 洗浄前 2.7USv

中学校 洗浄後 0.6uSv 27

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放射性セシウム汚染土壌の処分と保管について

(1) 東京大学の経験では放射性汚染土壌の引き取りは非常に困難である。

(2) いかなる理由があっても放射性廃棄物の引き取りは、住民感情から拒絶される。住民の同意が絶対的な前提条件である。福島原発周辺は危険で近寄れない。土壌処理は当該地処理が原則で、遠くへ運搬する事自体が新たな災害をうみやすい。

(3) 「かりおき」は基本的には避けた方がよい。将来ひきとってくれるところがないからである。かりおきを約束したところは自治体内で対応策を合意させる。

(4) 世界的にみても放射性セシウムは土壌から離れにくく、当該地処理を基本とする。我々は、人工バリア型保管場と、小規模コンテナ埋設を総理大臣に提案する。

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人工バリア型放射性廃棄物処分場

• 中・低レベル放射性廃棄物(LILW)の浅地中処分設備に関するIAEAの要求を満たす設備

• 放射線及び放射性物質の外部への漏洩を防ぐために設計された障壁(Engineered Barrier System)で数千年間の人間及び生物界からの隔離を行う

• Engineered Cell、Engineered Barrier Repository、等と称され、日本語では人工バリア型処分場と称される事が多い

• 対象廃棄物は1,000万Bq/l以下の中・低レベル放射性廃棄物

セシウム汚染土壌の人工バリア型保管場

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人工バリア型処分場の模式図

排水処理へ

地下水

ドレーン配管 非浸透層

バリア層

排水層

保管エリア

進入、風化防止層

排水層

排水層

低浸透性層

低浸透性層

雤等による侵食の防止、草木の根の侵入防止γ線の漏洩防止

機能

浸み込んで来た雤水をドレーン配管に導き、保管エリアへの侵入を低減

土による埋め戻し

雤水の保管エリアへの侵入防止

地質学的考慮事項:地すべり、山崩れ、地震、洪水等

人的侵入防止:長期間の管理。記録が失われた場合でも開発を防止する措置

保管物はコンクリート固化やコンクリート箱内保管等の適切な処理を施す

漏れてきた放射性物質を吸着する、化学バリア層

バリア層を透過した放射性物質含有水、非浸透層を透過してきた地下水をドレーン配管に導く

•放射線の遮蔽

•雤水、地下水の浸入防止

•放射性水溶液の漏洩防止

地下水の浸入防止。地下水への放射性物質含有水の浸出防止

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• 施設形態の事例– 国内の極低レベル処分場の事例

31

資源エネルギー庁HPより:http://www.enecho.meti.go.jp/rw/gaiyo/gaiyo03-1.html

原子力委員会HPより:http://www.aec.go.jp/jicst/NC/about/hakusho/wp1996/sb1020702.htm

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六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設センター

32http://www.jnfl.co.jp/business-cycle/2_maisetsu/maisetsu.html

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施設の管理

• 管理期間:各国が決定、100年から300年

• 定常的運転、管理事項– ドレーン排水、地表水の廃水処理設備運転

–管理区域内及び境界の放射線強度測定排水、空気中、空間線量、植生・土壌サンプル

• 必要に応じて内部状態のモニター

• 不必要な外部者、動植物の管理区域内への侵入防止

• 周辺住民への情報開示、PR活動

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具体的な指針

• 当該地処理 コンテナ埋め込み

• 自治体での低レベル処分場 汚泥対策

• 自治体での住民合意の上の中規模処分場

• 原発周辺高レベルは六ヶ所村 財政的保証あるのはここだけ。

• ちなみに六ヶ所村の低レベルはドラム缶300万本分でこれは12平方キロの10cmに相当。

• 南相馬だけで、耕土70平方キロ。自治体での住民合意の上の大規模計画(例えば、津波対策用堤防、南相馬では12kmで収容可能)

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35

長期の土壌除染へのステップ (児玉の試案)

精密な汚染マップ

住民/自治体の計画作成

被災地域での除染研究センター放射能、化学、土木企業プラットフォームを作る

私の家はどうなっているか? どんな技術が有効でいくらかかる?

汚染物の除去土壌を剥ぐ土ぼこりを防ぐ

土壌改良プラント固定式だと数kmごと

車搭載の可動式がベター

コンテナ埋め立て 人工バリア型保管

第一段階

第二段階

第三段階

第四段階

その間の緊急除染

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汚染地の7割:森林の対策

• 日本の林業は、基盤(農道など)が世界と比べて遅れていて競争力がなくなっていた。

• セシウムは森林では粘土が尐なく、放置しておくと、循環していてなかなか減らない。

• そこで汚染森林を整備して順番に伐採→燃料、除染するとともに、将来の持続可能なバイオ燃料、バイオ素材森林に作り変える。

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森林地帯ではセシウムはずっと残る:チェルノブイリの例

事故直後

60-90%が樹木に

1年後の夏5%が樹木に

腐葉土に移行

その後10年

殆ど減尐しない<1%/y

擬似平衡状態

Cs

• 森林のCs循環モデル

三菱ケミカル 山口祥司 様の御厚意による

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汚染森林

跡地除染利用可能地域化

汚染農地・原野

汚染住宅地

木の放射能汚染度チェック木材等への利用可能性判断

No

立入り禁止区域化

Yes伐採

森林産業原料化

高成長木植林

森林の再生

新たな持続可能な林業構想

津波危険+低汚染地域 メガソーラー

津波危険+高汚染地域

津波安全+汚染地域

除染

除染 農地住宅

防風林

汚染度チェック津波危険度+汚染度で分類

汚染度チェック建物、敷地

(津波危険なし)

敷地汚染 建物撤去、除染

建物のみ汚染 建物除染

地球快適化インスティテュート 田中栄司様のご好意による

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伐採

材木の製造販売

木質チップ製造 バイオマス発電

バイオマスケミカル製造販売

バイオマスエネルギー製造販売

製造設備の建設

全産業のインテグレーション

製造設備の建設森林をベースとした産業の構築

紙の製造販売 製造設備の建設

高効率低コスト

森林インフラ整備

植林

除染

発電設備の改造

地球快適化インスティテュート 田中栄司様のご好意による

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長期の土壌の除染へ

• 緊急避難としては、関係者が測定と除染を進める必要がある。園内、学校内には高いばらつきがあり、10倍程度、幼稚園児が泥遊びをする場所でも高い線量がでる。

• 水で洗浄して流す方式は、農業用水に流入し、二次汚染をおこす可能性。土壌処理が基本であり、東電と国の責任で放射性廃棄物を処理することが必要。

• 長期的には、建設会社、放射線検査専門企業、化学会社がチームを組んだ本格的土壌除染が必要である。イタイイタイ病の阿賀野川流域でのカドミウム除染は3000ヘクタールで8000億円かかって進行中である。天文学的予算になる。

40

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56条問題清新でベストを集めた委員会の法律を国会で

• これからの地域全体の除染は、何兆円という大変なものになるので利権を防ぎ、信頼されるものになることが大事。放射性汚染法案(平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事

故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法案)が成立し、国と東電の責任が明記された。

• しかしこの法案では、採決直前に56条というのが突然加えられ審議ぬきで採決された。基準は「原子力安全委員会」が諮問することになってしまった。この委員会は除染の専門家はいません。事故責任者を除き清新でベストでブライテストな委員会をつくる法律を一刻も早く制定してください。

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我が国の土壌放射性セシウムの変化

1964 1986 2011

米ソ英の大気圏内核実験禁止条約

チェルノブイリ

250

100

土壌中のセシウム137ベクレル/kg

50

福島第一

42

猿橋博士

1944

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希望をもたらした科学者猿橋勝子博士と微量測定

1960年代に、放射線微量測定法を樹立し、ビキニ核実験後に海水のセシウムが百倍になったことを発見。

アメリカの指導的研究者だったスクリプス研究所のフォルサム教授から、当初、疑念をもたれたが1962年渡米し、6ヶ月の公開実験により、線量測定法の正しさをフォルサム博士も確認した。

これらの結果から、核実験による環境汚染が広く認められるようになり、1963年8月、アメリカ、イギリス、ソビエトによって部分的核実験禁止条約が締結された。中国は67年に水爆実験など80年までフランスは68年の水爆実験など96年まで200回をポリネシアで実施。

「世の中をかえる研究というのは純粋な心から生まれるものなのです」

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